書斎にて、ヴァリエール公が到着した書類を読んでいると、扉が開いて妻が入って来た
「あなた」「…」
酒を片手に読んでいる。その姿に妻はピンと来た
「戦場からですか?」「まあな。あちこちに忍ばせておいたが…駄目だ。攻勢限界点に達した。退かざるを得ん」
そう言ってヴァリエール公は書類を投げ出し、椅子に深く座る
「ルイズは大丈夫でしょうか?」「お前の初陣年齢と変わらん。あの虚無の使い魔が居る限り、死ぬ事は無いだろう」
カリーヌは目を見張る「虚無?あの伝説の?」「あぁ。奴のルーンを見て、久し振りに古い文献を全てひっくり返した。全く、トリスタニアに迄出向いて王立図書館で文献漁りは流石に骨が折れた」
そう言って肩をわざとらしく揉んで見せる。そう、以前のヴァリエール公は、調べ物の為にトリスタニアに滞在していたのだ。暗殺騒ぎは、本題では無かったと云う訳だ。本目的のついでの些事に過ぎなかった訳である
「では、ルイズは?」「伝説の虚無、と言う事だ。ルイズには言うな。嘘を吐いたお仕置きせねばな」「はい」
夫の言い分に妻はクスリとする。この夫がそんなキツイお仕置きが出来る訳が無いのは、十二分に知っているからだ
「ま、あなたはそんな事出来はしませんもの」「馬鹿を言うな。俺だってお仕置き位出来る」
「嘘吐きですね。だって、あなたが女のコに手を上げられないのは、私が一番知ってます。あなた、戦場と訓練を除いて、私にすら手を上げた事無いじゃないですか」「むっ……」
思わず詰まってしまうヴァリエール公。カリーヌは夫の鼻に指をチョンとつつき、悪戯を見つけた子供の様に目を輝かせる
「嘘を吐いたらお仕置きですのよね?」「…そうだな…」
「では、嘘吐きちゃんには、オシオキです」そう言いながら、夫の股間に潜り込む妻。ファスナーを下ろして、彼の息子を露出させる
「あらあら、サンドリオン君は、オシオキされたいのかなぁ?」彼の息子に話しかけつつ、ぺろりと舐め上げ、びくりと反応するのに気を良くする
「サンドリオン君たら、オシオキされたがってますねぇ。悪い子ですねぇ」舐めつつ、ぴとぴと指で振ってほっぺに当てて、むくむくと大きくなった
「サンドリオン君たら、オシオキで元気になるなんて、本当に悪いコなんだから」「…頼むから、そいつに話しかけるの止めてくれ」
「んっふっふっふっふ」楽しそうに夫に乗り上げ、スカートを捲って腰を沈める
笑顔のまま繋がり、妻の方から腰をうねらせ、夫は快楽に顔を歪める
「おっ、手加減」「オシオキなんですから、駄・目・で・す」
悪戯っぽく妻が笑い、堪らない夫が尻を掴んで自分に引き寄せ痙攣する
「うおっ」
夫の痙攣に気を良くし、耳元に唇を寄せて囁いた
「あらあら、サンドリオン君ったら、我慢が出来ない悪い子ですねぇ。更にオシオキが必要みたい」
夫が見た妻の顔は妖しく笑っている、夫は覚悟を決めて妻を抱え上げてベッドに向かった

*  *  *
「……」
報告書片手に沈思している中年の男は、暫くすると溜息を吐いた
「…ふん。まぁ、ここいらが限界か?」
議場には、ヒンデンブルグ中央伯、リューネブルグ公爵、現ブラウンシュヴァイク公(アルブレヒトの息子)、ツェルプストー辺境伯、各閣僚に軍の司令官。影響力の高い皇帝三家にツェルプストー辺境伯に代表される封建貴族。ゲルマニアと云う広大な国土を維持する為の人材が勢揃いする様は圧巻である
「今回貴卿らを呼んだのは他でもない。対アルビオン戦に於ける今後の展望だ」
皇帝とて、全てを中央政府の施策のみで運営出来るほど、ゲルマニアの施政は安定してない。いわば、独立した地域が寄り集まり、地域事が独自の政策を行う、アメリカ合衆国の政治姿勢を封建貴族が行っている形が、ゲルマニアの国を形作っている
「では、全員手元の資料は読んだな?軍からは?」
言われて、元帥のモルトケが立ち上がった。モルトケは平民で元帥に迄上り詰めたゲルマニア軍人で、貴族叙勲を一切断り、一平民のままと云う、変わり種の軍人である
「は。では報告です。既に配った資料に有る通り、補給と、援軍の要請がハルデンベルグ候から届いており、更に中央政府の今回の寡兵は、戦力逐次投入の愚を犯していると、正式に批判しております。総司令部としては、ハルデンベルグ候の判断を支持せざるを得ません」
「全くだ。やるなら勝て」発言したのは、リューネブルク公だ
「では、逆に聞こう。全軍投入して勝てたか?」「無理ですね」
あっさり、肩を竦めて認めるモルトケ。更に主張し始めた
「だからこその、積年の敵たるトリステインとの軍事同盟ではありませんか?一国だけでは、他国と対抗出来ぬとの判断でしょう?」
閣僚から首肯され、我が意を得たりと更に主張しようとした所に、挙手で発言を求めた者が出た。アルブレヒトが指名する
「ツェルプストー伯」指名されて立ち上がり、モルトケの代わりに発言台に立つ
「軍総司令の意見は尤もだ。但し、アルビオンにのみ対抗する…と言った点に於いては、と、注釈を付けざるを得ん」
議場を見渡し、注目している者、欠伸を噛み殺す者も居る中、更に言葉を重ねる
「矢面に立ってるのはトリステインだ。この点に付いて、総司令の意見に違いは無いか?」
問いに軽く頷くモルトケ。ツェルプストー伯は言葉を重ねる
「では、今回の出兵で、被害を主に負っているのはトリステイン。補給もトリステインが行っている。この点に付いて異論は?」「無い…ですな」
ツェルプストー伯の言葉にモルトケが首肯する
「あくまで軍人の本分から外れぬ様にしているのは、尊敬に値する。だが、今回の件に付いては、外交戦略が絡んでいるのは疑い無い。我らのゲルマニア皇帝アルブレヒトは、アルビオン戦を奇貨として、トリステインの国力を削ぐことを目的にしているのでは無いか?」
ツェルプストー伯がアルブレヒトに視線を向け、大きく頷いた
「ここからは儂が言おう。ツェルプストー伯、下がってくれ」
言われてツェルプストー伯が下がり、アルブレヒトが発言台に立った
「諸卿も、積年に渡る敵国であるトリステインとの同盟に反対してる者も多かろう。実は、儂とてそうだ」アルブレヒトが言って、議場が笑いに包まれる
「トリステインは小国でありながら中々に厄介な国だと云うのは、卿らも承知している事実だ。で、今回は別の方法でアプローチする事にした。そもそも、この事を思いついたのは、当時まだ王女だったアンリエッタの婚姻話が、トリステインからもたらされた事に始まる」
一息ついて、更に繋げる
「始祖ブリミルの虚無の血統。この導入はゲルマニアの正統性を高め、トリステインを我が国の一部に併合する好機だったのは、諸卿も知っておろう?だが、事態はアルビオンの横槍で頓挫し、アンリエッタは女王になったしまった。全く、人の世はかくも予測がつかん」
そう言って肩を竦め、更に繋ぐ
「で、同盟の使い途を儂なりに考えてみた。なかなかしぶといトリステインを、とにかく疲弊させる。この点に尽きるのではないか?つまりだ、トリステインを、我がゲルマニアの盾として、アルビオンやガリアに、血を流させて対抗させる訳だ」
トリステインを気に入らない多数派の貴族達が、眼を爛々と輝かせ始めたのを、アルブレヒトが見回し、笑みを浮かべる
「分ったか、諸卿。トリステインに多少の便宜を図りつつ、肝心の部分はトリステインに出させて、とにかく疲弊させる。小国の奴らは、我らと同じ出血だとしても、早く血が尽きる。地味だが確実に消耗するぞ?さすれば、労せずトリステインが手に入る」
ゲルマニアがトリステインに対する侵略を止めないのは、ガリアの首都直通行路とアルビオンの玄関口が欲しいからに他ならない。トリステインが居ると、関税が掛けられて、上手い具合に行かないのだ。正に目の上のタンコブである。つまり、戦略としては、最上がトリステインの併呑。次善が、ゲルマニアへの非関税障壁を設定出来れば良いという形になる。ヴァリエールとツェルプストーが積年に渡って殺し合って来たのには、正に互いが国の戦略上、最前線基地としてきた歴史による
結果、歴戦で能力の高い者しか生き残れず、ヴァリエールとツェルプストーは、傑出したメイジを輩出する様になった訳だ
「仮に奴らが上手く立ち回って想像以上の強国になるなら、同盟を堅持すれば良いし、こちらの思惑通り疲弊するなら、予定通り飲み込めば良い。現在の国家戦略としてはこんな所だ。卿らの中にはじれったいと思う者も多いだろうが、正面からぶつかると意固地になるのは人の常。先帝が戦争主導で出来なかったのだから、儂はやり方を変えてみようと思う。異論は?」
トリステイン強硬派たるリューネブルグ公とヒンデンブルグ伯は嫌な顔をしながらも首肯し、支持をして見せる
そもそも皇位継承戦役の発端は、トリステインに対する外交姿勢に因る所が大きい
この件は、また内戦に繋がりかねない微妙な問題なので、封建貴族達を招集したのである
「決を採る。現在の外交政策に反対の者は起立してくれ」
アルブレヒトの声に、起立する者は居なかった。巧い手である。決めかねてる者達に、消極的賛成をさせ、逃げ道を用意して見せたのだ。伊達に皇帝では無い
「全会一致を得られた様だ。モルトケ、軍の損耗はゲルマニア国家戦略の尊い礎である。既存の戦力でやりくりせよと、ハルデンベルグ候には伝えよ」
こう言われてしまっては、モルトケは踵を揃えて敬礼するしかなかった「ヤー」
そもそも、軍は勝つのが目的ではない。政略を完遂する為の手段でしか無い。つまりは道具である。目的が達成するなら、敗北も有りなのだ
軍の辛い所である。部下を外交の道具に使われるのを内心苦々しく思いながら、モルトケは一切顔に出さなかった

*  *  *
才人が目を覚ますと、また天幕の中だった。魔法ランプが天幕内を照らし、傍らでギーシュが才人を心配そうに見ている
「あつつ…どの位寝てた?」「まだ当日の夜だよ。あれから進軍して、天幕の位置も変わったけど」
「そうか…」
むくりと上体を起こすと、包帯が巻かれているのに気付き、試しに触れてみるが、ぴりぴりする程度だ。疲労はともかく、明日には動ける状態になるだろう
「軍医にさっき来て貰って、治癒掛けて貰ったんだ。学院の治療士だったよ」「へ〜。こんな所で顔合わせるとはね」
それだけ、メイジの使い手が少ない証でもある。流石に病み上がりの才人には、そこまで考える余裕は無かった
「ルイズの方は精神力切れで目を回してるから、安静にしてればいいって」「ああ」
才人は言いながらルイズを見ると、別の毛布にくるまれて髪の毛だけ出て寝かされているのを見て、クスリとする
「何で簀巻きにしてんだよ?」「風邪ひかせない為だよ〜」
そっぽを向いて嘯くギーシュに才人は苦笑し、ギーシュが毛布を捲って入って来る
「んふふ。やっぱり才人は良いなぁ」「そうか?」「うん、安心する」
言いながら、毛布の中で上着とズボンを脱ぐギーシュ
「歩哨は?」「隊員が交替でやってるよ。僕はメイジと言う理由で免除。魔力の回復は隊の生命線だからね」
言いながら、笑みを浮かべて才人に跨り、重なりながら両手を頬に持って行き、才人の顔を自分に固定させる
「ね?」軽く言うとキスを重ね、包帯とパンツだけの才人に、下着姿で股間を擦り付け、才人が一気に硬くなるとギーシュは手を伸ばし、下着をずらして濡れ濡れな自身に案内し挿入する
「ん、ん〜〜〜〜!?」音にならない音が出、ギーシュが才人に抱き付き、ビクビク震え、そのまま才人の唇を貪る。たっぷり堪能すると、ちゅぴっと音を立てて離れる
「…欲しかった。ずっと…欲しかった。ん…」
久し振りの感触は、非常にきつくなっていて、絞り上げる様に吸い付いてくる
唇は、熱中したギーシュに塞がれ、更に頭に手を回されて固定、才人は我慢出来ない事を伝えようとして止め、代わりにギーシュの尻を両手で掴んで突き上げ、我慢出来ずに出してしまう
才人がビクビクすると、一緒にギーシュもビクビクし、お互い余韻に浸った
お互い汗臭い。だが、それが良い。やっと唇を開放したカトリーヌの顔は、完全に染まっていた
「今夜は離れちゃ駄目。動かなくて良いから、ずっとお願い」
言いながら腰をくねらせつつ才人を締め上げ、才人が頷き、ギーシュがまたキスを始めて、無言で静かな、だけど二人だけには熱い夜の帳が、官能の息と共に静かに降りて行った

*  *  *
アルビオン近海を雲の下で悠々往く戦列艦隊は、150メイル級の巨大帆船だった。ロイヤルソブリン級よりは50メイル程小さく、ゼロ級と同程度だが、全幅は翼のせいで、ゼロ級の方が大きい
識別国旗はガリアであり、ガリアの誇る最新魔法技術で武装した両用艦隊である
「司令、哨戒網には引っかかっていない模様です」
部下の報告に、両用艦隊総司令のクラヴィルは、満足げに頷いた。無能王ジョゼフは、自身の指示に忠実に従う事を要求する
クラヴィルは、忠実な点に於いて有能で、職業軍人の鑑と言える。が、逆に言うと、指示の無い事には考える事をしないタイプで、典型的なイエスマンタイプと言えたが、ジョゼフには使い易い人材であった為、艦隊司令までに上り詰める事が出来た
チェスの駒が勝手に動いたら、指し手は非常に困るのだ。ジェラールみたいなタイプでは、決して出世出来なかっただろう
両用艦隊の利点は、水空両方に艦隊が運用出来る事であり、海上運用で風石の消費を抑え、必要な時には離陸する。係留は水上で行えば、艦隊重量をさほど気にする必要も無い為、効率的な運用が可能な、ガリア最新鋭艦隊だ
その分、乗員は、水空での艦隊運用を習得せねばならない為、訓練に時間が掛かるのが欠点である
ゼロ級と同じ悩みが両用艦隊の欠点なのだが、就航がゼロ級よりずっと早い為、乗員は訓練時間を存分に取れており、運用に問題は無い
「このまま進むぞ。陛下の用意した舞台に遅れるな」「ウィ」
双眼鏡片手にクラヴィルが言い、部下が寒い潮風の中、敬礼した

*  *  *
ギーシュ達第二鉄砲中隊は、翌日も制圧任務に繰り出し、着々と勢力範囲を広げていた
抵抗は有るのだが、散発的で排除は容易であり、ギーシュとニコラが嫌な顔をする
「…この感じ、嫌だね。あの時みたいだ」「ですな。警戒を厳にしましょうや」
才人は斥候兼突撃手として単騎で突出し、ルイズは本気の才人の行動には随伴出来ない為、隊長のギーシュと行動している
ルイズは、ギーシュ達の嫌な感じが判らず、心配そうに二人を見ていた
一方、才人は自身の前進に中隊の隊員を数名後に置き、一人突き進んで行き、デルフの警告が響くとすかさずコンパウンドボウを構え、目標に向かって弓を放った
目標に命中し、断末魔の悲鳴が響く
「ぴぎぃぃぃぃぃぃぃ」
ガンダールヴを消耗する為、ずっと持てない才人は、弓を背中のデルフの鞘に03式と一緒にしまえる増設したラック(ギーシュ製)に仕舞い、絶命した人に向かって歩いて行き、死体を見て唸った
「こいつ、オークだが小さいな?」「相棒、オークの子供だ」「…子供?」
才人が唸っていると、追い着いた隊員が死体に向けて、思い切り唾を吐いたのだ
「アルビオンの糞野郎。噂は本当だったのかよ。ここら辺に、オークの巣が有る」
「オークの巣?」「ああ。絶対潰すべきだ」「場所は?」「悪臭辿れば解る」
才人は言われて匂いを嗅ぎ、流れて来る方角に向けて走り始めた。才人が走り始めると、付いて行けない隊員が叫ぶ
「おい待て兄ちゃん!一人は危険だ!」
駆けて行く才人はデルフに向けて言い放つ「デルフ、頼むぜ」「あいよ」
デルフが警告すると、伏兵に向かって投げナイフを投げて、一気に駆け抜ける才人。駆け抜けた背後で呻き声が聞こえ、更に置いてけぼりにされた兵が、トドメに銃剣を突き立てる
才人は悪臭の漂う中を駆け、遂に見付けたのだ
少々開けた所にぽつんと天幕が有り、周囲には野営の痕が残っていて、アルビオン軍が駐屯していた事が窺え、撤収した証で有る
「撤退してるな」「だあね」
才人が一つ残っている天幕に近づくと、中から女の調子外れの笑い声と、豚の様な鳴き声が聞こえて来た
<きゃはははは><ぴぎ>
才人は、デルフを一旦握り、すぐに離す。そのまま天幕に入ると、息を呑んだ。悪臭を放っているのは、オークだけでなく、女達も同様、と言うか、寧ろ女の方がキツイ
女は四つん這いになり、オークの赤子が乳房に吸い付きながら、先程の子供と同じ位のオークが、必死に腰を振っている姿が、至る所で繰り広げられていた。才人に対して気にも留めない
女の腹は、妊娠している者が多く、正に繁殖場だ
「何で…一緒に撤収させない?」「所詮オークなんざ使い捨てって事だろ?奴らは女居りゃ不満も出さないしな」
才人が顔を顰めていると、デルフが注意を促した
「相棒、左手見てみろ」「…」
才人が見ると、女の一人が股を開いて唸っていて、陰唇が開いて豚の耳が出始め、するりと生まれ、人間の女が亜人の子を産む姿に、衝撃を受ける
更に驚くべき事は、オークの赤子は、自力で瞬膜を破ると、ピギピギ泣きながら、這って母親の乳首に辿り着き、自力で飲みだしたのだ
人間の赤ん坊とは、成長速度が違い過ぎる。更に驚愕の事態が起きた
産んだ女にオークが寄り、股を開いたままの女に挿入し、女も当たり前の事として受け入れたのだ
「なん……なんだよ……」「…相棒。オークに犯された女は、オークの牝になる。姿形は人間かも知れねぇが、此処に居るのは、全員オークだ」
才人は、手近な交尾してる若いオークの首にデルフを突き立てた
「ぴぎっ」
一声断末魔を上げて倒れるオーク。ビクビクと痙攣しながら男根が抜け、精をビクビクと放っている。四つん這いで交尾していた女が突然の変化に気付いて振り向き、才人の姿を確認して見せた表情は、助かった上での安堵では無く、心の底からの憎悪の表情である
「何てことしてくれてんのさ!!私の子供を殺してんじゃないよ!人間は出て行け!」
「君の…子供?」才人は固まってしまう。腹の大きな、オークの母親と言った女性は、すっかりぼろぼろの髪を振り乱して、断末魔の痙攣をしているオークに擦り寄ったのだ
「おぉ、ゴメンよう坊や。もっと、気持ち良い事したかっただろうに。何、大丈夫さ。直ぐに生まれ変わらせて上げるからねぇ」
言いながら、顔を寄せて優しく微笑むと、そのまま虫の息のオークに齧り付き、才人は声も出せずに見てしまった
「ぎぃっ」オークが更に痙攣し、構わずに女が肉を齧り付いて咀嚼し、ごくりと飲み込む
「ほうら、坊やは今、このお腹に宿ってるから、今の坊やは、全部食べて上げるからねぇ」
慈愛か?狂気か?才人には全く判断がつかない
「…見たか、相棒。だから、オークに犯された女は、オーク事処分する。二度と人間には戻れねぇ」「…」
そんなに使っていない状態でデルフを握っていたにも関わらず、ガンダールヴのルーンは光を放つのを止めてしまった
「相棒、全員楽にしてやれや。最低な人間こそが出来る、正に最低の汚れ仕事だぜ」
才人は無表情に、デルフを鉈の様に振り始めたのだ
どれ位振っていたのだろう?子供や若いオークでは、ルーンすら凍りついた才人ですら軽く狩る事が出来、女達は一切抵抗しなかった
殺され方は、子供を庇っている様であり、憎いオークを才人に突き出してる様でもあり、判断がつかなかったが、才人は目の前に動くもの対して振い、死体の山を量産して行った
追い着いた第二中隊の兵がやっと天幕の中に入ると、凄惨な屠殺作業に口元を押えて出て行ってしまい、二度と入って来なかった

*  *  *
「ちょっとちょっと、何で入れないのよ?」「あぁ、駄目だ駄目だ駄目だ。隊長にお嬢ちゃんは絶対駄目だ」
本隊が追い付いて、ニコラが報告を受けて中に入り、口元に手を押えて出て来て、ルイズの抗議に否を出す
「何でよ?サイトが中に居るんでしょ?通してよ!」「絶対駄目。もうすぐ終わるから、待っててくんな」
完全にとうせんぼするニコラに、敢然と食って掛かるルイズだが、ニコラは頑として首を縦に振らない。そんな中、才人が全身を返り血と悪臭に染め、天幕から出て来たのだ
「…」「兄さん、お疲れさんだ」「…」
才人は返事をしない。才人の表情が凍り付いているのを見て、ルイズは恐る恐る聞いてみる
「何をやってたの?」「…オークの屠殺。雌雄100匹程」
才人はそう言うのみで、後は何も言わずに歩いて行き、洗浄用の浄化の掛かっている魔法水を貰う為に、隊の補給物資の方に歩いて行く
ルイズは答えを聞いて首を捻る
「ちょっと、オークに牝なんか居たっけ?」「あぁ、兄さんの言ってる事は正しい。ありゃ、確かに雌雄だ」
ニコラの返事に更にルイズは首を捻ったが、ギーシュは何を言いたいか理解し、心配げに才人に視線を移したのである

*  *  *


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