X00-42-13のつづきです。
数日後の王宮
「サイト、頑張れよ」
「お前もな、レイナール」
才人もここ数日でようやく公務に慣れてきた。
「サイト殿、大分慣れたようですね」
「お陰さまで」
「その様子でしたら、昼前には終わりそうですわね」
「だと思います」
「それでは、昼餐後アカデミーに赴いてくださいまし」
「えっ…アカデミー…ですか」
(まさか人体実験するつもりじゃ…)
「ご安心を。サイト殿には一切手出しさせません。出した場合は、処刑及び、アカデミーの廃止を申しつけて有ります。用件は、レッサードラゴンの鎧を作るのに、サイト殿の鎧を参考にしたいそうです」
「分かりました」
(姫様コエー)
「それでは宜しくお願い致します」
王立アカデミー
「ようこそ御出で下さいました。サイト殿」
(エレオノールさん、貴女が言うと、とても怖いんですが)
「如何なさいました?」
「いえ、別に」
「本当は、貴方の研究がしたくてしたくて、堪らないのですがね。女王陛下から厳命が下っては如何し様も有りません。ああ、目の前に伝説が有るのに研究出来ないなんて。貴方には分かるかしら、この悔しさが」
「いいえ」
(分かりたくありません。このマッドサイエンティスト)
「本題に入りましょう。鎧姿になって頂戴」
「では」
才人は、鎧姿になった。
「これが噂に高いゴールドドラゴンアーマー!。貴方に分不相応な程神々しい鎧ね。じっくり研究させて貰うわね」
エレオノールをはじめとしてアカデミーの研究員達は、才人に取り付き、鎧を調べまっくった。
「凄い鎧だ。我々の全ての攻撃魔法が通じない。鋼鉄より遥かに硬く強靭だ。其の上、関節部に隙間が全くない、露出部分には、見えない力に覆われている。こんな鎧、見た事も聞いた事もない」
「この鎧が量産出来れば、無敵の軍隊も作れるでしょうに。残念だけど不可能ね」
「そう言えば、この状態なら竜語魔法が使えるのよね?見せてくれない?」
「下手すると、トリスタニアが壊滅しますが?」
「そんなに強力なの?」
「ええ、空に向かって打ち上げない限りそうなります。はっきり言いますが、これの研究はするだけ無駄です」
「確かに貴方以外使えないのではね。でも興味自体は尽きないけどね」
「それより、ドラゴンの鎧の方は如何なんです?はっきり言えば別物でしょう?応用効くんですか?」
「出来る限り応用するわ。貴方の鎧には、遠く及ばないでしょうけど、既存の鎧を遥かに上回る鎧にしてみせるわ」
「頑張ってください。それでは失礼します」
「一寸耳貸しなさい」
「何です?」
「例の計画話は来たの?」
「未だですが」
「もう来てもいい頃でしょうに」
「慌てる必要は無いんでしょう。突拍子もない計画ですから」
「それもそうね」
「それでは今度こそ失礼します」
王宮
「鎧の方はうまくいきそうですか?」
「分かりません。ですが気合入っていますね」
「では、期待できそうですわね」
「そうですね」
「それでは本日は、これで失礼します」
「お疲れさまでした」
(もっとごゆっくりしていけば良いのに)
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「サイト、一寸いいか?」
「何だレイナール」
「一寸小耳にはさんだが、そのなんてゆうか…」
「もしかして姫様、俺、ルイズ達の事か?」
「知ってたのか」
「アニエスさんから聞いた」
「それでどうするんだ?始め聞いた時は突拍子もない計画だと思ったが、今のハルケギニアの情勢を考えればその実、理に適っている。それにしてもティファニア嬢がアルビオンの姫殿下だったとはな」
「俺達の方は、話が来たら受ける事で決まっている」
「3人共全員?と言うことは、全員君に好意を寄せているのか。女王陛下もそうだと聞くし、君には王族の女性を虜にする力が有るのかな?」
「そんな訳有るか!それにしてもこの話、姫様が承諾するまで誰にも言うなよ。噂が独り歩きしたら大変だから。それと俺達がこの話知っているの枢機卿に言うなよ」
「分かったよ。それにしても君は、これからもっと大変な事になるんだね」
「気が重くなるように言うなよ」
「そういや明日だっけ?特訓終了するの」
「そうだったけ?こっちが忙しかったからすっかり忘れていた」
「明日から数日間、君は公務が終了した後、模擬戦が待っているね」
「更に気が重くなるじゃねぇかよ」
「頑張れよ」
「俺一人じゃ無く、お前たちも模擬戦やれよ」
「要望があればな」
「じゃあ要請してみるか」
そして才人達は帰路に就いた。