X00-42-14のつづきです。
次の日の魔法学院夕方
「諸君!よくぞこの1週間、この猛特訓に耐え抜いた。君達自身分かっていると思うが、全員トライアングル以上に成長している。つまり諸先生方と同等以上のメイジになったのだ。しかしハルケギニアは広い。上には上がいる事を忘れずに精進して欲しい」
魔法学院でアニエス式猛特訓が今日終了した。学院生達は皆自分の成長に喜んでいた。
しかし大多数の教師達は、複雑な気持であった。
無論、生徒の成長は嬉しかった。が、
たった1週間で生徒に追いつかれ、又は追い越されてしまった事。
その内容が自分達が忌み嫌う肉体鍛錬で有った事。
自分の今までの人生、経験、教育が瓦解した気分になった者もいた。
明日から自分の授業を真面目に聞く耳を持ってくれないのではないか?そんな疑念を持つ者も多かった。
「諸君、自分の成長を確認したいだろう。しかしサイトは、公務であまり時間が取れない。そこでだ、我々水精霊騎士隊と10対10の模擬戦を実施しようと思う。我と思う者は、挑戦してくれたまえ」
水精霊騎士隊と空中装甲騎士団との一戦を見ていた彼等は、自分達も「ああゆう風に戦ってみたい」そう思う者が多かった。其の為希望者が殺到した。
結局10対10の模擬戦を4戦行った。
無論、模擬戦なので死者が出ては困る。その為色々なルールを取り決めて行った。
それでも派手な魔法合戦が繰り広げられ総勢80名の負傷者を生み出した。
なんとか1日の長で水精霊騎士隊が全勝したが正に紙一重の勝利だった。
勿論、この模擬戦で一番迷惑を被ったのは、モンモランシーをはじめとする、水メイジ達であった。
「人の迷惑ってものを考えなさいよね。本当にもう!」
「ごめんよ、モンモランシー。しかしこういう経験は必要だと思うんだ。君も一緒に乗り込んで感じていると思うが、ガリアがいつ何時行動を起こすか分からない。少しでも力の底上げは必要なんだ。頭では分かっていても、体が付いて来ないとね」
「分かっている。貴方が言っている事は正しいわ。私達も、戦争の怖さは味わったもの。だからこそ、女子もこの猛特訓に参加したのよ。戦争になれば、又ああゆう事が起こるかもしれないからね。でもこの惨状は酷いんじゃない?」
「一応大怪我しない様にルールを決めて行ったんだがね。でも実戦は、ルールなんて無いからね。文字通り命のやり取りを行うんだから」
「確かに襲ってきた傭兵メイジ達は、そんな感じだったわね」
「その時の隊長ってキュルケとタバサを纏めて返り討ちにしたんだろ?」
「そうよ。コルベール先生がいなかったらと思うとゾッとするわね」
「公平に見て僕達其の隊長さんに勝てるかい?」
「無理ね、何か根本に違っていたわね」
「やはりそうか。でもコルベール先生は無理としてもその隊長さんに勝てるくらいになりたいんだよね。それ程の実力者、ガリアにもそう何人もいないだろうからさ」
「そうでしょうね。あっサイト達帰ってきたみたいね」
サイトが風竜から降りると
「サイト、模擬戦頼むぞ」
「やっぱりな、でもお前達も模擬戦やれ…何だあれ?」
「其の模擬戦の跡よ」
「そう言う訳さ、一応勝負には勝ったけど、紙一重だったね。それではサイト先ず1年女子3名と模擬戦をやってくれたまえ」
「1年女子?」
「但し、レイナールが参謀に付くけどね」
「やりたくねぇなあ、負けんのがわかってる戦いなんて」
「サイト殿お願い致します」
1年女子に懇願されてしまった。もはや逃げられまい。
「分かった。じゃあ3試合だけな」
「有難うございます」
才人は、彼女達と対峙した。
やはり才人の速さを封じるつもりの様だ。
違いは、「ブレイド」を発動していなかった。
そして才人の周りを回転し始めた。
そして一人が霧の呪文を発動させ姿を消した。
そして「ファイアボール」が飛んできた。
それをデルフリンガーで吸い込み、飛んで来たところに一気に踏む込んだ。
霧の中人影が見え、デルフリンガーを突きつける。俺の勝ちだと思った矢先。
「相棒、土ゴーレムだ」
「えっ」
背中に杖が3本突きつけられた。
「勝負あり」
才人は、またしても敗戦してしまった。
「凄い」
「レイナール様の作戦通りですわ」
「いやいや、君達の実力だよ」
レイナールの株は、更に上がったようである。
「レイナール、手伝うなよ。こっちは大変なんだから」
「そう言うなよ。君自身女子との模擬戦にやる気が出なかったろう?だからやる気が出るようにしたまでさ」
「お前、敵に回したくないな」
「そう言って貰えると嬉しいよ」
才人は、その後2戦とも敗戦となった。