ゼロの使い魔保管庫
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
単語検索
|
最終更新
|
ヘルプ
]
開始行:
122 名前:1/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:29:05 ID:c...
「おとうさん、貴方は堕落しました」
は? いきなりこんな事を言われて、納得する奴は滅多に居...
ましてや、俺が堕落?
今ハルケギニアが平和なのは、俺の努力がその一端を担って...
胸を張って宣言してもよかった。
シエスタがもうすぐ一人目の子を産むし、少し遅れてルイズ...
姫さまとだって続いてるし、数ヶ月に一度外交名目でガリア...
仕事なんかしたことねーし。
それでもトリステインでは英雄扱いだ。他の国に行ってもか...
我が世の春!! そんな状態だった。
「で、君は誰だ?」
そんな俺の事をおとうさまと……心当たりが無い訳じゃないけ...
日本なら、幼稚園児か小学生か、そんな年頃の男の子だった。
親に抱かれる年頃ならば、『ルイズとシエスタには内密にィ...
「わかりませんか?」
妙に自信満々な男の子……黒い髪、黒い目……それだ……けで?
よーくみると結構俺に似ていた。
俺より各パーツの出来が遥かに良いが、小さな頃の俺の面影...
写真の無いこの世界で、子供の頃の俺を知るのは俺だけ……
その俺が……似てるって判断できる、この子は……
「僕の母はティファニアですよ、サイトおとうさん」
にっこり笑う笑顔に、テファの印象が重なる。
「え? でも……テファと分かれたのが……」
しかも、テファとは肉体関係は無い……あの頃の俺は禁欲的だ...
あの直後位から、妙に我慢が出来なくなって、手を出しまく...
戦争よりやばい数々の修羅場をくぐって……俺、よく生きてる...
物思いにふける俺を、しばらく眺めていた男の子が洒落にな...
「母は、記憶を消せるのをご存知でしょう?」
……まあ……ご存知ですよ……っまさか!
「貴方がルイズさんの側に居るべきだと、母は判断したそうで...
「ちょっ、ちょっと待て、じゃ……俺……」
「命の恩人に手を出した挙句、捨てて逃げた卑怯者ですね、お...
マジでへこむ。
テファの事は大切な思い出だ。
美しい森の奥で、ひとり静かに暮らす妖精の美少女。俺だけ...
思い出すたびに胸が温かくなる彼女の事を、まさか自分で汚...
「……母は一人でたまに泣いていました……はっきり言って僕は貴...
静かな宣告に、死ぬほどの後悔が俺を襲う。
綺麗な姿勢、歳とは不相応な言動、今は冷たいとはいえ、優...
出来たお子さんだった。どこに出しても恥ずかしくない美少...
……いや、多少とはいえ自分に似ているのを誉めるのは面映い...
テファは一人でこの子を育てたんだと思うと、誇らしくて……...
俺にも……何かさせて欲しかった。
テファは俺の事を気遣ってくれたのだろうし、実際、子供が...
シエスタやルイズと子供が出来た頃、やっと各国の情勢が落...
「母はずっと待っていたんですよ?」
利発そうな少年は、俺を弾劾する手を休める事は無かった。
123 名前:2/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:29:39 ID:c...
「貴方をずっと待っていたのに、ここ数ヶ月は諸国も安定した...
……シエスタとルイズの妊娠も、言い訳にはならない。
『またな』って言ったのは俺だ。
「……すまない」
この子も……少しは俺に会うのを楽しみにしていてくれたのだ...
怒りも悲しみも無く、訥々と語る姿からは、何も読み取れな...
「今から……ウエストウッドに立つよ」
シエスタとルイズに、何て言い訳しよう。
多分、本気で起こられるだろう。
大騒ぎするほど遠い場所ではないとはいえ、出産に立ち会え...
「無駄です」
どうやって説得するか、どうゆう手段で行くか、そんなこと...
「なっ、なんでっ?」
嫌な予感がした。
そうだ、この子なんでこんな所に居るんだ?
「テ、テファはっ? テファに何か有ったのかっ?」
……怖い。
全身からいやな汗が出て、震えが止まらない。
こんな歳の子が、一人で片親を訪ねる理由なんて……
「ウエストウッドには……もう……居ません」
全身の力が抜けて、その場に崩れ落ちる。
地面を見つめる俺に向かって、少年の声が響く。
「貴方が危ない事をするたびに……その噂を聞くたびに、母はそ...
ラ・ヴァリエールの所から単身令嬢を攫ったり、一人で砂漠...
騎士隊一つだけでガリアに特攻したり……そんなたびに母は泣...
……ごめん、テファ……ごめんなさい。
地面にポツポツと、黒い痕が出来る……どんどん増えていく、...
「何度も言うが、僕は貴方を許せない、それでも……母は貴方が...
僕がここに来たのはね、おとうさん。名前を貰いに来たんだ」
「……なま……え?」
泣き崩れる俺に、少しは心を許してくれたのだろうか?
細いが、しっかりとした手で、俺を助け起こしてくれる。
……嬉しかった。……こんな些細なことがこんなに嬉しいのなら……
もっと親孝行しておくんだった……
呆然と後悔を続ける俺に、テファと同じ優しさを持つ瞳が語...
「母は僕が育つところをおとうさんに見てもらえないから……そ...
いつか、おとうさんに会ったら、子供と認めてもらえなくて...
いつも……そう言っていました」
テファは……優しい。
俺が、何も出来なかったって、後悔することも分かってたん...
「テファに……会いたいな」
「……来なかった癖に」
確かに……後悔なんて……何の役にも立たない。
「一言……謝りたかったな……」
少年が何も言い返さなかったから……
静寂が辺りを包み込む。
お互いに、何も言えずぼんやりと道行く人を見ていると、少...
「なら、どうぞ……」
少年の指し示す先には……、テファが居た。
124 名前:3/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:30:14 ID:c...
「テファァァァッァ、テファッ、テファッ、テファァァァ」
「っっ、きゃぁあっ、サイト? どうしたの?」
数年前からまったく姿の変わらない……いや、姿かたちは同じ...
「ごめんっ……ごめんっ、テファ……またなって……言ったのに」
「いいのよ、サイト。忙しかったのよね? ウエストウッドま...
柔らかく笑うテファが、潰れそうなくらい強く抱きしめる。
テファも俺を放さなかった。
「両親の仲が良くて、僕も安心ですね」
……こっ、この根性悪がっ、どこの誰に似やがったぁぁぁ、俺...
ふつふつと沸き立つ怒りを抑えていると、テファが慌てて謝...
「ご、ごめんなさいっ……あのっ……あのねっ、この子……ね、その…...
切り出し辛そうな、テファに助け舟を出す。
「「知ってる」」
……二人そろって。
綺麗にハモった声に、お互い苦笑する。
「因みに、嘘は一つもついてません。名前、よろしくお願いし...
「……ぜーーったい、変なのつけてやる」
「おとうさんが付けて下さるのなら、それで結構ですよ」
俺の大人気ない宣告にもまったくめげずに、さらりと言い返...
……か、可愛くねぇ。
何も言えずにガルガル吠えてる俺を置いたまま、
少年はテファに駆け寄って報告を始めた。
「ごめんなさい、おかあさん。薬が効きすぎたみたいです」
「ダメよ? 悪い子っ。めっ!」
怒られる方も、怒る方も、相手を大事にしているのが分かっ...
一生懸命に一つも嘘を吐いていない事を説明していたけれど...
……疎外感。俺、おとうさんなのに。
「おとうさんっ!!」
「はいっ!!」
テファとの話が終わったのか、俺の所に来て話かけてくれる。
「ご自宅伺ってよろしいですか? 僕は数時間してから参りま...
……こいつどんな環境で育ったんだろう?
「……こっから見えてる、ほら、あの屋敷……あと……これ、小遣い」
「うわぁ、ありがとうございます。街っていろいろ有ったから...
……元気な子だ……頭も良いし。
「さすがテファの子だな」
「……サイトの子だもん、恥ずかしくないように……って」
顔が赤くなっているのが自分でも分かった。
……この時間なら、ルイズもシエスタも居ないよな……
テファと腕を組んで自宅に向かう。
……もう少し、時間がゆっくりと流れればいいのにな。二人と...
125 名前:4/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:30:48 ID:c...
「手間の掛かる、両親です」
ワルドおじさんや、フーケねえさん(おばさんと呼ぶと、ゴ...
「出来るだけ二人っきりにしてあげれば良いんですよね?」
出かける前に、二人に厳重に言い渡された。おとうさんに会...
さっきのお話も、フーケねえさんが筋書きを考えてくれた。...
「僕、もうそんなに子供じゃ有りません」
手の掛かる大人が、周りに沢山居ますから、いつまでも子供...
おとうさんに貰った……金貨? うわぁ……こんなにお小遣いも...
は……使いません。村でコツコツ貯めたお小遣いで、皆へのお...
「高い……」
おかしいです、これはどう考えても陰謀です!!
こんなの、僕、自分で作れます。原価だって見当付きます。...
……うぅ……怒っても仕方ありません。
お土産……困ったなぁ……おとうさんに貰ったの使えば良いんで...
「これは……記念に置いておくつもりですし」
次に会えるのがいつか分からないですから、貰ったものは全...
「……困りましたね」
道の真ん中で唸っていると、優しいおねえさんが声を掛けて...
「どうしたの僕?」
僕と同じ黒い髪をした……妊婦さん。
「うわぁ……お子さん産まれるのですか?」
村に子供は多いけれど、子供ばかりなので、妊婦さんを見る...
「えぇ、坊やみたいな賢い子が産まれると嬉しいですね」
「? 僕、賢くないですよ」
お土産もちゃんと買えないのに賢いとか自分で言ってると、...
「何か有ったの?」
あぁ、いけません、おねえさんに気を使わせてしまいました。
ここは理由だけ言って退散しましょう。
「実は……で……」
「……わかりました、わたしが何とかしましょう!!」
……えと……どういう事でしょう?
126 名前:5/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:31:23 ID:c...
僕は今後女の人には逆らいません。
フーケおねえさんや、おかあさんが特殊なのだと思っていま...
「ほら、こーんなに安く買えましたよ」
このシエスタおねえさんも、凄いです。
全然足りないと思っていたお金が、余りました。
思ったよりも、ずっと沢山買えましたし。
どーやったのか、横で見てたのに分かりません。
店の人が泣き出しても、値段交渉を止めない様は非常に勉強...
「えへへ、満足です。ね、もうちょっと付き合いませんか?」
この人には逆らえません。
それにお土産も買えましたし、
今から僕は時間つぶししないといけません。渡りに船です。
「はい、どこえなりとお供します」
「うん、そこの喫茶店でルイズと待ち合わせなの」
……き、聞き覚えのある名前ですけど、きっと街では珍しくな...
「ルイズ……さん、ですか?」
「ほら、そこの美人」
まだ少し向こうですが、オープンカフェに桃色の髪の人が座...
道行く男の人が必ず一瞬立ち止まるほどの美貌。
おかあさん以外では始めてみました。
「ルイズ〜」
「遅いわ、シエスタ……って、もう産んだ訳?」
「まだ入ってるわよ、ほらほら見て、そ〜〜っくり、ナンパし...
えと……なんだか嫌な予感がするのですが?
「うわ……こんなに大きくなかったら、どこで浮気したのか問い...
「まったくですねー」
凄く仲の良い二人です。姉妹でしょうか?
「あ、そういえば君、名前は?」
「……シエスタ……あんた……」
幼児誘拐は犯罪よ? ルイズおねえさんの目が語っていまし...
「えっと、名前はまだ有りません」
まぁ、こうなるのですが。
因みにおかあさんが呼ぶ通称は有るのですが、秘密。
……もうすぐ僕にも名前が出来ると思うと、楽しみです。
「「は?」」
最初はいつも皆さん驚かれます。
説明も慣れたものです、物心ついたときから繰り返してます...
「父は僕が産まれたこと知らなくって、母は父から名前を貰う...
二人とも目を丸くして驚いてます……そんなに変でしょうか?
悪いことを聞いたのかしら? ルイズおねえさんが申し訳無...
「えっと……困らないの?」
「はい、それに……今日までですから」
「今日まで?」
「はい、この街にはおとうさんに会いに来たんです」
二人ともほっとした様に笑ってくれました。
いい人たちですね。
「そう……ね、名前くらいは付けさせてあげた方が良いのかもね」
「そうですね」
あれ?
「ルイズおねえさんも?」
よく見ると、お腹が少し……
「ええ、……シエスタにちょっと負けたけどね」
「うふふふ、わたしの方が先に愛情が奥に届いたんです」
「そんなこと無いわよっ」
「ありますー」
何だかよく分かりませんが、とても重要なことなのでしょう。
真面目に張り合っている女性の間に入ると死ねるのは、何度...
127 名前:6/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:32:03 ID:c...
しばらく眺めていると、口論は終了しました。
引き分けの模様です。
「あー、ごめんなさい。誘ったのに、無視して話しちゃって」
「いえ、結構ですよ、おとうさんとおかあさんを二人きりにし...
「へー、どんな二人なの?」
「おかあさんは美人です。ルイズおねえさんに負けません」
「まぁ」
笑われてしまいました。お世辞ではないのですが。
「胸だって立派です。シエスタおねえさんより大きいです」
……どうして、二人そろって笑い転げるんでしょうか?
「「ティファニアを思い出すわねー」」
あれ?
「おかあさん、ご存知なのですか?」
そういった途端、二人とも凍り付いてしまいました。
……な、何かまずいことを言ったのでしょうか?
「……おとうさんの名前を言ってごらん?」
「サイト……です」
おかーさん、おかーさん、まおーがでーたーよー
……なんでしょう?
なんだか凄い迫力です。
「「で? 二人は今どこなのかな? かな??」」
い、いけません、なんだか本当なことを言ってはいけない気...
……うん、ごめんなさい。おかあさん。
僕は今から嘘を吐きます。
「あそこの森でデート中です」
「「あっちかーーーー」」
えと……妊婦さんは安静に……
というか、通行人の人たちを跳ね飛ばしたらご迷惑ですよー。
……行ってしまいました。
あ……困りました。
「お客様」
……ですよね。
「えと……おいくらでしょうか?」
……良いんです、僕はもう子供じゃありません。
女の人とお茶したら、男が出すべきなのです……
……ごめんなさい、おとうさん。使います……
あと、なんだか色々ごめんなさい。面倒なことになったかも...
いろいろ心でお詫びしながら、泣く泣くお小遣いを使う羽目...
128 名前:7/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:32:34 ID:c...
「おとうさんに知らせに行くべきでしょうか? まだ二人きり...
とぅびー おあ のっと とぅびー です。
「困りました」
街に来てから困りっぱなしです。
村の人たちが都会は怖いといっていたのは、こういう事なの...
考えながら道をとぼとぼ歩いていると、壁にぶつかりました。
あれ? 道の真ん中で壁ですか?
「あ、すまない。大丈夫か?」
「あ、平気です。すいませんでした」
壁だと思ったのは大きな人でした。
慌てて立ち上がって、ぴょこんとお辞儀をします。
「失礼しました、騎士様」
そうです、近衛の立派な制服を纏われてます。
横に大きい騎士様と、妙にキラキラした騎士様でした。
「おや……君は僕の親友にそっくりだね」
キラキラした騎士様が、ひょいっと僕を抱き上げました。
細く見えるのに力持ちなのでしょうか。
「見てください、へ、……あー失礼、アン様」
フードで顔を隠した女の人の前に連れて行かれました。
わぁ! びっくりです。
この人もおかあさん並です。
おかあさんは世界一美人だと思うので、
街って凄いです。世界一の美人が沢山です。
「あら……本当……わたくしもこんな子供が欲しいですね」
ころころ笑うおねえさんを、二人の騎士様がギョッとした顔...
「貴方、お名前は?」
あれ?またこのパターンなのでしょうか?
「まだ有りません」
説明が終わった時、僕はもう二度と街に来ないことを心に誓...
129 名前:8/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:33:09 ID:c...
腕の中でテファが眠っている。
「いてててて」
もう歳だろうか? あちこちが痛い……てーか。
「やりすぎたなぁ」
部屋の中は、俺の匂いが立ち込めている。
アルビオンからの旅で相当疲れていた筈なのに、俺が求めれ...
「さーて、どうするかな」
ルイズとシエスタは怖いが……テファもあの子も手放す気は無...
両方可愛すぎるっ!!
記憶が消されているらしいが、テファの身体を俺は確かに知...
何度も思い描いた夢の身体。
記憶は消えても、身体はしっかりと覚えていたようだ……しか...
「エルフって……老化しないのか?」
そう、むっちゃ若い。同じ位の歳のはずだけど、年下の愛人...
もうこれは手放せません。
「さーて、どう誤魔化すかな……」
ルイズはともかく、シエスタは鋭いからなぁ……
「なにを誤魔化すんだ?」
ぞわっと、総毛立つ。やっば、こんな所見られたらっっ
「って……ギーシュかよ」
「かよとは、ご挨拶だね、サイト……しかし……いい趣味だ」
眠るテファを覗き込みながら、続けた。
「エルフとはねぇ……たまにはって事か?」
馬鹿にするような響きを感じて、数年来の親友と言えども黙...
「エルフだと悪いのか?」
「いやっ、違うぞっ! サイト」
俺の本気を感じ取ったギーシュが距離を取る。
「聞けっ、サイト!!」
「いーや、聞かないね、ギーシュ、テファは今まで抱いた中で...
睨みながらの俺の言葉に、ギーシュはその場で頭を抱えた。
「……バカヤロウ」
は?
静々と、もう一人部屋に入ってくる人が居た。
「……最高……ですか?」
……へ?
「へいかぁぁぁぁぁぁ」
や、ヤバいっ、ギーシュは気を使ってくれてたんだ……
あそこは姫さまに気に入られるように、ギーシュに乗っとけ...
「すうすう」
テファは熟睡してるし。
「最高……なんですねぇ」
130 名前:9/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:34:08 ID:c...
ガクブルしながら、アンの……陛下の言葉を待つ。
「……わたくしと比べても最高なんですものね……なにしろ、最も...
こ、こわっ……だらだらと冷や汗が……よし!
「いやいや、姫さまには適いませんよ、高貴な女性の頂点、女...
高貴な女性サイコー!!」
あれ? ギーシュが何か慌ててる。
ほうほう、人文字か。
『お』『ろ』『か』『も』『の』
何のことだ?」
「そうですかー凄いですねー、わたしみたいな街娘では太刀打...
……シエスタ?
カツーン、カツーンとまた一人部屋に踏み込んでくる。
……あぁ……死んだなぁ……
いやっ、まだだっ、まだ終わらんよっ!!
「おっぱいっ、おっぱい、最高。アンやシエスタサイズがさい...
……あれ?
ギーシュが、縄を輪にして……天井からぶら下げている。
……マ サ カ
「……そ、よーく分かったわ、サイト。あなたの事がね」
……ルイズ……
愛しい三人の女性がにこやかに俺の側に立つ……
こ、こえぇぇぇよぉ。
凍りつく空気を無視して、もう一人の親友がのそのそ部屋に...
睨み付ける三人も、すがる様な俺の目も無視して、ベットサ...
全員の注目の集まる中、いきなり布団を捲ったマリコルヌが...
「乳 革 命 キタ―――――」
「って、てめぇぇぇぇ、見るんじゃねぇぇぇ、こりゃ俺のだぁ...
ニヤリと笑うマリコルヌ。
げ。
前後のことも考えずに入れた突っ込みに、三人とも反応した。
テファは俺のもの宣言に……
「「「しんじゃえ♪」」」
容赦の無い攻撃が雨のように降り続いた。
131 名前:10/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:37:06 ID:...
サイトがウエストウッドに来てくれるらしい。
それは嬉しいけど……
「どうして、そんなにぼろぼろなの?」
朝起きたら、サイトが死に掛けてた。
「ど、どうしても……」
ほとぼりがーほとぼりがー、って唸ってる。
何だかよく分からないけれど……嬉しいな。
これからはたまに来てくれるのかな? サイトが居てくれる...
うん、決めた。また来てくれる気に成る様に。
「ねぇ、サイト。うーんと優しくしてあげるね」
し、死ぬかと……いや、ルーンが消えてもおかしくなかった。
テファも居るし、ウエストウッドにしばらく避難する事にし...
……しかし……身体中怪我だらけで……テファといちゃいちゃ出来...
身体が治ったら……げへへへへ寝かさないぜぇテファ。
そんな俺の心が通じたのか、テファがそっと耳元で囁いてく...
「うーんと優しくしてあげるね」
マ、マジっすか……
よ、夜が楽しみだ。
おとーさんの怪我は僕のせいなのでしょうか?
なんだかそんな気がして仕方ありません。
素直にごめんなさいと言いたいのですが……
言いにくいです。
「おとーさん」
今はまだ名前の無い少年が、サイトに話しかける。
「僕はもうすぐ6歳です、今までのお誕生日プレゼントを下さ...
虚を付かれた様子のサイトだったが、黙って頷いた。まだま...
「1歳の誕生日プレゼントに名前を下さい」
彼がずっと欲しかったもの。
「2歳の誕生日プレゼントは妹が良いです」
サイトとテファが二人そろって真っ赤に成った。
「3歳の誕生日プレゼントには約束を……おかあさんを泣かさな...
サイトが頷くまで、彼は先を続けようとしなかった。
「4歳の誕生日プレゼントは弟が良いです」
順番はわかんねーぞ、サイトの返事にテファが笑い出す。
「……5歳の誕生日プレゼントはっ……今から言うことを聞いても...
しばらくして、三人の笑いがどこまでも響いていった。
終了行:
122 名前:1/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:29:05 ID:c...
「おとうさん、貴方は堕落しました」
は? いきなりこんな事を言われて、納得する奴は滅多に居...
ましてや、俺が堕落?
今ハルケギニアが平和なのは、俺の努力がその一端を担って...
胸を張って宣言してもよかった。
シエスタがもうすぐ一人目の子を産むし、少し遅れてルイズ...
姫さまとだって続いてるし、数ヶ月に一度外交名目でガリア...
仕事なんかしたことねーし。
それでもトリステインでは英雄扱いだ。他の国に行ってもか...
我が世の春!! そんな状態だった。
「で、君は誰だ?」
そんな俺の事をおとうさまと……心当たりが無い訳じゃないけ...
日本なら、幼稚園児か小学生か、そんな年頃の男の子だった。
親に抱かれる年頃ならば、『ルイズとシエスタには内密にィ...
「わかりませんか?」
妙に自信満々な男の子……黒い髪、黒い目……それだ……けで?
よーくみると結構俺に似ていた。
俺より各パーツの出来が遥かに良いが、小さな頃の俺の面影...
写真の無いこの世界で、子供の頃の俺を知るのは俺だけ……
その俺が……似てるって判断できる、この子は……
「僕の母はティファニアですよ、サイトおとうさん」
にっこり笑う笑顔に、テファの印象が重なる。
「え? でも……テファと分かれたのが……」
しかも、テファとは肉体関係は無い……あの頃の俺は禁欲的だ...
あの直後位から、妙に我慢が出来なくなって、手を出しまく...
戦争よりやばい数々の修羅場をくぐって……俺、よく生きてる...
物思いにふける俺を、しばらく眺めていた男の子が洒落にな...
「母は、記憶を消せるのをご存知でしょう?」
……まあ……ご存知ですよ……っまさか!
「貴方がルイズさんの側に居るべきだと、母は判断したそうで...
「ちょっ、ちょっと待て、じゃ……俺……」
「命の恩人に手を出した挙句、捨てて逃げた卑怯者ですね、お...
マジでへこむ。
テファの事は大切な思い出だ。
美しい森の奥で、ひとり静かに暮らす妖精の美少女。俺だけ...
思い出すたびに胸が温かくなる彼女の事を、まさか自分で汚...
「……母は一人でたまに泣いていました……はっきり言って僕は貴...
静かな宣告に、死ぬほどの後悔が俺を襲う。
綺麗な姿勢、歳とは不相応な言動、今は冷たいとはいえ、優...
出来たお子さんだった。どこに出しても恥ずかしくない美少...
……いや、多少とはいえ自分に似ているのを誉めるのは面映い...
テファは一人でこの子を育てたんだと思うと、誇らしくて……...
俺にも……何かさせて欲しかった。
テファは俺の事を気遣ってくれたのだろうし、実際、子供が...
シエスタやルイズと子供が出来た頃、やっと各国の情勢が落...
「母はずっと待っていたんですよ?」
利発そうな少年は、俺を弾劾する手を休める事は無かった。
123 名前:2/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:29:39 ID:c...
「貴方をずっと待っていたのに、ここ数ヶ月は諸国も安定した...
……シエスタとルイズの妊娠も、言い訳にはならない。
『またな』って言ったのは俺だ。
「……すまない」
この子も……少しは俺に会うのを楽しみにしていてくれたのだ...
怒りも悲しみも無く、訥々と語る姿からは、何も読み取れな...
「今から……ウエストウッドに立つよ」
シエスタとルイズに、何て言い訳しよう。
多分、本気で起こられるだろう。
大騒ぎするほど遠い場所ではないとはいえ、出産に立ち会え...
「無駄です」
どうやって説得するか、どうゆう手段で行くか、そんなこと...
「なっ、なんでっ?」
嫌な予感がした。
そうだ、この子なんでこんな所に居るんだ?
「テ、テファはっ? テファに何か有ったのかっ?」
……怖い。
全身からいやな汗が出て、震えが止まらない。
こんな歳の子が、一人で片親を訪ねる理由なんて……
「ウエストウッドには……もう……居ません」
全身の力が抜けて、その場に崩れ落ちる。
地面を見つめる俺に向かって、少年の声が響く。
「貴方が危ない事をするたびに……その噂を聞くたびに、母はそ...
ラ・ヴァリエールの所から単身令嬢を攫ったり、一人で砂漠...
騎士隊一つだけでガリアに特攻したり……そんなたびに母は泣...
……ごめん、テファ……ごめんなさい。
地面にポツポツと、黒い痕が出来る……どんどん増えていく、...
「何度も言うが、僕は貴方を許せない、それでも……母は貴方が...
僕がここに来たのはね、おとうさん。名前を貰いに来たんだ」
「……なま……え?」
泣き崩れる俺に、少しは心を許してくれたのだろうか?
細いが、しっかりとした手で、俺を助け起こしてくれる。
……嬉しかった。……こんな些細なことがこんなに嬉しいのなら……
もっと親孝行しておくんだった……
呆然と後悔を続ける俺に、テファと同じ優しさを持つ瞳が語...
「母は僕が育つところをおとうさんに見てもらえないから……そ...
いつか、おとうさんに会ったら、子供と認めてもらえなくて...
いつも……そう言っていました」
テファは……優しい。
俺が、何も出来なかったって、後悔することも分かってたん...
「テファに……会いたいな」
「……来なかった癖に」
確かに……後悔なんて……何の役にも立たない。
「一言……謝りたかったな……」
少年が何も言い返さなかったから……
静寂が辺りを包み込む。
お互いに、何も言えずぼんやりと道行く人を見ていると、少...
「なら、どうぞ……」
少年の指し示す先には……、テファが居た。
124 名前:3/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:30:14 ID:c...
「テファァァァッァ、テファッ、テファッ、テファァァァ」
「っっ、きゃぁあっ、サイト? どうしたの?」
数年前からまったく姿の変わらない……いや、姿かたちは同じ...
「ごめんっ……ごめんっ、テファ……またなって……言ったのに」
「いいのよ、サイト。忙しかったのよね? ウエストウッドま...
柔らかく笑うテファが、潰れそうなくらい強く抱きしめる。
テファも俺を放さなかった。
「両親の仲が良くて、僕も安心ですね」
……こっ、この根性悪がっ、どこの誰に似やがったぁぁぁ、俺...
ふつふつと沸き立つ怒りを抑えていると、テファが慌てて謝...
「ご、ごめんなさいっ……あのっ……あのねっ、この子……ね、その…...
切り出し辛そうな、テファに助け舟を出す。
「「知ってる」」
……二人そろって。
綺麗にハモった声に、お互い苦笑する。
「因みに、嘘は一つもついてません。名前、よろしくお願いし...
「……ぜーーったい、変なのつけてやる」
「おとうさんが付けて下さるのなら、それで結構ですよ」
俺の大人気ない宣告にもまったくめげずに、さらりと言い返...
……か、可愛くねぇ。
何も言えずにガルガル吠えてる俺を置いたまま、
少年はテファに駆け寄って報告を始めた。
「ごめんなさい、おかあさん。薬が効きすぎたみたいです」
「ダメよ? 悪い子っ。めっ!」
怒られる方も、怒る方も、相手を大事にしているのが分かっ...
一生懸命に一つも嘘を吐いていない事を説明していたけれど...
……疎外感。俺、おとうさんなのに。
「おとうさんっ!!」
「はいっ!!」
テファとの話が終わったのか、俺の所に来て話かけてくれる。
「ご自宅伺ってよろしいですか? 僕は数時間してから参りま...
……こいつどんな環境で育ったんだろう?
「……こっから見えてる、ほら、あの屋敷……あと……これ、小遣い」
「うわぁ、ありがとうございます。街っていろいろ有ったから...
……元気な子だ……頭も良いし。
「さすがテファの子だな」
「……サイトの子だもん、恥ずかしくないように……って」
顔が赤くなっているのが自分でも分かった。
……この時間なら、ルイズもシエスタも居ないよな……
テファと腕を組んで自宅に向かう。
……もう少し、時間がゆっくりと流れればいいのにな。二人と...
125 名前:4/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:30:48 ID:c...
「手間の掛かる、両親です」
ワルドおじさんや、フーケねえさん(おばさんと呼ぶと、ゴ...
「出来るだけ二人っきりにしてあげれば良いんですよね?」
出かける前に、二人に厳重に言い渡された。おとうさんに会...
さっきのお話も、フーケねえさんが筋書きを考えてくれた。...
「僕、もうそんなに子供じゃ有りません」
手の掛かる大人が、周りに沢山居ますから、いつまでも子供...
おとうさんに貰った……金貨? うわぁ……こんなにお小遣いも...
は……使いません。村でコツコツ貯めたお小遣いで、皆へのお...
「高い……」
おかしいです、これはどう考えても陰謀です!!
こんなの、僕、自分で作れます。原価だって見当付きます。...
……うぅ……怒っても仕方ありません。
お土産……困ったなぁ……おとうさんに貰ったの使えば良いんで...
「これは……記念に置いておくつもりですし」
次に会えるのがいつか分からないですから、貰ったものは全...
「……困りましたね」
道の真ん中で唸っていると、優しいおねえさんが声を掛けて...
「どうしたの僕?」
僕と同じ黒い髪をした……妊婦さん。
「うわぁ……お子さん産まれるのですか?」
村に子供は多いけれど、子供ばかりなので、妊婦さんを見る...
「えぇ、坊やみたいな賢い子が産まれると嬉しいですね」
「? 僕、賢くないですよ」
お土産もちゃんと買えないのに賢いとか自分で言ってると、...
「何か有ったの?」
あぁ、いけません、おねえさんに気を使わせてしまいました。
ここは理由だけ言って退散しましょう。
「実は……で……」
「……わかりました、わたしが何とかしましょう!!」
……えと……どういう事でしょう?
126 名前:5/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:31:23 ID:c...
僕は今後女の人には逆らいません。
フーケおねえさんや、おかあさんが特殊なのだと思っていま...
「ほら、こーんなに安く買えましたよ」
このシエスタおねえさんも、凄いです。
全然足りないと思っていたお金が、余りました。
思ったよりも、ずっと沢山買えましたし。
どーやったのか、横で見てたのに分かりません。
店の人が泣き出しても、値段交渉を止めない様は非常に勉強...
「えへへ、満足です。ね、もうちょっと付き合いませんか?」
この人には逆らえません。
それにお土産も買えましたし、
今から僕は時間つぶししないといけません。渡りに船です。
「はい、どこえなりとお供します」
「うん、そこの喫茶店でルイズと待ち合わせなの」
……き、聞き覚えのある名前ですけど、きっと街では珍しくな...
「ルイズ……さん、ですか?」
「ほら、そこの美人」
まだ少し向こうですが、オープンカフェに桃色の髪の人が座...
道行く男の人が必ず一瞬立ち止まるほどの美貌。
おかあさん以外では始めてみました。
「ルイズ〜」
「遅いわ、シエスタ……って、もう産んだ訳?」
「まだ入ってるわよ、ほらほら見て、そ〜〜っくり、ナンパし...
えと……なんだか嫌な予感がするのですが?
「うわ……こんなに大きくなかったら、どこで浮気したのか問い...
「まったくですねー」
凄く仲の良い二人です。姉妹でしょうか?
「あ、そういえば君、名前は?」
「……シエスタ……あんた……」
幼児誘拐は犯罪よ? ルイズおねえさんの目が語っていまし...
「えっと、名前はまだ有りません」
まぁ、こうなるのですが。
因みにおかあさんが呼ぶ通称は有るのですが、秘密。
……もうすぐ僕にも名前が出来ると思うと、楽しみです。
「「は?」」
最初はいつも皆さん驚かれます。
説明も慣れたものです、物心ついたときから繰り返してます...
「父は僕が産まれたこと知らなくって、母は父から名前を貰う...
二人とも目を丸くして驚いてます……そんなに変でしょうか?
悪いことを聞いたのかしら? ルイズおねえさんが申し訳無...
「えっと……困らないの?」
「はい、それに……今日までですから」
「今日まで?」
「はい、この街にはおとうさんに会いに来たんです」
二人ともほっとした様に笑ってくれました。
いい人たちですね。
「そう……ね、名前くらいは付けさせてあげた方が良いのかもね」
「そうですね」
あれ?
「ルイズおねえさんも?」
よく見ると、お腹が少し……
「ええ、……シエスタにちょっと負けたけどね」
「うふふふ、わたしの方が先に愛情が奥に届いたんです」
「そんなこと無いわよっ」
「ありますー」
何だかよく分かりませんが、とても重要なことなのでしょう。
真面目に張り合っている女性の間に入ると死ねるのは、何度...
127 名前:6/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:32:03 ID:c...
しばらく眺めていると、口論は終了しました。
引き分けの模様です。
「あー、ごめんなさい。誘ったのに、無視して話しちゃって」
「いえ、結構ですよ、おとうさんとおかあさんを二人きりにし...
「へー、どんな二人なの?」
「おかあさんは美人です。ルイズおねえさんに負けません」
「まぁ」
笑われてしまいました。お世辞ではないのですが。
「胸だって立派です。シエスタおねえさんより大きいです」
……どうして、二人そろって笑い転げるんでしょうか?
「「ティファニアを思い出すわねー」」
あれ?
「おかあさん、ご存知なのですか?」
そういった途端、二人とも凍り付いてしまいました。
……な、何かまずいことを言ったのでしょうか?
「……おとうさんの名前を言ってごらん?」
「サイト……です」
おかーさん、おかーさん、まおーがでーたーよー
……なんでしょう?
なんだか凄い迫力です。
「「で? 二人は今どこなのかな? かな??」」
い、いけません、なんだか本当なことを言ってはいけない気...
……うん、ごめんなさい。おかあさん。
僕は今から嘘を吐きます。
「あそこの森でデート中です」
「「あっちかーーーー」」
えと……妊婦さんは安静に……
というか、通行人の人たちを跳ね飛ばしたらご迷惑ですよー。
……行ってしまいました。
あ……困りました。
「お客様」
……ですよね。
「えと……おいくらでしょうか?」
……良いんです、僕はもう子供じゃありません。
女の人とお茶したら、男が出すべきなのです……
……ごめんなさい、おとうさん。使います……
あと、なんだか色々ごめんなさい。面倒なことになったかも...
いろいろ心でお詫びしながら、泣く泣くお小遣いを使う羽目...
128 名前:7/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:32:34 ID:c...
「おとうさんに知らせに行くべきでしょうか? まだ二人きり...
とぅびー おあ のっと とぅびー です。
「困りました」
街に来てから困りっぱなしです。
村の人たちが都会は怖いといっていたのは、こういう事なの...
考えながら道をとぼとぼ歩いていると、壁にぶつかりました。
あれ? 道の真ん中で壁ですか?
「あ、すまない。大丈夫か?」
「あ、平気です。すいませんでした」
壁だと思ったのは大きな人でした。
慌てて立ち上がって、ぴょこんとお辞儀をします。
「失礼しました、騎士様」
そうです、近衛の立派な制服を纏われてます。
横に大きい騎士様と、妙にキラキラした騎士様でした。
「おや……君は僕の親友にそっくりだね」
キラキラした騎士様が、ひょいっと僕を抱き上げました。
細く見えるのに力持ちなのでしょうか。
「見てください、へ、……あー失礼、アン様」
フードで顔を隠した女の人の前に連れて行かれました。
わぁ! びっくりです。
この人もおかあさん並です。
おかあさんは世界一美人だと思うので、
街って凄いです。世界一の美人が沢山です。
「あら……本当……わたくしもこんな子供が欲しいですね」
ころころ笑うおねえさんを、二人の騎士様がギョッとした顔...
「貴方、お名前は?」
あれ?またこのパターンなのでしょうか?
「まだ有りません」
説明が終わった時、僕はもう二度と街に来ないことを心に誓...
129 名前:8/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:33:09 ID:c...
腕の中でテファが眠っている。
「いてててて」
もう歳だろうか? あちこちが痛い……てーか。
「やりすぎたなぁ」
部屋の中は、俺の匂いが立ち込めている。
アルビオンからの旅で相当疲れていた筈なのに、俺が求めれ...
「さーて、どうするかな」
ルイズとシエスタは怖いが……テファもあの子も手放す気は無...
両方可愛すぎるっ!!
記憶が消されているらしいが、テファの身体を俺は確かに知...
何度も思い描いた夢の身体。
記憶は消えても、身体はしっかりと覚えていたようだ……しか...
「エルフって……老化しないのか?」
そう、むっちゃ若い。同じ位の歳のはずだけど、年下の愛人...
もうこれは手放せません。
「さーて、どう誤魔化すかな……」
ルイズはともかく、シエスタは鋭いからなぁ……
「なにを誤魔化すんだ?」
ぞわっと、総毛立つ。やっば、こんな所見られたらっっ
「って……ギーシュかよ」
「かよとは、ご挨拶だね、サイト……しかし……いい趣味だ」
眠るテファを覗き込みながら、続けた。
「エルフとはねぇ……たまにはって事か?」
馬鹿にするような響きを感じて、数年来の親友と言えども黙...
「エルフだと悪いのか?」
「いやっ、違うぞっ! サイト」
俺の本気を感じ取ったギーシュが距離を取る。
「聞けっ、サイト!!」
「いーや、聞かないね、ギーシュ、テファは今まで抱いた中で...
睨みながらの俺の言葉に、ギーシュはその場で頭を抱えた。
「……バカヤロウ」
は?
静々と、もう一人部屋に入ってくる人が居た。
「……最高……ですか?」
……へ?
「へいかぁぁぁぁぁぁ」
や、ヤバいっ、ギーシュは気を使ってくれてたんだ……
あそこは姫さまに気に入られるように、ギーシュに乗っとけ...
「すうすう」
テファは熟睡してるし。
「最高……なんですねぇ」
130 名前:9/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:34:08 ID:c...
ガクブルしながら、アンの……陛下の言葉を待つ。
「……わたくしと比べても最高なんですものね……なにしろ、最も...
こ、こわっ……だらだらと冷や汗が……よし!
「いやいや、姫さまには適いませんよ、高貴な女性の頂点、女...
高貴な女性サイコー!!」
あれ? ギーシュが何か慌ててる。
ほうほう、人文字か。
『お』『ろ』『か』『も』『の』
何のことだ?」
「そうですかー凄いですねー、わたしみたいな街娘では太刀打...
……シエスタ?
カツーン、カツーンとまた一人部屋に踏み込んでくる。
……あぁ……死んだなぁ……
いやっ、まだだっ、まだ終わらんよっ!!
「おっぱいっ、おっぱい、最高。アンやシエスタサイズがさい...
……あれ?
ギーシュが、縄を輪にして……天井からぶら下げている。
……マ サ カ
「……そ、よーく分かったわ、サイト。あなたの事がね」
……ルイズ……
愛しい三人の女性がにこやかに俺の側に立つ……
こ、こえぇぇぇよぉ。
凍りつく空気を無視して、もう一人の親友がのそのそ部屋に...
睨み付ける三人も、すがる様な俺の目も無視して、ベットサ...
全員の注目の集まる中、いきなり布団を捲ったマリコルヌが...
「乳 革 命 キタ―――――」
「って、てめぇぇぇぇ、見るんじゃねぇぇぇ、こりゃ俺のだぁ...
ニヤリと笑うマリコルヌ。
げ。
前後のことも考えずに入れた突っ込みに、三人とも反応した。
テファは俺のもの宣言に……
「「「しんじゃえ♪」」」
容赦の無い攻撃が雨のように降り続いた。
131 名前:10/10[sage] 投稿日:2007/01/30(火) 01:37:06 ID:...
サイトがウエストウッドに来てくれるらしい。
それは嬉しいけど……
「どうして、そんなにぼろぼろなの?」
朝起きたら、サイトが死に掛けてた。
「ど、どうしても……」
ほとぼりがーほとぼりがー、って唸ってる。
何だかよく分からないけれど……嬉しいな。
これからはたまに来てくれるのかな? サイトが居てくれる...
うん、決めた。また来てくれる気に成る様に。
「ねぇ、サイト。うーんと優しくしてあげるね」
し、死ぬかと……いや、ルーンが消えてもおかしくなかった。
テファも居るし、ウエストウッドにしばらく避難する事にし...
……しかし……身体中怪我だらけで……テファといちゃいちゃ出来...
身体が治ったら……げへへへへ寝かさないぜぇテファ。
そんな俺の心が通じたのか、テファがそっと耳元で囁いてく...
「うーんと優しくしてあげるね」
マ、マジっすか……
よ、夜が楽しみだ。
おとーさんの怪我は僕のせいなのでしょうか?
なんだかそんな気がして仕方ありません。
素直にごめんなさいと言いたいのですが……
言いにくいです。
「おとーさん」
今はまだ名前の無い少年が、サイトに話しかける。
「僕はもうすぐ6歳です、今までのお誕生日プレゼントを下さ...
虚を付かれた様子のサイトだったが、黙って頷いた。まだま...
「1歳の誕生日プレゼントに名前を下さい」
彼がずっと欲しかったもの。
「2歳の誕生日プレゼントは妹が良いです」
サイトとテファが二人そろって真っ赤に成った。
「3歳の誕生日プレゼントには約束を……おかあさんを泣かさな...
サイトが頷くまで、彼は先を続けようとしなかった。
「4歳の誕生日プレゼントは弟が良いです」
順番はわかんねーぞ、サイトの返事にテファが笑い出す。
「……5歳の誕生日プレゼントはっ……今から言うことを聞いても...
しばらくして、三人の笑いがどこまでも響いていった。
ページ名: