ゼロの使い魔保管庫
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ぼくらの7日間戦争〜一日目 せんたいさん ※[[35-78]]「くじびきアンバランス!」の続きです #br 「ええと…確かに、王宮からの紹介状ですね。 ミス…」 「シュトリ。アン・シュトリですわ」 受付の騎士に招待状を手渡し、アンリエッタの変装した街娘『アン』はにっこりと笑う。 もちろん、名乗ったその名は偽名。秘密を暴き、望みの異性を愛し合わせることのできる力を持った伝承の中の精霊の名前。 名乗る名前などどうでもよかったが、どうしても才人との一週間を手に入れたいアンリエッタは、その名にあやかることにしたのだった。 騎士は招待状の入った書簡を開き、招待状の押印を確認する。そこには確かに、アンリエッタ女王のサインと、王家の押印がされていた。 「はい、確かに。では、箱の中から一つ、クジを引いてください」 言って騎士は箱を指す。 箱はだいたい大人の男が両の腕で抱えられる程度。その天辺に、大人の頭がすっぽり入りそうな丸い穴が開いている。ここから腕を差し入れ、クジを引くのである。 ちなみに、アンリエッタに先行してタバサとルイズがクジを引いた。 「何よ、『解体・始祖の祈祷書』って!!今更使い方解説してんじゃないわよっ!」 ルイズの引き当てたのは三等の景品。王家に伝わる、始祖の祈祷書の取扱説明書のようなもの。 つい先日、王家の書庫で五代前の王が街娘に宛てたこっぱずかしい詩が満載の恋文がページに挟まれた状態で、切り取られた百科事典のページの間に挟まれているのが発見された。 歴史学的にはものすごく貴重で、なおかつ虚無の担い手にとってはなくてはならない本のはずだが、ルイズにとっては便所紙にもならない虫食いの紙の束である。 そしてタバサはといえば。 「…。………。」 無言で、中庭の隅に四等の景品である『破壊の杖』を埋めている。 そんなライバルたちを尻目に、アンは優雅にクジの箱に手を差し入れる。 そして。 あった…! そう。それこそは彼女が確実に才人を手に入れるために仕込んだ罠。 才人のクジに仕込んだ、砂鉄まじりのインク。 それが、彼女の嵌めた磁力を持った指輪に、吸い寄せられ、白魚のような指に張り付いた。 もし、先にこれを引かれたら。 そんな懸念もないではなかった。 しかし、もしこの数のクジの中から、才人を引き当てる運が彼女たちにあったのなら、諦めてもいい、そう思っていた。 だがそうはならなかった。 彼女達は、負けたのだ。 王との戦いに。 そして、遠慮して彼女より先にクジをひかなかった二人は、そもそも戦いにすらなっていない。 いかな手段を用いても、勝利を手にするのが王の道。悪く思わないで下さいね、シエスタさん。ティファニア。 心の中だけで二人に謝り、アンはクジを穴から取り出す。 「これでお願いしますわ」 三角に折られ、中身の見えないクジを、アンは騎士に手渡す。 騎士はそれを開け、そして、中身を告げる。 「一等です!おめでとうございます!」 騎士の声に、周囲から同情半分の拍手があがる。 そして、件の四人は。 「ちょ、待ちなさいよ!なんでそんな都合よく!」 「…やられた…!」 「こ、こんなことなら遠慮なんかするんじゃなかったぁ…!」 「…あとで混ぜてもらお…」 ルイズはアンに掴みかかろうとして事情を承知して中庭で警護に当っていたアニエスに取り押さえられ、タバサは勝負だから仕方ない、と諦め、シエスタは次の策を練り始め、ティファニアは才人へのおねだりの台詞を考え始めた。 四人四色の反応が交錯する中、アンはまるで本意でない、と言わんばかの表情でクジを眺める。 そして、中庭から引きずり出されたルイズを除いた、その表情をいぶかしむ三人の前で、言ってのけた。 「私、ただの街娘ですから。シュヴァリエをお借りするなんてできませんわ。 つきましては、この景品は王家に返上したく思います」 言って、目の前に立つ係りの騎士にクジを突き返す。 その言葉に最初に合点がいったのはタバサ。 「…し、しまった…!」 気づいた時には遅かった。 バルコニーの女王は、階下よりのその報を聞くと、少し考える素振りを見せた後、宣言する。 「では、シュヴァリエ・サイトには、一週間私の傍仕えを命じます。 これから一週間、公私共に仕えて頂きます。よろしいですね、シュヴァリエ・サイト」 その発言に、周囲の貴族たちからやっぱりか、という声が上がる。 当然と言えば当然なのだが、貴族たちの中で才人とアンリエッタのただならぬ関係を知らぬ者はほとんどいない。 事あるごとに才人の所属する水精霊騎士団には王家がらみの任務が任されたし、さらにその後、才人に直接労をねぎらうアンリエッタの姿を、たくさんの貴族が目撃している。 七万の大軍を止めた若き英雄に、若い女王が熱を上げるのも当然だろう、そう思っている者が大半だった。 そして、この女王の言葉で、二人の関係はさらに進展することになった。 今までは噂や憶測に過ぎなかった女王と英雄の関係は、この発言で白日の下に晒されたのだ。 いかに上納の代わりの役とはいえ、平民出の一介の貴族に、女王の近衛をたった一週間とはいえ任せるなどありえない。 それをアンリエッタ女王はさらりと命じた。 つまり、彼女は公式の場で『シュヴァリエ・サイトは女王と公私を共にするに値する男性』と発言したに他ならない。 今までは一介の騎士だった才人が、これにより『女王の番となる英雄』となったのである。 そして。 才人はその夜から、アンリエッタの公私を守る近衛として、王城に寝泊りする事になったのである。 最初の日。 王城に泊まった最初の夜は何もなく過ぎた。 てっきり喜び勇んで寝室に夜這いをかけてくるだろうと予想された女王はしかし、結局やってこなかった。 才人は、あてがわれた女王の部屋の隣の小さな部屋でメイドの運んできた朝食を平らげ、言われたとおり正装として渡された白い礼服に着替え、仕事の説明をするといっていたアニエスを待つ。 待つ退屈さに才人が大あくびをした瞬間。 ノックもせずにアニエスが入ってきた。 「…なんだその緊張感のない顔は」 「…ノックくらいしてくださいよ…」 才人の突っ込みにしかし、アニエスは呆れたように言う。 「何を暢気に言っている。一週間だけとはいえ、お前は今日から女王の近衛だ。 公私ともに女王に仕える身、気を抜く事など赦されぬと思え」 言ってアニエスは扉の陰から台車に乗った一着の甲冑を部屋に入れる。 その甲冑は薄い鉄板でできており、腹部から胸だけを覆うデザイン。 それに、肩当と、同じ材質であろう篭手が左手のぶんだけ、付く。 白を基調として、各所に金の縁取りがある。 白い礼服の才人がこれを着れば、立派な近衛騎士のできあがりというわけだ。 同じ台車の上には、同じような色遣いの、赤い鞘に収められた細身の片手剣が置かれていた。 「これを着て、着いて来い。早速仕事だ」 才人は言われるがまま、甲冑を着こんで、剣を腰に提げ、アニエスに続く。 王宮の廊下を進んでいくと、すぐに謁見の間についた。 朝早い謁見の間は、掃除をする下働き以外は姿はない。 そしてアニエスは言った。 「まずは、謁見の間に異常がないかチェックしろ。傍仕えの大事な任務の一つだ」 常に権謀術数の中にいる王のために、夜の間に、謁見の間に何か仕掛けられていないか、チェックする必要がある。 才人は言われるまま、謁見の間を隅から隅へ見て回る。 そう広くはない謁見の間なので、意外とすぐにチェックは終わる。 その間に、下働きたちの掃除も終わり、謁見の間に残ったのはアニエスと才人だけ。 「終わりましたー」 「異常はなかったようだな。女王陛下がここに見える前に必ずこれはやっておけ。 明日からは一人で起きて、ちゃんとやるんだぞ」 まるで弟に対するような口調でアニエスは言う。 そしてそれを見計らったかのように、女王とマザリーニが謁見の間に現れる。 「おはようございます、シュヴァリエ。今日から一週間、よろしくお願いします」 「おはようございます。ひ…じゃない女王陛下。こちらこそヨロシクお願いします」 思わずクセで『ひめさま』と言いそうになり、慌てて言い換える才人。 そんな才人を、まるで婿を品定めする花嫁の父親のような視線で、マザリーニも挨拶をする。 「今日から一週間、陛下の近衛を頼むぞ、シュヴァリエ」 「まかせてください。…でも何すりゃいいんですか?」 当然だが、才人はこれから何をすればいいのかを知らない。 マザリーニは言った。 「女王陛下の脇に控え、万が一の際には陛下を守る盾となるのだ。 具体的に言うとだな、謁見が終わるまで、玉座の横で立って女王陛下を守るのだ」 つまり、謁見の間のボディガード。 何事もなければただ立っているだけの仕事、ということだ。 なんだ楽な仕事じゃん、と才人はタカをくくっていたが。 アニエスの言葉に、近衛がいかに大変か思い知らされる。 「ちなみに今日は謁見が夕方までひっきりなしだ。 謁見の間は昼も喰えないし休憩もできんからな。覚悟しておけ」 それを聞いた才人の甲冑が、少し重くなった、気がした。 そして、何事もなく一日が過ぎる。 「疲れた〜〜!」 最後の謁見の貴族が帰った後、才人はほっと胸を撫で下ろす。 そんな才人に、アンリエッタが労いの声をかける。 「お疲れ様でした、シュヴァリエ。 これで今日の公務はお終いです。よかったら私の部屋で一緒にお食事でもいかがです?」 マザリーニもそれを聞いていたが、とりあえず何も言わない。不干渉を決め込んでいる。 アンリエッタのその言葉を聞いた途端、才人の腹がぎゅう〜っ、と鳴った。 才人は節操のない自分の腹の虫に、女王に頭を下げた。 「あはは。…すいません」 「うふふ。私もお腹がペコペコ。 マザリーニ郷、二人分の食事を私の部屋へお願いします」 マザリーニは「畏まりました」とそれを受けつけ、謁見の間を出て行く。これから厨房に向かい、その旨を伝えるのだ。 当然、アンリエッタも才人も昼食は抜きである。 二人は女王の部屋で、少し早めのディナーをとることにした。 まあ、上納の義務の代わりだってえならこのしんどいのも仕方ないよな。 なんて考えながら、俺たちは女王陛下の部屋につく。 つったって何回も出入りしているアンの部屋なんだけども。 でも、この部屋はぶっちゃけトリステイン魔法学院の女子寮より質素だ。 簡素な木の丸テーブルが中央にあって、頑丈な木の椅子が二脚、その周りに対面になるように置いてある。 部屋の奥には衣装部屋。女王陛下の服は全部ここに入っている。 そして、他の家具といえば大きめの棚が一つと、鏡台が一つ、大きなベッドが一つ。 本棚やら箪笥やら大きなランプやらのある学院の寮とはえらい違いだ。 なんでも前の戦争で国民が被った損を、王家の私財を投げ打って賄ったらしい。 そのせいでトリステイン王家は下手な貴族よりも金がないらしい。 まあそれでも王様だから、お金を稼ぐなんてことはしなくてもいいんだろうけど。 アンは王冠を脱いで大切そうに鏡台に置いて、机にかける。 その机の上には、ずいぶんと質素な晩御飯。 パンに、野菜のシチューに、薄い肉を焼いたステーキ。申し訳程度のデザートに、剥いた林檎。 …下手すりゃ学院の食堂のランチのが豪華だぞこりゃ。 「さ、サイト様も掛けて」 アンはそう言って俺を促す。 俺は、食事の邪魔になるので、今まで纏っていた甲冑を脱ぐ。 すると。 むわ。 うわなんだコレ。 汗で蒸れてめっちゃ臭う! 俺は、鎧の下で汗を掻いていたことをすっかり忘れていた。 しっかし我ながらくっせー! 俺がそうして自分の汗のにおいに辟易していると。 「どうました?お食事が冷めてしまいますわ」 なんて言うので仕方なく、俺は席に着く。 …でもやっぱ気になるなあ。 「…あのさ、臭わない?」 恐る恐る俺はアンに尋ねる。 アンはこくん、と首を傾げて応える。 「?シチューのいい香りがしますけど?」 …よかった。そんなに臭ってるわけじゃないんだな。 俺はほっと胸を撫で下ろし、食事にありつくことにした。 そして、食事は二人で今日の事を話している内に終わる。 「ごちそうさまでした」 スプーンを置いて、食器を纏めるアン。 女王なのにそんなことすんの?なんて尋ねたら、 「食事を自室で頂いたときは、食器を纏めてドアの前に出すんです。 そうしておけば、下働きの人も手早く食器を片付けられるでしょう?」 そうか。 下働きの人たちが、こうした晩御飯の食器を下げに来るのは、まだ日の昇らない早朝。 もし今のうちにそうしなければ、寝ているアンが起きて部屋を出るまで、女王の部屋に限っては、その仕事ができない。 なるほどなあ。こんな細かいことまで気を遣ってんのか。いい女王様じゃんか。 なんて俺が感心していると。 いつの間にか俺の隣に来ていたアンが、鼻をすんすん言わせている。 …ま しゃ か 。 「汗臭いですわね、確かに♪」 やっぱ臭ってたかー! …ん?ちょっとまて?今語尾に音符マークついてなかったか? 「サイト様。ちょっとこっちへ来てくださいな」 言ってアンは俺の手を引く。どうやらベッドに連れて行くつもりらしい。 …やっぱそーか。そーくるか。 まあアンだしロイヤルビッチだししょうがないかあ、などと俺が思っていると。 「はい、脱いで脱いで。ばんざーい」 俺をベッドに腰掛けさせたアンが、目の前でばんざいしてみせる。 よーするに脱がせるから俺にばんざいしろと。 「いや自分で脱げますから」 「はい、ばんざーい、ばんざーいですよ」 反論したけど、アンは俺がいう事を聞くまで諦める気はないらしく、目の前でぽよんぽよん胸を揺らしながらばんざいの動作を続ける。 …正直このぽよんぽよん揺れるのをもうちょっと見てたい気もしたが。 「…ばんざーい」 俺は諦めて両手を上げる。 すると、アンは手馴れた手つきで礼服の前を開け、するりと上着を脱がせてしまう。 もちろん、下に来ていた綿の下着も脱がせてしまう。 俺は上半身すっぽんぽんにされた。 そして、俺が腕を下ろそうとすると。 「はい、そのままばんざいしててくださいねー」 …?なんじゃ? アンの言うまま、俺は両手を上げたままにする。 すると。 アンは意外な行動に出た。 #br ぺろ。 「うわひゃっ?」 才人の一番汗で汚れた場所…脇の下を、アンリエッタは舌で舐めたのだ。 少しの塩気と…濃縮された男の味。 才人の汗を味わい、アンリエッタの芯がじん、と疼く。 頬を赤らめ、唇に指を沿え、才人の味を反芻する女王に、才人は突っ込む。 「な、なにやってんすか!」 もちろん、汗を舐めたのである。 まるで恥らう乙女のように上半身を両腕で抱えて捻る才人に、アンリエッタの嗜虐心がうずく。 「駄目ですよサイト様。汗掻いてるんだから、吹かなきゃ♪」 淫靡な笑顔でそう言って、アンリエッタは才人の肌に顔を寄せていく。 「いやちょいまち!ていうか舌で舐めるなって!タオルドコー!?」 ベッドの奥へ後ずさり、逃げる才人。ベッドに這い上がり、才人に覆いかぶさりながら追うアンリエッタ。 いつもとは逆の立場になりつつあることに、才人は本能的に軽い恐怖を覚えていたのである。 命令してこういうことをさせるのならまったく問題ないが、無理やりされるのはどうにも弱い才人だった。 「タオルなぞありませぬ。しいて言うなら、今は私の舌がタオルです」 「何ぞそれ!そんなタオル聞いたことないって!つうかくすぐったいんだってば!」 あくまで抵抗の姿勢を見せる才人に、アンリエッタはむっとする。 「シュヴァリエ。私は公私共に仕えなさいと言った筈。あなたは否定しませんでしたわよね?」 「い、いや確かにそうだけども!」 「なら、この一週間はあなたは私の忠実な下僕ですわ。ですから抵抗は、き・ん・し♪」 「いやまってその理屈おかし…むぐっ」 なおも抵抗を続ける生意気な騎士の唇を、女王は自らのひとさし指と中指で塞ぐ。 そしてそのまま指で才人の口を封じて、言った。 「ちょっとお黙りなさい。それと、噛んだりしたら、承知しませんわよ」 口の中に白魚のような指を突っ込まれ、そのまま頭をベッドに押し付けられる。 才人は、抵抗を諦めることにした。 両腕を開き、裸の上半身をアンリエッタに晒す。 その胸板に、アンリエッタは今度こそ遠慮なく、舌を這わせる。 しかし気化しやすい汗は、先の騒ぎの間に大半が乾いていた。 だが、本来の目的は汗ではない。 才人の肌を、才人の味を、才人の匂いを愉しむ。 それこそが、アンリエッタの目的。 才人が普段自分の乳房にしているように、アンリエッタはぴちゃぴちゃと乳首を中心に舐めまわす。 「んぐ!…んっ!」 指でくぐもった才人の声が漏れる。 その嗜虐心をそそる声と、舌に広がる才人の肌の味が、より一層アンリエッタの芯を刺激する。 「ん…うふ。サイト様のあじ、おいし…」 淫らに微笑みながら、才人を味わう女王。 舌を這わせながら、才人の口の中でアンリエッタの指が蠢く。 …くっそ、なんか悔しいぞ…! 舌での刺激もなかなか心地よいものがあったが、なんだか負けている気がして才人は内心歯軋りする。 なにせ、いつもは自分が主人で、目の前で痴態を晒すこの娘は哀れなメス奴隷なのだ。 なんとかして逆襲できないものか、と思案する。 すぐに、才人は思いつく。 口内でもぞもぞと蠢く白百合の花弁に例えられる指。 そこへ、才人は舌を絡ませる。 「ひゃんっ!?」 その瞬間、胸板を舐めていたアンリエッタの動きが止まる。 効果アリと悟った才人は、口の中に差し込まれたままの指を、べろべろと舐めまわす。 口内から指を出すだけでいいのだが、才人を黙らせるために口の中から出すわけにはいかない。 しかし、この刺激は疼く自分の芯を蕩けさせてしまう。 隙間のある口内を必死に逃げ回るが、才人の舌は容易くアンリエッタの指に絡みつく。 「ふぁ、だめ、なめないでぇ…っ!」 指先で感じる感覚は鋭く確実に、アンリエッタの芯を融かしていく。 指を嬲られるだけで、アンリエッタは才人の胸板で溶けていく。 しかし。 負けるわけにはいかなかった。 せめて、才人と対等にならなくては。 王と奴隷では、意味がないのだ。 アンリエッタは気丈に目的を思い出し、負けるものかと才人の肌に舌を這わせる。 ぴちゃぴちゃと互いに舌を使う音が室内にこだまする。 このままでは埒が明かない。 才人はアンリエッタの腕を両手でつかみ、指先に微妙な力を込め、優しく撫で回しはじめた。 アンリエッタは余った指で、才人のわき腹を優しく、時に爪で軽くひっかきながら、撫で回す。 互いに最も感じる部分を刺激せず、やわやわと高めあっていく。 才人の胸板はアンリエッタが零した涎でべとべとになり、アンリエッタの指は才人の唾液でふやけていた。 そして、中天を照らしていた双つの月が傾きはじめた時。 二人はほとんど同時に、互いの舌を相手から離す。 「はぁ、はぁ、はぁ…」 「ん、ふぅ、ふぁ…」 唇の周りを涎でべとべとにし、獣の目になった二人は、見詰め合った。 しかし。 アンリエッタは、すぐに目的を思い出し、必死に自分の獣を押し殺す。 「な、なあ。姫様、俺もう…」 肩を掴もうとする才人の手を、アンリエッタは払った。 「だめです」 「え」 アンリエッタの急変した態度に、きょとんとする才人。 アンリエッタはそんな才人に淫靡な笑顔を向けると、言った。 「先に私を満足させなさい…」 言って、スカートをたくし上げ、すらりとした脚をM字に開く。 白いニーハイソックスがガーターベルトで吊られ、その奥の純潔を象徴する白いレースのショーツは、女王の蜜でぐっしょりと濡れていた。 才人はこくん、と頷いた。 「合点承知だ女王さまーっ!」 そう吼えて極上の芳香を放つアンリエッタの下半身にむしゃぶりつく。 邪魔な薄い白い布を横に引き伸ばし、露になった桜色の裂け目に舌を差し込む。 上の口以上に涎を零していたその穴は、易々と才人の侵入を許した。 才人は舌を奥まで差込み、アンリエッタ中に溜まった女王の愛液を掻き出すと。 そのまま、舌で女陰を嘗め回し、肛門のほうまで舐めまわす。 「ふぁ、そ、そう、いいっ…!」 天井を見上げ、荒い息をつきながら、快楽に震えるアンリエッタ。 嘗め回されるたびにその細い肢体がふるふると震え、声に切なさが増していく。 そして、才人は舐めるだけでは飽き足らず。 雌の裂け目の頂点で勃起し始めた、アンリエッタの核に指をかける。 「あっ…!?」 その鋭い感覚にアンリエッタの身体がびくん!と震える。 そして、これから襲い来る衝撃に、背筋を丸まらせ、身体を強張らせ、備える。 抵抗は、しない。自分が望んだことだから。 そして。 才人の指が、ちゅるん、と女王の皮を剥きあげた。 「──────────ひぃ!」 身体を強張らせ備えていたが、その強すぎる刺激に、容赦なく背筋が反り返った。 女王の反応に気をよくした才人は、そのまま舌で、剥き出しの女王を優しく嘗め回し、時には唇で吸い上げる。 唾液でべとべとの舌が絡むたび、涎交じりの吐息で撫でられるたび、唾液と愛液の混合物と一緒に吸い上げられるたび、女王の背筋はびくんびくんと玩具の様に跳ね回る。 だが、気丈に耐えようとする彼女の矜持が、絶頂の手前で女王を踏みとどまらせていた。 しかし。 才人が舌と同時に指を女陰に突っ込んだ瞬間。 アンリエッタの視界ははじけた。 「──────────────ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 びくんびくんと膣道が痙攣し、背筋が踊る。 股間から盛大に潮を吹き、アンリエッタは達してしまう。 まるでブリッジのように背筋が反り返り、しかしその緊張はすぐに解け、ベッドの上に亜麻色の髪とともに広がる はぁはぁと荒い息をつき、ベッドに広がる女王に、才人は覆いかぶさる。 「どう?満足した?」 アンリエッタの顔にかかるその息は荒く、発情した獣の匂いがした。 確かに、アンリエッタは一度絶頂した。 ここまでは筋書き通り。 アンリエッタは気丈に緩んだ腰の筋肉をぎゅ、と締めなおし、起き上がる。 アンリエッタが起き上がったせいで、才人はベッドから追い出される。 そして普段とは違う女王の様子に呆ける騎士に言ってのけた。 「お勤めご苦労様でした、シュヴァリエ」 「うん、だからさ。続き。ね、続き!」 今にもズボンを脱いで襲い掛かってきそうな才人の鼻先に、アンリエッタは先ほどまで嬲られていた指を突きつける。 「本日のお勤めはここまでです。お部屋にお帰りなさい」 「へ?」 思わず呆けてしまう才人に、アンリエッタは散らかった才人の上着を手早くまとめ、手渡すと。 そのまま才人をぐいぐいと部屋の外へ押し出してしまう。 「え、あの?ヒメサマ?」 「お勤め、ご苦労でしたっ!」 後ろ髪を引かれながらも、なんとかアンリエッタは自室から恋人を追い出すことに成功する。 …これでいい。これで。 はぁ、とドアにもたれかかりながらため息をつくアンリエッタの耳に、ドア越しに才人の嘆きが聞こえてきた。 『そ、そりゃないよヒメサマ〜…。このままじゃ俺納まりがつかねえって〜…』 才人の哀れな声にしかし、アンリエッタは気丈に耐え、自室の鍵を、音を立ててかけてしまった。 こうなってしまっては、才人は部屋に帰る他ない。 去っていく気配を感じながら、アンリエッタはほう、とため息をついた。 これでいい。続きは、明日…。 夜空に煌々と輝く双つの月を眺めながら、アンリエッタは明日の夜に思いを馳せるのだった。 ―つづく →[[35-276]]「ぼくらの7日間戦争〜二日目」 #br
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ぼくらの7日間戦争〜一日目 せんたいさん ※[[35-78]]「くじびきアンバランス!」の続きです #br 「ええと…確かに、王宮からの紹介状ですね。 ミス…」 「シュトリ。アン・シュトリですわ」 受付の騎士に招待状を手渡し、アンリエッタの変装した街娘『アン』はにっこりと笑う。 もちろん、名乗ったその名は偽名。秘密を暴き、望みの異性を愛し合わせることのできる力を持った伝承の中の精霊の名前。 名乗る名前などどうでもよかったが、どうしても才人との一週間を手に入れたいアンリエッタは、その名にあやかることにしたのだった。 騎士は招待状の入った書簡を開き、招待状の押印を確認する。そこには確かに、アンリエッタ女王のサインと、王家の押印がされていた。 「はい、確かに。では、箱の中から一つ、クジを引いてください」 言って騎士は箱を指す。 箱はだいたい大人の男が両の腕で抱えられる程度。その天辺に、大人の頭がすっぽり入りそうな丸い穴が開いている。ここから腕を差し入れ、クジを引くのである。 ちなみに、アンリエッタに先行してタバサとルイズがクジを引いた。 「何よ、『解体・始祖の祈祷書』って!!今更使い方解説してんじゃないわよっ!」 ルイズの引き当てたのは三等の景品。王家に伝わる、始祖の祈祷書の取扱説明書のようなもの。 つい先日、王家の書庫で五代前の王が街娘に宛てたこっぱずかしい詩が満載の恋文がページに挟まれた状態で、切り取られた百科事典のページの間に挟まれているのが発見された。 歴史学的にはものすごく貴重で、なおかつ虚無の担い手にとってはなくてはならない本のはずだが、ルイズにとっては便所紙にもならない虫食いの紙の束である。 そしてタバサはといえば。 「…。………。」 無言で、中庭の隅に四等の景品である『破壊の杖』を埋めている。 そんなライバルたちを尻目に、アンは優雅にクジの箱に手を差し入れる。 そして。 あった…! そう。それこそは彼女が確実に才人を手に入れるために仕込んだ罠。 才人のクジに仕込んだ、砂鉄まじりのインク。 それが、彼女の嵌めた磁力を持った指輪に、吸い寄せられ、白魚のような指に張り付いた。 もし、先にこれを引かれたら。 そんな懸念もないではなかった。 しかし、もしこの数のクジの中から、才人を引き当てる運が彼女たちにあったのなら、諦めてもいい、そう思っていた。 だがそうはならなかった。 彼女達は、負けたのだ。 王との戦いに。 そして、遠慮して彼女より先にクジをひかなかった二人は、そもそも戦いにすらなっていない。 いかな手段を用いても、勝利を手にするのが王の道。悪く思わないで下さいね、シエスタさん。ティファニア。 心の中だけで二人に謝り、アンはクジを穴から取り出す。 「これでお願いしますわ」 三角に折られ、中身の見えないクジを、アンは騎士に手渡す。 騎士はそれを開け、そして、中身を告げる。 「一等です!おめでとうございます!」 騎士の声に、周囲から同情半分の拍手があがる。 そして、件の四人は。 「ちょ、待ちなさいよ!なんでそんな都合よく!」 「…やられた…!」 「こ、こんなことなら遠慮なんかするんじゃなかったぁ…!」 「…あとで混ぜてもらお…」 ルイズはアンに掴みかかろうとして事情を承知して中庭で警護に当っていたアニエスに取り押さえられ、タバサは勝負だから仕方ない、と諦め、シエスタは次の策を練り始め、ティファニアは才人へのおねだりの台詞を考え始めた。 四人四色の反応が交錯する中、アンはまるで本意でない、と言わんばかの表情でクジを眺める。 そして、中庭から引きずり出されたルイズを除いた、その表情をいぶかしむ三人の前で、言ってのけた。 「私、ただの街娘ですから。シュヴァリエをお借りするなんてできませんわ。 つきましては、この景品は王家に返上したく思います」 言って、目の前に立つ係りの騎士にクジを突き返す。 その言葉に最初に合点がいったのはタバサ。 「…し、しまった…!」 気づいた時には遅かった。 バルコニーの女王は、階下よりのその報を聞くと、少し考える素振りを見せた後、宣言する。 「では、シュヴァリエ・サイトには、一週間私の傍仕えを命じます。 これから一週間、公私共に仕えて頂きます。よろしいですね、シュヴァリエ・サイト」 その発言に、周囲の貴族たちからやっぱりか、という声が上がる。 当然と言えば当然なのだが、貴族たちの中で才人とアンリエッタのただならぬ関係を知らぬ者はほとんどいない。 事あるごとに才人の所属する水精霊騎士団には王家がらみの任務が任されたし、さらにその後、才人に直接労をねぎらうアンリエッタの姿を、たくさんの貴族が目撃している。 七万の大軍を止めた若き英雄に、若い女王が熱を上げるのも当然だろう、そう思っている者が大半だった。 そして、この女王の言葉で、二人の関係はさらに進展することになった。 今までは噂や憶測に過ぎなかった女王と英雄の関係は、この発言で白日の下に晒されたのだ。 いかに上納の代わりの役とはいえ、平民出の一介の貴族に、女王の近衛をたった一週間とはいえ任せるなどありえない。 それをアンリエッタ女王はさらりと命じた。 つまり、彼女は公式の場で『シュヴァリエ・サイトは女王と公私を共にするに値する男性』と発言したに他ならない。 今までは一介の騎士だった才人が、これにより『女王の番となる英雄』となったのである。 そして。 才人はその夜から、アンリエッタの公私を守る近衛として、王城に寝泊りする事になったのである。 最初の日。 王城に泊まった最初の夜は何もなく過ぎた。 てっきり喜び勇んで寝室に夜這いをかけてくるだろうと予想された女王はしかし、結局やってこなかった。 才人は、あてがわれた女王の部屋の隣の小さな部屋でメイドの運んできた朝食を平らげ、言われたとおり正装として渡された白い礼服に着替え、仕事の説明をするといっていたアニエスを待つ。 待つ退屈さに才人が大あくびをした瞬間。 ノックもせずにアニエスが入ってきた。 「…なんだその緊張感のない顔は」 「…ノックくらいしてくださいよ…」 才人の突っ込みにしかし、アニエスは呆れたように言う。 「何を暢気に言っている。一週間だけとはいえ、お前は今日から女王の近衛だ。 公私ともに女王に仕える身、気を抜く事など赦されぬと思え」 言ってアニエスは扉の陰から台車に乗った一着の甲冑を部屋に入れる。 その甲冑は薄い鉄板でできており、腹部から胸だけを覆うデザイン。 それに、肩当と、同じ材質であろう篭手が左手のぶんだけ、付く。 白を基調として、各所に金の縁取りがある。 白い礼服の才人がこれを着れば、立派な近衛騎士のできあがりというわけだ。 同じ台車の上には、同じような色遣いの、赤い鞘に収められた細身の片手剣が置かれていた。 「これを着て、着いて来い。早速仕事だ」 才人は言われるがまま、甲冑を着こんで、剣を腰に提げ、アニエスに続く。 王宮の廊下を進んでいくと、すぐに謁見の間についた。 朝早い謁見の間は、掃除をする下働き以外は姿はない。 そしてアニエスは言った。 「まずは、謁見の間に異常がないかチェックしろ。傍仕えの大事な任務の一つだ」 常に権謀術数の中にいる王のために、夜の間に、謁見の間に何か仕掛けられていないか、チェックする必要がある。 才人は言われるまま、謁見の間を隅から隅へ見て回る。 そう広くはない謁見の間なので、意外とすぐにチェックは終わる。 その間に、下働きたちの掃除も終わり、謁見の間に残ったのはアニエスと才人だけ。 「終わりましたー」 「異常はなかったようだな。女王陛下がここに見える前に必ずこれはやっておけ。 明日からは一人で起きて、ちゃんとやるんだぞ」 まるで弟に対するような口調でアニエスは言う。 そしてそれを見計らったかのように、女王とマザリーニが謁見の間に現れる。 「おはようございます、シュヴァリエ。今日から一週間、よろしくお願いします」 「おはようございます。ひ…じゃない女王陛下。こちらこそヨロシクお願いします」 思わずクセで『ひめさま』と言いそうになり、慌てて言い換える才人。 そんな才人を、まるで婿を品定めする花嫁の父親のような視線で、マザリーニも挨拶をする。 「今日から一週間、陛下の近衛を頼むぞ、シュヴァリエ」 「まかせてください。…でも何すりゃいいんですか?」 当然だが、才人はこれから何をすればいいのかを知らない。 マザリーニは言った。 「女王陛下の脇に控え、万が一の際には陛下を守る盾となるのだ。 具体的に言うとだな、謁見が終わるまで、玉座の横で立って女王陛下を守るのだ」 つまり、謁見の間のボディガード。 何事もなければただ立っているだけの仕事、ということだ。 なんだ楽な仕事じゃん、と才人はタカをくくっていたが。 アニエスの言葉に、近衛がいかに大変か思い知らされる。 「ちなみに今日は謁見が夕方までひっきりなしだ。 謁見の間は昼も喰えないし休憩もできんからな。覚悟しておけ」 それを聞いた才人の甲冑が、少し重くなった、気がした。 そして、何事もなく一日が過ぎる。 「疲れた〜〜!」 最後の謁見の貴族が帰った後、才人はほっと胸を撫で下ろす。 そんな才人に、アンリエッタが労いの声をかける。 「お疲れ様でした、シュヴァリエ。 これで今日の公務はお終いです。よかったら私の部屋で一緒にお食事でもいかがです?」 マザリーニもそれを聞いていたが、とりあえず何も言わない。不干渉を決め込んでいる。 アンリエッタのその言葉を聞いた途端、才人の腹がぎゅう〜っ、と鳴った。 才人は節操のない自分の腹の虫に、女王に頭を下げた。 「あはは。…すいません」 「うふふ。私もお腹がペコペコ。 マザリーニ郷、二人分の食事を私の部屋へお願いします」 マザリーニは「畏まりました」とそれを受けつけ、謁見の間を出て行く。これから厨房に向かい、その旨を伝えるのだ。 当然、アンリエッタも才人も昼食は抜きである。 二人は女王の部屋で、少し早めのディナーをとることにした。 まあ、上納の義務の代わりだってえならこのしんどいのも仕方ないよな。 なんて考えながら、俺たちは女王陛下の部屋につく。 つったって何回も出入りしているアンの部屋なんだけども。 でも、この部屋はぶっちゃけトリステイン魔法学院の女子寮より質素だ。 簡素な木の丸テーブルが中央にあって、頑丈な木の椅子が二脚、その周りに対面になるように置いてある。 部屋の奥には衣装部屋。女王陛下の服は全部ここに入っている。 そして、他の家具といえば大きめの棚が一つと、鏡台が一つ、大きなベッドが一つ。 本棚やら箪笥やら大きなランプやらのある学院の寮とはえらい違いだ。 なんでも前の戦争で国民が被った損を、王家の私財を投げ打って賄ったらしい。 そのせいでトリステイン王家は下手な貴族よりも金がないらしい。 まあそれでも王様だから、お金を稼ぐなんてことはしなくてもいいんだろうけど。 アンは王冠を脱いで大切そうに鏡台に置いて、机にかける。 その机の上には、ずいぶんと質素な晩御飯。 パンに、野菜のシチューに、薄い肉を焼いたステーキ。申し訳程度のデザートに、剥いた林檎。 …下手すりゃ学院の食堂のランチのが豪華だぞこりゃ。 「さ、サイト様も掛けて」 アンはそう言って俺を促す。 俺は、食事の邪魔になるので、今まで纏っていた甲冑を脱ぐ。 すると。 むわ。 うわなんだコレ。 汗で蒸れてめっちゃ臭う! 俺は、鎧の下で汗を掻いていたことをすっかり忘れていた。 しっかし我ながらくっせー! 俺がそうして自分の汗のにおいに辟易していると。 「どうました?お食事が冷めてしまいますわ」 なんて言うので仕方なく、俺は席に着く。 …でもやっぱ気になるなあ。 「…あのさ、臭わない?」 恐る恐る俺はアンに尋ねる。 アンはこくん、と首を傾げて応える。 「?シチューのいい香りがしますけど?」 …よかった。そんなに臭ってるわけじゃないんだな。 俺はほっと胸を撫で下ろし、食事にありつくことにした。 そして、食事は二人で今日の事を話している内に終わる。 「ごちそうさまでした」 スプーンを置いて、食器を纏めるアン。 女王なのにそんなことすんの?なんて尋ねたら、 「食事を自室で頂いたときは、食器を纏めてドアの前に出すんです。 そうしておけば、下働きの人も手早く食器を片付けられるでしょう?」 そうか。 下働きの人たちが、こうした晩御飯の食器を下げに来るのは、まだ日の昇らない早朝。 もし今のうちにそうしなければ、寝ているアンが起きて部屋を出るまで、女王の部屋に限っては、その仕事ができない。 なるほどなあ。こんな細かいことまで気を遣ってんのか。いい女王様じゃんか。 なんて俺が感心していると。 いつの間にか俺の隣に来ていたアンが、鼻をすんすん言わせている。 …ま しゃ か 。 「汗臭いですわね、確かに♪」 やっぱ臭ってたかー! …ん?ちょっとまて?今語尾に音符マークついてなかったか? 「サイト様。ちょっとこっちへ来てくださいな」 言ってアンは俺の手を引く。どうやらベッドに連れて行くつもりらしい。 …やっぱそーか。そーくるか。 まあアンだしロイヤルビッチだししょうがないかあ、などと俺が思っていると。 「はい、脱いで脱いで。ばんざーい」 俺をベッドに腰掛けさせたアンが、目の前でばんざいしてみせる。 よーするに脱がせるから俺にばんざいしろと。 「いや自分で脱げますから」 「はい、ばんざーい、ばんざーいですよ」 反論したけど、アンは俺がいう事を聞くまで諦める気はないらしく、目の前でぽよんぽよん胸を揺らしながらばんざいの動作を続ける。 …正直このぽよんぽよん揺れるのをもうちょっと見てたい気もしたが。 「…ばんざーい」 俺は諦めて両手を上げる。 すると、アンは手馴れた手つきで礼服の前を開け、するりと上着を脱がせてしまう。 もちろん、下に来ていた綿の下着も脱がせてしまう。 俺は上半身すっぽんぽんにされた。 そして、俺が腕を下ろそうとすると。 「はい、そのままばんざいしててくださいねー」 …?なんじゃ? アンの言うまま、俺は両手を上げたままにする。 すると。 アンは意外な行動に出た。 #br ぺろ。 「うわひゃっ?」 才人の一番汗で汚れた場所…脇の下を、アンリエッタは舌で舐めたのだ。 少しの塩気と…濃縮された男の味。 才人の汗を味わい、アンリエッタの芯がじん、と疼く。 頬を赤らめ、唇に指を沿え、才人の味を反芻する女王に、才人は突っ込む。 「な、なにやってんすか!」 もちろん、汗を舐めたのである。 まるで恥らう乙女のように上半身を両腕で抱えて捻る才人に、アンリエッタの嗜虐心がうずく。 「駄目ですよサイト様。汗掻いてるんだから、吹かなきゃ♪」 淫靡な笑顔でそう言って、アンリエッタは才人の肌に顔を寄せていく。 「いやちょいまち!ていうか舌で舐めるなって!タオルドコー!?」 ベッドの奥へ後ずさり、逃げる才人。ベッドに這い上がり、才人に覆いかぶさりながら追うアンリエッタ。 いつもとは逆の立場になりつつあることに、才人は本能的に軽い恐怖を覚えていたのである。 命令してこういうことをさせるのならまったく問題ないが、無理やりされるのはどうにも弱い才人だった。 「タオルなぞありませぬ。しいて言うなら、今は私の舌がタオルです」 「何ぞそれ!そんなタオル聞いたことないって!つうかくすぐったいんだってば!」 あくまで抵抗の姿勢を見せる才人に、アンリエッタはむっとする。 「シュヴァリエ。私は公私共に仕えなさいと言った筈。あなたは否定しませんでしたわよね?」 「い、いや確かにそうだけども!」 「なら、この一週間はあなたは私の忠実な下僕ですわ。ですから抵抗は、き・ん・し♪」 「いやまってその理屈おかし…むぐっ」 なおも抵抗を続ける生意気な騎士の唇を、女王は自らのひとさし指と中指で塞ぐ。 そしてそのまま指で才人の口を封じて、言った。 「ちょっとお黙りなさい。それと、噛んだりしたら、承知しませんわよ」 口の中に白魚のような指を突っ込まれ、そのまま頭をベッドに押し付けられる。 才人は、抵抗を諦めることにした。 両腕を開き、裸の上半身をアンリエッタに晒す。 その胸板に、アンリエッタは今度こそ遠慮なく、舌を這わせる。 しかし気化しやすい汗は、先の騒ぎの間に大半が乾いていた。 だが、本来の目的は汗ではない。 才人の肌を、才人の味を、才人の匂いを愉しむ。 それこそが、アンリエッタの目的。 才人が普段自分の乳房にしているように、アンリエッタはぴちゃぴちゃと乳首を中心に舐めまわす。 「んぐ!…んっ!」 指でくぐもった才人の声が漏れる。 その嗜虐心をそそる声と、舌に広がる才人の肌の味が、より一層アンリエッタの芯を刺激する。 「ん…うふ。サイト様のあじ、おいし…」 淫らに微笑みながら、才人を味わう女王。 舌を這わせながら、才人の口の中でアンリエッタの指が蠢く。 …くっそ、なんか悔しいぞ…! 舌での刺激もなかなか心地よいものがあったが、なんだか負けている気がして才人は内心歯軋りする。 なにせ、いつもは自分が主人で、目の前で痴態を晒すこの娘は哀れなメス奴隷なのだ。 なんとかして逆襲できないものか、と思案する。 すぐに、才人は思いつく。 口内でもぞもぞと蠢く白百合の花弁に例えられる指。 そこへ、才人は舌を絡ませる。 「ひゃんっ!?」 その瞬間、胸板を舐めていたアンリエッタの動きが止まる。 効果アリと悟った才人は、口の中に差し込まれたままの指を、べろべろと舐めまわす。 口内から指を出すだけでいいのだが、才人を黙らせるために口の中から出すわけにはいかない。 しかし、この刺激は疼く自分の芯を蕩けさせてしまう。 隙間のある口内を必死に逃げ回るが、才人の舌は容易くアンリエッタの指に絡みつく。 「ふぁ、だめ、なめないでぇ…っ!」 指先で感じる感覚は鋭く確実に、アンリエッタの芯を融かしていく。 指を嬲られるだけで、アンリエッタは才人の胸板で溶けていく。 しかし。 負けるわけにはいかなかった。 せめて、才人と対等にならなくては。 王と奴隷では、意味がないのだ。 アンリエッタは気丈に目的を思い出し、負けるものかと才人の肌に舌を這わせる。 ぴちゃぴちゃと互いに舌を使う音が室内にこだまする。 このままでは埒が明かない。 才人はアンリエッタの腕を両手でつかみ、指先に微妙な力を込め、優しく撫で回しはじめた。 アンリエッタは余った指で、才人のわき腹を優しく、時に爪で軽くひっかきながら、撫で回す。 互いに最も感じる部分を刺激せず、やわやわと高めあっていく。 才人の胸板はアンリエッタが零した涎でべとべとになり、アンリエッタの指は才人の唾液でふやけていた。 そして、中天を照らしていた双つの月が傾きはじめた時。 二人はほとんど同時に、互いの舌を相手から離す。 「はぁ、はぁ、はぁ…」 「ん、ふぅ、ふぁ…」 唇の周りを涎でべとべとにし、獣の目になった二人は、見詰め合った。 しかし。 アンリエッタは、すぐに目的を思い出し、必死に自分の獣を押し殺す。 「な、なあ。姫様、俺もう…」 肩を掴もうとする才人の手を、アンリエッタは払った。 「だめです」 「え」 アンリエッタの急変した態度に、きょとんとする才人。 アンリエッタはそんな才人に淫靡な笑顔を向けると、言った。 「先に私を満足させなさい…」 言って、スカートをたくし上げ、すらりとした脚をM字に開く。 白いニーハイソックスがガーターベルトで吊られ、その奥の純潔を象徴する白いレースのショーツは、女王の蜜でぐっしょりと濡れていた。 才人はこくん、と頷いた。 「合点承知だ女王さまーっ!」 そう吼えて極上の芳香を放つアンリエッタの下半身にむしゃぶりつく。 邪魔な薄い白い布を横に引き伸ばし、露になった桜色の裂け目に舌を差し込む。 上の口以上に涎を零していたその穴は、易々と才人の侵入を許した。 才人は舌を奥まで差込み、アンリエッタ中に溜まった女王の愛液を掻き出すと。 そのまま、舌で女陰を嘗め回し、肛門のほうまで舐めまわす。 「ふぁ、そ、そう、いいっ…!」 天井を見上げ、荒い息をつきながら、快楽に震えるアンリエッタ。 嘗め回されるたびにその細い肢体がふるふると震え、声に切なさが増していく。 そして、才人は舐めるだけでは飽き足らず。 雌の裂け目の頂点で勃起し始めた、アンリエッタの核に指をかける。 「あっ…!?」 その鋭い感覚にアンリエッタの身体がびくん!と震える。 そして、これから襲い来る衝撃に、背筋を丸まらせ、身体を強張らせ、備える。 抵抗は、しない。自分が望んだことだから。 そして。 才人の指が、ちゅるん、と女王の皮を剥きあげた。 「──────────ひぃ!」 身体を強張らせ備えていたが、その強すぎる刺激に、容赦なく背筋が反り返った。 女王の反応に気をよくした才人は、そのまま舌で、剥き出しの女王を優しく嘗め回し、時には唇で吸い上げる。 唾液でべとべとの舌が絡むたび、涎交じりの吐息で撫でられるたび、唾液と愛液の混合物と一緒に吸い上げられるたび、女王の背筋はびくんびくんと玩具の様に跳ね回る。 だが、気丈に耐えようとする彼女の矜持が、絶頂の手前で女王を踏みとどまらせていた。 しかし。 才人が舌と同時に指を女陰に突っ込んだ瞬間。 アンリエッタの視界ははじけた。 「──────────────ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 びくんびくんと膣道が痙攣し、背筋が踊る。 股間から盛大に潮を吹き、アンリエッタは達してしまう。 まるでブリッジのように背筋が反り返り、しかしその緊張はすぐに解け、ベッドの上に亜麻色の髪とともに広がる はぁはぁと荒い息をつき、ベッドに広がる女王に、才人は覆いかぶさる。 「どう?満足した?」 アンリエッタの顔にかかるその息は荒く、発情した獣の匂いがした。 確かに、アンリエッタは一度絶頂した。 ここまでは筋書き通り。 アンリエッタは気丈に緩んだ腰の筋肉をぎゅ、と締めなおし、起き上がる。 アンリエッタが起き上がったせいで、才人はベッドから追い出される。 そして普段とは違う女王の様子に呆ける騎士に言ってのけた。 「お勤めご苦労様でした、シュヴァリエ」 「うん、だからさ。続き。ね、続き!」 今にもズボンを脱いで襲い掛かってきそうな才人の鼻先に、アンリエッタは先ほどまで嬲られていた指を突きつける。 「本日のお勤めはここまでです。お部屋にお帰りなさい」 「へ?」 思わず呆けてしまう才人に、アンリエッタは散らかった才人の上着を手早くまとめ、手渡すと。 そのまま才人をぐいぐいと部屋の外へ押し出してしまう。 「え、あの?ヒメサマ?」 「お勤め、ご苦労でしたっ!」 後ろ髪を引かれながらも、なんとかアンリエッタは自室から恋人を追い出すことに成功する。 …これでいい。これで。 はぁ、とドアにもたれかかりながらため息をつくアンリエッタの耳に、ドア越しに才人の嘆きが聞こえてきた。 『そ、そりゃないよヒメサマ〜…。このままじゃ俺納まりがつかねえって〜…』 才人の哀れな声にしかし、アンリエッタは気丈に耐え、自室の鍵を、音を立ててかけてしまった。 こうなってしまっては、才人は部屋に帰る他ない。 去っていく気配を感じながら、アンリエッタはほう、とため息をついた。 これでいい。続きは、明日…。 夜空に煌々と輝く双つの月を眺めながら、アンリエッタは明日の夜に思いを馳せるのだった。 ―つづく →[[35-276]]「ぼくらの7日間戦争〜二日目」 #br
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