ゼロの使い魔保管庫
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104 :220 1/4 :2006/12/30(土) 01:13:50 ID:ies/KQEv
虚無の呪文。四系統とも、先住魔法とも異なる呪文である。以...
要するに誰にも解き明かせておらず、その分何が何起きても不...
ルイズはそんな気まぐれな「虚無」の犠牲者となっていた。
「…で?俺にどうしろと?」
「そんなのわからないわよ!」
サイトはルイズの凄い剣幕にも関わらずのんびりと対応してい...
「だったらどうしようもねえだろ!」
「そ、そんなに大きい声出さないでよ…ふ、ふぇ…」
ルイズはうずくまって目に涙を浮かべ始めた。どうやらこの状...
もちろん、相手がサイトだからこそ喜怒哀楽がはっきりしてい...
「わ、悪かったよ…」
「わ、わかればいいのよ」
袖で目を拭い、胸をそらす。
…小さい。胸だけでは無い。短くなった腕、プニプニとした肌と...
何より、全身が幼児のそれに匹敵する大きさになったのはただ...
「なんでそうなったんだ?」
「朝起きたらこうなってたのよ」
「…とりあえず、いつもみたいに待つしかないんじゃ…」
「…」
この二人の意見が一致する時は、ろくでもない場合が多い。
105 :220 2/4 :2006/12/30(土) 01:14:49 ID:ies/KQEv
今回もその例に漏れず、幼児となったルイズはとりあえずサイ...
オストラント号ではルイズとサイトは同室である。使い魔だか...
窓からは雲の流れが見え束の間の休息をサイトは楽しんでいた...
同じ一つのテーブルについているルイズを楽しそうに眺めなが...
「カップが大きいんじゃないのか?」
「大丈夫よ!」
と、言いつつルイズは片手ではこぼしそうなサイズのカップを...
そんなルイズを見てサイトは自然に笑みがこぼれてしまう。
「こぼすなよー」
「大丈夫って言ってるでしょ!」
飲み込むときの
んくっ、んくっ、という音は今のルイズに似合っていた。
「クッキー、あーんしてやろうか?」
「ふざけないで!」
ルイズは自分で小さなクッキーを口に運ぶものの、口が小さい...
「小さく割ってやるぞ?」
「う゛〜」
再び涙を浮かべるルイズを、サイトはなだめにかかっていった。
106 :220 3/4 :2006/12/30(土) 01:15:58 ID:ies/KQEv
「食堂で椅子にも座れ…」
「ふっ…ふぇ」
「いや、馬鹿にしてるんじゃないって!」
事あるごとにルイズは涙を浮かべた。サイトに馬鹿にされるの...
サイトはルイズの頭を撫でながら言う。
「ほら、だからメシは俺がとってきてやるから、お前は部屋から...
「…わかったわ」
「あんまり外にも出たくないよな?」
「…うん。きっとからかわれるもの」
やることが無くなってルイズはベッドの上に寝ころんだ。幼児...
「やれやれ…」
サイトはため息を一つつき廊下に出た。
「あれ?サイトさん?」
「シエスタ?」
シエスタとサイトが出会ったのはサイトがドアを閉めて直後だ...
いくら巨大船とは言え船は船である。狭い廊下ではばったり他...
「おはようございます」
「あ、おはよう…ってもう昼じゃん!」
「でも今日は初めて会いましたもの?」
「あ、そっか。おはよう、シエスタ」
こんな状況でもルイズとサイトは一緒に居る時間が長いのに比...
ここぞとばかりに二人に進展があったのかと思い、問い詰めて...
107 :220 4/4 :2006/12/30(土) 01:17:20 ID:ies/KQEv
「ミス・ヴァリエールは?」
「いまちょっとな…」
目をそらしたサイトを見て不審に思ったのか、シエスタは身を...
「ちょっと、何です?」
何か疑ってんのかな…シエスタは俺の事好きだってはっきり言っ...
疑ってくる時のシエスタには慎重に言葉を選ばなければならな...
サイトは平静を装い言葉を返す。
「そうだな、きっとどこかに…」
「どうされたんですか?私、今朝何度かここを通りましたけどミ...
シエスタはさりげなくプレッシャーを掛けていく。
こんな昼間近くまで部屋の中で何をしていたのか、と。シエス...
「いや…その」
「どうされたんですか?」
三度目、すでにプレッシャー以上の物がシエスタからは出てい...
苦し紛れにサイトは言う。
「疲れて、寝てるんだ」
ここ一週間、戦いらしい戦いは起きていない。
シエスタの目に炎が宿るのを確認し、サイトは顔を真っ青にし...
シエスタはサイトをはねのけ、素早く扉を開ける。
扉の開いた音は少々大きく、ルイズを眠りの世界から呼び戻す...
「ミス・ヴァリエール?!まさかもう…」
シエスタが部屋の中を見回すとベッドの一部が膨らんでいる。...
「や、やめろシエスタ!」
「ミス・ヴァリエ…」
そこでシエスタの動きが止まった。
恋の炎で頭に血が上ったシエスタには、その「幼児」が、ルイズ...
「ま、まさか…」
「シ、シエスタ…」
夢の世界から戻ったばかりのルイズはまだ寝ぼけており、一言...
「お母様…?」
211 名前:220 1/4[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 15:31:30 I...
ルイズが寝起きに放った一言はサイトにとって最悪のものであ...
覚めたばかりの目をこすりながらルイズはようやく現実の世界...
「あれ…メイド?なんで?」
「サイト…さん」
ベッドから身を起こすルイズを無視し、シエスタはサイトの方...
「思いもよりませんでした…二人の仲が…こんな…こんな」
「いや、だから」
「もうこんな…愛の結晶になっているなんて!」
シエスタはショックを受けた風にその場に打ち伏せた。サイト...
「そうですよね…あれだけ一緒に居たんですもの。そんな事があ...
「違うんだって」
「ミス・ヴァリエールは素敵でしたか?子供の居る部屋でそんな...
「だから何もして」
「今度そういう事をなさる時はおっしゃって下さい。私、面倒く...
そう言うとシエスタはすくっと立ち上がり、ドアを開けた。
「負けてしまった以上、これ以上闘うのはみっとも無いですよね...
本職のメイド行儀の言葉を並べ、シエスタは部屋を後にした。
212 名前:220 2/4[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 15:32:36 I...
結局誤解が解けていないまま、シエスタを自分の部屋に返して...
それがどういう結果となるか、あまりよく無い想像がサイトの...
再び寝直すと言ったルイズを部屋に置きサイトは食事を取りに...
「ったく…なんなんだ?」
独りごちながら厨房に料理を頼んでいく。
あんまり肉は食べさせない方が良いよな…後硬い物とか…
なんとなくそんな事が思い浮かび、メニューを幾つか訂正して...
このままじゃ本当に親父じゃねぇか、と自分にツッコミを入れ...
「…なんだコリャ」
お子様ランチとなっていた。流石に日の丸の旗は立っていない...
同時にこのメニューは人目を引いた。
「やあサイト、具合でも悪いのか?」
こういう時に絡みたくない相手、ギーシュが構ってくれば、
「そうだサイト。そのメニューが昼食だとは僕には信じられない」
とマリコルヌが脂っこい料理を満載しているトレーを持ち、話...
213 名前:220 3/4[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 15:33:41 I...
「ルイズの分だよ」
「ほぉ。そう言えば今日はルイズをみかけていないな」
「気分が悪いんだと」
これ以上は構ってられないと言わんばかりにサイトは二人を振...
「なにかあったんじゃないのか?」
マリコルヌが食い下がった。
「そうだな。何故かサイトの顔色も悪い様な気がする」
ギーシュも同調してサイトの背中を目で追う。
このままついてこられたらまずいな…
サイトは駆け足で部屋に向かった。
「ただいま…」
ルイズは未だに寝息を立てていた。サイトはテーブルの上に料...
「…」
ルイズの寝顔はいつもの激しい気性を隠し、無防備な表情を見...
むしろ幼い姿になっている分ルイズの事がわかりやすくなった...
いつもより小さな唇がむずむずと動いている。
「ルイズ…」
サイトは〇リコンでは無い筈だがルイズの唇が魅力的に見えて...
「今やったらやばい気がするけど…でも」
相変わらず窓からは昼の明かりが差し込み、穏やかな昼間を演...
214 名前:220 4/4[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 15:35:12 I...
殆ど無意識にサイトはルイズに顔を近づける。あどけない顔を...
そして
「…」
サイトは甘い香りに包まれながら幼い唇を味わっていった。
「なあ?」
「うん?」
「ノックも無しに…」
「何を言ってるんだ?ノックなんかしたら意味がないだろう?」
「それはそうだけど…二人っきりで部屋に居るんだ。何をしてる...
扉の前で言い争っていたのはギーシュとマリコルヌである。結...
「早くしないと時機を逃してしまうぞ?」
「時機って何だよ。もしかしたら僕達が思いもよらない所まで事...
「それはそれで見ものだろう?」
妙な所で臆病であり、妙な所で積極的だったのがギーシュだっ...
扉に耳を当てても部屋はしんとして、人の気配は感じ取りにく...
「二人ともどこかに行っているんじゃ…」
「逢い引きか?入って見ればわかるだろう。とにかく僕は行く」
「ま、待ってよギーシュ!」
ギーシュはそっと、なるべく音を立てない様に扉を押した。
「…なあギーシュ」
「…なんだい、マリコルヌ」
「僕は見てはいけないものを見た気がする」
「ああ、僕もだ」
二人に気付いたサイトが扉を何度も叩いているが、その音を気...
「あれは…ルイズだったかい?」
「いや…もっと幼かったよ。目には自信がある」
「そうか…」
背中で扉を抑えつけながら二人は、頭の中に部屋の中の光景を...
「…違っ…ルイ…」
扉越しのサイトの悲鳴を聞いて。
323 名前:220 1/5[sage] 投稿日:2007/01/04(木) 14:26:59 I...
>>214
ギーシュとマリコルヌが入り口を塞いでいる以上サイトに逃げ...
…実はそれほど迫力が無いのだが。
「なんか息苦しいと思って目ぇ開けたら…アンタは何やってんの...
「いや、ルイズの寝顔が可愛くって…」
問答無用と言わんばかりの蹴りが、サイトの股間にクリーンヒ...
「ぅ…ぉぉ」
いくらルイズの体が小さいとは言え、ここへのダメージは大き...
「それで?扉の外は誰?」
「ギーシュと…マリコルヌ…」
吐き気をこらえながらサイトが言う。ルイズはうつ伏せるサイ...
…手応えが無い。
ルイズはため息を付くと、サイトに何が起きていたのかを聞き...
「で、どうなんだ?」
ギーシュが問う。
「ええ、あの子は…」
シエスタが答えた。
ギーシュとマリコルヌはメイドの給仕室に来ていた。あの衝撃...
「今一番あの二人と親しいのはメイドじゃないか?」
と言う言葉にギーシュも同調し、シエスタを訪ねる事にしたの...
もちろんシエスタの誤解は解けていない。
324 名前:220 2/5[sage] 投稿日:2007/01/04(木) 14:28:57 I...
シエスタは何か悟ったような笑みを浮かべ、さらりと言っての...
「お子さんですよ?」
「誰のだ?」
「サイトさんとミス・ヴァリエールの…」
「…」
「…」
「「何ー!」」
ギーシュとマリコルヌが声を揃えて驚く。
「い、何時の間に…」
マリコルヌに至っては声も発せないようだった。この二人も性...
どうすれば子供が出来るのか。その程度である。
「サイトは大人になったのか…」
男として二歩も三歩も先に行ってしまったと感じ、二人はがく...
「ん?じゃあキスの相手は誰だ?」
「親子なんだからそれ位するだろう?」
「そんな感じじゃなかった様な…」
もう少し、今度はサイトに聞いてみたいと言う思いが膨らんで...
二人の話を聞いていたシエスタはここにいる貴族より遥かに、...
…そう言えば母親はミス・ヴァリエール。よって似ている。
サイトさんはミス・ヴァリエールが好きだから、似ている人を...
325 名前:220 3/5[sage] 投稿日:2007/01/04(木) 14:30:29 I...
娘=母親似。
サイトさんは異常では無い筈だけど、父親によっては異常な程...
そして、深いキス…
「サイトさん!人の道を外れては行けません!」
何もない空間に向かってシエスタは声を張り上げた。両手でテ...
「な、なんなん…」
「行きましょう!そんな事をするサイトさんは生きてはいけない...
「い、一体…」
「止めて下さい!サイトさん!」
疾風の様にシエスタはドアを跳ね飛ばし、サイトの部屋へと向...
シエスタの誤解は深まっていた。
ルイズはフォークでサイトの取ってきたオムレツをつついてい...
「アンタ、何やってんのよ!」
「俺だってわかんねぇよ…シエスタもギーシュもマリコルヌも何...
食事中に会話をする事がよろしくない事をルイズは知っている...
「俺の話を聞いてくれないんだよ」
「…はっきり言うしかないじゃない。私がルイズだって」
326 名前:220 4/5[sage] 投稿日:2007/01/04(木) 14:32:27 I...
ルイズも半ば諦めのため息が出始めていた。
「…早く戻りたいわ」
「ああ」
「…ねぇ?」
「何だよ?」
「あまり考えたくは無いんだけど…私がこのままだったらどうす...
デザートをつつく手を止めてルイズが聞いた。
確かに戻れると言う保証は無く、今までのルイズの考えなど希...
ルイズの声にもいつもの強気が感じられない。
「さあな」
「なんでそんなに平然と答えられるのよ…ご主人様の一大事なの...
「だってさ」
サイトはすくっ、と立ち上がるとルイズに近付いた。見下ろす...
「な、なによ?」
「お前はお前だし、俺のご主人様だし…」
「…」
「と、とにかくルイズはルイズだろ?これからも俺は何も変わん...
自分の言ったセリフにサイトは赤面した。
「…そう」
同じ様にルイズも赤面して目をそらす。
いつもならこのまま口付けを交わし、少しだけの間思いを繋げ...
しかし、身長差が大きくルイズから仕掛ける事が出来ない。
恥ずかしさをこらえてルイズが言った。
「ちゃ、ちゃんと使い魔の自覚が出来ているようね?」
327 名前:220 5/5[sage] 投稿日:2007/01/04(木) 14:37:15 I...
出来れば素直にキスがしたいと言いたいのだが、ルイズの方か...
「ほら…たまにはご褒美よ」
「え…ご褒美って?」
「時々してあげてるじゃない…もう…」
唇に指を当てる仕草を見て、サイトはそれを悟る。
「この体でも…それ位できるわよ…」
「そ、そうか?…じゃあ…」
「背が届かないからアンタが抱えて」
サイトはルイズの小さな体を両手で抱きかかえた。同じ目の高...
唇という目標も小さくなっているが、その分愛らしくも見えた。
「…」
「…」
しばし唇を合わせた後、沈黙する。
「いつまでもこの体だと…」
「…何だよ?」
「…いつまでもキスまで…ね」
ルイズの言っている意味を、サイトは理解した。
「お前…それ…」
「ア、アンタとだってそういう事あるかも知れないわよ?」
「…いいんだよ。ルイズが俺のご主人様だったら、それでいいんだ」
「じゃ、じゃあもし私の体が戻って、私が良いって言っても…し...
「そ、それは…」
サイトは答えに詰まった。もしルイズが自分の事を一生愛して...
オロオロするサイトを見て、ふっとルイズは笑みを浮かべた。
「…冗談よ」
「…何だよ。冗談か」
「…」
「…」
今頃になってルイズは自分が言った事の重大さに気付いた。サ...
サイトの方も幼い姿のルイズに、一瞬ではあるがキス以上の事...
「…い、いまは無理なんだから!」
「…うん。頑張る」
「何を頑張るのよ!」
「ルイズが良いって言うまで」
「こ、この体じゃ無理なんだからね!」
「ルイズは?」
「…」
「ルイズは?」
サイトの暴走が始まった。サイトに抱えられているせいでルイ...
「…私は…その」
「ルイズ」
「え?」
「ごめん。頑張って」
「…本気?」
サイトは首を縦に振り、幼いルイズを大きく見えるベッドに押...
終了行:
104 :220 1/4 :2006/12/30(土) 01:13:50 ID:ies/KQEv
虚無の呪文。四系統とも、先住魔法とも異なる呪文である。以...
要するに誰にも解き明かせておらず、その分何が何起きても不...
ルイズはそんな気まぐれな「虚無」の犠牲者となっていた。
「…で?俺にどうしろと?」
「そんなのわからないわよ!」
サイトはルイズの凄い剣幕にも関わらずのんびりと対応してい...
「だったらどうしようもねえだろ!」
「そ、そんなに大きい声出さないでよ…ふ、ふぇ…」
ルイズはうずくまって目に涙を浮かべ始めた。どうやらこの状...
もちろん、相手がサイトだからこそ喜怒哀楽がはっきりしてい...
「わ、悪かったよ…」
「わ、わかればいいのよ」
袖で目を拭い、胸をそらす。
…小さい。胸だけでは無い。短くなった腕、プニプニとした肌と...
何より、全身が幼児のそれに匹敵する大きさになったのはただ...
「なんでそうなったんだ?」
「朝起きたらこうなってたのよ」
「…とりあえず、いつもみたいに待つしかないんじゃ…」
「…」
この二人の意見が一致する時は、ろくでもない場合が多い。
105 :220 2/4 :2006/12/30(土) 01:14:49 ID:ies/KQEv
今回もその例に漏れず、幼児となったルイズはとりあえずサイ...
オストラント号ではルイズとサイトは同室である。使い魔だか...
窓からは雲の流れが見え束の間の休息をサイトは楽しんでいた...
同じ一つのテーブルについているルイズを楽しそうに眺めなが...
「カップが大きいんじゃないのか?」
「大丈夫よ!」
と、言いつつルイズは片手ではこぼしそうなサイズのカップを...
そんなルイズを見てサイトは自然に笑みがこぼれてしまう。
「こぼすなよー」
「大丈夫って言ってるでしょ!」
飲み込むときの
んくっ、んくっ、という音は今のルイズに似合っていた。
「クッキー、あーんしてやろうか?」
「ふざけないで!」
ルイズは自分で小さなクッキーを口に運ぶものの、口が小さい...
「小さく割ってやるぞ?」
「う゛〜」
再び涙を浮かべるルイズを、サイトはなだめにかかっていった。
106 :220 3/4 :2006/12/30(土) 01:15:58 ID:ies/KQEv
「食堂で椅子にも座れ…」
「ふっ…ふぇ」
「いや、馬鹿にしてるんじゃないって!」
事あるごとにルイズは涙を浮かべた。サイトに馬鹿にされるの...
サイトはルイズの頭を撫でながら言う。
「ほら、だからメシは俺がとってきてやるから、お前は部屋から...
「…わかったわ」
「あんまり外にも出たくないよな?」
「…うん。きっとからかわれるもの」
やることが無くなってルイズはベッドの上に寝ころんだ。幼児...
「やれやれ…」
サイトはため息を一つつき廊下に出た。
「あれ?サイトさん?」
「シエスタ?」
シエスタとサイトが出会ったのはサイトがドアを閉めて直後だ...
いくら巨大船とは言え船は船である。狭い廊下ではばったり他...
「おはようございます」
「あ、おはよう…ってもう昼じゃん!」
「でも今日は初めて会いましたもの?」
「あ、そっか。おはよう、シエスタ」
こんな状況でもルイズとサイトは一緒に居る時間が長いのに比...
ここぞとばかりに二人に進展があったのかと思い、問い詰めて...
107 :220 4/4 :2006/12/30(土) 01:17:20 ID:ies/KQEv
「ミス・ヴァリエールは?」
「いまちょっとな…」
目をそらしたサイトを見て不審に思ったのか、シエスタは身を...
「ちょっと、何です?」
何か疑ってんのかな…シエスタは俺の事好きだってはっきり言っ...
疑ってくる時のシエスタには慎重に言葉を選ばなければならな...
サイトは平静を装い言葉を返す。
「そうだな、きっとどこかに…」
「どうされたんですか?私、今朝何度かここを通りましたけどミ...
シエスタはさりげなくプレッシャーを掛けていく。
こんな昼間近くまで部屋の中で何をしていたのか、と。シエス...
「いや…その」
「どうされたんですか?」
三度目、すでにプレッシャー以上の物がシエスタからは出てい...
苦し紛れにサイトは言う。
「疲れて、寝てるんだ」
ここ一週間、戦いらしい戦いは起きていない。
シエスタの目に炎が宿るのを確認し、サイトは顔を真っ青にし...
シエスタはサイトをはねのけ、素早く扉を開ける。
扉の開いた音は少々大きく、ルイズを眠りの世界から呼び戻す...
「ミス・ヴァリエール?!まさかもう…」
シエスタが部屋の中を見回すとベッドの一部が膨らんでいる。...
「や、やめろシエスタ!」
「ミス・ヴァリエ…」
そこでシエスタの動きが止まった。
恋の炎で頭に血が上ったシエスタには、その「幼児」が、ルイズ...
「ま、まさか…」
「シ、シエスタ…」
夢の世界から戻ったばかりのルイズはまだ寝ぼけており、一言...
「お母様…?」
211 名前:220 1/4[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 15:31:30 I...
ルイズが寝起きに放った一言はサイトにとって最悪のものであ...
覚めたばかりの目をこすりながらルイズはようやく現実の世界...
「あれ…メイド?なんで?」
「サイト…さん」
ベッドから身を起こすルイズを無視し、シエスタはサイトの方...
「思いもよりませんでした…二人の仲が…こんな…こんな」
「いや、だから」
「もうこんな…愛の結晶になっているなんて!」
シエスタはショックを受けた風にその場に打ち伏せた。サイト...
「そうですよね…あれだけ一緒に居たんですもの。そんな事があ...
「違うんだって」
「ミス・ヴァリエールは素敵でしたか?子供の居る部屋でそんな...
「だから何もして」
「今度そういう事をなさる時はおっしゃって下さい。私、面倒く...
そう言うとシエスタはすくっと立ち上がり、ドアを開けた。
「負けてしまった以上、これ以上闘うのはみっとも無いですよね...
本職のメイド行儀の言葉を並べ、シエスタは部屋を後にした。
212 名前:220 2/4[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 15:32:36 I...
結局誤解が解けていないまま、シエスタを自分の部屋に返して...
それがどういう結果となるか、あまりよく無い想像がサイトの...
再び寝直すと言ったルイズを部屋に置きサイトは食事を取りに...
「ったく…なんなんだ?」
独りごちながら厨房に料理を頼んでいく。
あんまり肉は食べさせない方が良いよな…後硬い物とか…
なんとなくそんな事が思い浮かび、メニューを幾つか訂正して...
このままじゃ本当に親父じゃねぇか、と自分にツッコミを入れ...
「…なんだコリャ」
お子様ランチとなっていた。流石に日の丸の旗は立っていない...
同時にこのメニューは人目を引いた。
「やあサイト、具合でも悪いのか?」
こういう時に絡みたくない相手、ギーシュが構ってくれば、
「そうだサイト。そのメニューが昼食だとは僕には信じられない」
とマリコルヌが脂っこい料理を満載しているトレーを持ち、話...
213 名前:220 3/4[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 15:33:41 I...
「ルイズの分だよ」
「ほぉ。そう言えば今日はルイズをみかけていないな」
「気分が悪いんだと」
これ以上は構ってられないと言わんばかりにサイトは二人を振...
「なにかあったんじゃないのか?」
マリコルヌが食い下がった。
「そうだな。何故かサイトの顔色も悪い様な気がする」
ギーシュも同調してサイトの背中を目で追う。
このままついてこられたらまずいな…
サイトは駆け足で部屋に向かった。
「ただいま…」
ルイズは未だに寝息を立てていた。サイトはテーブルの上に料...
「…」
ルイズの寝顔はいつもの激しい気性を隠し、無防備な表情を見...
むしろ幼い姿になっている分ルイズの事がわかりやすくなった...
いつもより小さな唇がむずむずと動いている。
「ルイズ…」
サイトは〇リコンでは無い筈だがルイズの唇が魅力的に見えて...
「今やったらやばい気がするけど…でも」
相変わらず窓からは昼の明かりが差し込み、穏やかな昼間を演...
214 名前:220 4/4[sage] 投稿日:2007/01/01(月) 15:35:12 I...
殆ど無意識にサイトはルイズに顔を近づける。あどけない顔を...
そして
「…」
サイトは甘い香りに包まれながら幼い唇を味わっていった。
「なあ?」
「うん?」
「ノックも無しに…」
「何を言ってるんだ?ノックなんかしたら意味がないだろう?」
「それはそうだけど…二人っきりで部屋に居るんだ。何をしてる...
扉の前で言い争っていたのはギーシュとマリコルヌである。結...
「早くしないと時機を逃してしまうぞ?」
「時機って何だよ。もしかしたら僕達が思いもよらない所まで事...
「それはそれで見ものだろう?」
妙な所で臆病であり、妙な所で積極的だったのがギーシュだっ...
扉に耳を当てても部屋はしんとして、人の気配は感じ取りにく...
「二人ともどこかに行っているんじゃ…」
「逢い引きか?入って見ればわかるだろう。とにかく僕は行く」
「ま、待ってよギーシュ!」
ギーシュはそっと、なるべく音を立てない様に扉を押した。
「…なあギーシュ」
「…なんだい、マリコルヌ」
「僕は見てはいけないものを見た気がする」
「ああ、僕もだ」
二人に気付いたサイトが扉を何度も叩いているが、その音を気...
「あれは…ルイズだったかい?」
「いや…もっと幼かったよ。目には自信がある」
「そうか…」
背中で扉を抑えつけながら二人は、頭の中に部屋の中の光景を...
「…違っ…ルイ…」
扉越しのサイトの悲鳴を聞いて。
323 名前:220 1/5[sage] 投稿日:2007/01/04(木) 14:26:59 I...
>>214
ギーシュとマリコルヌが入り口を塞いでいる以上サイトに逃げ...
…実はそれほど迫力が無いのだが。
「なんか息苦しいと思って目ぇ開けたら…アンタは何やってんの...
「いや、ルイズの寝顔が可愛くって…」
問答無用と言わんばかりの蹴りが、サイトの股間にクリーンヒ...
「ぅ…ぉぉ」
いくらルイズの体が小さいとは言え、ここへのダメージは大き...
「それで?扉の外は誰?」
「ギーシュと…マリコルヌ…」
吐き気をこらえながらサイトが言う。ルイズはうつ伏せるサイ...
…手応えが無い。
ルイズはため息を付くと、サイトに何が起きていたのかを聞き...
「で、どうなんだ?」
ギーシュが問う。
「ええ、あの子は…」
シエスタが答えた。
ギーシュとマリコルヌはメイドの給仕室に来ていた。あの衝撃...
「今一番あの二人と親しいのはメイドじゃないか?」
と言う言葉にギーシュも同調し、シエスタを訪ねる事にしたの...
もちろんシエスタの誤解は解けていない。
324 名前:220 2/5[sage] 投稿日:2007/01/04(木) 14:28:57 I...
シエスタは何か悟ったような笑みを浮かべ、さらりと言っての...
「お子さんですよ?」
「誰のだ?」
「サイトさんとミス・ヴァリエールの…」
「…」
「…」
「「何ー!」」
ギーシュとマリコルヌが声を揃えて驚く。
「い、何時の間に…」
マリコルヌに至っては声も発せないようだった。この二人も性...
どうすれば子供が出来るのか。その程度である。
「サイトは大人になったのか…」
男として二歩も三歩も先に行ってしまったと感じ、二人はがく...
「ん?じゃあキスの相手は誰だ?」
「親子なんだからそれ位するだろう?」
「そんな感じじゃなかった様な…」
もう少し、今度はサイトに聞いてみたいと言う思いが膨らんで...
二人の話を聞いていたシエスタはここにいる貴族より遥かに、...
…そう言えば母親はミス・ヴァリエール。よって似ている。
サイトさんはミス・ヴァリエールが好きだから、似ている人を...
325 名前:220 3/5[sage] 投稿日:2007/01/04(木) 14:30:29 I...
娘=母親似。
サイトさんは異常では無い筈だけど、父親によっては異常な程...
そして、深いキス…
「サイトさん!人の道を外れては行けません!」
何もない空間に向かってシエスタは声を張り上げた。両手でテ...
「な、なんなん…」
「行きましょう!そんな事をするサイトさんは生きてはいけない...
「い、一体…」
「止めて下さい!サイトさん!」
疾風の様にシエスタはドアを跳ね飛ばし、サイトの部屋へと向...
シエスタの誤解は深まっていた。
ルイズはフォークでサイトの取ってきたオムレツをつついてい...
「アンタ、何やってんのよ!」
「俺だってわかんねぇよ…シエスタもギーシュもマリコルヌも何...
食事中に会話をする事がよろしくない事をルイズは知っている...
「俺の話を聞いてくれないんだよ」
「…はっきり言うしかないじゃない。私がルイズだって」
326 名前:220 4/5[sage] 投稿日:2007/01/04(木) 14:32:27 I...
ルイズも半ば諦めのため息が出始めていた。
「…早く戻りたいわ」
「ああ」
「…ねぇ?」
「何だよ?」
「あまり考えたくは無いんだけど…私がこのままだったらどうす...
デザートをつつく手を止めてルイズが聞いた。
確かに戻れると言う保証は無く、今までのルイズの考えなど希...
ルイズの声にもいつもの強気が感じられない。
「さあな」
「なんでそんなに平然と答えられるのよ…ご主人様の一大事なの...
「だってさ」
サイトはすくっ、と立ち上がるとルイズに近付いた。見下ろす...
「な、なによ?」
「お前はお前だし、俺のご主人様だし…」
「…」
「と、とにかくルイズはルイズだろ?これからも俺は何も変わん...
自分の言ったセリフにサイトは赤面した。
「…そう」
同じ様にルイズも赤面して目をそらす。
いつもならこのまま口付けを交わし、少しだけの間思いを繋げ...
しかし、身長差が大きくルイズから仕掛ける事が出来ない。
恥ずかしさをこらえてルイズが言った。
「ちゃ、ちゃんと使い魔の自覚が出来ているようね?」
327 名前:220 5/5[sage] 投稿日:2007/01/04(木) 14:37:15 I...
出来れば素直にキスがしたいと言いたいのだが、ルイズの方か...
「ほら…たまにはご褒美よ」
「え…ご褒美って?」
「時々してあげてるじゃない…もう…」
唇に指を当てる仕草を見て、サイトはそれを悟る。
「この体でも…それ位できるわよ…」
「そ、そうか?…じゃあ…」
「背が届かないからアンタが抱えて」
サイトはルイズの小さな体を両手で抱きかかえた。同じ目の高...
唇という目標も小さくなっているが、その分愛らしくも見えた。
「…」
「…」
しばし唇を合わせた後、沈黙する。
「いつまでもこの体だと…」
「…何だよ?」
「…いつまでもキスまで…ね」
ルイズの言っている意味を、サイトは理解した。
「お前…それ…」
「ア、アンタとだってそういう事あるかも知れないわよ?」
「…いいんだよ。ルイズが俺のご主人様だったら、それでいいんだ」
「じゃ、じゃあもし私の体が戻って、私が良いって言っても…し...
「そ、それは…」
サイトは答えに詰まった。もしルイズが自分の事を一生愛して...
オロオロするサイトを見て、ふっとルイズは笑みを浮かべた。
「…冗談よ」
「…何だよ。冗談か」
「…」
「…」
今頃になってルイズは自分が言った事の重大さに気付いた。サ...
サイトの方も幼い姿のルイズに、一瞬ではあるがキス以上の事...
「…い、いまは無理なんだから!」
「…うん。頑張る」
「何を頑張るのよ!」
「ルイズが良いって言うまで」
「こ、この体じゃ無理なんだからね!」
「ルイズは?」
「…」
「ルイズは?」
サイトの暴走が始まった。サイトに抱えられているせいでルイ...
「…私は…その」
「ルイズ」
「え?」
「ごめん。頑張って」
「…本気?」
サイトは首を縦に振り、幼いルイズを大きく見えるベッドに押...
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