(プライバシー保護の為、音声を変えてお送り致します) ええとですね、私の店には、何処ぞの副長さんが最近良く来るんですよ トレビアン! はっ、つい口癖が、いけないいけない で、何故か私を指名するんしちゃうのよ。出来れば店のようせ……ゲフンゲフンを指名して欲しいのですけど、職場と変わらないから嫌だとか まぁ、売上に貢献して下さるので文句も言えません で、何かと言うと、その、隊長に対して大量に愚痴って帰るんですよね 中味を聞くと、はぁ、大変なのねとしか言えませんが。では、どんな愚痴か聞きたいですか? なら、どうぞ。気をつけて下さい、酔っ払いの戯言ですから、真に受けちゃ駄目ですよ? 「だぁぁ、ムカつく〜〜〜あんの糞隊長〜〜〜!!」 ダン!! ジョッキを荒々しく、テーブルに叩き付けちゃってます 「あぁ〜ら、どうしたの?ミシェルちゃん。今日も荒れてるわねぇ」 「もう、聞いてよマダム〜〜〜!!あんの糞隊長、人に面倒な仕事押し付けて、何やってるか知ってる?」 グビッグビップハァ ちょっと、100年の恋も醒めちゃう様な呑みっぷりだわねぇ 彼氏居ないのかしらん? 「あらあら、穏やかじゃないわね、どんな仕事?」 「逢い引きよ、あ・い・び・き。私に指揮権ぶん投げて、自分は男の所に、国の金使って日参してるのよ!!」 あらあら、何処迄本当なのかしら? 「あらあら、穏やかじゃないわねぇ」 「でしょでしょ?あ、串焼き追加」 「毎度あり。で、どんな男なの?」 「黒髪の黄色い肌した、異国の変な男よ」 「あらま、異人さんなの?」 あらあら、彼氏居ないとしたら、悔しいのかしら? 「私は、ちょろっとしか見てないから、解らないんだけどさ、何かあの糞隊長が言うには、スクウェアメイジより強いとかって、もう夢中なのよ。な・に・が『恋なんざしない』よ!?バレバレだってぇの!!」 ダン!! だから、ジョッキでテーブル叩かないで。一応頑丈に作って有るけど、ちょっと心配になっちゃうわ 「まぁまぁ、落ち着いて。で、具体的には何が変わったの?」 「信じられる?あの馬鹿隊長、何と香水付け始めたのよ!?香水!!」 「香水の何処が悪いのかしら?」 香水位、女性なら付けるんじゃないかしら? 「何言ってんの?オリジナルよ、オ・リ・ジ・ナ・ル。あんな匂い嗅いだ事無いわ」 「…オリジナルは高いわよねぇ」 「そうなのよそうなのよ。あんの男なんざ興味有りません!!っで、通してたにも関わらず。何、今の状態?あり得る?絶対に有り得な〜〜〜〜い!!あ、スパークリングワインと揚げ物追加」 「毎度あり。えぇと、でも良い事じゃないの?」 「良い事な………もんかぁ!!あれほど誓ったのに、二人で究明して、誓いを果たそうと、お互いに汚れたのに………こんなの、こんなの〜〜〜〜!!」 「まぁまぁ落ち着いて、ね」 泣き出したミシェルちゃんにハンカチを渡すと涙を拭いたと思ったら、チーンって鼻迄かんじゃった やだ、洗濯しないと使えないじゃない 「汚れたって、何したの?」 「アイツが容姿使って床仕事してる背後から、私が暗殺」 「アッハッハッハ、またまた冗談上手いわね、ミシェルちゃん」 「そうやって笑ってくれるの、マダムだけよ〜〜!!」 ひっしと抱き締められちゃった 何時もの事だけど、酔っ払いにも困ったモノね 「で、その隊長は今はどうなってるの?」 「以前より仕事がキレてるわ。私なんかが半日位かかる書類仕事を、帰って来てからたった30分で仕上げるのよ?信じられる?前から出来てたから、アイツを隊長にして私は副長で行こうって決めてたけど、最近半端無いわ。口っ惜しい〜〜〜〜!!」 「あらあら、恋する乙女のテンションは、仕事にダイレクトなのね」 「アイツは乙女じゃなあぁぁぁぁい!!あ、ありがと」 スパークリングワインをジョッキで貰って、グビグビやっちゃってるわ 「しかもね、その後に全部指示出してから退城すんのよ。何アイツ?ちっとも淀み無いなんて、信じられないわ」 グビグビ、プハァ いやんもう酒臭い 何とかならないかしら? 「ん〜と、ミシェルちゃんは兵隊でしょ?肝心の腕の方はどうなの?」 「……私に恥を言えと?まぁ良いわ。この前逢い引きに行く前に久し振りに剣を合わせたんだけど、たった一合で叩き落とされたわ。その後、何て言ったと思う?」 「さぁ?」 「『才人相手とは違うな。楽すぎる』だって。私とアイツの剣技は、そんなに差は付いて無かった筈だぁ!!」 あらやだ。またグシグシと泣き始めちゃった 「まぁまぁ、なら、ミシェルちゃんも一緒に稽古したら?」 「私、男嫌い。女のコがイイ」 ちょっと、どん引きだわ。まさかこの娘、そっちの趣味なの? 「えっと、彼氏は欲しくないの?」 「欲しい……けど欲しくない。ジェラールみたいな男なんか、お断りだ」 「あぁ、グラモンの隊長さんじゃ、仕方ないんじゃない?」 「あんの、糞蝿。ウチの可愛い娘ちゃん達を毒牙に掛けようと、四六時中狙ってんのよ?何発銃弾ぶち込んだと思ってんのよ?」 「さぁ?何発位?」 「軽く100発はぶち込んでるわね」 「アッハッハッハ。そんなにやられたら、幾らメイジでも駄目でしょ?」 「グラモンの連中は、銃士隊の集中砲火食らっても平気な化物よ?」 まさかぁ、幾ら何でも無理有るわよねぇ? 「そうそう、ウチの馬鹿隊長の話に戻るんだけどさ、あの馬鹿隊長、虚無の曜日にランジェリーショップに付き合わされるのよ」 「あらあら、それって」 「勝負下着よ勝負下着!!もう、見るからにエロエロの選んで、こんなのどうだって聞いてくんのよ?やってらんないわ」 ケッて、やさぐれるミシェルちゃん 「もしかして……」 「気付いた?毎日備えてんのよ!!で、帰って来た時に溜め息付くののよ?そして小さく言ってんのよ?何て言ってると思う?」 「…さぁ」 「『今日も……駄目だった』……ですって。何それ何それ?ふざけんじゃ無いわよね。全部筒抜けだコンチキショー。聞こえない振りしてんだ!!」 バリバリ揚げ物を噛じるミシェルちゃん あぁあぁ、どうしようも無いわ 「でねでね、アイツってば、シュヴァリエになったでしょ?殿下直々に、貴族の子女限定の処置を受けたんですって」 「そんなの有るの?」 「有るらしいのよ。どんなのか聞いたらさ、日々の手入れの手間が省けるだけだとか何とか」 「結構便利じゃないかしら?」 「そうよね、無駄毛処理とか面倒じゃん。本当女って面倒よね。男なんざ毛ボーボーじゃん」 まぁ、確かに女のコから見たらそう見えるわよねぇ 「髭を整えるのは大変よ?綺麗に伸ばすのも難しいみたいね」 「あ、そうなんだ。髪型を維持するのと同じで大変なのね」 あらあら、一応納得したみたい 「でねでね、あんの糞隊長。部屋が隣なんだけどさ、最近夜中に五月蝿いのよ」 「あら、どうしたの?」 「いや、どうも、一人でしちゃってるのよね。才人っ才人って、男の名前呼ぶのが聞こえて来ちゃうのよ?」 「あらあらまぁまぁ」 「馬鹿隊長〜〜〜〜!!アンタのオナニー筒抜けだぁ〜〜〜〜〜!!」 ちょっと、大声出さないでよ 皆、こっち見て笑ってるじゃない 「まぁまぁミシェルちゃん、落ち着いて、ね?一杯奢るわ」 パチン 私が指を鳴らすと、妖精さんがジョッキを持って来てくれて、空のジョッキと交換すると、がばりと掴んでゴックンゴックン飲んでる 水も用意しないと駄目ねぇ パチン 水を持って来て、隣に置きましょ それもゴキュゴキュ飲んでるわ 「ミシェルちゃん。そろそろ限界でしょ?」 「やら、まら飲む〜〜〜」 ガチャ 「すいません、ウチの副長来てませんか?」 「あらあら、妖精さん達いらっしゃい」 「あ、やっぱり居た。行きますよ、ほら。ウチラの寮には、門限が有るんですから」 「うぃ〜〜おまえらも飲め〜〜〜奢ってやるろ〜〜〜」 「はいはい、解りました。今度にしましょ、今度に。今帰らないと閉まっちゃいますよ?私達は竜騎士で出迎えしてくれる訳じゃないんですよ?」 「ジェラールれも連れれ来い。奴らら喜んで奢ってくれるお」 「その後前後不覚のまんま、頂かれちゃいますけど、良いんですか?」 「やら、もっろやさひいおとろがいい」 「なら、行きますよ。すいません、お代は?」 「きちんと最初に受け取ってるわ。ミシェルちゃんは律義なのよ。足りなかったら付けるし、余ったら返してるから、安心して」 「はい、解りました。失礼します」 ぺこりと会釈して、妖精さん達がミシェルちゃんを両肩で支えて、出て行きました 「……一番苦労してるのは、あの娘達じゃないかしら?」 私はそう思ったんだけど、どうかしらね? 皆はどう思う? * * *