ゼロの使い魔保管庫
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「ほぉー、旦那がアンタに落ち着くとは意外なもんだなぁオイ」 その夜、事の説明を受けたデルフリンガーがそんな率直な感想を漏らした。 「あらぁ、心外ねぇ。アタシの魅力に今になってようやく気付いてくれただけよぉ」 目の前の豊かな紅い髪とバストを持つ少女は、おっほっほと高飛車に笑って応じる。 恥じらいなくそういった返しができるのは流石だった。 「わはは、言うじゃなねえかゲルマニアの嬢ちゃん。俺ぁ気にいったぜ!」 「は、ははは……」 サイトはそんな二人のやりとりに乾いた笑いを漏らすよりない。 デルフとはほとんどの時間を共にしているせいもあり、ルイズと違ってごまかすのには限界があった。 サイトとキュルケは二人で話し合った結果、今夜それぞれの近しい者、かつ信頼できる相手に限って関係を打ち明けることになったのだ。 苦渋の決断だったが、幸先は良かった。 デルフの適当さが今はありがたくサイトには感じられた。 「ま、俺ぁ相棒の味方だからよ。あの嬢ちゃんに黙ってて欲しいならそうするさね」 「ありがとう、デルフ」 「いーって事よ」 思いの外、デルフは二人の関係を祝福してくれたようだった。 ルイズへの情報漏洩の件もどうにかなった。 サイトはひとまず胸をなで下ろす。 フレイムが部屋の隅できゅるきゅると心なしか応援するような声で鳴いた。 「しかしそうかー、旦那にもようやく春が来たたぁなぁ。惚気話でも俺ぁ聞いてやるぜ旦那ぁ?」 デルフは異を唱えるどころか喜々として話を振ってきそうだったので、サイトはそれとなくキュルケに尋ねる。 恋人との関係を自慢できるほどのスキルも経験も不足していたからだ。 「そういえば、キュルケの方は他に誰か教えたりする予定ないのか?」 「あら、そうだわ……そういえばそろそろ」 キュルケが思い出した様子を見せると、部屋のドアを軽くノックする音が聞こえた。 「あら、噂をすれば……どーぞ!」 キュルケがそう呼びかけると、ドアが開く。 ちょこんと小柄な水色の髪をした少女と、幾分グラマラスな快活そうな少女の姿。 現れたのはタバサと、その使い魔のシルフィだった。 「話って何……?」 「きゅいきゅいー! 何でサイトがこの部屋にいるのね?」 無表情に首を傾げるが、キュルケもサイトもその無表情の中にも微かな戸惑いが隠されているのが、なんとなしに理解できた。 キュルケはサイトに目配せする。 「ま、ダーリンも分かるわよね?」 「そうだな、キュルケはタバサとは親友だし」 そもそも、口止めせずとも本来からして無口なタバサに念を押す必要はないのかもしれない。 しかし、キュルケにしてみれば一種の友情の証として打ち明けたかったのだろう。 (ギーシュたちはボロ出しそうだからしばらく様子見しとかないとなぁ……) 自分の親友と呼べる連中を思い出したサイトだったが、 気を利かせたつもりで女子風呂覗きなどの余計な自爆をした前科も考え、今回は保留しておくことに決定したのだった。 ・ ・・ ・・・ 「……と、言うことでアタシ達、付き合うことになったから!」 キュルケがまるでオペラ女優のように演技がかった大仰な説明を終える。 目の前のタバサは一見すると無関心なように微動だにしない。シルフィはほへー、と降ってわいた大事件に目を白黒させている。 だが、ややあって二人の顔を交互に見やり、滅多に見せない僅かな笑みを浮かべた。 「応援、する……」 「意外なのね! まさかそんな色情魔と」 「こら……」 「あう、ごめんなさいなのねお姉さま!」 タバサにとっても意外なことこの上なかったのだろう。 しかし、彼女にとってはキュルケもサイトも共にかけがえのない存在である。 二人の仲に異を唱える理由はなかったようだ。 使い魔であるシルフィも主人がそうなら心配はないだろう。 「ああんタバサ! やっぱりそう言ってくれると信じてたわぁ!」 キュルケは小柄な親友をその豊かな胸で抱きしめると、まるで母親が子供を褒めるかのように頭を撫でた。 タバサは相変わらず無表情だったが、サイトには微妙に苦笑いしているように見えた。 「おうおう、せっかくだしよぅ、身内みてえなもんだし何か飲むもんでもねえのか?」 「デルフ、お前あっても別に飲めないだろ?」 「気分の問題さね」 「そうなのね! 何か食べ物も欲しいのね!」 「そういえば実家からいくらか送り物のワインとゲルマニア食があったわねぇ」 「いいのかキュルケ?」 「あっても全部は食べきれないでいつも誰かにあげちゃうから調度いいわ」 デルフの提案で、その夜はしばしの間、キュルケの郷土からの品々を肴に酒宴をはることになった。 ・ ・・ ・・・ 「んごー……」 夜も更けた頃、タバサが満腹で酔いつぶれそうなシルフィを自分の部屋にひっぺがして帰り、 デルフは場の空気を楽しんだのかその場で寝てしまった。 「ったく、調子の良い連中だな」 「あはは、そうねぇ」 サイトは転がったゲルマニアワインの空瓶や食べ散らかされた燻製食品などを片付けながらそう漏らした。 ああ見えてタバサが大食漢なので、結構な量あったように見えた食べ物も今は跡形もない。 サイトが片付けているのを横目に、キュルケは窓に腰掛け、小さく言った。 「でも、嬉しかったわ……」 サイトもそれは同感だった。 「ああ、そうだな……」 ルイズの使い魔として制約の多い自分との関係を応援すると言ってくれる人間が……厳密には人間じゃないのもいるが……少なからずいたのだ。 それはサイトにとっても大きな安心だった。 同時に、いざこうして二人きりになると、彼は急に不安に駆られた。 何か、恋人同士になったからには特別なことをしなければいけないような強迫観念に襲われたからだった。 応援してくれている人のためにも、より良い二人の関係を築いていかなければならない。 しかし、考えてもあまり良い案は思いつかなかった。 こんな時ばかりは、普段は小馬鹿にしている貴族らしさというものが重要なもののように思えてくる。 (ここは一つ、気の利いた言葉を……) サイトが必死になって思考を巡らせていると 「あら、そうだわ」 とキュルケがふと思い出したような声を上げた。 「どうしたの?」 「今日、私まだ湯浴みが済んでないの」 「ああ、お風呂か」 急に生活臭のする話になったので、サイトは気が抜ける思いだった。 しかし、言われてみれば自分も風呂がまだだった。 キュルケの部屋には彼女が操ることのできる魔法の関係もあって、個人用のバスがある。 「今日はなんか自分で沸かす気にはならないわね……」 サイトの視線に手をひらひらと振って彼女は答える。 散々楽しんだ後、面倒な作業を嫌うのはキュルケらしいといえた。 「となると大浴場行くか」 「そうね」 今となっては自分も名目上とはいえ貴族なので、堂々と風呂を利用できるのはありがたかった。 サイトはルイズを起こさないようにデルフを部屋に置いてくると、風呂道具を持って浴場へと向かった。 ◇ 早速というか、問題が発生した。 「あ、あのう……」 「何かしら?」 問いかけるサイトに、キュルケは全くもって平然と応じた。 「お、俺まで女湯に入るのはマズいんじゃあ?」 脱衣所の中で、サイトは誰か入って来たりしないかびくびくしていた。 「大丈夫よ、この時間はほとんど誰も利用してないから」 そういう問題か、と思ったが、既にキュルケの押しと下心に負けてしまっていたのではしょうがない。 しかも、内心ではそう言いつつも目の前で、しゅるり、と衣服を脱ぎ始めたキュルケに目が釘付けになっている。 「恋人同士が風呂に一緒に入るのは常識よ?」 いくら貴族文化に疎いといってもそれは嘘だ、と心の中でツッ込んだが、キュルケと入浴という誘惑は確かに魅力的だった。 それに、恋人同士という大義名分はなんとも自己弁護に都合が良い響きを持っていた。 「ふふ……どうするの、今から男湯に行く?」 キュルケは挑発するように微笑を浮かべ、セクシーな下着姿を見せつける。 褐色の肌に、精緻な刺繍の施された黒いランジェリーが映える。 「ううう……」 男として選択肢は残されていなかった。 ◇ 浴場内は湯気に包まれ、視界は良好とは言い難かった。 しかし、それでも幸い中に誰もいないことくらいは分かった。 ここはいわゆる銭湯のような所帯じみたものではなく、貴族の子女が入るためのものとあって、 湯船には香水の香りが混じっていた。 その豪勢さに複雑な表情でいる内に、キュルケは身体を洗い始める。 サイトはその裸体をじっくりと鑑賞したい衝動に駆られたが、自分も身体を洗う必要があったので我慢する。 しかし、男の入浴は女ほど手間がかからないのは道理で、 サイトが髪も身体も全て洗い終えてもキュルケはまだ髪をじっくり手入れするように洗っているところだった。 サイトは先に香水の良い香りのする湯船につかり、しばし煩悩を忘れてリラックスした。 (ゆず風呂の凄いバージョンだなこりゃ……) 貼られた湯には様々なハーブや果物が浮かんでいる。これは女性ならさぞかし美容健康に良いと評判だろう。 そんな感想を持つほど風呂好きなのは何だかんだで彼が日本人だからだろうか。 キュルケはどうしたのかと後ろを見ると、彼女は蒸気の噴き出している場所の前でバスタオルを敷いて俯せになっていた。 (なるほど、新陳代謝を良くして肌の艶とかを維持してるわけか) 彼女の隣には保湿液などの美容グッズが置かれている。 キュルケのあの色気も、何の努力や維持もなく備わっているわけではないのだろう。 と、彼女と目があった。 「ねえダーリン、ちょっと頼みがあるんだけど?」 キュルケは横になったまま、サイトを自分のもとへ呼んだ。 サイトは戸惑いながらも一応、手ぬぐいで前を隠して湯船から出る。 「これ、塗って欲しいんだけど」 渡されたのはどうやら化粧水の一種のようだ。よくわからないが、高級そうな容器に入っている。 「背中とか塗るのいつも大変なのよ」 「わ!?」 キュルケは身を包んでいたバスタオルをはだけ、一糸纏わぬ裸体になる。 一切の無駄がない背中のラインに、しっとりと湯と蒸気に濡れて光沢を放つ褐色の肌が艶めかしい。 「ごくり……」 「ふふ、お願いね」 キュルケが妖艶に彼を見やる。 「お、おう」 サイトは化粧水を手に取ると、遠慮がちに背中に触れた。 「あん……」 室温に比べて化粧水が冷たかったのか、あるいは単に彼の手に反応しただけなのか、 彼女は短く声を上げる。 サイトは入念に背中に化粧水を塗り込んでいく。 改めて、今の彼女が完全に裸であることが脳裏を過ぎる。 「はぁ……はぁ……」 触る麻薬の如く、ただの肌とは思えないほどの滑らかで淫らな感触。 これで興奮するなという方が無理な話だった。 手ぬぐいを巻いた股間は、もはや手ぬぐいの意味をなさないほどに彼の男根が自己主張してしまっている。 「塗り終わったかしら?」 「え? あ、うん」 キュルケはサイトのそんな切羽詰まった状態など意に介した様子もなく、 作業が終わったのを確認するとまたバスタオルを身体に巻いた。 「さて、湯船につかったら出ましょうか」 サイトの劣情を見破ったかのように、ひらりと湯船の方へと歩いていってしまう。 (……くそう、焦らされてるのか、俺?) サイトは自分の決断力のなさを呪った。 「ふうぅー……やっぱり貸し切りは気持ちがいいわぁ」 キュルケが優雅に湯船に身を委ねる。 決心したサイトはその横に腰を降ろした。 (よーし……) そっと彼女の側に寄りそう。 「ふふ、どうしたの? そんな真剣な顔しちゃって」 「いやさ、恋人同士が風呂に入るのは常識だろ?」 「ええ、そうね」 「確かさ……」 サイトは素早く彼女の潤んだ唇を奪った。 「ん……」 問答無用で舌を入れ、彼女の口内を蹂躙する。 「あむ……ん……ちゅ……」 案の定、キュルケは拒むどころか共に舌を絡めて受け入れてくれる。 「ぷは……」 「こういうことになっちゃうのも常識だよな?」 「ふふ、どうだったかしら? ……あん」 サイトは邪魔だとばかりに彼女の身体に巻かれたバスタオルを取り払う。 裸になった彼女を全身で抱き寄せ、再び深くキスを交わす。 そして、湯の中をまさぐり、彼女の敏感な部分を指で探し当てる。 そのまま小刻みに愛撫を始める。 彼がまさぐる度に、小さく湯船がピチャピチャと揺れた。 「ん……あ……あん……あぁ……」 キュルケのうなじにキスすると、彼女自身の香りが鼻をついた。 「さぁ、こっちにお尻向けて」 湯の中でさえ分かる彼女の粘液の感触に、挿入が可能であることを悟った彼は、そう耳打ちする。 彼女が湯殿の縁に上半身を預ける形で、バックから彼を受け入れる姿勢をとる。 彼が感じた通り、既に彼女の陰部はヒクヒクと雄を受け入れる準備ができていた。 「あ、しまった……」 と、そこに至って彼は重大なことに気付いた。 「どうしたの?」 「『膜』がないけど……」 膜、とはいわゆるゴムのことで、コンドームのこちらの世界での俗称だった。 おそらく本来こちらの世界にあったものではないのだろう、ゴム製品の概念がなかったため、そう呼ばれるようになったようだ。 日常的に性行為に及ぶようになった二人は、避妊には気を遣っていたため、 サイトは浴場ということもあってさすがに持参していなかったことを気にした。 「……ねぇ」 キュルケは自身の秘所にそっと指を這わせた。 そして、ゆっくりとその花弁を開いて見せる。 「外に出してくれたらいいから……」 「マジで?」 「うん、だから、きて……」 現代人であるサイトは、生で挿入するだけで妊娠の危険が多少あることを知っていたため、 逡巡を見せたが、同時にキュルケがその辺りの管理を疎かにするような性格でないことも理解していた。 彼女がいいと言うのなら、問題ないのだろう。 不安は残るが、今はその不安でさえどこか興奮の材料になっている気さえした。 「じゃあ、いくよ?」 「ええ……」 浴場という公共の場で事に及ぶ背徳感と、久々のノースキンでのセックスに、 サイトはこのままのぼせて倒れてもおかしくないほどの興奮を覚えていた。 彼女自身が開いている花弁へと自分の先端をあてがうと、 最初から手加減することもできず、思い切り彼女の腰へと打ち付ける。 「あうぅぅーーーーっ!?」 「おぉっ!!」 パンパンと荒々しく腰を打ち付ける音が浴場内に反響する。 彼が雄々しく打ち込む度に、湯船がバシャバシャと波打った。 「あっ! あっ! あひぃっ! ダーリン、凄いわ! 逞しい!」 雄の本能だろうか、サイトは何の障壁もなくキュルケと繋がっている快感に我を忘れそうだった。 魔法に頼らず、武器のみを頼りに戦ってきたサイトの身体は、 キュルケにとっても男らしさを感じることのできる数少ない異性だった。 背後から突かれるという被虐的な体位も、その熱情を加速させる。 「い、いいわっ! ダーリン、もっと激しく突いてっ! ああぁっ!」 サイトは背後から突き上げる衝撃でゆさゆさと揺れるその乳房を揉みし抱く。 胸の張り具合がいつもより挑発的だ。おそらくキュルケは生理が近いのだろう。 彼は試すようにじっくりと奥深くまで先端を進める。 「やぁんダーリン!? そんなとこ突いちゃダメぇ!」 子宮口に先端を押し当てるようにして、ポルチオを刺激する。 キュルケは予想外の責めに狼狽の様子を見せた。 「本当にそうかな? キュルケのここ、すごく気持ち良さそうにヒクついてるよ?」 「あぁ……こんな感覚初めて……」 キュルケは最初は戸惑っていたが、次第に良さを理解したようだった。 性体験の少ない女性では単に痛いだけなので、 もしかしたらこの快感を享受できるのは学院でキュルケしかいないのかもしれない。 「凄い、俺のを締め付けてきてるよ……うぅ、もうイキそうだ」 「あん、どこに出したいの?」 サイトは徐々に最後へ向けてピストン運動を早めながら、彼女の耳元で囁く。 「おっぱいを寄せてくれるかい?」 「あっ! あっ! あぁんっ! わ、分かったわ」 「うおぁ!? い、イクっ!!」 「んぁっ!」 ちゅぷん、と愛液を引きずる音を立てて、サイトが限界寸前のペニスを引き抜いた。 そして、自分の方へ向き直って胸を寄せ上げるキュルケへ狙いを定めると、迸りを解き放つ。 「うぁああっ! キュルケ!」 「あぁん! あ、熱い……」 ビクビクと腰を震わせ、サイトはその淫乳に向けて白濁液を放っていた。 降り注いだ白い液は、褐色の谷間にへばりつくと、湯と混ざり合って流れていく。 湯船の香水の香りの中に、二人の性交の生臭さが微かに混じった。 「はぁ……はぁ……」 キュルケの胸になぜこれほどまでに興奮するのか、サイトはふと理解できた。 テファの胸のように、それが何なのか、何の魅力があるのか分からずに大きさだけあるのではない、 キュルケのそれは十分に手入れされ、男がそれにどんな興奮を抱くのか熟知した上でその大きさを誇っている。 「最高だよ……」 最後の一滴まで振りかけ、サイトはキュルケに改めて完敗している自分に気付いた。 ◇ 翌日 「あんまり昼間に会うのはよくないんじゃないの? ルイズ探してたわよ」 「う、うん、でもまあ、せっかく恋人同士なんだし、昼飯を一回一緒に食うくらいはさ」 人気のない学院の尖塔の一つの上で、二人はバスケットを開けていた。 キュルケは会う回数が頻繁になることを気にしていたが、サイトの好意にまんざらでもない。 「まあ、それもそうだけど……」 と、そこへ人影が一つ近づいてくる。 気配を察し、二人が見ると、それはタバサだった。 「あら?」 「どうしたんだこんなところまで?」 タバサは二人をしげしげと観察すると、何を思ったかこくりと頷いた。 そして、踵を返してその場を去っていく。 「ちょ、ちょっとタバサ、いったい何しに来たってのよ?」 タバサは足を止めると、くるりと親友の方へと顔を向けた。 そして、ぼそりと一言 「あまり人が来る場所でいちゃつかない方がいい……昨日は難儀した」 とだけ言ってスタスタと歩いて行ってしまう。 残された二人は「昨日……?」と顔を見合わせた。 「……誰もこなかったのって、もしかして?」 何でもない昼休みが、過ぎていった。 <続く?>
タイムスタンプを変更しない
「ほぉー、旦那がアンタに落ち着くとは意外なもんだなぁオイ」 その夜、事の説明を受けたデルフリンガーがそんな率直な感想を漏らした。 「あらぁ、心外ねぇ。アタシの魅力に今になってようやく気付いてくれただけよぉ」 目の前の豊かな紅い髪とバストを持つ少女は、おっほっほと高飛車に笑って応じる。 恥じらいなくそういった返しができるのは流石だった。 「わはは、言うじゃなねえかゲルマニアの嬢ちゃん。俺ぁ気にいったぜ!」 「は、ははは……」 サイトはそんな二人のやりとりに乾いた笑いを漏らすよりない。 デルフとはほとんどの時間を共にしているせいもあり、ルイズと違ってごまかすのには限界があった。 サイトとキュルケは二人で話し合った結果、今夜それぞれの近しい者、かつ信頼できる相手に限って関係を打ち明けることになったのだ。 苦渋の決断だったが、幸先は良かった。 デルフの適当さが今はありがたくサイトには感じられた。 「ま、俺ぁ相棒の味方だからよ。あの嬢ちゃんに黙ってて欲しいならそうするさね」 「ありがとう、デルフ」 「いーって事よ」 思いの外、デルフは二人の関係を祝福してくれたようだった。 ルイズへの情報漏洩の件もどうにかなった。 サイトはひとまず胸をなで下ろす。 フレイムが部屋の隅できゅるきゅると心なしか応援するような声で鳴いた。 「しかしそうかー、旦那にもようやく春が来たたぁなぁ。惚気話でも俺ぁ聞いてやるぜ旦那ぁ?」 デルフは異を唱えるどころか喜々として話を振ってきそうだったので、サイトはそれとなくキュルケに尋ねる。 恋人との関係を自慢できるほどのスキルも経験も不足していたからだ。 「そういえば、キュルケの方は他に誰か教えたりする予定ないのか?」 「あら、そうだわ……そういえばそろそろ」 キュルケが思い出した様子を見せると、部屋のドアを軽くノックする音が聞こえた。 「あら、噂をすれば……どーぞ!」 キュルケがそう呼びかけると、ドアが開く。 ちょこんと小柄な水色の髪をした少女と、幾分グラマラスな快活そうな少女の姿。 現れたのはタバサと、その使い魔のシルフィだった。 「話って何……?」 「きゅいきゅいー! 何でサイトがこの部屋にいるのね?」 無表情に首を傾げるが、キュルケもサイトもその無表情の中にも微かな戸惑いが隠されているのが、なんとなしに理解できた。 キュルケはサイトに目配せする。 「ま、ダーリンも分かるわよね?」 「そうだな、キュルケはタバサとは親友だし」 そもそも、口止めせずとも本来からして無口なタバサに念を押す必要はないのかもしれない。 しかし、キュルケにしてみれば一種の友情の証として打ち明けたかったのだろう。 (ギーシュたちはボロ出しそうだからしばらく様子見しとかないとなぁ……) 自分の親友と呼べる連中を思い出したサイトだったが、 気を利かせたつもりで女子風呂覗きなどの余計な自爆をした前科も考え、今回は保留しておくことに決定したのだった。 ・ ・・ ・・・ 「……と、言うことでアタシ達、付き合うことになったから!」 キュルケがまるでオペラ女優のように演技がかった大仰な説明を終える。 目の前のタバサは一見すると無関心なように微動だにしない。シルフィはほへー、と降ってわいた大事件に目を白黒させている。 だが、ややあって二人の顔を交互に見やり、滅多に見せない僅かな笑みを浮かべた。 「応援、する……」 「意外なのね! まさかそんな色情魔と」 「こら……」 「あう、ごめんなさいなのねお姉さま!」 タバサにとっても意外なことこの上なかったのだろう。 しかし、彼女にとってはキュルケもサイトも共にかけがえのない存在である。 二人の仲に異を唱える理由はなかったようだ。 使い魔であるシルフィも主人がそうなら心配はないだろう。 「ああんタバサ! やっぱりそう言ってくれると信じてたわぁ!」 キュルケは小柄な親友をその豊かな胸で抱きしめると、まるで母親が子供を褒めるかのように頭を撫でた。 タバサは相変わらず無表情だったが、サイトには微妙に苦笑いしているように見えた。 「おうおう、せっかくだしよぅ、身内みてえなもんだし何か飲むもんでもねえのか?」 「デルフ、お前あっても別に飲めないだろ?」 「気分の問題さね」 「そうなのね! 何か食べ物も欲しいのね!」 「そういえば実家からいくらか送り物のワインとゲルマニア食があったわねぇ」 「いいのかキュルケ?」 「あっても全部は食べきれないでいつも誰かにあげちゃうから調度いいわ」 デルフの提案で、その夜はしばしの間、キュルケの郷土からの品々を肴に酒宴をはることになった。 ・ ・・ ・・・ 「んごー……」 夜も更けた頃、タバサが満腹で酔いつぶれそうなシルフィを自分の部屋にひっぺがして帰り、 デルフは場の空気を楽しんだのかその場で寝てしまった。 「ったく、調子の良い連中だな」 「あはは、そうねぇ」 サイトは転がったゲルマニアワインの空瓶や食べ散らかされた燻製食品などを片付けながらそう漏らした。 ああ見えてタバサが大食漢なので、結構な量あったように見えた食べ物も今は跡形もない。 サイトが片付けているのを横目に、キュルケは窓に腰掛け、小さく言った。 「でも、嬉しかったわ……」 サイトもそれは同感だった。 「ああ、そうだな……」 ルイズの使い魔として制約の多い自分との関係を応援すると言ってくれる人間が……厳密には人間じゃないのもいるが……少なからずいたのだ。 それはサイトにとっても大きな安心だった。 同時に、いざこうして二人きりになると、彼は急に不安に駆られた。 何か、恋人同士になったからには特別なことをしなければいけないような強迫観念に襲われたからだった。 応援してくれている人のためにも、より良い二人の関係を築いていかなければならない。 しかし、考えてもあまり良い案は思いつかなかった。 こんな時ばかりは、普段は小馬鹿にしている貴族らしさというものが重要なもののように思えてくる。 (ここは一つ、気の利いた言葉を……) サイトが必死になって思考を巡らせていると 「あら、そうだわ」 とキュルケがふと思い出したような声を上げた。 「どうしたの?」 「今日、私まだ湯浴みが済んでないの」 「ああ、お風呂か」 急に生活臭のする話になったので、サイトは気が抜ける思いだった。 しかし、言われてみれば自分も風呂がまだだった。 キュルケの部屋には彼女が操ることのできる魔法の関係もあって、個人用のバスがある。 「今日はなんか自分で沸かす気にはならないわね……」 サイトの視線に手をひらひらと振って彼女は答える。 散々楽しんだ後、面倒な作業を嫌うのはキュルケらしいといえた。 「となると大浴場行くか」 「そうね」 今となっては自分も名目上とはいえ貴族なので、堂々と風呂を利用できるのはありがたかった。 サイトはルイズを起こさないようにデルフを部屋に置いてくると、風呂道具を持って浴場へと向かった。 ◇ 早速というか、問題が発生した。 「あ、あのう……」 「何かしら?」 問いかけるサイトに、キュルケは全くもって平然と応じた。 「お、俺まで女湯に入るのはマズいんじゃあ?」 脱衣所の中で、サイトは誰か入って来たりしないかびくびくしていた。 「大丈夫よ、この時間はほとんど誰も利用してないから」 そういう問題か、と思ったが、既にキュルケの押しと下心に負けてしまっていたのではしょうがない。 しかも、内心ではそう言いつつも目の前で、しゅるり、と衣服を脱ぎ始めたキュルケに目が釘付けになっている。 「恋人同士が風呂に一緒に入るのは常識よ?」 いくら貴族文化に疎いといってもそれは嘘だ、と心の中でツッ込んだが、キュルケと入浴という誘惑は確かに魅力的だった。 それに、恋人同士という大義名分はなんとも自己弁護に都合が良い響きを持っていた。 「ふふ……どうするの、今から男湯に行く?」 キュルケは挑発するように微笑を浮かべ、セクシーな下着姿を見せつける。 褐色の肌に、精緻な刺繍の施された黒いランジェリーが映える。 「ううう……」 男として選択肢は残されていなかった。 ◇ 浴場内は湯気に包まれ、視界は良好とは言い難かった。 しかし、それでも幸い中に誰もいないことくらいは分かった。 ここはいわゆる銭湯のような所帯じみたものではなく、貴族の子女が入るためのものとあって、 湯船には香水の香りが混じっていた。 その豪勢さに複雑な表情でいる内に、キュルケは身体を洗い始める。 サイトはその裸体をじっくりと鑑賞したい衝動に駆られたが、自分も身体を洗う必要があったので我慢する。 しかし、男の入浴は女ほど手間がかからないのは道理で、 サイトが髪も身体も全て洗い終えてもキュルケはまだ髪をじっくり手入れするように洗っているところだった。 サイトは先に香水の良い香りのする湯船につかり、しばし煩悩を忘れてリラックスした。 (ゆず風呂の凄いバージョンだなこりゃ……) 貼られた湯には様々なハーブや果物が浮かんでいる。これは女性ならさぞかし美容健康に良いと評判だろう。 そんな感想を持つほど風呂好きなのは何だかんだで彼が日本人だからだろうか。 キュルケはどうしたのかと後ろを見ると、彼女は蒸気の噴き出している場所の前でバスタオルを敷いて俯せになっていた。 (なるほど、新陳代謝を良くして肌の艶とかを維持してるわけか) 彼女の隣には保湿液などの美容グッズが置かれている。 キュルケのあの色気も、何の努力や維持もなく備わっているわけではないのだろう。 と、彼女と目があった。 「ねえダーリン、ちょっと頼みがあるんだけど?」 キュルケは横になったまま、サイトを自分のもとへ呼んだ。 サイトは戸惑いながらも一応、手ぬぐいで前を隠して湯船から出る。 「これ、塗って欲しいんだけど」 渡されたのはどうやら化粧水の一種のようだ。よくわからないが、高級そうな容器に入っている。 「背中とか塗るのいつも大変なのよ」 「わ!?」 キュルケは身を包んでいたバスタオルをはだけ、一糸纏わぬ裸体になる。 一切の無駄がない背中のラインに、しっとりと湯と蒸気に濡れて光沢を放つ褐色の肌が艶めかしい。 「ごくり……」 「ふふ、お願いね」 キュルケが妖艶に彼を見やる。 「お、おう」 サイトは化粧水を手に取ると、遠慮がちに背中に触れた。 「あん……」 室温に比べて化粧水が冷たかったのか、あるいは単に彼の手に反応しただけなのか、 彼女は短く声を上げる。 サイトは入念に背中に化粧水を塗り込んでいく。 改めて、今の彼女が完全に裸であることが脳裏を過ぎる。 「はぁ……はぁ……」 触る麻薬の如く、ただの肌とは思えないほどの滑らかで淫らな感触。 これで興奮するなという方が無理な話だった。 手ぬぐいを巻いた股間は、もはや手ぬぐいの意味をなさないほどに彼の男根が自己主張してしまっている。 「塗り終わったかしら?」 「え? あ、うん」 キュルケはサイトのそんな切羽詰まった状態など意に介した様子もなく、 作業が終わったのを確認するとまたバスタオルを身体に巻いた。 「さて、湯船につかったら出ましょうか」 サイトの劣情を見破ったかのように、ひらりと湯船の方へと歩いていってしまう。 (……くそう、焦らされてるのか、俺?) サイトは自分の決断力のなさを呪った。 「ふうぅー……やっぱり貸し切りは気持ちがいいわぁ」 キュルケが優雅に湯船に身を委ねる。 決心したサイトはその横に腰を降ろした。 (よーし……) そっと彼女の側に寄りそう。 「ふふ、どうしたの? そんな真剣な顔しちゃって」 「いやさ、恋人同士が風呂に入るのは常識だろ?」 「ええ、そうね」 「確かさ……」 サイトは素早く彼女の潤んだ唇を奪った。 「ん……」 問答無用で舌を入れ、彼女の口内を蹂躙する。 「あむ……ん……ちゅ……」 案の定、キュルケは拒むどころか共に舌を絡めて受け入れてくれる。 「ぷは……」 「こういうことになっちゃうのも常識だよな?」 「ふふ、どうだったかしら? ……あん」 サイトは邪魔だとばかりに彼女の身体に巻かれたバスタオルを取り払う。 裸になった彼女を全身で抱き寄せ、再び深くキスを交わす。 そして、湯の中をまさぐり、彼女の敏感な部分を指で探し当てる。 そのまま小刻みに愛撫を始める。 彼がまさぐる度に、小さく湯船がピチャピチャと揺れた。 「ん……あ……あん……あぁ……」 キュルケのうなじにキスすると、彼女自身の香りが鼻をついた。 「さぁ、こっちにお尻向けて」 湯の中でさえ分かる彼女の粘液の感触に、挿入が可能であることを悟った彼は、そう耳打ちする。 彼女が湯殿の縁に上半身を預ける形で、バックから彼を受け入れる姿勢をとる。 彼が感じた通り、既に彼女の陰部はヒクヒクと雄を受け入れる準備ができていた。 「あ、しまった……」 と、そこに至って彼は重大なことに気付いた。 「どうしたの?」 「『膜』がないけど……」 膜、とはいわゆるゴムのことで、コンドームのこちらの世界での俗称だった。 おそらく本来こちらの世界にあったものではないのだろう、ゴム製品の概念がなかったため、そう呼ばれるようになったようだ。 日常的に性行為に及ぶようになった二人は、避妊には気を遣っていたため、 サイトは浴場ということもあってさすがに持参していなかったことを気にした。 「……ねぇ」 キュルケは自身の秘所にそっと指を這わせた。 そして、ゆっくりとその花弁を開いて見せる。 「外に出してくれたらいいから……」 「マジで?」 「うん、だから、きて……」 現代人であるサイトは、生で挿入するだけで妊娠の危険が多少あることを知っていたため、 逡巡を見せたが、同時にキュルケがその辺りの管理を疎かにするような性格でないことも理解していた。 彼女がいいと言うのなら、問題ないのだろう。 不安は残るが、今はその不安でさえどこか興奮の材料になっている気さえした。 「じゃあ、いくよ?」 「ええ……」 浴場という公共の場で事に及ぶ背徳感と、久々のノースキンでのセックスに、 サイトはこのままのぼせて倒れてもおかしくないほどの興奮を覚えていた。 彼女自身が開いている花弁へと自分の先端をあてがうと、 最初から手加減することもできず、思い切り彼女の腰へと打ち付ける。 「あうぅぅーーーーっ!?」 「おぉっ!!」 パンパンと荒々しく腰を打ち付ける音が浴場内に反響する。 彼が雄々しく打ち込む度に、湯船がバシャバシャと波打った。 「あっ! あっ! あひぃっ! ダーリン、凄いわ! 逞しい!」 雄の本能だろうか、サイトは何の障壁もなくキュルケと繋がっている快感に我を忘れそうだった。 魔法に頼らず、武器のみを頼りに戦ってきたサイトの身体は、 キュルケにとっても男らしさを感じることのできる数少ない異性だった。 背後から突かれるという被虐的な体位も、その熱情を加速させる。 「い、いいわっ! ダーリン、もっと激しく突いてっ! ああぁっ!」 サイトは背後から突き上げる衝撃でゆさゆさと揺れるその乳房を揉みし抱く。 胸の張り具合がいつもより挑発的だ。おそらくキュルケは生理が近いのだろう。 彼は試すようにじっくりと奥深くまで先端を進める。 「やぁんダーリン!? そんなとこ突いちゃダメぇ!」 子宮口に先端を押し当てるようにして、ポルチオを刺激する。 キュルケは予想外の責めに狼狽の様子を見せた。 「本当にそうかな? キュルケのここ、すごく気持ち良さそうにヒクついてるよ?」 「あぁ……こんな感覚初めて……」 キュルケは最初は戸惑っていたが、次第に良さを理解したようだった。 性体験の少ない女性では単に痛いだけなので、 もしかしたらこの快感を享受できるのは学院でキュルケしかいないのかもしれない。 「凄い、俺のを締め付けてきてるよ……うぅ、もうイキそうだ」 「あん、どこに出したいの?」 サイトは徐々に最後へ向けてピストン運動を早めながら、彼女の耳元で囁く。 「おっぱいを寄せてくれるかい?」 「あっ! あっ! あぁんっ! わ、分かったわ」 「うおぁ!? い、イクっ!!」 「んぁっ!」 ちゅぷん、と愛液を引きずる音を立てて、サイトが限界寸前のペニスを引き抜いた。 そして、自分の方へ向き直って胸を寄せ上げるキュルケへ狙いを定めると、迸りを解き放つ。 「うぁああっ! キュルケ!」 「あぁん! あ、熱い……」 ビクビクと腰を震わせ、サイトはその淫乳に向けて白濁液を放っていた。 降り注いだ白い液は、褐色の谷間にへばりつくと、湯と混ざり合って流れていく。 湯船の香水の香りの中に、二人の性交の生臭さが微かに混じった。 「はぁ……はぁ……」 キュルケの胸になぜこれほどまでに興奮するのか、サイトはふと理解できた。 テファの胸のように、それが何なのか、何の魅力があるのか分からずに大きさだけあるのではない、 キュルケのそれは十分に手入れされ、男がそれにどんな興奮を抱くのか熟知した上でその大きさを誇っている。 「最高だよ……」 最後の一滴まで振りかけ、サイトはキュルケに改めて完敗している自分に気付いた。 ◇ 翌日 「あんまり昼間に会うのはよくないんじゃないの? ルイズ探してたわよ」 「う、うん、でもまあ、せっかく恋人同士なんだし、昼飯を一回一緒に食うくらいはさ」 人気のない学院の尖塔の一つの上で、二人はバスケットを開けていた。 キュルケは会う回数が頻繁になることを気にしていたが、サイトの好意にまんざらでもない。 「まあ、それもそうだけど……」 と、そこへ人影が一つ近づいてくる。 気配を察し、二人が見ると、それはタバサだった。 「あら?」 「どうしたんだこんなところまで?」 タバサは二人をしげしげと観察すると、何を思ったかこくりと頷いた。 そして、踵を返してその場を去っていく。 「ちょ、ちょっとタバサ、いったい何しに来たってのよ?」 タバサは足を止めると、くるりと親友の方へと顔を向けた。 そして、ぼそりと一言 「あまり人が来る場所でいちゃつかない方がいい……昨日は難儀した」 とだけ言ってスタスタと歩いて行ってしまう。 残された二人は「昨日……?」と顔を見合わせた。 「……誰もこなかったのって、もしかして?」 何でもない昼休みが、過ぎていった。 <続く?>
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