サイトとルイズがヴァリエール公爵に呼び出されて出掛けた二日後の昼下がり、
暖かい日差しが降り注ぐヴェストリの広場にギムリとレイナールはいた。
「サイトとルイズがいないと女子生徒が静かですねぇ。レイナールさん」
「それはそうだよ。サイトが一番人気あるんだから…」
こういう日は平和であってほしい。二人はそう思うのだが現実は甘くなく…。
横では「サイト様ぁー、あんまりです。ルイズ様を相手に選ぶなんて…」と喚いているのは、ケティ達女子親衛隊だ。そう、彼女達はサイトがルイズにプロポーズしたとしり、ショックのあまり、やけ酒状態だったのだ。「はあ、我々にとばっちりが来なければいいけど…」とレイナールはそっと呟いた。しかし、さらに頭を痛める問題児が騎士隊にいた。「レイナールさん、オンディーヌの拠点小屋にも一人いますよ…」とギムリはぼやいた。「嫉妬心だけは誰にも負けないマリコルヌという酔っ払いが…」マリコルヌは喚いていた。「あぁー、もうなんでサイトだけあんなにモテるんだ〜? 畜生ッ!待てよっ!ルイズと一緒にヴァリエール家に行ったって事は、ヴァリエール家に認められたってことか?でもルイズとそういう仲になったって事は、もう女の子からの人気は下がるはず。よし、次にモテるのはこの僕だ!!」ギムリとレイナールがひなたぼっこしているとテファがベアトリスとその取り巻きと一緒にやってきた。「あら、今日は訓練お休みなんですか?」「ええ、一昨日からサイト副隊長がルイズとヴァリエール家に出掛けてるんで」ベアトリスは小耳に挟んだといった顔で、「彼、すごいですわよね。伝説の使い魔からシュヴァリエのしかも副隊長になって!噂ではヴァリエール公爵が痛く気にいってルイズさんと結婚するとか」ギムリはサイトの伝説を語った。「それはそうですよ。彼がアルビオンの七万の兵を一人で足止めしたのは有名ですけど、あれ、実をいうとルイズを守るためにとった行動なんですからね!」「そういえば、ティファニアさんも一時期使い魔にしたんでしたっけ?」レイナールが捕捉した。「いや、アルビオンの七万の兵を一人で足止めしたとき、彼は一回死にかけたんですけど、テファのお陰で生き延びたんですよ。そのお礼で使い魔をしたんですよ、そのお陰でまた死にかけたんですけどね。」するとテファがいった。「ベアトリスさん。私、サイトさんとルイズさんのお陰で学院に来てみようと思えたの。サイトさんとルイズさんは普段は喧嘩してばかりしているけど、本当に強い絆で結ばれているからこの世界を救うことができたと思っているわ」ベアトリスは、「私も恋したらあれくらい愛されたいわねー」と一人言を言ったとき、小屋の方から「サイトとルイズの話はするなあー!!」と大声がした。ギムリとレイナールは顔を見合わせた。「レイナールさん…」「マリコルヌが荒れる合図だぞ…」という声を聞くか聞かずか小屋はバラバラに吹っ飛んでしまった。ついでにコルベール先生の実験室も更にはゼロ戦の格納庫も一緒に…「ヤバイぞ、これは!」二人はそう判断し、近くにいた隊員に声をかけた。「危険だから他の生徒を避難させるんだ!!」そして、ギーシュのもとに走ったが、ギーシュが他の女の子達を口説いているのを見て、二人は慌てた。「ギーシュ隊長っ!マリコルヌが暴れてるから止めてくださいよ!」といってもワインの飲み過ぎで酔っているらしく、「自分がもてない腹いせで暴れている豚はほっとけ。アァ、かわいい僕のレディ達よ!君たちが応援してくれるお陰で僕は隊長をしてるんだ。そうでなきゃ、もうサイトを隊長にしてしまうよ!!」ととんでもないことを言い出した。「いいえ、隊長はギーシュ様しかいませんわー!」と言われ、気をよくしたのか、女の子のおでこにキスするギーシュ。そこへモンモランシーがやってきて、「ちょっと、ギーシュ?大胆不敵な男ねーあんたはー!私という恋人が見ている前でキスするなんて!!」「ゆ、許してくれぇー!僕のモンモランシー!!」「何が僕のモンモランシーよー!!、今日は許さないんだからっ!(怒)」ギムリ達は顔を見合わせ、溜め息をついた。「サイトとルイズが居るときのほうがよっぽど平和だなぁ…」とレイナールは呟いた。「死ねぇ!このバカギーシュッ!」「お前ら二人とも死ねぇー!」「落ち着きたまぇ、モンモランシー!それとマリコルヌも頭を冷やせ!ぎぎぎゃゃゃあああ!!!」ギーシュの悲鳴が聞こえたあと、ものすごい音がした。
マリコルヌとモンモランシーの魔法がぶつかり合い、暴風雨を
引き起こしたお陰で学院の塔が一つ跡形もなく吹っ飛んでしまった。
暫くして空気が正常に戻ると全身ずぶ濡れで制服がボロボロの三人が
いた。また、この衝撃でケティ達の酔いは一気に覚めたのか、
真っ青な顔で震えあがって一目散に逃げてしまった。
ギムリ達は顔を見合わせて溜め息をついた。「この状態みたら、サイトとルイズ気絶しないかね」それより、サイトのゼロ戦だっけ?あれ、大丈夫かな・・・」ギムリとレイナール、さらにテファとベアトリス達はゼロ戦を見に行った。「はぁ、こりゃあ、ギーシュとマリコルヌ、サイトとコルベール先生に頭があがんないぞー」ゼロ戦はしっちゃかめっちゃかに壊れ、修理不能とも言える状態だったのだ。
P.S  この被害の修理代は、ギーシュ、モンモランシー、マリコルヌの三人の実家が分配することになったものの金額がおおきすぎたため、三人の実家は破産寸前の状況に追い込まれてしまったという。そのため、ベアトリスの実家とヴァリエール家が融資して、破産は免れたが、その代償として三人はサイトとルイズとベアトリスには頭があがらなくなってしまった。また、ゼロ戦のほうはサイトとコルベール先生が必死に修理し、飛べる状態に直したという。

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