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契約(その12) 痴女109号氏
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「サイト」
タバサの声と同時に、、再び少年は、その黒髪を掴まれた。
ルイズから逸らした視線を、再度、眼鏡少女に無理やり修正されてしまう。
才人は、膝立ちの姿勢から、俯いていたはずの上体をタバサに引っ張り上げられ、胸すら張ったような体勢になっていた。無論、その股間にはアンリエッタがかじりつき、左の乳首にはティファニアがくっついている。
「ルイズをよく見なさい」
タバサが、残忍極まりない言葉を吐く。
「んふふふふ……」
シエスタが、まるで初めてのカエルの解剖に胸躍らせる子供のような表情で、ルイズを見下ろす。
「ねえ、怖いですか? あなたの『初めて』は、愛しのサイトさんじゃなく、このわたしなんですよ? ねえ、どうなんです? ミス・ヴァリエール?」
「しっ、シエスタ……やめて……いいから、もう、正気に戻りなさい……っ!?」
「おかしな事を仰るんですのね。わたしは、最初から正気ですよ?」
つぷり、という音がして、張型の先端が、開脚姿勢で固定されたルイズの股間に潜り込む。当然の事だが、恐怖で泣きそうになっている少女の陰部は、一滴の愛液すら分泌していない。
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「あなたは、サイトさんを独占した報いを受けるんです。ミス・ヴァリエール――いいえ、“ルイズ”」
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ルイズの顔色が、変わった。
かつてルイズは、シエスタに呼び捨てにされた経験はない。
彼女たちは、互いに“友情”に近い感情を抱き合ってこそいたが、だからといって貴族を呼び捨てにするほど、シエスタは慎みのない女ではなかったし、また、才人以外の平民に呼び捨てを許すには、ルイズの気位は高すぎた。
だが、この場合は違う。
ルイズは、はっきりと悟った。
眼前のメイドの中で、自分を見る意識が、明確に変わってしまった事を。
「シエスタ……!!」
「シエスタ……? なんですか、その口の利き方は?」
かつて、自殺しようとした自分を、身体を張って食い止めてくれた少女。
「今の自分がどういう立場か、まだ分からないんですか、……“ルイズ”?」
同じ部屋で時間を過ごし、、同じベッドでともに眠った少女。
「“ミス・シエスタ”でしょう?」
互いに、才人を奪い合う恋敵同士ではあったが、それでも同じ男を想い合うシンパシーさえ感じていた、そんな少女が、――いま、歪んだ笑みを顔に貼り付けて、酷薄な目を自分に向けている。
「『お願いですから止めてください、“ミス・シエスタ”』でしょう?」
「やめろぉっシエスタぁっ!! ルイズに、ルイズにだけはっっっっ!!」
タバサに髪をつかまれ、視線を固定された才人が、血を吐くような叫び声を上げる。
だが、その声は、シエスタの中の憎悪を掻き立てるだけの役割しか果たさなかった。
「――あなたさえ、あなたさえ、いなければぁっっ!!」
シエスタは、眼前で震える少女の股間に、張型を一気に埋めた。
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「ひぎゃあああぁぁぁぁぁぁっっっっ!!」
肉を引き裂かれる激痛と共に、ルイズの絶叫が、大聖堂に響き渡った。
彼女の“処女”は、この瞬間、ハルケギニアから姿を消した。
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「…………っっっっ!!」
才人は唇をかんだ。
おれのせいだ。
おれのせいで、とうとうルイズをこんな、酷い目に遭わせてしまった。
もしもおれが、最初にシエスタの要求を、毅然と拒んでいれば、――ルイズにこんな悲惨な叫びを上げさせる事もなかったのだ。
そして、その思いを裏付けるような流し目を、シエスタが才人に送って寄越す。
(まだですよ。まだまだこれからですよ)
彼女の視線がそう言っている。
いや、そう訴えるのは、目だけではない。
シエスタの腰が――そのショーツに固定された張型が――ゆっくりと動き始めた。
「いだい!! いだいいだいいだい!!! やべてジエズダ、おねがいだからもうやべてっ!!」
あまりの激痛にルイズの舌は、もはや機能しなくなっているのだろう。発音がところどころおかしくなっている。だが、当のシエスタは、その激痛に歪んだルイズの顔を、うっとり眺めながら、……その前後運動は、さらに激しくなっていく。
「ルイズ!! ルイズ!! ルイズぅぅぅっっ!!」
才人の目からは、もはや自分が嬲られているという快感は消えていた。
そこにあるのは、愛する花嫁を守りきれなかった自分への怒りと、悔恨のみ。――不思議とシエスタに対する怒りは沸かなかった。
しかし――だからと言って、愛する女が悲鳴をあげる様を、黙って見ているのは、彼にとっては、あまりに辛すぎた。
だが、自分たちを無視して、ルイズのみを気にかける才人の言動は、やはり彼女たちにとって愉快ならざる事だった。
ティファニアは、彼の乳首から口を離し、不安げにタバサとアンリエッタを見回す。
タバサは、そんな彼女の目を見ても表情一つ変えなかったが、アンリエッタは、むしろ逆上した。
「サイト殿……すこし、騒がしいですよ!!」
そう言いながら女王は、才人の股間から顔を離して、不満げに彼の鼻をつまんでしまう。
「あなたに出来ることは一つだけ。――ただ、最後まで黙って、ルイズを見続ける事だけです!!」
そう言い放つと、アンリエッタは眼前で口を開いたまま、魚のように呼吸困難になった少年の、そのブザマな唇に吸い付いた。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!」
そして、従姉妹の穴を埋めるように、才人のペニスには、今度はティファニアがむしゃぶりつく。無論、その目に浮かんでいる不安は、払拭されてはいない。だが、彼女としてももう、こうなった以上は、この空気に従うしかなかった。
だが、この宴の企画者――タバサは、あくまで冷静だった。
やぶれかぶれのノリで、才人の舌を凌辱するアンリエッタの頬を撫でると、
「やりすぎ。このままだと窒息する」
と、そう静かにアンリエッタをたしなめた。
そう言われては、さすがに興奮しきった彼女の瞳にも、ささやかな理性が戻るしかない。
アンリエッタは、銀色の唾液の糸を引きながら、“花婿”の唇を解放する。
「す……すみません、つい、……」
そう言いながら。
だが、タバサには分かっていた。
彼女も不安なのだ。その従姉妹のハーフエルフと同じく。
才人の怒りが、もし自分たちに向けられたら、――それこそ彼を手に入れるどころではない。少年は自分たちを決して許さないだろう。自分たちがやっている事は、常識的には、絶対に許されざる行為なのだから。
だからこそ反射的に、そんな腕づくで彼の口を封じるような暴挙に出てしまったのだ。
しかし、タバサは知っている。
少年が真に欲しているものの正体を。
それは断じて、安っぽい愛や道義ではない。
……ごりっ。
「っっっっ!!」
才人の肛門に埋め込まれたタバサの触手が、再度行動を開始した。
この触手は、以前タバサが学院内の情事で使用した物より、性能が一枚上の物らしく、本体から無数の細かい枝状の繊毛が分岐し、直腸粘膜に侵入すると、彼の神経に直接、薬液を注入する。
――彼の神経感度を、更に数倍に上昇させる媚薬を。
わずか数グラムの量ではあったが、それで充分だった。直腸粘膜の吸収性は、胃粘膜のそれを遥かに凌駕する。
そして、薬物注入から数秒後、その反応は顕著に現れた。
才人の瞳に、眼前に展開するルイズの『処女喪失ショー』を見る苦悶とは別種の、内なる衝動を堪えるような光が、またしても灯り始めたのだ。
「サイト」
タバサが、少年の耳朶を甘噛みする。
肩で呼吸しながら、荒い息を吐きつづける才人が、びくんとその身を震わせる。
「感じなさい」
彼の耳の穴に、、ぬっとり湿ったタバサの舌が侵入する。
「ひふぅっっ!!」
「激痛に身をよじるルイズを、あなたは感じながら見続けるの」
「はっ、はぁぁぁっ!!」
タバサの腰が、シエスタに劣らぬ勢いで動き始めた。
「あなたは何も出来ない。ルイズの処女を他人に散らされても、あなたはただ見ているしか出来ない。――それがあなたに与えられた罰なのだから」
タバサの前後運動はますます速度を増し、彼の臀部は、スパンスパンと間抜けな音を出し始めていた。そしてその音が、傍目には、これ以上ないほどに彼のブザマさを強調する。
「そしてあなたは、ルイズの分もよがり声を上げるの。男のクセに、後ろからお尻を犯されて」
「ひやだぁっっ!! そんなのいやだぁぁっっ!!」
「だめ――そんなわがまま許さない。誰が許しても、このわたしが絶対に許さない」
「もうっ、もうっ、かんにんしてぇぇぇ!!」
「あなたは、初夜の晩に花嫁を寝取られるという人生最大の屈辱を、――花嫁の前で、女の子に尻を犯さるという、人生最大の生き恥を晒しながら見続けるの」
アンリエッタもティファニアも、もはや才人の体に取り付いてはいなかった。ただ、痺れたように、眼前の少年少女の“交合”を見ていた。
もしキュルケがこの場にいたら、あまりに雄弁な、この親友の姿に呆然としただろう。
だが、同じくこの場にいるアンリエッタとティファニアから言葉を奪ったのは、タバサの饒舌ゆえなどではない。タバサが見せた、その、あまりの残忍さゆえであった。
「サイト、あなたはもう永久に逃げられない。わたしが逃がさない。あなたを待っている明日は、暗黒と屈辱と苦痛と羞恥と、そして……絶望だけ」
そして、タバサは最後にこう、付け加えた。
――それこそが、あなたが本当に望んだものでしょう? と。
その瞬間、才人は射精した。
それには、一度目に全く劣らぬ量と勢いがあった。