ゼロの使い魔保管庫
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今日で、七日間の期限が終わる。 そう思うと、なんだか今日の朝日も妙に清清しく思える。 才人は重い頭を振り振り、ベッドから起き上がる。 昨日は昨日でアンリエッタとタバサの二人を相手にするハメになったのだが。 昨晩、アンリエッタの供してくれたやたらスタミナのつく料理と彼女のかけてくれた魔法のおかげで、才人の体力はすっかり元通りだった。 むしろ、料理のせいか下腹部にやたら熱を感じる。今ならアニエスのパンチラでもフルボッキできそうだった。 …つーか『絶対に近衛の任を勤めていただきます』とか言ってたわりに、スル気満々じゃねえか…。 だがしかしそれは仕事が終わってからのことだろう、と才人は考え、そしてげんなりする。 女王の近衛の仕事はけして楽な仕事ではない。 女王の傍に控え、その身を守るのが勤めであるがゆえ、謁見の最中はトイレに立つこともできない。 もちろん女王とて人間であるので、謁見の途中で休憩も挟むのだが、この時間がまた短いのだ。 せいぜい、一回につき5分程度の休憩を、三回も取ればいいほう。 その間に、才人はトイレを済まし、握りこぶし程度のパン一個の食事を採り、再び近衛の任に就くのだ。 もちろん、アンリエッタがその程度の休憩で済んでいるのは、きちんと管理された食事と、水魔法のおかげなのである。 まあ、そのへんは尊敬に値する、と才人は思っている。 しかし。 …なんとかしないとだよなあ。ひめさまの色ボケっぷりも…。 その最たる原因が自分であるのは棚の上に置いておく。 そして、どうやって調教しなおせば真っ当な女王様に戻ってくれるか考えて。 「…後で考えよう」 公務まで時間がないことに気づいて、才人は慌てて部屋を出たのだった。 朝早いこともあってか、謁見の間には誰もいなかった。 才人はとりあえず、教えられたとおりに謁見の間の検分を始める。 今日も異常なし。 「…まあ、王宮の中心だしなあ。そうそうなんかあるわけないか」 「そうですわね」 ぽそりと呟いた一言に、聞きなれた声が相槌を打つ。 この、トリステイン王宮に来てからさんざん聞かされた声は。 「…早いですね女王陛下」 いつの間にか、才人の背後に正装の白いドレス姿のアンリエッタが立っていた。 彼女以外に人影は無い。こんな時間から女王が一人でこんな場所にいるとは。 才人が軽く驚いていると、アンリエッタは彼の言葉に応える形で喋りだす。 「あら。だってサイト様が近衛として仕えてくれる、最後の日ですもの。 一分一秒でも惜しくって」 言いながら、頬を染めて上目遣いに才人を見上げる。 ちょっと前なら、くぁ、可愛いこと言ってくれんじゃないのこのオヒメサマ、なんて思ったものだが。 「…今度は何企んでんすか」 この七日間で、才人はすっかり女王に対して疑心暗鬼を抱くようになってしまっていた。 散々焦らされた上、魔法で射精まで止められては疑い深くもなろうというもの。 だが、才人がアンリエッタを嫌いになったわけではなかった。 ただ、彼の中でアンリエッタの立ち位置が『清純系雌奴隷』から『腹黒系淫乱女王』に変わっただけで。 女王は猜疑心でいっぱいの才人に、しれっと応える。 「あら。企むなどとは人聞きの悪い。 …まあ確かに、ここ数日サイト様には申し訳ないことを致しましたけれども」 ほんとだよ、と心の中で呟く才人の方は向かず、アンリエッタは彼に背を向けて続ける。 「…お詫びといってはなんですけれども。 この王宮の秘密を少し、教えて差し上げます」 言って、才人の手を引く。 まあどうせまた何か企んでいるのだろうが、王宮の秘密とやらも気にかかる。 才人は大人しく、アンリエッタに手を引かれるまま着いていく。 そして、アンリエッタは謁見の間の奥、ちょうど玉座の後ろ側まで来ると、才人に尋ねた。 「サイト様、もし、謁見中に狼藉者が現れたら、どうなさいます?」 「へ?どういう意味です?」 質問の意図がわからず、才人は思わず聞き返してしまう。 もちろん、近衛騎士である才人はその狼藉者を一撃のもとに撃退するのが役目なのだが。 「狼藉者が現れた場合には、どう対処しますか、と尋ねました」 「えーと。とりあえずその狼藉者を倒して捕まえます」 至極当然の回答であったが、女王の質問には続きがあった。 「では、その狼藉者の数が多かった場合は?例えば十人とか」 「え?ええっと」 回答に窮する才人を、女王はさらに畳み掛ける。 「王宮に火を放たれた場合は?王宮の外からの魔法による連続砲撃にはどう対処なさいます?」 「そ、そんな急に言われても」 困った顔の才人に、アンリエッタは逆に満足そうな笑顔になる。 そして、玉座のちょうど真後ろ、ブリミルのレリーフの彫られた壁面に手を当て。 「疾く開け」 一言、呟いた。 すると。 レリーフのちょうど両足の間が音も無く、大理石の白い壁がまるで布の緞帳を開くように開いていった。 そして、女王は数瞬、壁が開ききるのを待って、言葉を続けた。 「そういった、『人の力ではどうしようもないこと』から王の身を守るため…この部屋があるのです」 その部屋は、多重の結界で守られた、いわばトリステイン王族専用のパニック・ルーム。 王家の血筋でなくば開くことの適わない魔法の扉で閉ざされた、王宮で最も安全な場所。この部屋の結界を解くには、伝説の虚無を以ってするしか術は無い。 もちろん、その場所は。 「な、なんでそんな大事な場所を俺に」 王と、それに連なる一族にしか、場所を明かされない。 それはもちろん保安のため。ここにそのような部屋があると王族以外に知られては、意味が無い。 才人の疑問は当然だった、そして余りにもその疑問は間抜けに過ぎた。 今まで笑顔だったアンリエッタの顔が、一瞬にしてむくれ顔になる。 あ、ヤヴェ。 思ったときには遅かった。 「…何を今更…。 この場所をお教えすることの意味、わからないほど愚鈍ですか?シュヴァリエ」 むくれ顔のまま、才人に詰め寄る。 「え?いやえっとあの」 もちろん才人にだってその意味くらい分かる。 王族にしか伝わらない場所を、才人に教える。それはつまり。 『俺が王家に入る』=『ひめさまとケコーン』っつーことっすか! いよいよもってアンリエッタの『王になって頂きます』が本気なのだと分かると、才人の背中を、冷や汗と己が主人の罵声が撫で回す。 「い、いや俺今まで冗談だと思っ」 「冗談や酔狂で平民風情を『我が王』などとは呼びません。 サイト様私をナメてますか?いつだって私は本気ですよ」 いやまてちょっと待てアンタ雌奴隷とかさんざアレな発言しといてソレは!? あせる才人。追い詰めるアンリエッタ。 たじたじと後ずさるしかない伝説の使い魔の胸倉を、不意に細い白い手が掴んだ。 がし。 「えいっ」 「え?わ、ったたたたたた?」 それは数秒のうちに行われた。 ダンスのターンの要領で、アンリエッタはそのまま華麗にステップを踏む。 いきなり回転させられた才人はバランスを崩し蹈鞴を踏む。 くるり、と二人の位置が入れ替わった。 そのまま、アンリエッタは才人の胸倉をどんと勢いよく突き押す。 バランスを崩したままの才人はそのまま勢いよくパニック・ルームへと転がり込み、尻餅をついてしまう。 アンリエッタはそのままの勢いでパニック・ルームに飛び込み、そして。 「封じよ」 女王の言葉を受け、音すら立てず、大理石の白い壁がまるで終演を告げる緞帳のように、閉じていった。 そして、謁見の間には誰もいなくなった。 しばらくして。 誰もいなくなった謁見の間に、女王と近衛騎士が宰相と銃士隊隊長を伴って、現れる。 「それでは、最後の公務よろしくお願いしますね、シュヴァリエ」 「分かりました、陛下。身命を賭してお守りいたします」 すっかり似合いの二人になったな、と宰相と隊長は二人を見つめる。 もちろん、その二人は魔法人形スキルニル。 才人とパニック・ルームに一日しけこむため、事前にアンリエッタが仕込んだのであった。 「いててて…」 才人が転倒してすぐ、周囲は闇に包まれた。 それはアンリエッタがパニック・ルームの入り口を閉じたのが原因だった。 すぐに、才人は今の状況を思い出す。 「ちょ、姫さま何しめてんすか!公務とかどうすんです!?」 慌てて声を上げるが、暗闇から返ってきた言葉は。 「もちろんサイト様を逃がさないためですよ。当然、ここの扉は私の命令なしに開くことはありません。 公務はいつもどおりスキルニルでなんとかしてますのでご心配なく」 もうやだこの国。 「いやあんた一応王様でしょーよ!ちょっとは真面目に公務しようよ!」 とりあえず正論など吐いてみる。 「いやです」 一蹴である。 「いやですってあーた!」 才人がさらに反論しようとした瞬間。 視界が急に開けた。 闇がまるで虫の群体のように引いて行き、部屋に光が満ちる。 一瞬で切り替わった光の世界の眩しさに、才人は思わず目を閉じてしまう。 そして、数秒して光に慣れると。 「な」 周囲の状況に呆気に取られてしまう。 「なんじゃこりゃあああああああああ!?」 それはどこか見慣れた光景だったが、才人の度肝を抜くには十分すぎた。 まず目に付くのは白い壁。ただし大理石でもなんでもなく、コンクリの上に樹脂の合板を張り合わせた、人工の壁。その一面には大きな窓があり、外の青空から空気と太陽の光を取り込んでいる。 そして床は、きれいに裁断され、ぎっちりと並べられた、これまた合板の木の床。その床にはワックスでも塗られているのか、日の光を反射してぎらぎらと光っている。 その部屋の中には、鉄パイプと木の板で構成された学習椅子や、折りたたみ式のテーブルがいくつも並べられている。壁際にはグレーの掃除用具入れや、鉄製のラックがある。 そう、そこはハルケギニアの光景ではなかった。 才人のいた、現代日本、それも、才人のいた学校の、教室の一室であった。 そして、驚きに声を上げた才人の後ろから、声をかける者がいた。 もちろん、この部屋の主である、アンリエッタ女王その人である。 「驚きました?この部屋は、何日いても飽きが来ないよう、中心として設定した人物の望みの光景を幻覚として映し出すんです。せっかくですので、サイト様を『中心』に設定させていただきました。 …でも変わった光景ですね。ひょっとしてサイト様の故郷ってこんな所なんですか?」 声に振り向いた才人は、再び呆気にとられた。 「って姫さままでなんつーカッコを!」 「あら、似合ってませんか?」 言って、その場でくるりとターンしてみせるアンリエッタ。 すると、水色の短いプリーツスカートが、ふわりと円を描いた。 アンリエッタも、その姿を変えていた。 いつもの白いドレス姿ではなく、襟や袖口を水色に染めた、セーラー服を着ていた。 以前シエスタの着ていたものとは若干仕様が違っていた。 「サイト様の故郷の服だという話ですので、一着買い求めたのですけども」 そして、「似合いませんか?」と少し悲しそうな顔で才人の顔を下から覗き込む。 「いや似合って無いわけじゃなくて、いやむしろ似合ってますけど!」 「あら嬉しい」 言ってアンリエッタは、混乱のキワミの才人の胸に飛び込む。 そして、ネコがじゃれ付くように、才人の胸板に頬を摺り寄せる。 才人はそんなアンリエッタを抱きしめたい衝動にかられたが。 ここで負けたらダメな気がして、手を必死にワキワキするほかに道は無かった。 「サイト様」 葛藤の渦の中心にいる才人に、アンリエッタは声を掛ける。 「サイト様との逢瀬も、今日で最後なのです。だから、今日という日を特別なものにしたい。 そんな乙女心、理解してはいただけませんか?」 いやちょっとまて乙女心とか関係ないだろう、と突っ込もうとした才人だったが、アンリエッタはそこへ先手を打った。 上目遣いに才人を見上げ、目にいっぱい涙を溜めて。 「…満足したら、公務に戻りますから。 ですから、お願い。私に、思い出をください…」 いやちょっとまてその格好で上目遣いで思い出をくださいは反則だろう、と、一撃で才人の理性はバッキバキに折れてしまった。 「しょ、しょうがないなあ。 満足したら、公務に戻るんですよ?約束ですからね?」 「はい♪」 嬉しそうに微笑むアンリエッタを、今度は遠慮なく抱きしめる才人だった。 才人が懸念したのはもちろん、その条件。 『アンリエッタが満足したら』の部分である。 普通に考えて、アンリエッタが満足するまで相手をしていたら、明日の朝までかかる。 それをなんとかしないと、と才人は考えていたが。 もぞもぞと、腕の中でアンリエッタが動くのに気づいて、彼女に声を掛ける。 「どうしたんです?」 才人の疑問に、アンリエッタは答える。 「ええ。できるだけ早く満足させていただくために、サイト様に魔法をかけてさしあげようかと」 言ってアンリエッタは、ガーターベルトに挿していた、予備の細い魔法の杖を取り出した。 才人の背中を、いやな予感が駆け抜ける。 「い、いやちょっと待って!どういう魔法をかけるつもりなんすか!」 この七日で、女王が才人にかけた魔法はろくなものがない。 やれ眠りの魔法だ、射精を止める魔法だと、いい思い出など一つも無い。 しかし、アンリエッタは続ける。 「大丈夫です。…えっと、その、ですね」 急に赤くなって、もじもじし始める。 その様子が気になって、才人はアンリエッタに先を促す。 「…言ってみてください」 「えと。その。サイト様の、ですね。精液を。 ちょっと、その、濃くしてさしあげようかと」 確かにそれなら、時間を短縮できるだろう。 しかし、安心するより先に才人は呆れた。そして言った。 普段からこーゆー魔法開発してんのかこのわたあめわ。 「…いー加減、そーゆーことに才能の無駄遣いするのやめなさいね?」 「…は、反省します…」 真っ赤になって、もじもじと杖をいじくるアンリエッタの頭を、才人はくしゃくしゃと撫でた。 「ま、今回はいいでしょ。濃い方が姫さまも早く満足できそうなんでしょ?」 「…は、はい…」 赤い顔のまま、アンリエッタは詠唱を始めた。 すぐに呪は成り、杖に桃色の光が宿る。 その光を、アンリエッタは才人の下腹部に押し当てた。 「『圧縮』…かかりました」 それは、水溶液の濃度を上げる魔法だった。 本来は、実験用の薬品の濃度を増すために、アカデミーで使われていた魔法を、アンリエッタが改変し、人体に作用するように作り変えたのである。 才人は下腹部が急に重くなったような感触を覚えた。 その感覚に、少し不安になる。 「あの、これ副作用とか大丈夫なんすか?」 もし血液を間違って圧縮されてしまったらどうなるのだろう、そんなことを考えていた。 「大丈夫ですわ。…精液以外が濃くなったりはしません。ちゃんと、ルーンで限定しましたし」 アンリエッタもこう見えてれっきとしたトライアングルメイジである。 ことスキルニルの扱いとこのテの魔法に於いては伝説級ではあるが。 「ためして、みます…?」 言って、既にズボンの前を押し上げ始めている才人自身を、ズボンの布の上から撫で上げる。 才人の下半身は、濃度を増した精液に反応するように、熱くたぎっていた。 才人は、手近にあった椅子の上に股を開いて腰掛け、言った。 「そうですね。それじゃ、姫さまのクチで」 「はい…」 才人の足元に跪き、ズボンのジッパーをその細い指で下ろしていく。 半分ほど下ろした時点で、びん!と勢いよく布を押しのけ、才人の一物が露になる。 そのまま、アンリエッタは才人のズボンとパンツに手をかけ、下ろしていく。 アンリエッタの動きにあわせ、才人は軽く腰を浮かせ、ズボンを脱がせやすくする。 ズボンが完全に脱がされると、嫌でも屹立した才人自身が目に付いた。 アンリエッタはその根元の袋を優しく右手で捧げ持ち、左手を竿に添えて、先端に優しく口付ける。 才人が小さくうめき声を漏らすのを確認し、感じているのを確信すると、先走りの漏れ始めた先端を口に含む。 そして、才人が気持ちよくなるよう、全体を舌で優しく包み込み、やわらかく吸い上げ、陰嚢をふわふわと繊細に揉みあげる。 やがて唾液と先走りの混合物がじゅるり、と音を立て、アンリエッタの口の端から溢れる。それは才人の竿を伝い、陰嚢を濡らし、間接的にアンリエッタの白魚のような指を汚す。 それでも女王は奉仕を止めず、小さなあえぎを漏らしながら、大きな吸引音をたてながら、才人を高めていく。 「くっ…ひめさまっ…!」 才人の耐えるような声。限界のようだ。 アンリエッタはいつもとは違い、喉の奥ではなく、口の中、ちょうど舌の真ん中に亀頭を乗せ、才人の射精を促すべく、陰嚢そ刺激し、竿をしごく。 すると。 ひときわ大きく才人が口の中で脈動し、一瞬、竿が太くなる。 才人の管の中を、いつもの数倍に濃度を増した精液が、上ってきていた。 ごぷん、と異質な音を立て、アンリエッタの口の中で才人が弾けた。 『圧縮』の魔法によって濃度を増した才人の精液は、もはや液体ではなかった。 アンリエッタの舌の上で、ぷるぷると震えるソレは、ゼリーのように固まり、口の中でプチプチと噛めるほどになっていた。 ソレは一度では飲み込みきれず、仕方なしにアンリエッタは口の中で才人の精液を反芻していた。 口の中に広がる、濃度を増した雄の臭いと味に、アンリエッタの理性が溶かされていく。 射精が終わり、才人が口の中から出て行くと、それにつられるように一部の精液がぷるん、とアンリエッタの口から溢れる。 それをアンリエッタは両手を捧げて受け止め、そのままずるりずるりと口の中へ吸い込んでいく。 重い、濃いゼリー状の精液が喉の中をまるで陵辱するように通過するたび、アンリエッタの官能を灼く。 「ん…く…は。はぁ…あたま、クラクラします…」 陶然とした表情で、腰をぺたんと床に下ろした格好で、そうのたまう女王。 桃色に染まったその姿は酷く淫靡で、才人の雄は再び滾り始める。 天を衝き始めた才人を見て、アンリエッタはすく、と立ち上がる。 「姫さま?」 「サイト様はそのまま。今日は私が上になります…」 言って、たくしあげたスカートの中には。 ひくひくと蠢くアンリエッタの雌が、涎でべとべとに濡れているのが見えた。 「今日ははいてないっすか」 「ふふ。サイト様、こういうの好きでしょう?」 そう言って才人を跨ぐと、アンリエッタは右手を才人の竿に沿え、固定する。 そして、ひたり、と愛液で濡れそぼった女陰を押し当てて。 そのまま、体重を掛けて、己を貫いた。 愛液が淫靡な音を奏で、その伴奏にアンリエッタは喘ぎを合わせる。 「あっあっあっあっあっ…おく、おくまできましたぁ…」 そしてそのままぎゅ、と才人に抱きついて動きを止める。 「…今日も、コレなんすか?」 アンリエッタは、抱き合ったまま動かず、腰を捻るだけで高めあうセックスが大好きだった。 才人もそれを承知しており、女王の機嫌をとる時や、気分の乗ったときは、アンリエッタの好きなこのやり方で彼女を抱いていた。 「はいぃ…。コレ、すき…。おなかのなか、サイトさまでいっぱいで…しあわせなのぉ…」 涎を垂らしながら、淫欲に曇った瞳で才人を見つめながら、アンリエッタは嬉しそうに微笑む。 しかし、才人はそこまでこのやり方が好きなわけではない。 時間もかかるし。 「んー、でもコレ俺はそんなでもないかなあ」 と、正直な感想が口を衝いて出る。 その言葉に、アンリエッタは少し不機嫌な顔になるが。 何かを思いついたのか、脇のテーブルに置いてあった杖を手に取り、呪文を唱え始める。 「え?ま、また魔法っすか?」 今度は何をされるのか、と不安になる才人。 それを感じ取ったのか、すぐにアンリエッタは応える。 「大丈夫。今度は私にかけます。私の…おなかに…」 おなかに?中の動きをよくしてカンジさせようっていうのか? しかし、才人の予想は外れることになる。 アンリエッタの呪文は直ぐに完成し、そして、杖に宿った光を、アンリエッタは自分の下腹部に当てる。 「『透過』せよ」 すると、アンリエッタのセーラー服の下腹部の直ぐ上に、円形の穴が開いた、ように見えた。 そこからは、アンリエッタの『中身』が丸見えだった。 ぎゅうぎゅうと才人の茎を締め付ける膣道、亀頭に口づけをする子宮顎、ふるふると震えながら、射精の奔流を待ち焦がれる子宮。 それらが、セーラー服とアンリエッタの肉体を透過し、丸見えになっていた。 余りにも現実離れした淫靡な光景に、才人の喉がごくりと鳴る。 「みえますか?サイトさま…」 「あ、ああ。こんなんなってんだな」 「見えますでしょう?私の中、嬉しそうにサイトさまをぎゅうぎゅう抱きしめてます…。 あっ…わ、わかるでしょう?私のおく、サイトさまのさきっぽを、ちゅうちゅうしてますぅ…!」 アンリエッタの言葉どおり、彼女の肉襞はぐにぐにと蠢きながら、才人の竿を揉み上げている。そして子宮顎がもの欲しそうにずるずると降りてきて、才人の鈴口に何度もキスをしていた。 二人はまるで別のイキモノのように蠢く自分たちを眺めながら、非現実的な快感に酔いしれていく。 「すげっ、姫さまの中、こんなっ、ヤらしい動きっ…!」 「あ、く、かってに、かってに動きますっ、動いてますぅ…!」 やがて、互いに耐えられなくなり、二人は抱き合う。 「くぁ、いく、も、出るっ…!」 「あ、は、私もっ、もうっ、だめぇぇぇぇぇぇ!」 きつく結ばれあった二人の結合部で、雄が吼えた。 ごぷん、と異質な音をたて、精『液』がアンリエッタの開ききった子宮口から流れ込む。 熱くたぎるゼリー状の生命の塊は、そのままアンリエッタの子宮の襞の隅の隅まで絡まり、留まる。 「あ、や、おなか、なか、いっぱいぃ…。あぁぁぁぁ…」 そして、アンリエッタはくたん、と才人の肩に頭を預けたのだった。 「サイトさま?これから、どうなさいますか…?」 二人は椅子の上でまだ繋がっていた。 アンリエッタの下腹部から覗く、二人の器官の結合を見せられ、才人の滾りはまだ納まらなかった。 ああいうことを言った手前、早く終わらせるべきなのだが。 「…姫さま、満足しました…?」 含みを持たせたその言葉に、アンリエッタは心の中だけでほくそ笑む。 …それでこそ。私の愛した、愛しい我が王…。 「…申し訳ありません…実は、その、まだ…」 申し訳なさそうな顔の演技で、アンリエッタはそう言ってのけた。 そして当然、才人は。 「い、いや!実は俺もまだしたいなーって思ってたから! …いい?」 「ふふ。こちらこそお願いいたします。ほんと、しょうがないひと…♪」 「姫さまに言われたくないなあ…」 そして、アンリエッタは再び才人を、遠慮なく抱きしめたのだった。 …今日は、あなたは私だけの玉座です…。 そしてそのころ、謁見の間では、スキルニルのアンリエッタが、集まった諸侯にとんでもない発表をかましていた。 シュヴァリエ・サイトの伯爵への抜擢。そして、自分との婚約。 今までの数々の功績と、伝説を担う者としての肩書きを、知らぬ諸侯はおらず。 枢機卿と諸大臣たち、さらには銃士隊隊長のお墨付きまであっては、反対するものはいなかった。 もちろん、それはアンリエッタによる策略であった。 もちろんその事を知った、某虚無の担い手は己が使い魔を取り戻そうと画策するのであるが。 その、トリステイン全土を揺るがした大事件が起きるのは、もう少し先の話。 白百合の女王アンリエッタと、トリステインの盾、英雄サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガの成婚の儀式の真っ最中のことである。〜fin
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今日で、七日間の期限が終わる。 そう思うと、なんだか今日の朝日も妙に清清しく思える。 才人は重い頭を振り振り、ベッドから起き上がる。 昨日は昨日でアンリエッタとタバサの二人を相手にするハメになったのだが。 昨晩、アンリエッタの供してくれたやたらスタミナのつく料理と彼女のかけてくれた魔法のおかげで、才人の体力はすっかり元通りだった。 むしろ、料理のせいか下腹部にやたら熱を感じる。今ならアニエスのパンチラでもフルボッキできそうだった。 …つーか『絶対に近衛の任を勤めていただきます』とか言ってたわりに、スル気満々じゃねえか…。 だがしかしそれは仕事が終わってからのことだろう、と才人は考え、そしてげんなりする。 女王の近衛の仕事はけして楽な仕事ではない。 女王の傍に控え、その身を守るのが勤めであるがゆえ、謁見の最中はトイレに立つこともできない。 もちろん女王とて人間であるので、謁見の途中で休憩も挟むのだが、この時間がまた短いのだ。 せいぜい、一回につき5分程度の休憩を、三回も取ればいいほう。 その間に、才人はトイレを済まし、握りこぶし程度のパン一個の食事を採り、再び近衛の任に就くのだ。 もちろん、アンリエッタがその程度の休憩で済んでいるのは、きちんと管理された食事と、水魔法のおかげなのである。 まあ、そのへんは尊敬に値する、と才人は思っている。 しかし。 …なんとかしないとだよなあ。ひめさまの色ボケっぷりも…。 その最たる原因が自分であるのは棚の上に置いておく。 そして、どうやって調教しなおせば真っ当な女王様に戻ってくれるか考えて。 「…後で考えよう」 公務まで時間がないことに気づいて、才人は慌てて部屋を出たのだった。 朝早いこともあってか、謁見の間には誰もいなかった。 才人はとりあえず、教えられたとおりに謁見の間の検分を始める。 今日も異常なし。 「…まあ、王宮の中心だしなあ。そうそうなんかあるわけないか」 「そうですわね」 ぽそりと呟いた一言に、聞きなれた声が相槌を打つ。 この、トリステイン王宮に来てからさんざん聞かされた声は。 「…早いですね女王陛下」 いつの間にか、才人の背後に正装の白いドレス姿のアンリエッタが立っていた。 彼女以外に人影は無い。こんな時間から女王が一人でこんな場所にいるとは。 才人が軽く驚いていると、アンリエッタは彼の言葉に応える形で喋りだす。 「あら。だってサイト様が近衛として仕えてくれる、最後の日ですもの。 一分一秒でも惜しくって」 言いながら、頬を染めて上目遣いに才人を見上げる。 ちょっと前なら、くぁ、可愛いこと言ってくれんじゃないのこのオヒメサマ、なんて思ったものだが。 「…今度は何企んでんすか」 この七日間で、才人はすっかり女王に対して疑心暗鬼を抱くようになってしまっていた。 散々焦らされた上、魔法で射精まで止められては疑い深くもなろうというもの。 だが、才人がアンリエッタを嫌いになったわけではなかった。 ただ、彼の中でアンリエッタの立ち位置が『清純系雌奴隷』から『腹黒系淫乱女王』に変わっただけで。 女王は猜疑心でいっぱいの才人に、しれっと応える。 「あら。企むなどとは人聞きの悪い。 …まあ確かに、ここ数日サイト様には申し訳ないことを致しましたけれども」 ほんとだよ、と心の中で呟く才人の方は向かず、アンリエッタは彼に背を向けて続ける。 「…お詫びといってはなんですけれども。 この王宮の秘密を少し、教えて差し上げます」 言って、才人の手を引く。 まあどうせまた何か企んでいるのだろうが、王宮の秘密とやらも気にかかる。 才人は大人しく、アンリエッタに手を引かれるまま着いていく。 そして、アンリエッタは謁見の間の奥、ちょうど玉座の後ろ側まで来ると、才人に尋ねた。 「サイト様、もし、謁見中に狼藉者が現れたら、どうなさいます?」 「へ?どういう意味です?」 質問の意図がわからず、才人は思わず聞き返してしまう。 もちろん、近衛騎士である才人はその狼藉者を一撃のもとに撃退するのが役目なのだが。 「狼藉者が現れた場合には、どう対処しますか、と尋ねました」 「えーと。とりあえずその狼藉者を倒して捕まえます」 至極当然の回答であったが、女王の質問には続きがあった。 「では、その狼藉者の数が多かった場合は?例えば十人とか」 「え?ええっと」 回答に窮する才人を、女王はさらに畳み掛ける。 「王宮に火を放たれた場合は?王宮の外からの魔法による連続砲撃にはどう対処なさいます?」 「そ、そんな急に言われても」 困った顔の才人に、アンリエッタは逆に満足そうな笑顔になる。 そして、玉座のちょうど真後ろ、ブリミルのレリーフの彫られた壁面に手を当て。 「疾く開け」 一言、呟いた。 すると。 レリーフのちょうど両足の間が音も無く、大理石の白い壁がまるで布の緞帳を開くように開いていった。 そして、女王は数瞬、壁が開ききるのを待って、言葉を続けた。 「そういった、『人の力ではどうしようもないこと』から王の身を守るため…この部屋があるのです」 その部屋は、多重の結界で守られた、いわばトリステイン王族専用のパニック・ルーム。 王家の血筋でなくば開くことの適わない魔法の扉で閉ざされた、王宮で最も安全な場所。この部屋の結界を解くには、伝説の虚無を以ってするしか術は無い。 もちろん、その場所は。 「な、なんでそんな大事な場所を俺に」 王と、それに連なる一族にしか、場所を明かされない。 それはもちろん保安のため。ここにそのような部屋があると王族以外に知られては、意味が無い。 才人の疑問は当然だった、そして余りにもその疑問は間抜けに過ぎた。 今まで笑顔だったアンリエッタの顔が、一瞬にしてむくれ顔になる。 あ、ヤヴェ。 思ったときには遅かった。 「…何を今更…。 この場所をお教えすることの意味、わからないほど愚鈍ですか?シュヴァリエ」 むくれ顔のまま、才人に詰め寄る。 「え?いやえっとあの」 もちろん才人にだってその意味くらい分かる。 王族にしか伝わらない場所を、才人に教える。それはつまり。 『俺が王家に入る』=『ひめさまとケコーン』っつーことっすか! いよいよもってアンリエッタの『王になって頂きます』が本気なのだと分かると、才人の背中を、冷や汗と己が主人の罵声が撫で回す。 「い、いや俺今まで冗談だと思っ」 「冗談や酔狂で平民風情を『我が王』などとは呼びません。 サイト様私をナメてますか?いつだって私は本気ですよ」 いやまてちょっと待てアンタ雌奴隷とかさんざアレな発言しといてソレは!? あせる才人。追い詰めるアンリエッタ。 たじたじと後ずさるしかない伝説の使い魔の胸倉を、不意に細い白い手が掴んだ。 がし。 「えいっ」 「え?わ、ったたたたたた?」 それは数秒のうちに行われた。 ダンスのターンの要領で、アンリエッタはそのまま華麗にステップを踏む。 いきなり回転させられた才人はバランスを崩し蹈鞴を踏む。 くるり、と二人の位置が入れ替わった。 そのまま、アンリエッタは才人の胸倉をどんと勢いよく突き押す。 バランスを崩したままの才人はそのまま勢いよくパニック・ルームへと転がり込み、尻餅をついてしまう。 アンリエッタはそのままの勢いでパニック・ルームに飛び込み、そして。 「封じよ」 女王の言葉を受け、音すら立てず、大理石の白い壁がまるで終演を告げる緞帳のように、閉じていった。 そして、謁見の間には誰もいなくなった。 しばらくして。 誰もいなくなった謁見の間に、女王と近衛騎士が宰相と銃士隊隊長を伴って、現れる。 「それでは、最後の公務よろしくお願いしますね、シュヴァリエ」 「分かりました、陛下。身命を賭してお守りいたします」 すっかり似合いの二人になったな、と宰相と隊長は二人を見つめる。 もちろん、その二人は魔法人形スキルニル。 才人とパニック・ルームに一日しけこむため、事前にアンリエッタが仕込んだのであった。 「いててて…」 才人が転倒してすぐ、周囲は闇に包まれた。 それはアンリエッタがパニック・ルームの入り口を閉じたのが原因だった。 すぐに、才人は今の状況を思い出す。 「ちょ、姫さま何しめてんすか!公務とかどうすんです!?」 慌てて声を上げるが、暗闇から返ってきた言葉は。 「もちろんサイト様を逃がさないためですよ。当然、ここの扉は私の命令なしに開くことはありません。 公務はいつもどおりスキルニルでなんとかしてますのでご心配なく」 もうやだこの国。 「いやあんた一応王様でしょーよ!ちょっとは真面目に公務しようよ!」 とりあえず正論など吐いてみる。 「いやです」 一蹴である。 「いやですってあーた!」 才人がさらに反論しようとした瞬間。 視界が急に開けた。 闇がまるで虫の群体のように引いて行き、部屋に光が満ちる。 一瞬で切り替わった光の世界の眩しさに、才人は思わず目を閉じてしまう。 そして、数秒して光に慣れると。 「な」 周囲の状況に呆気に取られてしまう。 「なんじゃこりゃあああああああああ!?」 それはどこか見慣れた光景だったが、才人の度肝を抜くには十分すぎた。 まず目に付くのは白い壁。ただし大理石でもなんでもなく、コンクリの上に樹脂の合板を張り合わせた、人工の壁。その一面には大きな窓があり、外の青空から空気と太陽の光を取り込んでいる。 そして床は、きれいに裁断され、ぎっちりと並べられた、これまた合板の木の床。その床にはワックスでも塗られているのか、日の光を反射してぎらぎらと光っている。 その部屋の中には、鉄パイプと木の板で構成された学習椅子や、折りたたみ式のテーブルがいくつも並べられている。壁際にはグレーの掃除用具入れや、鉄製のラックがある。 そう、そこはハルケギニアの光景ではなかった。 才人のいた、現代日本、それも、才人のいた学校の、教室の一室であった。 そして、驚きに声を上げた才人の後ろから、声をかける者がいた。 もちろん、この部屋の主である、アンリエッタ女王その人である。 「驚きました?この部屋は、何日いても飽きが来ないよう、中心として設定した人物の望みの光景を幻覚として映し出すんです。せっかくですので、サイト様を『中心』に設定させていただきました。 …でも変わった光景ですね。ひょっとしてサイト様の故郷ってこんな所なんですか?」 声に振り向いた才人は、再び呆気にとられた。 「って姫さままでなんつーカッコを!」 「あら、似合ってませんか?」 言って、その場でくるりとターンしてみせるアンリエッタ。 すると、水色の短いプリーツスカートが、ふわりと円を描いた。 アンリエッタも、その姿を変えていた。 いつもの白いドレス姿ではなく、襟や袖口を水色に染めた、セーラー服を着ていた。 以前シエスタの着ていたものとは若干仕様が違っていた。 「サイト様の故郷の服だという話ですので、一着買い求めたのですけども」 そして、「似合いませんか?」と少し悲しそうな顔で才人の顔を下から覗き込む。 「いや似合って無いわけじゃなくて、いやむしろ似合ってますけど!」 「あら嬉しい」 言ってアンリエッタは、混乱のキワミの才人の胸に飛び込む。 そして、ネコがじゃれ付くように、才人の胸板に頬を摺り寄せる。 才人はそんなアンリエッタを抱きしめたい衝動にかられたが。 ここで負けたらダメな気がして、手を必死にワキワキするほかに道は無かった。 「サイト様」 葛藤の渦の中心にいる才人に、アンリエッタは声を掛ける。 「サイト様との逢瀬も、今日で最後なのです。だから、今日という日を特別なものにしたい。 そんな乙女心、理解してはいただけませんか?」 いやちょっとまて乙女心とか関係ないだろう、と突っ込もうとした才人だったが、アンリエッタはそこへ先手を打った。 上目遣いに才人を見上げ、目にいっぱい涙を溜めて。 「…満足したら、公務に戻りますから。 ですから、お願い。私に、思い出をください…」 いやちょっとまてその格好で上目遣いで思い出をくださいは反則だろう、と、一撃で才人の理性はバッキバキに折れてしまった。 「しょ、しょうがないなあ。 満足したら、公務に戻るんですよ?約束ですからね?」 「はい♪」 嬉しそうに微笑むアンリエッタを、今度は遠慮なく抱きしめる才人だった。 才人が懸念したのはもちろん、その条件。 『アンリエッタが満足したら』の部分である。 普通に考えて、アンリエッタが満足するまで相手をしていたら、明日の朝までかかる。 それをなんとかしないと、と才人は考えていたが。 もぞもぞと、腕の中でアンリエッタが動くのに気づいて、彼女に声を掛ける。 「どうしたんです?」 才人の疑問に、アンリエッタは答える。 「ええ。できるだけ早く満足させていただくために、サイト様に魔法をかけてさしあげようかと」 言ってアンリエッタは、ガーターベルトに挿していた、予備の細い魔法の杖を取り出した。 才人の背中を、いやな予感が駆け抜ける。 「い、いやちょっと待って!どういう魔法をかけるつもりなんすか!」 この七日で、女王が才人にかけた魔法はろくなものがない。 やれ眠りの魔法だ、射精を止める魔法だと、いい思い出など一つも無い。 しかし、アンリエッタは続ける。 「大丈夫です。…えっと、その、ですね」 急に赤くなって、もじもじし始める。 その様子が気になって、才人はアンリエッタに先を促す。 「…言ってみてください」 「えと。その。サイト様の、ですね。精液を。 ちょっと、その、濃くしてさしあげようかと」 確かにそれなら、時間を短縮できるだろう。 しかし、安心するより先に才人は呆れた。そして言った。 普段からこーゆー魔法開発してんのかこのわたあめわ。 「…いー加減、そーゆーことに才能の無駄遣いするのやめなさいね?」 「…は、反省します…」 真っ赤になって、もじもじと杖をいじくるアンリエッタの頭を、才人はくしゃくしゃと撫でた。 「ま、今回はいいでしょ。濃い方が姫さまも早く満足できそうなんでしょ?」 「…は、はい…」 赤い顔のまま、アンリエッタは詠唱を始めた。 すぐに呪は成り、杖に桃色の光が宿る。 その光を、アンリエッタは才人の下腹部に押し当てた。 「『圧縮』…かかりました」 それは、水溶液の濃度を上げる魔法だった。 本来は、実験用の薬品の濃度を増すために、アカデミーで使われていた魔法を、アンリエッタが改変し、人体に作用するように作り変えたのである。 才人は下腹部が急に重くなったような感触を覚えた。 その感覚に、少し不安になる。 「あの、これ副作用とか大丈夫なんすか?」 もし血液を間違って圧縮されてしまったらどうなるのだろう、そんなことを考えていた。 「大丈夫ですわ。…精液以外が濃くなったりはしません。ちゃんと、ルーンで限定しましたし」 アンリエッタもこう見えてれっきとしたトライアングルメイジである。 ことスキルニルの扱いとこのテの魔法に於いては伝説級ではあるが。 「ためして、みます…?」 言って、既にズボンの前を押し上げ始めている才人自身を、ズボンの布の上から撫で上げる。 才人の下半身は、濃度を増した精液に反応するように、熱くたぎっていた。 才人は、手近にあった椅子の上に股を開いて腰掛け、言った。 「そうですね。それじゃ、姫さまのクチで」 「はい…」 才人の足元に跪き、ズボンのジッパーをその細い指で下ろしていく。 半分ほど下ろした時点で、びん!と勢いよく布を押しのけ、才人の一物が露になる。 そのまま、アンリエッタは才人のズボンとパンツに手をかけ、下ろしていく。 アンリエッタの動きにあわせ、才人は軽く腰を浮かせ、ズボンを脱がせやすくする。 ズボンが完全に脱がされると、嫌でも屹立した才人自身が目に付いた。 アンリエッタはその根元の袋を優しく右手で捧げ持ち、左手を竿に添えて、先端に優しく口付ける。 才人が小さくうめき声を漏らすのを確認し、感じているのを確信すると、先走りの漏れ始めた先端を口に含む。 そして、才人が気持ちよくなるよう、全体を舌で優しく包み込み、やわらかく吸い上げ、陰嚢をふわふわと繊細に揉みあげる。 やがて唾液と先走りの混合物がじゅるり、と音を立て、アンリエッタの口の端から溢れる。それは才人の竿を伝い、陰嚢を濡らし、間接的にアンリエッタの白魚のような指を汚す。 それでも女王は奉仕を止めず、小さなあえぎを漏らしながら、大きな吸引音をたてながら、才人を高めていく。 「くっ…ひめさまっ…!」 才人の耐えるような声。限界のようだ。 アンリエッタはいつもとは違い、喉の奥ではなく、口の中、ちょうど舌の真ん中に亀頭を乗せ、才人の射精を促すべく、陰嚢そ刺激し、竿をしごく。 すると。 ひときわ大きく才人が口の中で脈動し、一瞬、竿が太くなる。 才人の管の中を、いつもの数倍に濃度を増した精液が、上ってきていた。 ごぷん、と異質な音を立て、アンリエッタの口の中で才人が弾けた。 『圧縮』の魔法によって濃度を増した才人の精液は、もはや液体ではなかった。 アンリエッタの舌の上で、ぷるぷると震えるソレは、ゼリーのように固まり、口の中でプチプチと噛めるほどになっていた。 ソレは一度では飲み込みきれず、仕方なしにアンリエッタは口の中で才人の精液を反芻していた。 口の中に広がる、濃度を増した雄の臭いと味に、アンリエッタの理性が溶かされていく。 射精が終わり、才人が口の中から出て行くと、それにつられるように一部の精液がぷるん、とアンリエッタの口から溢れる。 それをアンリエッタは両手を捧げて受け止め、そのままずるりずるりと口の中へ吸い込んでいく。 重い、濃いゼリー状の精液が喉の中をまるで陵辱するように通過するたび、アンリエッタの官能を灼く。 「ん…く…は。はぁ…あたま、クラクラします…」 陶然とした表情で、腰をぺたんと床に下ろした格好で、そうのたまう女王。 桃色に染まったその姿は酷く淫靡で、才人の雄は再び滾り始める。 天を衝き始めた才人を見て、アンリエッタはすく、と立ち上がる。 「姫さま?」 「サイト様はそのまま。今日は私が上になります…」 言って、たくしあげたスカートの中には。 ひくひくと蠢くアンリエッタの雌が、涎でべとべとに濡れているのが見えた。 「今日ははいてないっすか」 「ふふ。サイト様、こういうの好きでしょう?」 そう言って才人を跨ぐと、アンリエッタは右手を才人の竿に沿え、固定する。 そして、ひたり、と愛液で濡れそぼった女陰を押し当てて。 そのまま、体重を掛けて、己を貫いた。 愛液が淫靡な音を奏で、その伴奏にアンリエッタは喘ぎを合わせる。 「あっあっあっあっあっ…おく、おくまできましたぁ…」 そしてそのままぎゅ、と才人に抱きついて動きを止める。 「…今日も、コレなんすか?」 アンリエッタは、抱き合ったまま動かず、腰を捻るだけで高めあうセックスが大好きだった。 才人もそれを承知しており、女王の機嫌をとる時や、気分の乗ったときは、アンリエッタの好きなこのやり方で彼女を抱いていた。 「はいぃ…。コレ、すき…。おなかのなか、サイトさまでいっぱいで…しあわせなのぉ…」 涎を垂らしながら、淫欲に曇った瞳で才人を見つめながら、アンリエッタは嬉しそうに微笑む。 しかし、才人はそこまでこのやり方が好きなわけではない。 時間もかかるし。 「んー、でもコレ俺はそんなでもないかなあ」 と、正直な感想が口を衝いて出る。 その言葉に、アンリエッタは少し不機嫌な顔になるが。 何かを思いついたのか、脇のテーブルに置いてあった杖を手に取り、呪文を唱え始める。 「え?ま、また魔法っすか?」 今度は何をされるのか、と不安になる才人。 それを感じ取ったのか、すぐにアンリエッタは応える。 「大丈夫。今度は私にかけます。私の…おなかに…」 おなかに?中の動きをよくしてカンジさせようっていうのか? しかし、才人の予想は外れることになる。 アンリエッタの呪文は直ぐに完成し、そして、杖に宿った光を、アンリエッタは自分の下腹部に当てる。 「『透過』せよ」 すると、アンリエッタのセーラー服の下腹部の直ぐ上に、円形の穴が開いた、ように見えた。 そこからは、アンリエッタの『中身』が丸見えだった。 ぎゅうぎゅうと才人の茎を締め付ける膣道、亀頭に口づけをする子宮顎、ふるふると震えながら、射精の奔流を待ち焦がれる子宮。 それらが、セーラー服とアンリエッタの肉体を透過し、丸見えになっていた。 余りにも現実離れした淫靡な光景に、才人の喉がごくりと鳴る。 「みえますか?サイトさま…」 「あ、ああ。こんなんなってんだな」 「見えますでしょう?私の中、嬉しそうにサイトさまをぎゅうぎゅう抱きしめてます…。 あっ…わ、わかるでしょう?私のおく、サイトさまのさきっぽを、ちゅうちゅうしてますぅ…!」 アンリエッタの言葉どおり、彼女の肉襞はぐにぐにと蠢きながら、才人の竿を揉み上げている。そして子宮顎がもの欲しそうにずるずると降りてきて、才人の鈴口に何度もキスをしていた。 二人はまるで別のイキモノのように蠢く自分たちを眺めながら、非現実的な快感に酔いしれていく。 「すげっ、姫さまの中、こんなっ、ヤらしい動きっ…!」 「あ、く、かってに、かってに動きますっ、動いてますぅ…!」 やがて、互いに耐えられなくなり、二人は抱き合う。 「くぁ、いく、も、出るっ…!」 「あ、は、私もっ、もうっ、だめぇぇぇぇぇぇ!」 きつく結ばれあった二人の結合部で、雄が吼えた。 ごぷん、と異質な音をたて、精『液』がアンリエッタの開ききった子宮口から流れ込む。 熱くたぎるゼリー状の生命の塊は、そのままアンリエッタの子宮の襞の隅の隅まで絡まり、留まる。 「あ、や、おなか、なか、いっぱいぃ…。あぁぁぁぁ…」 そして、アンリエッタはくたん、と才人の肩に頭を預けたのだった。 「サイトさま?これから、どうなさいますか…?」 二人は椅子の上でまだ繋がっていた。 アンリエッタの下腹部から覗く、二人の器官の結合を見せられ、才人の滾りはまだ納まらなかった。 ああいうことを言った手前、早く終わらせるべきなのだが。 「…姫さま、満足しました…?」 含みを持たせたその言葉に、アンリエッタは心の中だけでほくそ笑む。 …それでこそ。私の愛した、愛しい我が王…。 「…申し訳ありません…実は、その、まだ…」 申し訳なさそうな顔の演技で、アンリエッタはそう言ってのけた。 そして当然、才人は。 「い、いや!実は俺もまだしたいなーって思ってたから! …いい?」 「ふふ。こちらこそお願いいたします。ほんと、しょうがないひと…♪」 「姫さまに言われたくないなあ…」 そして、アンリエッタは再び才人を、遠慮なく抱きしめたのだった。 …今日は、あなたは私だけの玉座です…。 そしてそのころ、謁見の間では、スキルニルのアンリエッタが、集まった諸侯にとんでもない発表をかましていた。 シュヴァリエ・サイトの伯爵への抜擢。そして、自分との婚約。 今までの数々の功績と、伝説を担う者としての肩書きを、知らぬ諸侯はおらず。 枢機卿と諸大臣たち、さらには銃士隊隊長のお墨付きまであっては、反対するものはいなかった。 もちろん、それはアンリエッタによる策略であった。 もちろんその事を知った、某虚無の担い手は己が使い魔を取り戻そうと画策するのであるが。 その、トリステイン全土を揺るがした大事件が起きるのは、もう少し先の話。 白百合の女王アンリエッタと、トリステインの盾、英雄サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガの成婚の儀式の真っ最中のことである。〜fin
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