ゼロの使い魔保管庫
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きょにゅうルイズ [[205]]氏 #br ちょっとした用事を終えてルイズの部屋まで戻ってきた才人は、ドアノブに手をかけたところでふと動きを止めた。 扉の向こうから、聞き慣れた声が聞こえてくる。 (なんだ? ルイズの奴、誰かと喋って……いや違うな、こりゃ魔法の詠唱か?) 才人は首を傾げる。使い魔にお仕置きするわけでもないのに、なぜ部屋で虚無魔法の詠唱などやっているのか。 気になったので、できる限り音を立てないように注意して、ほんの少しだけ扉を押しあけた。 部屋の中には、やはりルイズしかいなかった。大きな姿見の前に立って、低い声で魔法の詠唱を行っている。 その詠唱が、最近ではすっかり聞き慣れてしまった感のある「エクスプロージョン」のものではないことに、才人は気がついた。 (これは……ひょっとして、イリュージョン、か?) 自分のイメージを元にして、自由自在に幻を作り出す虚無魔法である。 だが、何故今あの魔法を……才人が疑問に思ったとき、詠唱を終えたルイズがゆっくりと杖を振り下ろした。 その瞬間、魔法の効力によって幻が現れた。具体的には、彼女の胸に二つの巨大な乳房が現れた。ティファニア並の巨乳である。 ルイズは別段嬉しがることも楽しむ様子もなく、ただ無表情のまま鏡の中の自分を見つめている。 彼女がおもむろに体を揺すると、それに合わせて胸も揺れた。 ぶるんぶるんと音が聞こえてきそうなその弾力と揺れっぷりは、遠目に見ても本物の胸であるとしか思えない。 だが、ルイズは相変わらず無表情である。整った顔に何の感情も浮かべないまま、今度は自分の胸に手を伸ばす。 小さな手が大きな乳房を揉みしだく、かと思いきや、彼女の細い指先は胸の中に埋まってしまった。 どんなに本物らしく見えても、幻なのだから当たり前である。 「フ」 ルイズが笑った。どこまでも虚ろな、乾き切った笑みであった。 「ここまで精巧な幻を作るのに、どれだけの時間をかけたか。それでもなおこの胸に実はなし。まさに虚乳、か」 その呟きを聞き届けた後、才人は無言のままそっと扉を閉めて、学院寮の廊下を走りだした。 しばらく走ってギーシュの部屋のドアを蹴り開けて、中に入る。 何をするんだと抗議する部屋の主の胸にしがみつき、才人は涙枯れるまで泣いた。泣くことしかできなかった。 #br
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きょにゅうルイズ [[205]]氏 #br ちょっとした用事を終えてルイズの部屋まで戻ってきた才人は、ドアノブに手をかけたところでふと動きを止めた。 扉の向こうから、聞き慣れた声が聞こえてくる。 (なんだ? ルイズの奴、誰かと喋って……いや違うな、こりゃ魔法の詠唱か?) 才人は首を傾げる。使い魔にお仕置きするわけでもないのに、なぜ部屋で虚無魔法の詠唱などやっているのか。 気になったので、できる限り音を立てないように注意して、ほんの少しだけ扉を押しあけた。 部屋の中には、やはりルイズしかいなかった。大きな姿見の前に立って、低い声で魔法の詠唱を行っている。 その詠唱が、最近ではすっかり聞き慣れてしまった感のある「エクスプロージョン」のものではないことに、才人は気がついた。 (これは……ひょっとして、イリュージョン、か?) 自分のイメージを元にして、自由自在に幻を作り出す虚無魔法である。 だが、何故今あの魔法を……才人が疑問に思ったとき、詠唱を終えたルイズがゆっくりと杖を振り下ろした。 その瞬間、魔法の効力によって幻が現れた。具体的には、彼女の胸に二つの巨大な乳房が現れた。ティファニア並の巨乳である。 ルイズは別段嬉しがることも楽しむ様子もなく、ただ無表情のまま鏡の中の自分を見つめている。 彼女がおもむろに体を揺すると、それに合わせて胸も揺れた。 ぶるんぶるんと音が聞こえてきそうなその弾力と揺れっぷりは、遠目に見ても本物の胸であるとしか思えない。 だが、ルイズは相変わらず無表情である。整った顔に何の感情も浮かべないまま、今度は自分の胸に手を伸ばす。 小さな手が大きな乳房を揉みしだく、かと思いきや、彼女の細い指先は胸の中に埋まってしまった。 どんなに本物らしく見えても、幻なのだから当たり前である。 「フ」 ルイズが笑った。どこまでも虚ろな、乾き切った笑みであった。 「ここまで精巧な幻を作るのに、どれだけの時間をかけたか。それでもなおこの胸に実はなし。まさに虚乳、か」 その呟きを聞き届けた後、才人は無言のままそっと扉を閉めて、学院寮の廊下を走りだした。 しばらく走ってギーシュの部屋のドアを蹴り開けて、中に入る。 何をするんだと抗議する部屋の主の胸にしがみつき、才人は涙枯れるまで泣いた。泣くことしかできなかった。 #br
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