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X00-42-2のつづきです。
午後3時頃 王宮の中庭にアンリエッタ達が、出てきた。
そして会議で決まった内容を発表した。
中庭が大きなどよめきに包まれた。
そんな中、一人の少年が声をあげた。レイナールであった。
「恐れながら陛下に申し上げたい事が御座います」
「なんなりと」
「先ずサイトです。彼の功績を考えれば大元帥という地位も当然と思われます。しかし指揮権が無いというのは、どう考えてもおかしいと思われます。これでは彼は神輿に過ぎません」
「いや俺、指揮能力無いし」
「知っている。君は直情型だからな。それでもこれはおかしいと言わざるを得ない」
「サイト殿に伺います。この地位に相応しい指揮権が必要ですか?必要ならばもう一度会議を掛け直します」
「要りません。ていうか大元帥という名前自体引きたくなります。もっと分相応に出来ませんか?」
「では国王が宜しいですか?」
「なんで王様なんすか?!冗談は止めて下さいよ」
「貴方の功績が大き過ぎるからですよ。大元帥が御嫌なら私が退位して国王をお譲り致します」
「分かりました。お引き受けいたします。ですから恐ろしい冗談は止めて下さい」
(冗談ではないのですが)
「次、宜しいでしょうか?」
「どうぞ」
「次は私の地位です。私にはサイトの様な大功績は御座いません。更にサイトには無い指揮権が御座います。これでは私が軍の実質トップになってしまいます。これでは殆どの方々の理解が得られません。付け加えるならば他の魔法学院生にも厚遇が過ぎます」
「成程、貴方のご意見御尤もです。しかしながらあなた方の活躍で国が救われました。対して王軍は、壊滅しました。それは多くの人々が目の当たりにしています。この人事に文句をつける民は居ないでしょう。王政府もそうです」
「ですが」
「厚遇が過ぎる、との事ですが会議の途中までは、もっと上の地位にしようという意見が多かったのですよ。ですから逆にこの地位に満足することなく精進して欲しいのです。宜しいですか?」
「分かりました。名に恥じぬ精進を致します」
「よろしくお願いします」
「あと一つお知らせする事が御座います。サイト殿を大公に叙することが決定致しました。領地はアルビオン・サウスゴータ地方です」
大きな歓声が上がった。
「姫様、幾らなんでもそれは」
「先ほど私が言った事をお忘れですか?これでも全く足りないのですよ」
才人は撤回して貰おうと思ったが、口論では全く歯が立たない。こういう時こそご主人様の出番だと思いルイズを見た。
彼女も同じ思いだったらしく、ぶつぶつ呟きながら頭をフル回転させていた。しかし才人同様、撤回させる言葉は見つからなかったらしく反論しなかった。
「サイト殿、ルイズ、ティファニアさん、この件に関しまして、お話したい事が御座います。後ほど執務室までいらして下さい。それから来週の虚無の曜日に叙勲をここで執り行います」
「姫様すいません。少し時間を頂けませんか?子供達にお別れを言ってきたいので」
「サイト!」
「勿論構いません。急にこんな事になってしまったのですから」
「有難う御座います。タバサ頼む」
「わかった」
シルフィードは、才人達を乗せ修道院へ向かった。
残された者達は、口々に喜びを分かち合った。
「モンモランシー、これで君も僕もシュバリエだよ」
「ええ、だけど私なんかが」
するとアンリエッタが歩み寄って来た。
「今日は本当に有難う御座います。モンモランシーさん。貴方のお陰で多くの人々が救われました。本当に有難う御座います」
「そんな陛下お礼など。当たり前の事をしただけです」
モンモランシーは、驚きながら話した。
「いいえ、貴方は多くの悲しみを防いでくれました。ですから王宮で、私の下で働く気は御座いませんか?貴方にはその資格が十二分に有るのです。私は、一人でも多く優秀で信頼の置ける人物が欲しいのです」
「そんな、私如きが」
「今すぐ返事を、とは申しません。ですがよい返事を期待しています」
そう言い残し、アンリエッタは執務室へ向かった。
「凄いじゃないか、モンモランシー。陛下が直々にあそこまで申されるなんて」
「私も凄く驚いたわ。でも王宮勤務なんて荷が重いわ」
「君なら大丈夫だよ、モンモランシー。それに王宮勤務なら卒業しても離れ離れにならなくてすむ」
「確かにそうだけど」
「とにかく今日はパァっといこうじゃないかね。流石に今日トリスタニアで騒ぐのは不謹慎だから魔法学院で盛大に騒ごうじゃないかね」
「ええ、そうね」
「それではみんな、魔法学院で大騒ぎといこうじゃないかね」
「オー」
学院生たちは、帰路についた。