それぞれの戦場
ギーシュ=ド=グラモンは、無事にロサイスの土を踏む事が出来、一先ずは安堵の溜め息を付いた
下士官のニコラは、実に良く働いてくれている
お陰で自分はする事が無い位だった
輸送艦隊からは遠くの砲声が聴こえて来ただけで、戦列艦隊が無事に戦線を突破をしたのを知ったのはロサイスで降り立った時であり、水兵達が占領した建物にトリステインとゲルマニアの旗を翻し、野戦病院が出来ていた
思わず手伝おうかと足が向いた時点で、ニコラに止められる
「駄目ですよ、隊長殿。隊長殿は明日以降のサウスゴータ攻略戦に向けて、魔力と精神力を温存しなきゃなりません」
「でも、僕程度なら魔力なんか無くたって対して「違いますね」
ニコラが台詞の途中できっぱりと否定し、頼りになる副官の意見を拝聴する
「良いですか、隊長殿。俺達の相手はメイジとか、人間より力の強いトロルやオーク、下手すりゃ竜騎士です。銃や擲弾だけでは、駄目な展開も当然有り得ます。引き出しは多いに越した事は無いんですよ。隊長殿がドットでも、魔法が有るだけで全然違うんです」
ギーシュはその言葉に頷いた
「…そうだね、ニコラの言う通りにするよ」
そう言って、ギーシュは割り当てられた部屋に行く事にした
キョロキョロと黒髪の男が居るかどうか、目につく黒髪を屋根に飛んで追って見たのだが、どうも配属が全く違うらしく、あの独特の服装が見当たらない
「残念……居ないか。クラスメイトとすら会わないし、しゃあないよな」
そう独りごちて、部屋に入った
「一人寝は寂しいね。早くだらけたいなぁ」
渇望は、魔力と精神力の下支えになってる事に気付いてない

*  *  *
トリステインの哨戒網を抜けつつ、ステルス艦隊に搭乗しているワルドは、今まで共に戦っていたホレイショや部下達の事を思い浮かべていた
「正面衝突時に抜けるとは、連中恨んでるだろうな」
「仕方ないだろ?あんたしかトリステイン哨戒網の潜り抜け方知らないんだから」
「まぁ、そうだが…」偽装されているとは言え、完璧ではないし、音も漏れる
漏れる分はサイレンスで無音を保ち、帆の調整の為に、甲板員迄不可視の布を用いたセーラーで帆を動かしているが、不可視の布製帆の様子が解り辛いので四苦八苦している
輸送艦の中には、オークやトロルが犇めいており、実に居たくない
なので、人間達は甲板に寒いにも関わらず、佇む者が多かった
不可視の布の天井のお陰で、あまり風が入って来ないので、思ったより寒くないと言った理由もある
そんな中、ワルドに近付いたのは二人
盲目のメンヌヴィルと、騎士鎧に身を包んだ昔ながらの騎士だった
現在では、フルプレートメイルは非常に珍しい
装甲擲弾兵もプレートメイルだが、あちらはより軽量なハーフプレートだ
「ワルド殿、見付かってないだろうな?」
「ムーア殿。大丈夫ですよ。特に変化は有りませんな」
髭を蓄え、兜を小脇に抱える騎士にそう答え、衛士隊時代から変わらぬ装束のまま、ワルドは答えた
「この作戦に、アルビオンの命運が掛かっておるのだ!細心に細心の注意を重ねるに越した事は無い筈だ」
「アイアンナイツは昔ながらの騎士団と聞いて居たが、頭の固さもパラディン並か?」
ムーアの言にメンヌヴィルがそう言って、鼻を鳴らしている
共に戦ったメンヌヴィルは、ワルドに対する空での評価は高い
使える戦友は、楽に仕事と趣味をこなす為には非常に重要なのだ
「メンヌヴィル隊は此所で離脱だな。後は徒で行く。迎え頼むぞ」
「あぁ、行ってこい」
メンヌヴィルはそのまま舷側から消えると、彼の部下達も次々に消え、メンヌヴィル隊が一路トリステイン魔法学院に向かって行き、残されたワルドとフーケ、更に鉄騎兵のムーアはトリスタニアの方に顔を向けた
「追い風だ、此方の開始もメンヌヴィルとの作戦開始時刻と合わせる。トリスタニア近郊の森に潜むぞ」

*  *  *
戦場に人員が割かれた為に、トリスタニアの街も微妙に人の通りが減っていて、各店では閑古鳥が鳴く事が多くなっていた
そんな中、警備の増強をアンリエッタに進言したのはゼッザールである
「陛下、トリステイン魔法学院に対し、警備の増強を進言致します」
「ゼッザール、理由を」
アンリエッタは政務に携わる中で、空になったトリステインの守備を勘案する為に、近衛の意見やマザリーニ、デムリの意見は特に聞く様にしている
兵力自体は近衛4隊が居るが、心許ないのは事実だ
近衛だけでは、トリスタニア防衛すら危うい
「理由は‥‥言わないでも解りますね。他国も含めた有力貴族の子弟が多い‥‥からですね?」
「御意。しかし欠点が有ります」
「只でさえ薄いトリスタニアの防備が、更に薄くなる事」
「ですな」
アンリエッタは暫し考えたが案が出ず、他の近衛に聞く事を提案してみる
「私では軍事には疎いので、案が浮かびません。ジェラールやアニエスの意見はどうなのです?」
「グラモンは女性の警備ならと立候補、ミランはトリスタニアの警備を重視し、乗り気では有りません。両者共に一理有りまして、私が出張った訳ですな」「そうですか‥‥」
絶対数から見ても、民を守るならアニエスの姿勢が正しい。だが、外国貴族も居る魔法学院の防備の増強は外交問題に直結する
寡兵と言えども割かねば、仮に攻勢が起きた場合、言い訳すら立たない政治案件だ。アンリエッタは暫し考え、結論を下した
「銃士隊の一分隊をアニエス指揮で魔法学院に派遣しなさい」
「御意」
ゼッザールは一言のみで礼をした。無難な落とし所といった手並みだ。元帥格、しかも自らの剣を差し向けたので有れば、外交的にも問題無い。例え、全滅したとしてもだ
そう、アンリエッタは、何かあった時にはアニエスに死ねと命令したのを、ゼッザールは正確に理解したのである

*  *  *
アンリエッタに謁見の間に呼び出されたアニエスは、不満を押し隠したまま頭を垂れている
「‥アニエス、面を上げなさい」
「はっ」
表情を消したアニエスに、アンリエッタは近寄る様に手招きすると、アニエスが近寄り、アンリエッタは小姓から銃を受け取り、アニエスに手渡した
「貴女なら使える筈です。前に才人殿から直接頂いた03式と04式銃と弾丸です。トリステイン王家の御召し銃として装飾されてますが、銃士の貴女ならば、メイジにひけを取らぬ活躍が出来るでしょう。お使いなさい」
「有り難き幸せ」
アニエスが受け取ったのは、銃身や銃床に装飾が施された、美術品としての価値が高い銃だ
ガチリと折って弾丸をセットすると、ガチンと嵌めてアンリエッタに銃口を向けた
アンリエッタは平然としている
「陛下、反逆罪を摘要しないのですか?」
「あら、今の段階で私を裏切るとは思えません」
「良い度胸です。流石我が王」
銃口を下げるとすかさず膝を着くアニエス
「無礼は、陛下の剣として働く事で返します」
「期待してますよ。後、」
「はい」
「戦役が終わったら、女の幸せも追求しましょう」
「…御意」
「主人の居ない間に邸宅を荒らされるのは、伴侶の恥です」
アニエスは、目を見開いてアンリエッタを見た
「私は動けません」
アンリエッタの気持ちは十分に伝わった
アニエスは手を取ると、慎重に口付けし、答えた
「陛下の代行、謹んで果たさせて頂きます」

*  *  *
「今度の任務は何だっけ?」
「上陸部隊の航空支援よ」
母艦の中で命令を受け取り、翌日の出撃準備の為に才人と共に歩いているルイズは、そう簡潔に答えただけだった
虚無は魔力と精神力を大量に消耗するので、普段は才人の航法士として動いている
「そう言えば、竜騎士退却してったもんな」
次は対艦弾と対空弾の選択が微妙な所だ
地上砲台群を、潰さねばならない
自分達とは別方面に出ていた先発隊の話で艦内で持ちきりだ
「おいおい、第四と第五がしこたまやられて帰って来たぞ。3割も残ってねぇ」
「地上砲台も、あのロイヤルソブリンの長口径砲だとよ」
「マジかよ…向こうのが射程長いじゃねぇか」
「敵竜騎士に誘い込み喰らって、対空砲火と竜騎士の魔法とブレスの餌食らしい。洒落になんねぇよ」
乗組員の噂話に耳を傾けつつ、才人は決断した
「誰か、対空無誘導弾両翼に、誘導弾を胴体に搭載一杯で付けてくれ」
「あいよ」
そして才人は7.7mm機銃と20mm機関砲の残弾を確認し、弾帯に追加弾帯を縫い合わせ始めた
「20mmは何本か抜いてるし、使い切るか」
「サイト、何してるの?」
「出撃前の整備。先に部屋に戻っててくれ」
「…うん」
カチャカチャしながら作業している才人にルイズは声を掛けたが、才人の仕事は、他の人間には手に負えない代物ばかりだ
せっかく貴賓室で二人一緒の部屋をあてがって貰ったにも関わらず、才人はあんまり帰って来ない
結局、才人は何処に居ても仕事に追われていた
ルイズは、それが常態になっているのが不満で不満でしょうがない
戦地なら、戦う時間より待機時間のが長いと思ってたので尚更だ
事実、ルイズは色々便宜をはかって貰えてるが、才人はそうではない
平民と貴族の差を、痛感してしまう。所謂、使う者と使われる者の違いを感じてしまった
暇潰しにルイズは部屋に戻るとデルフを抜いた
カチリ
「ねぇ、ボロ剣」
「何だね、娘っ子」
「…いい加減名前で呼びなさいよ」
「嬢ちゃんも名前で呼ばねぇじゃねぇか」
思わず詰まるルイズ
「貴族が、ボロ剣なんか名前で呼ぶ訳無いでしょ」
「ほぅ。じゃあ、人間如きに6000歳の俺っちがへり降る理由もねぇな」
「…本っ当に、減らず口ばっかりなんだから」
そう言って、口の中でブツブツ言いながらも、ルイズはデルフを鞘に戻さずに剣を睨んでいて、デルフはそんなルイズが面白いのだろう、カタカタ震えている
「んで、随分お暇みたいだが、俺っちで暇潰しかい?」
「そんな所よ。ねぇ、サイトは何であんなに働いてんのよ?」
「知らね。相棒の頭なんか、俺っちに理解なんざ出来ねぇな。だから、おもれぇんじゃねぇか」
確かにその通りだ。理解不能も突き抜けると、そういうものって突き放してしまうのが、精神衛生上都合が良い
「あんた、武器なら何でも解るんじゃ無かったの?」
そうルイズが聞くと、デルフは暫しぴたりと止まり、暫くしてから喋り出した
「ん〜…使い方を知る事は出来ても、作り方なんざ知らねぇよ。相棒は、作り方知ってるって事だろ?道具の手入れは武器の基本じゃね?貴族だって、杖の手入れを怠る奴は、駄目貴族じゃねぇか」
全くもってその通りなので、ルイズは二の句が次げない
「サイトが出来ない事って、無いの?」
「あんだろ。じゃなきゃ、あんなに敵が増えたりしねぇさ」
「そうだけどさぁ」
どうにもこうにも納得がいかないルイズはぶちぶち言っていて、デルフはカタカタ震えてる
「で、そんな良い使い魔を使い倒そうとしている自分に、疑問は持たねぇのか、嬢ちゃん?」
「使い魔なんて、そういうモノでしょう?」
当然の事としてあっさり言うルイズに、デルフは逆に黙ってしまった
「…」
「ちょっと、ボロ剣」
「いや、もういい。なんつうか、根っこから嬢ちゃんは貴族だってのが良く判った」
幾ら話しかけても、デルフはそれ以降ウンともスンとも言わなくなってしまった為に、ルイズは「何よ」と言ってデルフを戻すとポフンとベッドに飛び乗り、足をぶらぶらさせつつ才人を待つ事にしたが、才人は就寝前迄帰って来なかった
そう、戻って来なかった

*  *  *
才人は整備を片付けると風呂に入り、そのままバーで軽く飲んでいた
敢えて隅に陣取り、目立たぬ様にゆっくり飲んでいて、見る者が見れば、時間潰しの姿勢がバレバレだ
酔いが回った喧騒の中では才人に注目する者はおらず、才人は一人の時間を取れている
そんな中、一人の少年が向かいに座った
「ここ、良いかい?」
「ん?ああ、ジュリオか。好きにしな」
「悪いね」
手には既にワインが注がれた杯を持っていて、ジュリオが掲げると才人も掲げてカチンとグラスが鳴った
「こちらは大変だったが任務達成だ。君は?」
「順調……か?良く解らん。竜騎士隊が退いたからな」
「何か引っ掛かるね」
「だろう?ま、指令部に任せる」
「君は主人の元に戻らないのかい?」
「大丈夫だろ。子供じゃねぇしな」
そう言って、クイッと飲む才人に、ジュリオは興味深く見ている
「主人と仲良くしようとはしないのかい?」
「今でも充分さ。そうだ、聞きたい事あったんだ」
「何かな?」
「家族の顔は憶えているか?」
「残念ながら天涯孤独でね」
ジュリオの答えに、才人は飲みながら非礼を詫びる
「…悪い事聞いたな」
「いや、事実だから気にしてないよ。君こそ、何かあったのかい?」
「いや、どうだろ?あんまり確信持てねぇ。主人に欲情するか?」
そう聞かれ、ジュリオは気難しい顔をしながら、頷いてしまった
「言っておくけど、僕は女のコが大好きだ……大好きなんだよ……だから、僕は大好きなんだ……有り得ない……有り得ないんだって」
「そうか。相手は男か……気の毒に」
下を向いて愚痴るジュリオに、同じ立場の使い魔同士じゃなきゃ通じない理由で、お互いに頷いている
「だから、戻らないんだね」
「……酒が美味いのは理由の一つだ。ルイズは下戸だし、付き合えないからな」
「同感。美味い酒は仕方ないね」
そう言って、二人は新しい酒を注文すると、また杯を交わした

*  *  *
アニエスは、命令書を携えて衛兵に突き付けるとそのまま学院長室に足早に向かい、同じくオスマンの顔に突き付けた
「と、云う訳だ。文句無いな?」
「文句…文句ねぇ」
長い顎髭を撫でつつ立ち上がったオスマンはさりげなくアニエスに立ち寄って、尻を撫で撫でしつつ呟いた
「陛下の心遣い、このオスマン感謝するとお伝え下され。ウムウム、実に良い尻じゃ」
そう言って、触るのを止めないオスマンの襟首を掴んで両手で持ち上げるアニエス
「ちょっ、くる…」
「学院長は戦死と伝えよう。構わんな?」
息が出来ないオスマンがかろうじて首を振ると、アニエスがオスマンを下ろした
「ゲホッゲホッ」
「ったく、老いて尚盛んは尊敬に値するが、ちょっとは弁えてくれ」
「ふぅ、ふぅ、怒らんのかね?」
首を押さえてるオスマンにアニエスが笑って答える
「いや?おぼこじゃあるまいし、一々怒ったりせんさ。私の魅力はまだまだ通用するんだろ?」
「ウムウム、物分かりが以前に比べて随分良くなったの」
「奴のお陰さ」
そう言って、アニエスは出て行き、オスマンはフムと頷いて呟いた
「あの男はそんなに魅力かのう。昔を思い出しそうだの」
そう言って、片目を瞑って暫くするとふんふん頷いて、自らも外に向かって歩き出した

*  *  *
ギーシュ=ド=グラモンは、空軍部隊の支援の中、他の部隊と共に、ロサイスからサウスゴータに半日をかけて進軍して市壁に到着、陣の中に一部隊として配置されていた
空軍の戦列艦部隊が砲火を放ち、応戦の砲火が火を吹いているのを見て、身震いさせている
「凄い砲声だね、ニコラ」
「そうですなぁ。今迄の会戦の中でも、派手な方だと思いますぜ」
「砲台群潰せて無いのか」
「こんなんで突撃命令されたら、何人死ぬか解りゃしませんな」
そう言って、ニコラは顔をしかめており、ギーシュもかなりヤバい状況だと理解した
「だったら、砲台潰してから進軍すれば良いのに」
「あぁ、無理ですね。悠長にやるには補給が間に合わないんですよ。なんせ20万人の大軍です。食料持ちませんわ」
その言葉に、ギーシュは更に顔をしかめた
「短期決戦しか無いのか」
「ま、覚悟しましょうや」
そう言ったニコラがニカッとし、ギーシュも無理矢理笑顔を形作る
そんな中、空を眺めてたニコラは、いきなり真顔になって、連隊に命令を下した
「総員短銃を擲弾仕様に、長銃も何時でも撃てる様に弾込めしとけ」
ギーシュはその命令を、空を見た瞬間に理解した
「……アルビオン竜騎士隊。あれは……全面装甲」
「アルビオン近衛竜騎士隊、竜鉄騎ですぜ。アイツに狙われたら、お陀仏だ」
ギーシュの魔法では、対空はイマイチ心許ない。ギーシュも擲弾をセットして、襲来に備える
砲声が轟く中、ギーシュの突撃前に、制空権を得る為の戦いは始まっていた

*  *  *
戦列艦隊旗艦に搭乗しているマリコルヌは、損害を受けまくって人員が不足してしまった為、砲列甲板で杖を片手に指揮を取っていた
「目標、敵砲台!撃て撃て撃て!」
細かい指示はしない。撃てと言えば、砲兵達が勝手に撃ってくれる
ドオン!ドオン!
車輪の付いた懸架台にロープを張った前装砲が火を噴き、砲弾を次々吐き出している
マリコルヌは感傷に浸っている時間は無かった。逆にそれが有り難かった
だが、状況は目まぐるしく変わる
「報告!敵竜騎士が本艦を指向!焼き討ち船曳いてます!不味い!」
マリコルヌは指示に悩むが、決断した
「狙える?」
「勿論」
「第一甲板砲列群目標変更!敵竜騎士並びに対艦弾!時限榴弾と散弾の鶴瓶撃ちだ!」
「了解!目標敵竜騎士、対空砲戦開始!」
下士官に命令を下しつつ、自身もルーンを唱えて機を伺った
敵竜騎士から対艦弾が切り離され、重力落下で一気に墜ちて僚艦に突き刺さり、派手に爆音と爆炎が轟く中、マリコルヌ達はまだまだ生き残っていた
「対艦弾迎撃成功!竜騎士一騎撃墜!」
「いよっしゃあぁぁぁぁ!」
砲列甲板の砲兵達が歓声を挙げる中、更に悲惨な報告が入る
「駄目です!旗艦たる本艦に集中攻撃!落とされる!」

*  *  *
トリステイン=ゲルマニア同盟竜騎士達は既に半数を落とされていて、現在無傷なのは陽動に出ていた第一竜騎士隊と風竜のみで構成された第三竜騎士隊のみだった
「くっそ、出撃命令相変わらず遅いぞ、総司令部!装着に時間かかるの忘れてるだろ?」ルネやジュリオが毒づく中、才人の零戦が竜母の甲板に躍り出、周りの竜達が進路を譲る為に、アッパーデッキにたむろしていた竜は飛んで避け、才人は一足先に離陸していった
「こちらゼロ、先に向かうわ」
〈ちょっと待て!全騎編隊を組むんだ!〉
「後から付いて来い」
才人は管制の指示に従わず、空を飛んで行く
「ちょっと、命令違反じゃない?」
「待ってらんね。前線はドンパチやってんだろ?」
「そうだけど…」
ルイズの批判に、才人は何処吹く風だ
そのまま先に飛ぶと、敵竜騎士達が対艦攻撃を仕掛けているのが見えた途端、才人は舵を倒し、そのまま急降下を始めた

*  *  *
ギーシュは突撃命令を今か今かと待ちながら、空の趨勢が全く良くならない事に、アルビオンの精強さに舌を巻いている
眼前では複数のゴーレムが攻城戦を始めていて、城門が破壊され、破口が出来上がっていた
そんな中、地上部隊に攻撃命令が下った
「砲弾や竜騎士の相手もしながらの前進?参ったねどうも。全部隊前進開始」
「前進だ、行くぞ」
駆け足はせずに整然と前進する部隊に、騎兵連隊が先駆けで突撃を開始し、ギーシュが思わず声を上げてしまった
「あ〜!一番槍取られる!?」
「まぁまぁ、見てて下せい。敵の出方が見れますや」
ニコラがそう言って、ギーシュに自重を促し、ギーシュは年長の指示に頷いた
そして、ニコラの言い分は正しかったのだ
城門に向けて突撃をした騎兵連隊は、入り口に突撃した途端吹き飛び、隊列が衝突した所に竜騎士が急降下してブレスを吐かれて黒焦げになり、そして止めに砲弾が降り注ぎ、一瞬で壊滅したのである
「不味いですわ。彼処にキルゾーン作られてます。殺到したら全員潰される」
その言葉にギーシュは顔を青くする
「そしたら、城壁壊すしかないじゃないか!どうすりゃ良いんだ!」
「味方の砲亀兵じゃ、城壁壊せてないっすね。トリステインの砲、弱いからなぁ」
ギーシュはそんな悲鳴を上げながらも、先に進む
砲台、竜騎士。この二つを何とかせねば、城壁に取り付いた時点で鏖殺が待つのみだ
だが、歩みは止められない

*  *  *
マリコルヌは次々に入る報告と砲窓から見える光景に青くしつつ、迎撃の指示を下していたが、全然間に合わず、遂に対艦弾と竜騎士の突撃を許してしまった
「駄目だ、やられる|?」
砲兵からも悲鳴が上がり、マリコルヌは必死にマジックミサイルを詠唱して対艦弾に向けて放った
「畜生、当たれ〜〜〜〜!!」
その時、戦場にダダダッとマリコルヌには聞き慣れない機関砲の音が鳴り響き、竜騎士と対艦弾がマリコルヌの目前で爆発、四散した後に続いて、学院に止まっていたあの鳳が、垂直に近い角度で急降下していくのを見たのだ
「…才人?」

*  *  *
「デルフ、配置見たか」
「おぅ、城門に集中砲火する配置だ」
「見てサイト、あっちにギーシュ」
才人は艦隊攻撃の竜騎士に一撃を加えた後、そのまま味方陣営の上空を低空で通過しつつ、後ろから立ち上がったルイズの指す方向を見て舵を切り、そのままギーシュの上を通過と同時に両翼の無誘導弾を投下し、そのまま城壁の前で垂直に上昇
投下された無誘導弾は、上昇する零戦とは違って真っ直ぐに飛び、城壁に突き刺さった
ドオォォォォォォン
城壁上の守備兵と共に、城壁が爆発で砕け散る
その様をギーシュは見て、一気にはしゃぐ
「見て見てニコラ!才人だ!才人が僕達の突破口を開けてくれたよ!」
暫く呆然としたが、この機を見逃すニコラではない。ギーシュの声で頷いて、部隊に指令を出す
「行くぞ!全軍突撃ぃ!!閧の声を上げろ!行けぇぇぇぇぇ」
「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
ギーシュ麾下の100名余が突撃を始め一気に突出するが、ギーシュから見て右翼のゲルマニア旗を掲げた、ギーシュの隊に10倍する一団も、反応していたのである
「アイツは装甲擲弾兵」
「向こうの方が重装備なのに」
ギーシュもニコラも老兵とは言え、軽装歩兵の自分達と同じ勢いで突撃する、重装歩兵の装甲擲弾兵達に舌を巻きつつ、勢いを緩めない
その時上空では、才人操る零戦が、戦場で弧を描いていた
上昇している最中、竜騎士に狙いを付けられた才人は回避機動を取りつつ、素早く誘導弾の射界と誘導範囲を予測し、味方に被害が極力及ばない様に弧を描き、投下する
切り離された誘導弾は個々に目標を識別し、最短距離で手近な魔力痕跡に向かって広がって行く
ロックオンされた竜騎士や、メイジ指揮官が居る場所に向かって、敵には全く不愉快な、愉快な蛇君が複数爆発した
「10発中不発3か。あんまり性能良くねぇな、相棒」
「急拵えの量産品だから仕方ねぇよ。ミサイルキャリアーの仕事終了。対地支援しながらのドッグファイトに移行する。ルイズ、デルフ、全方位警戒」
「あいよ」「了解よ、サイト」
〈此方、ド・ヴィヌイーユ独立銃歩兵大隊。これで良いかのぉ?〉
才人は聴こえて来た声に面倒なのでルイズにマイクを放り投げ、ルイズが受け取る
「操縦で忙しい」
「…もう」
そう言ってルイズが受け取り、ルイズが話し掛けた
「こちらゼロ。聴こえているわ」
〈おぉ、聴こえちょる。貴官の支援に感謝するわい〉
「今忙しいの!礼は後にしてよ」
〈いやいや、お願いなんじゃが。もうちょい破口広げてくれんかのぅ?〉
「えぇ!?ちょっと待ってよ!手持ちの弾使い切……」
そこでルイズは、はたと気付く。そう、自分は虚無の使い手だったのだ
「良いわ、やる。上手くいかなくても恨まないでよ?」
〈了解じゃ〉
通信を切ると才人の操る零戦は機銃の音を唸らせつつ、ルイズが話し掛けた
「支援要請よ。城壁の破口を、エクスプロージョンで広げるわ」
「了解。何とかすっから、何時でも撃てる様に詠唱しとけ」
ルイズが頷いて、ガラリと風防を開け、コクピットに一気に寒風が吹き荒ぶ。それでもルイズは才人に肩車すると杖を持ち、精神を統一し始めた
「何で一々肩車すんのかねぇ?」
デルフの声は、風切り音で二人には聴こえず、デルフが期待した才人の返しは無かった
そして、戦場に待望のトリステイン竜騎士隊が到着した。先陣を切ったのは、やはりアズーリである
こちらも上昇一杯から急降下し、敵竜騎士を一合の元に撃墜すると、そのまま制空権を奪うべく小隊に分離し、一気に航空戦が始まったのだ
「流石才人。僕達にも、ご馳走残しておいてくれてるよ。全機散開」
手信号で先頭に立つジュリオが指示を下して、一気にブレイクするアズーリ
風竜の青い巨体の編隊が一気に別たれ、美しい放物線を描いていく
才人に倣って、ミサイルを装備せずに到着を最優先した結果の先行到着だ
「竜騎士隊だ!竜騎士隊が来たぞ!」
「今だぁ!行けぇ!」
一気に士気が高揚し、次々に得物を手に掲げてみせる地上部隊
そんな中、ルイズの詠唱が、才人とジュリオに届いた
ルイズが通信機が外れない様にきちんと締めた際に、スイッチが入ってしまったらしい
「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンヤクサ」
ルイズの詠唱開始と共に、零戦の機動が神憑りを帯び、敵の攻撃を全て紙一重で避け、そのまま撃墜していく中、ジュリオも同じ様にアズーロを駆って、ブレスと爪、時には強力な顎を持って撃墜する
この一機と一騎は、あからさまに動きが違い、アルビオン竜騎士隊はおろか、味方竜騎士隊迄、その美しい乱舞に釘付けになってしまう
そう、魅入られた者に死を運ぶ、危険な空中の舞姫だ
「オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド」
才人が砲陣地に射撃し、ジュリオが鮮やかにアズーロを駆る中、戦列艦から艦砲射撃支援が鳴り響く中
「ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシェラ」
砕かれた城壁を塞ごうと、建材で造成されたゴーレムがズシズシと歩いて破口に到達しそうになりつつ、ルイズの詠唱が終わりに近付き、才人が零戦に急旋回をさせて城壁に向かい、ルイズが精神を集中させる詠唱の為に閉じてた目を開き、杖を振り下ろした
刹那、零戦の通過と同時に城壁に光が生まれ、そして轟音と爆風が轟き、ゴーレムや守備部隊事、城壁を吹き飛ばした
ドオォォォォォォン
突撃をしていたギーシュの部隊に被害が及ばない様に破壊し、ギーシュ達は弱まった爆風を受けただけで済み、突撃を続行する
「ひゃっ!?なんすか、今の爆発!?あんな魔法見た事ないっすよ!」
「うはっ!?今度はルイズか?」
ギーシュ達は本隊とは分離されてしまったが、今更後には退けない
次々に突撃してくる筈だ
実際に、突撃ラッパが鳴り響いている
「ニコラ、とにかく突撃だ」
「同感です!味方は強力だ!行け行け行け〜〜!!」
そしてギーシュの部隊が一番槍を果たし、城壁内に侵入すると、二度の爆発で守備隊だったものの肉片と、瓦礫の山で構成された跡が残っているだけだった
それでも、ルイズのエクスプロージョンで粗方消滅させられた後だったので、それほど酷くは見えない
「……なんつう、威力だ」
「あの二人はやる事が派手過ぎるよ」
サウスゴータ市内に入ったギーシュ達は警戒しつつ歩いて行くと、煙の中から、守備兵が現れた
その巨体は牙が特徴のオグル鬼である
ギーシュは慌てて射撃命令を出すが、ニコラに止められてしまう
「う、撃て撃て」
「まぁまぁ、待って下さい。三段射撃、整列!」
ザザザッと整列する中隊
兵として、何度も戦地を行き来して来た古兵達は、こういう遭遇戦時にも慌てない
見事に整列をサッとすると、一段目が立ち上がり、二段目以降はしゃがんだ
ニコラが腕を上げて振り下ろす
「ってぇ!」
パパパパ〜ン
ニコラの号令の元、オグル鬼の集団は巨体が仇になって、弾幕を全て喰らい次々に倒れて行き、視界が晴れた時には立っているのは、ギーシュの隊だけだった
「やった!」
「隊長殿、後ろ」
「えっ?」
前方を見ていたギーシュが振り返ると、装甲擲弾兵達が、ギーシュ達と反対側に通路を制圧していた
「流石ゲルマニアの精鋭、やるね」
お互いに背中を守った事に頷いて、更にギーシュは前に進む

*  *  *
アルビオン地上軍の総司令官ホーキンスは、次々に入る報告に、ロンディニウム参謀本部にて、冷静に戦局を見詰めていた
目の前にはシティ・オブ・サウスゴータの地図があり、戦力配置が刻々と報告によって変わっている
「敵魔法兵器と抜群の風竜の使い手が制空権を取ってから、様変わりしたな」
「は、此方も風竜騎士を当てますか?」
「いや、現状維持だ。敵の疲弊が目的だ。竜の損耗は予定通り。アルビオンは竜だけは余っている。騎士さえ脱出出来れば問題無い」
「了解」
正面突撃は極力避け、防御戦に専念させ、逆撃の機会を伺うが、仮に機会が出ないでも、遅滞防御の目的のみは成功
戦略戦術共に予定に問題は無い
後は何時、トリステイン侵攻部隊から連絡が有るかだ
その時、報告士官が飛び込んで来た
「ほ、報告です。トリステイン侵攻部隊、我、トリスタニアヲ蹂躙セシメン。以上です」
「来たか!」
座っていた参謀達は全員立ち上がり、次々に逆撃のタイミングを打ち合わせ始めた
「鉄騎兵は?」
「は、シティ・オブ・サウスゴータに1000。何時でも出撃可能です」
配置に鉄騎兵の駒を置き、敵の破口の開いた城壁に殺到具合を見詰めて、決断を下した
「今だな。魔法拡声器の準備は?」
「大丈夫です。シティ・オブ・サウスゴータ全市に放送可能」
「鉄騎兵に命令。放送終了と同時に横腹を喰い破れ。竜鉄騎は同時に蹂躙しろ」
「サー・イエス・サー!」

*  *  *
ギーシュとニコラの部隊は順調に前進していた。だが、ニコラはその順調振りに顔をしかめている
「どうしたのニコラ?さっきから、浮かない顔をしてるじゃないか?」
「いやぁな感じがするんですよ。こりゃ、仕掛けられてる感じがバリバリだ。順調過ぎる」
「難しく考え過ぎじゃないかなぁ?」
その時、急に放送が轟いた
《トリステイン=ゲルマニア連合軍よ、良く戦った。素直に賞賛しよう。君達に残念な御知らせだ。我が軍の別動隊が今、トリスタニアを急襲している。君達は此所で戦うのは構わないが、首都が陥落するぞ?早く帰らないと駄目ではないのか?》
その言葉に、立ち止まってしまった。馬鹿なと思いつつ、考えてしまった
「そんな、嘘だろ?」「どうやって行くんだよ?」「俺達を嵌めようって、心理戦だ心理戦」
《私の言葉が信じられないと?実に哀しいね。我々アルビオン人が堅物と評するのは君達ではないのかね?嘘かどうか確かめたければ、君達がトリスタニアに置いて来た使い魔に聞けば良いでは無いかね?》
その言葉に、使い魔を置いて来たメイジが繋いでしまった
そして、はまってしまったのだ
「うわぁぁぁぁぁ!?トリスタニアがオークとトロルに襲われてる!!止めろぉぉぉ!」「おい、マジかよ!」「トリスタニアが!」
わざわざ反応が伝播する時間を提供し、そのまままた放送が続いた
《君達は帰る場所を喪っているだろうが、何、我々の皇帝クロムウェル陛下は寛容な方だ。君達の降伏を快く受け入れてくれるだろう。君達の敗けだ。全軍反撃せよ!》
その瞬間、絶望してしまった
思わず帰る場所たる来た道を振り返ってしまった
そして、誰彼ともなく入って来た城壁に向かって走り出した
「うわぁぁぁぁぁ!!」

「これ!戻らんか!戻れと言うのに!」
指揮官の叱咤も鼓舞も通じず、ひたすら逃げに徹し始めてしまった
「チャージ!」
そこに、城壁外に展開した鉄騎兵が重装騎兵特有の地震とすら思える馬蹄の響きを轟かせ、一気にトリステイン=ゲルマニア部隊の横腹に食い付いたのだ
四列縦隊に整列した鉄騎兵が外側がブレイドをランス状に展開しながら当たるを幸いに全てを貫き、内部の鉄騎兵が防御詠唱と射撃詠唱で部隊を守る、意思統一が成された完全なる突撃
平民大隊がメインのトリステイン=ゲルマニア部隊は無力に斬り裂かれ、鎧を着込んだ人馬に踏み砕かれ、あっという間に死体を量産し、綺麗に裂かれた
そう、メイジ騎兵が完全に統率された威力は、平民部隊では対抗が非常に難しい
其処に、上空から被害を無視した急降下急襲が追い討ちをかけたのだ
竜鉄騎による、火竜ブレスの広範囲攻撃だ
この二段攻撃により、後方が一気に壊乱し、滅茶苦茶になってしまった
最早、指揮統率云々の話では無くなり、散り散りに逃げ出したのだ

*  *  *
「糞、一体どうなった?ルイズ、周りに聞いてみてくれ」
「…ん〜?眠いよ才人」
「味方がいきなり逃げ出した。敗けるぞ!」
その言葉に、ルイズはぱちくりと目を覚まして、必死に通信を開いた
「ゼロより各隊、ちょっと、どうなってるの?何で壊乱してるのよ?」
〈此方アズーリ。トリスタニアが急襲されたらしい。使い魔を通じて事実確認取れたって、大パニックだ〉
ルイズはその言葉に、真っ青になってしまった
「ちょっとそれ、本当?」
〈此方、砲兵大隊。事実だ。連絡用に副官が置いて来たんだが、確認が取れた〉
「…此方ゼロ。了解したわ」
ルイズは通信を切ると、才人に伝える
「トリスタニアが、急襲されてるって」
才人はちょっと考えると、気楽にルイズに伝える
「成る程ね。じゃ、ちょっくら助けに行くか。ルイズ、貸してくれ」
「え?助けになんて、嘘でしょ?零戦でも一時間以上かかるんでしょう?」
「あぁ、大丈夫、大丈夫」
そう言って、才人が後ろ手に手を出すと、ルイズが素直に通信機を差し出し、才人が身に付けた
「此方ゼロ……いや、イーヴァルディだ。全部隊並びに指揮官に告ぐ、今からイーヴァルディはトリスタニアに母艦経由で帰投して救援行動を行う。アズーリ、後は任せる」
才人の言葉に、間髪入れずに返事が返ってくる
〈シッ(了解)。アッハッハッハ!君はそんな事も出来るのかい?後は任せて行ってくれ〉
ジュリオが陽気に答えるが、他の指揮官達は、流石にいぶかしむ
〈馬鹿な、無理だ〉〈無謀だ。此所を勝利する方が余程容易いぞ?〉
「るせぇ!ゼロの使い魔に不可能はねぇ!ゼロ機関所長が確約してんだ!タルブの英雄が助けるって言ってんだ!トリスタニアは俺に任せて、此方を何とかしやがれ!」
〈雛鳥隊、了解した。やっと到着だ。後は任せて行ってくれ〉
そう通信が通じたと思ったら、対艦弾を残りの砲と鉄騎兵に向かって投下し、爆発が続き、更に竜騎士隊が増援で到着したのだ
「ルネ、頼むぞ!」
〈僕の家族を頼んだよ、才人〉
「あぁ!」
その言葉を最後に、零戦は機首を返し、シティ・オブ・サウスゴータから転進したのだ。彼らの旗印たる、百合の紋章の女王を助け出すために

*  *  *


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