ゼロの使い魔保管庫
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それは蒼から始まった物語 (5):Let’s Go ハーレムへの道 1 バレット氏 夜も更けた女子寮の1室は今、異様な雰囲気に包まれている。 深い青色の長髪を持つ部屋の主は、泣き腫らした切れ長の目の端を引き攣らせ。 髪の色以外はまるで対照的な小柄で短髪の少女は一見無表情ながら、跡が付きそうなほど背丈よりも大きい立派な杖をギリギリと握り締め。 緑の髪の頭1つ飛びぬけた歳の『ドスッ!』ごぐほばっ!?・・・かふっ、妙齢のメガネ美女は杖をまるで何かのプレイ用の鞭のように弄び。 金髪の尖った耳と立派通り越して超(×無限)ご立派な胸が特徴的な少女は1人、オロオロと視線を行ったり来たり。 ・・・そして最後に、部屋の真ん中に何とも形容しがたい物体が1つ。 「俺だけ物扱い!?」 地の分に突っ込んではいけない。さっきのでとっくにカラータイマー鳴りっ放しなんです。 物体の正体はサイトであった。ロープの上から泥、更にその周囲を氷で固めた3層構造で拘束されていた。 イザベラ・シャルロット・マチルダの合同作品であった。 しかもシャルロットがありったけの魔力を使って固めたもんだから、彼是半日以上経った今でも溶ける気配はナッシング。 実際にはサイトの体温でジンワリ内部は溶けてるが、むしろ濡れたロープや泥の感触が酷くなって気持ち悪いの何のな状況だ。 「腹減ったろう?土でも食うかい?タップリご馳走してやろうじゃないの」 ニッコリ笑ってマチルダ。 見惚れそうな位綺麗な笑顔ですけど、背後に盛り上がってるのは土の山どころかもはやゴーレムなんですが!? 「・・・この部屋少し暑い。涼しくしてあげる」 こっくり頷きながらシャルロット。 小動物っぽくて可愛いですが、背後に吹き荒れてる吹雪は洒落になりません。涼しい所か凍死しそうですよ!? 「水はどうだいサイト?好きなだけ飲ませてやってもいいよ」 そしてゾクッと来る微笑を浮かべてイザベラ。 うん、強気そうな顔も良いけどこういう優しそうな表情も良い。 でも額にぶっとい青筋立ててなきゃもっと良い。背後にもはやどっかのマンガ忍術みたいに水が龍みたいに渦巻いてなきゃ一番良い! 「さ、3人とも落ち着いて!わ、悪いのはその私の方だし・・・」 唯一サイトを庇ってくれるのはエルフっ子のティファニア。 今の雁字搦めの少年にはまさに天使、もしくは救世主。背後に後光が見えそうだ。 しかし。 「「「アンタ(あなた・テファ)は黙ってな(黙ってて)」」」 「は、はひ・・・ううう、サイトお兄様、ごめんなさい」 三重のドスの利いた声にあえなく撃沈。テファの援護はティッシュ並みに薄かった。 現実は非情なり。 「さて、アンタが私達に言わなきゃいけない言葉は分かってるわね?」 「ゴメンなさい。本当にゴメンなさい。成り行き上だったとしても浮気して本当にゴメンなさい」 頭を床に擦りつけながら謝罪の言葉を述べる。 もっとも足首から首元まで氷漬けで転がってるんだから元からそんな体勢だ。 土下座なんて出来やしない。物理的な理由で。 「だから頼む、せめてこの氷どうにかしてくれ・・・」 切実だった。というか冗談抜きの懇願だった。 それも仕方ない。実は泥に含まれていた水分も氷結していた上、サイトの体温で溶けた分が服を濡らし、悉く体温を奪っていったのだから。 実際今のサイトの顔面は蒼白、唇は紫で意識も少し混濁状態だったり。 ぶっちゃけ、冗談抜きで凍死ちょっとな状況だった。具体的には棺桶に爪先が入ったぐらい。 ・・・微妙だ。 「そ、そうだね、そろそろ許してやろうじゃないの」 一転、慌てて魔法で氷を液状、つまり水に戻して分離させる。 そのままだと部屋が水浸しなので、分離させた水の塊はそのまま開いた窓から外にポイだ。 ――――数秒後、水の弾ける音と一緒に外から悲鳴が聞こえたが気にしちゃいけない。 ある程度水分が抜けて泥から土に変わった名残を払うとロープを解いてやる。 その時触れたサイトの肌はとことん冷め切っていた。半日以上氷付けになってりゃ当たり前だ。 それでも自分の力で立ち上がって動ける辺り、サイトもかなり頑丈だった。 「イザベラの手、暖けぇ・・・」 思わず、握り締める。気が抜けて、ホッと息を吐き出す。 イザベラの方は冷たい感触に一瞬手を引っ込めかけたが、すぐにこっちからも手を握り締め返した。 彼女のそれより一回り大きくてややゴツゴツした感触が、何故か心地良い。 「身体が冷たい時にこういう風にしてもらうのって、すっげえホッとするよな」 「そうかい?これぐらいアンタにならいくらだってしてやるよ」 「ん、サンキュ」 「ふふっ・・・」 突発的バカップル発動!2人は良い雰囲気だ! コレにはシャルロットはプクッと頬を膨らまし、ティファニアは羨ましそうな目でその光景を見つめている。 数分後、いい加減焦れたマチルダのワザとらしい咳払いでようやく2人は離れた。 マチルダの目つきが怖かったのは錯覚ではない。その目は相手の居ない私への当て付けかいゴラァとハッキリと物語って――――・・・ 命の危険を感じたのでこの辺にしとこう。ナレーター死亡で強制完結なんてバツが悪すぎる。 とにかく、バカップルは慌てて離れた。 「と、とととりあえず風呂入ってきな!これ以上私の部屋汚されたら堪んないからね!」 「あ、ああ・・・分かったよ」 元妹分現在本妻(予定)な少女のぶっきらぼうな物言いに苦笑が漏れる。 隠しきれてない頬の赤みにいとおしいものを感じて、サイトは昔よくしてたように滑る様に滑らかな髪ををクシャクシャ軽く撫でてから部屋を出て行く。 部屋に残るは女性陣のみ。 さて、本題に入る時間だ。 「テファも分かってるんだろうね。人の男に手ぇ出したんだからさあ」 「ほ、本当にゴメンなさい、イザベラお姉様!!」 「・・・『お姉様』はいらないよ。イザベラだけで良い」 「・・・わかりました・・・あの、謝って済む事じゃないのは分かってるけど・・・ごめん、なさい。 でも、私、お兄様の事が本気で――――・・・好き、なの」 深々と、金色の頭が下げられる。 見えるのは長い耳ぐらいで表情は全く分からないがそれでも、小さく肩と声が震えているのは嫌でも気付く。 きっと本気で申し訳無く思っているんだろう。ちょっとズレた性格でも、彼女が心優しい性格なのはよく分かっている。 なんかもうもう一言追い討ちかけたら泣き出す事確実だ。誰が好き好んで悪役なんかなりたがる物か。 ・・第一、既に愛人1号(シャルロット)が居る時点でこういう事にあーだこーだ言うのが間違ってるような気がしないでもない。 打算が無いでもない。 ティファニア自身アルビオン王家のれっきとした後継者の一員、サイトとそういう関係となればガリアとアルビオン同士更に強固な関係を結べる事になる。 イザベラも国の運営の中心である王家の後継者。そういう考えも出てくるのがむしろ当たり前。 でもそれ以前にティファニアも受け入れるのは―――サイトの為だ。 彼女も混ざれば、サイトもまた嬉しいだろうから。 女として見れば幾分彼女も充分ズレた考えかもしれない。 けれどこれは多分・・・・・・・・・いわゆる惚れた弱みなんだろう。 愛人1号とアイコンタクト。長い付き合いなだけにすぐ意を汲んだ少女はこくりと頷く。 「頭を上げな――別にとって食べやしないよ」 おずおずと頭を上げた妖精に、意地悪だけど優しい王女は男らしい――矛盾してるが、実際そんな感じの笑みを浮かべて見せた。 「そういう事なら、キッチリ最後まで可愛がってもらわなきゃ、ねえ?」
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それは蒼から始まった物語 (5):Let’s Go ハーレムへの道 1 バレット氏 夜も更けた女子寮の1室は今、異様な雰囲気に包まれている。 深い青色の長髪を持つ部屋の主は、泣き腫らした切れ長の目の端を引き攣らせ。 髪の色以外はまるで対照的な小柄で短髪の少女は一見無表情ながら、跡が付きそうなほど背丈よりも大きい立派な杖をギリギリと握り締め。 緑の髪の頭1つ飛びぬけた歳の『ドスッ!』ごぐほばっ!?・・・かふっ、妙齢のメガネ美女は杖をまるで何かのプレイ用の鞭のように弄び。 金髪の尖った耳と立派通り越して超(×無限)ご立派な胸が特徴的な少女は1人、オロオロと視線を行ったり来たり。 ・・・そして最後に、部屋の真ん中に何とも形容しがたい物体が1つ。 「俺だけ物扱い!?」 地の分に突っ込んではいけない。さっきのでとっくにカラータイマー鳴りっ放しなんです。 物体の正体はサイトであった。ロープの上から泥、更にその周囲を氷で固めた3層構造で拘束されていた。 イザベラ・シャルロット・マチルダの合同作品であった。 しかもシャルロットがありったけの魔力を使って固めたもんだから、彼是半日以上経った今でも溶ける気配はナッシング。 実際にはサイトの体温でジンワリ内部は溶けてるが、むしろ濡れたロープや泥の感触が酷くなって気持ち悪いの何のな状況だ。 「腹減ったろう?土でも食うかい?タップリご馳走してやろうじゃないの」 ニッコリ笑ってマチルダ。 見惚れそうな位綺麗な笑顔ですけど、背後に盛り上がってるのは土の山どころかもはやゴーレムなんですが!? 「・・・この部屋少し暑い。涼しくしてあげる」 こっくり頷きながらシャルロット。 小動物っぽくて可愛いですが、背後に吹き荒れてる吹雪は洒落になりません。涼しい所か凍死しそうですよ!? 「水はどうだいサイト?好きなだけ飲ませてやってもいいよ」 そしてゾクッと来る微笑を浮かべてイザベラ。 うん、強気そうな顔も良いけどこういう優しそうな表情も良い。 でも額にぶっとい青筋立ててなきゃもっと良い。背後にもはやどっかのマンガ忍術みたいに水が龍みたいに渦巻いてなきゃ一番良い! 「さ、3人とも落ち着いて!わ、悪いのはその私の方だし・・・」 唯一サイトを庇ってくれるのはエルフっ子のティファニア。 今の雁字搦めの少年にはまさに天使、もしくは救世主。背後に後光が見えそうだ。 しかし。 「「「アンタ(あなた・テファ)は黙ってな(黙ってて)」」」 「は、はひ・・・ううう、サイトお兄様、ごめんなさい」 三重のドスの利いた声にあえなく撃沈。テファの援護はティッシュ並みに薄かった。 現実は非情なり。 「さて、アンタが私達に言わなきゃいけない言葉は分かってるわね?」 「ゴメンなさい。本当にゴメンなさい。成り行き上だったとしても浮気して本当にゴメンなさい」 頭を床に擦りつけながら謝罪の言葉を述べる。 もっとも足首から首元まで氷漬けで転がってるんだから元からそんな体勢だ。 土下座なんて出来やしない。物理的な理由で。 「だから頼む、せめてこの氷どうにかしてくれ・・・」 切実だった。というか冗談抜きの懇願だった。 それも仕方ない。実は泥に含まれていた水分も氷結していた上、サイトの体温で溶けた分が服を濡らし、悉く体温を奪っていったのだから。 実際今のサイトの顔面は蒼白、唇は紫で意識も少し混濁状態だったり。 ぶっちゃけ、冗談抜きで凍死ちょっとな状況だった。具体的には棺桶に爪先が入ったぐらい。 ・・・微妙だ。 「そ、そうだね、そろそろ許してやろうじゃないの」 一転、慌てて魔法で氷を液状、つまり水に戻して分離させる。 そのままだと部屋が水浸しなので、分離させた水の塊はそのまま開いた窓から外にポイだ。 ――――数秒後、水の弾ける音と一緒に外から悲鳴が聞こえたが気にしちゃいけない。 ある程度水分が抜けて泥から土に変わった名残を払うとロープを解いてやる。 その時触れたサイトの肌はとことん冷め切っていた。半日以上氷付けになってりゃ当たり前だ。 それでも自分の力で立ち上がって動ける辺り、サイトもかなり頑丈だった。 「イザベラの手、暖けぇ・・・」 思わず、握り締める。気が抜けて、ホッと息を吐き出す。 イザベラの方は冷たい感触に一瞬手を引っ込めかけたが、すぐにこっちからも手を握り締め返した。 彼女のそれより一回り大きくてややゴツゴツした感触が、何故か心地良い。 「身体が冷たい時にこういう風にしてもらうのって、すっげえホッとするよな」 「そうかい?これぐらいアンタにならいくらだってしてやるよ」 「ん、サンキュ」 「ふふっ・・・」 突発的バカップル発動!2人は良い雰囲気だ! コレにはシャルロットはプクッと頬を膨らまし、ティファニアは羨ましそうな目でその光景を見つめている。 数分後、いい加減焦れたマチルダのワザとらしい咳払いでようやく2人は離れた。 マチルダの目つきが怖かったのは錯覚ではない。その目は相手の居ない私への当て付けかいゴラァとハッキリと物語って――――・・・ 命の危険を感じたのでこの辺にしとこう。ナレーター死亡で強制完結なんてバツが悪すぎる。 とにかく、バカップルは慌てて離れた。 「と、とととりあえず風呂入ってきな!これ以上私の部屋汚されたら堪んないからね!」 「あ、ああ・・・分かったよ」 元妹分現在本妻(予定)な少女のぶっきらぼうな物言いに苦笑が漏れる。 隠しきれてない頬の赤みにいとおしいものを感じて、サイトは昔よくしてたように滑る様に滑らかな髪ををクシャクシャ軽く撫でてから部屋を出て行く。 部屋に残るは女性陣のみ。 さて、本題に入る時間だ。 「テファも分かってるんだろうね。人の男に手ぇ出したんだからさあ」 「ほ、本当にゴメンなさい、イザベラお姉様!!」 「・・・『お姉様』はいらないよ。イザベラだけで良い」 「・・・わかりました・・・あの、謝って済む事じゃないのは分かってるけど・・・ごめん、なさい。 でも、私、お兄様の事が本気で――――・・・好き、なの」 深々と、金色の頭が下げられる。 見えるのは長い耳ぐらいで表情は全く分からないがそれでも、小さく肩と声が震えているのは嫌でも気付く。 きっと本気で申し訳無く思っているんだろう。ちょっとズレた性格でも、彼女が心優しい性格なのはよく分かっている。 なんかもうもう一言追い討ちかけたら泣き出す事確実だ。誰が好き好んで悪役なんかなりたがる物か。 ・・第一、既に愛人1号(シャルロット)が居る時点でこういう事にあーだこーだ言うのが間違ってるような気がしないでもない。 打算が無いでもない。 ティファニア自身アルビオン王家のれっきとした後継者の一員、サイトとそういう関係となればガリアとアルビオン同士更に強固な関係を結べる事になる。 イザベラも国の運営の中心である王家の後継者。そういう考えも出てくるのがむしろ当たり前。 でもそれ以前にティファニアも受け入れるのは―――サイトの為だ。 彼女も混ざれば、サイトもまた嬉しいだろうから。 女として見れば幾分彼女も充分ズレた考えかもしれない。 けれどこれは多分・・・・・・・・・いわゆる惚れた弱みなんだろう。 愛人1号とアイコンタクト。長い付き合いなだけにすぐ意を汲んだ少女はこくりと頷く。 「頭を上げな――別にとって食べやしないよ」 おずおずと頭を上げた妖精に、意地悪だけど優しい王女は男らしい――矛盾してるが、実際そんな感じの笑みを浮かべて見せた。 「そういう事なら、キッチリ最後まで可愛がってもらわなきゃ、ねえ?」
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