セント・マルガリタ修道院。 外界から物理的に隔離されたそこでは、三十人ほどの修道女たちが暮らしている。 そこへ行くには、飛行船か飛行幻獣を以ってするしかない。 そして、その晴れた日の朝。 一匹の風竜が、セント・マルガリタ修道院の中庭に降り立った。 ただでさえ狭い中庭は、時ならぬ来訪者とそれを迎える修道女たちでいっぱいになってしまう。 「竜のお兄様よ!お兄様がいらっしゃったわ!」 修道女たちが出迎えたのは、風竜ではなく、その背に乗った主人の方。 金髪月目の青年、ジュリオであった。 ジュリオは定期的にこの修道院を訪れ、教皇からの献金を届けている。 そして、彼にはもう一つ目的があった。 まるで王を迎える民衆のように自分を囲む修道女たちを掻き分け、年老いた修道院長に献金を渡すと、いまだ騒ぎ立てる修道女たちに、尋ねた。 「ところで、ジョゼットはどこだい?」 その名前を聞いたとたん、修道女たちはさらに黄色い声を上げた。 「もう!お兄様ったらいつもジョゼット、ジョゼットって!」 「私たちでは不満なの?」 「そうよね、お兄様ロリコンですもの」 最後の一言にぶは、と吹き出すジュリオ。 たしかに、彼の探している少女は他の修道女たちよりも、なんというか、全体的に。 平たい。 「そうね、お兄様は膨らんだ胸やお尻には興味ないのよ…!」 「ああ、育ちすぎたこの胸が憎い!まるでメロンのようだもの!」 「あら、そんなこと言うんだったら私も背中から腰のラインにはちょっとした自信が」 修道院とはいえ、宗教画の一つや二つはある。 その宗教画というのは、たいてい裸で美しいポーズを取っている男、か女、という構図である。 それでもって、それを見た穢れなき修道女たちが、それを理想の姿とするのは当然であって。 そういう『美しい姿』こそが、神の寵愛を、そしてたまに訪れるこの金髪月目の青年の寵愛を得るのに必要なのだと彼女らは認識していた。 そして、ここにいる大半の修道女が、宗教画なんぞクソクラエ、なプロポーションの持ち主なのである。 節制の利いた生活と、適度な運動、そしてなによりも一途な信仰心が、彼女たちを美しく磨きたてていたのである。 実際どこぞのガンダールヴがジュリオと同じ状況になったら、前かがみで一歩も前に歩けなくなるだろう。 「ちょ、チョットマッテキミタチ?」 汗をだらだら垂らしながらきゃあきゃあと自分の身体自慢を始めた修道女たちに言い訳をしようとするジュリオ。 しかし。 幼女性愛はもちろん禁忌の一つなのであって。 「きゃあきゃあ、ロリコンよ!ロリコンがいるわ!」 「ロリコンのお兄様なんかさっさとジョゼットのところへ行けばいいのよ!」 「つるぺたは俺の嫁デスカー?へんたいさんはしねばいいとおもいまーす」 きゃあきゃあ騒ぎながら、修道女たちは中庭から逃げるように出て行く。 もちろんそれは、ジョゼットばかりに構うジュリオに対するきっつぅぅぅいあてつけなのだが。 ジュリオは半分泣きそうだった。 そんな彼の肩を、一人残った修道院長がぽんぽん、と叩く。 振り向いた泣きそうなジュリオに、修道院長は親指をびしっ、と立て。 「イキロ。セイネン。」 一言そう言って、すたすたと中庭から立ち去ってしまった。 「あ、あのーう…」 結局ジョゼットの居場所はわからずじまいで、ジュリオは中庭に立ち尽くす。 彼の風竜、アズーロが、ヒマそうにぶわ、とあくびをした。 ジョゼットはすぐに見つかった。 裏口から出て、断崖沿いに少し小道を歩いた先。 『秘密の場所』として、ジョゼットが教えてくれた、一本の樫の木の生えた、小さな原っぱ。樫の木の根元から広がる下生えは、もともとそういう草なのか、人のくるぶしほどもない。 断崖の小道を歩かなければ来られないため、ここにくる修道女はほとんどいない。 しかも夏ともなれば小道に虫が沸くので、用事もないこんな場所に来る物好きはいなかった。 小道を抜けると、ジョゼットは樫の木に背を預け、原っぱの入り口からは見えない位置にいた。 「探したよ、ジョゼット」 樫の木の脇から覗くさらさらの銀髪をひと房、ジュリオは手に取った。 「私の身体は髪のひとすじまで神のものです。触ると地獄に落ちますよ」 ぷい、と拗ねたようにジョゼットはそっぽを向く。 修道服に身を包んだ、背の低い、まだ成長途中の、銀髪の少女。 彼女がジョゼット。ジュリオが二週間に一度逢いに来る、ただひとりの女性。 ジュリオは拗ねたジョゼットを追い、もう一度その髪を手に取る。 「そして君はそうやって僕を地獄から救おうとしてくれるんだね。 優しいな」 言って、その髪に口付ける。 今度は、ジョゼットは抵抗しない。 「だって、お兄様が地獄に落ちたら、私も地獄へ行かないといけなくなっちゃう」 「どうして?」 「言わせるの?その先を!なんて意地悪!前言撤回!お兄様なんか今すぐ地獄送りになればいいのよ!」 怒った口調でそう言うジョゼット。 しかし言葉とは裏腹に、身体を翻し向かった先は。 広げられたジュリオの腕の中。 ジュリオの胸板におでこを押し当て、ぐりぐりと押し付ける。 ジュリオはそんなジョゼットの美しい銀髪を、今度は遠慮会釈なく撫で回す。 「ごめんな。待った?」 「待ってました。ずっと待ってました。すっごく心配しました…」 声に嗚咽が混じっている。 ジョゼットは泣いていた。 いかに外界と隔離されているとはいえ、教皇庁からの情報は入ってくる。 もちろん、ガリアとの聖戦のことも。 それに、助祭枢機卿で、さらには竜騎士であるジュリオが関わっていないはずなどなく。 さらに、本来の逢瀬よりも二週間も遅れたとあれば。 「怪我してないかとか…。帰って来れないのかもとか…。神の御許へ行ったのかも…とか…」 そこまで言ってしまい、声がくぐもる。 何度も反芻した悲しさを思い出し、ジョゼットの瞳から涙がこぼれる。 ジュリオは優しくその涙を指で拭き取る。そして優しく言った。 「ジョゼットを置いて、僕が神のところへ行くわけがないだろう?」 その言葉に、ジョゼットの心の中に暖かい気持ちが溢れてくる。 神に祈りを捧げるときにも勝るとも劣らない、慈愛の気持ち。 このひとが教えてくれた、伝えてくれた、世界の真実の一つ。 しかし安堵感に満たされるとともに、ジョゼットの中で不満が湧き上がる。 いけないこととは分かっていても。後で神罰が下るかもと思っていても。 それでも、ジョゼットは女の性で、その言葉を放たずにはいられなかった。 「…でも二週間も遅れた。連絡もなかった。すっごい心配した。 …お兄様のばか」 ぷう、とふくれっ面になって、ジョゼットはジュリオの腕の中でそっぽを向く。 涙はもう乾いていた。 そんなジョゼットを見て、ジュリオはそろそろ頃合かな、と思う。 「でも、今回は出迎えに来てくれなかったね?心配していたわりにはさ」 ジョゼットの細い顎をつまみ上げ、自分の月目を覗かせながら、ちょっと声のトーンを落として意地悪を言ってみる。 すると、ジョゼットは案の定慌てた。 「…だ、だって、何の連絡もなかったから! …じゅ、準備とかぜんぜんしてなくて!」 ジョゼットは、ジュリオと逢う前に必ずしておくことがあった。 それは朝の礼拝の際に神に許しを請うことから始まり、沐浴で身を清めて、洗ったばかりの修道服に袖を通して。そして。 しかし、それらの準備は、ジュリオの急な来訪のせいで、ほとんどできていない。 なんとか沐浴だけは済ませたものの、今着ている修道服は三日前に洗ったものだし、今朝の礼拝では神に許しを請うていない。 ジュリオが来ることを知り、慌ててこの原っぱで一人、聖印を握り締め、神に許しを請うていたのである。 準備、の単語に、ジュリオの目がすぅっと細くなった。 ジョゼットはこの表情をしているジュリオが苦手だ。 …こういう目をする時のお兄様、すっごく、イヂワルなんだもの…。 しかし、ジョゼットはその顔から目を逸らせない。 むしろ、その妖しい背徳感から、頬を染めてジュリオを凝視してしまう。 冷たい目のジュリオは言った。 「…ジョゼット、『準備』は君のためを思ってのこともあるんだよ?」 「わ、分かっていますわお兄様…。で、でも、アレはお部屋ではできなくて…。だ、だから、私、私…」 言い訳をしながら、ジョゼットはちら、とここへ持ってきた荷物のほうを見た。 樫の木の根元に、小ぶりな籐のバスケットが置かれている。 ジュリオの視線も、そちらを向く。 そして。 その頬がいびつに歪んだ。 …うわ。イヂワルスイッチ入っちゃった。 こういう嫌らしい笑い方をする時、ジュリオは悪魔のように意地が悪くなると、ジョゼットは知っていた。 しかし、そういうジュリオを知っているのは自分だけだと思うと、たまらない充足感で満たされるのだ。 だが、本当の事を言えば、あんまり意地悪はされたくない。 …だって、意地悪されると私…。 おかしくなっちゃうんだもの…。 あれはきっと神が神罰として自分の心に穿った楔に違いない、とジョゼットは思っていた。 そして。 ジュリオは、神に変わってジョゼットに神罰を下す。 「それじゃあ、ジョゼット。 今から『準備』できるかい…?」 「え!?こ、ここで…?」 「そうだよ。ジョゼットが修道院に戻ってする、って言うんなら話は別だけど」 ジュリオの言葉に、ジョゼットは耳まで真っ赤になる。 「だ、だめ、それだけはだめ!」 「なら、今ここで『準備』…できるね?」 「は、はい…」 仕方なく頷くジョゼット。 しかし、最後の『準備』をジュリオの目の前でするのは、最初のとき以来であった。 あの羞恥は、忘れようにも忘れられない。 今でも、時折夢に見て…。朝、下着を替える羽目になるのだ。 ジョゼットは観念して、バスケットに向かって歩いていき。 そしてバスケットを開く。 その中には、二本の、ジョゼットの二の腕ほどの注射器のようなものが入っていた。そのどちらにも、先端から、羊の腸を加工して作られた、耐水性の生白いチューブが伸びる。 一本の中身には青い液体がなみなみと満たされ、もう一本にはその半分ほどの、オレンジ色の液体。 それは、ジュリオが『初めて』の時にジョゼットに与えたもの。 自分に逢う前には必ず、しておくように指示した、『準備』。 ジョゼットは最後の希望、とばかりに涙ぐんだ目でジュリオを見つめる。 せめて、自分の方を見ないでいてくれれば…。そう思って。 しかし、ジュリオは原っぱにある手ごろな岩に腰掛け、ジョゼットをじっと見つめたまま、言った。 「それじゃ、はじめて」 ぐ、と息を呑み、ジョゼットはイヂワルモードのジュリオを恨めしげに見つめると。 「はい…」 観念して、原っぱの草むらの上にかがみ込む。 修道服を汚さぬよう、腰の辺りまでスカートをたくし上げて。 その下は。 下の毛すら生えていない、白磁のような下半身が、生まれたままの光芒を放っていた。 当然、ジョゼットはジュリオと逢う際に、下着などというものは着けない。 そう、彼が指示したから。 『僕との逢瀬の前に、下着は全部脱いでおくこと』 初めてのあと、それを誓わされた。 そしてジョゼットは、それをずっと実行している。 実際それはとても理にかなったことだと、ジョゼットは思っていた。 そして。 ジョゼットは『準備』をはじめた。 まず青い液体を満たしたほうを手に取り。 後ろの穴…。排泄を行う不浄の穴へ、生白いチューブの先端を持っていく。 初めてのときはジュリオにされ、そしてそれからは自分で行ってきた行為。 浣腸である。 ジョゼットはジュリオの目の前で、注射器に満たされた浣腸液を、自らの腸内に流し込んでいく。 「お、おにいさま、み、みないで…!」 羞恥のあまり、真っ赤な顔で、涙を瞳に貯めながら、ジョゼットは訴えたが。 「大丈夫。恥ずかしがることなんかない。君はすごく綺麗だよ」 ジュリオの言葉は、肯定を返していなかった。 続けろ、という意味だ。 きゅ、と唇を噛み、行為を続けるジョゼット。 すべての液体がジョゼットの小さな下半身の中に納まる。 すべての液体が腸内に収まったのを確認し、ジョゼットはチューブを抜く。 どろ、と腸内のモノと流し込まれた薬が混じる感覚が、ジョゼットを襲う。 そして、浣腸液に含まれた成分が変化し、熱を帯び始める。 それはたまらない拡張感を伴い、ジョゼットの肛門を襲う。 びく、びくとジュリオの前で屈んだままジョゼットの身体全体が震顫する。 …で、でちゃう…! 恐ろしいまでの排泄欲求が、理性の遥か上位となって身体を襲う。 浣腸液の成分が、ジョゼットの身体に強制的な排便を命じていた。 「お、おにいさま、おねがい、みないで、おねがい…!」 しかしジョゼットの最後の願いは、ジュリオの無言による否定で打ち砕かれた。 ぶりゅっ…。 肉の鳴る音。それはジョゼットの堰の決壊する音でもあった。 「いやっ、だめっ、だめぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 ぷしゃあああああああああ! ジョゼットの鳴き声とともに、真っ白な彼女の臀部の間から、濃紺の液体が飛び散る。 それは、先ほどの浣腸液と彼女の腸内にあったモノの混合物。 襞の隅にこびりついた宿便ですら溶かしだす強力な洗浄効果を持つ浣腸液は、彼女の体内で変化を遂げ、臭いを打ち消し、腸内を消毒していた。 そして、そこに含まれた成分が彼女の腸をありえないほどに蠕動させ、最後の一滴までをもひり出させる。 ぷしっ、ぷしっ…! まるで霧吹きのように最後の一滴までも肛門から吐き出し、ジョゼットは顔を覆って羞恥に耐える。 そして。 彼女の下腹部に宿る、熱い熱い熱い衝動。 腸が欲している。もうひとつの感覚。 排泄の快楽すらゆうに超える、背徳の快楽。 浣腸液を腸に満たした時に感じていた、あの快楽。 「ひ、く、ひっく…」 泣きながら、ジョゼットの目がもう一つの注射器に注がれる。 その中に満たされている、オレンジ色の液体。 その中身を、彼女はよく知っている。 それは彼女を惑わせ、よがり狂わせる魔法の液体。 これを入れると、彼女は『おかしくなって』しまう。 そう、分かっている。しかし、それでも、ジョゼットは。 愛する人の前で排泄する、という負の快楽に理性を侵されたジョゼットは。 その注射器を手に取り。そして。 もう一度、彼女は肛門にチューブを差し込む。 そして今度は躊躇なく、一気に液体を腸内へと流し込む。 それは、先ほどの青い液体とは異なり、酷い粘性をもって、腸内に満たされる。 肛門近辺の肉襞に容赦なく絡みつき、留まる。 ピンク色の、まるで生まれたばかりの赤ん坊のようなジョゼットの肛門が、白いチューブをもぐもぐと噛み締めていた。 「ふわ、ふわああああああ…」 羞恥に歪んでいたジョゼットの表情が、法悦に染まる。 理性が飛ぶ。 最初にジュリオに言われたことを、ジョゼットは思い出していた。 『これは、ご褒美なんだよ。最初の辱めに耐えた君に、神様が与えてくれるご褒美なんだ』 しかし、彼女はこれをご褒美だとは思っていない。 むしろ、これをすることで、彼女の心には大きな穴が開く。 渇望という名の、大きな穴が。 ジョゼットはオレンジ色の液体をすべて腸内に収め終わると、よたよたと樫の木に向かって歩いていき。 そして、ぺたん、と右手を樫の木に置いて。 お尻をジュリオに向けて突き出して、修道服のスカートに再び覆われた下半身を、左手でスカートをたくし上げてもう一度晒すと。 もうどうしようもなくなってしまった、『おかしくなった』自分の欲求を、金髪月目の青年に告げる。 「おにいさま…。ジョゼットのおしりを、ぐちゃぐちゃにしてください…」 最初、自分はこの欲求に襲われた時、どうしていいかわからなかった。 ジュリオはそんな彼女に、彼の肉棒をもって、解決法を教えてくれた。 お尻の穴を、彼のおちんちんでぐちゃぐちゃにしてもらう。 それは、彼女の人生の中で、最もすばらしい瞬間となって彼女を襲った。 襲い来る光の渦の中、ジョゼットは天国を味わっていた。 ジョゼットとて子供ではない。その行為が禁忌とされる『まぐわい』に近いものだとすぐに気づいた。 しかし。 ジュリオは言った。 『気持ちよくなることが禁忌なら、神に祈ることだって禁忌になってしまうよ』 その通りだと思った。 そして、彼は言った。 『そもそも男女のまぐわいは性器どうしを使ってするもの。 それ以外の場所を使うなら、君は汚れることはない。ジョゼットの聖域は、ここなんだから』 そして、ジュリオはジョゼットの下腹部を優しく撫ぜたのである。 ジュリオはジョゼットの言うまま、軽くズボンを下ろして彼女の後ろに立つ。 銀髪の修道女は期待に満ちたまなざしで金髪月目の青年を見つめ、、肛門に左手を沿え、粘液によって擬似的な粘膜の形成された肛門をくぱぁ、と開く。 「おにいさま。ご褒美ちょうだい。ジョゼットのお尻に、ご褒美ちょうだぁい…」 淫らに欲求を口にするジョゼットに、ジュリオは己の雄を滾らせながら、桜色に染まった白磁の臀部を抱え込む。 そして、ジョゼットに言った。 「だめじゃないかジョゼット。見返りを求めるのは、神の使徒として未熟だぞ」 注意されたジョゼットの理性が、ほんの少しだけ戻る。 そして、『おかしくなった』ジョゼットは応えた。 「ご、ごめんなさいおにいさま…。で、でも切ないの。ジョゼットのお尻、すっごく切ないのぉ…」 ジュリオはその言葉に満足そうに微笑むと。 「仕方ないな。今度からはできるだけおねだりしないようにするんだぞ?」 「うん、する、するからぁ。はやく、はやくぅ」 ジョゼットは上半身を支える右手を樫の木から放し、下半身とジュリオの手で身体を支え、今度は両手で肛門を引き伸ばし、ジュリオを誘う。 「ほんと、しょうがない子だなジョゼットはっ…!」 ジュリオも我慢の限界だった。 限界まで滾る一物をジョゼットの小さな穴に押し当て、一気に貫く。 ずぶぶぶぶぶぶぶぶぶ…! 重い肉の擦過音を立て、ジョゼットの肛門が啼き声を上げる。 それと同時にジョゼットの口から、涎と法悦の声が溢れ出す。そして彼女の聖域の入り口からは、蜜が溢れんばかりに湧き出していた。 「ふわあああああああああああああ…!」 ジョゼットの瞳から光が消え、獣が彼女の全身を支配する。 腰が勝手に前後に動き、括約筋がもぐもぐとジュリオの竿を咀嚼する。 ジョゼットの腰は、粘液によってあまりにもスムースに前後する。 強力な媚薬効果と殺菌効果のあるその粘液は、肛門近くで留まって、ジョゼットの肛門を性器に変えていた。 「ジョゼット、素敵だよジョゼット…!」 「おにいひゃま、おにいひゃまぁ…!」 熱に浮かされたようにお互いに呼び合う修道女と神官。 無理な体勢でジョゼットが舌を出しながら後ろを振り向くと、ジュリオがその舌を唇で吸い上げる。 ちゅるちゅると互いの粘膜を絡ませる音が獣の啼き声の代わりに響き、そして粘膜を擦過するぶじゅぶじゅという淫らな音が原っぱに響く。 やがて二人の交わりは徐々に深さを増していく。 もっとも深い部分、腰と腰が限界までぶつかり合う部分までジュリオが進むと、肉の振動がジョゼットの卵巣を揺らした。 「ふわぁん!」 虹色の衝撃に思わず舌が離れ、ジョゼットは甘い鳴き声を上げてしまう。 夢中で雌の舌を味わっていたジュリオはふとわれに返り、ジョゼットにいつもの質問をする。 「どうしたんだいジョゼット?」 ひくひくと全身を震わせ、今にも崩れ落ちそうな膝をかろうじてジュリオの男根と腕で支えられながら、ジョゼットは応えた。 「い、いま、てんごくが、みえまひた…。おなかのなか、ぶるぶるってしまひたぁ…」 舌を垂らし、完全に理性の消えた目で応えるジョゼット。 もうその顔には規律を重んじる修道女の面影など微塵もなく。 快楽を貪ることだけしか考えられない、一匹の雌となっていた。 くす、とジュリオは嗤う。 それは心優しい青年神官の笑みではなく。 雌を従える喜びに目覚めた、一匹の雄の顔であった。 「ふふ。それならもっと見せてあげるよ。神の国を…!」 言って、ジュリオは激しく腰を使い始める。 その言葉と行為に、ジョゼットは首を振って答えた。 「いや、いやぁ!ひとりでいくのはいやぁ!お、おにいさまもいっしょじゃなきゃイヤぁ!」 甘えるような鳴き声に、ジュリオは腰の速さ一切緩めずに応えた。 「あ、ああ、もうすぐっ、もうすぐだっ、僕も、僕もいくよっ」 「あっあっあっあっ、うれひっ、いっしょ、ずっといっしょよ、おにいさまとわたし、ずっと一緒なのぉ!」 ジュリオの声に応えるようにジョゼットは上半身を起こして捻り、身体を折り曲げているジュリオの首に絡みつく。 そして、二人は舌を絡ませながら唇を重ね。 きゅううううううーっ!ぷしゃあああ…。 どくどくどくどくっ! ジョゼットの括約筋が、肛門と一緒にからっぽの膣道を締め上げ、潮を吹き。 ジュリオの男根がジョゼットの腸内で吼え、白濁液をジョゼットの腸内に撒き散らしていた。 行為が終わった後のジュリオは、とても優しくてジョゼットは大好きだ。 特に、こうして彼の胸に抱かれて、脱力している時間が最も至福の時間といえた。 原っぱの隅の岩に腰掛けたジュリオの上で抱かれ、ジョゼットはいままさに至福の中にいた。 「ああそうだ、今日はジョゼットにプレゼントがあるんだよ」 思い出したようにジュリオは言って、ジョゼットの指にサイズの合わない、土色の宝石のはまった、みすぼらしい指輪を嵌めた。 それはあっという間にサイズを変え、ジョゼットの指にぴったりになる。 「これ・・・魔法の指輪ですか…?」 驚いたようにその指輪を見つめるジョゼット。 そんなジョゼットに、ジュリオは微笑んで言った。 「目の利く僕のアズーロが、戦場から持ち帰ったものでね。 ジョゼットに似合うだろうと思って、持ってきたんだ。やっぱり、よく似合ってる」 そう言って優しく微笑むジュリオに、ジョゼットの胸が音を立てて鳴る。 嬉しい。 その単語がジョゼットの頭の中を埋め尽くす。 しかし。 そのほんの隅っこ、『女』としてのジョゼットの本能が、彼女にある閃きを授ける。 それはある意味天啓といえた。 ジョゼットはわざとふくれっ面になり、立ち上がると、ジュリオに言った。 「…やっぱり、お兄様は私のこと地味な女だって思ってるのね」 「へ?」 ジュリオの目が点になる。 …アルェ?聖下の言ってたことと違うぞ? 『女の子には指輪をあげればイチコロですよ』とかって…。 ジョゼットは呆けるジュリオに指を突きつけて言った。 「だってこんな地味なデザインの指輪! 宝石も土気色だし!失礼しちゃう!」 「え?まってジョゼット?」 慌てて言い訳を考えるジュリオだったが。 「あー、こんなところにいた!」 「院長がお呼びよ、もうすぐお昼ですって!」 シスター達が数人、原っぱの出入り口にやってきた。 いつまでも姿を見せない二人を、探しにきたのだろう。 仲間たちの姿を見たジョゼットは、ふと思いつく。 「ねえきいてみんな、お兄様ったら私に指輪をくださったのよ!」 そして、シスターたちはまるで図ったように同じような反応を返したのだった。 「わ、本当!なんてこと!ああ妬ましい妬ましい」 「やっぱりそうなのね!お兄様はロのつく趣味の人なのね!」 「へんたいさんはしねばいいとおもいまーす」 「ロリコン乙」 罵倒されまくり、しどろもどろに言い訳を繰り返すジュリオを見ながら、ジョゼットは心の中だけで舌を出し、思った。 …これで、少しは意地悪を直してくれるかしら?私の、私だけのお兄様は…。 結局、それ以来、ジュリオはセント・マルガリタ修道院で『ロリコンのお兄様』と呼ばれるようになるのである。〜fin