230 名前:キュンキュン ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:06:23 ID:2P34e13V
いつぞや投下した「股間のハイパー兵器をガンダールヴの力で使いこなす才人もの[[1-804]]」の続きを投下させてもらいます。

サイト×アンリエッタもの。

Title「きちくおうさいと」
十一レス消費

231 名前:きちくおうさいと 1/11 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:07:45 ID:2P34e13V

 平賀才人は脅威であった。
 恐るべきはその武器『デルフリンガー』
 虚無系統のものを除く全ての魔法を無効果にし、
 それ自身の強度も切れ味も侮ることのできないマジックアイテムだった。
 この武器は全てのメイジに対して、天敵とも言えるものである。

 メイジは基本的に肉体戦闘に長けていない。
 人類の比率から言うと極少数のものしか持ち得ない魔法という力を高めるために、
 肉体を創り上げるための時間を減らすからだ。
 武器を用い、敵を倒す行為は、魔法の使えぬ平民のみのすべき事である、
 と、考えてむしろそのことを嘲っているものさえいる。

 デルフリンガーは、メイジによる最大にして唯一の攻撃手段、魔法を無効果にするのだ。
 雨あられと降り注ぐ魔法の中を、物ともせず、長剣を持って、
 人間ではありえぬ速度で接近し、突撃してくる人間。
 至近距離に来られたら。
 密集隊形を取っていた場合、混戦に持ち込まれたら。
 憐れメイジは抵抗することすら出来ずに、ただただ虐殺される。
 人によると、才人は悪鬼の類に見えたりもするらしい。

 メイジにとって、魔法を無効果にする武器を持ち、尚かつそれを完全に使いこなす人間は、
 すなわち脅威である。
 故に、平賀才人は脅威であった。


 と、それはそれとして。

「サイトさまぁッ! サイトさまサイトさまぁぁっ!」

 トリスティン魔法学院、ルイズの個室では、アンリエッタ王女があられもない格好で腰を振っていた。
 既にアンリエッタの友人であり、部屋の主であるルイズはベッドの上に、
 かわいらしいお尻を丸出しにして、討ち死に中であった。

 才人は別の意味でも脅威であった。

 股間のハイパー兵器にもガンダールヴの素晴らしい力は発露する。
 それが才人本人が理解したのは、土くれのフーケを撃退した日の晩餐会の後、
 相手はまだ見かけ幼い雪風のタバサであったのが、なんとも外聞の悪いことではあったのだが。

 才人は考える。
 ルイズを、言い方が悪いかも知れないが、こまして二日も経たずに、新たな厄介がやってきた。
 何故だかは才人には思い出せなかったが、トリステインの姫が『ここ』へ来た。
 もちろん、表向きにはトリスティン魔法学院に行幸する、ということになっている。
 昼もそういう風に行っていた。
 が、夜に、このルイズと才人が同居する部屋にやってきた。
 ガンダールヴの力でこました後、時折タバサの襲撃に遭いつつも、二人の仲は良好だった。
 今までは犬、犬と罵っていたルイズだが、ひとたびガンダールヴのテクニックに翻弄されると、
 百八十度ほど付き合い方を転換し、べたべたくっついて離れないようになった。
 本日も仲睦まじく――というよりかは、
 才人は自分の力以外でルイズに手を出してしまったという負い目があったために、
 やや引き気味ではあったが――いちゃいちゃしていたところだった。

232 名前:きちくおうさいと 2/11 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:08:24 ID:2P34e13V
 アンリエッタ王女が、幼なじみであったルイズを見誤るほどの変わりようだった。
 まだ幼いころからも、ルイズは、まあ、言い方を丁寧にすれば『自立心のある子ども』だった。
 誰かに甘えることはあれど、決して理性ある甘え方だった。

「ねぇ、さいと……きっ、きききき、きす、して……」

 こんな風な台詞を聞けば、アンリエッタでなくとも混乱する。
 ある意味、らしいといえばらしいが、状況を一切無視し、声だけ聞くだけで、
 ルイズをある程度知っている人物であれば、口をそろえてこう言うだろう。
 「あ、この人、ルイズに声が似てるね」と。
 例外はルイズをこのようにしてしまった張本人である才人と事情を知っているタバサ。
 人物ではないが、一部始終を見ていたデルフリンガーも。

 アンリエッタは、以前から教えて貰っていた部屋の位置と、
 中から微かに聞こえてくる(と言っても詳しい内容は聞き取ることができなかったが)ルイズの声を聞き、
 戸をノックした。
 長めに二回、短く三回というルイズにも事前に教えてあったノックの仕方で、
 ルイズもそれを聞いていたら、即座にアンリエッタの存在に気付いていただろう。
 が、運悪くそのときは才人に甘えていた。
 というよりも、半ば押し倒す一歩手前の状況だった。
 服を脱いではいないもの、才人の腹の上に跨り、顔を近づけキスをねだる。
 そのときのルイズには才人の顔しか見えておらず、また同時に才人の息づかいと心臓音しか聞こえていなかった。
 ノックの音など気付くよしもなかった。

 アンリエッタは困り果てた。
 部屋の位置は何度も確認し、間違っていないことを確信している。
 部屋の中から聞こえてくる声もルイズそのもので、否定しようがない。
 しかし、部屋の主は出てこない。
 何度も何度もノックを繰り返すも反応すらなく、あまり長く廊下にとどまっては第三者に見られることになる。
 アンリエッタは確かに声の主をルイズであると特定している。
 しかし戸は開かない。
 あまり長居はできず、アンリエッタは仕方なく杖を掲げた。
 アンロックの魔法。
 属性魔法ではなく、基礎中の基礎の魔法だ。
 トリスティン魔法学院の寮とあれば、戸にアンロックの魔法に対し一定の耐性を持っているが、
 それでもトライアングルのメイジであるアンリエッタであれば、無理をすれば解錠できる。
 留め金が緩んでしまうだろうが、それも幼なじみであるルイズは許してくれるだろう、
 と思いアンリエッタは鍵の開いた戸を開いた。

 そして目撃した。
 男と女がベッドの上で。
 女が男の腹の上に座り。
 ほとんどくっついていると言っても過言ではないほどに顔を近づけ。
 キスして云々という睦言を囁いているところを。

「ル……イズ? え? えーっと、申し訳ありません。部屋をまちがえ……」

 とりあえず見なかったことにしておこうと、戸を閉めようとした。
 が、女は見たことのある桃色の髪の毛をしていた。
 やはり声はルイズそのもの。
 混乱しつつも、アンリエッタの頭の中では疑惑がもたげていた。
 とはいえ、ルイズとは密約を交わしている。
 どちらかが殿方と深い関係になるならば、その前にお互いに知らせよう、と。
 もちろん、ルイズはそのようなことを覚えてすらいず、アンリエッタも同じようなものであったが、
 その密約を、ルイズが破るわけがない、と思っていた。
 というより、思いこもうとしていた。

233 名前:きちくおうさいと 3/11 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:09:07 ID:2P34e13V
「あ、あーっ、ちょ、ちょっと待ってください」

 才人は慌てた。
 突然、鍵のしめてある戸を開けて入ってきた人。
 あまり見られてはいけない光景。
 誤解ではないのだが、誤解ということにしないと……
 色々身の危険を感じた才人はルイズを優しくはねのけ戸を開け、
 外にいた人を無理矢理部屋に引きずり込み、土下座をした。

「い、今見たことは、ご、誤解なんですっ!
 お、俺の目にゴミが入って、ルイズは、あの、その……」

 ルイズの視線をいたく感じながらも、才人は土下座した。
 涙と鼻水まで垂らしながら土下座をした。
 ただでさえ、タバサに「お兄ちゃん」と呼ばせていることを知られ、
 才人は『ロリコン変態野郎』という素晴らしいあだ名をつけられている。
 これ以上状況が悪くなることに過剰に反応したのだ。

 むしろ返ってやましいことをしていたのを明らかにしていた。
 とはいえ、才人も本当にこの苦しい言い訳が通じるとも思っておらず、
 ただ情に訴えて、内密にしてもらいたかったのだ。

 アンリエッタも、いくら世間知らずとはいえその程度のことは察することができた。
 が、今は状況が状況、自分の姿がバレればそれはそれで大きな騒ぎになりかねない。
 どうしたものかしら、とアンリエッタが思いあぐねていたときだった。

「サイト、そんなに私と一緒になるのが嫌なの?」
「ば、ばっか、ちげぇよ! お、俺……いや、お前が変な噂流されたら困るだろう?」

 本当のところは才人が困るのだが、間違ってはいない。

「ううん、私、気にしないわ、サイト。周りがどんなことを言ったって、私はあなたのものよ」

 土下座している才人へしなだれかかるようにするルイズ。
 才人は正直迷惑に感じてしまっていたが、それを口に出せずにいた。
 人目があるにかかわらず、ルイズは再び才人に甘い口づけを……。

「ルイズ! ルイズ・フランソワーズ!」

 アンリエッタがルイズの存在を完全に認知した。
 目の前の女の子は、確かに、アンリエッタには信じられなかったが、幼き頃にともに遊んだ友だった。
 そして今も最も信頼のできる人物であった。

「……誰?」

 今はアンリエッタは頭巾を被っていた。
 頭巾ごしでは、その正体をわかってくれなかったことを寂しく思いつつ、
 しかし、頭巾越しでもその正体がわからないくらいあわなくなって久しい時間を感じて、
 アンリエッタは頭巾を外した。

「これで……わかったでしょうか? ルイズ・フランソワーズ」

 肩まで伸びた髪、薄いブルーの瞳、鼻の高い気品のある顔立ちが頭巾の中から姿を現した。

「ねぇねぇサイトぉ〜、なんで私と目を合わせてくれないの? ねぇ、サイトぉ〜」
「……」

 しかし、いかな友情とて、恋には勝てなかったのである。

234 名前:きちくおうさいと 4/11 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:10:52 ID:2P34e13V
 ともあれ、アンリエッタはルイズにその正体を明かし、ここへ来た理由を述べた。
 その最中、ルイズは才人に常にべたべたしていたが、確かに聞いており、任務の確約もさせた。

「サイトと一緒にアルビオンに旅しに行くのね、私嬉しい!」

 などと言っていることが少々アンリエッタは気になったが、
 それでもルイズ以上に信頼できる相手がいない現状だった。

 こめかみがひくひくしていたが、ルイズの恋人……平民で使い魔というあまり出自がよろしくない人ではあったが、
 しかし、自らも同じようなかなわぬ恋をしていることもあり、親友の恋を、暖かく……
 否、生暖かく見つめよう、と。

 確かに才人はあまり見た目はよろしくなかったが、
 土くれのフーケを捕縛した最大の功労者として
 ――というか実際はタバサのシルフィードと才人以外誰も役に立っていなかったのだが――
 実力は確かに存在していることをアンリエッタは事前の報告で知っていた。
 涙を流しながら土下座する才人を見て、少し心が揺らいだが、しかし、
 ルイズのことを第一に考えていることは間違いない、と信じていた。
 実際のところ、たいしてそういうわけではなかったのだが、
 まだ会って間もないアンリエッタがそれを見抜けることはできなかった。
 ともあれそのような思考の末の結果は、全く無駄なものとなる。

 全てはアンリエッタが才人に対し、手に接吻することを許可したことがきっかけで。
 異世界人の才人には儀礼がわからなかった。
 手を差し出して、キスをしていい、と言われたら、つい唇にキスしてしまった。
 アンリエッタはあまりのことに動揺して倒れてしまったが、
 それを見下ろしていたのは左手の甲が光った男だった。

 アンリエッタが再び気が付いたとき、手足が自由にならないことに気付くのに数秒要した。
 服が一部はぎ取られているのに更に数秒、
 あのルイズの恋人にして使い魔に体を嬲られているのに更に数秒、
 同時に猿ぐつわをつけられていることも、
 嬲られていることに気付いたときに悲鳴をあげられないことで気が付いた。

 下半身丸出しで討ち死にをしているルイズが横で寝ているのに気付くのは、
 もうしばらくの時を要した。

「なっ、な、何をしているのです!?」

 懸命にアンリエッタは声を出そうとした。
 が、やはり猿ぐつわをつけられていたために、実際にはこのような声しか出なかった。

「んっ、ん、んぐ、むんぐうぐう!!」

 当然、才人にはそれがどういう意味なのかわからなかったし、
 わかったところでどうする気もなかった。
 才人は、アンリエッタのぴんと立った胸の頭頂を舐め続けた。

「んんんっ!」

 アンリエッタはただひたすら驚愕した。
 裸に剥かれて体を嬲られていることに対してではない。
 むしろ、そのことは彼女の想像力を遙かに超越した現実であったため、
 未だに現実感のない、夢のようなものに感じられた。
 今、アンリエッタを戦かせたのは、
 胸を舐められるという極めて屈辱的な行為によってもたらせる快楽だった。

235 名前:きちくおうさいと 5/11 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:11:22 ID:2P34e13V
 彼女も王女とはいえ女であるし、その前に人間である。
 思い人の名を呟きながら、自らを慰めた経験は一度ならずあった。
 今回嬲られているのは胸の頭頂。
 あまり知りもしない男に舐められても、それが例え夢の中だったとしても、
 おぞましいとしか感じないはずだった。

 しかし、今はそれ以外の何かをはっきりかんじとっている。

「んんっ、ふうッ!」

 猿ぐつわをかみしめる歯の力が、一瞬抜ける。
 認めたくなかった、認められなかった。
 ただでさえ自慰行為にも自己嫌悪という感情がつきまとうのに、
 友人の使い魔に舐められるという、極めて怖気がふるうべき行為に対して、
 嫌悪感を一時的に忘れてしまうことを。

「感じてるんスか?」

 才人は残酷な問いをした。
 自ら既に答えのわかっている質問を、敢えてぶつける。
 もし声をかけられなかったら、アンリエッタは嫌悪感に流されながらも、
 自分の体が反応していることを素直に認めていただろう。
 しかし、まだ意識がはっきりしている段階で、
 そのいじらしい問いをされれば、嫌でも意識を持ってしまった。
 声にならぬうめきを上げて、アンリエッタは現在最も自由がきく首を、乱雑に横に振った。

「ふーん」

 才人は小馬鹿にしたような声を発し、アンリエッタを見下ろした。
 冷徹な瞳に見つめられ、アンリエッタは少なからず心が揺れた。

 アンリエッタは、トリステインの王女である。
 温室育ちもいいところで、誰からも愛されており、
 今の才人のような視線に晒されたことはただの一度もなかった。
 いくらアンリエッタでもその視線に好意ではないものが含まれているのを感じ取れれていたものの、
 それが何故自分にむけられていたのかは理解できなかった。

 混乱している間にも才人の愛撫がアンリエッタに悦楽をもたらし、思考を押し流していく。

 ひょっとしたら、才人は自分よりも偉い立場にいる人ではないか、とふとアンリエッタは思い浮かんだ。
 繰り返すがアンリエッタはトリステインの王女である。
 身分が上という存在は彼女の両親以外いない。
 勿論負うべき責任や、こうでなくてはならない、という取り決めに雁字搦めになっているものの、
 このような態度で面と向かわれることはなかった。

 平時であれば、そのようなことをほんの少しでも考えるはずがなかったが、今は平時ではない。
 通常の思考能力がほとんどないと言っても過言ではない状況で、
 アンリエッタは変な落ちどころを見つけてしまった。

 才人はそんなアンリエッタの葛藤も知らず、ただ目の前にある突起を指の先端で摘んで遊んでいた。
 アンリエッタは猿ぐつわの隙間から、くぐもった声を出す。
 羽の先端で擦られているような愛撫に、思わず涙を浮かべた。
 人に体を弄ばれる悲しさからか、それともただ悦楽に酔った結果なのかはアンリエッタ自身にもわからない。
 ただわかることは、才人が自分を圧倒しているということだけ。

236 名前:きちくおうさいと 6/11 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:12:04 ID:2P34e13V
 抵抗する意思は消え去っていた。
 まな板の上の鯉、ということわざが少なくともトリステインにはないのだが、
 アンリエッタの心境はまさにそれだった。
 もはや自分の命運を握っているのは自分ではなく、才人。
 苛烈なことをされるのか、それより少しはましなことをされるのか、
 それを決めるのは自分の胸を弄んでいる男ということを、アンリエッタは自覚していた。

「んんっ!」

 才人は胸を弄るのをやめた。
 乳首を弄くり倒していた舌が、ゆっくりと頭とは反対方向へと張っていく。
 胸の丘を越え、上腹を通過する。

「んっ!」

 なだらかなカーブを描き蛇行していく舌は、とあるくぼみに落ちた。
 アンリエッタの臍を、バスケットボールのゴールの輪に回るボールのように、
 ぐるぐると円周を舐めて、同じくバスケットボールのようにすとんと落とした。

 ただの臍だ。
 性感帯でも何でもない。
 しかしアンリエッタは深い快楽を感じていた。
 臍は腹に直通している。
 そこを抉られたことは、はらわたを舌によって犯されたことを連想された。
 アンリエッタは精神を汚された思いをし、怖気に身を震わせる。
 しかし、同時にそのことを心地よいと感じてしまっていた面もあった。

 ふとアンリエッタは唐突に臍が汚れていないか気になった。
 臍は垢が溜まりやすく、臍のゴマと呼ばれる塊が出来やすい。
 身綺麗にしているアンリエッタといえど、そこにそれが残っていないとは言い切れない。
 首を上げて才人を見ると、才人はそれに気付いて視線を上げた。

 結果、くすりと笑っただけだった。

 それが一体どういう意味を示しているのか。
 不潔であるという意味の笑みだったのか、それともただ笑っただけなのか。
 前者であれば恥ずかしがらねばならないが、恥ずかしがって、実は後者であったならみっともない。
 大抵こういうときはネガティブに考えがちで、アンリエッタは顔を赤らめた。

 しかし、そのような思考をできるのが贅沢なことであったと、
 次の瞬間アンリエッタは思い知った。

 才人の舌は臍を嬲り続けたあと、再び進軍を開始した。
 段々と進んでいく先に、何があるのか、アンリエッタは瞬時に思い浮かべた。
 そこは絶対死守の場所。
 今まで、ただ一人の思い人にさえ触らせたことのない禁忌の地。
 それに触れられたら、とアンリエッタは考えた。

 実際には、アンリエッタが気を失っているときに、才人はそこを嬲っていたのだが、
 それに気付くよしもなく。
 才人の舌が下着の上からその部分をなで上げた。

 爆発的な勢いでこみ上げてくる羞恥心と快楽。
 どちらもアンリエッタのほんの少ししか残っていない理性を奪い去っていく。
 脳は完全に混乱を引き起こし、あらゆる方面からあらゆる情報がやってくるためにパンク寸前になっていった

237 名前:きちくおうさいと 7/11 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:12:44 ID:2P34e13V
 才人の舌が下着越しに押す。
 冷たい感触を受けた。
 水分を吸収する生地が、その限界を突破し、液体を漏らす音がアンリエッタの耳に響く。

「んんんんっ」

 アンリエッタは激しく頭を振った。
 脳は全ての情報を受け付けるのを破棄し、ただ一つの事実を検討しはじめる。

 感じていた。

 それはとうの前からわかっていた結論だった。
 しかし、度合いというものがあった。
 今までの自慰でさえも、アンリエッタは絶頂というものとはほど遠いところまでしかいっていない。
 今感じている悦楽の量は、初めての領域であった。

 アンリエッタにしてはこれがどこまで続くのか。
 できうることならば今すぐやめてほしかったのだが、才人はそれを越えたことを行った。
 指で愛液によって濡れそぼった下着のボトムを掴み、隙間から直接舐め上げたのだ。
 アンリエッタはコレまで感じた物の最上の更に上の快楽を感じていた。
 まるで頭でブリッジしているような感じに体を歪め、全身を小刻みに震わせている。
 しかもこれで終わりではないのだ。
 始まってさえいないとも言える。

 才人は更にアンリエッタを追いつめる。
 彼女の秘部を舌で弄ぶ。
 それだけでの脳内が何度も何度も白くなっているのに、まだ表面しか触られていないのだ。
 舌が彼女の体内に始めて入り込んだとき、アンリエッタは初めての絶頂を経験した。
 舌が彼女の陰核の包皮を剥き、触れたとき、アンリエッタは二度目の絶頂を経験した。

 それでも尚、始まってすらいない。

 もはや正常な思考能力はゼロにさせられ、アンリエッタは霞みがかった視界で
 才人が小さなナイフを持っているのを見た。
 視線がこちらに向いたことに気が付いた才人は、にやりと笑う。

 アンリエッタは腰元がすっきりしたような気がした。
 才人はアンリエッタの下着の端を切ったのだ。
 無論、アンリエッタの白い柔肌には一ミリたりとも傷つけられていない。

 才人はアンリエッタの秘部に人差し指をさしいれた。
 これもまたアンリエッタにとって初めての経験だった。
 自慰のときも、指をいれるという行為は今まで一度たりとも行っていない。
 初めての異物感と、それのもたらす悦楽に身をよじるだけしかできなかった。

 また同時に、アンリエッタは、誠に勘違い甚だしいことではあったが、
 男根を挿入された、と思っていた。

 実際には指しか入っていないのではあるが、その指が初めての異物であり、
 何が入っているのかは自分の目で確かめるのではなく、ただその部分のみで感じるしかなかったからだ。
 アンリエッタが男根の実物を見たことはなく、男根ではありえない動きをするそれを
 「そういうものなのだ」と勘違いしていた。
 かといって純潔を失ったこと(それもまた勘違いなのだが)に悲しむ暇もない。
 アンリエッタが男根だと思いこんでいるものは、今も尚アンリエッタを責め立てていた。
 膣内を縦横無尽に動き回り、波状に敏感なところをついていく。

 才人は体を折り曲げて、アンリエッタに覆い被さっていった。

238 名前:きちくおうさいと 8/11 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:13:17 ID:2P34e13V
「気持ちいいでしょう?」

 囁くような小さな声だった。
 しかし、それはアンリエッタの脳にすうっと浸透する声だった。

 アンリエッタはもはや思考の末に出した判断ではなく、反射で首を縦に振った。

「もっと、気持ちよくなりたいっスか?」

 アンリエッタはまたしても首を縦に振った。
 もはや何も考えることはできていなかった。

 才人はその頷きを了承と受け取り、そのままの体勢で指を一本から二本に増やした。
 その二本の指はもちろんアンリエッタを更に悶えさせたが、それ以外にももっと別の意味も持っていた。

 処女膜の拡張。

 才人のガンダールヴの力にそれを行うテクニックがあった。
 処女膜の真ん中に開いている穴に指を差し込み、巧みにマッサージを繰り返すことで拡張することができる。
 処女膜自体は柔らかい肉でできているために、時間をかけて行えば、
 初めての性交時にも破瓜の血を流さずに交合ができるようになる。
 ガンダールヴの力が発現した才人の十八番だった。

 もちろん、それに気が付くアンリエッタではない。
 自らの秘部が才人を受け入れるように開発されていることも知らず、
 呑気と言えば呑気に快楽にあえいでいた。

 才人はちょうどいい頃合いを見て、指を抜いた。
 じっとりと濡れたそれをぬぐおうともせず、アンリエッタの猿ぐつわをほどいた。

「……」

 アンリエッタは荒い息をつき、何も言葉を発さない。
 うつろな目で才人を見つめているだけ。

「これからアンリエッタ姫の処女を貰います」

 才人はやや抑揚のかけた声で言った。
 それもそのはず、現在の才人は半分ほどはガンダールヴの力によって突き動かされているのだ。
 全く才人の意思が絡んではいないとは言い切れないが、それでも彼の意思外が彼の体を動かしていた。

 アンリエッタは静かに目をつぶり、才人に飛びついた。
 状況と格好さえ無視すれば、恋人同士に見えるほど優しく甘い抱擁を交わし、
 才人はアンリエッタを押し倒した。


「えっ、あっ、ちょ、ちょっ……」

 アンリエッタはすぐさま狼狽した。
 体の中に入り込んでくる異物感は、先ほどまでの比ではない。
 一体何を挿入されたのか、と上に乗っている才人の押しのけ見てみると男根。
 さっきまでいれられていたのは一体何だったのか、と思案をめぐらそうとも、
 才人はそれを許さなかった。


239 名前:きちくおうさいと 9/11 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:13:50 ID:2P34e13V
 才人の男根を吸い付くように締め付けるアンリエッタの秘部から、蜜が止めどなく溢れる。
 挿入するたびに押し出される愛液が伝ってベッドを汚す。

「あっ、いっ」

 自分で押しのけた才人の体を強く抱きしめた。
 今すぐにでも逃げ出したくなるような快楽に耐えるために、才人の首の骨を折る勢いで締め付ける。
 快楽の新記録を次々と塗り替えられて、まさに極地にたどり着こうとしていた。

 ふとアンリエッタは考えた。
 もはやアンリエッタは思考能力を失っていたが、
 全ての心が諦観を覚えたときに、ほんの少しだけそれを取り戻していた。
 それはある意味、絶対逃げられない運命が訪れたときにできた空白のようなもので、
 呆然と、文字通り処女地を蹂躙している男の名前を思い出そうとした。

 ルイズが言っていた言葉を思い出した。

「さいと……さまぁ……」

 様付けにするのは生まれのせいか。
 ただ一言その台詞を呟いた瞬間、アンリエッタは全てのしがらみから解き放たれたような気がした。

 初恋の相手ウェールズ皇太子。
 今アルビオンで懸命に戦っているのだろう。
 しかし、星空を見上げると浮かびあがり、キラーンと歯を光らせるシルエットしか思い浮かばない。

 ゲルマニアの王子。
 先日会って、アルビオン貴族派の来たる侵略を防ぐために婚約をした相手。
 しかし、このまま才人でもいいのでは? という思いが、何の根拠も無しに思いついた。

 トリステイン。
 とりわけマザリーニ枢機卿。
 黒マントと杖という組み合わせがあるせいか、
 「どーこからきたのか」というBGMとともに、「ふーはーはーはーはー」とダンディな笑い声で
 飛び立つ姿しか思い浮かばない。

「さいとさま、さいとさまぁっ!」

 痛みはない。
 初めての時には痛みがあると知っていたのに、全く無かった。
 ただ脳を溶かすような快楽があるだけ。
 何度も何度も才人の名を呼び続け、吼える。

「うんっ、あっ、さいとさまぁっ、お、おしたいしてますぅ」

 ただただ性交によってもたらされる快楽に悶え、一種のはけ口として言葉を発する。
 確かにアンリエッタには、もうすでに才人しか見えなくなっていた。

 才人が深く腰を突きいれる度にアンリエッタの頭の中が白くなる。
 アンリエッタはもはや諸手を挙げて降参をしていた。
 けれど才人は許さない。
 股間のハイパー兵器でアンリエッタを更に責め立てる。

240 名前:きちくおうさいと 10/11 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:14:25 ID:2P34e13V
「出すぞ、出す、ぞっ!」

 才人が言う。

「来て、来てくださいサイトさまっ! アンの中にきてぇぇっ!」

 アンリエッタが答えた。
 才人はアンリエッタの最奥に突撃進軍し、第一波攻撃を開始した。

 アンリエッタが獣じみた声をあげ、絶頂を経験する。
 子宮がみるみるうちに精液に満たされ、すぐに溢れ、膣口からあふれ出た。

「……さあ、ようやく一発だ」

 アンリエッタは、才人の呟きに、ただ涎を垂らして喜んでいた。






「……あれ?」

 才人は我に返った。
 ガンダールヴの力に突き動かされ、半ば無意識下の状態から完全に有意識下の状態に戻ったのだ。

「おおぅっ!」

 気が付けば腰の上で、トリステインのお姫様が腰を振っている現実に驚く。
 しかし、じわじわとこれまでの経緯を思い出していく。
 才人が色事に関してガンダールヴの力を使うと、いつもこうだったので、あまり驚かない。
 ただただ、またよからぬ力を使い女性をたぶらかし、
 今度はよりにもよってどうやら偉い人をこましてしまったことに、頭を抱えていた。

「……」

 とはいえ、才人の思考はすぐに切り替わった。
 終わったことをくよくよ考えるよりも、今のことを考えようとしたのだ。

「さいとさまぁ、さいとさまぁ」

 いやはや、なんちゅうか、流石伝説の力……才人は思った。
 あの貞淑そうで大人しそうで、潔癖そうなお姫様が、淫婦のような振る舞いをしている。
 否、もはや淫婦そのものになっている。
 少々現実離れしている、といった光景だったが、確かに局部に感じる感覚は現実の物。

 思えば才人が抱いたことのある女性はタバサとルイズだけ。
 ルイズは女性として起伏が少なすぎる……タバサに至ってはもはや絶壁と同じ。
 アンリエッタは人並みよりかは優れた肉体を持っていた。

 アンリエッタの体をとにかく楽しもう。
 そう思って才人がアンリエッタの胸に手をのばしたそのときだった。

241 名前:きちくおうさいと 11/11 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/11/11(土) 23:15:17 ID:2P34e13V
「お兄ちゃん……」

 氷よりも冷たい声がした。
 それもそのはず、声の発した相手は雪風だ。
 才人以外には、なんの感情の起伏を見せない声しか出さない人物だが、
 やはりプラスだけではなくマイナス方向の声も出せた。

 油をさしていない鉄扉のようなきしんだ音を立てて、才人は振り返る。
 そこには、顔面が歪んで倒れているギーシュと、杖をまっすぐかざしている雪風のタバサの姿か。

「た、た、たばさっ!?」
「何してるの?」
「な、なにって……えと、その、だな」
「また新しい女を作ったの?」

 最初の一声とはまた別に、平坦な声だった。
 表情も全くなく、目も鋭くない。

「おちつけ! おちつけよ、タバサッ!」
「お兄ちゃん、許せない」

 杖の先に魔力が集中する。

 その夜、ルイズの部屋は吹き飛んだのだった。


 尚、処女を失ってしまったためにゲルマニアとの同盟は白紙にされ、
 アルビオンのウェールズ皇太子も、貴族派に敗れ死亡。
 アンリエッタは王女に即位し、
 トリステインたった一国でアルビオンと戦争を起こさなければならなくなったのだが
 その混乱に常時、アンリエッタが才人と婚約。
 もちろん、平民と王族とは身分が違う。
 アルビオンとの戦争で才人はこき使われ、何度も何度も死にそうな目に遭いつつも
 ガンダールヴの力でもって戦場を駆け抜け、単身敵戦艦に乗り込み制圧。
 その他幾多の戦功を上げまくり、有力貴族の一つに名を連ね、
 更に更に英雄扱いされ、戦争終結の末に遂にアンリエッタと結婚。

 愛人を多く持ちながらも、周囲に流されまくり、ついには世界統一を目指す道を進むのだが……。

 それはまた別のお話。
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