ゼロの使い魔保管庫
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ゼロ魔ジョーク(っぽいもの)集 by205 #br #br 『不能』 #br 紆余曲折の果てに、ルイズと才人は結婚した。 夫婦になったということで完全に躊躇がなくなり、二人の初夜は実に激しいものとなった。 その翌日、一人歩いていたルイズは、にやけた顔のキュルケに呼び止められた。 「おはよう。昨日の夜はさぞかし情熱的だったでしょうねえ?」 その通りだったが、そのまま事実を伝えるのは憚られた。 (わたしたちは由緒正しいトリステイン貴族だもの。慎み深い夫婦だと思われなければいけないわ) そう考えたルイズは、躊躇いなく首を振った。 「いいえ、ようやく結ばれた喜びを噛み締めて、ただただ静かに眠ったわ」 「嘘ね。あのサイトが、そんなお預けに耐えられるはずないもの」 「本当よ。彼はトリステイン貴族なんだもの。昨日の態度はまさに紳士の中の紳士だったわ」 「へえ。どんな具合だったの?」 ただ手を出さなかった、ではインパクトが薄いだろう。 彼をもっともっと自制心の強い紳士的な男だと思わせる必要がある。 そう考えて、ルイズは胸を張って言った。 「わたしの裸を見ても、彼はぴくりとも反応しなかったわ」 #br #br 『まずサイトを寄越せと』 #br 「体が夜泣きして耐えられない」 と前々から主張していたアンリエッタ女王であったが、最近はそれが原因で執務にも滞りが出るよ うになってきた。 「こうなれば仕方がない。陛下のお望みどおりにして差し上げるとしよう」 近衛隊長アニエスは、そのための手はずを整えた。 常識的に考えて女王が絶対に近寄らない場末の安宿の一室を秘密裏に借り受け、水魔法により変装 と避妊処置を施したアンリエッタに思う存分性欲を発散してもらう、という次第である。 「お気に召されましたか、陛下。避妊はもちろん性病に対する対策も万全ですので、安心してお楽し みください」 「素晴らしいですわ隊長殿。ところでサイト殿はもちろんいらっしゃいますのよね?」 「一応誘ってはみましたが、まあ彼の前に他の男たちでお楽しみください。いずれも劣らぬ絶倫揃い でありますゆえ」 最初の男が部屋に入っていったあと、アニエスは一人ほくそ笑んだ。 (いかに淫乱な陛下と言えども、私が選び抜いたあの男たち全員を相手にしては、腰も立たぬほど疲 れ果ててしまうに違いない。連中には『あの女は稀に見る淫売だ、どんなプレイでも遠慮なく試して みるといい』と伝えてあるからな) つまり、アンリエッタがうんざりするほど責め立てられ、「もう殿方と寝るのはこりごり」という 状態になって、執務に集中するようになってくれるのが、アニエスの望みなのだった。 さて、それから数刻ほどの時間が過ぎた。既に、十数人ほどの男たちが部屋に出入りしているはず である。 (まさか、これほどの男たちを相手にしても疲れていないというのか……) 不安になったとき、部屋の中からアンリエッタがアニエスを呼んだ。 ほっと息を吐きつつ入っていくと、アンリエッタはうんざりしたような顔つきでベッドに横たわり、 頭をもたげてこちらを見ていた。 (これは、相当お疲れのご様子だ。どうやらわたしの策は大当たりだったようだな) 喜ぶアニエスに、アンリエッタは気だるげに言った。 「アニエス。いい加減にして下さいな」 「はっ、了解いたしました。では、すぐにここを引き払って……」 「違います。わたしは、この前戯はいつまで続くのかと訊いているのです」 #br #br 『戦う理由』 #br ロマリア教皇の激に従って、西ハルケギニア各国の総力を結集した十字軍が結成されることとなっ た。世に言う第十一次十字軍である。 トリステインでも当然この激に賛同し、貴族平民問わずの第十一次十字軍兵士を募ることになった のだが、徴兵の具合は芳しくなかった。 「どうして国民はこの聖なる軍隊に参加しないのかしら、アニエス?」 「はっ。我が国はロマリアほど宗教熱が高いわけではありませんし、聖地奪回の戦いと言えど、エル フどもは強力です。多少の報酬があったとしても、尻ごみするのは仕方のないことかと。事実、通常 の戦には喜んで参加を申し出る傭兵たちでも、今回は軒並み沈黙を保っております」 「困りましたね。現状では、貴族はともかく平民からの志願が少なすぎます」 「いっそのこと強制的に徴兵しては?」 「始祖ブリミルへの自発的な奉仕という建前がある以上、それは出来ないのです」 「そうでしたね……もっと魅力的な報酬でもあればいいのですが」 「ああ、それだわアニエス。名案を思いつきました。すぐに演説の準備をして頂戴」 翌日、トリステインで一番広い広場に、国中からたくさんの成人男性が集められた。一体何が始ま るのかと不安にざわめく彼らの前に、女王アンリエッタが進み出て言った。 「本日皆様にお集まりいただいたのは、聖地奪回の戦に志願していただくためです」 可憐な美少女でもあるアンリエッタによる演説が始まったが、賛同の声はなかなか起こらなかった。 アンリエッタは最後に、東方で取得したものは全て取得者の財産となる旨を説明した後、一人の少女 を演壇に招いた。 その少女が壇上に上がったとき、男たちの間から大きなどよめきが起こった。彼女の耳がエルフの ように長かったことはもちろん、それ以上に、彼女の異常なほどに膨らんだ胸部が、彼らの驚きの源 であった。 ざわめく男たちをゆっくりと睥睨したアンリエッタは、傍らで真っ赤な顔をして俯いている長い耳 の少女の背後に回ると、両手を伸ばして彼女の胸を激しく揉みしだき始めた。 「ひゃぁんっ、あぅんっ、いやぁっ……!」 男たちの注視の中で規格外の胸を思う存分揉まれた少女は、近衛隊長に付き添われて泣きながら演 壇を下りた。 総じて前屈みになった男たちを再度ゆっくりと睥睨して、アンリエッタは厳かに宣言した。 「エルフの女は、全員がああいった娘なのです」 第十一次十字軍は史上最大の規模となった。 #br #br 『せめて……』 #br 「体が夜泣きして耐えられません」 と駄々をこねて寝室に引きこもっていたアンリエッタだったが、さすがにそういう生活も三日を過 ぎる頃には反省の念が出てくるというものだった。 (いけないわ、少し体が疼くぐらいで、皆さんに迷惑をかけて……今日から執務に復帰することにし ましょう) とは言え、全く動いていない生活を三日も続けていたために、少し体が固くなった気がした。 (気分転換も兼ねて、少し遠乗りでもしてきましょうか) そう決めたアンリエッタは、自室を出て真っ直ぐアニエスのところに向かった。 「アニエス、少し遠乗りをしたいのですが、よろしいかしら」 自分の机に向かって仕事をしていたアニエスは、書類から顔を上げて疲れたようにため息を吐いた。 「陛下、お気持ちは分かりますが、せめて相手は人間に留めていただけないでしょうか」 #br #br 『判定基準』 #br 東方を冒険中、ルイズとタバサは不運なことにエルフに捕まってしまった。 「わたしたちをどうするつもりなのかしら」 「こういうときは無茶苦茶に犯されると相場が決まってる」 二人のひそひそ話を聞きとがめたのか、見張りのエルフが咳払いをして言った。 「心配せずとも、そんなことはしない」 「あら、案外紳士なのね」 「当たり前だ」 エルフは二人の姿をちらりと見て、馬鹿にしたように鼻を鳴らした。 「我が種族には、蛮人と違って同姓を性の対象とするものなど一人もおらん」 #br #br 『満場一致』 #br 「貧民の生活を実際に体験して、施政のヒントにしたいのですが」 アンリエッタの提言により、彼女は一時平民の女に変装して、『魅惑の妖精亭』という酒場で働く ことになった。 「陛下、くれぐれも、自分が女王だと悟られてはなりませぬ。御身に危険が及びますゆえ」 「もちろん分かっておりますわアニエス。ああいった場所の女性がどういった振る舞いをするかは勉 強済みです」 アンリエッタは自信満々に出かけていった。 数日後、女王を迎えるために『魅惑の妖精亭』に足を運んだアニエスは、ほんの戯れにこんな質問をした。 「この中に女王様がおいでだったのだが、気付いた者はいるか?」 アンリエッタの変装術はなかなかのものだったから、まず気付いた者はおるまい……と思っていた アニエスだったが、意外なことに、店内にいた男性客は、揃って変装していたアンリエッタを指差した。 (なんと。平民の格好をしていても、やはり王族の気品は隠しきれないということなのか) 驚嘆したアニエスだったが、あることに気がついて首を傾げた。 (どうして、この男たちの体には揃いも揃ってミミズ腫れがあるんだろうか) #br #br 『友人』 #br 異世界に召喚された才人少年は、ご主人様たるルイズに友人がいないことを気の毒に思った。 (待ってろよルイズ、俺がお前に心の支えを用意してやるからな) 翌日、ルイズの枕元に服を着せられた洗濯板が横たわっていた。 #br #br 『判別不能』 #br ある日、ルイズが歩いていると、広場の片隅でこんな光景を目にした。 「シエスタ……! あ、当たってるんですけど?」 「うふふ……当ててるんですよ」 メイドの少女が、ルイズの使い魔である少年の背中に、大きな胸を押し付けていたのである。ルイ ズは激怒した。 「なによあの淫乱女! 馬鹿犬も馬鹿犬だわ、ご主人様というものがありながら……!」 怒り心頭である。だが、ここで馬鹿正直に怒ってはメイドの巨乳に自分が嫉妬していると思われて しまう。そこで、ルイズはとりあえず無言の抗議をしてみることにした。 その日、いつもの通りベッドに入ってきた才人に対し、ルイズは背中を向けていた。 「おいどうしたんだよ、なんか機嫌悪ぃな」 「別に」 出来る限り素っ気なく対応すると、才人は「そうか」と呟いたきり何も言わなくなってしまう。肩 越しにちらっと見てみると、彼のほうもルイズに背中を向けて横になっていた。 (なによ、ご主人様が元気なくしてるんだから、もっと気にしなさいよね!) いよいよ頭に来たルイズは、背中を向けたまま猛然と才人の方にすり寄り、そのまま彼の背中に自 分の背中を押し付けた。 (見てなさいよ、あんたなんかわたしのベッドから押し出してやるんだから) そうやって一生懸命彼の背中を自分の背中で押していると、不意に才人がどもりながら言った。 「あ、当たってるんですけど?」 #br #br 『アルヴィー』 #br 「ついに完成しましたぞ陛下、陛下の容姿、性格、行動を寸分の狂いなく再現するアルヴィーでございます」 魔法研究員スァン・スェンタイから報告を受けたアンリエッタは、喜び勇んでそのアルヴィーを起 動してみた。 「あなたのお名前とご職業は?」 「アンリエッタです。トリステイン王国にて女王の位に就いております」 「そう。では向こう三日間のあなたのスケジュールを言ってご覧なさい」 「はい。本日はロマリア教皇との会見を行い、明日は……」 アルヴィーは完璧にアンリエッタの予定を諳んじてみせた。これなら安心だと満足したアンリエッ タは、早速アルヴィーに自分の影武者を務めるように命じた。 「分かりました。アンリエッタ女王として振舞えばよろしいのですね」 「ええそうです。わたしなら必ずそうするといった具合に振舞ってくださいまし」 そう命じたアンリエッタは、変装して意気揚々と城を出て、一路トリステイン魔法学院に向かった。 そこで夜泣きのする体を思う存分慰めてもらい、弾むような足取りで城に戻ったのである。 ところが、帰ってみると城は騒然としていた。不思議に思いながら部屋に戻って変装を解いている と、駆け込んできたアニエスが目を吊り上げて怒鳴った。 「陛下、アルヴィーに身代わりをさせて城を出るなど、何を考えておられるのですか!?」 自分の企みが全てばれていることを知り、アンリエッタは驚きつつも必死に謝った。そうしてアニ エスの気分が落ち着いてきた頃、アンリエッタはおそるおそる問うた。 「でも信じられません。あれだけ完璧にわたしをコピーしていたアルヴィーの正体が、何故露見した のでしょう」 「完璧すぎたのです」 「と言いますと?」 アニエスはうんざりした顔で言った。 「二人きりになった途端に『体が夜泣きして耐えられない』と、ロマリア教皇様を押し倒したのですよ」
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ゼロ魔ジョーク(っぽいもの)集 by205 #br #br 『不能』 #br 紆余曲折の果てに、ルイズと才人は結婚した。 夫婦になったということで完全に躊躇がなくなり、二人の初夜は実に激しいものとなった。 その翌日、一人歩いていたルイズは、にやけた顔のキュルケに呼び止められた。 「おはよう。昨日の夜はさぞかし情熱的だったでしょうねえ?」 その通りだったが、そのまま事実を伝えるのは憚られた。 (わたしたちは由緒正しいトリステイン貴族だもの。慎み深い夫婦だと思われなければいけないわ) そう考えたルイズは、躊躇いなく首を振った。 「いいえ、ようやく結ばれた喜びを噛み締めて、ただただ静かに眠ったわ」 「嘘ね。あのサイトが、そんなお預けに耐えられるはずないもの」 「本当よ。彼はトリステイン貴族なんだもの。昨日の態度はまさに紳士の中の紳士だったわ」 「へえ。どんな具合だったの?」 ただ手を出さなかった、ではインパクトが薄いだろう。 彼をもっともっと自制心の強い紳士的な男だと思わせる必要がある。 そう考えて、ルイズは胸を張って言った。 「わたしの裸を見ても、彼はぴくりとも反応しなかったわ」 #br #br 『まずサイトを寄越せと』 #br 「体が夜泣きして耐えられない」 と前々から主張していたアンリエッタ女王であったが、最近はそれが原因で執務にも滞りが出るよ うになってきた。 「こうなれば仕方がない。陛下のお望みどおりにして差し上げるとしよう」 近衛隊長アニエスは、そのための手はずを整えた。 常識的に考えて女王が絶対に近寄らない場末の安宿の一室を秘密裏に借り受け、水魔法により変装 と避妊処置を施したアンリエッタに思う存分性欲を発散してもらう、という次第である。 「お気に召されましたか、陛下。避妊はもちろん性病に対する対策も万全ですので、安心してお楽し みください」 「素晴らしいですわ隊長殿。ところでサイト殿はもちろんいらっしゃいますのよね?」 「一応誘ってはみましたが、まあ彼の前に他の男たちでお楽しみください。いずれも劣らぬ絶倫揃い でありますゆえ」 最初の男が部屋に入っていったあと、アニエスは一人ほくそ笑んだ。 (いかに淫乱な陛下と言えども、私が選び抜いたあの男たち全員を相手にしては、腰も立たぬほど疲 れ果ててしまうに違いない。連中には『あの女は稀に見る淫売だ、どんなプレイでも遠慮なく試して みるといい』と伝えてあるからな) つまり、アンリエッタがうんざりするほど責め立てられ、「もう殿方と寝るのはこりごり」という 状態になって、執務に集中するようになってくれるのが、アニエスの望みなのだった。 さて、それから数刻ほどの時間が過ぎた。既に、十数人ほどの男たちが部屋に出入りしているはず である。 (まさか、これほどの男たちを相手にしても疲れていないというのか……) 不安になったとき、部屋の中からアンリエッタがアニエスを呼んだ。 ほっと息を吐きつつ入っていくと、アンリエッタはうんざりしたような顔つきでベッドに横たわり、 頭をもたげてこちらを見ていた。 (これは、相当お疲れのご様子だ。どうやらわたしの策は大当たりだったようだな) 喜ぶアニエスに、アンリエッタは気だるげに言った。 「アニエス。いい加減にして下さいな」 「はっ、了解いたしました。では、すぐにここを引き払って……」 「違います。わたしは、この前戯はいつまで続くのかと訊いているのです」 #br #br 『戦う理由』 #br ロマリア教皇の激に従って、西ハルケギニア各国の総力を結集した十字軍が結成されることとなっ た。世に言う第十一次十字軍である。 トリステインでも当然この激に賛同し、貴族平民問わずの第十一次十字軍兵士を募ることになった のだが、徴兵の具合は芳しくなかった。 「どうして国民はこの聖なる軍隊に参加しないのかしら、アニエス?」 「はっ。我が国はロマリアほど宗教熱が高いわけではありませんし、聖地奪回の戦いと言えど、エル フどもは強力です。多少の報酬があったとしても、尻ごみするのは仕方のないことかと。事実、通常 の戦には喜んで参加を申し出る傭兵たちでも、今回は軒並み沈黙を保っております」 「困りましたね。現状では、貴族はともかく平民からの志願が少なすぎます」 「いっそのこと強制的に徴兵しては?」 「始祖ブリミルへの自発的な奉仕という建前がある以上、それは出来ないのです」 「そうでしたね……もっと魅力的な報酬でもあればいいのですが」 「ああ、それだわアニエス。名案を思いつきました。すぐに演説の準備をして頂戴」 翌日、トリステインで一番広い広場に、国中からたくさんの成人男性が集められた。一体何が始ま るのかと不安にざわめく彼らの前に、女王アンリエッタが進み出て言った。 「本日皆様にお集まりいただいたのは、聖地奪回の戦に志願していただくためです」 可憐な美少女でもあるアンリエッタによる演説が始まったが、賛同の声はなかなか起こらなかった。 アンリエッタは最後に、東方で取得したものは全て取得者の財産となる旨を説明した後、一人の少女 を演壇に招いた。 その少女が壇上に上がったとき、男たちの間から大きなどよめきが起こった。彼女の耳がエルフの ように長かったことはもちろん、それ以上に、彼女の異常なほどに膨らんだ胸部が、彼らの驚きの源 であった。 ざわめく男たちをゆっくりと睥睨したアンリエッタは、傍らで真っ赤な顔をして俯いている長い耳 の少女の背後に回ると、両手を伸ばして彼女の胸を激しく揉みしだき始めた。 「ひゃぁんっ、あぅんっ、いやぁっ……!」 男たちの注視の中で規格外の胸を思う存分揉まれた少女は、近衛隊長に付き添われて泣きながら演 壇を下りた。 総じて前屈みになった男たちを再度ゆっくりと睥睨して、アンリエッタは厳かに宣言した。 「エルフの女は、全員がああいった娘なのです」 第十一次十字軍は史上最大の規模となった。 #br #br 『せめて……』 #br 「体が夜泣きして耐えられません」 と駄々をこねて寝室に引きこもっていたアンリエッタだったが、さすがにそういう生活も三日を過 ぎる頃には反省の念が出てくるというものだった。 (いけないわ、少し体が疼くぐらいで、皆さんに迷惑をかけて……今日から執務に復帰することにし ましょう) とは言え、全く動いていない生活を三日も続けていたために、少し体が固くなった気がした。 (気分転換も兼ねて、少し遠乗りでもしてきましょうか) そう決めたアンリエッタは、自室を出て真っ直ぐアニエスのところに向かった。 「アニエス、少し遠乗りをしたいのですが、よろしいかしら」 自分の机に向かって仕事をしていたアニエスは、書類から顔を上げて疲れたようにため息を吐いた。 「陛下、お気持ちは分かりますが、せめて相手は人間に留めていただけないでしょうか」 #br #br 『判定基準』 #br 東方を冒険中、ルイズとタバサは不運なことにエルフに捕まってしまった。 「わたしたちをどうするつもりなのかしら」 「こういうときは無茶苦茶に犯されると相場が決まってる」 二人のひそひそ話を聞きとがめたのか、見張りのエルフが咳払いをして言った。 「心配せずとも、そんなことはしない」 「あら、案外紳士なのね」 「当たり前だ」 エルフは二人の姿をちらりと見て、馬鹿にしたように鼻を鳴らした。 「我が種族には、蛮人と違って同姓を性の対象とするものなど一人もおらん」 #br #br 『満場一致』 #br 「貧民の生活を実際に体験して、施政のヒントにしたいのですが」 アンリエッタの提言により、彼女は一時平民の女に変装して、『魅惑の妖精亭』という酒場で働く ことになった。 「陛下、くれぐれも、自分が女王だと悟られてはなりませぬ。御身に危険が及びますゆえ」 「もちろん分かっておりますわアニエス。ああいった場所の女性がどういった振る舞いをするかは勉 強済みです」 アンリエッタは自信満々に出かけていった。 数日後、女王を迎えるために『魅惑の妖精亭』に足を運んだアニエスは、ほんの戯れにこんな質問をした。 「この中に女王様がおいでだったのだが、気付いた者はいるか?」 アンリエッタの変装術はなかなかのものだったから、まず気付いた者はおるまい……と思っていた アニエスだったが、意外なことに、店内にいた男性客は、揃って変装していたアンリエッタを指差した。 (なんと。平民の格好をしていても、やはり王族の気品は隠しきれないということなのか) 驚嘆したアニエスだったが、あることに気がついて首を傾げた。 (どうして、この男たちの体には揃いも揃ってミミズ腫れがあるんだろうか) #br #br 『友人』 #br 異世界に召喚された才人少年は、ご主人様たるルイズに友人がいないことを気の毒に思った。 (待ってろよルイズ、俺がお前に心の支えを用意してやるからな) 翌日、ルイズの枕元に服を着せられた洗濯板が横たわっていた。 #br #br 『判別不能』 #br ある日、ルイズが歩いていると、広場の片隅でこんな光景を目にした。 「シエスタ……! あ、当たってるんですけど?」 「うふふ……当ててるんですよ」 メイドの少女が、ルイズの使い魔である少年の背中に、大きな胸を押し付けていたのである。ルイ ズは激怒した。 「なによあの淫乱女! 馬鹿犬も馬鹿犬だわ、ご主人様というものがありながら……!」 怒り心頭である。だが、ここで馬鹿正直に怒ってはメイドの巨乳に自分が嫉妬していると思われて しまう。そこで、ルイズはとりあえず無言の抗議をしてみることにした。 その日、いつもの通りベッドに入ってきた才人に対し、ルイズは背中を向けていた。 「おいどうしたんだよ、なんか機嫌悪ぃな」 「別に」 出来る限り素っ気なく対応すると、才人は「そうか」と呟いたきり何も言わなくなってしまう。肩 越しにちらっと見てみると、彼のほうもルイズに背中を向けて横になっていた。 (なによ、ご主人様が元気なくしてるんだから、もっと気にしなさいよね!) いよいよ頭に来たルイズは、背中を向けたまま猛然と才人の方にすり寄り、そのまま彼の背中に自 分の背中を押し付けた。 (見てなさいよ、あんたなんかわたしのベッドから押し出してやるんだから) そうやって一生懸命彼の背中を自分の背中で押していると、不意に才人がどもりながら言った。 「あ、当たってるんですけど?」 #br #br 『アルヴィー』 #br 「ついに完成しましたぞ陛下、陛下の容姿、性格、行動を寸分の狂いなく再現するアルヴィーでございます」 魔法研究員スァン・スェンタイから報告を受けたアンリエッタは、喜び勇んでそのアルヴィーを起 動してみた。 「あなたのお名前とご職業は?」 「アンリエッタです。トリステイン王国にて女王の位に就いております」 「そう。では向こう三日間のあなたのスケジュールを言ってご覧なさい」 「はい。本日はロマリア教皇との会見を行い、明日は……」 アルヴィーは完璧にアンリエッタの予定を諳んじてみせた。これなら安心だと満足したアンリエッ タは、早速アルヴィーに自分の影武者を務めるように命じた。 「分かりました。アンリエッタ女王として振舞えばよろしいのですね」 「ええそうです。わたしなら必ずそうするといった具合に振舞ってくださいまし」 そう命じたアンリエッタは、変装して意気揚々と城を出て、一路トリステイン魔法学院に向かった。 そこで夜泣きのする体を思う存分慰めてもらい、弾むような足取りで城に戻ったのである。 ところが、帰ってみると城は騒然としていた。不思議に思いながら部屋に戻って変装を解いている と、駆け込んできたアニエスが目を吊り上げて怒鳴った。 「陛下、アルヴィーに身代わりをさせて城を出るなど、何を考えておられるのですか!?」 自分の企みが全てばれていることを知り、アンリエッタは驚きつつも必死に謝った。そうしてアニ エスの気分が落ち着いてきた頃、アンリエッタはおそるおそる問うた。 「でも信じられません。あれだけ完璧にわたしをコピーしていたアルヴィーの正体が、何故露見した のでしょう」 「完璧すぎたのです」 「と言いますと?」 アニエスはうんざりした顔で言った。 「二人きりになった途端に『体が夜泣きして耐えられない』と、ロマリア教皇様を押し倒したのですよ」
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