ゼロの使い魔保管庫
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365 名前:青銅と香水と聖女の日 ◆mQKcT9WQPM [sage] 投稿日...
その日の明け方近く、とある人物の部屋の前には、贈り物がい...
上りかけの朝日の薄明かりに照らされたその扉の前に、ゆらり...
「ふん…日が上る前からこれか…。全く、何人に唾つけてるのよ...
影はそう呟くと、贈り物どもを手に持っていたズダ袋に放り込...
そして、その代わりに、小さな箱を懐から取り出した。
「…ちゃんと、気づきなさいよ…」
そして、箱に軽く口付けすると、それを扉の前にそっと置いた...
ギーシュは目を覚ました瞬間、がばぁっ!とシーツを跳ね上げ...
そして、扉の前で深呼吸。
大丈夫だギーシュ。今年は確実じゃないか。
ケティにマリエラにルーシアにファビオラにメリッサに…。あと...
大丈夫、絶対大丈夫だ!待っていてくれよレディたち!
そして、そっと扉を開ける。
するとそこにあったのは。
小さな箱が一つだけ。
「…え?一個だけ?」
それも小さい。
ギーシュはその箱を手に取ってしげしげと眺めてみるが、当然...
恐る恐る箱を開け、中身を確認する。
そこに入っていたのは、青い液体を満たした小瓶。
その瓶の口には、噴霧用の押し袋が付いていた。
つまりこれは香水。
で、今のギーシュに香水をプレゼントする女性といえば、一人...
のだが。
「ケティ?マリエラ?ルーシア?ファビオラ?メリッサ?それ...
思い当たる数が多すぎて、逆に特定できないギーシュだった。
モンモランシーは一人で中庭で朝早くからお茶をしていた。
なぜかというと、とある人物が自分の前に現れるのを、公然と...
そうでもしないとあの節操なしは、いつまでたっても自分の、...
すっかり冷えた紅茶を流し込んで、また女子寮の方を見る。
あのバカは、今朝、ものすごい勢いで女子寮に吶喊していった。
たぶん、私を探しに行ってるのよね、とモンモランシーはため...
こんな、目に付くところにいるのに。
これはギーシュの悪い癖で、一つのことが気になると他のもの...
だから、あんな芝居ががった台詞を平然と放つのだ。
女子寮の出入り口を観察していたモンモランシーに、不意に悪...
「…トイレ行ってこよ…」
朝から飲んだ紅茶は既に十杯を越えていた。
366 名前:青銅と香水と聖女の日 ◆mQKcT9WQPM [sage] 投稿日...
モンモランシーが一階にある女子寮の共用トイレから出てくる...
「ああケティ!君だね!君こそがこの香水を僕にぃぃぃぃぃ」
ギーシュがモンモランシーのあげた香水の箱を握り締めて、後...
そして振りほどかれていた。
乱暴に振りほどかれ、ギーシュは床にみっともなく転がる。
「ひどいですわギーシュさま!私が贈ったのは手作りのケーキ...
そんな、他の女の贈り物を持ってくるなんて!」
言って、立ち上がってきたギーシュの前で、大きく右手を振り...
「最っっっっっ低!!」
ばっしぃぃぃん、と大きな音を立て、ケティの平手がギーシュ...
「ああ、待っておくれ、ケティぃぃぃぃぃぃぃぃ」
情けない声をあげてケティを制止するギーシュだったが、もは...
すたすたと振り向きもせず、女子寮の奥へと消えていった。
そんなギーシュを、モンモランシーは背中から踏み潰した。
「ぐぎゅっ」
潰れた蛙のような声をあげ、ギーシュは再び床に突っ伏した。
モンモランシーはギーシュの背中に乗せた足にぐりぐりとひね...
「ああらせっかくの聖女の日を邪魔してごめんなさいミスタ・...
どうやら残念なことにあなたに贈られたものは彼女のものじ...
さて、ここでミスタ・グラモンに問題を出します」
背中を踏み潰されてぐりぐりされていたため、呼吸困難に陥っ...
「も、モンモランシー。その問題に正解したら何かいいことで...
「足をどけてあげます」
「も、もし不正解だったら…?」
「息が止まるまでフミグリします」
モンモランシーの声音からは本気しか伝わってこなかった。
息が止まるまでフミグリは正直勘弁願いたいので、ギーシュは...
「よ、よし言ってみたまえ」
「メイジには二つ名があります。あなたは『青銅』のギーシュ。
さて、私の二つ名はなんでしょう?」
あまりにも簡単だ。簡単すぎて、逆に引っ掛け問題なんじゃな...
367 名前:青銅と香水と聖女の日 ◆mQKcT9WQPM [sage] 投稿日...
「も、もちろん『香水』だよ、モンモランシー」
「正解です。
さてもう一つ問題です」
まだあるのか、とギーシュは反論しようとしたが、そんな間も...
「あなたに贈られたものは香水でしたね?
この意味するところを答えなさい」
「それはもちろん」
なんだ簡単じゃないか、とギーシュは心の中で胸をなでおろし...
それと同時に、なぜモンモランシーはこんな意味のないことを...
「も、もちろん…?」
ちょっとだけ、ホントにちょっとだけドキドキしながら、モン...
そして後悔した。
「もちろん、僕を愛しているどこかのレディが僕に贈ったもの...
そうだ、誰か心当たりはないかいモンモランシー!?」
「…死ねっ、死んでしまえっ!」
今度こそ、本当に、遠慮なく。
ギーシュの息が止まるまで、モンモランシーは彼をフミグリし...
愛は空気のようなもの。普段は気づかないけれど、それがない...
〜聖女の言葉より〜
終了行:
365 名前:青銅と香水と聖女の日 ◆mQKcT9WQPM [sage] 投稿日...
その日の明け方近く、とある人物の部屋の前には、贈り物がい...
上りかけの朝日の薄明かりに照らされたその扉の前に、ゆらり...
「ふん…日が上る前からこれか…。全く、何人に唾つけてるのよ...
影はそう呟くと、贈り物どもを手に持っていたズダ袋に放り込...
そして、その代わりに、小さな箱を懐から取り出した。
「…ちゃんと、気づきなさいよ…」
そして、箱に軽く口付けすると、それを扉の前にそっと置いた...
ギーシュは目を覚ました瞬間、がばぁっ!とシーツを跳ね上げ...
そして、扉の前で深呼吸。
大丈夫だギーシュ。今年は確実じゃないか。
ケティにマリエラにルーシアにファビオラにメリッサに…。あと...
大丈夫、絶対大丈夫だ!待っていてくれよレディたち!
そして、そっと扉を開ける。
するとそこにあったのは。
小さな箱が一つだけ。
「…え?一個だけ?」
それも小さい。
ギーシュはその箱を手に取ってしげしげと眺めてみるが、当然...
恐る恐る箱を開け、中身を確認する。
そこに入っていたのは、青い液体を満たした小瓶。
その瓶の口には、噴霧用の押し袋が付いていた。
つまりこれは香水。
で、今のギーシュに香水をプレゼントする女性といえば、一人...
のだが。
「ケティ?マリエラ?ルーシア?ファビオラ?メリッサ?それ...
思い当たる数が多すぎて、逆に特定できないギーシュだった。
モンモランシーは一人で中庭で朝早くからお茶をしていた。
なぜかというと、とある人物が自分の前に現れるのを、公然と...
そうでもしないとあの節操なしは、いつまでたっても自分の、...
すっかり冷えた紅茶を流し込んで、また女子寮の方を見る。
あのバカは、今朝、ものすごい勢いで女子寮に吶喊していった。
たぶん、私を探しに行ってるのよね、とモンモランシーはため...
こんな、目に付くところにいるのに。
これはギーシュの悪い癖で、一つのことが気になると他のもの...
だから、あんな芝居ががった台詞を平然と放つのだ。
女子寮の出入り口を観察していたモンモランシーに、不意に悪...
「…トイレ行ってこよ…」
朝から飲んだ紅茶は既に十杯を越えていた。
366 名前:青銅と香水と聖女の日 ◆mQKcT9WQPM [sage] 投稿日...
モンモランシーが一階にある女子寮の共用トイレから出てくる...
「ああケティ!君だね!君こそがこの香水を僕にぃぃぃぃぃ」
ギーシュがモンモランシーのあげた香水の箱を握り締めて、後...
そして振りほどかれていた。
乱暴に振りほどかれ、ギーシュは床にみっともなく転がる。
「ひどいですわギーシュさま!私が贈ったのは手作りのケーキ...
そんな、他の女の贈り物を持ってくるなんて!」
言って、立ち上がってきたギーシュの前で、大きく右手を振り...
「最っっっっっ低!!」
ばっしぃぃぃん、と大きな音を立て、ケティの平手がギーシュ...
「ああ、待っておくれ、ケティぃぃぃぃぃぃぃぃ」
情けない声をあげてケティを制止するギーシュだったが、もは...
すたすたと振り向きもせず、女子寮の奥へと消えていった。
そんなギーシュを、モンモランシーは背中から踏み潰した。
「ぐぎゅっ」
潰れた蛙のような声をあげ、ギーシュは再び床に突っ伏した。
モンモランシーはギーシュの背中に乗せた足にぐりぐりとひね...
「ああらせっかくの聖女の日を邪魔してごめんなさいミスタ・...
どうやら残念なことにあなたに贈られたものは彼女のものじ...
さて、ここでミスタ・グラモンに問題を出します」
背中を踏み潰されてぐりぐりされていたため、呼吸困難に陥っ...
「も、モンモランシー。その問題に正解したら何かいいことで...
「足をどけてあげます」
「も、もし不正解だったら…?」
「息が止まるまでフミグリします」
モンモランシーの声音からは本気しか伝わってこなかった。
息が止まるまでフミグリは正直勘弁願いたいので、ギーシュは...
「よ、よし言ってみたまえ」
「メイジには二つ名があります。あなたは『青銅』のギーシュ。
さて、私の二つ名はなんでしょう?」
あまりにも簡単だ。簡単すぎて、逆に引っ掛け問題なんじゃな...
367 名前:青銅と香水と聖女の日 ◆mQKcT9WQPM [sage] 投稿日...
「も、もちろん『香水』だよ、モンモランシー」
「正解です。
さてもう一つ問題です」
まだあるのか、とギーシュは反論しようとしたが、そんな間も...
「あなたに贈られたものは香水でしたね?
この意味するところを答えなさい」
「それはもちろん」
なんだ簡単じゃないか、とギーシュは心の中で胸をなでおろし...
それと同時に、なぜモンモランシーはこんな意味のないことを...
「も、もちろん…?」
ちょっとだけ、ホントにちょっとだけドキドキしながら、モン...
そして後悔した。
「もちろん、僕を愛しているどこかのレディが僕に贈ったもの...
そうだ、誰か心当たりはないかいモンモランシー!?」
「…死ねっ、死んでしまえっ!」
今度こそ、本当に、遠慮なく。
ギーシュの息が止まるまで、モンモランシーは彼をフミグリし...
愛は空気のようなもの。普段は気づかないけれど、それがない...
〜聖女の言葉より〜
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