ゼロの使い魔保管庫
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○前回に引きつづき、お尻調教でSM風味。属性ない人は注意。 #br 「新しく刊行されたサヴァラン氏の著書は読みまして? ええ、あれこそ天下の奇書ですわ。あれを読むといつでもよだれが出てまいりますのよ。 “食物の本じゃありませんか、あなたときたら食べることばかり”ですって? 失敬な、食哲学と呼ぶべき本ですわ」 「大食哲学だろうと悪食魔法だろうとマラルメ夫人の言うとおり、あなたの食い意地が張っていることにみんな異存はありませんわよ。 あなたときたら今日のようにサロンに貴賓を迎える日にも、緊張していたのは最初だけで、すぐいつもと変わらなくなるんですから」 「まったくね。でも何を語りましょう? あの歌姫はどこそこの家の貴公子と怪しい仲だとか、あの家の奥様は戯曲家を居候させてずいぶん熱をあげてらっしゃるとか、いつもはそんな話でけっこう長くもつけど」 「あのお調子者の詩人を、召使に粉をかけたからってここへの出入り禁止にしたのはまずかったわね。 今ここにいたら陛下の美しさをたたえる詩でも作らせたのに」 「呼べばすっとんで来ると思うけど。このような高貴な佳人を迎えていると知ったら、あの男なら何が何でも入れてくれと頭を下げにくるわよ」 「こらお黙り! 私達のサロンをいかがわしいものと陛下が誤解するじゃないの! 失礼いたしました陛下。いえね、彼女らはちょっとお茶目ぞろいで……陛下? まあ大変、具合が悪いのですか?」 「あらまあ、本当に。お顔が熱っぽいわ。いけません陛下、きっと夏風邪を召されたのですわ。ベッドに横になって、いますぐ侍医団を……いりませんか? あ、お帰りになられる? 大丈夫なのですか? い、いえ、謝られるなどそんなもったいない、もともと招待を受けてくださっただけでも望外のことだったのですから。 ほんとうに離宮まで何ともございませんの? ええ、ええ、お気をつけてお帰りくださいまし」 ………………………… ……………… …… 初夏の午後。西に日が傾いているとはいえ、光のまだ白い昼日中。 離宮の最奥部、中庭に面した柱廊を一人きり、アンリエッタはドレスの裾をひるがえしてしずやかに歩く。 いつもとは違う夏用デザインの清楚な水色のドレスは、シルクサテンの薄い生地。肩と胸元を露出させて、ぴったりと上体の線を見せている。 少女が、同じ色のハイヒールの靴で歩むたびに、そのドレスの表面が波のようにうねる。ひじまで覆う長手袋もドレスと同系統の色。 王冠のかわりに頭にのせている貴婦人用ティアラが輝き、耳の後ろと袖口にごく少量つけられた香水が、ほのかに花の甘い匂いをただよわせた。 女王はたった今、招かれていた近場の貴婦人たちのサロンから帰ってきたのだった。 よく見れば彼女の歩みは、妙に足どりがぎこちなくおぼつかない。 目元が赤らんでゆるみ、しかし愁いをたたえている。 その麗貌がかすかに狼狽の色を浮かべて瞳を揺らめかせたのは、今まさに中庭から柱廊に上がってきたらしい少年が前方にあらわれたからである。 午後をとおし中庭で剣をふって自己鍛錬していたらしき才人は、上半身はパーカーを脱いでシャツ一枚。 列なる円柱の一つにもたれて、息をつこうとしているところだった。 あらわな四肢はよりあわされた鋼線のごとくに見える。やや細身だがなかなか強靭そうな、若い男の体である。 その躍動するような引き締まった筋肉のうえに、長時間の運動による汗をおびただしく流している。 少年と少女の目が合った。才人が目を丸くする。 「あれ、夕方まで出かけてるんじゃなかった?」 よくもそんなことを、とアンリエッタは恨みを抱いて唇を噛む。 自分が帰ってくることになったのは、彼のほどこしたことが原因である。 そのせいで会話に集中できずもじもじしているのを見咎められ、うす赤い顔色で病気と間違われたのだ。 すっと才人から目をそらし、離宮での自分の寝室に入るべく、その横を黙って通りすぎようとする。 「ちょっと待った」 手首をつかまれた。 つかんでくる手にはほとんど力がこめられておらず、振りほどこうと思えば簡単にそうできただろうが、アンリエッタはとっさに振りはらえず立ち止まってしまった。 無言のまま諦念と怨情をこめ、苦しげに唇をひきむすんだ表情で才人をふりかえる。 その目が大きく見開かれたのは、腰を抱きよせられて唇を重ねられたからである。 「んん――!?」 柳のような細腰に男の腕がまわされ、今度はしっかり抱きとめられている。 「ほどこされたこと」のせいで、抱き寄せられたときグチャリと内奥をかきまわされた腰がぶるりとわななき、くぐもった叫びは唇と唇の間で発せられることなく消えた。 とっさに才人の胸板に手をおいて押しのけようとしたものの、五体に力がはいらず、抵抗はきわめて弱々しかった。 ましてや突きとばすことなどできるはずもなく、混乱したまま唇を好きなようにむさぼられる。 「んっ、ふ、ぁ――」 一瞬口づけが止んでわずかに唇を離され、あえいで息をついだのもつかの間、すぐにもっと深くキスされる。 口をぴったりふさがれて舌を吸われる。 いままで鍛錬していた少年の、濃い汗のにおいを密着してかがされる。 抱きすくめてくる少年の体は、豹のような力強さのほかに、浴びていた夏の陽の熱をアンリエッタの柔らかい体に伝えてくる。 くらりとして目元をじんわりゆるませてから、アンリエッタははっと我にかえった。 あごをひいて唇をはなし、顔をそむける。 その横顔に顔を近づけて、おっかぶせるように才人が低い声でささやく。 「忘れてないよな……朝に、『帰ってきたら』って約束しただろ?」 「……わたくしに、あ、あのようなことをしながらあなたが無理やり言わせたのに、約束などと……! あっ!? ひ、だめっ!」 アンリエッタの夏用ドレスのスカート部分は、一見してそうは見えないながら太ももの付け根までスリットが入っているデザイン。常の女王の白ドレスとそこだけは似ている。 そのスリットからするりと才人の手が入ってきて、下着の上から秘部に触れたのだった。 幸いにもそれ以上をすることなく手はすっとドレスから抜かれたが、下着の熱い湿り気は間違いなく伝わっただろう。 アンリエッタはすそを押さえ、顔を真っ赤にしてうつむき、ほぞを噛んだ。 ずっと何かをされていたのは前の部分ではない。だが、そこもじっとり蒸れるほど潤ってしまっている。 才人が、半分は意識してよそおっているらしき笑みを浮かべた。 「自分で我慢できないほど繰り返しイったのは、アンの体がえっちすぎるせいだろ。俺は指でおま○こかきまわしてやってただけだぜ。 『後でかならずご奉仕しますからいまは許して』って、お潮ふきながら何度もお願いしていたくせに。だから本番は、おま○こもお尻もしないで我慢してやったんだからな。 その場しのぎでそう言ったにしても、ちゃんと守ってもらうからな。今すぐ」 「そんな、あれだけ焦らすように触られたあとで……あんな……こんなもの使われながらだったら誰だってっ……! ……ぁ、ン……」 才人の手が少女のおとがいに触れて顔を上向かせた。 口を封じるようにまたキス。 アンリエッタは後ろによろめき、円柱のひとつに背中をあずける。口づけは続いている。 汗をひたいににじませ、悔しくも心にわきあがる甘い熱が体をますます火照らせるのを感じながら、アンリエッタは口づけの中で朦朧と考えた。 (なんで、こんなことに……) ………………………… 数日前。あの恥辱の夜の記憶。 浣腸液をそそぎこまれ、最低の恥をさらした後に浴室内で二回目にアヌスを犯された。 失神し、意識が戻ったのは寝室のベッドに寝かされてからである。 嬲られている最中は心を折られてひたすら哀願するしかできなかったが、目が覚めてしばらくして自失状態から立ちなおると、その記憶は屈辱の火となって怒りを呼び覚ました。 これまでも才人との交わりのたび、嗜虐的に責められるのは常ではあった。 けれど、それはあくまで「情交に刺激を添える」ためのものだと少女は理解していた。 本当にアンリエッタの心を傷つけるような抱き方を、これまでの才人がしたことはなかったのである。その夜までは。 今回は――ひどすぎた。 遊びとして許容できる範囲を、はるかに超えていた。 (今度という今度は、簡単に許さないわ!) アンリエッタとてあまり面には出さないが本来、高貴な身分の常として気位は高い。 礼儀と物腰しとやかな上品さが表面をとりつくろっているが、中身はルイズに劣らず激情家で我が強い少女なのである。 だから、ベッドのそばに付き添っていた才人を目覚めて見たとき、憤激を覚えた。 アンリエッタは怒りと悲哀を声にこめて、才人に「なぜこんなことをするのですか」と訊いたのである。 その問いかけに「なんでって……」とつぶやいたきり、才人の答えはすぐに返ってこなかった。 アンリエッタの涙でにじんだ視界の向こうに、生乾きになって痛痒を感じさせる傷口の存在を、ありありと思い出させられたような少年の顔がある。 才人も八つ当たりのようなことをしてしまった自分が情けなく、自己嫌悪はしていたのである。しかし発端となった、ルイズやアンリエッタに抱く鬱屈はけっして消えていない。 そのときは少したってから、複雑ないらだちのこもった声が返ってきた。 「……最初の夜に自分の言ったこと思い返してください。 心当たりまったくないとは言えねーだろ」 「……それは」 アンリエッタは、ぴくんと反応した。 「あるだろ……?」 苦い才人の声。 才人は、アンリエッタがルイズと同じく「(隠してることは)なにもない」と嘘をついたことを指している。 少女たちに正面から向き合ってもらえない不満と、疎外感からくる嫉妬。それが、わだかまりになっているのである。 才人はナイーブな面も強く持ち、落ちこむときは落ちこむ少年である。 だからこそ今回傷つけられて抱いた衝動は、体を重ねて以来アンリエッタに刺激される嗜虐的な情欲とからみあって、暴走したのだった。 しかしこのとき、アンリエッタは才人の言葉を間違って受けとっていたのである。 彼女は懊悩する。 (たしかにあの夜「なんでもいたします」と言ったわ、けれど……) 秘密のことはごまかしてうやむやにできたと信じているアンリエッタは、才人に「なんでもする」と言ったことを指摘されたと思ったのである。 そう自分から言った以上、たしかにどんなことだろうと彼の要求に応えないとならないのかもしれない。 (でも、こんな辱めを受けるとは思わなかったもの……ひどいわ、……お、お尻、なんて…… でも、我慢しなければ嘘をついたことになるわ……今だって避妊していないことを隠しているのに、サイト殿にまた嘘を重ねるの?) けっきょくそのとき、アンリエッタは涙をためた目をきっと上げて才人をにらみ、震えながら言ったのだった。 「……わかりました、あなたの好きに……好きになさればよろしいわ。 でも、わたくしの心の奥までどうこうできると思わないで」 このことは恨んでやるんだから、と胸中で続けている。 言質をとって恥辱を強いてくる才人に怒りを覚えつつも、口にしたことを守るほうを選んだのである。 砕かれたプライドの残りをどうにかかき集めて、敢然と顔を上げていた。 一方、アンリエッタの意地をはる様子を見て、才人もまた怒気が再燃する。 根底には、こっちにも勘違いがあった。 (……あー、そうかよ。また「俺にちょっとでも秘密にかかわることを話すくらいなら、黙って体を好きにさせるほうがマシ」ってわけか。 本当に俺なんて信用してねえんだな、この人もルイズも。 そこまで言うならほんとに、とことん好きなだけやらせてもらうからな) 双方の言葉足らずと思いこみから、またしてもすれ違ったわけである。 この場にいないルイズを含め、彼らはまだまだ若く未熟なのだった。 若さはときに落ち着きと思慮を欠けさせ、感情と情欲を突っ走らせる。 ………………………… 現在。 離宮の中庭に面した柱廊で、ドレスのよそおい華やかな少女と半裸の少年が唇を重ねつづけている。 柱廊に一陣ふきぬけた夏風にドレスが揺れ、花の香がほのめいた。 アンリエッタは円柱に背をあずけて口づけを受けている。というより、才人に細腕をつかまれてひんやりした円柱に押しつけられ、美しい形の唇をむさぼられている格好。 その桜桃のような唇が優しく咬まれる。 閉じようとしていた少女の唇がゆるむと、それを割るようにして少年の舌がすべりこんでくる。気がつくと震える舌まで吸われている。 湿った音をたてて味わわれる深いキスの中で、アンリエッタの表情が夢心地に艶めいていく。 夕べの近づく夏の午後、円柱のかげで行われる息苦しく、くらくら酩酊するようなキス。 ここ数日の荒淫で抵抗力を弱められていた少女の肉体が、おののいてかぼそく震える。 「……ン……ぁむ、ん……」 気がつくとアンリエッタは自分からも、少年の舌と唇に奉仕するようなキスを返していた――ぴちゃりと小さな舌をからませ、ぷるりとした唇で相手の唇をこすって愛撫する。 アンリエッタがその気になってきたと見てとってか、才人が彼女の頬を手ではさんでそっと顔を離した。 ……あふ……と少女の濡れた唇から、どこか名残を惜しむようなあえぎがもれる。 貴婦人たちのサロンで熱っぽいと言われた頬は、今やさらにうっすら色づき、ぽうっと才人を見つめる瞳はうるんで、えも言われぬ風情をたたえている。 「……まだ、キス欲しい?」 「ち……ちが、違います……」 「へえ、そう?」 才人がアンリエッタの腰に回した手をさらに下にすべらせ、ドレスに包まれたまろやかな尻房の片方をつかんだ。 びくんっと身をはねさせるように反応し、目に見えて少女の体がこわばる。 「もうおま○こしたいってことかよ? それともお尻されたい? そのために今日の朝から道具入れてほぐしてるもんな、準備はいつでもできてるだろ」 才人のからかいの言葉にあらためて意識させられたとたん、こねられる美尻の奥がじんとうずき、重い熱をつたえてきた。 少年が言うとおり、いまアンリエッタの肛内には淫具が埋まっているのである。 おそらく歓楽街の怪しげな店あたりで買ってきたのであろうそれは、大きさもまちまちな真鍮の玉が十数個ほど。すべての玉をくっつけて棒状にしたものを、植物のオイルを塗ってからアヌスに挿入されている。 (あの日から、こんなものまでわたくしに使って……!) 朝、着替える前に才人に「離宮近くのサロンを訪問するのは、護衛としてついてきてもらうほどのことではない」と告げたのだが、その後すぐにまた組み敷かれたのだった。 最近は朝となく夜となく、唐突にみだらな行為を強要されるのである。 それも以前とはちがい、双方がどこかで納得した「遊び」ではなく、本気でアンリエッタの心身を陵辱するような行為を。 お尻の恥ずかしすぎる「準備」だけは自分ですることを許されたが、湯も使って清めてきた後に、淫具を肛門から押しこまれて涙をこぼしそうになった。 そのまま、まずは全身をえんえんと長く焦らすように愛撫され、次に本格的にベッドに這わされて舌や指でいいように鳴かされた。 それは恥辱をともなわせて容赦なく追いこむやり方で、アンリエッタは何度も肉がドロドロと溶けていくような絶頂に達した。 「出かける前に腰が抜けてしまうからこれ以上はしないで」と懇願し、けっきょく帰ってからの奉仕を約束させられたのである。 肛道につめこまれたまま抜かせてもらえなかった淫具のせいで、昼のあいだも淫熱を冷ますことができず、体を発情状態にとどめ置かれたままでもじもじしていたのだった。 (だ、だって……これ、うっかり腰をよじるとお尻のなかで動きますから…… どうしても落ち着けなくて……ああ……) 思いかえすだに恥ずかしく情けなくなり、顔をおおいたくなる。 埋めこまれたその淫具とさきほどのキスでとろかされていた自分をどうにか取り戻し、アンリエッタは怒りをこめて才人を見返す。 「……最初のときから、そんな場所をされるのを本心から望んだことなんか一度もありませぬ! こんなことまでして、最近のサイト殿は……ぁ……」 すぐ口づけされ、もう何度目かに黙らされる。 アンリエッタにはわけがわからないが、最近の才人はひどい嬲りかたをしてくるくせに、キスをふくめて前戯はますます丁寧で優しくなっているのである。 だから、喧嘩をしていてもこれだけは拒みにくい。 ――結果としてその後の淫虐の行為にも溺れさせられてしまうのは、愛撫で肉情を高められるせいとわかってはいるけれど。 アンリエッタの唇をなぞるように軽いキスをほどこしつつ、才人が低くささやいた。わざと卑猥なことを口にしている。 「おま○こやお尻するのは後からな。俺も朝から我慢してて限界。 さっそくだけど、まずこの唇で一回抜かせてもらうから。姫さま、しゃがんでくださいよ」 アンリエッタは悔しげに眉をよせ、下唇を噛んだ。 それでも才人の要求を受け入れるしかない。最初の夜に「何でも言いつけていい」と自分で約束したのだから。 言われるとおり口で奉仕するため、アンリエッタは才人の前の白い床にしずしずとひざまずこうとする。 と、才人がとどめた。 「あ、違う違う」 「え?」 「ひざを床につけるんじゃなくて、足をふんばるようにして腰を落としてしゃがめよ……手は後ろにまわして。壺の上にしゃがんだときみたいな格好。 手は使うなよ、口だけでやってもらうから」 言葉が耳にとどいても、その意味を正しく理解するまで数瞬を要した。 なにを言われたのかわかったとき、かっと少女の顔が火照った。 アンリエッタはわなわなと震える。 「あ……あなたという人は……」 壺の上にしゃがむ格好。 離宮滞在三日目の夜、二回目にアヌスを犯されたときのこと。最初に浣腸されて泣きながら排泄させられたときの体勢である。 あのときも、しゃがんだまま才人のものに口で奉仕させられたのだった。 あの夜の一連の恥ずかしい記憶は、ぬぐいようもなくべっとりと心にへばりついている。 あんなことをされたのに、体は反応して肉悦に泣き叫んだ。最後には浴室で女肛を貫かれながらクリトリスを嬲られて何度も絶頂に達し、恥辱のなかで黒い快楽を覚えこまされた。 心と肉体に刻まれたその苦悩に近い快楽の記憶が、思いかえすたびに怒りとともにやるせない疼きを呼び起こすのである。 才人もそれがわかっているから時々このように、あの屈辱の夜の行為をわざわざなぞるような責めをしてくる。 「〜〜くっ……」 けっきょく、憤激と恥じらいで美貌に朱を散らしつつ、アンリエッタは指示されたとおりの格好でしゃがむ。 青みがかったシルクの長手袋をはめた手を、体の後ろにまわして組む。夏用ドレスのすそがさらりと床に広がった。ハイヒールをはいているのは、あの夜と同じ。 しゃがんだ尻の奥で、連なった玉がぐりゅと動き、思わず声を出してしまいそうになる。 「ほら」 才人が自らのものを取りだして口元につきつけてくる。それに一度顔をそむけてから向きなおり、可憐な唇にそっとふくむ。 桜色のぷるぷるした唇が亀頭をきゅっと包み、呑みこみながら幹のほうへおりていく。 口内では舌でカリ周りをなぞり、ぬりぬりと裏筋をこすりあげ、繊細だが強烈な肉の快美を与える。 才人がかすかにうめき、アンリエッタのティアラをのせた栗色の頭をかかえこむようにして、もっと奥まで呑みこんでくれとばかりに腰をすすませてきた。 ゆっくりではあったが肉の猿ぐつわをのどまで押しこまれ、少女は苦しさに涙をうかべる。 けれど同時に、口内ではねる男の肉の感触は、これまで躾けられてきた体を反射的に熱くさせてもいた。 汗のにおい、そして男性器そのものの雄のにおい。それがアンリエッタの脳裏を刺激している。ずっとこれを嗅ぎながら抱かれて、愛欲を満たされてきた。 肉棒を丁寧にねぶりつつとろんと瞳を弛緩させてから、少女はあわてて強く念じた。 (ま、また……だめ、わたくしはいま怒っているのだから……) こういうことに徹底的に慣らされて、簡単に反応するようになっている自分の体がうらめしい。 アンリエッタは気をひきしめて、少年を憎々しげににらみつけようと見上げる。 けれど見下ろしている才人の観察するような目と視線がかちあって、羞恥に頬が燃えた。 ただ視線を伏せたり眉を気弱に下げたりしないことだけで、精一杯になってしまう。 なにしろ、いかに気を張ろうとしても、自分は相手の少年のものに口で尽くしているところなのだった。 こうしているときの上下関係をはっきりさせられている。 少年に支配されている状況、と思えば、理不尽な満足感さえもがわきあがってしまう。 (こんな……いつのまに、心のほうまでこんなにまで……) アンリエッタは、自分の心身が予想以上に躾けられていたことに、愕然とする。 奉仕中の顔を見られていることを意識するだけで、脳裏が熱を帯びてうるんでいくのである。 誇りを見せて、毅然とした態度でにらみつける……はずなのに、自分がいまどんな顔をしているかわからない。 気をぬくとすぐ芯を抜かれて、「弱い女」の表情に戻ってしまいそうになる。 とくとくと鼓動がはやまっていた。 にらむのを諦めて目を伏せてから、アンリエッタは悲壮に決意する。 (やっぱり、いままでサイト殿に好きにさせすぎたんだわ。この約束の期間が終わったら、これからはもっと節度を持った抱き方を求めないと。 ……でないとわたくし、どんどん……今だって、悔しいのに体が熱くて……このままでは後戻りできなくなってしまうもの……) ………………………… でも、と奉仕しながらアンリエッタの思考が揺れる。 (こういうことをさせなくなったとたん、サイト殿がわたくしをまったく見てくれなくなったらどうすればいいのかしら? そ、そんなことないわ、わたくしだって少しは気にかけてもらっているはずだもの。 でも……サイト殿はきっと、ルイズにはこんなひどいこと、無理矢理しないわ……) いくら「好きにしていい」と言ったからとはいえ、なんでここ最近でこんな扱いを受けるようになったのか、他者の心の機微に鈍いアンリエッタにはよくわからない。 理由をさぐろうとして、ここしばらくの意思を無視して性感を引きずりだされ、徹底的に嬲られるような抱かれ方を思いかえしてみる。 恥じらいと憤りをあらためて覚え、(いままでも時々言いたかったけれど、わたくしをなんだと思っているの)と心中で怨嗟しながらも、ふと良くないほうに思考が転がった。 (こんな、わたくしの心を無視するようなことをするのは、もともとわたくしなど少しも気にかけていないからかも。 もしかして、愛情なんて一片もなくてずっと、か、体だけ求められていた……のかしら……?) その可能性に思いあたったとき、アンリエッタは体が内側から急速に冷たくなった気がした。 意地をはる余裕もなく気弱になってしまい、つい涙がにじんでくる。 もごもごと口を使いながら、暗い底なしの悩みに沈んでいく。 これまでに才人からほどこされてきた「躾け」は、いわば情交を濃密にするための遊びのようなものだと納得して受けいれていた。 嗜虐的な形の情欲を才人が見せても、根底には愛情があるのだからと。そう思い、いつしか恥ずかしがりながらもそれに自分から溺れていっていた。 けれど強引にお尻の処女を奪われてからこっち、それほど確信が持てなくなっている。 思ってしまう。自分はずっと欲望のはけ口にされていただけではないのだろうか、と。 もしそうだったなら……と思うだけで、悲哀に心がうずく。 つぎに「それなら、絶対に許さないわ」と恨みをいだく自尊心。 それと反するように「体だけを求められているなら、この先拒めばいつ捨てられるかわからない」という怯え。 怯えに続くように「それでも従っていれば、そばにいてくれるというのなら、いっそ……」との迷い。 それがまた、自尊心とぶつかって堂々めぐりになる。 複雑に想いがこんがらかり、アンリエッタはどうすればいいのか本格的にわからなくなる。 彼女の胸の奥底には「すがれるものがほしい」という、暗く燃えさかるような欲求がある。 それゆえ「手に入れたと思っていた愛情が、完全にまやかしだった」という仮定だけで心が乱され、情緒不安定になるのだった。 「馬鹿にして! もうこんなことはさせないわ」と決意した端からすぐ、「なんでもいたしますからどこかに行かないで」とすがりそうになってしまう。 気持ちの揺れ幅が大きくなり、自分でそれに振り回されてしまう。 そうやって混乱している自分にも、アンリエッタは歯がゆさを覚えるのだった。 (ルイズならきっと……こんな情けないことにはならないわ。あの子はいつでも誇り高くて立派だもの。 だから……ルイズなら、こんなとききちんと自分の誇りを保てるのでしょうけれど……) アンリエッタはルイズに昔から羨望をいだいている【9巻】。もっとも、彼女たちは微妙に互いを美化している気味があるのだが。 (あの子は喧嘩しても何をしても、きっとずっとサイト殿に好きでいてもらえる。 けれど、わたくしは……? 意地を張りとおしても嫌われないかしら? いやよ、本気で怒っているのに、自分の気概をねじ曲げてまで殿方に媚びるような真似…… でも、いまさら捨てられるのはもっといや……) 初めて抱かれる前ならまだ諦められたが、いろいろあった今ではもう離れられない。 才人は一番、ルイズが好きなのだ。アンリエッタはそう解釈して、そこはもう認めている。 ただ、自分にも心の一部を向けてくれるなら。自分も愛してくれるなら、それでいい。 いつからか、そう思うようになっていた。 ――そして、少しは愛されているはず、と無邪気に信じきっていた。今までは。 ………………………… 考えごとをしているあいだも、体はなめらかに動いて愛戯をほどこしていた。 頭をすこし前後にゆらして、肉棒を唇で柔らかくすべらかにしごいていたのである。 それに気づいたとき、またしても狼狽を覚える。 (うそ……お口、勝手に動いております……こんなことまでするほどに、わたくし……) 意識しなくても、従順な口奉仕ができるほどに仕込まれた体。 身の置き所もない恥ずかしさにうろたえていると、才人の静かに興奮した声が追いうちのようにふって来た。 「姫さまのお口ま○こ、気持ちいいな……本物のおま○こみたいに熱くて柔らかくて、濡れて吸いついてきてさ。 舌づかいもうまくなってて、口の中で先っぽにからめながら熱心におしゃぶりしてくれるし」 耳から流れこむその淫猥なほめ言葉が、身をよじりたくなるほどに心をさいなんだ。 それなのに、奉仕で悦ばれてほめてもらえたことに、温かくなるほどの嬉しさを覚えている自分もいて、それがなおさらに許せない。 (だめ、気をしっかり……あ、いや、そんなのど奥のほうまで入れないで…… 大きい、く、苦し、い…………) また才人が深く呑みこませようと腰を送ってきたのだった。 苦しさに涙ぐみ、思考がともすれば麻痺しそうになる。 かわって口の中の肉棒の味、のどから鼻腔に入ってくるにおい、硬さと感触などが、淫具を詰められた肛肉のただれるような感覚とともに、より意識を占めてくる。 窒息から逃れようとするかのように、口内のそれを吸い上げてしまう。 急に才人が腰をひいた。 ぬぽん、と少女の唇から、唾液の糸をひと筋ひいて肉棒が抜ける。 男のほうから中断させられた口淫に、アンリエッタは顔を上向かせてとまどったように才人の様子をうかがう。 紅潮して蕩け、本人の意思に反して哀しいほどに艶めいた表情で。 「首を前後にふって、もっと唇でしごいて。 それが嫌なら、今みたいに俺が自分で動くけど」 どっちか選べよ、と問いかけてくる才人を見上げたまま、アンリエッタののどがこくんと鳴った。 無言のなかに被虐的な色香をただよわせ、悩ましくまつげを伏せて、唇をふたたび肉棒にかぶせていく。 思いやりの感じられなさそうな動きで口を一方的に利用されるくらいなら、自分からするほうがまだまし、と思ったのである。 「……自分で動くんだ? じゃあ任せるから、その小さなお口ま○こでいやらしくクチュクチュして、すっきり抜いてくれよ」 投げられた卑猥な言葉に、アンリエッタの唇が男の肉をふくんだまま震えた。 腰をわずかにうねらせ、真っ赤な顔をふせて大きく呑みこんでいく。 少女の温かくうるんだ口粘膜が、柔媚に肉棒にまといついて包んだ。 輪になった唇をすぼめると同時に、おずおずと首を前後にふって、ぬめらかにしごきあげていく。 最初に言われたとおり律儀に手をつかわず、口だけで少年の性欲を処理していく。 ねりねりと肉棒にからめた舌を波うたせて、男の先走りを舌奥にうけとめ、んく、んく、と嚥下する。 才人がティアラをよけるように手を置いて、無言でアンリエッタの頭をなでた。 優しい手つきに、すん、と少女は子犬のように鼻を鳴らしかけてしまい、自分への情けなさで泣きそうになる。 (怒らないと……ちゃんと怒っていないと駄目なのよ…… 駄目、許していないと示さなくてはならないのに……) 最低のことをしてくる才人に対して、純粋に怒っていたはずなのに。 いつのまにか愁いを覚えたり切なく悩んだり、心が千々に乱れていく。 どうすればいいのかわからなくなった弱い精神が、ちゃんと愛されていると信じていられたころの情交の記憶に逃げこんで、快楽に溺れようとする。 けっきょく、アンリエッタは男の性欲処理のために口を提供し、首をふってぞんぶんに愛戯をほどこしているのだった。 上気した美貌を伏せて無心に舌を使っていく。 汗を流したあとの濃い少年のにおいを、いやおうなしに間近で嗅がされながら。 淫らな奉仕に集中することで、弱い心と性感に無防備な体が、肉の迷妄に落ちこんでいく。 感じてはいけないはずの妖しい興奮が、血流をはやめて全身をともに駆けめぐっていった。 口淫奉仕で勝手に得てしまった淫心の高ぶりに耐えかね、思わず美尻をうねらせるようによじってしまう。 そのとたん、埋めこまれた真鍮の玉の連なりが、ぐにぐにと腸内でねじれた。簡単に動くように作られた道具なのである。 順調に育てられつつあるおぞましい肛肉性感が、ぞわんっと背筋をはいのぼる。 口を肉棒にふさがれていなければ、甘叫びしていただろう。 体温が上がっていく。真鍮の玉で拡張されている肛肉が熱をはらんでうずき、壁一枚へだてた子宮がぐぐっと押し下がった気がする。 じゅんと秘肉が熱くなり、なにかをどろっと吐き出した。 (……いやぁ……信じられない……わたくし、また濡らして……) 下腹全体が熱い。肛肉だけでなく、蜜壺が奥の子宮からひくんひくんと息づいている。 止まらない愛液が、きっとぐっしょり下着を濡らしてしまっている。 涙が目にたまり、しばたたいたまつげが湿って光った。 (こんな、いやらしい女にされて…… 強要されてるのに……お口をいっぱい使いながら、お、お尻まで振って、感じるような……) 屈辱になぜか汗がにじみ、呼吸が浅く速くなる。 感じたくないと意識するほど、逆に全身の感覚が鋭敏になっていく。 男の手にこねまわしてほしい、とばかりに乳房が張りつめていく。青い静脈が透きとおりそうなほど白い乳肌が、うっすら汗をにじませてしまう。 両方の乳首が服の下でぷくんと張りつめ、ドレス裏地にこすれてたまらなくうずいた。 アンリエッタは感情や肉欲に振り回されている理性を、必死にとどめようとする。 そのあいだも口粘膜がやすみなく動き、恋い慕うように少年の肉棒をしっとり吸いあげて愛撫しているのだった。 丁寧に舌を使いながら、アンリエッタは真っ赤な顔で半ばべそをかく。 (思考なんてまとまりません…… もう……頭がどうにかなってしまいそう……) ………………………… ……奉仕されている才人のほうもまた、アンリエッタを見下ろして異様な興奮を覚えている。 鍛錬のなごりの汗が、彼の首筋から鎖骨に流れ落ちた。 俺本格的にやばいかも、と少年はひそかに息をのんで見とれながら考えていた。 ここ連日の才人が彼らしくもなく無茶なことをしているのは、もともとすれ違いゆえに抱えたアンリエッタへの鬱屈と憤懣からくる勢いだったのだが。 それとはまた、別の心の動きとして。 (前から知ってはいたけど、こういうことしてる時の姫さま、とくに綺麗に見えるんだよな。なんかすげえなぁ、エロいことしてるのに。 いや、すっかり慣れてたけど、ほんとはこの状況からしてすごいことなんだよな。 このひと女王さまだし。年からいっても、まだお姫さまって感じだけど) この水の国のお姫さま。そんな人を、自分が好きなように扱っているという状況。 その彼女はハイヒールで腰を落としてしゃがみ、後ろに手を組んで背筋をそらすような姿勢をとっている。 いつもの女王のドレスとは違って、肩や胸元をむきだしにした露出が多いデザインのドレス。その深いえりぐりからは白い豊かな乳房が、上側三分の一近くの乳肌をのぞかせている。 アンリエッタが首をふるたびにその双の乳肉はたゆたゆと揺れて、深い谷間に少年の目を誘うのだった。 中庭から差しこむ光と、ならぶ円柱の影があわく混ざりあう柱廊。 湿った音が秘めやかにひびき、奉仕に没頭する少女のまわりに色香が、危うく甘美に匂いたつ。 ティアラの宝石が、かたむき始めた夏の陽に燦ときらめいていた。 才人はその艶麗な情景に、目がはなせなくなりつつある。 (やっぱりどんどん綺麗になってる気がする……いじめてたら綺麗になるのかな…… やばい……もっとそれを見てみたいと思ってる、俺……) 彼を見上げてくるアンリエッタの顔の変化も楽しい。 赤くなったり青くなったり、凛としてにらみつけてきたかと思うとすぐ弱々しく涙をきらめかせたり。 怯えるように目をかたく閉じたり、なにかを考えて狼狽したようにおろおろした表情になったり。 今のアンリエッタは、眉を下げて頬を染め、やや伏せた目に愛欲と苦悩をおぼろに映している。危うい色香をただよわせる熱っぽい表情。 ますます自身のものが興奮に怒張していくのを感じながら、才人はリクエストをつけた。 「さっきみたいに、お尻を揺すりながらしてみろよ…… ……なんだよ、ふつうに気づいたってば、俺のしゃぶりながら泣きそうにぶるぶるしてんだもんよ。 ほら口を止めてないで。腰も振ってみろってば」 ………………………… ……呆然と見上げた状態からわれに返って、アンリエッタは哀怨と諦観に瞳を伏せた。 ここ数日での経験上、もし今ここで言うとおりにしなかったとしたら、後からそれよりずっと恥ずかしいことをされるのだろう。 どのみち選択権などないのだった。 強要されているのだから、ということを免罪符にして、ハイヒールをふんばって、ぎこちなくわずかに腰を左右によじる。 ドレスの上から妖艶な丸みを見せている美尻が、ひくりひくりと男を誘うようにうねった。 とたんにきゅるりと淫具が動き、ぐにゅぐにゅと腸管を内部から刺激する。 アンリエッタの肩がびくんと上がった。 (ひぃぃっ……くぅ、ん……やはりねじれて……) 大きさの違う真鍮玉をつらねた淫具は、棒状だが微妙にジグザグ気味にくねり曲がっている。 さらに、そういう構造なのか何かの魔法でも利用しているのか、一部の玉が動けば全体がぐにぐにと卑猥によじれる仕掛けなのだった。 肛肉がグズグズと熱くとろけていくようで、アンリエッタはおぞましい官能に汗をにじませる。 「俺の上になった時みたいな腰使いでユサユサしてみせろよ。思い切って大胆にさ。 五日くらい前からは毎日、その道具入れてお尻を振らせてきただろ。しゃぶってもらいながらはこれが初めてだけど、すっかり慣れてきてるはずだぜ。 そうすればアンも気持ちよくなれるんだから、朝みたいに……朝は良かったろ。ベッドでお尻上げて、最後のほうは夢中で振りたくりながらいっぱい後ろにお潮ふいたよな」 才人の言葉が、呪わしく子宮と腸管を震わせる。 朝にされたことを思い返すだけで、全身が恥辱の火にあぶられるようだった。 (朝は……いやぁ……あんな……) 朝の記憶がよみがえってくる。 いつものように全身を愛撫されたあと、ベッドの上にうつぶせに転がされて大きなクッションを抱かされ、お尻を高々と突きだす恥ずかしすぎる格好をとらされた。 アヌスに淫具を埋めこまれるときから声を上げてしまったが、そのまま後ろに陣取った才人に、蜜壺を指でかきまわされると叫びっぱなしになった。 その前の全身愛撫ではそこは焦らされていて、溶けたようにうるみきっていたのである。 同時にお尻を自分で振って、淫具を肛内で動かすよう指示された。 あまりの羞恥にすすり泣きながら上げた尻をしゃくるように振ると、淫具がぐにゅりぐにゅりと動いて肛肉を内側から揉みこみ、あの黒い性感がわきおこった。 それは指で犯される蜜壺と連動して、脳裏に重くひびく肉悦となり、アンリエッタはたちまち悶絶させられた。 泣き言をもらして動きを止めれば、少年の右手の指で膣内の弱いポイントを重点的に責めぬかれると同時に、ぷくりと勃起したクリトリスを左手の指で執拗に転がされるのである。 絶頂に達しながら潮を二、三度と噴かされた後は頭が真っ白に灼熱し、恥もなにもかも忘れはてて無茶苦茶にお尻を宙で振りたててしまっていた。 いつものように幾度達したのかもわからなくなるころ、ずっと叫びつづけていた懇願をどうにか聞きいれられて解放してもらえたのだった。 ……帰ってきたらあらためて嬲られることを、息たえだえにベッドに這ったまま約束させられてから。 ………………………… そしていま、アンリエッタは朝のときと同じように尻を振らされている。 (あ、あんな、淫らな……あんな……お尻の奥がむずむずして、どんどん熱くなって…… いまも、お口でしながらわたくし……) 才人に「上になったときのように」と指示されたため、左右に振るだけでなく、尻をしゃくって落としたり上げたりする動きを追加している。 肉棒をなよやかに口唇愛撫しながらゆすゆすと尻をゆさぶり、うねらせていく。 そうするたびに肛道が淫具に刺激され、耐えがたくなるような異様な官能を生みだしてアンリエッタの情念を狂わせていく。 少女の湖水のような瞳はすっかり濡れてしめやかに伏せられ、紅潮した顔は肉の憂愁をたたえている。 尻を卑猥にしゃくり、哀しげに長いまつげをそよがせながら、従順な口をにゅくにゅくと柔らかく使って男の精を抜きだそうとしていた。 (……とにかく……いまは、今はこうするしかないの……しかたないのですから……) 切れ切れになってきた思考で自分に言い訳しながら、肉棒をねぶってますます甘く蕩けていく。もう才人の顔は見られない。 こうしていて悔しいし悲しいし、恥ずかしいのだけれど、この淫らな心と体が情けなくも発情しきってしまっている。 「こうして尽くしていれば、体だけだったとしてもきっと捨てられないわ」と、惨めすぎる卑屈な考えまで心の隅にわきあがってきて、レディとしての自尊心とぶつかるのだった。 (いっそ……溺れてしまえば楽なのかしら……) 悩むことに疲れて、朦朧と瞳の焦点を拡散させていく。眉がますます下がり、美貌は切なげに赤らんでいく。 肉欲に負けたかのように、奉仕に熱を入れていく。熱烈に尽くす口は本当に、蜜壺になったようだった。 あふれ出る唾液を愛液のようにからませて、首を大きく振る。ときにじゅぽじゅぽと下品な音さえたてて、少年の肉棒に悲壮に尽くしていく。 現実から目をそらして必死なほどに没頭していく奉仕の裏で、どろどろと興奮が蓄積していった。 淫艶にくねる美尻の動きからぎこちなさが取れていき、代わりにときおり快楽で小刻みな震えが走るようになったころ。 才人がアンリエッタの頭を押さえた。たかぶりを抑えきれない様子で、少年が自分で腰を送りこみだす。 約束を反故にされて、じゅぬっ、にゅぐっと柔媚な口を犯される少女は、諦めたというよりは悲しげに放心して舌を使っている。 口を利用されながらも後ろ手でしゃがんだままの少女の頭から、ずれかけていたティアラがかしゃんと床に落ちた。 汗のにじんだ額に艶めかしくほつれた髪をまといつかせながら、アンリエッタはほとんど無意識に尻をうねらせて、覚えたての毒々しい快楽にわが身を逃避させるのだった。 その薄い舌の上で、才人の肉棒が充血してひときわ膨れあがった。 口のなかで始まった脈動に射精の予兆を感じとり、肉情に溶けかけている意識がどうにか思考をつむぐ。 (……あぁ……出される……激しくて、熱いあれ…… ……サイト殿の、精……びゅーって、のどの奥に……) 想像したとき、全身の血管を淫欲が火となって流れ、かあっと脳裏が白熱した。 アンリエッタの止まっていた腰がうちわななき、桜色の唇がつつんだ肉棒の幹をやや強く吸いあげ、ぬるんぬるんと舌を裏筋にまきつけるように動かした。 そのとたん、才人が目をかたく閉じて体を硬直させた。動きの止まった肉棒がびくっ、びくっと少女の口内で大きくはねた。 怖ろしいほど一気に快感がこみあげたためか、才人の肉棒は明らかに射精の動きをしながら鈴口をぱくぱく開くだけだったが、数拍おくれてようやくドプッと濃い精液を放出する。 ドクドクと激しく噴出する精液を、アンリエッタは蜜壺に見立てられた口の中にそそがれていく。 少女の意識に桃色の霧がかかり、残っていたまともな思考が、口内の男の脈動にあわせてこぼれ散る。 本当に下の口を犯されて、理性を散らされていくときと同じように。 (ひ……ひぃ……っ……) 精液は決して美味しいものではないはずなのだが、いつのまにか飲めば体が悦ぶようになっていた。 男に奉仕した結果を褒美として与えられるまま、のどに流しこむ。 疑似女性器と化した口が無意識にうごめいて、にゅくっ、にゅくっ、と射精中の男の肉をやんわり抜きしごき、嚥下する精液ごとのど奥にひきこもうとする。 いつもより大きい飲精の陶酔に、雪の肌がますます火照って赤らんでいく。 気がつけば、吸い尽くした母犬の乳首をなごりおしげにくわえる子犬のように、出した舌で裏筋をねぶりつつ亀頭を唇で締めつけてちゅうちゅう吸っている自分がいた。 まるで「もっとちょうだい」とばかりに夢中になって。頬を薔薇色に染め、淫美な色香をくゆらせながら。 陶酔に目を細め、甘やかに肉棒をしゃぶりつづける。 残り汁まで吸い終わっていることに気づく前に、才人に静止と揶揄の声をかけられた。 「っく、くぅ……終わってるってば、そんなにゅるにゅる舌動かすな…… ……はは、今日もそんなトロけきって精液飲んじゃって……姫さま、えっちぃ顔」 「……ぁ……ぇふ……?」 かすかに震える桜色の唇から、再度肉棒が抜かれる。精液と唾液の混合液の糸が、ぬちゃぁと幾筋もひかれて朱唇と亀頭をつないだ。 目頭が熱く、視界がうるみ、周囲の物体の輪郭がおぼろにしか把握できない。 ふやけた脳裏で、才人といまは喧嘩していることを思い出した。 ぼんやりと才人を見上げる。 なにかを言おうとしたが、どうにも舌と口がしびれて、はふはふと熱い息を押し出すばかりだった。 美尻の奥が、とろ火であぶられているように疼いている。 「なあ、口、以前より感じてるよな? こんなふうだと、いつか口だけでイっちまうかもな。 ……それとも、もしかして今のがそうだったりする?」 冷たさのある笑みを浮かべた才人に指摘された。 腕を後ろにまわしてしゃがんだ体勢のまま、アンリエッタはぼうっとした頭でその言葉を吟味する。 (わから……ない……そうかも…………) 深く感じていたことは間違いなかった。ドレスにかくれた下着が熱く濡れて、気持ち悪くヌルヌルになっている。 布を通してぽたぽたと愛液がしたたりそうなほどに。 不意に、じわんと新しい涙があふれた。 (……いままで抱かれたときも、はしたなく乱れてしまっていたけれど…… 嬲るようにされてもあんなに気持ちよくなってしまうのは、きっとお互いに情があるからと、そう思っていたのに……) いまは、本当に嫌だったことを強要されている。怒りと、屈辱が心にある。 ……それでも性感を高ぶらされてしまっている。 自分はとっくの昔に、思いやりなど与えられなくても体を嬲られることだけで乱れるような、淫らな女になっていたのだと実感させられる。 いや、それどころか、屈辱と恥辱の裏返しで余計に感じてしまっているとしたら。 実はアンリエッタを全く好きでもなんでもなかった才人に、あらためて心も体も強引に屈服させられていくことを、どこかで甘い喜びとして受け止めてしまっているのだとしたら。 それだと、本当に救いようがなかった。 (いやです……いやよ、そんなのは惨めすぎるもの……) けれどもし、自分は最初からルイズの代用品にすぎなくて、体しか求められていなかったというのなら。 この先彼への奉仕を拒めばきっと、もともと愛情などなかったとはっきり引導を渡されてしまう。 あとに自分に残されるものなど、反応が心の深層部にとどいてしまうほど開発された、浅ましく淫らになった肉体だけである。 「ほら、立てよ……続きするから」 哀愁の涙をたたえてうなだれたアンリエッタの頭に、才人が声をかけた。 言葉こそ乱暴ながら、見下ろす少年の表情には、手のなかの貴重な宝物に見惚れるような色が見え隠れしはじめている。 まつげを震わせながら、うつろに石の床を見つめるアンリエッタの半開きの唇が、てらてらとぬめった光沢を放っていた。 ………………………… ……………… …… アンリエッタは生まれてからずっと、周囲に対してごく自然に優位に立ってきた。 いつか国の利益のために政略結婚させられるであろう黄金の籠の小鳥には、つねに周囲が気をつかい、一歩引いてくれたのである。 それゆえ自分を対等とみなしてくる親しい人と、私事において喧嘩した経験がほとんどない。 小さかったころのルイズとのいさかいくらいだが、なにぶんその貴重な経験をしたころは幼すぎた。 それにあれは子猫二匹がもつれあって転げまわっていたような、たわいのないものである。打算もなにもなく、相手の機嫌をうかがう必要もなかった。 恋の複雑さとは無縁だった。 ……だからこういうときに、姫君育ちの身で人生の経験が浅いことを露呈してしまう。 いまは優位どころかまるで玩具のように扱われている。激怒を覚えながらも、臣下に対するように叱責すればいい問題ではないのである。 そういうわけで、根っこに我の強さと未熟さが同居している貴種の少女の心は、状況に対処できず混乱している。 しかもこの状況は直接的には、自分の不用意な「何でもする」という約束が原因だと少女は思っている。 だからといって意に沿わない調教を、簡単に受け入れられるはずもないから心が乱れるのだった。 どんな行動をするにせよ、開きなおってしまえばいいわけだが……こういうとき開きなおれば、たいていは極端な反応になる。 癇癪を起こしたように反発するか、男の言うがままに従順にかしずいてしまうか。 いまのところ、彼女は後者を選びつづけている。 「ほら、おま○ことっくにドロドロ。広げてるとエロい眺め…… 綺麗なピンク色の穴が、俺のち○ぽ欲しそうに糸引きながらヒクついてさ。 ホカホカに蒸れてて、広げたとたんむわぁって熱気あがったし。アンの発情したいい匂いもいっぱい立ちのぼってる」 「……や……やめて……」 「おま○こ穴がヒクヒクするたびにお肉の汁ふきこぼして、きゅぷきゅぷ鳴ってる。 あーあ、奥のほうから白く濁った濃いお汁まで出てきた。姫さまの子宮のよだれみたいなもんだよな、これ。 さっき脱いだパンツも、おま○こから垂れ流してた恥ずかしい汁で駄目にしちゃってたもんな?」 才人の言葉責めに、ただでさえ位置が下がって血がのぼっている顔がますます紅潮する。 背後から耳からすべりこむ淫虐の言葉に、アンリエッタは羞恥心が沸騰しそうだった。 足を肩幅より少し広めに開いて立ち、ひざをのばしたまま、手で自分の足首をつかまされている。上体を下げ、バックからの挿入をねだるようにお尻をツンと上げた姿勢。 「そんな広げないで……広げて見ないでくださいまし……」 濡れた声で哀訴しながらアンリエッタは、シルクの長手袋の下で手が白くなるほど力をこめて足首をぎゅっとつかむ。 ドレスを大きくまくりあげられて美尻をむきだしにされ、この姿勢をとらされて少年の前にすべてをさらすことを命じられた。 そして、陰唇をつままれて左右に開かれ、本能にしたがって男をしゃぶろうと卑猥にうごめいている発情状態の肉花を、昼の光のなかでより鮮明に観察されているのだった。 ……この数日でどれだけ気丈にふるまおうとしても、アンリエッタはけっきょく最後には、「従順にかしずく」ことを選びつづけている。 自分の言った約束だけでなく、見返りに才人に与えられる濃密な恥辱と快楽、それに貪欲に反応する自分の肉体に翻弄されていた。 毎回、最初のほうこそ凛然とした気概を見せるのだったが、泣いてしまうほどの肉悦を繰り返し叩きこまれているうちに、途中からは理性が雲散していく。 意識が肉色に染まり、少年の言うことに心でさえも逆らえなくなっていき、彼の肉棒を悦ばせるために生きているような牝になってしまうのだった。 いまでは才人を完全に失ってしまう可能性にさえ思い当たって、抵抗などとてもできなくなっている。この恥辱の姿勢をとらされるときも涙目で唇を噛むばかりだった。 「おしっこ穴までこんなヒクヒクさせてさ……朝にここからお潮をぬめり飛ばしてあんなにイッただろ? 気持ちよすぎて、まだ体が忘れられないのかよ?」 才人にくにくにと尿道口を指の腹で揉みこまれ、アンリエッタは「ひぃっ」と歯をくいしばる。 膣口から出た濃い愛液が尿道口まで垂れてくると、そこをこする指のタッチがぬるぬると滑らかになり、妖しい感覚に少女の腰をふるわせた。 「あ、出てきたえっち汁、アンのお豆にまで伝って……とろぉっと床にねばり落ちてく。 その勃起しかけの牝おちんちん、完全にぷっくりさせちゃえよ。ほら、かむってる皮すこしずつ押しのけて、ぴくぴく膨らみはじめてる……最後まで見ててやるから、さ。 おっきくしたらいつもみたいに、指でシコシココリコリして可愛がってやるからな」 「……なんでぇ……なんで、いやらしいことばかり言うのですか……」 アンリエッタが絶え入りそうな声を出した。 「よく言うよ」とつぶやき、才人は少女の淫らな姿にしげしげと見入った。 レースのニーソックスにぴっちりと太ももまでを包まれて、すらりと伸ばされたカモシカのような美脚。 その上では、男性を妖惑する桃尻がエロティックにかかげられている。真っ白く柔らかく、とろけるようにクリーミーな女の脂肪をたたえた双丘。 尻房に手をかけてこねると、芯にある若い弾力が確認できる。けれど表面は、平手で叩くとたぷりと揺れるほどに柔媚な牝肉だった。 ハイヒールを履いてひざを伸ばし、上体を伏せている格好のため、その悩ましい牝尻が体で一番高い位置にあるのだった。 最近はこうやって、執拗に尻を強調させるような姿勢をとらせることで、アンリエッタの羞恥心をあおりたてている才人である。 異物をうめこまれたアヌスからは、小さな輪をつけた細い鎖の端が出ている。淫具を引き出すための輪である。 その下の秘肉は湯気がたちそうなほど熱くぬかるみ「殿方のものをください」とばかりにうごめいて、いっそ感心するほどの淫猥な眺めをさらしていた。 「声もおま○このほうもトロトロじゃねえかよ。すっかり発情してるぜ。 俺のをしゃぶってただけでここまで感じたんだろ。それとも、朝からずっとこうだったのか? 心までどうこうできると思うな、とか言ってたよな……体いじめられたら簡単に全部トロトロになる、骨の髄までいやらしい女に見えるんだけど」 「……ぅ……うっ……違います…… あ、あっ、うああっ!?」 「違うならそんな敏感に反応する必要ないぜ。 俺の指、こんなおいしそうにくわえてるくせに」 ――にゅる、と蜜壺に才人の指が侵入してきたのだった。そろえた人差し指と中指。 愛液を指と膣壁のあいだから噴きそうなほど、一気に膣口が締まって少年の指をくわえた。 締めつけを無視して指でくちゅくちゅとかきまわされ、窮屈な姿勢をとるアンリエッタの震えが大きくなった。 「朝は……このへんだったっけ? ああ、ここだここだ。 自分でわかるか姫さま? おま○こ肉のここらへん、コスってほしそうに腫れあがってる」 「……ぁ……ぁひ……っ」 朝にさんざん嬲られた箇所。 そこを責められて泣きながら恥辱的に尻を振り、繰りかえし潮を噴かされ、舌をこぼしてあえぎながら哀願したのだった。 その充血した肉壁が、その下に密集した快楽神経を指で刺激されて嬉しそうに少年の指に応え、意思への裏切り者になっていく。裏切り者だらけの体、なのだけれど。 (なに……なんなの、この状況……) 空虚になりつつあるまなざしを陶酔したように震え細めて、麗貌に紅葉を散らしながらアンリエッタはあえぐ。 いまは日のまだ高い午後、ここは中庭に面した柱廊。 人の姿はないとはいえ、陽光が中庭からふんだんに入り、初夏のさわやかな風が吹き抜けるひらけた場所。 そんなところで自分は、ひざを伸ばし足首をつかんでお尻を男に差し出している。 殿方の性欲処理用に自分の恥部を提供させられるだけの存在になったような、服従させられきった恥ずかしい格好。 それも、喧嘩して許していないはずの相手に。 そのうえで秘肉をもてあそばれ、しとどに濡らして甘く鳴きさえしている。 あまりに誇りを傷つけるこの状況を、理解したくない。恥辱的な官能に色情を燃えたたせているこの体は自分のものじゃない、とさえ思い込みたくなってくるのだった。 と、才人が手首を返した。 過敏になっている膣内の別のポイントに触れられ、アンリエッタの理性がまた一瞬飛んだ。 「ぁうああっ!」 「ん……こっち側の壁も感触がこりっとしてきたな……ほら、気持ちいいとこいっぱい指で可愛がってやる」 膣内で反応して媚肉がしこってきた箇所を、男の指でコリコリほぐされると、腰がそれだけで抜けそうになる。 耐え切れずアンリエッタは、あふれた愛液がつたわる太ももを内側によじる。内股気味になったひざが互いにぶつかりそうなほどガクガクした。 「昼のあいだはいっぱい我慢してただろうからな。ご褒美ってことで、すぐイカせてやるよ。 いつでもお潮ふいてイッちゃっていいからな」 指の責めが要所を的確に責めてくる。ハイヒールのつま先から太ももにかけて、細微な震えが走った。 股間が溶けそうな切なさに目尻を下げ、たまらず尻をひゅくりとしゃくってしまい、とたんに腹の中でぐるりと玉がいくつもねじれた。 真っ赤な顔で「ああっ」と叫んでしまう。その存在を思い出させられて、アンリエッタは懇願した。 「せ、せめてお尻のものを抜いてくださいまし!」 肛肉に恥知らずな甘がゆさを与えてくるこの淫具を、一刻もはやく取り去ってほしかった。 腹中でねじれる数珠つなぎの玉が、心底いとわしい。 「じゃ、取ってやるよ」 珍しいことに、訴えをすぐ聞いてもらえた。 少年の指がことさらに蜜壺内壁のポイントに押しつけられた後、速やかににゅぽっと抜かれ、アンリエッタはあやうく潮を噴きそうになった。 彼女のつつましやかに固く締まっているアヌスからちょろんと出た鎖の端、淫具をひき出すための輪に才人が指をひっかける。 引っ張られると、最初の真鍮の玉がくすんだピンクの肛口を円形に押しひろげ、ぬぷっと吐きだされた。 「ひぃ……っ」 白い桃尻がヒクンと動いた。 その大小のボールを何個もつなげた形の淫具が、ずる、ぬぷん、と一個一個、肛肉の輪の硬い締めつけを内側からおしわけて出てくる。 「あっ……くっ……」 アンリエッタがあごを食いしばって、背徳的なその感覚に声をあげまいとした瞬間だった。 かかげた牝尻の柔艶な二つの丘を、十指が食いこむほどわしづかまれる。 淫具を途中まで引きだされたアヌスの下で、あざやかなほど美しい肉色を見せて濡れ光っていた膣口に、くちゅ……と何かがあてがわれた。 何をされようとしているのかを認識する暇もなく、ずむっ、と子宮まで突き通された。 「ひっ、ひいいい゙ぃぃっ!?」 臨戦態勢だった才人の肉棒を、受け入れ準備を完全に終えていた蜜壺にぶちこまれたのである。 不意打ちされた秘肉がきゅんっと収縮し、官能が瞬時に沸騰した。 さんざん焦らされていた女体があっさり崩落した。不自由な姿勢のまま、絶頂の声を噴きあげて身をくねらせる。 「ひあああぁぁっ! だめぇぇ、イきますぅっ」 三割ほど外に出ていた真鍮玉の淫具が、尻の悶えにあわせてぶるんと揺れ、潤滑油と腸液をぬめらせてつやつやと光った。 まだ腸管に詰めこまれたままの七割ほどがぐねぐねうねり、高みを極めさせられたアンリエッタをさらに悩乱に追いこむ。 脳裏が白くうるんでいた。 「ひぃ――ぃぃいっ……!」 ……白熱が去って視界がようやく定まったとき、まだちゃんと床と、自分でつかんだ足首が見えていることが、アンリエッタには信じられなかった。 彼女は倒れていなかった。どうにか姿勢をくずさなかったのである。 自分の熱いあえぎ声が聞こえる。眼下の床にぽたぽたと落ちている愛液は、貫かれている蜜壺から量を増してしたたっていた。潮を噴いてしまったのかもしれない。 もっともその液体の大部分は、下にしたたるのではなく、内股をつたってニーソックスに吸われているのだった。 「やっぱりもう少し入れとこうか、これ。お尻刺激しながらのほうがアンのおま○こ反応いいし」 才人がひくひくするアヌスに、ふたたび淫具の玉をひとつひとつ押し込んでくる。 アンリエッタの躾けをほどこされている肛口が、それらをいとも簡単にくぷくぷ呑みこんでいく。 腸管でまたしてもそれらがきゅるきゅる動き、少女にまぶたを固く閉じさせた。 「ひ……ひどいわ……」 その恨みあるつぶやきもよろめいて、震える唇がよだれを垂らした。 「ほら、終わりじゃないって。その姿勢つらけりゃ、目の前の柱に抱きついていいよ」 才人の許可に、少女は足首を握りしめていた手を離した。 つながったまま上体を起こし、よろよろと眼前の石の円柱に手をまわしてすがりつく。 アンリエッタが冷たい石に火照った頬をおしあてて、ぐったりと体重を押しつけたのを確認してから、才人の手がズボンに入っていた小さなビンを取り出した。 中には、ここしばらく閨で使っていた潤滑用のクリームが入っている。ふたを開けて中身を指ですくった後、するりとその手がアンリエッタの腰の前にまわされた。 「さっき言ったようにここも触ってやるよ」 円柱に必死でしがみつき、あえぐ少女ののどが反らされた。そこから濡れた悲鳴が漏れる。 ここ最近は女肛とセットで毎日責められて、充血した過敏状態が続いてじんじん疼くクリトリス。 その弱い肉を、包皮を完全に剥きあげられてクリームをぬりつけられ、指でヌルヌルとしごかれだす。 煩悦をもたらす苛烈な責めに、アンリエッタはつま先立ちになりひざ裏をピンと伸ばして尻をはねあげ、泣き言をもらした。 「うあああっ、そこ強くしないで、……あ、い、いやあっ、おなかのなか動いて……っ、 あひんんっ、せめてやさしく、やさしくしてくださいぃっ」 「なに言ってんだ、下ごしらえならさんざんしてやったろ。 ここまで体が出来上がってからなら、多少乱暴にしてもアンは感じるんだから。むしろちょっとくらい乱暴なほうが、だよな」 空いた手で、ドレスの胸元を引き下げられ、たわわな乳房が引っぱり出される。今日のドレス姿ではコルセットを着用してはいない。 重みのある柔肉がタプタプ揉みあげられ、形がむんにゅりと変わる。たちまちとろけ落ちそうに胸が甘ったるくなり、アンリエッタは瞳を切なげに細めて「あふ」と息をついた。 乳首と肉豆をくりくりいじられつつ、からみつく肉ひだをめくりかえすようにゆっくり肉棒を抜き差しされると、内股ぎみに寄せた少女の太ももがわなないた。 ………………………… 日がかたむいていく。 柱にすがりつくアンリエッタは、ドレスの下を腰までまくられただけではなく、上をみぞおちまで引きむかれている。 雪白の肩と背中を剥きだしにされて、突き上げられるたびに乳房をたゆんたゆんと揺らしていた。 いつものことだが、煮立たせられていた体で責めに長く耐えるのは難しかった。 秘肉を犯されたまま、ふんわりした巨きな乳房をパン生地のように念入りにこねられているだけで、骨ぬきになったようにアンリエッタは腰がとろける。 柱にしがみついていないと床にくずおれそうになってしまうのである。 ゆっくり抽送されながら乳首や股間の肉豆をしごかれると、もう完全に駄目だった。 皮を剥いてクリームを塗られたクリトリスを指でつままれてこすられ、もう片手で尿道口の上を押し揉まれたとき、また何度目かの絶頂の声と、少量の潮をもらして少年の指をぬらしてしまった。 「イくうぅぅっ……!」 悩乱の叫びをあげながらアンリエッタは大理石の柱を抱きしめた。 素足に履いたハイヒールでつま先立ちになって、白桃のような尻を突きあげ、尻の谷間をきゅうと寄せる。 しかし、まったく才人の手は休まなかった。抜き差しもかえって少し速くなっている。 達したばかりのクリトリスをくりゅくりゅひねられ、少女の口から薄い舌とともに苦悦のよだれがどろりとこぼれた。 「イきました、とめて、もうお豆はぁ……くううっ、敏感すぎるのです、 あうっ、いっしょに奥も突かれたら、あ、ぁく、そんなああっ」 延々と責められる肉豆のうけとる激烈な刺激に、上向いて牝尻がはね、蜜壺がぎゅっと粘膜の鞘を収縮させる。 そこに、才人がズヂュッと肉棒を根元までつきこむ。あがるアンリエッタの叫び声を聞きながら、彼もすっかり興奮しているようだった。 柱に押しつけようとするかのようにぐいぐいと後ろから腰を使われ、背とのどを反らしてアンリエッタは切れ切れに、苦悶と艶のいりまじる濡れた声をふりしぼる。 甘い香り。振りたくる栗色の髪が乱れて匂い、雪肌がぽうと血の色を透かす。 尻をむき出しにするべく腰までまくりあげられた夏用のドレスが、さらさらと揺れる。 初夏にふさわしい薄生地の清雅な色のドレスだが、それをまとう優美な肉体は濃淫な躾けをたっぷりほどこされているのだった。 「もう膝も伸ばしてられないっぽい? じゃ、床に伏せろよ」 才人がぬちゅり、とゆっくり肉棒を抜きだした。 とうにがくがくしていた膝がかくんと折れ、柱に抱きついたままアンリエッタはその場にへたりこんだ。 四つんばいにうずくまって、ひぃひぃと喘鳴しながら呼吸を整えようとつとめる。背後で才人がしゃがんで彼女のむき出しの美尻に手をかけた。 「このまましてやるから。ほら、お尻上げて。 もっと頭を下げて朝みたいに這って、犬みたいな格好になれよ」 そのあまりにも侮辱的な命令を聞いた刹那、アンリエッタは歯を食いしばった。 高ぶる淫情の中で忘れさせられかけていた怒りがこみあげ、肩越しに才人を、涙をたたえた目できっとばかりににらむ。 このとき意識しないながら、生来このかた他者を従わせてきた王族としての威厳がにじみ出てきていた。 厳然とにらまれて、才人の表情に驚きとひるみが浮かんだ。 けれどためらいは一瞬だった。少年は少女の腰骨をつかんで強引に尻を上げさせ、ふたたび蜜壺にずちゅと挿入する。 腰の前にもまた才人のまさぐる手がまわされ、簡単にクリトリスを見つけられる。 「〜〜ふ、ぁっ……」 アンリエッタの眉が切なげに下がった。湖水のような瞳が、悔しさをたたえながらも元通り甘くほころびた。 才人が淡々と言い聞かせるように命令を繰り返す。 「お尻しっかり上げろってば。まくりあげてるドレスのスカートが、つながってるところに落ちてきちゃうんだよ」 ただでさえ肉を蕩かされながらの上に、もっともらしい理由をつけられると反論しにくかった。 恥じらいと哀しみの色をただよわせながら、アンリエッタはひじを折った。ぶらさがって揺れる乳房の先端が石の床にこすれるほど、上体を低くして桃尻をかかげる。 一度は強気を取りもどした少女がふたたび屈服する様を、才人は見ながらぞくぞく胸をうずかせている。 女王になる時以来、強くなろうともがいてきたアンリエッタのこれまでの姿を才人は知っている。だからこそ、自分の手で徹底的に弱くなる姿も見たいと思うのだった。 彼は手をのべて、言うことを聞いた少女の頭をやさしく撫でた。 「そうそう……よし」 愛玩動物のように扱われて、アンリエッタは悲痛にうめく。 また頭を撫でられた。今度は牝犬の体勢でつながったまま背後から。今回も屈辱のはずなのに幸福感に胸を満たされ、とろんと目尻を下げきって瞳をうるめかせてしまった。 甘い愛撫にそういう反応をしてしまうまでに躾けられたということもあるが、なにより今度もほめられたことを嬉しく感じてしまったのである。 (わたくし……こんな扱いをされているのに、どうして……) 自己嫌悪が多くを占める悲嘆を噛みしめていると、彼女の頭を撫でていた手が髪をとくようにそっと落ちかかり、ぽうと夢うつつになっている顔面を繊細に愛撫した。 後ろから頬を撫でながら、才人が提案した。 「お尻振って自分で動いてみます?」 その提案に、アンリエッタはあえかに息をついて頭を重たげにうなだれさせた。 このまま一方的に攻められるのは怖い。そういう意味では渡りに船だった。 (けれど、お尻にまだ……) 淫具を詰めこまれたまま、肉棒を蜜壺に受けいれた状態で、腰を振らされる。 それはいまも肛内から身をさいなむ、おぞましい背徳の快美を、わざわざ自分から深く掘りさげる行為だった。 まるで、前で男のものをむさぼりつつ後ろで自慰をしている変態女になったような、言いようのない強烈な恥ずかしさがあるのだった。 「……じゃ、このままします」 答えを待たず、才人がいきなり動き出した。 興奮状態にある蜜壺を突き上げ、クリームにぬめった肉豆に指の腹をあてて愛撫し、抱えこんだ尻を揺する。 アンリエッタは下がった子宮を揺らされて、「ひいいっ」と鳴き、甘い汗とともに嬲られる女の色香をどっと噴いてしまう。 股間の結合部をまさぐってくる男の右手指の動きにも、血がざわめいた。 「あ、ああ、だめよ、……いやぁ、またそんな……!」 少年の左手で、アヌスの締め付けからまたぷちぷちと玉を引きだされ、くぷくぷと押しこまれる。 ぞわんと鳥肌を立たせながら、真っ赤な顔で叫びっぱなしになる。 床に這う格好に変わったとたん、責めてくる才人の動きはますます激しいものになっていた。 少女の甘い苦鳴が柱廊に響き、清雅な水色のドレスの表面がさざ波をなす。 したたる陽光は、物憂く熱い。 真白くそして夢ふかく、ドレスを半分剥かれた肌と光が溶けあっていく。 わずかのうちに、アンリエッタは提案をすぐ呑まなかったことを後悔しはじめていた。 子宮口を突き上げられると腰がはねるようにわななき、するとその動きに連動する淫具が肛肉を刺激し、前で得ている快楽に妖しい色をそえる。 しかも少年に操られてその玉の連なりの三割ほどが、前後動して肛口を出入りしているのである。 自分で動かなくても、そこの背徳の悦びを存分に味わわされているのだった。 二つの熱い粘膜の管を、道具と男の肉で犯されつつ、腰の前にまわされた手でクリトリスを愛撫され続ける少女が、紅潮した顔をひくんと上げた。 「お尻……お尻に入っている物だけでもぜんぶ抜いて……もう抜いてえっ! 後生です、どこか一つでいいのおっ、すこしだけ責めを堪忍してぇぇっ!!」 「自分で動く?」 「うご……うごきますわ、動けばよろしいのれしょうっ!」 アンリエッタはろれつが回らなくなってきた口で自暴自棄に叫んだ。 淫悦の奔騰をこらえかねて、シルクの長手袋でかきむしるように床に爪をたてる。 前後二穴での感覚が相乗して、内奥から肉が震撼している。あと数度えぐられれば、または剥けた肉豆を一ひねりされれば高みに飛翔させられる状態だった。 「それなら……」 だというのに、少年が腰骨を両手でがっちりつかみ、より激しく犯してきた。 愛液が飛び散るほどの肉棒の抜き差しに、少女の燃えていた体が一気に追いこまれた。叫び声もたちまちに緊迫の度を高める。 「あああ――たすけて、たふけてぇぇっ! いくぅ、ああ、うああああっ……!!」 アンリエッタが達するぎりぎりの直前で、ぴたりと少年のすべての動きが止まった。 「…………あ……?」 床で乳房を押しつぶすように突っ伏し、ぼんやりと涙で視界をぼやけさせた赤ら顔で、疑問のうめきを発する。 恥を知らない肉体が、どうして止めるのとばかりに子宮をひくんひくん疼かせた。 尻をぴしゃん、と平手で叩かれた。 「あひっ!」 「ほら、そこから動けよ。体がイきたくてたまらない状態からなら、スムーズに腰ふれるだろ。 それと牝ちんちん触るのは勘弁してやるけど、俺もちょっとは動くからな」 哀しげに蕩けた顔で肩越しに才人を見上げ、アンリエッタは赤い手形をつけられた白桃を揺すろうとする。 言われたとおり、沸点寸前に生煮えで放り出された体が、しっかりとどめをさして欲しいと訴えていた。 けれどなかなかふんぎりがつかず、濡れきった蜜壺で肉棒をしっかり食い締めたままぐずぐずしていたが――もう一発ぴしゃっと尻を叩かれたとき、腰がひゅくっと踊った。 あとは転がり落ちるように、牝の動きで尻をひゅくひゅくと胴体ごとくねらせていく。 腹中できゅむきゅむ転がる淫具の感覚に翻弄されつつも、開き直ったようにだんだん尻の振り立てが、大きくなめらかになる。 「は……ああっ……」 恥ずかしさに目を閉じ、双方の穴から湧き起こるそれぞれ違う快楽にあえぎながら、アンリエッタはクリクリと悩ましく美尻を振って男の肉棒に蜜壺で奉仕していた。 いつもこうである。何度気丈さを見せつけても、最後にはけっきょく狂おしい快楽のなかで従わされるのだった。 才人が、くなくな揺れる水色のドレスの細背におおいかぶさり、夕くれないの色に染まった可憐な耳に淫虐の言葉をささやいてくる。 「明日あたり下のお毛々、ぜんぶツルツルに剃ってやろうか? 子供みたいなおま○こになってみろよ。 それからベッドの横の床に這わせて、お尻上げさせてペンペンして、真っ赤なお尻になるまで叩きながら指で三回はお潮噴かせてやるよ。 それとも四つんばいのまま首輪と鎖だけ身につけて、部屋の中をひきまわされてみる? 犬みたいに扱ってやるよ。一晩中、人間の言葉を使わせないからな」 あまりに惨い嬲られ方をにおわせられて、アンリエッタは必死に首をふって泣き濡れた声をだす。 「やめて……やめてください、変なことをおっしゃらないでっ……、 できません、しませぬから! そのようなこと決してぇ……」 「と言ったって、体がやらしー反応してるじゃねえかよ。おま○こきゅうきゅうにしちゃって。 姫さま、表面ではあんま認めたがってないようだけど、体はいじめられるのほんっと大好きだよな?」 嗜虐趣味全開でそう意地悪に指摘して、才人が後ろから耳たぶを唇でくわえてしゃぶってくる。 「ひ、耳、ちがいます、大好きなんてことは……ぁ、あひ、ひいいいっ」 小刻みに肉棒を抽送されて、アンリエッタの否定の声がとけ崩れた。 徐々に少年の動きが元のように速まっていくが、少女のほうもいまさら腰のうねりを止められないようだった。 互いに本能のままの交わりに近づいていく。 高まりきって媚声をふきこぼすアンリエッタの様子を見て、才人が這った彼女の背中から手を前にまわした。 「お豆のかわりにこっちつまんでてやるよ。乳首もこんなしこらせちゃって」 下向きで、たゆたゆ踊る白い乳肉の頂点が、指にきゅっとつままれた。 肉感のぷりっとした乳首をこすりつぶされながら、ぽよぽよと乳房をもてあそばれていく。 快美のわななきが女体に走り、あごを上げて甘くむせびながら、少女が官能の灼熱するきざしを告げた。 「ああ、やめて、お乳もせつないのです……! お尻のなか灼けますっ、もうすぐなの、もうだめえっ」 濃艶な熱を女体が放散する。無惨に剥かれかけたドレスが凄艶な影をおびていた。 「イくんだな? じゃあ姫さまがイったときに、お尻のやついっぺんに抜いてあげますよ。一昨日みたいに。 あのとき、おま○こしながらお尻の道具何度も詰めこんで引っこ抜いてやって、そのたびに体がイくようになるまで続けたよな?」 「ひっ、いや、いやです、どうかそんなことはやめて、ひぅ、やぁぁ、 だめ、だめ、ひいいい、いく、あ、イきますう……ああああ、イくうううっ!!」 血を吐くような叫びとともに、アンリエッタが絶頂に到達する。先ほど一度寸止めにされたこともあって、それは強烈なものだった。 淫奔に振りたてられていた魅惑的な尻が、動きを止めて痙攣し、蜜壺とアヌスをきゅうぅぅぅと締める。 その瞬間、アヌスから淫具を一気に引き抜かれた。括約筋の締めつけをえぐりながら、ぷちぷちと真鍮玉が肛口を広げて出ていき、にゅじゅるん、と全体が飛びだす。 「ひぃいいっっ――あああああああっ!」 淫具とともに魂を強引にひっこ抜かれたようだった。 宣言されていたのに、まったく耐えられなかった。いま達したばかりの高みを台にして、もう一段上へ強制的にのぼらされる。 「だめ、またイくううっ、ひあっ、らめ、ああああっ、イくぅっ……!!」 一瞬で火だるまになるような連続した絶頂に呑みこまれ、内臓から深く達して、泣きながらアンリエッタはかかげた尻を淫靡にくねり悶えさせる。 蜜壺からも、好意たっぷりに熱く抱擁されていた肉棒が、アヌスの淫具とあわせて抜かれている。 噴き癖をつけられている潮が、ぴしゅぴしゅと断続的に飛んだ。 うつぶせに完全に床にくずれ落ちたアンリエッタの体を、背後から才人が乗りこえるようにまたいだ。 肉棒を自分の手でしごきあげながら、びくびく脈打ちはじめた亀頭を少女の頭の上から押しあてる。 どぴゅっ、どぷっと大量の精液が、栗色の髪の上からぶっかけられていく。 力つきてぐったりし、火照った呼吸をつむいでいるアンリエッタが「……ぃゃぁ……」とおぼろな泣き声を漏らした。 髪の生え際から美貌にとろとろと、熱い精液が流れ落ちていく。 頭上から白濁をぶっかけられて、くらくらする猛烈な男の精臭につつまれながら、腰骨がなくなったかのような余韻にじんわりと少女はひたらされるのだった。 ………………………… 「こんなお尻の穴ぽっかり開いちゃって……いや無理ないか、ずっと入ってたんだもんな」 床に這ったアンリエッタが、いつまでも夢幻をさまよっていられなかったのは、その一言と同時に触れてきた指のせいだった。 直径二サントほどの、コインくらいの大きさの穴を開き、ピンクの内部肉壁を見せてひくひくするアヌスを才人に触れられたのである。 快楽に使えるよう、肉が十分にほぐれてきたかを確かめるような手つきだった。 彼女は「〜ひっ」と息をのみ、反射的に触られた場所を締めた。 抜けかけている腰をよじって手をのばし、ドレスのすそで必死に尻を隠そうとする。 恥じらいはもちろんだが、恐怖のほうが大きい。 いまは体が蕩けすぎている。つづけてすぐアヌスを犯されたら、いままで行かなかった領域に連れ込まれてしまいそうで怖かった。 しかし、才人もこの場ではそれ以上するつもりはないようだった。 「一度お風呂はいって、晩ごはんもちゃんと食べてからまたしような」 アンリエッタは複雑な気分になる。 いま嬲られずにすむことへの安堵が大きかったが、今夜もやはり身を少年に呈さなければならないようだった。 まだ一日が終わっていないことが呪わしかった。 少女は石の床に腕を必死につっぱり、震える上体をようようのことで立て直した。 「ひ……ひきょう、ものぉ……」 へ? と目を丸くしている才人を必死ににらむ。 悦びを極めた直後のことで美貌はゆるみきり、水面のような美しい瞳は蕩けてしまっていたが。 「あなひゃが……あなたが、いやらしいことをしなければ……わたくひは、もっとちゃんとした女でいられるのよ……こんなことで、だまらせようとして…… わた、わたくしは……ずっと怒っているのですからね……」 (言えた、ちゃんと言えたわ……) 本当はこのとき淫楽のなごりで、怒りの感情さえ一時的に溶き流されてしまっていたが……せめて、虚勢だけでも張らなければならなかった。 才人にどんな反応をされるだろう、と怯えるかたわらで、言えた自分がかすかに誇らしくもある。 ここ数日、心身を陵辱されて乱れながらも、自分自身に言いきかせてきた。「抱かれている最中はもう駄目でも、それが終わったら戻らなくては」と。 毎回、快楽に弱りすぎて途中から狂わされてしまう。それはもう諦めた。 けれどどれだけ乱れても、終わって体の熱が冷めれば、心をどうにか立ちなおらせてきた。怒りを再燃させて、誇りを取り戻してきた。 そのことが、アンリエッタがしがみついている自尊心の柱なのだった。 炎天下の氷のように濡れて溶けかけながら、どうにか意地を張っている少女を見て、才人は胸がまたしても妖しくうずくのを感じた。 たぶんアンリエッタ自身は意識していないのだろうが、男をぞくぞくさせる艶めかしさが、その潤みをたたえてにらむ瞳にこぼれんばかりに満ちている。 つい手をのばし、座りこんでいるアンリエッタの頬をなでる。 ひっ、と少女が一瞬おびえたように身をこわばらせ、それから頬への穏やかな愛撫に細いため息をついている。 その目が才人を悔しげににらもうとしながらも、安堵するような光をやどした。 才人はアンリエッタの目を見ながら、静かに考える。 (この人、弱い人だけど、けっして弱いばかりじゃないんだよな…… ほんとに複雑な人だよなぁ) 嬲ればすぐ骨抜きになるのに、最後のところではなかなか折れない。その後、彼女は何度でも立ちなおるのだった。 それでも体を重ねて何度も屈服させていると、少しずつ深みに落とせている実感があって、少年は容易にやめられなくなっている。 自分の嗜虐的な行為に体で応えて、少女がしっとりと危うい色香を増していくことが、才人を夢中にさせているのだった。 〈中〉は分けました。後編に続きます。
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○前回に引きつづき、お尻調教でSM風味。属性ない人は注意。 #br 「新しく刊行されたサヴァラン氏の著書は読みまして? ええ、あれこそ天下の奇書ですわ。あれを読むといつでもよだれが出てまいりますのよ。 “食物の本じゃありませんか、あなたときたら食べることばかり”ですって? 失敬な、食哲学と呼ぶべき本ですわ」 「大食哲学だろうと悪食魔法だろうとマラルメ夫人の言うとおり、あなたの食い意地が張っていることにみんな異存はありませんわよ。 あなたときたら今日のようにサロンに貴賓を迎える日にも、緊張していたのは最初だけで、すぐいつもと変わらなくなるんですから」 「まったくね。でも何を語りましょう? あの歌姫はどこそこの家の貴公子と怪しい仲だとか、あの家の奥様は戯曲家を居候させてずいぶん熱をあげてらっしゃるとか、いつもはそんな話でけっこう長くもつけど」 「あのお調子者の詩人を、召使に粉をかけたからってここへの出入り禁止にしたのはまずかったわね。 今ここにいたら陛下の美しさをたたえる詩でも作らせたのに」 「呼べばすっとんで来ると思うけど。このような高貴な佳人を迎えていると知ったら、あの男なら何が何でも入れてくれと頭を下げにくるわよ」 「こらお黙り! 私達のサロンをいかがわしいものと陛下が誤解するじゃないの! 失礼いたしました陛下。いえね、彼女らはちょっとお茶目ぞろいで……陛下? まあ大変、具合が悪いのですか?」 「あらまあ、本当に。お顔が熱っぽいわ。いけません陛下、きっと夏風邪を召されたのですわ。ベッドに横になって、いますぐ侍医団を……いりませんか? あ、お帰りになられる? 大丈夫なのですか? い、いえ、謝られるなどそんなもったいない、もともと招待を受けてくださっただけでも望外のことだったのですから。 ほんとうに離宮まで何ともございませんの? ええ、ええ、お気をつけてお帰りくださいまし」 ………………………… ……………… …… 初夏の午後。西に日が傾いているとはいえ、光のまだ白い昼日中。 離宮の最奥部、中庭に面した柱廊を一人きり、アンリエッタはドレスの裾をひるがえしてしずやかに歩く。 いつもとは違う夏用デザインの清楚な水色のドレスは、シルクサテンの薄い生地。肩と胸元を露出させて、ぴったりと上体の線を見せている。 少女が、同じ色のハイヒールの靴で歩むたびに、そのドレスの表面が波のようにうねる。ひじまで覆う長手袋もドレスと同系統の色。 王冠のかわりに頭にのせている貴婦人用ティアラが輝き、耳の後ろと袖口にごく少量つけられた香水が、ほのかに花の甘い匂いをただよわせた。 女王はたった今、招かれていた近場の貴婦人たちのサロンから帰ってきたのだった。 よく見れば彼女の歩みは、妙に足どりがぎこちなくおぼつかない。 目元が赤らんでゆるみ、しかし愁いをたたえている。 その麗貌がかすかに狼狽の色を浮かべて瞳を揺らめかせたのは、今まさに中庭から柱廊に上がってきたらしい少年が前方にあらわれたからである。 午後をとおし中庭で剣をふって自己鍛錬していたらしき才人は、上半身はパーカーを脱いでシャツ一枚。 列なる円柱の一つにもたれて、息をつこうとしているところだった。 あらわな四肢はよりあわされた鋼線のごとくに見える。やや細身だがなかなか強靭そうな、若い男の体である。 その躍動するような引き締まった筋肉のうえに、長時間の運動による汗をおびただしく流している。 少年と少女の目が合った。才人が目を丸くする。 「あれ、夕方まで出かけてるんじゃなかった?」 よくもそんなことを、とアンリエッタは恨みを抱いて唇を噛む。 自分が帰ってくることになったのは、彼のほどこしたことが原因である。 そのせいで会話に集中できずもじもじしているのを見咎められ、うす赤い顔色で病気と間違われたのだ。 すっと才人から目をそらし、離宮での自分の寝室に入るべく、その横を黙って通りすぎようとする。 「ちょっと待った」 手首をつかまれた。 つかんでくる手にはほとんど力がこめられておらず、振りほどこうと思えば簡単にそうできただろうが、アンリエッタはとっさに振りはらえず立ち止まってしまった。 無言のまま諦念と怨情をこめ、苦しげに唇をひきむすんだ表情で才人をふりかえる。 その目が大きく見開かれたのは、腰を抱きよせられて唇を重ねられたからである。 「んん――!?」 柳のような細腰に男の腕がまわされ、今度はしっかり抱きとめられている。 「ほどこされたこと」のせいで、抱き寄せられたときグチャリと内奥をかきまわされた腰がぶるりとわななき、くぐもった叫びは唇と唇の間で発せられることなく消えた。 とっさに才人の胸板に手をおいて押しのけようとしたものの、五体に力がはいらず、抵抗はきわめて弱々しかった。 ましてや突きとばすことなどできるはずもなく、混乱したまま唇を好きなようにむさぼられる。 「んっ、ふ、ぁ――」 一瞬口づけが止んでわずかに唇を離され、あえいで息をついだのもつかの間、すぐにもっと深くキスされる。 口をぴったりふさがれて舌を吸われる。 いままで鍛錬していた少年の、濃い汗のにおいを密着してかがされる。 抱きすくめてくる少年の体は、豹のような力強さのほかに、浴びていた夏の陽の熱をアンリエッタの柔らかい体に伝えてくる。 くらりとして目元をじんわりゆるませてから、アンリエッタははっと我にかえった。 あごをひいて唇をはなし、顔をそむける。 その横顔に顔を近づけて、おっかぶせるように才人が低い声でささやく。 「忘れてないよな……朝に、『帰ってきたら』って約束しただろ?」 「……わたくしに、あ、あのようなことをしながらあなたが無理やり言わせたのに、約束などと……! あっ!? ひ、だめっ!」 アンリエッタの夏用ドレスのスカート部分は、一見してそうは見えないながら太ももの付け根までスリットが入っているデザイン。常の女王の白ドレスとそこだけは似ている。 そのスリットからするりと才人の手が入ってきて、下着の上から秘部に触れたのだった。 幸いにもそれ以上をすることなく手はすっとドレスから抜かれたが、下着の熱い湿り気は間違いなく伝わっただろう。 アンリエッタはすそを押さえ、顔を真っ赤にしてうつむき、ほぞを噛んだ。 ずっと何かをされていたのは前の部分ではない。だが、そこもじっとり蒸れるほど潤ってしまっている。 才人が、半分は意識してよそおっているらしき笑みを浮かべた。 「自分で我慢できないほど繰り返しイったのは、アンの体がえっちすぎるせいだろ。俺は指でおま○こかきまわしてやってただけだぜ。 『後でかならずご奉仕しますからいまは許して』って、お潮ふきながら何度もお願いしていたくせに。だから本番は、おま○こもお尻もしないで我慢してやったんだからな。 その場しのぎでそう言ったにしても、ちゃんと守ってもらうからな。今すぐ」 「そんな、あれだけ焦らすように触られたあとで……あんな……こんなもの使われながらだったら誰だってっ……! ……ぁ、ン……」 才人の手が少女のおとがいに触れて顔を上向かせた。 口を封じるようにまたキス。 アンリエッタは後ろによろめき、円柱のひとつに背中をあずける。口づけは続いている。 汗をひたいににじませ、悔しくも心にわきあがる甘い熱が体をますます火照らせるのを感じながら、アンリエッタは口づけの中で朦朧と考えた。 (なんで、こんなことに……) ………………………… 数日前。あの恥辱の夜の記憶。 浣腸液をそそぎこまれ、最低の恥をさらした後に浴室内で二回目にアヌスを犯された。 失神し、意識が戻ったのは寝室のベッドに寝かされてからである。 嬲られている最中は心を折られてひたすら哀願するしかできなかったが、目が覚めてしばらくして自失状態から立ちなおると、その記憶は屈辱の火となって怒りを呼び覚ました。 これまでも才人との交わりのたび、嗜虐的に責められるのは常ではあった。 けれど、それはあくまで「情交に刺激を添える」ためのものだと少女は理解していた。 本当にアンリエッタの心を傷つけるような抱き方を、これまでの才人がしたことはなかったのである。その夜までは。 今回は――ひどすぎた。 遊びとして許容できる範囲を、はるかに超えていた。 (今度という今度は、簡単に許さないわ!) アンリエッタとてあまり面には出さないが本来、高貴な身分の常として気位は高い。 礼儀と物腰しとやかな上品さが表面をとりつくろっているが、中身はルイズに劣らず激情家で我が強い少女なのである。 だから、ベッドのそばに付き添っていた才人を目覚めて見たとき、憤激を覚えた。 アンリエッタは怒りと悲哀を声にこめて、才人に「なぜこんなことをするのですか」と訊いたのである。 その問いかけに「なんでって……」とつぶやいたきり、才人の答えはすぐに返ってこなかった。 アンリエッタの涙でにじんだ視界の向こうに、生乾きになって痛痒を感じさせる傷口の存在を、ありありと思い出させられたような少年の顔がある。 才人も八つ当たりのようなことをしてしまった自分が情けなく、自己嫌悪はしていたのである。しかし発端となった、ルイズやアンリエッタに抱く鬱屈はけっして消えていない。 そのときは少したってから、複雑ないらだちのこもった声が返ってきた。 「……最初の夜に自分の言ったこと思い返してください。 心当たりまったくないとは言えねーだろ」 「……それは」 アンリエッタは、ぴくんと反応した。 「あるだろ……?」 苦い才人の声。 才人は、アンリエッタがルイズと同じく「(隠してることは)なにもない」と嘘をついたことを指している。 少女たちに正面から向き合ってもらえない不満と、疎外感からくる嫉妬。それが、わだかまりになっているのである。 才人はナイーブな面も強く持ち、落ちこむときは落ちこむ少年である。 だからこそ今回傷つけられて抱いた衝動は、体を重ねて以来アンリエッタに刺激される嗜虐的な情欲とからみあって、暴走したのだった。 しかしこのとき、アンリエッタは才人の言葉を間違って受けとっていたのである。 彼女は懊悩する。 (たしかにあの夜「なんでもいたします」と言ったわ、けれど……) 秘密のことはごまかしてうやむやにできたと信じているアンリエッタは、才人に「なんでもする」と言ったことを指摘されたと思ったのである。 そう自分から言った以上、たしかにどんなことだろうと彼の要求に応えないとならないのかもしれない。 (でも、こんな辱めを受けるとは思わなかったもの……ひどいわ、……お、お尻、なんて…… でも、我慢しなければ嘘をついたことになるわ……今だって避妊していないことを隠しているのに、サイト殿にまた嘘を重ねるの?) けっきょくそのとき、アンリエッタは涙をためた目をきっと上げて才人をにらみ、震えながら言ったのだった。 「……わかりました、あなたの好きに……好きになさればよろしいわ。 でも、わたくしの心の奥までどうこうできると思わないで」 このことは恨んでやるんだから、と胸中で続けている。 言質をとって恥辱を強いてくる才人に怒りを覚えつつも、口にしたことを守るほうを選んだのである。 砕かれたプライドの残りをどうにかかき集めて、敢然と顔を上げていた。 一方、アンリエッタの意地をはる様子を見て、才人もまた怒気が再燃する。 根底には、こっちにも勘違いがあった。 (……あー、そうかよ。また「俺にちょっとでも秘密にかかわることを話すくらいなら、黙って体を好きにさせるほうがマシ」ってわけか。 本当に俺なんて信用してねえんだな、この人もルイズも。 そこまで言うならほんとに、とことん好きなだけやらせてもらうからな) 双方の言葉足らずと思いこみから、またしてもすれ違ったわけである。 この場にいないルイズを含め、彼らはまだまだ若く未熟なのだった。 若さはときに落ち着きと思慮を欠けさせ、感情と情欲を突っ走らせる。 ………………………… 現在。 離宮の中庭に面した柱廊で、ドレスのよそおい華やかな少女と半裸の少年が唇を重ねつづけている。 柱廊に一陣ふきぬけた夏風にドレスが揺れ、花の香がほのめいた。 アンリエッタは円柱に背をあずけて口づけを受けている。というより、才人に細腕をつかまれてひんやりした円柱に押しつけられ、美しい形の唇をむさぼられている格好。 その桜桃のような唇が優しく咬まれる。 閉じようとしていた少女の唇がゆるむと、それを割るようにして少年の舌がすべりこんでくる。気がつくと震える舌まで吸われている。 湿った音をたてて味わわれる深いキスの中で、アンリエッタの表情が夢心地に艶めいていく。 夕べの近づく夏の午後、円柱のかげで行われる息苦しく、くらくら酩酊するようなキス。 ここ数日の荒淫で抵抗力を弱められていた少女の肉体が、おののいてかぼそく震える。 「……ン……ぁむ、ん……」 気がつくとアンリエッタは自分からも、少年の舌と唇に奉仕するようなキスを返していた――ぴちゃりと小さな舌をからませ、ぷるりとした唇で相手の唇をこすって愛撫する。 アンリエッタがその気になってきたと見てとってか、才人が彼女の頬を手ではさんでそっと顔を離した。 ……あふ……と少女の濡れた唇から、どこか名残を惜しむようなあえぎがもれる。 貴婦人たちのサロンで熱っぽいと言われた頬は、今やさらにうっすら色づき、ぽうっと才人を見つめる瞳はうるんで、えも言われぬ風情をたたえている。 「……まだ、キス欲しい?」 「ち……ちが、違います……」 「へえ、そう?」 才人がアンリエッタの腰に回した手をさらに下にすべらせ、ドレスに包まれたまろやかな尻房の片方をつかんだ。 びくんっと身をはねさせるように反応し、目に見えて少女の体がこわばる。 「もうおま○こしたいってことかよ? それともお尻されたい? そのために今日の朝から道具入れてほぐしてるもんな、準備はいつでもできてるだろ」 才人のからかいの言葉にあらためて意識させられたとたん、こねられる美尻の奥がじんとうずき、重い熱をつたえてきた。 少年が言うとおり、いまアンリエッタの肛内には淫具が埋まっているのである。 おそらく歓楽街の怪しげな店あたりで買ってきたのであろうそれは、大きさもまちまちな真鍮の玉が十数個ほど。すべての玉をくっつけて棒状にしたものを、植物のオイルを塗ってからアヌスに挿入されている。 (あの日から、こんなものまでわたくしに使って……!) 朝、着替える前に才人に「離宮近くのサロンを訪問するのは、護衛としてついてきてもらうほどのことではない」と告げたのだが、その後すぐにまた組み敷かれたのだった。 最近は朝となく夜となく、唐突にみだらな行為を強要されるのである。 それも以前とはちがい、双方がどこかで納得した「遊び」ではなく、本気でアンリエッタの心身を陵辱するような行為を。 お尻の恥ずかしすぎる「準備」だけは自分ですることを許されたが、湯も使って清めてきた後に、淫具を肛門から押しこまれて涙をこぼしそうになった。 そのまま、まずは全身をえんえんと長く焦らすように愛撫され、次に本格的にベッドに這わされて舌や指でいいように鳴かされた。 それは恥辱をともなわせて容赦なく追いこむやり方で、アンリエッタは何度も肉がドロドロと溶けていくような絶頂に達した。 「出かける前に腰が抜けてしまうからこれ以上はしないで」と懇願し、けっきょく帰ってからの奉仕を約束させられたのである。 肛道につめこまれたまま抜かせてもらえなかった淫具のせいで、昼のあいだも淫熱を冷ますことができず、体を発情状態にとどめ置かれたままでもじもじしていたのだった。 (だ、だって……これ、うっかり腰をよじるとお尻のなかで動きますから…… どうしても落ち着けなくて……ああ……) 思いかえすだに恥ずかしく情けなくなり、顔をおおいたくなる。 埋めこまれたその淫具とさきほどのキスでとろかされていた自分をどうにか取り戻し、アンリエッタは怒りをこめて才人を見返す。 「……最初のときから、そんな場所をされるのを本心から望んだことなんか一度もありませぬ! こんなことまでして、最近のサイト殿は……ぁ……」 すぐ口づけされ、もう何度目かに黙らされる。 アンリエッタにはわけがわからないが、最近の才人はひどい嬲りかたをしてくるくせに、キスをふくめて前戯はますます丁寧で優しくなっているのである。 だから、喧嘩をしていてもこれだけは拒みにくい。 ――結果としてその後の淫虐の行為にも溺れさせられてしまうのは、愛撫で肉情を高められるせいとわかってはいるけれど。 アンリエッタの唇をなぞるように軽いキスをほどこしつつ、才人が低くささやいた。わざと卑猥なことを口にしている。 「おま○こやお尻するのは後からな。俺も朝から我慢してて限界。 さっそくだけど、まずこの唇で一回抜かせてもらうから。姫さま、しゃがんでくださいよ」 アンリエッタは悔しげに眉をよせ、下唇を噛んだ。 それでも才人の要求を受け入れるしかない。最初の夜に「何でも言いつけていい」と自分で約束したのだから。 言われるとおり口で奉仕するため、アンリエッタは才人の前の白い床にしずしずとひざまずこうとする。 と、才人がとどめた。 「あ、違う違う」 「え?」 「ひざを床につけるんじゃなくて、足をふんばるようにして腰を落としてしゃがめよ……手は後ろにまわして。壺の上にしゃがんだときみたいな格好。 手は使うなよ、口だけでやってもらうから」 言葉が耳にとどいても、その意味を正しく理解するまで数瞬を要した。 なにを言われたのかわかったとき、かっと少女の顔が火照った。 アンリエッタはわなわなと震える。 「あ……あなたという人は……」 壺の上にしゃがむ格好。 離宮滞在三日目の夜、二回目にアヌスを犯されたときのこと。最初に浣腸されて泣きながら排泄させられたときの体勢である。 あのときも、しゃがんだまま才人のものに口で奉仕させられたのだった。 あの夜の一連の恥ずかしい記憶は、ぬぐいようもなくべっとりと心にへばりついている。 あんなことをされたのに、体は反応して肉悦に泣き叫んだ。最後には浴室で女肛を貫かれながらクリトリスを嬲られて何度も絶頂に達し、恥辱のなかで黒い快楽を覚えこまされた。 心と肉体に刻まれたその苦悩に近い快楽の記憶が、思いかえすたびに怒りとともにやるせない疼きを呼び起こすのである。 才人もそれがわかっているから時々このように、あの屈辱の夜の行為をわざわざなぞるような責めをしてくる。 「〜〜くっ……」 けっきょく、憤激と恥じらいで美貌に朱を散らしつつ、アンリエッタは指示されたとおりの格好でしゃがむ。 青みがかったシルクの長手袋をはめた手を、体の後ろにまわして組む。夏用ドレスのすそがさらりと床に広がった。ハイヒールをはいているのは、あの夜と同じ。 しゃがんだ尻の奥で、連なった玉がぐりゅと動き、思わず声を出してしまいそうになる。 「ほら」 才人が自らのものを取りだして口元につきつけてくる。それに一度顔をそむけてから向きなおり、可憐な唇にそっとふくむ。 桜色のぷるぷるした唇が亀頭をきゅっと包み、呑みこみながら幹のほうへおりていく。 口内では舌でカリ周りをなぞり、ぬりぬりと裏筋をこすりあげ、繊細だが強烈な肉の快美を与える。 才人がかすかにうめき、アンリエッタのティアラをのせた栗色の頭をかかえこむようにして、もっと奥まで呑みこんでくれとばかりに腰をすすませてきた。 ゆっくりではあったが肉の猿ぐつわをのどまで押しこまれ、少女は苦しさに涙をうかべる。 けれど同時に、口内ではねる男の肉の感触は、これまで躾けられてきた体を反射的に熱くさせてもいた。 汗のにおい、そして男性器そのものの雄のにおい。それがアンリエッタの脳裏を刺激している。ずっとこれを嗅ぎながら抱かれて、愛欲を満たされてきた。 肉棒を丁寧にねぶりつつとろんと瞳を弛緩させてから、少女はあわてて強く念じた。 (ま、また……だめ、わたくしはいま怒っているのだから……) こういうことに徹底的に慣らされて、簡単に反応するようになっている自分の体がうらめしい。 アンリエッタは気をひきしめて、少年を憎々しげににらみつけようと見上げる。 けれど見下ろしている才人の観察するような目と視線がかちあって、羞恥に頬が燃えた。 ただ視線を伏せたり眉を気弱に下げたりしないことだけで、精一杯になってしまう。 なにしろ、いかに気を張ろうとしても、自分は相手の少年のものに口で尽くしているところなのだった。 こうしているときの上下関係をはっきりさせられている。 少年に支配されている状況、と思えば、理不尽な満足感さえもがわきあがってしまう。 (こんな……いつのまに、心のほうまでこんなにまで……) アンリエッタは、自分の心身が予想以上に躾けられていたことに、愕然とする。 奉仕中の顔を見られていることを意識するだけで、脳裏が熱を帯びてうるんでいくのである。 誇りを見せて、毅然とした態度でにらみつける……はずなのに、自分がいまどんな顔をしているかわからない。 気をぬくとすぐ芯を抜かれて、「弱い女」の表情に戻ってしまいそうになる。 とくとくと鼓動がはやまっていた。 にらむのを諦めて目を伏せてから、アンリエッタは悲壮に決意する。 (やっぱり、いままでサイト殿に好きにさせすぎたんだわ。この約束の期間が終わったら、これからはもっと節度を持った抱き方を求めないと。 ……でないとわたくし、どんどん……今だって、悔しいのに体が熱くて……このままでは後戻りできなくなってしまうもの……) ………………………… でも、と奉仕しながらアンリエッタの思考が揺れる。 (こういうことをさせなくなったとたん、サイト殿がわたくしをまったく見てくれなくなったらどうすればいいのかしら? そ、そんなことないわ、わたくしだって少しは気にかけてもらっているはずだもの。 でも……サイト殿はきっと、ルイズにはこんなひどいこと、無理矢理しないわ……) いくら「好きにしていい」と言ったからとはいえ、なんでここ最近でこんな扱いを受けるようになったのか、他者の心の機微に鈍いアンリエッタにはよくわからない。 理由をさぐろうとして、ここしばらくの意思を無視して性感を引きずりだされ、徹底的に嬲られるような抱かれ方を思いかえしてみる。 恥じらいと憤りをあらためて覚え、(いままでも時々言いたかったけれど、わたくしをなんだと思っているの)と心中で怨嗟しながらも、ふと良くないほうに思考が転がった。 (こんな、わたくしの心を無視するようなことをするのは、もともとわたくしなど少しも気にかけていないからかも。 もしかして、愛情なんて一片もなくてずっと、か、体だけ求められていた……のかしら……?) その可能性に思いあたったとき、アンリエッタは体が内側から急速に冷たくなった気がした。 意地をはる余裕もなく気弱になってしまい、つい涙がにじんでくる。 もごもごと口を使いながら、暗い底なしの悩みに沈んでいく。 これまでに才人からほどこされてきた「躾け」は、いわば情交を濃密にするための遊びのようなものだと納得して受けいれていた。 嗜虐的な形の情欲を才人が見せても、根底には愛情があるのだからと。そう思い、いつしか恥ずかしがりながらもそれに自分から溺れていっていた。 けれど強引にお尻の処女を奪われてからこっち、それほど確信が持てなくなっている。 思ってしまう。自分はずっと欲望のはけ口にされていただけではないのだろうか、と。 もしそうだったなら……と思うだけで、悲哀に心がうずく。 つぎに「それなら、絶対に許さないわ」と恨みをいだく自尊心。 それと反するように「体だけを求められているなら、この先拒めばいつ捨てられるかわからない」という怯え。 怯えに続くように「それでも従っていれば、そばにいてくれるというのなら、いっそ……」との迷い。 それがまた、自尊心とぶつかって堂々めぐりになる。 複雑に想いがこんがらかり、アンリエッタはどうすればいいのか本格的にわからなくなる。 彼女の胸の奥底には「すがれるものがほしい」という、暗く燃えさかるような欲求がある。 それゆえ「手に入れたと思っていた愛情が、完全にまやかしだった」という仮定だけで心が乱され、情緒不安定になるのだった。 「馬鹿にして! もうこんなことはさせないわ」と決意した端からすぐ、「なんでもいたしますからどこかに行かないで」とすがりそうになってしまう。 気持ちの揺れ幅が大きくなり、自分でそれに振り回されてしまう。 そうやって混乱している自分にも、アンリエッタは歯がゆさを覚えるのだった。 (ルイズならきっと……こんな情けないことにはならないわ。あの子はいつでも誇り高くて立派だもの。 だから……ルイズなら、こんなとききちんと自分の誇りを保てるのでしょうけれど……) アンリエッタはルイズに昔から羨望をいだいている【9巻】。もっとも、彼女たちは微妙に互いを美化している気味があるのだが。 (あの子は喧嘩しても何をしても、きっとずっとサイト殿に好きでいてもらえる。 けれど、わたくしは……? 意地を張りとおしても嫌われないかしら? いやよ、本気で怒っているのに、自分の気概をねじ曲げてまで殿方に媚びるような真似…… でも、いまさら捨てられるのはもっといや……) 初めて抱かれる前ならまだ諦められたが、いろいろあった今ではもう離れられない。 才人は一番、ルイズが好きなのだ。アンリエッタはそう解釈して、そこはもう認めている。 ただ、自分にも心の一部を向けてくれるなら。自分も愛してくれるなら、それでいい。 いつからか、そう思うようになっていた。 ――そして、少しは愛されているはず、と無邪気に信じきっていた。今までは。 ………………………… 考えごとをしているあいだも、体はなめらかに動いて愛戯をほどこしていた。 頭をすこし前後にゆらして、肉棒を唇で柔らかくすべらかにしごいていたのである。 それに気づいたとき、またしても狼狽を覚える。 (うそ……お口、勝手に動いております……こんなことまでするほどに、わたくし……) 意識しなくても、従順な口奉仕ができるほどに仕込まれた体。 身の置き所もない恥ずかしさにうろたえていると、才人の静かに興奮した声が追いうちのようにふって来た。 「姫さまのお口ま○こ、気持ちいいな……本物のおま○こみたいに熱くて柔らかくて、濡れて吸いついてきてさ。 舌づかいもうまくなってて、口の中で先っぽにからめながら熱心におしゃぶりしてくれるし」 耳から流れこむその淫猥なほめ言葉が、身をよじりたくなるほどに心をさいなんだ。 それなのに、奉仕で悦ばれてほめてもらえたことに、温かくなるほどの嬉しさを覚えている自分もいて、それがなおさらに許せない。 (だめ、気をしっかり……あ、いや、そんなのど奥のほうまで入れないで…… 大きい、く、苦し、い…………) また才人が深く呑みこませようと腰を送ってきたのだった。 苦しさに涙ぐみ、思考がともすれば麻痺しそうになる。 かわって口の中の肉棒の味、のどから鼻腔に入ってくるにおい、硬さと感触などが、淫具を詰められた肛肉のただれるような感覚とともに、より意識を占めてくる。 窒息から逃れようとするかのように、口内のそれを吸い上げてしまう。 急に才人が腰をひいた。 ぬぽん、と少女の唇から、唾液の糸をひと筋ひいて肉棒が抜ける。 男のほうから中断させられた口淫に、アンリエッタは顔を上向かせてとまどったように才人の様子をうかがう。 紅潮して蕩け、本人の意思に反して哀しいほどに艶めいた表情で。 「首を前後にふって、もっと唇でしごいて。 それが嫌なら、今みたいに俺が自分で動くけど」 どっちか選べよ、と問いかけてくる才人を見上げたまま、アンリエッタののどがこくんと鳴った。 無言のなかに被虐的な色香をただよわせ、悩ましくまつげを伏せて、唇をふたたび肉棒にかぶせていく。 思いやりの感じられなさそうな動きで口を一方的に利用されるくらいなら、自分からするほうがまだまし、と思ったのである。 「……自分で動くんだ? じゃあ任せるから、その小さなお口ま○こでいやらしくクチュクチュして、すっきり抜いてくれよ」 投げられた卑猥な言葉に、アンリエッタの唇が男の肉をふくんだまま震えた。 腰をわずかにうねらせ、真っ赤な顔をふせて大きく呑みこんでいく。 少女の温かくうるんだ口粘膜が、柔媚に肉棒にまといついて包んだ。 輪になった唇をすぼめると同時に、おずおずと首を前後にふって、ぬめらかにしごきあげていく。 最初に言われたとおり律儀に手をつかわず、口だけで少年の性欲を処理していく。 ねりねりと肉棒にからめた舌を波うたせて、男の先走りを舌奥にうけとめ、んく、んく、と嚥下する。 才人がティアラをよけるように手を置いて、無言でアンリエッタの頭をなでた。 優しい手つきに、すん、と少女は子犬のように鼻を鳴らしかけてしまい、自分への情けなさで泣きそうになる。 (怒らないと……ちゃんと怒っていないと駄目なのよ…… 駄目、許していないと示さなくてはならないのに……) 最低のことをしてくる才人に対して、純粋に怒っていたはずなのに。 いつのまにか愁いを覚えたり切なく悩んだり、心が千々に乱れていく。 どうすればいいのかわからなくなった弱い精神が、ちゃんと愛されていると信じていられたころの情交の記憶に逃げこんで、快楽に溺れようとする。 けっきょく、アンリエッタは男の性欲処理のために口を提供し、首をふってぞんぶんに愛戯をほどこしているのだった。 上気した美貌を伏せて無心に舌を使っていく。 汗を流したあとの濃い少年のにおいを、いやおうなしに間近で嗅がされながら。 淫らな奉仕に集中することで、弱い心と性感に無防備な体が、肉の迷妄に落ちこんでいく。 感じてはいけないはずの妖しい興奮が、血流をはやめて全身をともに駆けめぐっていった。 口淫奉仕で勝手に得てしまった淫心の高ぶりに耐えかね、思わず美尻をうねらせるようによじってしまう。 そのとたん、埋めこまれた真鍮の玉の連なりが、ぐにぐにと腸内でねじれた。簡単に動くように作られた道具なのである。 順調に育てられつつあるおぞましい肛肉性感が、ぞわんっと背筋をはいのぼる。 口を肉棒にふさがれていなければ、甘叫びしていただろう。 体温が上がっていく。真鍮の玉で拡張されている肛肉が熱をはらんでうずき、壁一枚へだてた子宮がぐぐっと押し下がった気がする。 じゅんと秘肉が熱くなり、なにかをどろっと吐き出した。 (……いやぁ……信じられない……わたくし、また濡らして……) 下腹全体が熱い。肛肉だけでなく、蜜壺が奥の子宮からひくんひくんと息づいている。 止まらない愛液が、きっとぐっしょり下着を濡らしてしまっている。 涙が目にたまり、しばたたいたまつげが湿って光った。 (こんな、いやらしい女にされて…… 強要されてるのに……お口をいっぱい使いながら、お、お尻まで振って、感じるような……) 屈辱になぜか汗がにじみ、呼吸が浅く速くなる。 感じたくないと意識するほど、逆に全身の感覚が鋭敏になっていく。 男の手にこねまわしてほしい、とばかりに乳房が張りつめていく。青い静脈が透きとおりそうなほど白い乳肌が、うっすら汗をにじませてしまう。 両方の乳首が服の下でぷくんと張りつめ、ドレス裏地にこすれてたまらなくうずいた。 アンリエッタは感情や肉欲に振り回されている理性を、必死にとどめようとする。 そのあいだも口粘膜がやすみなく動き、恋い慕うように少年の肉棒をしっとり吸いあげて愛撫しているのだった。 丁寧に舌を使いながら、アンリエッタは真っ赤な顔で半ばべそをかく。 (思考なんてまとまりません…… もう……頭がどうにかなってしまいそう……) ………………………… ……奉仕されている才人のほうもまた、アンリエッタを見下ろして異様な興奮を覚えている。 鍛錬のなごりの汗が、彼の首筋から鎖骨に流れ落ちた。 俺本格的にやばいかも、と少年はひそかに息をのんで見とれながら考えていた。 ここ連日の才人が彼らしくもなく無茶なことをしているのは、もともとすれ違いゆえに抱えたアンリエッタへの鬱屈と憤懣からくる勢いだったのだが。 それとはまた、別の心の動きとして。 (前から知ってはいたけど、こういうことしてる時の姫さま、とくに綺麗に見えるんだよな。なんかすげえなぁ、エロいことしてるのに。 いや、すっかり慣れてたけど、ほんとはこの状況からしてすごいことなんだよな。 このひと女王さまだし。年からいっても、まだお姫さまって感じだけど) この水の国のお姫さま。そんな人を、自分が好きなように扱っているという状況。 その彼女はハイヒールで腰を落としてしゃがみ、後ろに手を組んで背筋をそらすような姿勢をとっている。 いつもの女王のドレスとは違って、肩や胸元をむきだしにした露出が多いデザインのドレス。その深いえりぐりからは白い豊かな乳房が、上側三分の一近くの乳肌をのぞかせている。 アンリエッタが首をふるたびにその双の乳肉はたゆたゆと揺れて、深い谷間に少年の目を誘うのだった。 中庭から差しこむ光と、ならぶ円柱の影があわく混ざりあう柱廊。 湿った音が秘めやかにひびき、奉仕に没頭する少女のまわりに色香が、危うく甘美に匂いたつ。 ティアラの宝石が、かたむき始めた夏の陽に燦ときらめいていた。 才人はその艶麗な情景に、目がはなせなくなりつつある。 (やっぱりどんどん綺麗になってる気がする……いじめてたら綺麗になるのかな…… やばい……もっとそれを見てみたいと思ってる、俺……) 彼を見上げてくるアンリエッタの顔の変化も楽しい。 赤くなったり青くなったり、凛としてにらみつけてきたかと思うとすぐ弱々しく涙をきらめかせたり。 怯えるように目をかたく閉じたり、なにかを考えて狼狽したようにおろおろした表情になったり。 今のアンリエッタは、眉を下げて頬を染め、やや伏せた目に愛欲と苦悩をおぼろに映している。危うい色香をただよわせる熱っぽい表情。 ますます自身のものが興奮に怒張していくのを感じながら、才人はリクエストをつけた。 「さっきみたいに、お尻を揺すりながらしてみろよ…… ……なんだよ、ふつうに気づいたってば、俺のしゃぶりながら泣きそうにぶるぶるしてんだもんよ。 ほら口を止めてないで。腰も振ってみろってば」 ………………………… ……呆然と見上げた状態からわれに返って、アンリエッタは哀怨と諦観に瞳を伏せた。 ここ数日での経験上、もし今ここで言うとおりにしなかったとしたら、後からそれよりずっと恥ずかしいことをされるのだろう。 どのみち選択権などないのだった。 強要されているのだから、ということを免罪符にして、ハイヒールをふんばって、ぎこちなくわずかに腰を左右によじる。 ドレスの上から妖艶な丸みを見せている美尻が、ひくりひくりと男を誘うようにうねった。 とたんにきゅるりと淫具が動き、ぐにゅぐにゅと腸管を内部から刺激する。 アンリエッタの肩がびくんと上がった。 (ひぃぃっ……くぅ、ん……やはりねじれて……) 大きさの違う真鍮玉をつらねた淫具は、棒状だが微妙にジグザグ気味にくねり曲がっている。 さらに、そういう構造なのか何かの魔法でも利用しているのか、一部の玉が動けば全体がぐにぐにと卑猥によじれる仕掛けなのだった。 肛肉がグズグズと熱くとろけていくようで、アンリエッタはおぞましい官能に汗をにじませる。 「俺の上になった時みたいな腰使いでユサユサしてみせろよ。思い切って大胆にさ。 五日くらい前からは毎日、その道具入れてお尻を振らせてきただろ。しゃぶってもらいながらはこれが初めてだけど、すっかり慣れてきてるはずだぜ。 そうすればアンも気持ちよくなれるんだから、朝みたいに……朝は良かったろ。ベッドでお尻上げて、最後のほうは夢中で振りたくりながらいっぱい後ろにお潮ふいたよな」 才人の言葉が、呪わしく子宮と腸管を震わせる。 朝にされたことを思い返すだけで、全身が恥辱の火にあぶられるようだった。 (朝は……いやぁ……あんな……) 朝の記憶がよみがえってくる。 いつものように全身を愛撫されたあと、ベッドの上にうつぶせに転がされて大きなクッションを抱かされ、お尻を高々と突きだす恥ずかしすぎる格好をとらされた。 アヌスに淫具を埋めこまれるときから声を上げてしまったが、そのまま後ろに陣取った才人に、蜜壺を指でかきまわされると叫びっぱなしになった。 その前の全身愛撫ではそこは焦らされていて、溶けたようにうるみきっていたのである。 同時にお尻を自分で振って、淫具を肛内で動かすよう指示された。 あまりの羞恥にすすり泣きながら上げた尻をしゃくるように振ると、淫具がぐにゅりぐにゅりと動いて肛肉を内側から揉みこみ、あの黒い性感がわきおこった。 それは指で犯される蜜壺と連動して、脳裏に重くひびく肉悦となり、アンリエッタはたちまち悶絶させられた。 泣き言をもらして動きを止めれば、少年の右手の指で膣内の弱いポイントを重点的に責めぬかれると同時に、ぷくりと勃起したクリトリスを左手の指で執拗に転がされるのである。 絶頂に達しながら潮を二、三度と噴かされた後は頭が真っ白に灼熱し、恥もなにもかも忘れはてて無茶苦茶にお尻を宙で振りたててしまっていた。 いつものように幾度達したのかもわからなくなるころ、ずっと叫びつづけていた懇願をどうにか聞きいれられて解放してもらえたのだった。 ……帰ってきたらあらためて嬲られることを、息たえだえにベッドに這ったまま約束させられてから。 ………………………… そしていま、アンリエッタは朝のときと同じように尻を振らされている。 (あ、あんな、淫らな……あんな……お尻の奥がむずむずして、どんどん熱くなって…… いまも、お口でしながらわたくし……) 才人に「上になったときのように」と指示されたため、左右に振るだけでなく、尻をしゃくって落としたり上げたりする動きを追加している。 肉棒をなよやかに口唇愛撫しながらゆすゆすと尻をゆさぶり、うねらせていく。 そうするたびに肛道が淫具に刺激され、耐えがたくなるような異様な官能を生みだしてアンリエッタの情念を狂わせていく。 少女の湖水のような瞳はすっかり濡れてしめやかに伏せられ、紅潮した顔は肉の憂愁をたたえている。 尻を卑猥にしゃくり、哀しげに長いまつげをそよがせながら、従順な口をにゅくにゅくと柔らかく使って男の精を抜きだそうとしていた。 (……とにかく……いまは、今はこうするしかないの……しかたないのですから……) 切れ切れになってきた思考で自分に言い訳しながら、肉棒をねぶってますます甘く蕩けていく。もう才人の顔は見られない。 こうしていて悔しいし悲しいし、恥ずかしいのだけれど、この淫らな心と体が情けなくも発情しきってしまっている。 「こうして尽くしていれば、体だけだったとしてもきっと捨てられないわ」と、惨めすぎる卑屈な考えまで心の隅にわきあがってきて、レディとしての自尊心とぶつかるのだった。 (いっそ……溺れてしまえば楽なのかしら……) 悩むことに疲れて、朦朧と瞳の焦点を拡散させていく。眉がますます下がり、美貌は切なげに赤らんでいく。 肉欲に負けたかのように、奉仕に熱を入れていく。熱烈に尽くす口は本当に、蜜壺になったようだった。 あふれ出る唾液を愛液のようにからませて、首を大きく振る。ときにじゅぽじゅぽと下品な音さえたてて、少年の肉棒に悲壮に尽くしていく。 現実から目をそらして必死なほどに没頭していく奉仕の裏で、どろどろと興奮が蓄積していった。 淫艶にくねる美尻の動きからぎこちなさが取れていき、代わりにときおり快楽で小刻みな震えが走るようになったころ。 才人がアンリエッタの頭を押さえた。たかぶりを抑えきれない様子で、少年が自分で腰を送りこみだす。 約束を反故にされて、じゅぬっ、にゅぐっと柔媚な口を犯される少女は、諦めたというよりは悲しげに放心して舌を使っている。 口を利用されながらも後ろ手でしゃがんだままの少女の頭から、ずれかけていたティアラがかしゃんと床に落ちた。 汗のにじんだ額に艶めかしくほつれた髪をまといつかせながら、アンリエッタはほとんど無意識に尻をうねらせて、覚えたての毒々しい快楽にわが身を逃避させるのだった。 その薄い舌の上で、才人の肉棒が充血してひときわ膨れあがった。 口のなかで始まった脈動に射精の予兆を感じとり、肉情に溶けかけている意識がどうにか思考をつむぐ。 (……あぁ……出される……激しくて、熱いあれ…… ……サイト殿の、精……びゅーって、のどの奥に……) 想像したとき、全身の血管を淫欲が火となって流れ、かあっと脳裏が白熱した。 アンリエッタの止まっていた腰がうちわななき、桜色の唇がつつんだ肉棒の幹をやや強く吸いあげ、ぬるんぬるんと舌を裏筋にまきつけるように動かした。 そのとたん、才人が目をかたく閉じて体を硬直させた。動きの止まった肉棒がびくっ、びくっと少女の口内で大きくはねた。 怖ろしいほど一気に快感がこみあげたためか、才人の肉棒は明らかに射精の動きをしながら鈴口をぱくぱく開くだけだったが、数拍おくれてようやくドプッと濃い精液を放出する。 ドクドクと激しく噴出する精液を、アンリエッタは蜜壺に見立てられた口の中にそそがれていく。 少女の意識に桃色の霧がかかり、残っていたまともな思考が、口内の男の脈動にあわせてこぼれ散る。 本当に下の口を犯されて、理性を散らされていくときと同じように。 (ひ……ひぃ……っ……) 精液は決して美味しいものではないはずなのだが、いつのまにか飲めば体が悦ぶようになっていた。 男に奉仕した結果を褒美として与えられるまま、のどに流しこむ。 疑似女性器と化した口が無意識にうごめいて、にゅくっ、にゅくっ、と射精中の男の肉をやんわり抜きしごき、嚥下する精液ごとのど奥にひきこもうとする。 いつもより大きい飲精の陶酔に、雪の肌がますます火照って赤らんでいく。 気がつけば、吸い尽くした母犬の乳首をなごりおしげにくわえる子犬のように、出した舌で裏筋をねぶりつつ亀頭を唇で締めつけてちゅうちゅう吸っている自分がいた。 まるで「もっとちょうだい」とばかりに夢中になって。頬を薔薇色に染め、淫美な色香をくゆらせながら。 陶酔に目を細め、甘やかに肉棒をしゃぶりつづける。 残り汁まで吸い終わっていることに気づく前に、才人に静止と揶揄の声をかけられた。 「っく、くぅ……終わってるってば、そんなにゅるにゅる舌動かすな…… ……はは、今日もそんなトロけきって精液飲んじゃって……姫さま、えっちぃ顔」 「……ぁ……ぇふ……?」 かすかに震える桜色の唇から、再度肉棒が抜かれる。精液と唾液の混合液の糸が、ぬちゃぁと幾筋もひかれて朱唇と亀頭をつないだ。 目頭が熱く、視界がうるみ、周囲の物体の輪郭がおぼろにしか把握できない。 ふやけた脳裏で、才人といまは喧嘩していることを思い出した。 ぼんやりと才人を見上げる。 なにかを言おうとしたが、どうにも舌と口がしびれて、はふはふと熱い息を押し出すばかりだった。 美尻の奥が、とろ火であぶられているように疼いている。 「なあ、口、以前より感じてるよな? こんなふうだと、いつか口だけでイっちまうかもな。 ……それとも、もしかして今のがそうだったりする?」 冷たさのある笑みを浮かべた才人に指摘された。 腕を後ろにまわしてしゃがんだ体勢のまま、アンリエッタはぼうっとした頭でその言葉を吟味する。 (わから……ない……そうかも…………) 深く感じていたことは間違いなかった。ドレスにかくれた下着が熱く濡れて、気持ち悪くヌルヌルになっている。 布を通してぽたぽたと愛液がしたたりそうなほどに。 不意に、じわんと新しい涙があふれた。 (……いままで抱かれたときも、はしたなく乱れてしまっていたけれど…… 嬲るようにされてもあんなに気持ちよくなってしまうのは、きっとお互いに情があるからと、そう思っていたのに……) いまは、本当に嫌だったことを強要されている。怒りと、屈辱が心にある。 ……それでも性感を高ぶらされてしまっている。 自分はとっくの昔に、思いやりなど与えられなくても体を嬲られることだけで乱れるような、淫らな女になっていたのだと実感させられる。 いや、それどころか、屈辱と恥辱の裏返しで余計に感じてしまっているとしたら。 実はアンリエッタを全く好きでもなんでもなかった才人に、あらためて心も体も強引に屈服させられていくことを、どこかで甘い喜びとして受け止めてしまっているのだとしたら。 それだと、本当に救いようがなかった。 (いやです……いやよ、そんなのは惨めすぎるもの……) けれどもし、自分は最初からルイズの代用品にすぎなくて、体しか求められていなかったというのなら。 この先彼への奉仕を拒めばきっと、もともと愛情などなかったとはっきり引導を渡されてしまう。 あとに自分に残されるものなど、反応が心の深層部にとどいてしまうほど開発された、浅ましく淫らになった肉体だけである。 「ほら、立てよ……続きするから」 哀愁の涙をたたえてうなだれたアンリエッタの頭に、才人が声をかけた。 言葉こそ乱暴ながら、見下ろす少年の表情には、手のなかの貴重な宝物に見惚れるような色が見え隠れしはじめている。 まつげを震わせながら、うつろに石の床を見つめるアンリエッタの半開きの唇が、てらてらとぬめった光沢を放っていた。 ………………………… ……………… …… アンリエッタは生まれてからずっと、周囲に対してごく自然に優位に立ってきた。 いつか国の利益のために政略結婚させられるであろう黄金の籠の小鳥には、つねに周囲が気をつかい、一歩引いてくれたのである。 それゆえ自分を対等とみなしてくる親しい人と、私事において喧嘩した経験がほとんどない。 小さかったころのルイズとのいさかいくらいだが、なにぶんその貴重な経験をしたころは幼すぎた。 それにあれは子猫二匹がもつれあって転げまわっていたような、たわいのないものである。打算もなにもなく、相手の機嫌をうかがう必要もなかった。 恋の複雑さとは無縁だった。 ……だからこういうときに、姫君育ちの身で人生の経験が浅いことを露呈してしまう。 いまは優位どころかまるで玩具のように扱われている。激怒を覚えながらも、臣下に対するように叱責すればいい問題ではないのである。 そういうわけで、根っこに我の強さと未熟さが同居している貴種の少女の心は、状況に対処できず混乱している。 しかもこの状況は直接的には、自分の不用意な「何でもする」という約束が原因だと少女は思っている。 だからといって意に沿わない調教を、簡単に受け入れられるはずもないから心が乱れるのだった。 どんな行動をするにせよ、開きなおってしまえばいいわけだが……こういうとき開きなおれば、たいていは極端な反応になる。 癇癪を起こしたように反発するか、男の言うがままに従順にかしずいてしまうか。 いまのところ、彼女は後者を選びつづけている。 「ほら、おま○ことっくにドロドロ。広げてるとエロい眺め…… 綺麗なピンク色の穴が、俺のち○ぽ欲しそうに糸引きながらヒクついてさ。 ホカホカに蒸れてて、広げたとたんむわぁって熱気あがったし。アンの発情したいい匂いもいっぱい立ちのぼってる」 「……や……やめて……」 「おま○こ穴がヒクヒクするたびにお肉の汁ふきこぼして、きゅぷきゅぷ鳴ってる。 あーあ、奥のほうから白く濁った濃いお汁まで出てきた。姫さまの子宮のよだれみたいなもんだよな、これ。 さっき脱いだパンツも、おま○こから垂れ流してた恥ずかしい汁で駄目にしちゃってたもんな?」 才人の言葉責めに、ただでさえ位置が下がって血がのぼっている顔がますます紅潮する。 背後から耳からすべりこむ淫虐の言葉に、アンリエッタは羞恥心が沸騰しそうだった。 足を肩幅より少し広めに開いて立ち、ひざをのばしたまま、手で自分の足首をつかまされている。上体を下げ、バックからの挿入をねだるようにお尻をツンと上げた姿勢。 「そんな広げないで……広げて見ないでくださいまし……」 濡れた声で哀訴しながらアンリエッタは、シルクの長手袋の下で手が白くなるほど力をこめて足首をぎゅっとつかむ。 ドレスを大きくまくりあげられて美尻をむきだしにされ、この姿勢をとらされて少年の前にすべてをさらすことを命じられた。 そして、陰唇をつままれて左右に開かれ、本能にしたがって男をしゃぶろうと卑猥にうごめいている発情状態の肉花を、昼の光のなかでより鮮明に観察されているのだった。 ……この数日でどれだけ気丈にふるまおうとしても、アンリエッタはけっきょく最後には、「従順にかしずく」ことを選びつづけている。 自分の言った約束だけでなく、見返りに才人に与えられる濃密な恥辱と快楽、それに貪欲に反応する自分の肉体に翻弄されていた。 毎回、最初のほうこそ凛然とした気概を見せるのだったが、泣いてしまうほどの肉悦を繰り返し叩きこまれているうちに、途中からは理性が雲散していく。 意識が肉色に染まり、少年の言うことに心でさえも逆らえなくなっていき、彼の肉棒を悦ばせるために生きているような牝になってしまうのだった。 いまでは才人を完全に失ってしまう可能性にさえ思い当たって、抵抗などとてもできなくなっている。この恥辱の姿勢をとらされるときも涙目で唇を噛むばかりだった。 「おしっこ穴までこんなヒクヒクさせてさ……朝にここからお潮をぬめり飛ばしてあんなにイッただろ? 気持ちよすぎて、まだ体が忘れられないのかよ?」 才人にくにくにと尿道口を指の腹で揉みこまれ、アンリエッタは「ひぃっ」と歯をくいしばる。 膣口から出た濃い愛液が尿道口まで垂れてくると、そこをこする指のタッチがぬるぬると滑らかになり、妖しい感覚に少女の腰をふるわせた。 「あ、出てきたえっち汁、アンのお豆にまで伝って……とろぉっと床にねばり落ちてく。 その勃起しかけの牝おちんちん、完全にぷっくりさせちゃえよ。ほら、かむってる皮すこしずつ押しのけて、ぴくぴく膨らみはじめてる……最後まで見ててやるから、さ。 おっきくしたらいつもみたいに、指でシコシココリコリして可愛がってやるからな」 「……なんでぇ……なんで、いやらしいことばかり言うのですか……」 アンリエッタが絶え入りそうな声を出した。 「よく言うよ」とつぶやき、才人は少女の淫らな姿にしげしげと見入った。 レースのニーソックスにぴっちりと太ももまでを包まれて、すらりと伸ばされたカモシカのような美脚。 その上では、男性を妖惑する桃尻がエロティックにかかげられている。真っ白く柔らかく、とろけるようにクリーミーな女の脂肪をたたえた双丘。 尻房に手をかけてこねると、芯にある若い弾力が確認できる。けれど表面は、平手で叩くとたぷりと揺れるほどに柔媚な牝肉だった。 ハイヒールを履いてひざを伸ばし、上体を伏せている格好のため、その悩ましい牝尻が体で一番高い位置にあるのだった。 最近はこうやって、執拗に尻を強調させるような姿勢をとらせることで、アンリエッタの羞恥心をあおりたてている才人である。 異物をうめこまれたアヌスからは、小さな輪をつけた細い鎖の端が出ている。淫具を引き出すための輪である。 その下の秘肉は湯気がたちそうなほど熱くぬかるみ「殿方のものをください」とばかりにうごめいて、いっそ感心するほどの淫猥な眺めをさらしていた。 「声もおま○このほうもトロトロじゃねえかよ。すっかり発情してるぜ。 俺のをしゃぶってただけでここまで感じたんだろ。それとも、朝からずっとこうだったのか? 心までどうこうできると思うな、とか言ってたよな……体いじめられたら簡単に全部トロトロになる、骨の髄までいやらしい女に見えるんだけど」 「……ぅ……うっ……違います…… あ、あっ、うああっ!?」 「違うならそんな敏感に反応する必要ないぜ。 俺の指、こんなおいしそうにくわえてるくせに」 ――にゅる、と蜜壺に才人の指が侵入してきたのだった。そろえた人差し指と中指。 愛液を指と膣壁のあいだから噴きそうなほど、一気に膣口が締まって少年の指をくわえた。 締めつけを無視して指でくちゅくちゅとかきまわされ、窮屈な姿勢をとるアンリエッタの震えが大きくなった。 「朝は……このへんだったっけ? ああ、ここだここだ。 自分でわかるか姫さま? おま○こ肉のここらへん、コスってほしそうに腫れあがってる」 「……ぁ……ぁひ……っ」 朝にさんざん嬲られた箇所。 そこを責められて泣きながら恥辱的に尻を振り、繰りかえし潮を噴かされ、舌をこぼしてあえぎながら哀願したのだった。 その充血した肉壁が、その下に密集した快楽神経を指で刺激されて嬉しそうに少年の指に応え、意思への裏切り者になっていく。裏切り者だらけの体、なのだけれど。 (なに……なんなの、この状況……) 空虚になりつつあるまなざしを陶酔したように震え細めて、麗貌に紅葉を散らしながらアンリエッタはあえぐ。 いまは日のまだ高い午後、ここは中庭に面した柱廊。 人の姿はないとはいえ、陽光が中庭からふんだんに入り、初夏のさわやかな風が吹き抜けるひらけた場所。 そんなところで自分は、ひざを伸ばし足首をつかんでお尻を男に差し出している。 殿方の性欲処理用に自分の恥部を提供させられるだけの存在になったような、服従させられきった恥ずかしい格好。 それも、喧嘩して許していないはずの相手に。 そのうえで秘肉をもてあそばれ、しとどに濡らして甘く鳴きさえしている。 あまりに誇りを傷つけるこの状況を、理解したくない。恥辱的な官能に色情を燃えたたせているこの体は自分のものじゃない、とさえ思い込みたくなってくるのだった。 と、才人が手首を返した。 過敏になっている膣内の別のポイントに触れられ、アンリエッタの理性がまた一瞬飛んだ。 「ぁうああっ!」 「ん……こっち側の壁も感触がこりっとしてきたな……ほら、気持ちいいとこいっぱい指で可愛がってやる」 膣内で反応して媚肉がしこってきた箇所を、男の指でコリコリほぐされると、腰がそれだけで抜けそうになる。 耐え切れずアンリエッタは、あふれた愛液がつたわる太ももを内側によじる。内股気味になったひざが互いにぶつかりそうなほどガクガクした。 「昼のあいだはいっぱい我慢してただろうからな。ご褒美ってことで、すぐイカせてやるよ。 いつでもお潮ふいてイッちゃっていいからな」 指の責めが要所を的確に責めてくる。ハイヒールのつま先から太ももにかけて、細微な震えが走った。 股間が溶けそうな切なさに目尻を下げ、たまらず尻をひゅくりとしゃくってしまい、とたんに腹の中でぐるりと玉がいくつもねじれた。 真っ赤な顔で「ああっ」と叫んでしまう。その存在を思い出させられて、アンリエッタは懇願した。 「せ、せめてお尻のものを抜いてくださいまし!」 肛肉に恥知らずな甘がゆさを与えてくるこの淫具を、一刻もはやく取り去ってほしかった。 腹中でねじれる数珠つなぎの玉が、心底いとわしい。 「じゃ、取ってやるよ」 珍しいことに、訴えをすぐ聞いてもらえた。 少年の指がことさらに蜜壺内壁のポイントに押しつけられた後、速やかににゅぽっと抜かれ、アンリエッタはあやうく潮を噴きそうになった。 彼女のつつましやかに固く締まっているアヌスからちょろんと出た鎖の端、淫具をひき出すための輪に才人が指をひっかける。 引っ張られると、最初の真鍮の玉がくすんだピンクの肛口を円形に押しひろげ、ぬぷっと吐きだされた。 「ひぃ……っ」 白い桃尻がヒクンと動いた。 その大小のボールを何個もつなげた形の淫具が、ずる、ぬぷん、と一個一個、肛肉の輪の硬い締めつけを内側からおしわけて出てくる。 「あっ……くっ……」 アンリエッタがあごを食いしばって、背徳的なその感覚に声をあげまいとした瞬間だった。 かかげた牝尻の柔艶な二つの丘を、十指が食いこむほどわしづかまれる。 淫具を途中まで引きだされたアヌスの下で、あざやかなほど美しい肉色を見せて濡れ光っていた膣口に、くちゅ……と何かがあてがわれた。 何をされようとしているのかを認識する暇もなく、ずむっ、と子宮まで突き通された。 「ひっ、ひいいい゙ぃぃっ!?」 臨戦態勢だった才人の肉棒を、受け入れ準備を完全に終えていた蜜壺にぶちこまれたのである。 不意打ちされた秘肉がきゅんっと収縮し、官能が瞬時に沸騰した。 さんざん焦らされていた女体があっさり崩落した。不自由な姿勢のまま、絶頂の声を噴きあげて身をくねらせる。 「ひあああぁぁっ! だめぇぇ、イきますぅっ」 三割ほど外に出ていた真鍮玉の淫具が、尻の悶えにあわせてぶるんと揺れ、潤滑油と腸液をぬめらせてつやつやと光った。 まだ腸管に詰めこまれたままの七割ほどがぐねぐねうねり、高みを極めさせられたアンリエッタをさらに悩乱に追いこむ。 脳裏が白くうるんでいた。 「ひぃ――ぃぃいっ……!」 ……白熱が去って視界がようやく定まったとき、まだちゃんと床と、自分でつかんだ足首が見えていることが、アンリエッタには信じられなかった。 彼女は倒れていなかった。どうにか姿勢をくずさなかったのである。 自分の熱いあえぎ声が聞こえる。眼下の床にぽたぽたと落ちている愛液は、貫かれている蜜壺から量を増してしたたっていた。潮を噴いてしまったのかもしれない。 もっともその液体の大部分は、下にしたたるのではなく、内股をつたってニーソックスに吸われているのだった。 「やっぱりもう少し入れとこうか、これ。お尻刺激しながらのほうがアンのおま○こ反応いいし」 才人がひくひくするアヌスに、ふたたび淫具の玉をひとつひとつ押し込んでくる。 アンリエッタの躾けをほどこされている肛口が、それらをいとも簡単にくぷくぷ呑みこんでいく。 腸管でまたしてもそれらがきゅるきゅる動き、少女にまぶたを固く閉じさせた。 「ひ……ひどいわ……」 その恨みあるつぶやきもよろめいて、震える唇がよだれを垂らした。 「ほら、終わりじゃないって。その姿勢つらけりゃ、目の前の柱に抱きついていいよ」 才人の許可に、少女は足首を握りしめていた手を離した。 つながったまま上体を起こし、よろよろと眼前の石の円柱に手をまわしてすがりつく。 アンリエッタが冷たい石に火照った頬をおしあてて、ぐったりと体重を押しつけたのを確認してから、才人の手がズボンに入っていた小さなビンを取り出した。 中には、ここしばらく閨で使っていた潤滑用のクリームが入っている。ふたを開けて中身を指ですくった後、するりとその手がアンリエッタの腰の前にまわされた。 「さっき言ったようにここも触ってやるよ」 円柱に必死でしがみつき、あえぐ少女ののどが反らされた。そこから濡れた悲鳴が漏れる。 ここ最近は女肛とセットで毎日責められて、充血した過敏状態が続いてじんじん疼くクリトリス。 その弱い肉を、包皮を完全に剥きあげられてクリームをぬりつけられ、指でヌルヌルとしごかれだす。 煩悦をもたらす苛烈な責めに、アンリエッタはつま先立ちになりひざ裏をピンと伸ばして尻をはねあげ、泣き言をもらした。 「うあああっ、そこ強くしないで、……あ、い、いやあっ、おなかのなか動いて……っ、 あひんんっ、せめてやさしく、やさしくしてくださいぃっ」 「なに言ってんだ、下ごしらえならさんざんしてやったろ。 ここまで体が出来上がってからなら、多少乱暴にしてもアンは感じるんだから。むしろちょっとくらい乱暴なほうが、だよな」 空いた手で、ドレスの胸元を引き下げられ、たわわな乳房が引っぱり出される。今日のドレス姿ではコルセットを着用してはいない。 重みのある柔肉がタプタプ揉みあげられ、形がむんにゅりと変わる。たちまちとろけ落ちそうに胸が甘ったるくなり、アンリエッタは瞳を切なげに細めて「あふ」と息をついた。 乳首と肉豆をくりくりいじられつつ、からみつく肉ひだをめくりかえすようにゆっくり肉棒を抜き差しされると、内股ぎみに寄せた少女の太ももがわなないた。 ………………………… 日がかたむいていく。 柱にすがりつくアンリエッタは、ドレスの下を腰までまくられただけではなく、上をみぞおちまで引きむかれている。 雪白の肩と背中を剥きだしにされて、突き上げられるたびに乳房をたゆんたゆんと揺らしていた。 いつものことだが、煮立たせられていた体で責めに長く耐えるのは難しかった。 秘肉を犯されたまま、ふんわりした巨きな乳房をパン生地のように念入りにこねられているだけで、骨ぬきになったようにアンリエッタは腰がとろける。 柱にしがみついていないと床にくずおれそうになってしまうのである。 ゆっくり抽送されながら乳首や股間の肉豆をしごかれると、もう完全に駄目だった。 皮を剥いてクリームを塗られたクリトリスを指でつままれてこすられ、もう片手で尿道口の上を押し揉まれたとき、また何度目かの絶頂の声と、少量の潮をもらして少年の指をぬらしてしまった。 「イくうぅぅっ……!」 悩乱の叫びをあげながらアンリエッタは大理石の柱を抱きしめた。 素足に履いたハイヒールでつま先立ちになって、白桃のような尻を突きあげ、尻の谷間をきゅうと寄せる。 しかし、まったく才人の手は休まなかった。抜き差しもかえって少し速くなっている。 達したばかりのクリトリスをくりゅくりゅひねられ、少女の口から薄い舌とともに苦悦のよだれがどろりとこぼれた。 「イきました、とめて、もうお豆はぁ……くううっ、敏感すぎるのです、 あうっ、いっしょに奥も突かれたら、あ、ぁく、そんなああっ」 延々と責められる肉豆のうけとる激烈な刺激に、上向いて牝尻がはね、蜜壺がぎゅっと粘膜の鞘を収縮させる。 そこに、才人がズヂュッと肉棒を根元までつきこむ。あがるアンリエッタの叫び声を聞きながら、彼もすっかり興奮しているようだった。 柱に押しつけようとするかのようにぐいぐいと後ろから腰を使われ、背とのどを反らしてアンリエッタは切れ切れに、苦悶と艶のいりまじる濡れた声をふりしぼる。 甘い香り。振りたくる栗色の髪が乱れて匂い、雪肌がぽうと血の色を透かす。 尻をむき出しにするべく腰までまくりあげられた夏用のドレスが、さらさらと揺れる。 初夏にふさわしい薄生地の清雅な色のドレスだが、それをまとう優美な肉体は濃淫な躾けをたっぷりほどこされているのだった。 「もう膝も伸ばしてられないっぽい? じゃ、床に伏せろよ」 才人がぬちゅり、とゆっくり肉棒を抜きだした。 とうにがくがくしていた膝がかくんと折れ、柱に抱きついたままアンリエッタはその場にへたりこんだ。 四つんばいにうずくまって、ひぃひぃと喘鳴しながら呼吸を整えようとつとめる。背後で才人がしゃがんで彼女のむき出しの美尻に手をかけた。 「このまましてやるから。ほら、お尻上げて。 もっと頭を下げて朝みたいに這って、犬みたいな格好になれよ」 そのあまりにも侮辱的な命令を聞いた刹那、アンリエッタは歯を食いしばった。 高ぶる淫情の中で忘れさせられかけていた怒りがこみあげ、肩越しに才人を、涙をたたえた目できっとばかりににらむ。 このとき意識しないながら、生来このかた他者を従わせてきた王族としての威厳がにじみ出てきていた。 厳然とにらまれて、才人の表情に驚きとひるみが浮かんだ。 けれどためらいは一瞬だった。少年は少女の腰骨をつかんで強引に尻を上げさせ、ふたたび蜜壺にずちゅと挿入する。 腰の前にもまた才人のまさぐる手がまわされ、簡単にクリトリスを見つけられる。 「〜〜ふ、ぁっ……」 アンリエッタの眉が切なげに下がった。湖水のような瞳が、悔しさをたたえながらも元通り甘くほころびた。 才人が淡々と言い聞かせるように命令を繰り返す。 「お尻しっかり上げろってば。まくりあげてるドレスのスカートが、つながってるところに落ちてきちゃうんだよ」 ただでさえ肉を蕩かされながらの上に、もっともらしい理由をつけられると反論しにくかった。 恥じらいと哀しみの色をただよわせながら、アンリエッタはひじを折った。ぶらさがって揺れる乳房の先端が石の床にこすれるほど、上体を低くして桃尻をかかげる。 一度は強気を取りもどした少女がふたたび屈服する様を、才人は見ながらぞくぞく胸をうずかせている。 女王になる時以来、強くなろうともがいてきたアンリエッタのこれまでの姿を才人は知っている。だからこそ、自分の手で徹底的に弱くなる姿も見たいと思うのだった。 彼は手をのべて、言うことを聞いた少女の頭をやさしく撫でた。 「そうそう……よし」 愛玩動物のように扱われて、アンリエッタは悲痛にうめく。 また頭を撫でられた。今度は牝犬の体勢でつながったまま背後から。今回も屈辱のはずなのに幸福感に胸を満たされ、とろんと目尻を下げきって瞳をうるめかせてしまった。 甘い愛撫にそういう反応をしてしまうまでに躾けられたということもあるが、なにより今度もほめられたことを嬉しく感じてしまったのである。 (わたくし……こんな扱いをされているのに、どうして……) 自己嫌悪が多くを占める悲嘆を噛みしめていると、彼女の頭を撫でていた手が髪をとくようにそっと落ちかかり、ぽうと夢うつつになっている顔面を繊細に愛撫した。 後ろから頬を撫でながら、才人が提案した。 「お尻振って自分で動いてみます?」 その提案に、アンリエッタはあえかに息をついて頭を重たげにうなだれさせた。 このまま一方的に攻められるのは怖い。そういう意味では渡りに船だった。 (けれど、お尻にまだ……) 淫具を詰めこまれたまま、肉棒を蜜壺に受けいれた状態で、腰を振らされる。 それはいまも肛内から身をさいなむ、おぞましい背徳の快美を、わざわざ自分から深く掘りさげる行為だった。 まるで、前で男のものをむさぼりつつ後ろで自慰をしている変態女になったような、言いようのない強烈な恥ずかしさがあるのだった。 「……じゃ、このままします」 答えを待たず、才人がいきなり動き出した。 興奮状態にある蜜壺を突き上げ、クリームにぬめった肉豆に指の腹をあてて愛撫し、抱えこんだ尻を揺する。 アンリエッタは下がった子宮を揺らされて、「ひいいっ」と鳴き、甘い汗とともに嬲られる女の色香をどっと噴いてしまう。 股間の結合部をまさぐってくる男の右手指の動きにも、血がざわめいた。 「あ、ああ、だめよ、……いやぁ、またそんな……!」 少年の左手で、アヌスの締め付けからまたぷちぷちと玉を引きだされ、くぷくぷと押しこまれる。 ぞわんと鳥肌を立たせながら、真っ赤な顔で叫びっぱなしになる。 床に這う格好に変わったとたん、責めてくる才人の動きはますます激しいものになっていた。 少女の甘い苦鳴が柱廊に響き、清雅な水色のドレスの表面がさざ波をなす。 したたる陽光は、物憂く熱い。 真白くそして夢ふかく、ドレスを半分剥かれた肌と光が溶けあっていく。 わずかのうちに、アンリエッタは提案をすぐ呑まなかったことを後悔しはじめていた。 子宮口を突き上げられると腰がはねるようにわななき、するとその動きに連動する淫具が肛肉を刺激し、前で得ている快楽に妖しい色をそえる。 しかも少年に操られてその玉の連なりの三割ほどが、前後動して肛口を出入りしているのである。 自分で動かなくても、そこの背徳の悦びを存分に味わわされているのだった。 二つの熱い粘膜の管を、道具と男の肉で犯されつつ、腰の前にまわされた手でクリトリスを愛撫され続ける少女が、紅潮した顔をひくんと上げた。 「お尻……お尻に入っている物だけでもぜんぶ抜いて……もう抜いてえっ! 後生です、どこか一つでいいのおっ、すこしだけ責めを堪忍してぇぇっ!!」 「自分で動く?」 「うご……うごきますわ、動けばよろしいのれしょうっ!」 アンリエッタはろれつが回らなくなってきた口で自暴自棄に叫んだ。 淫悦の奔騰をこらえかねて、シルクの長手袋でかきむしるように床に爪をたてる。 前後二穴での感覚が相乗して、内奥から肉が震撼している。あと数度えぐられれば、または剥けた肉豆を一ひねりされれば高みに飛翔させられる状態だった。 「それなら……」 だというのに、少年が腰骨を両手でがっちりつかみ、より激しく犯してきた。 愛液が飛び散るほどの肉棒の抜き差しに、少女の燃えていた体が一気に追いこまれた。叫び声もたちまちに緊迫の度を高める。 「あああ――たすけて、たふけてぇぇっ! いくぅ、ああ、うああああっ……!!」 アンリエッタが達するぎりぎりの直前で、ぴたりと少年のすべての動きが止まった。 「…………あ……?」 床で乳房を押しつぶすように突っ伏し、ぼんやりと涙で視界をぼやけさせた赤ら顔で、疑問のうめきを発する。 恥を知らない肉体が、どうして止めるのとばかりに子宮をひくんひくん疼かせた。 尻をぴしゃん、と平手で叩かれた。 「あひっ!」 「ほら、そこから動けよ。体がイきたくてたまらない状態からなら、スムーズに腰ふれるだろ。 それと牝ちんちん触るのは勘弁してやるけど、俺もちょっとは動くからな」 哀しげに蕩けた顔で肩越しに才人を見上げ、アンリエッタは赤い手形をつけられた白桃を揺すろうとする。 言われたとおり、沸点寸前に生煮えで放り出された体が、しっかりとどめをさして欲しいと訴えていた。 けれどなかなかふんぎりがつかず、濡れきった蜜壺で肉棒をしっかり食い締めたままぐずぐずしていたが――もう一発ぴしゃっと尻を叩かれたとき、腰がひゅくっと踊った。 あとは転がり落ちるように、牝の動きで尻をひゅくひゅくと胴体ごとくねらせていく。 腹中できゅむきゅむ転がる淫具の感覚に翻弄されつつも、開き直ったようにだんだん尻の振り立てが、大きくなめらかになる。 「は……ああっ……」 恥ずかしさに目を閉じ、双方の穴から湧き起こるそれぞれ違う快楽にあえぎながら、アンリエッタはクリクリと悩ましく美尻を振って男の肉棒に蜜壺で奉仕していた。 いつもこうである。何度気丈さを見せつけても、最後にはけっきょく狂おしい快楽のなかで従わされるのだった。 才人が、くなくな揺れる水色のドレスの細背におおいかぶさり、夕くれないの色に染まった可憐な耳に淫虐の言葉をささやいてくる。 「明日あたり下のお毛々、ぜんぶツルツルに剃ってやろうか? 子供みたいなおま○こになってみろよ。 それからベッドの横の床に這わせて、お尻上げさせてペンペンして、真っ赤なお尻になるまで叩きながら指で三回はお潮噴かせてやるよ。 それとも四つんばいのまま首輪と鎖だけ身につけて、部屋の中をひきまわされてみる? 犬みたいに扱ってやるよ。一晩中、人間の言葉を使わせないからな」 あまりに惨い嬲られ方をにおわせられて、アンリエッタは必死に首をふって泣き濡れた声をだす。 「やめて……やめてください、変なことをおっしゃらないでっ……、 できません、しませぬから! そのようなこと決してぇ……」 「と言ったって、体がやらしー反応してるじゃねえかよ。おま○こきゅうきゅうにしちゃって。 姫さま、表面ではあんま認めたがってないようだけど、体はいじめられるのほんっと大好きだよな?」 嗜虐趣味全開でそう意地悪に指摘して、才人が後ろから耳たぶを唇でくわえてしゃぶってくる。 「ひ、耳、ちがいます、大好きなんてことは……ぁ、あひ、ひいいいっ」 小刻みに肉棒を抽送されて、アンリエッタの否定の声がとけ崩れた。 徐々に少年の動きが元のように速まっていくが、少女のほうもいまさら腰のうねりを止められないようだった。 互いに本能のままの交わりに近づいていく。 高まりきって媚声をふきこぼすアンリエッタの様子を見て、才人が這った彼女の背中から手を前にまわした。 「お豆のかわりにこっちつまんでてやるよ。乳首もこんなしこらせちゃって」 下向きで、たゆたゆ踊る白い乳肉の頂点が、指にきゅっとつままれた。 肉感のぷりっとした乳首をこすりつぶされながら、ぽよぽよと乳房をもてあそばれていく。 快美のわななきが女体に走り、あごを上げて甘くむせびながら、少女が官能の灼熱するきざしを告げた。 「ああ、やめて、お乳もせつないのです……! お尻のなか灼けますっ、もうすぐなの、もうだめえっ」 濃艶な熱を女体が放散する。無惨に剥かれかけたドレスが凄艶な影をおびていた。 「イくんだな? じゃあ姫さまがイったときに、お尻のやついっぺんに抜いてあげますよ。一昨日みたいに。 あのとき、おま○こしながらお尻の道具何度も詰めこんで引っこ抜いてやって、そのたびに体がイくようになるまで続けたよな?」 「ひっ、いや、いやです、どうかそんなことはやめて、ひぅ、やぁぁ、 だめ、だめ、ひいいい、いく、あ、イきますう……ああああ、イくうううっ!!」 血を吐くような叫びとともに、アンリエッタが絶頂に到達する。先ほど一度寸止めにされたこともあって、それは強烈なものだった。 淫奔に振りたてられていた魅惑的な尻が、動きを止めて痙攣し、蜜壺とアヌスをきゅうぅぅぅと締める。 その瞬間、アヌスから淫具を一気に引き抜かれた。括約筋の締めつけをえぐりながら、ぷちぷちと真鍮玉が肛口を広げて出ていき、にゅじゅるん、と全体が飛びだす。 「ひぃいいっっ――あああああああっ!」 淫具とともに魂を強引にひっこ抜かれたようだった。 宣言されていたのに、まったく耐えられなかった。いま達したばかりの高みを台にして、もう一段上へ強制的にのぼらされる。 「だめ、またイくううっ、ひあっ、らめ、ああああっ、イくぅっ……!!」 一瞬で火だるまになるような連続した絶頂に呑みこまれ、内臓から深く達して、泣きながらアンリエッタはかかげた尻を淫靡にくねり悶えさせる。 蜜壺からも、好意たっぷりに熱く抱擁されていた肉棒が、アヌスの淫具とあわせて抜かれている。 噴き癖をつけられている潮が、ぴしゅぴしゅと断続的に飛んだ。 うつぶせに完全に床にくずれ落ちたアンリエッタの体を、背後から才人が乗りこえるようにまたいだ。 肉棒を自分の手でしごきあげながら、びくびく脈打ちはじめた亀頭を少女の頭の上から押しあてる。 どぴゅっ、どぷっと大量の精液が、栗色の髪の上からぶっかけられていく。 力つきてぐったりし、火照った呼吸をつむいでいるアンリエッタが「……ぃゃぁ……」とおぼろな泣き声を漏らした。 髪の生え際から美貌にとろとろと、熱い精液が流れ落ちていく。 頭上から白濁をぶっかけられて、くらくらする猛烈な男の精臭につつまれながら、腰骨がなくなったかのような余韻にじんわりと少女はひたらされるのだった。 ………………………… 「こんなお尻の穴ぽっかり開いちゃって……いや無理ないか、ずっと入ってたんだもんな」 床に這ったアンリエッタが、いつまでも夢幻をさまよっていられなかったのは、その一言と同時に触れてきた指のせいだった。 直径二サントほどの、コインくらいの大きさの穴を開き、ピンクの内部肉壁を見せてひくひくするアヌスを才人に触れられたのである。 快楽に使えるよう、肉が十分にほぐれてきたかを確かめるような手つきだった。 彼女は「〜ひっ」と息をのみ、反射的に触られた場所を締めた。 抜けかけている腰をよじって手をのばし、ドレスのすそで必死に尻を隠そうとする。 恥じらいはもちろんだが、恐怖のほうが大きい。 いまは体が蕩けすぎている。つづけてすぐアヌスを犯されたら、いままで行かなかった領域に連れ込まれてしまいそうで怖かった。 しかし、才人もこの場ではそれ以上するつもりはないようだった。 「一度お風呂はいって、晩ごはんもちゃんと食べてからまたしような」 アンリエッタは複雑な気分になる。 いま嬲られずにすむことへの安堵が大きかったが、今夜もやはり身を少年に呈さなければならないようだった。 まだ一日が終わっていないことが呪わしかった。 少女は石の床に腕を必死につっぱり、震える上体をようようのことで立て直した。 「ひ……ひきょう、ものぉ……」 へ? と目を丸くしている才人を必死ににらむ。 悦びを極めた直後のことで美貌はゆるみきり、水面のような美しい瞳は蕩けてしまっていたが。 「あなひゃが……あなたが、いやらしいことをしなければ……わたくひは、もっとちゃんとした女でいられるのよ……こんなことで、だまらせようとして…… わた、わたくしは……ずっと怒っているのですからね……」 (言えた、ちゃんと言えたわ……) 本当はこのとき淫楽のなごりで、怒りの感情さえ一時的に溶き流されてしまっていたが……せめて、虚勢だけでも張らなければならなかった。 才人にどんな反応をされるだろう、と怯えるかたわらで、言えた自分がかすかに誇らしくもある。 ここ数日、心身を陵辱されて乱れながらも、自分自身に言いきかせてきた。「抱かれている最中はもう駄目でも、それが終わったら戻らなくては」と。 毎回、快楽に弱りすぎて途中から狂わされてしまう。それはもう諦めた。 けれどどれだけ乱れても、終わって体の熱が冷めれば、心をどうにか立ちなおらせてきた。怒りを再燃させて、誇りを取り戻してきた。 そのことが、アンリエッタがしがみついている自尊心の柱なのだった。 炎天下の氷のように濡れて溶けかけながら、どうにか意地を張っている少女を見て、才人は胸がまたしても妖しくうずくのを感じた。 たぶんアンリエッタ自身は意識していないのだろうが、男をぞくぞくさせる艶めかしさが、その潤みをたたえてにらむ瞳にこぼれんばかりに満ちている。 つい手をのばし、座りこんでいるアンリエッタの頬をなでる。 ひっ、と少女が一瞬おびえたように身をこわばらせ、それから頬への穏やかな愛撫に細いため息をついている。 その目が才人を悔しげににらもうとしながらも、安堵するような光をやどした。 才人はアンリエッタの目を見ながら、静かに考える。 (この人、弱い人だけど、けっして弱いばかりじゃないんだよな…… ほんとに複雑な人だよなぁ) 嬲ればすぐ骨抜きになるのに、最後のところではなかなか折れない。その後、彼女は何度でも立ちなおるのだった。 それでも体を重ねて何度も屈服させていると、少しずつ深みに落とせている実感があって、少年は容易にやめられなくなっている。 自分の嗜虐的な行為に体で応えて、少女がしっとりと危うい色香を増していくことが、才人を夢中にさせているのだった。 〈中〉は分けました。後編に続きます。
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