疲れきって気絶するように眠ってしまった才人より先に、ティファニアは目覚めた。
結局あれから才人は一回も射精できず、眠っている今も彼の息子はギンギンだ。
ちなみにティファニアは何度か休憩を挟み、12回ほど絶頂させられている。
内訳はベッドの上で7回、床の上で3回、備え付けのトイレで2回。

…大丈夫かな、サイト…。

昨日は終わらない絶頂による至福の頂にいたティファニアだったが、目を覚まして冷静になると、急に主人の事が心配になってきた。
いくら才人が我慢強いとはいえ、あれだけして一回も出さないのはおかしい。
ティファニアはうんうん唸っている才人に布団をかけなおし、そして、ベッドから降りようとして気づいた。

「…こ、腰、抜けてる…」

何度も何度も絶頂し、限界まで下半身を酷使したため、ティファニアはまともに立つことすらできなかった。
それでもなんとか痺れと痛みを堪え、ベッドの端まで這いずっていくと、脚だけをベッドから下ろす。
ベッドの端に腰掛ける格好になったティファニアは、そのままベッド脇の円卓の上に脱ぎ散らかした自分の制服を手に取る。

「よいしょ、うんしょ」

動かない下半身に四苦八苦しながら、なんとか服を着込む。
そして、一つおかしなことに気がついた。

「…そういえば昨日、誰もお見舞いに来てないけど…」

自分一人だけしかこの部屋に来ていないことに、ティファニアは不審を覚えた。

「それは、昨日一日身代わりのスキルニルがサイト様の替わりをしていたからですわ」

不意に、聞きなれた声がした。
驚いたティファニアが声の方を向くと。
この王宮の主人、アンリエッタ女王がそこにいた。

「じょ、女王陛下?」

ティファニアは慌てて立ち上がって、礼をしようとするが、当然腰が抜けているので立つことすらままならない。
ベッドの上でもがくティファニアに、アンリエッタはそっと近寄りながら、呪文を唱える。
アンリエッタの杖がティファニアの肩に軽く触れると、ティファニアの下半身を覆っていた痺れと痛みが抜けていった。
水魔法による治療であった。
そのついでに、アンリエッタは得意の眠りの魔法で、才人をより深く眠らせてしまう。
そして、ベッドの上できょとんと目を丸くしている従姉妹に尋ねたのだった。

「さて、ティファニア。あなたには聞きたいことがあります」
「え?あ、はい」

なんだろう、とその場で姿勢を正すティファニア。
そんなティファニアを見つめるアンリエッタの眼差しが、鋭くなっていく。

「…いつから、あなたはサイト様とこのようなことを?」

アンリエッタの質問に、ティファニアはひーふーみー、と指を折って才人との関係を持ち始めた期間を逆算する。

「え?えっと、もう半年くらいになります」

その回答に、アンリエッタの視線が鋭くなる。ティファニアはそれに気づかない。
そして、核心を尋ねた。

「…きっかけはどのように?」
「えっと、私が『ペットにして』ってお願いしたらサイトはいいよ、って」
「…今なんと?」
「え?サイトがいいよ、って」
「そのちょっと前です」
「『ペットにして』?」

くぁ、こ、このエルフ娘ーーーーーーー!
な、なんてうらやますぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!

先ほどまで嫉妬に鋭くなっていた視線が一転、羨望の眼差しに変わる。

私だって!私だって!
トリステインとかいうどーでもいいもの背負ってなければ、名実ともにサイト様の雌奴隷なのにいいいいいいいい!

「あ、あの、女王陛下?」

目の前で体をくねらせながら悶える女王に、さすがに不審に思ったのか、ティファニアが声を上げる。

「あ。えー、あの、コホン。
 よ、よくわかりました。あなたはサイト様のペットになった、と。そういうわけなのですね?」
「あ、はい。
 あ、でも辛いとかそんなことないですよ?
 サイトってばすっごい優しいご主人様だから、いっつもちゃんと私のことかまってくれて…」
「へ、へえ。で、具体的にはどんな…?」
「あ、えっとですね。いつもは私がおねだりするんですけども、その時はですね」

フォローのつもりで言ったその台詞で、ティファニアは思わずノってしまい。
心の中で悶える女王を前に、さんざん幸せなペット生活を惚気てしまったのであった。


才人が目を覚ましたのは、二人が部屋から出てしばらくしてからであった。

「う、あー…」

腰の奥でまだ何か燻っているカンジがする。物凄くキモチワルイ。
昨日さんざんティファニアを犯した才人だったが、若さと普段鍛えているおかげで、軽く腰が痛くなる程度で済んでいた。
ついでに言うなら、一回も射精していないので物的損失はほとんどないと言える。
しかしさすがに時間がたっているので、ずっと勃起していた才人自身も、今はやや沈静化している。
性欲の対象となるものも、今は手近にない。
そう、いつの間にかティファニアはいなくなっていた。
外の光の具合を見るに、今は昼少し前、といったところか。
そういや今日の公務もすっぽかしか俺、とか思いながら、しかし。

…昨日のアレの原因は姫様の魔法だな。

軽く怒りを覚えた才人は、今日も一日フテ寝して、公務をすっぽかすつもりになっていた。
そして、もう一度窓の外を見る。
外は気持ちいいほどの晴天で、抜けるような青空だった。

…こんな日に部屋の中でフテ寝とか、俺もたいがい不健全だよなあ…。

などと思っていると、不意に窓の外に影がさした。
曇ってきたか?と思い、窓の外を見ると。
窓のすぐ上に、青い竜が浮かんでいた。

「シルフィードっ?」

慌てて窓を開け、その竜の名前を呼ぶ。
人以上の知性を持つ、その風韻竜は、きゅい、と一声鳴いて窓の下まで降りてくると、人間の言葉で応えた。

「ほら、窓開いたのねちびすけ。魚数匹で精霊の力まで使わされてシルフィはとってもご機嫌ななめだわ。
 さっさと降りるのね。きゅいきゅい」

どうやらシルフィードは、精霊魔法の力で、外部から姿を感知されないようにして窓の外に浮いているらしい。
そして、その背中から、彼女の主人が飛び降りてきた。

「サイトっ!」
「わ、うわちょ、シャルロットっ?」

両腕を広げ、才人に向かって飛び出してくる小さな青い髪の少女を、才人は受け止める。
タバサは女王に連れ去られた才人を心配して、王宮に忍び込んできたのである。
そんなタバサに、彼女の使い魔はあきれた声をあげる。

「まったくこのちびすけときたらどうみてもまる学生なのに発情して見境なくなってるんだから。
 サカるのもたいがいにしとかないとおバカになるのね。きゅいきゅい」

その瞬間。
才人の抱擁から抜け出し、まるで投槍のようなフォームで投擲されたタバサの大きな杖が、シルフィードの脳天を直撃した。

ごすん!

「きゅいーーーーーっ?」

角の根元の一番痛い部分に杖をぶち当てられ、空中でバランスを崩すシルフィード。
その瞬間、集中がとけ、精霊魔法の効果が入れる。

『なんだ?あんなところに竜が!』
『竜騎兵!あの竜を追い払え!』

「きゅ、きゅいーーーーーーーーーーーっ?」

即座にシルフィードは王宮の衛視に発見され、雨あられと飛び交う魔法の弾幕に晒される。
緋蜂もかくやという弾幕にかすりまくりながら、シルフィードはほうほうの体で逃げ出していく。

「…ひどくないかシャルロット」
「大丈夫。あの程度で死ぬような教育は施していない」

さも当然のように言い放ち、タバサは再び才人の胸へ。

「逢いたかった…」

ぎゅう、と才人に抱きつき、おでこを才人の胸板に押し当てる。
そんなことをされると、さすがに才人も何も言えなくなる。
そっと、優しく抱きしめ返す。
すると、タバサはそっと顔を上げ。

「ん」

目を閉じて、唇をきゅっと結んだ。
言わずもがな。キスして、の合図である。
才人は思わず周囲を見渡す。当然誰もいるはずもないのだが、一応念のため、である。
そして、誰もいないのを確認すると。
タバサの細い顎に手をかけ、その小さな唇を優しく塞いだ。
久しぶりのキスに感極まったタバサは、そのまま才人の首に手を回し、さらに深く唇を重ねてくる。
体を、唇を密着させ、二人は絡み合う。
しばしの甘いひと時の後、二人は唇を離す。
すると、二人の間につぅっ、と唾液の糸が張られる。
タバサは才人の唇を指でなぞってその唾液を掬い取り、自分の口に運ぶ。
ちゅぷ、ちゅる、と何度も自分と才人の唾液の混合物を味わい、その様を見つめる才人に、上目遣いで媚びた視線を送る。
しかし、才人はタバサのその誘いに、思い出す。

…でも、シても出せないんじゃなあ…。

はぁ、とため息をつく才人。
普通ならこの時点で『もうしんぼうたまらーん!』かタバサの可愛さに悶える才人が見られるのだが、今日の才人はなんだかテンションが低い。
そう感じたタバサは、小首をかしげながら尋ねた。

「どうしたの?」

タバサの疑問に、才人はどうしたもんか、と一瞬だけ悩み、応えた。

「…いや、姫様に魔法かけられてさ。俺今どんだけシてもイけない体なのよ」

やれやれ、と肩をすくめる才人に、タバサの表情が変わる。
一瞬で桜色に染まっていた頬から色が消え、その二つ名のとおりの雪の白さを取り戻す。

…あの女王、サイトに何をした…!

タバサの雰囲気が変わったのを、才人は見逃さなかった。
すぐにタバサがアンリエッタに対し怒っているのだと察知すると、慌ててフォローする。

「あ、で、でもさ。俺体の具合悪いってことになってるからさ。
 心配してかけてくれたのかも?」

タバサはその言葉も聞かず、呪文を詠唱していた。
いつの間にか、スカートの内側に仕込んでいた予備の細い杖を振るう。
すると、才人の体を不思議な青い光が覆った。

「え、何これ…?」

その光が消えると、才人の下半身に異変が起き始めた。
勃起もしていないのに、先端から先走りが出始めたのである。
まさか。

「え、ひょっとしてシャルロットが?」
「女王の魔法は解除した」

タバサの言葉通り、彼女はアンリエッタが才人にかけた魔法を解除したのである。
しかし。
アンリエッタの張った罠は、これだけではなかったのである。
不意に、才人がいつの間にか嵌めていた指輪が光る。

「え、いつの間に俺…こん…な…」
「しまった…!」

タバサが気づいたときには遅かった。
その指輪には魔法がかけられており、もし才人自身に何かほかの魔法がかけられた際、充填されたアンリエッタの『眠り』の魔法を才人にかける、というものだった。
その魔法で才人はあっという間に眠りに落ち、床にくずおれる。
タバサは眠っている才人をベッドに戻すと、予備の杖をぎゅっと握り締めた。

「…許さない。私のサイトを…!」

静かに燃える怒りの炎が、内側からタバサを突き動かしていた。

…このまま謁見の間に殴りこみ、あの腹黒女王を一発ぶんなぐる。

いかに才人が浮気モノでこらえ性のない種馬だとはいえ、この仕打ちは許せない。
タバサは怒りに燃えながら、才人の部屋のドアを開けたのだった。

「あら、どちらへ?ガリアの姫君」

突然ドアの影から声がした。
タバサは振り向きもせず、応えた。

「…公務はどうしたの」
「スキルニルが替わりを勤めていますわ。書類を読み、サインをするだけなら魔法人形で十分です」
「…どうしてここに」
「あれだけ派手に使い魔を暴れさせて私の耳に届かないとでも?ここはどこかご存知かしら」
「…なら、私が何をしようとしているかも」
「理解していますわ。でもその前に、お話をしません?
 それからでも、闘争を始めるのは遅くなくてよ。シャルロット姫」

声の主は、アンリエッタ女王。
タバサが今ぶん殴りたい女ランキング1位の女性であった。


二人は部屋に戻り、眠った才人を尻目に殺気のこもった視線を飛ばしあう。
方や笑顔に押し殺された見えない殺気。
方や凍った表情の内側で燃える、冷たい殺気。
気の弱い人間なら三秒とそこに居られない空気が、部屋に満ちていた。
そして、先手を打ったのはアンリエッタ。

「…さて。お話をはじめましょうか」

態度を少し和らげるアンリエッタだったが、タバサは殺気を緩めない。
そして。
タバサは後の先を打つ。
予備の杖をアンリエッタの鼻先につきつけて、言った。

「…サイトに何をしたの」

アンリエッタはあからさまな殺気にしかし、いささかも怯まずに応える。

「少し、我慢がきかないので魔法で首輪を、と思いまして」

思わずなるほど、と心の中で思ってしまうタバサ。
いかに全てを捧げているとはいえタバサとて女の子である。
できることならこの浮気者の騎士を何とかつなぎとめておきたいと思う。
ちょっと共感できてしまったタバサの杖の先が、少し下がる。
それを見逃すアンリエッタではない。

「わかるでしょう?サイト様は繋いでおかないと、すぐどこかへ行ってしまう。
 それこそ、花々を回る蜜蜂のように」

蜜の香りに誘われるまま、あちこちの花を渡り歩く。
なるほど上手いこと言ったものだ、と半分感心してしまうタバサ。
しかしここで同意してしまっては、女王に対しアドバンテージが取れない。
そこでタバサは。
自分とアンリエッタの、決定的な違いを突きつけてやることにした。

「私とあなたで、サイトを想う気持ちはきっと同じ。
 …でも、私にあってあなたにないものがある」

言ってタバサは、きっ、と女王を強い視線でねめつける。
アンリエッタはその視線に屈さず、言葉を返した。

「…ならば、教えていただきましょうか。
 私に足りない、その何かを」
「簡単な話」

アンリエッタの言葉に、タバサは即座に答えを返す。

「あなたには覚悟がない。
 彼のためにすべてを捧げる覚悟が」
「…はい?」

何を見当違いな、とアンリエッタは思った。
自分は既に捧げるつもりでいる。

この国も、この身体も、全てサイト様に。
そして私は晴れてサイト様専用雌奴隷に…!やんやん!

などとアンリエッタが脳内で悶えていると。
タバサははっきりと言った。

「あなたは捧げた気になっているだけ。
 何も実行していない。
 それに、持っているものを与えるだけでは『捧げる』とは言わない」

タバサの指摘に、アンリエッタは思わず言葉に詰まる。
確かに。
タバサの言うとおり、アンリエッタは捧げたつもりになっていただけなのかもしれない。
しかし。

「な、なら、あなたはサイト様のために、何をしているというの?」

ならば彼女はどうなのか。
その言葉がどこまで真に迫っているのかを、アンリエッタは確かめようと思った。

「私は」

タバサはその後の言葉を続けようとして。
そして赤くなる。
いかに関係を知られている相手とはいえ、それを口にするのは恥ずかしい。
しかし、彼女は覚悟を決めて言った。

「…私は、彼の喜ぶことならなんだってしてきた。
 …普通の行為も、外でするのも、口でするのも、全部」

だが、その程度なら。

「あら。私だって、外でもお口でも致しましたわ。
 それどころか、目の前でおしっことかさせられましたのよ。…って何言わせるんですか」

思わず対抗してそこまで言ってしまい、後悔するアンリエッタ。少し頬が赤くなっている。
タバサはそれを聞いて、なにやってんのよこのへんたい、と思わず眠る才人を睨んでしまう。
しかし。
その視線の先には、才人は居なかった。

「え」

思わず周囲を見回すタバサ。
そのタバサに気づいたのか、アンリエッタも思わずベッドの方を見る。

「…え?サイト様?」

眠っていたはずの才人が居なくなっていることに、アンリエッタも驚く。
そして、二人の後ろからあきれた声がした。

「…何を張り合ってんだ二人とも」

才人の声だった。

「え?サイト様、魔法で眠っていたはずでは」

アンリエッタが指輪にかけた魔法は、女王謹製の『眠りの魔法』である。血液を直接眠り薬に変えることによって訪れるその眠りは、凡百の眠りの魔法など比べ物にならないほどの深い眠りを誘うはずである。

「いや…なんか目が冴えてきちゃってさ」

頭をぽりぽりとかきながらそういう才人。本人にもよく原因が分かっていないらしい。
しかしタバサには原因が分かっていた。
彼女の視線は、ある一点を見つめていた。
才人の下半身。
そこは、ズボンの上からでも分かるほど、はっきりと勃起していた。
限界まで焦らされた彼の性欲が、アンリエッタの眠りの魔法を解いたのである。
ついでに言うなら、寝ていても聞こえる女の子の声が、彼の獣を呼び覚ましたのである。
最初に異変に気づいたタバサは、才人の顔を覗き見る。
目がイっていた。
しゃべり方は普通だが、どうやらもう既に彼の中身のほうは準備万端のようである。
それに気づいたのか、才人がつかつかとタバサに近づいてくる。

「まあ、確かに姫様はシャルロットに比べたら負けてるよ」
「え」
「…!!」

いきなりの才人の言葉に、思わず目を点にする二人。
アンリエッタは軽い落胆と嫉妬の表情に、タバサは驚きと歓喜の表情になる。
そんなタバサの右手首を掴み、才人はタバサを乱暴に抱き寄せる。

「あ」
「姫様にはあんまりしたことないから知らないだろうけど」
「…!ダメ!言っちゃダメ!」

才人の発言から、彼が何を言おうとしているのか察したタバサは、思わず才人の腕の中で抵抗する。
しかし。
才人の右手がスカートの中に伸び、そしてショーツをずり下ろしながら彼は言ってのけた。

「シャルロット、俺のためにお尻までキレイにしてるんだぜ」
「さ、サイトのバカっ…!」
「え…」

アンリエッタも、才人に後ろを犯されたことはある。
しかし、それはかなりの圧迫感を伴い、性感と呼ぶにはあまりにも苦痛が過ぎた。
さらに、肛門はそもそも排泄に使う器官である。そんな場所を使って性交するなどとは。

「で、でもサイト様、お尻なら私も」

したことがある、と続けようとしたアンリエッタだったが。

「いや、でもシャルロットには勝てんだろー」

言って才人はタバサのショーツを脱がしていく。
タバサは心の中ではもう半分抵抗を諦めていたが。

「や、やだっ」

口だけは抵抗し、身体を弱弱しくくねらせる。
なぜこうするのかといえば。
こうしたほうが才人が喜ぶからだ。
抵抗する女の子を無理やり、というのが結構才人のツボだと、タバサは学習していたのである。
抵抗もむなしく、タバサのショーツは完全に膝まで下ろされる。
そのまま才人はタバサの臀部を両手で広げ、アンリエッタに晒す。
タバサは羞恥心のせいで才人の胸板にしがみつき、真っ赤な顔を押し付けている、演技をする。半分は本気で恥ずかしいからだったが。
そして。
アンリエッタから見えるタバサの肛門は。
色素の沈着などまったくなく、まるで生まれたばかりの子供のような、きれいなサーモンピンクの器官がそこにはあった。
タバサの年齢から考えて、ありえない色だった。

「シャルロットな、俺にお尻でキモチよくなってもらいたいからって、毎回おなかの中キレイにして、薬でお尻消毒してんだぜ。
 そのせいで、肛門までおまんこみたいになっちゃったんだけど」
「ばか…ばかぁ…」

才人の解説に、タバサは弱弱しく彼の胸で泣く演技をする。半分本気で恥ずかしかったせいもあるが。

「そ、そんなの…!私にだって、私にだってできます!」

思わずそう言ってしまったアンリエッタに。
才人は応えた。

「じゃあ、試してみましょうか?姫様」
「え…?」
「…?」

才人の言葉に、二人の目が点になった。


そして。
タバサはベッドの上で、四つんばいの格好で、ショーツだけを脱がされ、肛門を犯されていた。
ぎゅぷぎゅぷとゴムが絡みつくような音をたて、才人の性器がタバサの肛門を出入りする。
タバサの肛門は、度重なる消毒と薬の影響で、すっかり色素が抜け落ち、キレイなサーモンピンクの性器と化していた。
本来排泄物をひりだし、せき止めるための括約筋が、今、雄を受け入れるために肛門を開き、雄を食い締めるために働いていた。
そこはまるで穴の開いた樹脂のチューブのようにがっちりと才人を噛み締め、しかし出るときはある程度緩む、という動作を繰り返す。
そのたびにタバサの喉から長い呼吸が漏れる。しかし負の悦楽に染まったその頬は上気し、唇からは涎がこぼれていた。

「ふっ、ふぅーっ、ふぅっ」

ベッドに載っていた大きな枕を抱え込み、肛門から襲い来る快楽に耐えるタバサ。
そしてその横では。

「ひっ、ぎっ、ふぁっ」

アンリエッタはベッドの上で、四つんばいの格好で、スカートをまくりあげられ、ショーツだけを逃がされた格好で、指で肛門を犯されていた。
才人は開いた右手の中指で、アンリエッタの肛門を犯していた。
しかしアンリエッタの肛門は、未だ排泄のための器官であり、愛撫を受け入れるようにはできていない。
まるで異物の進入を拒むかのようにしっかりと閉ざされた肛門を、才人の中指が容赦なく出入りする。
アンリエッタの菊門の抵抗は激しく、まるで才人の中指を食いちぎらんばかりに締め付ける。
以前肛門を犯された時は完全に異常な状態だったので、そう苦しくもなかった。
しかし、感覚の正常な今。
アンリエッタの肛門は、性器としてではなく、排泄器官としてしか働いていなかったのである。
それでも気丈に、アンリエッタは才人の暴虐に耐えていた。
そんなアンリエッタに、才人から声が降る。

「んー、姫様ちょっちキツいっすねえ。もう少しゆるめて?」
「んっ、そんなっ、無理っ、無理ですぅ!」
「あーでもこのまんまじゃ、入れたとき痛いっすよ?」
「しりませぬっ、そんなのっ、しりませぬぅっ」

肛門をほじられるだけで辛そうにするアンリエッタに、才人は嗜虐心を満足させる。
そして。

「それに比べてさすがシャルロットだな。まるでたくさんの指で握られてるみたいだ」

才人の感想のとおり、タバサの肛門はあくまで柔らかく才人を食い締め、飲み込んでいた。
タバサの小さな肛門は、性交のたびに開くようになっていき、今では才人の指三本くらいなら楽に飲み込める。
もちろん締まりも抜群で、その気になれば才人を咥えたまま離さない、なんて芸当もできた。
さらに滅菌された証拠であるサーモンピンクの肉は、つるつるとして前とは違った快感を才人に与えてくる。
才人は、腰と手を休めず、タバサに言った。

「もう、シャルロットのお尻はけつまんこって言ってもいいくらいだな」
「や、ちがっ、そんなっ」
「ほらシャルロット言ってごらん?『けつまんこ気持ちいい』ってさ」

行為の最中、恥ずかしい台詞を言わせるのは、最近の才人のお気に入りのようだ。
ソレを学習しているタバサは。

「い、言えないっ、そんなのっ」

彼の嗜好に沿い、少しばかりの抵抗をする。
そしてタバサの予想通り。
才人はにやり、と笑うと彼女の耳元で囁く。

「じゃあ、隣の姫様のけつまんこに行こうかな?」
「──────っ!」

その言葉にタバサは一瞬躊躇をして。

「け、けつ、けつまんこきもちいですっ!」
「よくできました♪それじゃあご褒美だ」
「…え」

ほんの一瞬、気が緩んだ隙に。

どくどくどくどくっ!

溜め込まれた精が、タバサの腸を焼いた。

「─────────────────っ!?」

突然の迸りに、タバサの視界が明滅し、そして身体から力が抜ける。
絶頂を迎えたのだ。
才人はそんなタバサの肛門から一物を引き抜く。
才人の性器の形に開いた肛門の奥で、どろりどろりと白濁が揺れていた。

「さ、サイト、さま…?」

射精の瞬間から手を休めていたせいで、肛虐から開放されていたアンリエッタが、才人を呼んだ。
才人はアンリエッタの方を振り向く。
その男性器は全力で勃起しており、彼がまだ満足していないことを示していた。
才人は、四つんばいのままのアンリエッタに覆いかぶさり、その耳元で囁く。

「姫様のお尻はまだまだですね」
「…も、もうお尻は堪忍してくださいまし…」

先ほどの苦痛を思い出し、美麗な眉をひそめるアンリエッタ。
タバサには負けることになるが、あの苦痛は耐えられそうもない。

「…そのうち、お尻だけでも逝ける身体にしてあげますよ。
 でも、今日はこっち」

言って才人は何の予告もなく。
アンリエッタの女性器を貫いた。
しかし、才人の性器は挿入される前にタオルでこびりついた粘液を剥ぎ取られており、アンリエッタの予想よりもずっと乱暴に進入してきた。
アンリエッタの滑りだけで、才人はアンリエッタを犯す。

「あああああああああっ!」
「うん、やっぱ姫様はこっちだね」

そう言い放ち、乱暴に女王の性器を犯し始める才人。

ぐちゅ、ぐちゅ、ずちゅっ。

リズミカルに、姦通の音が部屋に響く。
そして。
肛虐で高められていたアンリエッタの快感は、すぐに絶頂に達する。

「く、ひ、あ、だめ、いきます、いってしまいますっっっ!」

その声と同時にアンリエッタの性器が才人を締め上げる。
しかし。
才人は止まらなかった。

「だめだよ姫様。俺逝ったばっかだからさ。もすこしかかるぜ」
「あ、らめ、今逝ったばかり、あ、ひああああああああああああ!」

奥をごつごつと突かれ、内襞を乱暴に削られ、アンリエッタは容易く折れる。
二度目の締め付けに、才人は。

「しょうがないな。ほら、俺も、逝くぜっ…!」
「あ、ふ、あふ、ふわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

どくどくどくどく!

熱い迸りを性器に受け、アンリエッタは三度目の絶頂に達した。


その後、満足しきって眠ってしまった才人が目を覚ますと、タバサはいなかった。
アンリエッタが言うには、満足して帰ったらしい。
才人は最初その言葉を不審に思ったが、しかしアンリエッタを問い詰めることはできなかった。

「サイト様、体調を崩しておられる割にはずいぶんとお元気ですのね?」

才人の顔から血の気が引いた。
まるで先生に仮病のばれた生徒のようだった。
その後ティファニアと事を構えたことを本人に教えてもらったことや、先ほどの行為についてさんざん絞られた。
結局、明日が最終日ということで、明日は絶対に近衛の任を勤めていただきます、とアンリエッタは念を押し、才人の部屋を出たのだった。
そして、廊下を歩きながら、女王は先ほどのガリアの姫との密約を思い出す。

ガリアとトリステインの両方の王ならば、二つの国の女王を娶っていても何の不思議もないはず。

二人で取り合いをするくらいなら、いっそのこと、二人で才人の所有物になってしまおう、とアンリエッタは提案したのだ。
そしてタバサはをれを受ける。
自分の復讐にも都合がいいし、それに自分はガリアなどいらない。ジョゼフ王を倒した後の王を才人とするなら、タバサも満足だった。
こうして。
才人は、やがて訪れるトリステイン=ガリア連合王国の国王にでっち上げられようとしていたのであった。

〜最終日に続く

*追記*
アンリエッタがタバサへもちかけた提案の元ネタは、ティファニアのペット惚気によるものであることは、誰も知らない。

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