ゼロの使い魔保管庫
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ごくり、と才人の喉が鳴る。 どっちがいい、と聞かれても、正直な話。 どっちもいい、としか答えられない才人だった。 だがしかし、やっぱりベタだがここは。 「俺は、今のままのシャルロットが好きだなあ」 その言葉にタバサの頬が朱に染まる。 そして、嬉しそうに微笑む。 このひとならこう言うだろう。そう言ってくれるだろう。タバサが期待していたとおりの言葉を、才人は言ってくれた。 だからこそ。 彼には、一番きれいな自分を、見てもらいたい────。 だからこそ。 タバサは、この日のため、才人のために、いくつもの準備をしていたのである。 タバサは、自分の発言に照れくさそうにしている才人に背を向け、魔方陣の中央に立つ。 「ありがとう、サイト」 そして、全身全霊の感謝を込めて、言葉を紡ぐ。 才人からは背を向けたタバサの表情は見えなかったが、タバサはこの上なく幸福そうな微笑を湛えていた。 そしてその瞳に宿るのは、決意。 もう、彼女は決めていた。 彼には、一番綺麗なシャルロット・エレーヌ・オルレアンを、その全てを捧げる。 魔方陣の中央に立ち、スカートのホックを外す。 ふぁさ、と丸くスカートが魔方陣の上に広がり、タバサの下半身が露になる。 輝かんばかりに白い臀部は、しかし膨らみがいささか足りず、柔らかさよりも張りのほうが目立っていた。 「え?シャルロット?」 何の前触れもなく、いきなり脱ぎだしたタバサに軽く驚く才人。 そんな才人に、タバサは説明する。 「成長したら、服が入らなくなるから」 その言葉に、才人はいつだったかタバサが魔法を使って大きくなったときの事を思い出す。 なるほど、さっきの『大きいの小さいの』ってのはそういうイミか。 てっきりお兄さんおっぱいのサイズのコトかと思ってましたァーっ! どこまでおっぱい魔人なのかこの男。 しかしそうなると才人の期待のボルテージも否が応にもマックスになるわけで。 上着のボタンを一つずつ外し始めたタバサのお尻を、思わず凝視してしまうわけで。 ボタンを外し終わり、上着を脱ぎかけたタバサの手が止まる。 首だけ後ろを振り向くと、鼻の下の伸びきった才人と視線が直交する。 「…サイト、その顔イヤらしい」 ちょっとイヤそうな顔で、そう言って、脱ぎかけた上着の前を合わせる。 「…術が完成するまで、あっち向いてて」 さすがにそんなエロい目で凝視されていては、術に集中できない。 そう思って、タバサは才人に釘を指し、もう一度背を向け、今度こそ上着をふぁさ、と床に脱ぎ去る。 美しい雪山を彷彿とさせる、しみ一つない柔肌が露になる。 少し興奮しているのか薄く桃色に紅潮した、幼さゆえの瑞々しさが目にまぶしい。 しかしやはりその曲線は緩やかで、女性よりも幼さを感じさせた。 お尻の先からうなじにかけて、なんだか生暖かいものを感じるタバサだったが、もうこの際突っ込むのはヤメにした。 …だって、そういう人だって分かって好きになったんだもの。 才人のエロい視線を背中に浴びながら、タバサは朗々と詠唱に入る。 心の内側から湧き出る力が、呪文と杖を介して魔力に変換されていく。 ときめきと恥じらい、期待と不安とが入り混じり、どんどん力が溢れてくる。 魔力とは心の力そのものである。 才人を想う愛も、才人に抱かれたいと思う欲求も、才人の視線を恥らう羞恥も、魔力の強さに直結する。 タバサには、必要以上の力が、溢れているのが分かった。 しかし、この魔方陣による術式には三人分のキャパシティがある。多少魔力が溢れたところで、暴走の心配はないだろう。 もうすでに、十分な魔力は充填した。 そう判断したタバサは、術式を起動した。 火照るタバサの身体を凝視するあまり、前のめりに出てきた才人が、魔方陣に入り込んでいることに気づかないまま。 青い光が晴れると、タバサは成長していた。 流れる青い髪は美しく腰まで伸び、清流のようにさらさらと空気の揺らぎに合わせ、わずかに揺れている。 青い髪に縁取られた顔からは幼さが消え、少し吊り上った瞳とすらりと通った鼻筋が、理性と知性を感じさせた。 可憐な唇は軽く引き絞られ、柔らかく湿った桜色に染まっている。 なだらかだった曲線は、極端といっていいほどきついカーブを描いている。それはまるで、白磁の花瓶を連想させた。 桜色の可憐な果実に彩られた白磁の球体は、奇跡的な張りと柔らかさのバランスを保ち、美しい顔の下で、美しさと隠微さのバランスをきわどい位置で融和させている。 きつく絞られた腰から広がる裾野には、かなり密度のある青い茂みが、姫君の聖域を覆い隠していた。 瑞々しい果実を連想させる真っ白な双丘の谷間は、薬品と数々の行為によって、色素の沈着もなく、まるで生まれたての赤子のような桃色をしていた。 そして、それら全てを、彼女の中に流れる高貴な血が、神々しさすら感じられる景色に纏め上げていた。 ほう、と術式の余韻に漏らすため息すら、極上の香に思える。 そんな成長したタバサが、きっととんでもなくエロい目で見つめているであろう自分の使えるべき相手に注がれる。 タバサの振り向いたそこには。 ひげ面の、ちょっと冴えない青年が、ひきつけを起こしたように倒れていた。 思わず目を点にするタバサ。 そしてこの状況を考える。 …『成長』の術式は成功している。 …ちょっと興奮しすぎて、魔力の調整を誤って、多めに術式に使ってしまった。 …そして、えっちぃ目で私をジロジロ見てたサイトは、ガマンきかなくなって魔方陣の中へ。 …そして、サイトにも術式がかかってしまった…。 全部正解である。 つまり、今目の前で伸びているのは成長した才人。 なぜ伸びているのかはよくわからないが、きっと術式が身体に合わなかったのだろう。 このテの変化系の術式は、身体に合わないと気絶したり、そもそも変化が起きなかったりもする。 まあしかし、これで原因はわかった。 伸びた才人を魔法でベッドの上に寝かせると、タバサは準備に入る。 この時のために、あらかじめ用意しておいた服を着込み、そっと才人の横に座り込む。 そして自分と同じく少し成長した才人の間抜けなひげ面を眺めながら、思った。 …ヒゲの伸びたサイトも、ちょっとダメ男っぽくて好きかも…。 ちょっと将来が心配な王女様であった。 才人が目を覚ますと、顎の下がじょりじょりした。 ていうか、かなりダメな感じに伸びたヒゲが、顎から生えていた。 「なんじゃこりゃああああああああ?」 思わず叫んでしまう才人。 その傍らに控えていた青い髪の少女が、そんな才人に申し訳なさそうに言った。 「ごめんなさい、サイト」 「え」 思わず才人が振り向くと。 そこには青い髪の女神がいた。 正しくは、素肌の上に大きめのワイシャツだけを羽織り、薄いブルーのショーツを履いた、白いニーハイソックスの。 成長したタバサがいた。 はちきれんばかりに膨らんだ胸の谷間を開いたボタンの間から容赦なく覗かせながら、四つんばいで才人に語りかける。 「術式があなたにもかかったみたい。それでその姿に」 タバサの説明もしかし、才人は半分上の空で。 「そ、そうかあ、それじゃあしょうがないなあ」 ちらちらと脇見でワイシャツからこぼれる白磁の球体に目を奪われながら、才人は頭をぽりぽりと掻きながらそう答える。 正直、理性ががけっぷちであった。 まあ両者とも合意の上だから理性が多少ブッチしたところで問題はないのだが、成長したタバサのかもし出す高貴な雰囲気が、才人の貧相なパンピー根性を萎縮させていたのである。 分かりやすく言うと、成長したタバサの姿をヤらしい目で見るのは、ものすごくイケナイことのように感じてしまったのである。 しかし当の王女様はやる気マンマンなわけで。 四つんばいのまま才人の太ももにたす、と手を置いて、潤んだ目で才人を見上げた。 「わたし、ヘン…?」 「へ?」 とつぜんのタバサの台詞に、才人は思わずタバサのほうを向いてしまう。 眼鏡の向こうの潤んだ瞳と、モロに視線がぶつかった。 吸い込まれそうな蒼い瞳が、容赦なく才人のハートを鷲掴みにする。 「あなたが大きいのが好きだから、成長した姿になったけど。 …好みじゃ、なかった…?」 普段よりずいぶんと感情が載った、饒舌な言葉。 成長した身体が、タバサの心にも影響を与えているのだろう。 そんなタバサに、才人はぶんぶんぶん!と頭を振って応える。 「い、いやそんなことないっす! メチャクチャストライクです!むしろデッドボールみたいな!」 言葉の意味はよくわからないが、とにかく気に入った、ということらしい。 タバサはその言葉ににしゃあ、と物凄くうれしそうに相好を崩すと。 「嬉しい」 そう言って、才人の胸に容赦なくもたれかかる。 そうすると。 神の造形によって顕現した、完全に釣り合った天秤のバランスのごとき、極上の柔らかさと至高の張りの調和が、才人の下腹部に薄い布切れごしに押し当てられる。 薄い布越しにも分かる先端の塊が、これまた才人の煩悩を容赦なく狙撃する。 連続ヘッドショットでフラフラの才人の煩悩を、タバサは決定的な一言で完全にトドメを刺す。 その言葉は、才人の嗜好に合わせたように、幼いタバサの、抑揚の少ない声になっていた。 この短時間で、熟れた大人の外見と、幼い少女の中身という、とんでもなくインモラルな存在に、タバサは進化していた。 「サイト。硬くなってる」 見上げながら、嬉しそうに、そして恥ずかしそうに微笑む、という神の、いや悪魔の所業をあっさりとやってのけるタバサ。 成長したのは、身体だけではなく、表情を動かす顔の筋肉も、柔らかく強靭に成長していた。 その顔の筋肉は、細やかなタバサの感情を、欲求を、余すことなく表情に換え、才人に伝えていた。 一流の娼婦は、ウインク一つで男を勃たせることができるという。 タバサは、その技術を、本による知識と、才人に与えられた経験、そして成長した体でモノにしていたのだ。 完全に勃起した才人の牡を、タバサは下腹部で柔らかく刺激しながら、淫靡に微笑んだ。 「…ズボン、邪魔…?」 布越しの刺激もたしかにタマラナイものがあったが、どうせなら、その極上の柔らかさを持つ肌に、直接滾る肉棒を押し当てたい。 そう思った才人は、頷いた。 「そ、そうだな。邪魔だな」 才人の言葉を聞くと、タバサは嬉しそうに頷いて。 「じゃ、脱がせてあげる」 そう言って、手馴れた動作であっという間に才人のズボンと下着を脱がしてしまう。 そして、上着だけになった才人の胸板に、もう一度しなだれかかり。 「硬い…」 きゅ、きゅ、と、その硬さを確かめるように、タバサは白魚のような指を才人自身に絡ませ、何度も揉む。 その極上の刺激に、才人はう、と声を漏らし、快感に耐える。 たかだか指コキ程度で逝っていたのでは、男の意地がすたるのである。 耐える才人に、タバサの中で嗜虐心がうずうずとうずき始める。 いつもは責められる立場のタバサだったが、才人のこういう表情を見ると、思わず虐めたくなってくるのだ。 タバサはそんな才人の一物をしごきながら、彼の腰をまたぐ。そして。 才人の一物から手を放して、ワイシャツの前を完全にはだけると。 ぐにゅ、と下腹部の一番柔らかい部分で才人の牡を押しつぶす。 そしてそのまま、その裏筋を、絶妙な弾力を誇る腹筋で、くりゅくりゅと刺激していく。 「く、くぁ!」 さすがの才人もたまらず、より一層大きなあえぎを漏らす。 タバサに密着している裏側、粘液を運ぶ管が、びくびくと震え始めた。 射精の前触れである。 しかし必死に耐える才人に、タバサはトドメを刺す。 彼の胸板に全体重を預けて自らの胸を押しつぶし、その鼻先に、甘く湿った吐息を吹きかけたのである。 その刺激に、才人の堰が崩壊する。 「で、出る!」 タバサの下で才人が仰け反る。 それと同時に、タバサの押しつぶしていた才人の先端から、熱い迸りがびゅるびゅると噴射され、タバサの露になった下腹部を、胸の谷間すらも、汚していく。 「あ、ふぁ…!」 その熱さに蕩け、タバサも軽く痙攣する。 ぷし、と蒼いショーツの中で、タバサの雌が軽い潮を吹いた。 タバサはそのまま、荒い息をつく才人の上で起き上がると、胸の谷間から下腹部までを汚している才人の精液を、掌で肌に塗りこんでいく。 「さい、との、精液…。熱い…」 そして掌に付いたその一部を口元に持っていき、ぴちゃぴちゃと舐め取る。 生臭く、苦味すら感じるその味は、けして美味とは言い難い。しかし、タバサは。 「サイトの精液…だいすき…」 嬉しそうに微笑み、そう言ってのけた。 そんな淫靡な姿を目の前で見せ付けられ、才人が滾らないはずがない。 再び復活し始めた才人を見て、タバサは。 ころん、とベッドに仰向けになると、足をM字に開いて。 べしょべしょに濡れたショーツごと、自らを割り開く。 そして、言った。 「ねえ、サイト。見て…」 くぱぁ、と粘液の糸を引いて限界まで開かれたタバサのそこは。 普段は、その細い指によって、かなり奥の方まで深淵を覗かせるそこは。 入り口から少しいったところで、ぴっちりと肉の襞が塞いでいた。 「え?これって…」 そう、今才人の目にしているそれは。 「処女膜を、再生した…」 頬を朱に染めて、タバサは驚く才人に応えた。 そして続ける。 「もう一度、私の『はじめて』をもらってほしい。 あんな、無理やりじゃなくて、サイトの意思で、私を『女』にしてほしい…」 タバサの処女喪失は、半ば才人の意思を無視して行われた。 強力な術式のために才人の精を胎内に取り込むことが必要だったため、無理やり才人を挿入したのである。 それは、半ばタバサからの強姦に近いものがあった。 だから、タバサは、もう一度才人に処女を捧げるべく、自らの処女膜を再生したのである。 才人は、そんなタバサの視線を、真摯な表情で受け止める。 そして頷く。 「わかった。じゃあいくぞ。 俺の意思で…シャルロットを、俺の『女』にする」 そう言って、タバサに覆いかぶさっていく。 タバサは秘裂を伸ばし広げる指を緩めることなく、涙を貯めた笑顔で、才人を迎えた。 「嬉しい…」 二人の唇が重なる。 二人の性器が、触れ合う。 互いに粘液を分泌し合い、ぬるぬると互いに塗りこんでいく。 唇の中で、お互いの舌が絡み合い、溢れた唾液を互いに嚥下する。 やがて舌を絡めあっていた二人は、唇を離し、見詰め合う。 もう十分に互いを濡らし終わった性器どうしが、まるで互いを求めるように蠢いて。 ぶつん。 「ぃたっ…!」 二度目の破瓜が、タバサを襲う。 そして、痛みと同時に訪れる、たまらない多幸感。 満たされている。私の中は、いま、大好きな人で満たされている…! 全てを奪ってくれた愛する人を、タバサは腕で、足で、抱きしめる。 「サイト、き、つ、あっ」 それでもやはり処女膜を再生させた膣内はきつく、タバサは少し苦しそうだ。 それを見て、ぴた、と才人の動きが止まる。 「…きついなら、抜こうか?」 初めてをもらうという目的なら、もう果たした。 そう思って、才人は優しくタバサを見下ろす。 少し老けて貫禄の増したそんな才人の頬を、タバサは両の掌で優しく包み込む。 そして。 「だめ、このまま…」 「え?でも」 「ずっと抜かないで。全部出して。私の中で、いっぱいきもちよくなって…」 言葉と同時に、少し力の抜けた足で、精一杯才人を締め上げる。 その言葉に、才人は頷く。 「それじゃあ、抜かないからな? 全部、膣内で出すからな?」 「うん、うん…♪ 奥まで全部、サイトでいっぱいに、して…♪」 空色の髪の女神は、そう言って微笑んだ。 そこからは、もう止まらなかった。 才人の腰が、遠慮なく動き始める。 じゅぷじゅぷと互いの粘液を攪拌する音が、淫らに響き渡る。 二人は先ほどしていたように互いに抱き合い、舌を啜りあう。 粘膜の結合部が、じゅるじゅるぴちゃぴちゃと、どちらが立てているのか分からないほど濃厚な水音を立てる。 二人の間で、先端を極限まで勃起させた、薄桃色に染まった肉の玉が暴れまわる。 唇から、舌から、胸から、性器から、全身に快楽を打ち込まれ、タバサの膣道が蠕動しはじめる。 舌を舐めあげられ、胸板に極上の弾力を押し付けられ、性器を絞り挟まれ、才人の肉棒が震撼する。 「い、く、も、いく、サイト、サイト、サイト、サイト、サイトぉ!」 「シャルロット、全部、だすぞ、シャルロットの中に全部出すぞっ!」 ずぶ! 最奥まで突き刺し、才人の動きが止まった。 どくどくどくどくどく! タバサの子宮口に、遠慮なく熱い迸りがぶちまけられ、肉の顎がそれをこくこくと飲み干していく。 「うぁ、あ゛、あ゛あ゛あああああああああああぁぁあぁぁ!」 サイト…! 獣のような啼き声を上げ、心の中だけで世界で一番愛しい人の名を呼びながら、タバサは、虹色の闇の中に堕ちていったのだった。 才人が目を覚ましたのは、それから丸一日たってのこと。 どうやら、タバサが水魔法で自分を眠らせたらしい。 才人がベッドから降りると、テーブルの上に一通の手紙があるのを見つけた。 その手紙には、こう書かれていた。 『サイト、最後の思い出をありがとう。次に逢う時は、たぶんきっと『タバサ』はもうこの世にはいません。 だから、今度逢うときは、必ず『シャルロット』と呼んでください。 誰がいても、かまいません。私はあなたのシャルロットです。 間違えたら、おしおきします。大人になった私のおしおきは、ちょっとすごいと思います。 それでは、また逢う日まで。 シャルロット・エレーヌ・オルレアン、あなたの永遠の従者より』 「…シャルロット…」 才人は、窓から覗く青い空を見上げた。 かつて愛した少女の髪と、同じ色の、美しい空を見上げていた。 そのころ、トリステイン魔法学院から南へ数リーグ離れた、遥か高空。 青い風韻竜が、己が主人に問いかけていた。 「きゅいきゅい。ホントにいいの?おねえさま?」 「…大丈夫。もう、私は一人じゃない」 言ってタバサ───シャルロットは、己が下腹部にそっと手を添える。 注がれた彼の精が、どろりどろりと自分の胎内でうごめくのが分かる。 その胎内では───卵巣から吐き出された卵子が、彼の精子を受け入れている最中だろう。 そう。 タバサの準備は、大人になる『成長』の術式だけではなかった。 彼の証、才人と愛し合った証拠を、己が身に宿すため。 彼女は、懐妊の秘薬をあらかじめ飲み、才人に抱かれたのである。 この子が、私を強くする。 母として、負ける訳にはいかない。 現ガリア王家に。トリステインに。アンリエッタに。 全てを手に入れ、シャルロットはその全てを才人に捧げるつもりであった。 そんなシャルロットに、シルフィードは思わず。 「きゅい。おねえさまなんか老けた?」 「……」 言ってはいけないことを言ってしまい、脳天を巨大な杖でぶん殴られた。 「きゅいー!なんなのねなんなのねもう!ぼーりょくはんたい!韻竜虐待はいけないとおもいまーす!」 「黙れ」 そして上空でドタバタやりながら、すばらしいスピードでガリアへ向けて飛び去っていった。 …竜騎士隊の警護する、ガリア国境まであとわずか、という地点での出来事であった。
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ごくり、と才人の喉が鳴る。 どっちがいい、と聞かれても、正直な話。 どっちもいい、としか答えられない才人だった。 だがしかし、やっぱりベタだがここは。 「俺は、今のままのシャルロットが好きだなあ」 その言葉にタバサの頬が朱に染まる。 そして、嬉しそうに微笑む。 このひとならこう言うだろう。そう言ってくれるだろう。タバサが期待していたとおりの言葉を、才人は言ってくれた。 だからこそ。 彼には、一番きれいな自分を、見てもらいたい────。 だからこそ。 タバサは、この日のため、才人のために、いくつもの準備をしていたのである。 タバサは、自分の発言に照れくさそうにしている才人に背を向け、魔方陣の中央に立つ。 「ありがとう、サイト」 そして、全身全霊の感謝を込めて、言葉を紡ぐ。 才人からは背を向けたタバサの表情は見えなかったが、タバサはこの上なく幸福そうな微笑を湛えていた。 そしてその瞳に宿るのは、決意。 もう、彼女は決めていた。 彼には、一番綺麗なシャルロット・エレーヌ・オルレアンを、その全てを捧げる。 魔方陣の中央に立ち、スカートのホックを外す。 ふぁさ、と丸くスカートが魔方陣の上に広がり、タバサの下半身が露になる。 輝かんばかりに白い臀部は、しかし膨らみがいささか足りず、柔らかさよりも張りのほうが目立っていた。 「え?シャルロット?」 何の前触れもなく、いきなり脱ぎだしたタバサに軽く驚く才人。 そんな才人に、タバサは説明する。 「成長したら、服が入らなくなるから」 その言葉に、才人はいつだったかタバサが魔法を使って大きくなったときの事を思い出す。 なるほど、さっきの『大きいの小さいの』ってのはそういうイミか。 てっきりお兄さんおっぱいのサイズのコトかと思ってましたァーっ! どこまでおっぱい魔人なのかこの男。 しかしそうなると才人の期待のボルテージも否が応にもマックスになるわけで。 上着のボタンを一つずつ外し始めたタバサのお尻を、思わず凝視してしまうわけで。 ボタンを外し終わり、上着を脱ぎかけたタバサの手が止まる。 首だけ後ろを振り向くと、鼻の下の伸びきった才人と視線が直交する。 「…サイト、その顔イヤらしい」 ちょっとイヤそうな顔で、そう言って、脱ぎかけた上着の前を合わせる。 「…術が完成するまで、あっち向いてて」 さすがにそんなエロい目で凝視されていては、術に集中できない。 そう思って、タバサは才人に釘を指し、もう一度背を向け、今度こそ上着をふぁさ、と床に脱ぎ去る。 美しい雪山を彷彿とさせる、しみ一つない柔肌が露になる。 少し興奮しているのか薄く桃色に紅潮した、幼さゆえの瑞々しさが目にまぶしい。 しかしやはりその曲線は緩やかで、女性よりも幼さを感じさせた。 お尻の先からうなじにかけて、なんだか生暖かいものを感じるタバサだったが、もうこの際突っ込むのはヤメにした。 …だって、そういう人だって分かって好きになったんだもの。 才人のエロい視線を背中に浴びながら、タバサは朗々と詠唱に入る。 心の内側から湧き出る力が、呪文と杖を介して魔力に変換されていく。 ときめきと恥じらい、期待と不安とが入り混じり、どんどん力が溢れてくる。 魔力とは心の力そのものである。 才人を想う愛も、才人に抱かれたいと思う欲求も、才人の視線を恥らう羞恥も、魔力の強さに直結する。 タバサには、必要以上の力が、溢れているのが分かった。 しかし、この魔方陣による術式には三人分のキャパシティがある。多少魔力が溢れたところで、暴走の心配はないだろう。 もうすでに、十分な魔力は充填した。 そう判断したタバサは、術式を起動した。 火照るタバサの身体を凝視するあまり、前のめりに出てきた才人が、魔方陣に入り込んでいることに気づかないまま。 青い光が晴れると、タバサは成長していた。 流れる青い髪は美しく腰まで伸び、清流のようにさらさらと空気の揺らぎに合わせ、わずかに揺れている。 青い髪に縁取られた顔からは幼さが消え、少し吊り上った瞳とすらりと通った鼻筋が、理性と知性を感じさせた。 可憐な唇は軽く引き絞られ、柔らかく湿った桜色に染まっている。 なだらかだった曲線は、極端といっていいほどきついカーブを描いている。それはまるで、白磁の花瓶を連想させた。 桜色の可憐な果実に彩られた白磁の球体は、奇跡的な張りと柔らかさのバランスを保ち、美しい顔の下で、美しさと隠微さのバランスをきわどい位置で融和させている。 きつく絞られた腰から広がる裾野には、かなり密度のある青い茂みが、姫君の聖域を覆い隠していた。 瑞々しい果実を連想させる真っ白な双丘の谷間は、薬品と数々の行為によって、色素の沈着もなく、まるで生まれたての赤子のような桃色をしていた。 そして、それら全てを、彼女の中に流れる高貴な血が、神々しさすら感じられる景色に纏め上げていた。 ほう、と術式の余韻に漏らすため息すら、極上の香に思える。 そんな成長したタバサが、きっととんでもなくエロい目で見つめているであろう自分の使えるべき相手に注がれる。 タバサの振り向いたそこには。 ひげ面の、ちょっと冴えない青年が、ひきつけを起こしたように倒れていた。 思わず目を点にするタバサ。 そしてこの状況を考える。 …『成長』の術式は成功している。 …ちょっと興奮しすぎて、魔力の調整を誤って、多めに術式に使ってしまった。 …そして、えっちぃ目で私をジロジロ見てたサイトは、ガマンきかなくなって魔方陣の中へ。 …そして、サイトにも術式がかかってしまった…。 全部正解である。 つまり、今目の前で伸びているのは成長した才人。 なぜ伸びているのかはよくわからないが、きっと術式が身体に合わなかったのだろう。 このテの変化系の術式は、身体に合わないと気絶したり、そもそも変化が起きなかったりもする。 まあしかし、これで原因はわかった。 伸びた才人を魔法でベッドの上に寝かせると、タバサは準備に入る。 この時のために、あらかじめ用意しておいた服を着込み、そっと才人の横に座り込む。 そして自分と同じく少し成長した才人の間抜けなひげ面を眺めながら、思った。 …ヒゲの伸びたサイトも、ちょっとダメ男っぽくて好きかも…。 ちょっと将来が心配な王女様であった。 才人が目を覚ますと、顎の下がじょりじょりした。 ていうか、かなりダメな感じに伸びたヒゲが、顎から生えていた。 「なんじゃこりゃああああああああ?」 思わず叫んでしまう才人。 その傍らに控えていた青い髪の少女が、そんな才人に申し訳なさそうに言った。 「ごめんなさい、サイト」 「え」 思わず才人が振り向くと。 そこには青い髪の女神がいた。 正しくは、素肌の上に大きめのワイシャツだけを羽織り、薄いブルーのショーツを履いた、白いニーハイソックスの。 成長したタバサがいた。 はちきれんばかりに膨らんだ胸の谷間を開いたボタンの間から容赦なく覗かせながら、四つんばいで才人に語りかける。 「術式があなたにもかかったみたい。それでその姿に」 タバサの説明もしかし、才人は半分上の空で。 「そ、そうかあ、それじゃあしょうがないなあ」 ちらちらと脇見でワイシャツからこぼれる白磁の球体に目を奪われながら、才人は頭をぽりぽりと掻きながらそう答える。 正直、理性ががけっぷちであった。 まあ両者とも合意の上だから理性が多少ブッチしたところで問題はないのだが、成長したタバサのかもし出す高貴な雰囲気が、才人の貧相なパンピー根性を萎縮させていたのである。 分かりやすく言うと、成長したタバサの姿をヤらしい目で見るのは、ものすごくイケナイことのように感じてしまったのである。 しかし当の王女様はやる気マンマンなわけで。 四つんばいのまま才人の太ももにたす、と手を置いて、潤んだ目で才人を見上げた。 「わたし、ヘン…?」 「へ?」 とつぜんのタバサの台詞に、才人は思わずタバサのほうを向いてしまう。 眼鏡の向こうの潤んだ瞳と、モロに視線がぶつかった。 吸い込まれそうな蒼い瞳が、容赦なく才人のハートを鷲掴みにする。 「あなたが大きいのが好きだから、成長した姿になったけど。 …好みじゃ、なかった…?」 普段よりずいぶんと感情が載った、饒舌な言葉。 成長した身体が、タバサの心にも影響を与えているのだろう。 そんなタバサに、才人はぶんぶんぶん!と頭を振って応える。 「い、いやそんなことないっす! メチャクチャストライクです!むしろデッドボールみたいな!」 言葉の意味はよくわからないが、とにかく気に入った、ということらしい。 タバサはその言葉ににしゃあ、と物凄くうれしそうに相好を崩すと。 「嬉しい」 そう言って、才人の胸に容赦なくもたれかかる。 そうすると。 神の造形によって顕現した、完全に釣り合った天秤のバランスのごとき、極上の柔らかさと至高の張りの調和が、才人の下腹部に薄い布切れごしに押し当てられる。 薄い布越しにも分かる先端の塊が、これまた才人の煩悩を容赦なく狙撃する。 連続ヘッドショットでフラフラの才人の煩悩を、タバサは決定的な一言で完全にトドメを刺す。 その言葉は、才人の嗜好に合わせたように、幼いタバサの、抑揚の少ない声になっていた。 この短時間で、熟れた大人の外見と、幼い少女の中身という、とんでもなくインモラルな存在に、タバサは進化していた。 「サイト。硬くなってる」 見上げながら、嬉しそうに、そして恥ずかしそうに微笑む、という神の、いや悪魔の所業をあっさりとやってのけるタバサ。 成長したのは、身体だけではなく、表情を動かす顔の筋肉も、柔らかく強靭に成長していた。 その顔の筋肉は、細やかなタバサの感情を、欲求を、余すことなく表情に換え、才人に伝えていた。 一流の娼婦は、ウインク一つで男を勃たせることができるという。 タバサは、その技術を、本による知識と、才人に与えられた経験、そして成長した体でモノにしていたのだ。 完全に勃起した才人の牡を、タバサは下腹部で柔らかく刺激しながら、淫靡に微笑んだ。 「…ズボン、邪魔…?」 布越しの刺激もたしかにタマラナイものがあったが、どうせなら、その極上の柔らかさを持つ肌に、直接滾る肉棒を押し当てたい。 そう思った才人は、頷いた。 「そ、そうだな。邪魔だな」 才人の言葉を聞くと、タバサは嬉しそうに頷いて。 「じゃ、脱がせてあげる」 そう言って、手馴れた動作であっという間に才人のズボンと下着を脱がしてしまう。 そして、上着だけになった才人の胸板に、もう一度しなだれかかり。 「硬い…」 きゅ、きゅ、と、その硬さを確かめるように、タバサは白魚のような指を才人自身に絡ませ、何度も揉む。 その極上の刺激に、才人はう、と声を漏らし、快感に耐える。 たかだか指コキ程度で逝っていたのでは、男の意地がすたるのである。 耐える才人に、タバサの中で嗜虐心がうずうずとうずき始める。 いつもは責められる立場のタバサだったが、才人のこういう表情を見ると、思わず虐めたくなってくるのだ。 タバサはそんな才人の一物をしごきながら、彼の腰をまたぐ。そして。 才人の一物から手を放して、ワイシャツの前を完全にはだけると。 ぐにゅ、と下腹部の一番柔らかい部分で才人の牡を押しつぶす。 そしてそのまま、その裏筋を、絶妙な弾力を誇る腹筋で、くりゅくりゅと刺激していく。 「く、くぁ!」 さすがの才人もたまらず、より一層大きなあえぎを漏らす。 タバサに密着している裏側、粘液を運ぶ管が、びくびくと震え始めた。 射精の前触れである。 しかし必死に耐える才人に、タバサはトドメを刺す。 彼の胸板に全体重を預けて自らの胸を押しつぶし、その鼻先に、甘く湿った吐息を吹きかけたのである。 その刺激に、才人の堰が崩壊する。 「で、出る!」 タバサの下で才人が仰け反る。 それと同時に、タバサの押しつぶしていた才人の先端から、熱い迸りがびゅるびゅると噴射され、タバサの露になった下腹部を、胸の谷間すらも、汚していく。 「あ、ふぁ…!」 その熱さに蕩け、タバサも軽く痙攣する。 ぷし、と蒼いショーツの中で、タバサの雌が軽い潮を吹いた。 タバサはそのまま、荒い息をつく才人の上で起き上がると、胸の谷間から下腹部までを汚している才人の精液を、掌で肌に塗りこんでいく。 「さい、との、精液…。熱い…」 そして掌に付いたその一部を口元に持っていき、ぴちゃぴちゃと舐め取る。 生臭く、苦味すら感じるその味は、けして美味とは言い難い。しかし、タバサは。 「サイトの精液…だいすき…」 嬉しそうに微笑み、そう言ってのけた。 そんな淫靡な姿を目の前で見せ付けられ、才人が滾らないはずがない。 再び復活し始めた才人を見て、タバサは。 ころん、とベッドに仰向けになると、足をM字に開いて。 べしょべしょに濡れたショーツごと、自らを割り開く。 そして、言った。 「ねえ、サイト。見て…」 くぱぁ、と粘液の糸を引いて限界まで開かれたタバサのそこは。 普段は、その細い指によって、かなり奥の方まで深淵を覗かせるそこは。 入り口から少しいったところで、ぴっちりと肉の襞が塞いでいた。 「え?これって…」 そう、今才人の目にしているそれは。 「処女膜を、再生した…」 頬を朱に染めて、タバサは驚く才人に応えた。 そして続ける。 「もう一度、私の『はじめて』をもらってほしい。 あんな、無理やりじゃなくて、サイトの意思で、私を『女』にしてほしい…」 タバサの処女喪失は、半ば才人の意思を無視して行われた。 強力な術式のために才人の精を胎内に取り込むことが必要だったため、無理やり才人を挿入したのである。 それは、半ばタバサからの強姦に近いものがあった。 だから、タバサは、もう一度才人に処女を捧げるべく、自らの処女膜を再生したのである。 才人は、そんなタバサの視線を、真摯な表情で受け止める。 そして頷く。 「わかった。じゃあいくぞ。 俺の意思で…シャルロットを、俺の『女』にする」 そう言って、タバサに覆いかぶさっていく。 タバサは秘裂を伸ばし広げる指を緩めることなく、涙を貯めた笑顔で、才人を迎えた。 「嬉しい…」 二人の唇が重なる。 二人の性器が、触れ合う。 互いに粘液を分泌し合い、ぬるぬると互いに塗りこんでいく。 唇の中で、お互いの舌が絡み合い、溢れた唾液を互いに嚥下する。 やがて舌を絡めあっていた二人は、唇を離し、見詰め合う。 もう十分に互いを濡らし終わった性器どうしが、まるで互いを求めるように蠢いて。 ぶつん。 「ぃたっ…!」 二度目の破瓜が、タバサを襲う。 そして、痛みと同時に訪れる、たまらない多幸感。 満たされている。私の中は、いま、大好きな人で満たされている…! 全てを奪ってくれた愛する人を、タバサは腕で、足で、抱きしめる。 「サイト、き、つ、あっ」 それでもやはり処女膜を再生させた膣内はきつく、タバサは少し苦しそうだ。 それを見て、ぴた、と才人の動きが止まる。 「…きついなら、抜こうか?」 初めてをもらうという目的なら、もう果たした。 そう思って、才人は優しくタバサを見下ろす。 少し老けて貫禄の増したそんな才人の頬を、タバサは両の掌で優しく包み込む。 そして。 「だめ、このまま…」 「え?でも」 「ずっと抜かないで。全部出して。私の中で、いっぱいきもちよくなって…」 言葉と同時に、少し力の抜けた足で、精一杯才人を締め上げる。 その言葉に、才人は頷く。 「それじゃあ、抜かないからな? 全部、膣内で出すからな?」 「うん、うん…♪ 奥まで全部、サイトでいっぱいに、して…♪」 空色の髪の女神は、そう言って微笑んだ。 そこからは、もう止まらなかった。 才人の腰が、遠慮なく動き始める。 じゅぷじゅぷと互いの粘液を攪拌する音が、淫らに響き渡る。 二人は先ほどしていたように互いに抱き合い、舌を啜りあう。 粘膜の結合部が、じゅるじゅるぴちゃぴちゃと、どちらが立てているのか分からないほど濃厚な水音を立てる。 二人の間で、先端を極限まで勃起させた、薄桃色に染まった肉の玉が暴れまわる。 唇から、舌から、胸から、性器から、全身に快楽を打ち込まれ、タバサの膣道が蠕動しはじめる。 舌を舐めあげられ、胸板に極上の弾力を押し付けられ、性器を絞り挟まれ、才人の肉棒が震撼する。 「い、く、も、いく、サイト、サイト、サイト、サイト、サイトぉ!」 「シャルロット、全部、だすぞ、シャルロットの中に全部出すぞっ!」 ずぶ! 最奥まで突き刺し、才人の動きが止まった。 どくどくどくどくどく! タバサの子宮口に、遠慮なく熱い迸りがぶちまけられ、肉の顎がそれをこくこくと飲み干していく。 「うぁ、あ゛、あ゛あ゛あああああああああああぁぁあぁぁ!」 サイト…! 獣のような啼き声を上げ、心の中だけで世界で一番愛しい人の名を呼びながら、タバサは、虹色の闇の中に堕ちていったのだった。 才人が目を覚ましたのは、それから丸一日たってのこと。 どうやら、タバサが水魔法で自分を眠らせたらしい。 才人がベッドから降りると、テーブルの上に一通の手紙があるのを見つけた。 その手紙には、こう書かれていた。 『サイト、最後の思い出をありがとう。次に逢う時は、たぶんきっと『タバサ』はもうこの世にはいません。 だから、今度逢うときは、必ず『シャルロット』と呼んでください。 誰がいても、かまいません。私はあなたのシャルロットです。 間違えたら、おしおきします。大人になった私のおしおきは、ちょっとすごいと思います。 それでは、また逢う日まで。 シャルロット・エレーヌ・オルレアン、あなたの永遠の従者より』 「…シャルロット…」 才人は、窓から覗く青い空を見上げた。 かつて愛した少女の髪と、同じ色の、美しい空を見上げていた。 そのころ、トリステイン魔法学院から南へ数リーグ離れた、遥か高空。 青い風韻竜が、己が主人に問いかけていた。 「きゅいきゅい。ホントにいいの?おねえさま?」 「…大丈夫。もう、私は一人じゃない」 言ってタバサ───シャルロットは、己が下腹部にそっと手を添える。 注がれた彼の精が、どろりどろりと自分の胎内でうごめくのが分かる。 その胎内では───卵巣から吐き出された卵子が、彼の精子を受け入れている最中だろう。 そう。 タバサの準備は、大人になる『成長』の術式だけではなかった。 彼の証、才人と愛し合った証拠を、己が身に宿すため。 彼女は、懐妊の秘薬をあらかじめ飲み、才人に抱かれたのである。 この子が、私を強くする。 母として、負ける訳にはいかない。 現ガリア王家に。トリステインに。アンリエッタに。 全てを手に入れ、シャルロットはその全てを才人に捧げるつもりであった。 そんなシャルロットに、シルフィードは思わず。 「きゅい。おねえさまなんか老けた?」 「……」 言ってはいけないことを言ってしまい、脳天を巨大な杖でぶん殴られた。 「きゅいー!なんなのねなんなのねもう!ぼーりょくはんたい!韻竜虐待はいけないとおもいまーす!」 「黙れ」 そして上空でドタバタやりながら、すばらしいスピードでガリアへ向けて飛び去っていった。 …竜騎士隊の警護する、ガリア国境まであとわずか、という地点での出来事であった。
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