才人達は製鉄所に訪れ、ジョルジュの説明を受けながら、見学をしている
製鉄所は河口沿いにあり、水車と上流から採取した水を大量に使っている
鉄鋼石は水上船の貿易であり、輸入先はゲルマニアとガリアからである
喫水の深い鉄鋼石船は、専用の港を使っており、港付近に山積みした後、単純作業専用のゴーレムを用いて、高炉にくべている
鞴は水車を用いて稼動させ、石炭が蒸し焼き塔でコークスに蒸留されている
炭鉱も領内掘削で有るが、ハルケギニア各地に存在し、非常にポピュラーである
才人は一通り説明を受けた後、皆の注目を浴びつつ、何かを勿体ぶっている
コルベールはそんな才人をワクワクしながら見、エレオノールはこの平民が今度は何をやらかすか、気が気でない
皆がゴクリと息を飲み、才人の言葉を待ち、そして、とうとう才人が口を開いた
「全っ然、解らん!!」
すてん
期待してた全員が、派手にすっ転ぶ
「おろ?」
キョロキョロと転んだ皆を見回し、顎に手を持って行く才人
そんな中、エレオノールがゆらりと立ち上がり、乗馬鞭をぺしぺしとはたきつつ、才人に向けて問答無用で叩き出した
何故持っているのかは、謎である
「こんの…………お馬鹿〜〜〜〜!!」
ベシッ!!
「あいた!?」
「散々期待させといて、言うに事欠いて、『全然解らん』ですって?このこの馬鹿平民!!あんた、グラモン伯に謝んなさい!!」
ピシッピシッピシッ
容赦なく才人に鞭の雨が降る
「あだ、痛っ、ちょっ、待ってくれ、冗談、冗談だから、ぎ、ギブ、ギブ!!」
鞭を放り出したエレオノールが、更に才人の首をギリギリと絞める
どうやら、怒りが才人の腕力を越えたらしい
才人が一旦落ち、失神から立ち直ると、コホンと咳払いをしてから語り出した
「ごめんごめん。それじゃあ、仕切り直しと言う事で」
エレオノールがギラリと睨み、ジョルジュが笑っている
先程のジョークが気に入ったらしい
「順を追って説明するわ。ジョルジュさん」
「何だ?」
「鉄鋼石と一緒はコークスだけ?」
「その通りだが?」
「…成程ね」
才人が地面にかりかり書き出した
FeO+C+H2O+N2+cal→Fe+2H++CO+2N+
皆が才人の暗号を、ハテナマーク連発で見ている
「あぁ、此じゃ水素脆性と窒化と酸化起こすよなぁ。道理で脆い訳だ」
「何の事だ?兄弟?」
「説明しても解らんだろうから、後で。石灰と珪素用意して」
「才人君、石灰は解るが、珪素って何かね?」
コルベールが才人に問い正すと、才人が答える
「石ころに入ってる金属元素ですよ。珪石を用意して、錬金で抽出して下さい」
「…兄弟、元の金属の性質が解らんぞ?其じゃあ、錬金しても失敗する」
ジョルジュが口を挟むと才人が更に考える
「成程ね。つまり抽出を手助けする炉か魔法を作らないと駄目と………錬金苦手な炎使い」
才人が声を掛けるとキュルケが応じる
「ミスタコルベールは錬金得意だから、私が一番下手になるわ」
「おっけ、粉末化した木炭か石炭と、珪石用意してくれ」
言われてジョルジュが持って来るのが面倒なので木炭を錬金し、ギーシュが其処ら辺に有った、珪石を持って来る
「じゃあキュルケ、イメージは炎を用いて性質を変える手助けするイメージ」
「随分曖昧ね」
キュルケが驚く
本来はイメージを固めて使うのが、魔法の習わしだからだ
「あぁ、曖昧な方が良いんだよ。スペルは火と土のライン………そうだな、ウル・カーノ・ソウイル・アース・デル」
「……太陽の様な炎で、土よ変われ?」
「その通り」
「おいおい、ソウイル使う即興スペルか?兄弟は無茶な事考えるな」
ジョルジュが呆れ、コルベールが答える
「大丈夫ですぞ。才人君は、勝算無しではやらないですぞ?」
「ま、お手並拝見だな」
ジョルジュが見物してると、才人が珪石に木炭をまぶし、キュルケに向かって頷くと、キュルケは魔力を立ち上げる
キュルケは、才人の行為に未塵の疑問を持たない。イメージは、疑いの念があれば失敗するのだ
特に、ソウイルは只でさえ暴走と紙一重のルーンである
「微熱を指名したダーリンは正しいわ。今、証明してアゲル!ウル・カーノ・ソウイル・アース・デル」
キュルケの声で歌う様に紡がれた詠唱は、優美な曲線と杖の振り上げと相まって、非常に美しい
そのまま杖を珪石に振り下ろすと、ボンと音を立てて炎が一気に燃え上がり、燃え尽きた後には黄色味がかった金属が先程の珪石より小さめで出現し、皆が驚く
「嘘?一発で成功?」
エレオノールが驚く
普通は失敗から問題点を抽出して、魔法を組み立てる
今有る系統魔法が体系化されてるのは、無数の失敗の上に成り立ち、比較的操作が容易な為、使われているに過ぎない
魔法には本来、無限の可能性が有るのだ
だが、現在のアカデミーでもそうだが、そう言った新技術はブリミル教の強い保守層には、受け入れられない
「よっし、成功。流石キュルケだな。スペルは炎(ほむら)の錬金とでも、しておこうか」
「へ、平民。説明しなさい!!説明!!」
エレオノールが才人に詰め寄り、顔をずいっと寄せる
「簡単だよ。溶鉱炉の反応を、魔法で再現しただけさ」
「はぁ?そんな簡単に出来る訳無いでしょ?」
エレオノールはプンスカ詰め寄る
魔法炉クラスが即興魔法で発現されたら、アカデミーの権威失墜だ。もう必死である
「んな事言ってもなぁ。化学反応を、魔法で促進しただけさ」
「だから、何でそう簡単に?」
才人が先程と同じ様に、地面に暗号を書き始める
SiO+C+cal→Si+CO
2CO+O2+cal→2CO2
「さっきから、この暗号は何よ?」
「化学式。今起きた反応を説明すると、珪石ってのは酸化珪素の事。つまり酸素と珪素の化合物だ」
「酸素?」
エレオノールが問うと才人が答える
「俺達生物が生きるのに必要な、空気の組成の一つだよ。で、熱を加えるとイオン化する。其処に炭素が有ると、高熱時に一酸化炭素、更に空気中の酸素と反応し、二酸化炭素になる。その反応自体が炎な訳」
「すると、中に残ってた珪素が抽出されるって寸法ね。溶鉱炉の鉄鋼石の反応と全く一緒。錬金と違って、化学反応を促進させるだけだから、純度は石ころの純度に比例する」
「つまり、土メイジなら錬金の補正で補い、火メイジなら炎の反応効果で補う。正に2系統なら、どちらでも使えるスペルな」
才人の理論に、全員ポカンと才人を見る
「ま、科学を用いた魔法って事で」
才人が両手をぽんと叩き、一仕事を終えた事を伝える
「本当に、あんた何者?」
「エレオノールさんの所長だよ」
エレオノールの問いに軽く笑いかけて、エレオノールがポカンとする
「其じゃあやってみっか、ほら」
そう言って、エレオノールの手を取り、杖を向けさせる
「い、一々触るなぁぁぁぁぁ!?」
「この程度のスキンシップで、初だねぇ」
才人が笑い、エレオノールは真っ赤になる
「ああああんたに言っておく事が有るわ」
「ん、何?」
才人はニヤニヤしながら、エレオノールの百面相を見る
エレオノールは一歩下がる
『本当に、ルイズの拡大発展版だなぁ』
「わわ私は貴族よ。ヴァリエールよ。あああんたみたいな平民が、触れて良い存在じゃないの。いい加減にしなさい」
「うんうん、で?」
「私は淑女の中の淑女。私に触れて良いのは、父様と、将来結婚する旦那様だけよ」
「そいつは参ったな。エレオノールさんは、俺の嫁にならないと駄目なのか」
才人がからかい、エレオノールは才人を真っ赤に且つ涙目で訴える
「ちっがぁぁぁぁぁう!?私の婚約者はバーガンディ伯爵よ。あぁ、あのお方こそ、貴族の中の貴族、私の運命、私の宿命。あぁ、バーガンディ伯爵様。早く私を、この薄汚い平民からお救い下さいまし」
両手をその控え目な胸の前で組み、空に向かってよよよと涙を流す
「……自分に酔ってるわ」
「流石はあのルイズの姉って所かしら?」
モンモランシーとキュルケが痛い様をヒソヒソと話し、ギーシュが更に感想を漏らす
「……つまり、才人をバリバリに意識してますって、告白してるのと一緒だよねぇ」
「…コルベール先生」
「ノーコメントを貫かせて頂こう」
そんな中、伝書梟がバサバサとエレオノールの肩に止まり、一通の手紙を携えている
「あぁ、私の祈りが通じましたわ!!始祖ブリミルよ、信者たる私に対する施し、感謝致します。愛しのバーガンディ伯爵からの手紙!!」
エレオノールが封を開ける前に手紙に口付けをし、周りがげんなりとする
そして、手紙を見た瞬間、エレオノールは固まってしまった
完全に硬直し、ピクリともしないエレオノール
流石に才人も汗を足らし、問い正す
「一体、何が書いて有ったんだ?」
才人が後ろから手紙を覗くと、こう一文が書いてるのみだった


もう、限界です

バーガンディ


才人は溜め息をつき、そのままジョルジュに声をかける
「ジョルジュさん、粉末にした石灰と珪素用意して、鉄鋼石と一緒にぶち込みましょう。其で大分改善する筈です。手棒溶接で使われてる脱酸材と保護材なんで、有効な筈です」
「ふむ、了解した。彼女は?」
才人が首を振り、皆を促す
皆が才人の動きに従い、エレオノールがぽつんと残された
才人達が作業してる間、昼も食べず、エレオノールは一人佇んでいた
日が傾き、帰る時間になると、やっとエレオノールがぽつりと呟く
「………なんで?」
「…」
「………どうして?」
「…」
「……何が……限界なの?」
『言っても無駄だよなぁ』
才人が連れ帰る為近寄ると、エレオノールが呟き出した為、才人は黙って聞き、ぽりぽり頭を掻くと、そのままエレオノールの肩に手を置く
エレオノールは、人目も憚らず大粒の涙を流している
「……平民は……解る?」
「まぁ………ね。俺がお尻ぺんぺんしたのと、多分同じ理由だよ」
「……私が………悪いの?」
「さぁ……俺は、バーガンディ伯爵とやらじゃ、無いからな」
「……平民は……平気?」
「ま、ルイズで馴れてるからな。今日は飲もうぜ。奥さんのレティシアさんは、趣味でバーテンやってんだと。わざわざ、一部屋パブに改装してるんだとさ」
エレオノールが動き出さない為、肩を抱き、一緒に歩かせる
竜籠が二人を待っていた

*  *  *
グラモン家のパブでは、レティシアがバーカウンターに立ち、バーテンの格好をして、自作のシェイカーを振っている
バーにはピアノが置いてあり、更にピアノの前には、コントラバスとチェロが用意されている
才人とエレオノールがカウンター席に座っていると、ジョルジュとギーシュが入室し、ジョルジュがコントラバス、ギーシュがチェロを持ち、デュオで演奏を始める
ゆったりとした曲調
正に、今のエレオノールには染み渡る調べだ
「ヒュ〜。グラモン兄弟は、趣味良いや」
才人が感嘆すると、レティシアがふふんと鼻を鳴らす
「でしょう?本当に伊達に付いては、トリステイン一よ。此は私の研究品。二人共飲んでみて」
グラスにシェイカーから酒が注がれ、二人に芳香を放つカクテルが振る舞われる
「まさか、トリステインでカクテルが飲めるとはなぁ」
クイッと才人がグラスを傾けると、柑橘系の香りと、其に紛れて非常に強いアルコールが喉を焼く
「こんな事やるのは、私位よ。お酒を組み合わせて、美味しいお酒作るの趣味なのよ」
「お見事」
才人が飲み干したグラスを掲げて、賛辞を示す
エレオノールはちびちび飲んでいる
エレオノールもどうやら、ルイズと同じく少々弱いらしい
「エレオノール。此で通算三桁いった?」
「………まだ」
返って来た声は力が無い
「そんなに有名?」
才人が思わず乗り出し、問い正すとレティシアは才人に耳打ちする
「社交界じゃ、非常に有名よ。賭け迄行われてる位よ」
「……気の毒に」
才人が呟くと、レティシアがくすりと問い正す
「あら、どちらに対して?」
「両方さ」
「まぁ」
レティシアがくすりと笑い、才人が肩をすくめる
「で、さ、エレオノール。このままじゃヤバいわよね。もう年だし」
ぴくんとするエレオノール
20台前半迄に結婚出来ねば、その女性は地雷持ち
こうして、男性陣からは避けられる
男性陣は女性が余っている為、わざわざ選ぶ必要が無いのだ
エレオノールはヴァリエールブランドが付いてるとはいえ、手お………崖っぷちである
主だった封建貴族からは、ほぼ袖にされている
もう、国外位しか路が無い。だが、ヴァリエールの家名は、相手にも相応の格を要求する
もう、詰………ギリギリである
「さて、そんな貴女に朗報です」
「…」
エレオノールは黙っている
「エレオノールの隣に居りますは、陛下と近衛隊お気に入りの無冠の騎士にして、騎士位を蹴り出す余裕を見せ、エレオノールの気性すらあしらう稀有な男です。ここら辺で妥協しない?」
「……あのね、グラモン夫人」
「レティシアで良いわよ」
「じゃあ、レティシアさん」
「はいはい」
「面白がってるでしょ?」
「えぇ、そりゃもう。何時もの事だしねぇ」
また新しいカクテルを作る為、シェイカーをしゃかしゃか振るレティシア
「落ち込んでるんだから慰めてあげても」
「なら、貴方がベッドで慰めて上げたら?この娘、間違いなく処女よ?」
「……あのね」
「あぁら、グラモン家なら、酒と男女の下世話な話には事欠かないわよ」
既に子供がいる為か、グラモンに嫁いだせいか、開けっ広げである
コト
新しいカクテルが才人に差し出されると扉が開き、4人が入室してくる
借りたパーティードレスに身を包んだキュルケ、モンモランシー、タバサと、服を借りたコルベールである
「ミセスグラモン。招待有り難うございます」
キュルケが艶やかに一礼し、モンモランシーとタバサも追随し、コルベールも礼をする
コルベールは才人の隣に座り、キュルケ達はテーブル席に座り、ギーシュ達の演奏を聞いている
更にシェイカーを振り、コルベール達にも夫人の自慢のカクテルが提供され、静かで賑やかな夜を過ごす
「ねぇ、エレオノール」
「…」
「私が卒業してからジョルジュと結婚する迄、暫く時間が掛ったの知ってるでしょ?」
こくりと頷くエレオノール
「三年位会ってなくて、私の家族がミノタウロス退治に駆り出されて、私も手伝いで出たんだけど、私残して全滅した時に、もう駄目だって思ったのよ。そうしたら、当時、竜騎士隊に所属してたジョルジュが、火竜に乗って増援で現れたのよね」
「そんで、火竜のブレスでミノタウロスを灰にした後、ダメージ負って歩けない私を抱き上げて、何て言ったと思う?」
「……さぁ」
エレオノールが興味無さげに応じる
他人の恋バナなぞ、今は聞く気が無い
「『レティシア、やらせろ!!』ですって」
才人とコルベールはププッと吹き出す
「だから、私はこう返したのよ『三年遅いぞ、馬鹿たれ!!』」
聞いたエレオノールも、遂に笑い出す
「私の家族はドットばかりで、ミノタウロス相手じゃ全く歯が立たなくて。でも皆、私逃がす為に盾になってくれて」
「ジョルジュはそんな私の家族を全員弔ってくれて、こう言ったの「『今から、レティシアはグラモン夫人だ。俺は浮気性だが、生涯お前を愛す。君の家族に、杖を掛けて誓おう』……格好良すぎよね、あの馬鹿」
「……そうね」
「貴女の隣に居る男も、多分そういう男よ」
才人は黙ってグラスを傾ける
コルベールはそんな才人を、面白そうに見ている
「ねぇ、エレオノール。恋に敗れた傷は、恋で癒すしかないわ。今日は泣いて、明日からまた頑張りなさい」
エレオノールはこくりと頷き、一気に杯を傾ける
すると、黙って聞いてたキュルケ達が席を立ち、キュルケがピアノに、タバサが用意されてたバイオリンを、モンモランシーがビオラを手に取ると、ジョルジュ達に合わせて演奏を始める
クインテット弦楽奏
思わず全員が聞き惚れる
「あぁ、初めてグラモン家に来た時思い出すなぁ。あの時も、兄弟4人で弦楽奏してくれたのよね」
レティシアがうっとりと語る
「だから、私がこの家で出来る事は何かって思ったの。そしたら、私はキモチの良い音楽に合わせて、お酒を提供しようって、思ったのよ」
才人達は一呼吸置いて、喋る
「素晴らしいですよ、レティシアさん」
「素晴らしい酒ですな、ミセス」
「有り難う。私の友達の同僚さん。エレオノールは脆い部分が有るの。いえ、脆いから取り繕ってるの。悪いけど、支えてあげて」
「流石は水メイジ。心には敏感だ」
「えぇ。水メイジは恋愛には強いのよ?覚えておいて」
「肝に命じます」
才人がそう言って、酒を煽る
エレオノールに杯を向けると、エレオノールは小さく杯を持ち上げた
才人は其にチンと杯を合わせ、エレオノールの目に、ほんの少し光が戻った様な気がした

*  *  *
カクテルの一気飲みは、飲み易さの為、本人には知らずに一気に回る
才人は知っていたのだが、レティシアのオリジナルの為、エレオノールは知らない
更に酒の弱さが直撃し、エレオノールは潰れてしまった
そんなエレオノールを運ぶ為に、レビテーションを掛けようとしたジョルジュがレティシアに制され、才人がおぶっていくハメになった
レティシアはイタズラっぽくウィンクして、才人に宣った
「甲斐性みせなさいな。無冠の騎士様」
才人はモンモランシーにつねられ、ギーシュが苦笑し、キュルケが笑顔で爪痕をたっぷり付け、タバサが耳元で囁いた
「今度、私の家」
そんな感じで皆が寝る為に退室し、エレオノールを寝室に運ぶ為に背負う
「軽いな」
ルイズと同じ様に、思った以上に細身なのだろう
身長はルイズより高いが、才人よりは低い
「全く、こんなに美人なのに勿体無い」
普段は性格のキツさが目元に出るのだが、酔い潰れて眼鏡をずらして眠る顔は、ルイズより美しい
才人がそのまま部屋迄おぶり、部屋に入るとエレオノールをトスンと降ろし、ベッドに横たえる
才人は眼鏡を外してベッド脇に置き、ベッドに腰掛け、頭を撫でる
すると、苦しそうに喉をかきむしる
「あぁ、スカーフが苦しいのか、待ってろ」
エレオノールのスカーフを外し、シャツを脱がせ、スカートがしわにならない様に脱がせ、シュミーズとショーツのみにする
どちらも透けており、下着にも気合いを入れている
「あぁ、バーガンディ伯爵に対してのか」
エレオノールの唇が少し動く
「…」
「ん、何だ?」
才人が耳を近付けると、囁きが聞こえる
「…水」
「待ってろ」
水差しをエレオノールの口に持っていくと、水を飲めずに溢してしまう。酔ってるせいだろう
其を見た才人が、水差しの水を含み、エレオノールに口移しで何度も飲ませる
エレオノールは朦朧と受け入れ、特に反応しない
そしてそのまま寝てしまうが、才人もクラリとアルコールが来る
「駄目だ……俺も……限界……」
エレオノールの隣でばたりと倒れ、何とか村雨だけは立掛ける
そのまま、同じベッドで寝てしまった

*  *  *
エレオノールが眼を開けると、開口一番にしかめながら宣った
「……酒臭い。あれ?二日酔いしてない。何で?えっと、バーで潰れて、誰かに運んで貰ったっけ?うん、何となく覚えてる」
「で、誰かが介抱してくれたのよね。確か、あの時水飲めなかったから、わざわざ口移しでやってくれたんだっけ。レティシアかな?あのお陰かぁ」
其処まで喋って右側を見ると、才人が無意識に脱ぎ散らかした服が床に散乱している
「何で平民の服?」
左に首を回して見ると、才人が寝ている
そして、自分の身体が才人に触れている事を自覚する
「なっなっなっなっ、何で平民といいい一緒?」
そして、下着を見られた事に気付く
「………あ、見られた……み、み、見られたぁ!?」
『ど、どうしよ?もしかしたら、この平民に無理矢理奪われちゃうかも!?って、準備してたのバレた!!』
そんなエレオノールに才人が寝返りをうって身体を寄せ、そのまま引っ張られ、背中が才人に密着する
「きゃあ!?あんた、起きてんでしょ?ななな何してるの?ふざけないで、男らしく正面から……」
「すぅすぅ」
寝息しか聞こえない
試しに振り返り、何とか手で瞼を上げてみる
完全に寝ている
「嘘、寝ててやってるの?そ、そう言えば、母様も父様の寝相の悪さを言ってたっけ。寝てる癖に色々されたとか……」
すると、才人の手が胸に伸びてくる
「ちょっと、平民、あんた寝てる癖に、あああぁ!?」
才人の手が無造作に突起を捉え、エレオノールがビクビクと反応する
「止めて、お願い、止め、ひっ!?」
身体の下に回された右手がそのまま股間に移動し、エレオノールの自分自身ですら、トイレ以外では触れない場所に侵入する
下着の上から擦られ、身体が跳ね上がる
「あ、ひっ!?お、お願い、やめ」
身体がビクビクとし、更にお尻に硬いモノが押し付けられた
「やぁ、何これ?硬い」
才人が寝ながら腰を動かし、更に愛撫を止めず、エレオノールの髪を掻き分け、耳を舐める
「あぁあ!?止めてぇぇ!!……一体どんな夢見てんのよ?」
一度もして貰った事が無い愛撫を受け、身体が言う事が効かなくなり、あっさり放棄する
才人が起きる迄じっくりと愛撫され、身体中が言う事が効かない
ビクビクしながら涙目であえぎ声を出すのだけは我慢し、拷問の様に時間が過ぎていく
「……んあ、朝か。あれ?」
才人が起きると、エレオノールが才人の腕の中に収まり、ビクビクと震えている
しかも、パンツから戦闘準備が完了した武器が露出し、エレオノールの尻にくいくい押し付け、その感覚は非常に心地良い
しかも両手はエレオノールの乳やら股間やらを愛撫し、エレオノールは軽く手を添えて震えている
抵抗しようとしたのか、誘ったのかは才人には解らない
「何で……こうなってんだ?」
「ふっん……此方が聞きたいわよ……平民」
エレオノールがジロリと才人を睨む
でも涙目で、その仕草は非常にエロティックだ
才人は更に武器が強くなるのを自覚する
「……で、何時までくっついてんのよ?」
「あぁ、ごめん」
離れようとするが、腕ががしりと掴まられる
「なんか、ビリビリ来るの……動けないの。平民、何とかしなさい」
「本当に悪かった。後で好きなだけ責めて良い。だから、自分でやってくれ」
どうやら、寝てる最中に色々やってしまったらしい
才人が再度離れようとするが、涙目に訴えられる
「し、知らないの」
「……へ?」
「何度も言わせない!!」
『あぁ、だからして欲しいと』
「平民に触られるの、駄目なんだろ?」
そう言って才人は無理矢理離れる
「あ………」
才人の手が離れるのを惜し気にエレオノールの手が追い、伸びる。エレオノールは才人の立ち上がったモノを見、才人がそのまま着替え始めるのを見る
才人はそのまま村雨を抱えて、出て行ってしまった
パタン
茹で上がった身体をどうすれば良いか解らず、才人がやった様にする
「……気持ち良くない」
振り絞って誘ったのが完全に不発に終わり、エレオノールはムカッ腹が立つ
「な、何よ何よ、あの馬鹿平民!!」
枕を扉に投げつけベッドの上で丸くなり、更に震え始めた

*  *  *


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