ゼロの使い魔保管庫
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251 名前:黒い蜘蛛の糸 1/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
サイトは喜んでくれるだろうか?
おかしいと思い始めたのは数週間前。
モンモランシーに相談したら、
「……あんたもか…………少し前に沢山用意したのがあるから、コレ...
そう言って、魔法薬を一瓶くれた。
怖くて怖くて仕方が無かった。
でも知らないままに日常を過ごせるほど、わたしの心は強く...
笑いながら薬を渡してくれたモンモランシーが教えてくれた...
指先を少しだけ切って、にじみ出る血をハンカチに垂らす。
その血に魔法薬を浸して、数分待つ。
それだけ。
自分の部屋に閉じこもって、部屋の隅で指先のじくじくした...
赤く滲んでいた血が、鮮やかな蒼に変わる。
「……あ……」
陽性……だ。
ウェストウッドのティファニアの家で、
帰りの船の中で、
この部屋で、
何度も重ねたサイトとの行為。
その結果。
「…………モンモランシーにお願いしないと……」
今度のお願いを聞いたモンモランシーは怒って……怒って……
何度もお願いするまで、お薬をくれなかった。
モンモランシーは優しい。
……それでも……引けないわたしは、一生懸命お願いして……
――『保険』を手に入れた。
252 名前:黒い蜘蛛の糸 2/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
ルイズのバカ。
一度目の薬は良い。
出征前の思い出に、
死ぬかもしれない恋人に捧げたくて、
今生かもしれない別れに、ただひたすらに肌を重ねて。
自分を安売りして、数ヵ月後に青くなった娘は沢山居た。
……わたしだって、ギーシュがせまって来たら分からなかった。
側に居なくなってから、こんなことならと何度思ったか分か...
だから欲しがる子には無料で分けてあげた。
わたしが出来なかったことをした、勇気を出した女の子がそ...
ほっとした子も居た、覚悟を決めた子も居た。
でも、一つだけ納得行かない道があった。
「どうしてこんな薬を欲しがるの?」
需要は有った、それでも渡すのに躊躇が無かったわけじゃな...
コレは毒薬だ。
飲めば人が一人死ぬ。
相手の戦死の報が届いて思い出すのも辛くなった、身体が弱...
――もっと、ずっと、単純に、心が弱い。
この子はそのどれとも違うはずだった。
「……サイトは……いつか居なくなるから」
「この世界にサイトを繋ぎとめるわけにはいかないから」
何度も何度も繰り返されるルイズの言葉に、
「……使うのは最後の最後にしなさい」
わたしは折れた。
「……ん」
ルイズの微笑みは、きっとずっと忘れない。
――こんな事を繰り返すわたしは、いつかきっと地獄に落ちる...
253 名前:黒い蜘蛛の糸 3/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
もしも……喜んでくれるなら……
本当はとても怖いけれど、モンモランシーと約束したから。
渡したくないお薬を、嫌々ながらもわたしを信じて渡してく...
「サイトに……一言だけでも……」
拒絶されるのが怖かった。
邪魔だって、重い女だって、抱くんじゃ無かったって。
そんな風に思われるのが嫌だった。
「……き、嫌われたら……」
サイトはいつか帰るつもりだと思うし、サイトを助けるのは...
姫さまは喜んで手を貸すだろうし、サイトとわたしを守って...
チクンと、胸の奥が痛む。
わたしはサイトじゃないと嫌だけど、サイトはわたしじゃな...
分かってる、わたしはわがままだし、サイトに何度も暴力を...
わたしの所為でサイトは何度も死にかけたし、心臓だって一...
……胸だって、シエスタや姫さまより小さい。
サイトの事を思ったら、身を引いたほうがサイトは幸せかも...
「……離れたくないよぅ……」
小さな小さな願い。
サイトが側に居ない世界が、どんなに辛いのか、今のわたし...
二度と耐えられそうに無いから、サイトがわたしを求めてく...
抱きしめられた時は二度と離れないと思った。
……でも……
「わ、わたしが……わたしが居ることが……サイトの邪魔になるか...
――そして、この子が。
サイトに言わない方がいいのかも知れない。
最初はそのつもりだった。
でも……モンモランシーが……
……ううん……嘘だ。
本当は……そんな事無いって、あるはず無いって分かっていて...
「サイトに……祝福して欲しい」
優しいモンモランシーは、わたしにきっかけをくれたんだ。
254 名前:黒い蜘蛛の糸 4/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
「サ、サイト……時間……いい?」
「ん? ……まだ日が高いのに……積極的だな、ルイズ」
「っっっ、ち、違うのっ、お願い……聞いて」
誰も居なくなった騎士隊の隊舎でサイトをつかまえた。
部屋に戻ってくるのは待てない。
部屋で言うと……泣く所が無くなるから。
「なんだ?」
穏やかなサイトの目がわたしを捉える。
サイトが話を聞こうとしてくれる、こんな時間がわたしは好...
……でも、今日はいつも違って辛かった。
この目が……次に浮かべるのはどんな色なんだろう?
「あの……ね、あのね……サイト」
悲鳴を上げている心が、干上がった喉を通して聞きたくない...
わたしの本気を感じてくれたサイトが、真面目な顔で話を聞...
……やさしいのね、サイト。
「あ、…………あ……」
次の言葉がどうしても出ない。
もし、
『俺の子か?』
とか言われたら?
ううん、冷めた目で一瞥されるだけで、わたしの心は砕けそ...
「ん?」
サイトが優しく続きを促す。
……いつまで優しくしてくれるんだろう?
話をそらしたい、そんなことまで考える。
……怖い。
でも……今は逃げちゃだめだ。
「……赤ちゃん……できたみたい……なの」
255 名前:黒い蜘蛛の糸 5/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
怖くて目が開けられない。
一息に言った後、硬く目を瞑ったまま、ひたすらサイトの反...
静まり返る部屋に、サイトの足音だけが響く。
……だめ……だ、きっとだめだったんだ。
目を開いたら、きっとサイトの冷たい目がわたしを見ている...
「ご、ごめんなさいっ、だ、大丈夫だからっ、ほらっ、モンモ...
サイトの邪魔にならないからっ、す、すぐに飲むからっ」
目を閉じたまま、隠し持っていた薬を飲もうとした手が、
力強い腕に抱きすくめられる。
「おめでとう……いや……ありがとうか? ルイズ」
「ふぇ?」
「うれしいよ」
「……え?」
これはきっと夢。
「お父さんになる訳だな、俺」
「……い、いいの?」
「ん? 何が?」
「産んでも……邪魔になっても……いいの?」
……ほんの少しの希望を込めて。
「なんで? 何が邪魔なの?」
「……だって……帰る時に……」
「いや、帰らねーよ、ルイズがここに居るのに」
聞き間違いだと思った、だってこんなに幸せなのは有り得な...
「ずっと側に居るよ、ルイズ」
この夢は覚めなかった。
256 名前:黒い蜘蛛の糸 6/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
「いやー、しかし俺、ルイズパパに殺されるなー」
サイトが笑う。
「だ、大丈夫! 父さまはわたしが説得するからっ、父さまだ...
姉さまは二人とも難しいし、ほ、ほらっ、未来の公爵よ、わ...
まだ男の子か女の子か分からないのに。
先の見えない未来の話が、こんなに楽しいのは始めて。
「……ずっと、一緒だな、ルイズ」
「……そそそ、そうねっ、こ、子供が出来ちゃったんですもの、...
本当は凄く嬉しいのに、バカなわたしはこんな時でも素直に...
「仕方ないのか」
サイトが笑ってわたしを抱きしめる。
優しくギュってしてくれる腕が、『分かっているよ』と語り...
それが凄く恥ずかしくって。
「わ、わたしっ、モンモランシーに報告に行ってくるっ!」
お礼も言わなくちゃ。
駆け出そうとするわたしを、サイトが呼び止めた。
「ルイズ、その薬は置いていけ、お前走るとその辺の物飲み干...
「そ、そんな事しないわよっ」
「一回したからっ、いいから置いていきなさい……お母さん」
「そっ……なっ……う…………はい」
わたし……これからサイトに勝てないかもしれない。
257 名前:黒い蜘蛛の糸 7/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
「未来の公爵……か」
手の中の小瓶にしっかりと蓋をする。
面白いおもちゃが手に入った。
「……お、おめでとうございます……サイト……さん」
カーテンの陰に隠れていたシエスタが、真っ青な顔で、それ...
俺とルイズを祝福する。
気丈な事だ。
「その子の、弟かな? 妹かな?」
降臨祭の夜に、七回にわたって流し込んだ精はシエスタの胎...
「……ど、どうしましょう……」
シエスタがルイズを大切に思っているのは知っていた。
妊娠が発覚しても、サイトに知らせると同時にミス・ヴァリ...
せめてけじめを付けさせてくれと、涙ながらに頼んだ彼女を...
……少し面白くなかった。
「シエスタ、まだ言っていないんだよな?」
「……ご、ごめんなさい」
そんな方法などあるはすも無いのに、ショックを与えずに知...
結局未だに伝えていない。
「コレ、飲んでみる?」
手の中の小瓶を示す。
シエスタもルイズの話を聞いていたはずだ。
何の薬かは分かっているだろう。
258 名前:黒い蜘蛛の糸 8/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
『オマエノコドモハジャマダ』
サイトさんがそう言っている。
ミス・ヴァリエールも言っていた。
未来の公爵だと。
サイトさんとミス・ヴァリエールは近い将来結ばれる。
なら……妾腹で年長の子供の存在など……
「薬は俺が預かっとくから……考えといて」
「……は……い……」
どこか遠くでわたしが返事をしている。
サイトさんはミス・ヴァリエールが持ってきた薬を、
わたしが洗濯したハンカチに包み、大事そうに持ち去った。
隊舎のドアが無慈悲な音をたてる。
幸せだったのに、
ミス・ヴァリエールを騙していると、疼く胸の痛みすら甘美...
……これはきっと罰。
「……ミス・ヴァリエールを……騙していたから……
天罰が下っちゃいました……ね……あはは……」
誰も居ない部屋で、
誰も居なくなった部屋で、シエスタは立ち尽くした。
遠くで聞こえる雷の音が、全てを壊そうとしている様だった。
259 名前:黒い蜘蛛の糸 9/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
「シエスタ?」
雨の中ぼんやりと歩くシエスタを、ルイズは慌てて連れて行...
「ちょっと、なんでこんな……もうっ、体冷たくなっちゃってる...
「…………えぇ……そうですね……ミス・ヴァリエール」
廊下を濡らしながら、ルイズはシエスタを部屋まで連れて行...
伝えたい事が有った。
伝えるべきだと思った。
しかし尋常ではないシエスタの様子に、ルイズは彼女を傷付...
「ほら……シエスタ、自分で洗濯してるんだから、遠慮しないの...
「……ありがとうございます、ミス・ヴァリエール」
「あぁ……もうっ、下着まで……貴族用のお風呂……使えないかしら...
「だ、だめですよ……でも……ありがとうございます」
ありったけの布でシエスタの水気を拭き取ってから、暫し考...
「ミス・ヴァリエール?」
「……お風呂ほどじゃないけど……暖かくない?」
自分の熱を少しでもシエスタに伝えようと、ルイズは一生懸...
冷え切った体と心に、少しつづ熱が戻り始める。
うれしいのに、幸せなのに涙がこぼれた。
――ワタシのユメはスキナヒトのソバにイルコト
それは叶うのだから。
サイトさんにお薬をもらおう。
優しいミス・ヴァリエールが泣かないように。
260 名前:黒い蜘蛛の糸 10/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
身体が重い。
一歩前に進むのも辛い。
「ミス・ヴァリエール……怒ってましたね」
部屋を出ようとするシエスタを、ルイズは必死で止めた。
「わたしなんかを心配してくれるなんて……ミス・ヴァリエール...
わたしはずっと貴方を騙していたんですよ。
そう告白できたら、どんなにか楽になるのだろう。
でも、伝えられない。
二度と言う機会も無い。
サイトの立ち寄りそうな所に顔を出す。
真っ青なシエスタを不審げな顔で見ながらも、何人かが居場...
「隊舎に戻っているなんて……行き違いですね」
まるでわたしとサイトさんの様、自嘲気味に笑うシエスタは、
ルイズが与えてくれた温もりをもう一度冷たい雨で洗いなが...
「サイト……さん?」
床を濡らさないように、ドアの隙間から部屋の中を窺うが、...
「あ……はは……わたしは何をやっても……駄目ですね」
そのまま立ち去るつもりだったのに、テーブルの上に気付い...
……気付いてしまった。
見覚えのある一つの瓶に。
261 名前:黒い蜘蛛の糸 11/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
引き寄せられるように部屋の中に上がりこむ。
本来なら決してこんな真似はしないのに。
薬を持ち上げる手が震えるのは、寒さだけが原因ではなかっ...
小さく軽いはずの小瓶が、今まで持ち上げたことが無いもの...
「こ、これ…………で……」
ミス・ヴァリエールもサイトさんも、これから先、笑って幸...
わたしが、わたし一人が耐えればいい事なのだから。
真っ黒に染まった世界の中、薬と自分だけになった気がした。
笑うミス・ヴァリエールを、
幸せそうなサイトさんを思い浮かべる。
「さようなら」
会うことも出来なかったね、そう名のる資格も無いけれど……
『おかあさん』を許してね。
飲もう。そう決めると、荒れ狂っていた心が凪いだ。
落ち着いた手で瓶の口を開く。
ミス・ヴァリエールもサイトさんの為にこれを飲もうとした...
ミス・ヴァリエールとサイトさん、二人の為になら……わたし...
口元に当てた瓶を一息にあおる。
何の味も匂いもしなかった。
でも……自分の内側が中から汚されていく、そう感じた。
そんな筈は無いのに、真っ黒い何かが自分の内側に広がって...
これ……で……
力の抜けた指先をすり抜けて、空になった瓶が床に落ちる。
それに引きずられる様に、わたしもその場に崩れ落ちた。
――甘かった。
こんなに……こんなに、
深い深い喪失感がわたしを覆う。
「……ごめん、ごめん……ね」
悲しすぎて、辛すぎて、凍った心は涙すら流せなかった。
262 名前:黒い蜘蛛の糸 12/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「見てたよ、シエスタ」
いつからそこに居たのか、サイトさんが、ゆっくりと歩み寄...
「飲んでくれたんだね」
「はい」
……サイトさんが笑ってくれているから……
きっとこれで良かったんだ。
無理矢理自分を……
「俺の子、死んじゃったんだね、シエスタ」
……納得……え?
サ、サイトさんの子……そ、そうだけどっ、そうだけどっ、
そんなのっ、そんなの今……今言われてもっ……
「可愛かっただろうな、シエスタと俺の子」
「……だっ……え? ど……どして……そんなっ?」
「俺『考えて』って言っただけだよ? 無理強いするつもりな...
「……う……そ……」
わ、わたし……わたしっ……
「シエスタはルイズと俺の側に居る為になら、俺の子殺しちゃ...
「……ひっ……え……うっ……うぁぁぁぁ」
「ほら、そんなに泣かないでシエスタ……あぁ、服が濡れてるな...
サイトさんがわたしの服を脱がせてくれる、
でもそんな事どうでも良かった。
わたしは……わたしは……
サイトサンノコドモヲコロシタ
悲しい認識で、心が埋め尽くされていく。
「ほら、おいで」
慣れた手つきでわたしを裸にしたサイトさんは、椅子の上に...
サイトさんに申し訳なくて、悲しくて、わたしがその場を動...
サイトさんは自分のマントの中でわたしを抱きしめてくれた。
「ご、ごめんなさい……」
「どうしてシエスタが謝るんだ?」
「だ、だって……だってっ……」
このまま死んでしまいたい。
こんなに悲しいのに、サイトさんの側に居るだけで不安が解...
悲しさの何倍もわたしの心を傷付けた。
263 名前:黒い蜘蛛の糸 13/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
泣き続けるシエスタを見て、サイトは少し安心する。
「いいこだね、シエスタこんなに泣いて」
「ち……違います……良い子なんかじゃ……わ、わたしっ、わたしっ」
優しくシエスタの背中を叩きながら、サイトは冷静にシエス...
『……壊すつもりは無いし……そろそろか?』
サイトには不満が有った。
子供を自覚してからのシエスタがお腹を気遣い、易々と身体...
抜け駆けの負い目から来るのであろう、自分のことよりルイ...
『でも……シエスタは……間違えなかったな』
もし、あそこで薬を飲まなかったら……
自分がどうするつもりだったのかを思い出して苦笑する。
『シエスタはこんなに可愛いのに、馬鹿だなぁ俺は』
シエスタに泣き止んでもらうため、強く抱きしめながら囁い...
「あれ、水だよ、シエスタ」
「……ふぇ? ……えっ? ……ちょっ、サイトさんっ!!」
「びっくりした?」
「……ひ、ひどっ、酷いですっ、酷いですサイトさん……わたし本...
じたばたと暴れるシエスタを、サイトの鍛えられた腕はあっ...
裸にむいたシエスタの柔らかさを確かめながら、サイトはシ...
264 名前:黒い蜘蛛の糸 14/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
う、嘘でよかった……
ガクガクと震える膝から崩れ落ちそうなシエスタを、サイト...
「シエスタが子供やルイズの話ばっかりするから……ごめんな」
サイトさんの言葉が胸の奥まで届いて、怒っていた筈なのに...
「もう、サイトさん、妬いたんですか? 妬いてくれたんです...
「そうだね、シエスタ。ルイズや子供に嫉妬するなんて、俺ど...
うれしい……サイトさんがそんなにわたしの事を思っていてく...
「シエスタが子供を殺すほど、俺の事が好きだって分かって嬉...
「…………ぁ……」
「子供なんて、死んでも良い位俺の側に居たかったんだよな」
……や……いや……やだぁ……
「そ、そんな……そんな事言わな……い……でぇ……」
「シエスタにとって俺が一番大事で、他なんてどうでもいいこ...
耳を塞ごうとするわたしの手を、サイトさんは決して離さず...
優しく微笑みながら、耳元に毒を注ぎ続けた。
「……や……ごめ……ごめんな……さ……」
「何謝ってるの? 俺はそんなシエスタが大好きだよ。
俺になんの断りも無く、俺の子供殺すなんて、最高だよシエ...
……あぁ……わたしが殺そうとしたのは、わたしだけの子供じゃ...
「サイトさんの……こども……」
「そうだよ、大好きなシエスタと俺の子供だよ。
……シエスタは邪魔なら、そんな子供でも殺せるんだよ。
大きくなったら、教えてあげような?
『お母さんは、昔邪魔なお前達を殺そうとしたことがあるんだ...
……ご め ん な さ い
頭が真っ白になっていく、恐怖で背中を汗が伝う。
「わ、わたし……サイトさんの子を……こ、ころ……ころす……」
大好きな人の子供を殺そうとしたわたしが許されることなん...
サイトさんに捨てられる、そんな予感で押しつぶされそうだ...
265 名前:黒い蜘蛛の糸 15/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
いい感じにシエスタが追い詰められていく。
「でも良いんだよ、シエスタ」
「え? で、でもっ、でも……わたしっ……」
「シエスタは、俺だけ見てればいいの」
優しく、これ以上無い位優しいキス。
「シエスタには最初っから、俺以外は要らないだろ?」
「サイトさん……以外は……要らない?」
子供の話をするシエスタを見てから、俺はずっと不安だった。
シエスタも、ルイズも、いつか俺の事なんてどうでも良くな...
シエスタもルイズも、俺が居なくても生きていける。
……だけど……俺は?
この知り合いの少ない世界で、これ以上味方が居なくなるの...
側に居てくれると思っていた人が唐突に消える。
それがどれだけ恐ろしいことなのか、俺は無理矢理に気付か...
…………どこか遠くで、何かにヒビが入る音が聞こえた。
その日から……子供の話をするシエスタが、この世界に来て最...
誰一人知り合いの無い世界で一人にされる恐怖。
七万の大軍の、なんと可愛らしいことか。
シエスタは変わる、ルイズもいつか妊娠して……それに……
「シエスタには、俺が居るよ」
「…………そう……そう……ですね……サイト……さん」
――――シエスタには俺が居ないと生きていけない位、俺に依存...
ルイズは……
そして……
悩むことはいくらでも有る……でも、まず
「シエスタ……いい子だね」
266 名前:黒い蜘蛛の糸 16/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
理性の崩壊しかけたシエスタを、慰めるように愛撫した。
「サイト……さん」
「いいから、動かないでシエスタ」
濡れて冷え切っていた身体を温めるように、じっくりと時間...
手だけではなく、足や胸まで使ってシエスタの身体に『温も...
俺に触れることで、シエスタがもっと狂えば良い。
そんな利己的な都合を知らないシエスタの目が潤む。
「わ、わたし……わたし……こんなに優しくしてもらっ……そんな……...
「馬鹿なシエスタ、俺は資格があるからシエスタを好きなんじ...
資格があるから抱くんじゃない……
好きだよシエスタ」
こぼれ始めた涙に、胸の奥で快哉を上げる。
もっとだ、もっと俺を見ろ、俺だけを見ろ。
も っ と 俺 を 好 き に な っ て く れ
声にならない叫びを上げながら、温まり始めたシエスタにマ...
「サ、サイトさん、いけません。これっ、シュヴァリエのっ」
「いいから、そんなマントより、シエスタの身体が冷えること...
一人の身体じゃないんだから、大事にしないとね」
「…………ごめんなさい、サイトさん」
これから暫く、何度も何度も機会が有るたびに思い出しても...
これはその一回目。
マントで包んだままのシエスタを椅子に座らせて、自分の服...
……昨日までなら……
『お腹の子に障るといけないから』
そう言って断られた……さて、
シエスタはじっと俺を見つめていた。
少し緊張しながら、シエスタに声を掛ける。
「……おいで」
「はい」
……成功、か。
「シエスタ……」
「あっ……」
喜びを隠し切れない俺は、獣のようにシエスタに襲い掛かっ...
267 名前:黒い蜘蛛の糸 17/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「だ、だめですっ、マントっ、マントが汚れます」
シュヴァリエのマントを下敷きに、シエスタを床に転がすと...
「いいよ……こんなの、後で洗ってくれないの?」
「ち、違います、洗いますけどっ……」
「何?」
「……好きな人にはきちんとした格好してて欲しいんです、サイ...
身体の奥から喜びが溢れてくる。
シエスタがこんな時でも、俺の事を気にかけているのが分か...
今までの何倍もシエスタが愛しくなる。
「こんなモノよりシエスタが大事なんだ」
「……そ、そんな……っぁ」
まだ何か言おうとするシエスタの唇を塞ぎ、仰向けに寝ても...
シエスタが焦れるくらい弱く、優しくほぐしていく。
シエスタの腕は俺の首に回されて、俺の動きの邪魔にならな...
指先に込められた力が、俺を放すつもりが無いことを主張し...
ためらう様に絡められた舌を吸いながら、たっぷり時間を掛...
腰の下でもじもじとシエスタの太ももが擦りあわされ始めて...
「どうして欲しい? シエスタ」
「っ……いっ、いじわるっ」
質問をした途端に、うっとりと閉じられた瞳に羞恥の色を浮...
可愛いシエスタ。
268 名前:黒い蜘蛛の糸 18/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
シエスタの一番熱い所に、そっと手を添える。
「はぅっ……そこっ……」
シエスタに浮かんだ歓喜の色が、数秒の後に曇る。
「あの……え……と……」
ピクリとも動かない俺を、泣きそうな目で見上げてくる。
「どうして欲しいのか分からないからね」
「っ……ひ、ひどっ……サ、サイトさぁん……」
シエスタの腰が浮かび、俺の指に透明な粘液が擦り付けられ...
勝手に動いた腰を自覚したシエスタは、可哀想な位赤くなっ...
それでも腰は止まらなかった。
「いっ、いやぁぁぁ、ち、違う……そのっ……とにかく違うんです...
歯止めが効かなくなったシエスタの身体に、俺の方も我慢で...
限界近くまで大きくなったモノを、シエスタの手に握らせる。
「あ……こ、こんなに……」
やわやわと握りながら、自分の中心に導こうとするシエスタ...
入り口に触れたままだった指先で、シエスタの形をゆっくり...
「……っっ、サイトさぁん……どしてっ……なんで今日こんなに意地...
『もう一つ目的があるからね』
胸の奥で答えてから、探り当てたシエスタの一番敏感な所を...
高い悲鳴を上げながら、いやいやをする様に頭を振るシエス...
「ほら、シエスタ見てごらん」
カーテンの陰に潜んでいた人物が、俺の指示通りに姿を現し...
269 名前:黒い蜘蛛の糸 19/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
わたしの目に映ったのは、小柄な人影。
……学院の男子生徒の制服だった。
「ひっ……やあぁっ……やだっ、見ないでっ、見ないで下さいっっ...
暗がりに潜んでいる相手の顔までは分からないけれど、サイ...
こんなにも恥ずかしいと思わなかった。
人に見せた事など無い所を、サイトさん以外に晒すのが苦痛...
「サ、サイトさんっ、サイトさん、あの人っ、あのひとぉぉぉ」
って、あれ?
サイトさんが居ない?
「って、何してるんですかっ……やぁっっ」
わたしが人影に気を取られている間に、サイトさんは足の間...
「ひ、人がっ、人が見てます」
サイトさんがうっすらと笑いながら、顔を……
「だ、だめっ、だめですっ、そんな所汚いっ……っっぁっ」
サイトさんの唇が充血していた所に当てられ、勢いよく吸い...
「っく…………だ……め……ひと……が、人が見てま……す」
サイトさんは何も聞こえないみたいに、容赦なくわたしを責...
湿った音の原因は、サイトさんの舌だけじゃなく、恥ずかし...
ミス・ヴァリエールに気付かれないように、それだけに注意...
ほんの数ヶ月前には想像も出来なかった快感が途切れる事無...
わたしの声が漏れるたび、男の子が息を呑むのが聞こえて、...
「み、見られてっ、っっやぁっ、いやっ、止めてください、サ...
270 名前:黒い蜘蛛の糸 20/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
シエスタの胸を持ち上げるようにして見せ付けると、
「ひ、ひどっ、わたしっ、サイトさん以外に……」
可愛いことを言いながら、抵抗を続けるシエスタを、膝の上...
すっかり硬くなったオレをシエスタの入り口に当てると、小...
「期待してる?」
「…………知りません」
頬を染めたシエスタが虚勢を張っているが、シエスタの限界...
人目を気にして萎縮するかもしれないと思っていたが……杞憂...
シエスタはいつもより数段感じている、快感を素直に表現で...
水面下ではとんでもないことになっていた。
本人にそんなつもりは無いのだろうけれど、甘えた瞳が主張...
力づくで奪って欲しいと、
無理矢理なら仕方が無いから、
俺がしたいのなら受け入れると、
言い訳さえ残してくれれば、俺の望みどおりに乱れてみせる。
期待と快感に濡れた瞳は、俺にそう教えてくれている。
でも……それじゃ面白くない。
シエスタの期待にはこたえず、穴の上を素通りした瞬間の泣...
太ももに挟み込むようにして、シエスタの下の唇を味わう。
「……サ……サイト……さぁん……」
「ん? なに? シエスタ……俺は凄く気持ち良いよ」
「っ…………」
『シエスタが』どうして欲しいのか。
それを口に出させるため、挿入しない様に気を付けながら、...
「……っ……はぁ……っ……く……っ」
押し殺した嬌声が色っぽかった。
二人きりならもうとっくに堕ちている、
それが今日は最後の一線で必死に踏みとどまっていた。
(連れてきたのは正解だったな)
見られないように、出来る範囲で捻られていたシエスタの身...
快感を貪るためにその配慮を忘れ始めている。
もう一息だ。
271 名前:黒い蜘蛛の糸 21/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
身体の内でサイトさんを感じたい。
頭の中がその事だけに染まり始める。
サイトさんの先っぽの段差に成っているところが、わたしの...
……いつもなら……もうとっくに……
今日のサイトさんは意地悪だ。
人にあんな声を聞かせたくないのに、サイトさんだけの物で...
「シエスタのココは、気持ち良いね」
サイトさんの息が耳に掛かるだけで、意識が霞むのにサイト...
初めての時を、二回目を、三回目を……数え切れない夜を思い...
「…………て……」
自分が何を口走ったのか悟り、慌てて口を押さえる。
目の前に居る、見知らぬ少年に聞かれなかっただろうか?
視線をたどられない様に注意しているけれど、食い入るよう...
「シエスタ、今、なんて?」
聞こえていたに違いないサイトさんが、強く胸を掴んだ。
快感に身体が震えるけれど、刺激を焦がれているのはソコと...
サイトさんを感じたい、サイトさんを差し込まれて何もかも...
目を閉じて、目の前の男の子の事を忘れてから、とうとう口...
サイトさんがもう一度口を開いた。
「子供を殺すシエスタは、さっきなんて言ったのかな?」
「ひっ…………ぅ……」
「ついさっき、俺のためなら子供も殺そうとしたシエスタは、...
「…………あ……ぁっ……ぁぁあああっっ」
身体は快感に蕩けたまま、頭が芯から冷たくなっていく。
こんなに身体は熱いのに、どうして寒気で震えが止まらない...
ほんの少し前に、自分が何をしようとたのかも忘れて……わた...
「でも、いいんだよ、シエスタ」
272 名前:黒い蜘蛛の糸 22/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
サイトさんの力強い腕が優しくわたしを包み込む。
「シエスタは、俺のことだけ考えてれば良いんだ」
「……サ……イト……さん」
「ほら……気持ち良いだろう? そのまま……」
「で、でもっ、でもっ……」
「良いんだよ、シエスタは俺のために……」
壊れかけていた心が、サイトさんの一言で救われる。
わたしは酷いことをしようとしたのに、サイトさんは許して...
捕まった。
捕まってしまった。
サイトさんの優しさに絡め取られてしまった。
……もう……いいや、わたしは狂おう。
この人の為になら、もう理性なんていらない。
プライドなんか邪魔だし、人の目なんて気にしない。
「ほら……シエスタ、さっきの……もう一度言ってごらん?」
「入れて……入れてくださいっ」
何もかもかなぐり捨てたわたしの懇願は、容易く叶えられた。
「あっ……あぁあああああっ」
男の子の視線が、埋もれていくサイトさんの様子に釘付けに...
さっきまではサイトさん以外に見せることが、あんなに苦痛...
……今は、なんて良い気持ち。
根元まで飲み込むと、サイトさんは今までの埋め合わせのよ...
一番深い所にぶつける様な激しい刺激。
一瞬だけ、子供の事が気に掛かる。
「……っと……もっと……もっと……シテ……シテクダサイ、サイトさん...
でも……ほんの……一瞬だけだった。
273 名前:黒い蜘蛛の糸 23/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「ほら、シエスタ」
トン……と、サイトさんがわたしの背中を押す。
全身に力の入らなくなっているわたしを、目の前に居た蒼い...
「ご、ごめ……さっ……」
サイトさんのなすがままに、男の子の首に手を回して崩れ落...
真っ赤に成った男の子が、目を逸らしながらも、ちらちらと...
うらやましそうな様子に恥ずかしさとよりも、大好きなサイ...
「ほら……シエスタ、どんな感じか教えてあげたら?」
「は……い……サイトさん」
どうしてさっきまで恥ずかしかったのかしら?
サイトさんの事を喋ることができる幸せに、他の事が考えら...
「サイトさんの……おっきいのがぁ、わたしの中でうご……ってぇ…...
「……や……やめ……て……言わないで」
「奥に届くたびに、おかしく……なって……わたし……わたしぃ……」
「やっ……そんな事……、そんな事……」
痺れたような頭では、男の子にしては、声が細いことも高い...
近くで見ると整いすぎるほど整った繊細な顔立ちが、わたし...
サイトさんに触れてもらっているときとは違う、昏い悦びが...
「サイトさんに、愛してもらうのは、とぉっても気持ち良いん...
ほら……サイトさんも気持ちよくなって、こんなに硬くしてく...
「…………な……んでぇ……いや……こんなのいやぁっ」
認めたくないものを見せ付けられているかのような反応。
なんて潔癖な子……
悪い事を教えている……そんなイケナイ悦びに身を震わせてい...
サイトさんの手が男の子の手を取って、わたしの胸に押し当...
男の子は火傷でもしたかのような勢いで、手を引こうとした...
サイトさんは許さなかった。
サイトさんとは違う、白く細い指先に身体が竦む。
わたしが戸惑っている間に、押し付けるサイトさんと、
逃れようとする男の子のせめぎ合いが、
今までに感じたことの無い刺激をくれて……
「も……っと……もっと……触って……きもちいぃのぉ……」
男の子が泣きそうに見えたのはどうしてだろう?
274 名前:黒い蜘蛛の糸 24/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「ほらシエスタ、口が止まってる」
「ご……ごめんなさ……っっだ……サイトさんっ……サイトさぁん……」
声も立てずに瞳で訴えかけてくる蒼い髪を横目に、シエスタ...
楽しい。
事態が全て自分の思い通りになる万能感は、何物にも換えが...
俺の身体から離れられない様に、じっくりゆっくりシエスタ...
恥じらいを捨て、見知らぬ相手に自らの手で胸を触らせ始め...
俺は深い満足を覚えた。
身体を支えるために俺以外に抱きついていても、視線と意識...
途切れ途切れに俺の名前を呟いている。
なんて健気で可愛いんだろう。
「シエスタ、大丈夫?」
「はっ……はい……サイトさん……あのっ……あのねっ」
快感に曇ったまま、真っ直ぐに俺をとえら得た瞳が、少しだ...
必死に言葉を紡ぐシエスタに、少し意地悪をしたくなり、俺...
「っっく……だめ……ちゃんと……いいたいの……にぃ……サイトさんの...
どうやら俺は意地悪らしい、意外な事実を教えてくれたシエ...
「あっ……あああっ、きゅうにっ……いやぁっっ」
行動で示した俺の感謝に、シエスタの身体は素直に答える。
奥へ奥へと、熱い肉体が絡みつく。
「っ……ひぁっ……もぅす……ぐ……ちゃぅ……だ……め……」
「俺も気持ち良いよ、シエスタ」
「……あの……あのね……サイトさん……っく……
わたしっ……貴方に愛してもら……て……」
口付け、絡み合いながらの、シエスタのたどたどしい告白に...
蕩けるような快感に、抑えの効かなくなった俺は、背後から...
それが最後の一押しとなって、堪えに堪えていた二人の限界...
「いっっあぁあああああぁぁぁぁっ…………」
シエスタの嬌声が部屋中に響き渡り、その場にクタリと崩れ...
腕の中で重力に引かれるシエスタの身体を手放すことが出来...
「……し……あわ……せ……です」
小さく耳に届いたシエスタの言葉に頬が緩む。
やっと、『タイセツナモノ』が手に入った実感に、喉の奥か...
おもわず……俺も何か叫んだのかもしれない、
俺たちを見つめる蒼い瞳に悲しみがあふれていたから。
275 名前:黒い蜘蛛の糸 25/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
サイトは意地悪だと思う。
男の子の制服を着ろって言われた時は何事かと思った。
逆らうつもりはないけれど。
『この命は、あなたに捧げる』
そう言った瞬間から、この人が望むことを何でもしてあげた...
誓いの夜にわたしの部屋を訪ねてきたサイトが、身体を求め...
最後だと……そう思っていたから。
すぐに母さまを助けに行くつもりだったから。
死ぬ覚悟は出来ていたけれど、女の子らしい幸せも……一度位...
『始めてだったら痛いから、今日は無理にしねぇよ』
そう言って、わたしだけを感じさせてくれたサイトの優しさ...
一晩中鳴いて、気が付いたらお昼だった。
……気持ちよかった。
母さまが大変な目にあっているかもしれないのに、サイトの...
そうしたいって、一言言ってくれたら、いつでも最後まであ...
息吐く間もくれないサイトに、自分からは何も言えないまま...
(このままじゃ、駄目な子になっちゃう……)
そう思ったわたしは、母さまの所を目指して旅立って……
……母さまの幽閉されている城までの旅で、サイトに会えない...
寂しくて悲しくて、泣きながら学院を目指した……
死ぬつもりだったのに、母さまを助けて、アイツを殺しに行...
……『死』が怖くなった。
……いつ死んでもいいはずだったのに、復讐しか見ちゃだめだ...
あの人の側に居たかった、あの人がわたしを見てくれなくっ...
それだけだった筈なのに……
サイトは変わってしまった。
276 名前:黒い蜘蛛の糸 26/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「お帰り、タバサ」
「……た、ただいま」
サイトの様子がおかしいのには直ぐに気付いた。
この人の目は、こんなに冷たくなかった。
この人の微笑みは、もっとずっと柔らかかった。
側にいるのも恐ろしい、黒い気配の持ち主は、それでも確か...
「どうしたの?」
ごめんなさい、最初の言葉は決めていたのに、あまりの変化...
うつろに笑うサイトが、ゆっくりとわたしに近づいてきて、...
「っ…………」
「どうしたの? タバサが居なくなって、心配してたんだ。
タバサの命は俺に捧げたんじゃなかったのか?
みんな……みんな変わるのか?
俺を好きだって言ってくれる言葉を信じちゃいけないのか?」
――相談もせずに消えたわたしを迎えてくれたのは、
寂しさで『変わった』サイト。
目の前のわたしではなく、サイトはどこか遠くを見ていた。
「シエスタに俺より大事なものが出来た途端にタバサが消えた、
二人とも俺を好きだって言ったのに、
…………怖いんだ、怖いんだよ……
抱き合っている時はあんなに暖かいのに、気持ち良いのに。
ほんの少し離れただけで、タバサは消えた!
シエスタは触れられるのを拒むようになった!!
……なら……きっと、ルイズも……ルイズだって……いつか……」
力強いサイトの腕の中で、全身の骨が悲鳴を上げる。
痛みで視界がチカチカした。
…………それでも、久しぶりのサイトの体温にわたしは目を細め...
たとえこの身が砕けても、サイトの気持ちが落ち着くのなら。
そう思って、じっと耐えた。
ルイズの好きな香水の移り香が甘くて、胸に痛かったけど。
277 名前:黒い蜘蛛の糸 27/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「もう逃がさない」
緩んだ腕と引き換えに与えられたのはそんな言葉。
「もうどこにも行かない」
「……うそだ」
他の人の事なんてどうでも良かったのに、この人に信じても...
「信じて……」
「じゃあ復讐、諦めるか?」
「…………ぅ…………」
父さま……母さま……
ずっとわたしを形作ってきた、昏くても重要な欠片。
……サイトは大切だけど、長年掛けて編み上げた感情はそう簡...
返事が出来ないわたしを、サイトは冷たい目で見つめていた。
「……ほぉら……やっぱり……」
「ちがっ、ちがうっ」
慌てて否定しても、わたしの声はもうサイトに届かない。
「みんな、居なくなるんだ……
いつか、この世界で一人に……なるん……だ……」
サイトの声が小さくなっていく、他の誰とも違うサイト。
ほかの誰も、彼の事を本当に理解できない。
特別な世界を持つただ一人の人。
生まれ育った優しい世界に、二度と戻れない。
その辛さは、わたしだって良く知っているはずなのに。
少し考えれば分かったはずなのに……
少しづつ、少しづつ集めたに違いない、『大切な者』に折角...
わたしは彼を裏切ってしまった、
傷付けてしまった、
この人が変わったのは、わたしの所為。
……この人に……『別れ』を教えてしまった。
「……ごめんなさい」
やっといえた言葉は、この人の届くのだろうか。
「……そんなの、聞きたい訳じゃ無いっ!」
叫んだサイトがわたしを置いて駆け去って、一人その場に残...
どれだけ時間が流れても、この悪夢は覚めなかった。
278 名前:黒い蜘蛛の糸 28/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
それからサイトは毎日わたしを苛んだ。
誓いをを確かめるように、怯えるように、確認するように。
一度失った信頼は、犯してしまった過ちは、容易く取り戻せ...
その指先がわたしを狂わせても、わたしの方からサイトに触...
サイトに触れたいのに、気持ち良くなって欲しいのに……
……わたしのココを……使って欲しいのに。
以前のように優しさではなく、一度裏切ったわたしを最後ま...
そう宣告するように、サイトは頑なにわたしの処女を奪おう...
「……少し、変わったことをしようか?」
何か思いついたんだ、そう……思った。
いつもサイトは変なことをする。
特に好きなのが、メイドやシエスタとの行為を見せ付けるこ...
サイトに触れる腕を、サイトに絡む脚を、サイトを迎え入れ...
何も言えないまま見つめるのは悲しかった。
一人最後までしてもらえないわたしが、取り残されたような...
サイトはいつも嬉しそうに見ていた。
今日も……物陰で一人泣いていると、サイトと目が合った。
『こっちにおいで』
サイトの目がそう言っていた。
い、いいの? 許してくれるの?
理性の痺れたわたしが物陰から姿を現すと、サイトが楽しそ...
「ほら、シエスタ見てごらん」
え?
「ひっ……やあぁっ……やだっ、見ないでっ、見ないで下さいっっ...
あ……
サイトがどうして男の子の格好をさせたのか、ようやく分か...
メイドの子は、わたしが男の子だと思って慌てている。
タバサの事なんて考えてないよ。
サイトの態度が言っている。
わたしとの時は、優しく優しく丁寧に……なのに……どうして?
あんなに激しくされているのに……
「み、見られてっ、っっやぁっ、いやっ、止めてください、サ...
どうして、あの子はあんなに乱れているの?
279 名前:黒い蜘蛛の糸 29/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
わたしだったら痛みを感じそうな刺激を、成熟した身体は快...
……わたしも……わたしも……サイトに……あんな風にされたいのに。
ぎゅって押し付けて、気持ち良さそうなサイトを見ていると...
「……俺は凄く気持ち良いよ」
サイトの言葉が胸をえぐる。
酷いよ……サイト。わたしが聞いているの分かってるくせに。
わたしには触れさせもしてくれない所が、敏感な入り口を擦...
……そんなに気持ち良いんだ。
生えてくるみたいに、太ももの間から顔を出すサイトのモノ...
後ろからサイトが、大きな胸をギュって掴む。
両手でも収まりきらない胸を見ていると、全然成長していな...
……おっぱいが無いから、サイトいろいろしてくれないのかな?
もっと大きくなったら……
でも、それまで待てないよ……サイト。
わたしが悩んでいる間も、サイトとメイドは溶け合っていて。
サイトが耳元で何か囁くたび、大きく暴れたメイドを胸で支...
うらやましい……気が付くと、わたしは二人に引き寄せられる...
一歩、また一歩と近づいていった。
「入れて……入れてくださいっ」
メイドの叫びに、自分の喉が音を立てる。
……あんなに大きいのに、メイドはやすやすとサイトを飲み込...
快感に歪むサイトの表情に、言いようの無い感情が胸の中で...
「……っと……もっと……もっと……シテ……シテクダサイ、サイトさん...
色に狂ったメイドが憎い。
サイトと愛を交わす相手が許せない。
そんなわたしの想いを知らないサイトが、メイドの身体をわ...
280 名前:黒い蜘蛛の糸 30/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「ご、ごめ……さっ……」
わたしを抱きしめるように崩れるメイドを、反射的に抱きと...
触れたところが、熱くて柔らかい。
……成熟した女の身体。
……わたしとは……違う。
泣きそうなわたしの耳元に、熱い吐息が掛かる。
「サイトさんの……おっきいのがぁ、わたしの中でうご……ってぇ…...
……っ、ひど……い……ひどいよぉ……
「……や……やめ……て……言わないで」
必死に絞り出した声にも構わず、メイドはわたしを追い詰め...
「奥に届くたびに、おかしく……なって……わたし……わたしぃ……」
「やっ……そんな事……、そんな事……」
わたしだって……サイトが……サイトがしてくれるならっ!
「サイトさんに、愛してもらうのは、とぉっても気持ち良いん...
ほら……サイトさんも気持ちよくなって、こんなに硬くしてく...
「…………な……んでぇ……いや……こんなのいやぁっ」
嫌がるわたしの手を、そっとサイトが握ってくれて、少しだ...
でも次の瞬間、わたしの手がメイドの胸にめり込む。
……やわらかい…………こんなの……ずるいよ……
こんなの付いてたら、サイトだって触りたくなるに決まって...
わたしなん……て……自分には無い感触に悲しくなった。
そのまま腕を引こうとすると、サイトが嫌がらせの様に胸の...
「も……っと……もっと……触って……きもちいぃのぉ……」
…………い……や……ぁ……
こんなの……こんなの、もう……やだよぉ……サイ……ト……
タバサが思考することを放棄しても、その目は目の前の行為...
281 名前:黒い蜘蛛の糸 31/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
サイトは崩れ落ちたシエスタに、そっとマントを掛けた。
シエスタが凍えない様に、注意深く包むと思い出したように...
「……サ……イ……トぉ……」
堰が切れたように泣き出したタバサを、優しく抱き寄せた。
……逃げなかったな……
ほっと……サイトの身体から力が抜ける。
シエスタはこれで俺から離れる事はもう無い。
理屈ぬきで、サイトはそう確信していた。
「ひどっ……ひどいよぉ……サイト……なんっ……でぇっ」
タバサには感謝していた。
少なくとも今はそのつもりだ。
『人の絆』の儚さを教えてくれたタバサのお陰で……
「これでシエスタは、俺を捨てない」
シエスタが手に入った。
競う者が側に居れば、嫉妬心の強いルイズは決して離れない...
……いや、離れたとしても、彼女の心に残るであろう傷は、サ...
俺の一言を聞いただけで、タバサはどれほどの事を悟ったの...
驚きと……恐怖……か? で、目を見開いていた。
「頭の良い子だね、タバサ」
「…………ち、ちが……う、わたし……は」
のろのろと言葉を紡ごうとするタバサの唇を無言で塞ぎ、
大きく開かれた目が閉じるまで、時間を掛けてたっぷりと味...
気が付くと俺にもたれかかる様に体重を預けたタバサが、も...
そういえば……ずっとオアズケだったっけ?
キスをしたまま、制服のボタンを外す。
最後まで脱がすことはせずに、タバサの細い身体を抱き寄せ...
「俺が怖い?」
一度逃げたタバサは、いつ居なくなるかわからない。
……それこそ、今この場から走り去り、二度と俺の前に現れな...
いっそ居なくなれば、諦めも付くのに……
「怖くない」
ならその身体の震えはなんなんだ?
……タバサを……人を信じたいのに、俺の心は疑うことばかり上...
282 名前:黒い蜘蛛の糸 32/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
怖いはずなんて無かった。
この人は傷ついている。
どれほど深く傷ついているのか、やっと少しだけ理解できた...
何もして上げられない自分が悔しくて、
母さまを助けに行ったことが悔やま……れ……
そこまで考えて、わたしは愕然とする。
……わたしは……なに……を……
母さまを助けに行くのは、娘として当然のことなのに。
今だって……放っておくわけには……いかない……はず……なのに……
身体が小さく震えだす、わたしはこの一週間で、何回母さま...
以前は毎日毎日そのことばかり考えていたのに……
……今は……サイトの事ばかり考えている。
……どうしよう……母さま、シャルロット悪い娘になっちゃった……
ごめん……ごめんなさい……
何年もわたしを形作っていたモノを、知らず知らずのうちに...
足元が崩れ去るような恐怖を感じていた。
「おいで」
そんな時に優しいサイトの声がする。
幻かもしれないけれど……昔のサイトに見えた。
わたしの為に命を掛けてくれた人に。
支えを失ってしまったわたしの心が、音を立てて傾いていく...
……だ……め……こんなの……わたしの為にも、サイトの為にもなら...
今のサイトに依存するのは危険。
分かって……分かってるのにっ……
「わ、わたし……悪い……娘に……なっ……」
何も言わずに抱きしめてくれる手が、優しさだけで出来てい...
わたしの身体は無意識に温もりを求める。
駄目なのに、今のサイトを頼っては。
彼に必要なのは、わたしにとってのサイトやキュルケみたい...
真っ直ぐサイトを見るメイドすら疑うほどの不信を、彼に植...
今の彼の側に……
「タバサはいい子だよ」
サイトの声がわたしを繋ぎとめる。
ここから立ち去ろうと思っていたのに、たった一言で彼はわ...
サイトの腕の中に絡め取られる事を渇望する身体に、弱い心...
離れなきゃ……そんな想いと裏腹に、わたしの足はサイトに近...
283 名前:黒い蜘蛛の糸 33/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
サイトが制服の下で湿った音を立てている。
「だ……め……やめ……て……」
サイズの問題かもしれないけれど、男の子の制服はエッチだ...
舌先が乳首に当たるたび、幸せそうに寝息を立てているメイ...
サイトに触れられるのが、どうしようもなく切なくなる。
「やだ……見ないで……」
服の中からサイトは、わたしの視線を辿って苦笑すると、
背中に回された腕に力を入れて、ぎゅってしてくれた。
そんな行為に、また少し……少しづつ、
逃げようとか、抵抗しようという意識が溶かされていく。
わたしが嫌がった所為だろうか、サイトの唇が胸の上から動...
「……ま……って……やだぁ……」
自分でも硬くなっているのが分かる先端を少し強めに吸った...
胸全体を舌で押すように舐めたり、胸ばかりを苛める。
わたしの胸なんか、あの娘に比べたら、触ってて楽しい筈も...
サイトは一生懸命にわたしを感じさせてくれる。
「っ……ふぁ…………む……ねばっ……りぃ……」
「へぇ……他の所も触って欲しいんだ」
そ、そんなつもりじゃないのに。
恥ずかしさで何も言えない内に、サイトの指が背中に回って、
触れるか触れないかの刺激が、下から上に這い上がってきた。
「ひゃぁぁんっっっ……っ…きゃあっっ」
背中の刺激に反り返った途端、突き出させる形になった胸に...
「そんなに触って欲しかったんだ」
「……ち、ちがぁっっ……やあぁぁぁっっ」
胸を気にしたら、背中から。
背中を庇ったら、胸を。
逃げ場の無いまま、サイトの好きなように操られる。
おもちゃに成った錯覚を覚えそうなほど、たっぷりと時間を...
284 名前:黒い蜘蛛の糸 34/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「ふっ……ぅ…………ぁ……」
息……苦し……ぃ……よぅ……
ぐっとりとしたわたしを、サイトがそっとテーブルに寝かせ...
途中から腰に力が入らなくて、サイトが支えてくれないと、...
力が入らなくなったのをいい事に、サイトはわたしを好きに...
「大丈夫?」
優しい言葉を掛けてくれるのが嬉しくて、何とか頷いてみせ...
まるで前のサイトみたいだ。
快感の余韻に浸っていると、腰の辺りで何か音がしたけど、
頭を上げて確認するのも億劫なわたしは、何もせずに息を整...
サイトがわたしを持ち上げたり降ろしたりしているのも、凄...
頭の回らないわたしは、何も考えずにされるがままに成って...
少しだけ落ち着いた頃、サイトが笑いながらわたしの頭に『...
「返すな」
……返す……って事は、わたしの物?
まだぼんやりした頭で、頭に乗せられた物を理解しようとす...
真っ白い布で、ちょっと……ううん、結構濡れ……て?
嫌な予感に、そーっと視線を下にずらしていく。
「っ! こ、これっ、わたしのっ」
上半身には、ボタンが止まっていないとはいえ、大きめの制...
下は…………
「な、何も穿いて無いっ!」
「いい眺めだな」
慌てて制服の前を合わせて、サイトからあちこち隠す。
こ、こんな格好のままぐったりしてたなんて……
恥ずかしくてどうにか成りそう……
「い、いじわ……る……」
声が泣きそうになってる。
比べられた。
絶対向こうで寝てる娘と、あちこち比べられた。
サイトに物足りないって思われたんだ……こんな子もう触るの...
不安に震えていると、サイトが側まで来てくれた。
285 名前:黒い蜘蛛の糸 35/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「タバサは可愛いね」
……っ……どうせ可愛い胸だもん。
頬に血を上らせたまま、サイトから目を逸らせる。
暫くわたしが怒っているのを不思議そうに見ていたサイトは、
いつまで経っても自分を見ないわたしに、そっと近づいてき...
「タバサ?」
意地でもサイトを見ない。
サイトがもう触ってくれなくなるのかもしれないけれど、今...
「誉めたのに、何で泣いてるんだ?」
……胸とか見ながら可愛いは誉め言葉じゃないと思う。
「知らない」
焦れたサイトは軽々とわたしを持ち上げると、わたしごと手...
否が応でもサイトに密着してしまい、顔を逸らし続けるのが...
何も言わないサイトに、今度は黙っていることが辛くなった。
「小さい……から……可愛いって……」
そこまで言って、サイトはやっと納得した顔をする。
サイトは鈍い。
……ルイズは凄い子かもしれない。
「そんなつもりで言ったんじゃねーよ」
嘘だ。
さっきまで大きな胸を嬉しそうに揉んでたくせに。
意地になったわたしを膝に乗せたまま、サイトが愛撫を再開...
「タバサは可愛いよ」
「っ……またっ……胸触りながらぁっ」
今度はわざとだ……
顔を隠すようにサイトにしがみ付くと、前をあわせていただ...
折角隠していた身体がサイトに直接密着する。
「あ…………」
何か硬いモノが、サイトの指の向こうにあるのが分かった。
「……ちゃんと反応してるし、可愛いは誉め言葉だぞ?」
……うれしい。
わたしで硬くしてくれているのが分かって、凄く嬉しかった。
「……ごめんなさい」
サイトが本当のことを言ってくれていたのなら、さっきまで...
申し訳ない気持ちで、サイトにしがみ付いていた腕に少し力...
サイトは黙ったまま、わたしにキスをくれた。
286 名前:黒い蜘蛛の糸 36/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「あ……あれ?」
自分では動いているつもりなんて無いのに。
サイトが感じてくれている事を知ったわたしの身体の、熱く...
「ご、ごめ……」
背筋が凍る。
以前勝手にサイトの身体を触った時に、火が付いた状態のま...
一度裏切ったわたしは、サイトの大切な所に触る資格なんて...
快感に追い詰められている状態でも即座に気付けるほど、し...
「タバサ?」
「っ……ごめんなさいっ、ごめんなさいっ……」
サイトの声の質が変わる。
怖い……怖いよ……
甘くて幸せだった空気を奪い取られる予感が、全身を震わせ...
死にたくなるような絶望がわたしを包む。
「だめじゃないか、タバサ」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
熱の無い目、止まった指、凍った声。
サイトよりも、快感に酔って歯止めの効かなかった自分が憎...
サイトは何も悪くない。
悪いのはわたし。
あんなに何度も繰り返したのに、わたしはまだサイトの望み...
「俺が気持ちよくなっちゃ、タバサが困るだろう?」
……え?
287 名前:黒い蜘蛛の糸 37/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
なん……で?
どうして、サイトが気持ちよくなった困るの?
「ど……して? サイトが気持ちよくなってくれたら嬉しいのに」
サイトがわたしに触らせてくれない理由。
最後までしてくれない理由。
何度か聞いたけれど、教えてくれなかった。
「子供が出来たら……」
こ、子供が出来たら?
「タバサの、大事な大事な復讐の邪魔だろう?」
え?
「復讐の?」
「あぁ、俺を捨てていくほど大切な復讐の邪魔になるだろう?」
「……ち、ちがっ……復讐なんかっ……復讐なんかっ……」
あぁ……母さま、ごめんなさい。
シャルロットはもう戻れません。
「復讐なんかどうでもいいよぉ、サイト……サイトの方が大切っ...
サイトはわたしの為に、最後までしないでいてくれたの?
嬉しい、サイトの意地悪だとばかり思ってた。
喜ぶわたしの視界の端に、ある物が写っていい事を思いつい...
「あ、あれ、あのお薬も有るっ、出来たらあれ飲むからぁっ……...
メイドとやり取りは聞いていた。
あのお薬を使えば……サイトにそれを伝えると……
サイトは喜んでくれなかった。
「……へー、まだそんな事……復讐の事考える余裕あるんだ」
観察する様にわたしを見ていたサイトの目が、ますます熱を...
……な、何か間違えたの?
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん...
わたしから離れようとするサイトに、力の限りしがみ付いて、
声を限りに叫び続けた。
「ち、違うのっ、復讐なんかどうでも良いからっ、
サイトの側にいるからっ、離れないからっ……だからっ……」
……最後までして下さい。
潤んだ瞳と熱い身体に乗せて、思いの丈をサイトにぶつけた。
288 名前:黒い蜘蛛の糸 38/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
黙りこんだサイトに怯えながら反応を待つ。
「本当に? 本当にどこにも行かない?」
「行かない、離れたくないっ」
一度口に出してしまうと、もう止まらない。
言葉は呪文の様にわたしを縛り、引き返せない所へとわたし...
「子供できても構わないんだ?」
「うん、うんっ、出来てもいいの……だからっ……だからぁ……」
確かめるようなサイトの口調に、熱に浮かされたまま答え続...
答えていれば、思いが伝われば……
サイトが最後までしてくれると、そう……信じて。
「復讐より……俺が大事?」
「うんっ、サイトが大切なの」
喋れば喋るほど、わたしの中でサイトの存在が膨れ上がる。
まるで自分に暗示を掛ける様に、繰り返し繰り返し誓いの言...
「タバサの……シャルロットの……大切なモノを……貰って……
貴方のモノにして、サイト」
精一杯の告白。
伝え終わった時、サイトの腕から力が抜けて一瞬凄く怖くな...
「……った……に……った……タバ……おれの……」
サイトが何か呟いている。
よくは聞こえなかったけれど、サイトの表情に隠し切れない...
わたしの思いが伝わった事を確信できた。
289 名前:黒い蜘蛛の糸 39/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
わたしが上になったままで恥ずかしいけれど、今からベット...
テープルにもう一度横になるのさえ、時間が惜しかった。
「いくよ、タバサ」
……シャルロットって呼んで貰おうか?
少しそんなことを考えもするけれど、父さま、母さまの復讐...
なら、もうこれからは、サイトの為のタバサで居よう。
身も心も捧げることに決めたわたしは、過去を捨てる決意を...
「はい」
全ての想いを込めて、一言だけ返事をすると、
サイトの手がお尻を掴んで、わたしを誘導した。
何度も望んだ瞬間がついに訪れる。
そう思って身体を硬くしていると、サイトの硬いモノが押し...
その大きさに少し不安に成る。本当に入るのだろうか?
でも……もし、わたしが痛くても、サイトが気持ちよくなるの...
「……サイト……わたしで、気持ち良くなって……」
サイトの耳元で囁くと、サイトは嬉しそうに笑う。
「そのまま腰を下ろして」
サイトを想って自分の中に指を挿れた事を思い出して、
どうすれば上手に入るのか考える。
考えているわたしが困っているように見えたのか、サイトが...
どうすれば良いのか教えてくれる。
「……んっ……」
自分の中に異物が侵入してくる。
ゆっくりと身体の中でも屈指の繊細な所が広がり、痛みと共...
「……った……い……よぉ……」
溢れる涙をサイトが唇で拭ってくれた。
「諦める?」
「…………やだ」
折角、折角サイトが貰ってくれるのに、
やっと思いがかなうのに、
「最後まで……貰って……」
サイトの気が変わらないうちに……
わたしは一息に奥までサイトを迎え入れた。
290 名前:黒い蜘蛛の糸 40/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
痛い……痛い……身体が悲鳴を上げている。
痛みには強いつもりだったのに。
「タバサ、大丈夫?」
「平気」
嘘だけど。
痛みで動けないわたしが、サイトにしがみ付いていると、背...
「がんばったな」
サイトの手……暖かくて……うれしい。
「うん」
サイトは動きたいんだと思う。
メイドとの時は、あんなに激しく……
「ごめんなさい」
「何が?」
悔しくて何もいわずにサイトに抱きついていると、サイトの...
「っ……な……に?」
「じっとしてて」
痛みを忘れさせようとしてくれる、サイトの気遣いが嬉しい。
わたしが反応するたびに、おなかの中でサイトがビクビク動...
とても幸せ。
「……動いて……いいよ」
少しだけ痛みになれたわたしは、サイトに身体を任せる。
自分で動く自信は無かったけれど、サイトに気持ちよくなっ...
「でも……」
「サイトの……赤ちゃん頂戴」
出来るだけサイトに密着して、身体を擦りつけながら精一杯...
唇を重ねて、サイトに最後の一押しをする。
「っ……いいんだな?」
「ん」
もうわたしは全部サイトのモノだから。
力を抜いてサイトに全てを任せた。
291 名前:黒い蜘蛛の糸 41/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
タバサの中はきつい。
ルイズやシエスタの初めてのときと比べても、ずいぶん窮屈...
小さな体格と相まって、幼い子に悪戯しているかのような背...
ゾクゾクと俺の快感を高める。
「動い……て……」
俺の耳元に囁くために、タバサが姿勢を少し変えるだけで、...
「あ……あぁっ……動く……ぞ……」
両手でタバサの腰を持ち上げて、軽いタバサを腰の上で踊ら...
みるみるうちに限界が近づいてくる。
「…………き、気持ちい?……わたしの身体で、気持ちよくなってく...
俺の事ばかり気にかけている事に、大切にされている実感に...
時間を掛けたかいが有った。
「……サイト、サイトの子供……タバサに……頂戴」
タバサを持ち上げることがもどかしくなって、繋がったまま...
少し離れた所にあるソファを目掛けて歩き始めた。
「っっっ! サ、サイトッ……っめぇっ……奥……奥がっ……ひっ……ぅ…...
俺の身体しか支えの無くなったタバサが、必死で俺にしがみ...
タバサ自信の体重で、深く深く繋がることは止めようも無か...
「……かっ……はぁっ…………き……つぃ……よぅ……」
息も絶え絶えなタバサを寝かせて、動きやすい体勢をとった...
タバサが一息つくまもなく責め始める。
「あっ……あぅ……え? な……に? う……そ……気持ち……いい?」
タバサの感触を確かめるように動き始めると、タバサの目に...
……初めてなのに……よほど相性が良かったようだ……
お互いに。
「……タバサ……ごめん……いく……」
奥歯を噛み締めながら情けない報告をすると、幸せそうな笑...
「……ん、気持ちよくなって……サイト……わたしの中で……いって……...
これは……反則だ……いつもの超然としたタバサとのギャップが...
思いがけない大量の精を解き放つと、安心したようにタバサ...
二つの寝息が部屋に響く。
二人とも……もう俺ものだ……。
……これで……皆……俺の側に……ずっと……
窓の外を見ながら、俺はひっそりと笑った。
292 名前:黒い蜘蛛の糸 42/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「くぉぉぉの、駄犬!!!!」
「ぐはっ」
冴え渡るエクスプロージョン!
実は二人目、サイトがそう報告した途端詠唱が始まり、
観念したサイトが一歩も避けないまま、勢い良く壁に叩きつ...
「ご、ごめんなさいっ、ミス・ヴァリエールっ、わ、わたしが...
「そ、そうだぞ、ルイズ、シエスタがわるっ……」
サイトの言葉は最後まで告げられることも無く、口の中にル...
「だまんなさい、だまんなさいっ、だまんなさいっっ!!」
じたばたと暴れながら、ルイズは全身で自己主張した。
「どゆこと? なんで? サイトっ、あんたどーゆーつもりな...
「いやーほら、ヤっちゃた事は仕方ないというか……」
反省の色の無いサイトを、視線で射殺そうとするルイズの耳...
「……やっぱり……わたし、これ……飲みますね」
シエスタの手には、見覚えの有る小瓶。
「……って、駄目――――――!!!」
ルイズの蹴りは、一撃でシエスタの手の中の小瓶を打ち砕い...
「でも、シエスタ、一回それ飲もうとしてるし」
サイトの一言に、ルイズは怒りの矛先をシエスタに向ける。
「なななな、なんでっ?」
「……ミス・ヴァリエールが……お怒りになると……思って……」
「お、怒んないわよっ、二度とそんな事しちゃだめだからねっ...
ルイズの一言にサイトは飛びついた。
「ラッキー……がはっ」
サイトの鳩尾にルイズは飛び蹴りだ。
「は、反省の色がなぁぁぁぁい」
流れるような連続技を繰り出しながら、ルイズの叫びがどこ...
293 名前:黒い蜘蛛の糸 43/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
なーんで、シエスタはサイトをあそこまでかばうのかしらっ!
サイトをつるし上げようにも、もう片方の当事者のシエスタ...
自分ばかりが怒る訳にもいかないルイズは不完全燃焼だった。
……なんだか嫌な気分ね……
複雑な感情を抱きながらも、ルイズは教室でタバサを探す。
シエスタと二人で、ちょっとした約束をした。
……サイトは留守番よ!
探すまでも無く、相変わらず無表情で、いつも通り自分の席...
「あ、居た居た、タ〜バサ〜」
「なに?」
用事は他に有るのだけれど、
最近少しサイトと仲の良いこの少女を、少しだけ牽制する。
「あのね、わたし……サイトの赤ちゃん出来ちゃった」
「……おめでとう」
「ふえ?」
「? 聞こえなかった? おめでとう」
誰に話しても驚きが先に来ると思っていたのに、まず祝福し...
「あ、ありがと……その……それでね」
そもそもタバサを探していた最初の理由。
「次の虚無の曜日に……街まで連れて行って欲しいの。
……その、ベビー用品のお店とか……」
「出産祝い」
それだけ告げると、用は済んだとばかりに本に目を戻す。
「ま、まだ産んでないもん」
連れて行ってくれるつもり。そう理解したルイズはタバサに...
本の邪魔にならない限り、タバサもそんなルイズを邪魔にし...
「あのねっ、わたしたち……シエスタもだけど……
皆で幸せになるのっ!
本当よ」
今だって幸せそうなルイズの笑みを見ながら、タバサも微笑...
「そうね……皆……幸せになれるね」
机の影でタバサの右手は、そっと自分のお腹に添えられてい...
終了行:
251 名前:黒い蜘蛛の糸 1/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
サイトは喜んでくれるだろうか?
おかしいと思い始めたのは数週間前。
モンモランシーに相談したら、
「……あんたもか…………少し前に沢山用意したのがあるから、コレ...
そう言って、魔法薬を一瓶くれた。
怖くて怖くて仕方が無かった。
でも知らないままに日常を過ごせるほど、わたしの心は強く...
笑いながら薬を渡してくれたモンモランシーが教えてくれた...
指先を少しだけ切って、にじみ出る血をハンカチに垂らす。
その血に魔法薬を浸して、数分待つ。
それだけ。
自分の部屋に閉じこもって、部屋の隅で指先のじくじくした...
赤く滲んでいた血が、鮮やかな蒼に変わる。
「……あ……」
陽性……だ。
ウェストウッドのティファニアの家で、
帰りの船の中で、
この部屋で、
何度も重ねたサイトとの行為。
その結果。
「…………モンモランシーにお願いしないと……」
今度のお願いを聞いたモンモランシーは怒って……怒って……
何度もお願いするまで、お薬をくれなかった。
モンモランシーは優しい。
……それでも……引けないわたしは、一生懸命お願いして……
――『保険』を手に入れた。
252 名前:黒い蜘蛛の糸 2/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
ルイズのバカ。
一度目の薬は良い。
出征前の思い出に、
死ぬかもしれない恋人に捧げたくて、
今生かもしれない別れに、ただひたすらに肌を重ねて。
自分を安売りして、数ヵ月後に青くなった娘は沢山居た。
……わたしだって、ギーシュがせまって来たら分からなかった。
側に居なくなってから、こんなことならと何度思ったか分か...
だから欲しがる子には無料で分けてあげた。
わたしが出来なかったことをした、勇気を出した女の子がそ...
ほっとした子も居た、覚悟を決めた子も居た。
でも、一つだけ納得行かない道があった。
「どうしてこんな薬を欲しがるの?」
需要は有った、それでも渡すのに躊躇が無かったわけじゃな...
コレは毒薬だ。
飲めば人が一人死ぬ。
相手の戦死の報が届いて思い出すのも辛くなった、身体が弱...
――もっと、ずっと、単純に、心が弱い。
この子はそのどれとも違うはずだった。
「……サイトは……いつか居なくなるから」
「この世界にサイトを繋ぎとめるわけにはいかないから」
何度も何度も繰り返されるルイズの言葉に、
「……使うのは最後の最後にしなさい」
わたしは折れた。
「……ん」
ルイズの微笑みは、きっとずっと忘れない。
――こんな事を繰り返すわたしは、いつかきっと地獄に落ちる...
253 名前:黒い蜘蛛の糸 3/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
もしも……喜んでくれるなら……
本当はとても怖いけれど、モンモランシーと約束したから。
渡したくないお薬を、嫌々ながらもわたしを信じて渡してく...
「サイトに……一言だけでも……」
拒絶されるのが怖かった。
邪魔だって、重い女だって、抱くんじゃ無かったって。
そんな風に思われるのが嫌だった。
「……き、嫌われたら……」
サイトはいつか帰るつもりだと思うし、サイトを助けるのは...
姫さまは喜んで手を貸すだろうし、サイトとわたしを守って...
チクンと、胸の奥が痛む。
わたしはサイトじゃないと嫌だけど、サイトはわたしじゃな...
分かってる、わたしはわがままだし、サイトに何度も暴力を...
わたしの所為でサイトは何度も死にかけたし、心臓だって一...
……胸だって、シエスタや姫さまより小さい。
サイトの事を思ったら、身を引いたほうがサイトは幸せかも...
「……離れたくないよぅ……」
小さな小さな願い。
サイトが側に居ない世界が、どんなに辛いのか、今のわたし...
二度と耐えられそうに無いから、サイトがわたしを求めてく...
抱きしめられた時は二度と離れないと思った。
……でも……
「わ、わたしが……わたしが居ることが……サイトの邪魔になるか...
――そして、この子が。
サイトに言わない方がいいのかも知れない。
最初はそのつもりだった。
でも……モンモランシーが……
……ううん……嘘だ。
本当は……そんな事無いって、あるはず無いって分かっていて...
「サイトに……祝福して欲しい」
優しいモンモランシーは、わたしにきっかけをくれたんだ。
254 名前:黒い蜘蛛の糸 4/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
「サ、サイト……時間……いい?」
「ん? ……まだ日が高いのに……積極的だな、ルイズ」
「っっっ、ち、違うのっ、お願い……聞いて」
誰も居なくなった騎士隊の隊舎でサイトをつかまえた。
部屋に戻ってくるのは待てない。
部屋で言うと……泣く所が無くなるから。
「なんだ?」
穏やかなサイトの目がわたしを捉える。
サイトが話を聞こうとしてくれる、こんな時間がわたしは好...
……でも、今日はいつも違って辛かった。
この目が……次に浮かべるのはどんな色なんだろう?
「あの……ね、あのね……サイト」
悲鳴を上げている心が、干上がった喉を通して聞きたくない...
わたしの本気を感じてくれたサイトが、真面目な顔で話を聞...
……やさしいのね、サイト。
「あ、…………あ……」
次の言葉がどうしても出ない。
もし、
『俺の子か?』
とか言われたら?
ううん、冷めた目で一瞥されるだけで、わたしの心は砕けそ...
「ん?」
サイトが優しく続きを促す。
……いつまで優しくしてくれるんだろう?
話をそらしたい、そんなことまで考える。
……怖い。
でも……今は逃げちゃだめだ。
「……赤ちゃん……できたみたい……なの」
255 名前:黒い蜘蛛の糸 5/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
怖くて目が開けられない。
一息に言った後、硬く目を瞑ったまま、ひたすらサイトの反...
静まり返る部屋に、サイトの足音だけが響く。
……だめ……だ、きっとだめだったんだ。
目を開いたら、きっとサイトの冷たい目がわたしを見ている...
「ご、ごめんなさいっ、だ、大丈夫だからっ、ほらっ、モンモ...
サイトの邪魔にならないからっ、す、すぐに飲むからっ」
目を閉じたまま、隠し持っていた薬を飲もうとした手が、
力強い腕に抱きすくめられる。
「おめでとう……いや……ありがとうか? ルイズ」
「ふぇ?」
「うれしいよ」
「……え?」
これはきっと夢。
「お父さんになる訳だな、俺」
「……い、いいの?」
「ん? 何が?」
「産んでも……邪魔になっても……いいの?」
……ほんの少しの希望を込めて。
「なんで? 何が邪魔なの?」
「……だって……帰る時に……」
「いや、帰らねーよ、ルイズがここに居るのに」
聞き間違いだと思った、だってこんなに幸せなのは有り得な...
「ずっと側に居るよ、ルイズ」
この夢は覚めなかった。
256 名前:黒い蜘蛛の糸 6/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
「いやー、しかし俺、ルイズパパに殺されるなー」
サイトが笑う。
「だ、大丈夫! 父さまはわたしが説得するからっ、父さまだ...
姉さまは二人とも難しいし、ほ、ほらっ、未来の公爵よ、わ...
まだ男の子か女の子か分からないのに。
先の見えない未来の話が、こんなに楽しいのは始めて。
「……ずっと、一緒だな、ルイズ」
「……そそそ、そうねっ、こ、子供が出来ちゃったんですもの、...
本当は凄く嬉しいのに、バカなわたしはこんな時でも素直に...
「仕方ないのか」
サイトが笑ってわたしを抱きしめる。
優しくギュってしてくれる腕が、『分かっているよ』と語り...
それが凄く恥ずかしくって。
「わ、わたしっ、モンモランシーに報告に行ってくるっ!」
お礼も言わなくちゃ。
駆け出そうとするわたしを、サイトが呼び止めた。
「ルイズ、その薬は置いていけ、お前走るとその辺の物飲み干...
「そ、そんな事しないわよっ」
「一回したからっ、いいから置いていきなさい……お母さん」
「そっ……なっ……う…………はい」
わたし……これからサイトに勝てないかもしれない。
257 名前:黒い蜘蛛の糸 7/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
「未来の公爵……か」
手の中の小瓶にしっかりと蓋をする。
面白いおもちゃが手に入った。
「……お、おめでとうございます……サイト……さん」
カーテンの陰に隠れていたシエスタが、真っ青な顔で、それ...
俺とルイズを祝福する。
気丈な事だ。
「その子の、弟かな? 妹かな?」
降臨祭の夜に、七回にわたって流し込んだ精はシエスタの胎...
「……ど、どうしましょう……」
シエスタがルイズを大切に思っているのは知っていた。
妊娠が発覚しても、サイトに知らせると同時にミス・ヴァリ...
せめてけじめを付けさせてくれと、涙ながらに頼んだ彼女を...
……少し面白くなかった。
「シエスタ、まだ言っていないんだよな?」
「……ご、ごめんなさい」
そんな方法などあるはすも無いのに、ショックを与えずに知...
結局未だに伝えていない。
「コレ、飲んでみる?」
手の中の小瓶を示す。
シエスタもルイズの話を聞いていたはずだ。
何の薬かは分かっているだろう。
258 名前:黒い蜘蛛の糸 8/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
『オマエノコドモハジャマダ』
サイトさんがそう言っている。
ミス・ヴァリエールも言っていた。
未来の公爵だと。
サイトさんとミス・ヴァリエールは近い将来結ばれる。
なら……妾腹で年長の子供の存在など……
「薬は俺が預かっとくから……考えといて」
「……は……い……」
どこか遠くでわたしが返事をしている。
サイトさんはミス・ヴァリエールが持ってきた薬を、
わたしが洗濯したハンカチに包み、大事そうに持ち去った。
隊舎のドアが無慈悲な音をたてる。
幸せだったのに、
ミス・ヴァリエールを騙していると、疼く胸の痛みすら甘美...
……これはきっと罰。
「……ミス・ヴァリエールを……騙していたから……
天罰が下っちゃいました……ね……あはは……」
誰も居ない部屋で、
誰も居なくなった部屋で、シエスタは立ち尽くした。
遠くで聞こえる雷の音が、全てを壊そうとしている様だった。
259 名前:黒い蜘蛛の糸 9/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月)...
「シエスタ?」
雨の中ぼんやりと歩くシエスタを、ルイズは慌てて連れて行...
「ちょっと、なんでこんな……もうっ、体冷たくなっちゃってる...
「…………えぇ……そうですね……ミス・ヴァリエール」
廊下を濡らしながら、ルイズはシエスタを部屋まで連れて行...
伝えたい事が有った。
伝えるべきだと思った。
しかし尋常ではないシエスタの様子に、ルイズは彼女を傷付...
「ほら……シエスタ、自分で洗濯してるんだから、遠慮しないの...
「……ありがとうございます、ミス・ヴァリエール」
「あぁ……もうっ、下着まで……貴族用のお風呂……使えないかしら...
「だ、だめですよ……でも……ありがとうございます」
ありったけの布でシエスタの水気を拭き取ってから、暫し考...
「ミス・ヴァリエール?」
「……お風呂ほどじゃないけど……暖かくない?」
自分の熱を少しでもシエスタに伝えようと、ルイズは一生懸...
冷え切った体と心に、少しつづ熱が戻り始める。
うれしいのに、幸せなのに涙がこぼれた。
――ワタシのユメはスキナヒトのソバにイルコト
それは叶うのだから。
サイトさんにお薬をもらおう。
優しいミス・ヴァリエールが泣かないように。
260 名前:黒い蜘蛛の糸 10/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
身体が重い。
一歩前に進むのも辛い。
「ミス・ヴァリエール……怒ってましたね」
部屋を出ようとするシエスタを、ルイズは必死で止めた。
「わたしなんかを心配してくれるなんて……ミス・ヴァリエール...
わたしはずっと貴方を騙していたんですよ。
そう告白できたら、どんなにか楽になるのだろう。
でも、伝えられない。
二度と言う機会も無い。
サイトの立ち寄りそうな所に顔を出す。
真っ青なシエスタを不審げな顔で見ながらも、何人かが居場...
「隊舎に戻っているなんて……行き違いですね」
まるでわたしとサイトさんの様、自嘲気味に笑うシエスタは、
ルイズが与えてくれた温もりをもう一度冷たい雨で洗いなが...
「サイト……さん?」
床を濡らさないように、ドアの隙間から部屋の中を窺うが、...
「あ……はは……わたしは何をやっても……駄目ですね」
そのまま立ち去るつもりだったのに、テーブルの上に気付い...
……気付いてしまった。
見覚えのある一つの瓶に。
261 名前:黒い蜘蛛の糸 11/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
引き寄せられるように部屋の中に上がりこむ。
本来なら決してこんな真似はしないのに。
薬を持ち上げる手が震えるのは、寒さだけが原因ではなかっ...
小さく軽いはずの小瓶が、今まで持ち上げたことが無いもの...
「こ、これ…………で……」
ミス・ヴァリエールもサイトさんも、これから先、笑って幸...
わたしが、わたし一人が耐えればいい事なのだから。
真っ黒に染まった世界の中、薬と自分だけになった気がした。
笑うミス・ヴァリエールを、
幸せそうなサイトさんを思い浮かべる。
「さようなら」
会うことも出来なかったね、そう名のる資格も無いけれど……
『おかあさん』を許してね。
飲もう。そう決めると、荒れ狂っていた心が凪いだ。
落ち着いた手で瓶の口を開く。
ミス・ヴァリエールもサイトさんの為にこれを飲もうとした...
ミス・ヴァリエールとサイトさん、二人の為になら……わたし...
口元に当てた瓶を一息にあおる。
何の味も匂いもしなかった。
でも……自分の内側が中から汚されていく、そう感じた。
そんな筈は無いのに、真っ黒い何かが自分の内側に広がって...
これ……で……
力の抜けた指先をすり抜けて、空になった瓶が床に落ちる。
それに引きずられる様に、わたしもその場に崩れ落ちた。
――甘かった。
こんなに……こんなに、
深い深い喪失感がわたしを覆う。
「……ごめん、ごめん……ね」
悲しすぎて、辛すぎて、凍った心は涙すら流せなかった。
262 名前:黒い蜘蛛の糸 12/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「見てたよ、シエスタ」
いつからそこに居たのか、サイトさんが、ゆっくりと歩み寄...
「飲んでくれたんだね」
「はい」
……サイトさんが笑ってくれているから……
きっとこれで良かったんだ。
無理矢理自分を……
「俺の子、死んじゃったんだね、シエスタ」
……納得……え?
サ、サイトさんの子……そ、そうだけどっ、そうだけどっ、
そんなのっ、そんなの今……今言われてもっ……
「可愛かっただろうな、シエスタと俺の子」
「……だっ……え? ど……どして……そんなっ?」
「俺『考えて』って言っただけだよ? 無理強いするつもりな...
「……う……そ……」
わ、わたし……わたしっ……
「シエスタはルイズと俺の側に居る為になら、俺の子殺しちゃ...
「……ひっ……え……うっ……うぁぁぁぁ」
「ほら、そんなに泣かないでシエスタ……あぁ、服が濡れてるな...
サイトさんがわたしの服を脱がせてくれる、
でもそんな事どうでも良かった。
わたしは……わたしは……
サイトサンノコドモヲコロシタ
悲しい認識で、心が埋め尽くされていく。
「ほら、おいで」
慣れた手つきでわたしを裸にしたサイトさんは、椅子の上に...
サイトさんに申し訳なくて、悲しくて、わたしがその場を動...
サイトさんは自分のマントの中でわたしを抱きしめてくれた。
「ご、ごめんなさい……」
「どうしてシエスタが謝るんだ?」
「だ、だって……だってっ……」
このまま死んでしまいたい。
こんなに悲しいのに、サイトさんの側に居るだけで不安が解...
悲しさの何倍もわたしの心を傷付けた。
263 名前:黒い蜘蛛の糸 13/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
泣き続けるシエスタを見て、サイトは少し安心する。
「いいこだね、シエスタこんなに泣いて」
「ち……違います……良い子なんかじゃ……わ、わたしっ、わたしっ」
優しくシエスタの背中を叩きながら、サイトは冷静にシエス...
『……壊すつもりは無いし……そろそろか?』
サイトには不満が有った。
子供を自覚してからのシエスタがお腹を気遣い、易々と身体...
抜け駆けの負い目から来るのであろう、自分のことよりルイ...
『でも……シエスタは……間違えなかったな』
もし、あそこで薬を飲まなかったら……
自分がどうするつもりだったのかを思い出して苦笑する。
『シエスタはこんなに可愛いのに、馬鹿だなぁ俺は』
シエスタに泣き止んでもらうため、強く抱きしめながら囁い...
「あれ、水だよ、シエスタ」
「……ふぇ? ……えっ? ……ちょっ、サイトさんっ!!」
「びっくりした?」
「……ひ、ひどっ、酷いですっ、酷いですサイトさん……わたし本...
じたばたと暴れるシエスタを、サイトの鍛えられた腕はあっ...
裸にむいたシエスタの柔らかさを確かめながら、サイトはシ...
264 名前:黒い蜘蛛の糸 14/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
う、嘘でよかった……
ガクガクと震える膝から崩れ落ちそうなシエスタを、サイト...
「シエスタが子供やルイズの話ばっかりするから……ごめんな」
サイトさんの言葉が胸の奥まで届いて、怒っていた筈なのに...
「もう、サイトさん、妬いたんですか? 妬いてくれたんです...
「そうだね、シエスタ。ルイズや子供に嫉妬するなんて、俺ど...
うれしい……サイトさんがそんなにわたしの事を思っていてく...
「シエスタが子供を殺すほど、俺の事が好きだって分かって嬉...
「…………ぁ……」
「子供なんて、死んでも良い位俺の側に居たかったんだよな」
……や……いや……やだぁ……
「そ、そんな……そんな事言わな……い……でぇ……」
「シエスタにとって俺が一番大事で、他なんてどうでもいいこ...
耳を塞ごうとするわたしの手を、サイトさんは決して離さず...
優しく微笑みながら、耳元に毒を注ぎ続けた。
「……や……ごめ……ごめんな……さ……」
「何謝ってるの? 俺はそんなシエスタが大好きだよ。
俺になんの断りも無く、俺の子供殺すなんて、最高だよシエ...
……あぁ……わたしが殺そうとしたのは、わたしだけの子供じゃ...
「サイトさんの……こども……」
「そうだよ、大好きなシエスタと俺の子供だよ。
……シエスタは邪魔なら、そんな子供でも殺せるんだよ。
大きくなったら、教えてあげような?
『お母さんは、昔邪魔なお前達を殺そうとしたことがあるんだ...
……ご め ん な さ い
頭が真っ白になっていく、恐怖で背中を汗が伝う。
「わ、わたし……サイトさんの子を……こ、ころ……ころす……」
大好きな人の子供を殺そうとしたわたしが許されることなん...
サイトさんに捨てられる、そんな予感で押しつぶされそうだ...
265 名前:黒い蜘蛛の糸 15/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
いい感じにシエスタが追い詰められていく。
「でも良いんだよ、シエスタ」
「え? で、でもっ、でも……わたしっ……」
「シエスタは、俺だけ見てればいいの」
優しく、これ以上無い位優しいキス。
「シエスタには最初っから、俺以外は要らないだろ?」
「サイトさん……以外は……要らない?」
子供の話をするシエスタを見てから、俺はずっと不安だった。
シエスタも、ルイズも、いつか俺の事なんてどうでも良くな...
シエスタもルイズも、俺が居なくても生きていける。
……だけど……俺は?
この知り合いの少ない世界で、これ以上味方が居なくなるの...
側に居てくれると思っていた人が唐突に消える。
それがどれだけ恐ろしいことなのか、俺は無理矢理に気付か...
…………どこか遠くで、何かにヒビが入る音が聞こえた。
その日から……子供の話をするシエスタが、この世界に来て最...
誰一人知り合いの無い世界で一人にされる恐怖。
七万の大軍の、なんと可愛らしいことか。
シエスタは変わる、ルイズもいつか妊娠して……それに……
「シエスタには、俺が居るよ」
「…………そう……そう……ですね……サイト……さん」
――――シエスタには俺が居ないと生きていけない位、俺に依存...
ルイズは……
そして……
悩むことはいくらでも有る……でも、まず
「シエスタ……いい子だね」
266 名前:黒い蜘蛛の糸 16/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
理性の崩壊しかけたシエスタを、慰めるように愛撫した。
「サイト……さん」
「いいから、動かないでシエスタ」
濡れて冷え切っていた身体を温めるように、じっくりと時間...
手だけではなく、足や胸まで使ってシエスタの身体に『温も...
俺に触れることで、シエスタがもっと狂えば良い。
そんな利己的な都合を知らないシエスタの目が潤む。
「わ、わたし……わたし……こんなに優しくしてもらっ……そんな……...
「馬鹿なシエスタ、俺は資格があるからシエスタを好きなんじ...
資格があるから抱くんじゃない……
好きだよシエスタ」
こぼれ始めた涙に、胸の奥で快哉を上げる。
もっとだ、もっと俺を見ろ、俺だけを見ろ。
も っ と 俺 を 好 き に な っ て く れ
声にならない叫びを上げながら、温まり始めたシエスタにマ...
「サ、サイトさん、いけません。これっ、シュヴァリエのっ」
「いいから、そんなマントより、シエスタの身体が冷えること...
一人の身体じゃないんだから、大事にしないとね」
「…………ごめんなさい、サイトさん」
これから暫く、何度も何度も機会が有るたびに思い出しても...
これはその一回目。
マントで包んだままのシエスタを椅子に座らせて、自分の服...
……昨日までなら……
『お腹の子に障るといけないから』
そう言って断られた……さて、
シエスタはじっと俺を見つめていた。
少し緊張しながら、シエスタに声を掛ける。
「……おいで」
「はい」
……成功、か。
「シエスタ……」
「あっ……」
喜びを隠し切れない俺は、獣のようにシエスタに襲い掛かっ...
267 名前:黒い蜘蛛の糸 17/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「だ、だめですっ、マントっ、マントが汚れます」
シュヴァリエのマントを下敷きに、シエスタを床に転がすと...
「いいよ……こんなの、後で洗ってくれないの?」
「ち、違います、洗いますけどっ……」
「何?」
「……好きな人にはきちんとした格好してて欲しいんです、サイ...
身体の奥から喜びが溢れてくる。
シエスタがこんな時でも、俺の事を気にかけているのが分か...
今までの何倍もシエスタが愛しくなる。
「こんなモノよりシエスタが大事なんだ」
「……そ、そんな……っぁ」
まだ何か言おうとするシエスタの唇を塞ぎ、仰向けに寝ても...
シエスタが焦れるくらい弱く、優しくほぐしていく。
シエスタの腕は俺の首に回されて、俺の動きの邪魔にならな...
指先に込められた力が、俺を放すつもりが無いことを主張し...
ためらう様に絡められた舌を吸いながら、たっぷり時間を掛...
腰の下でもじもじとシエスタの太ももが擦りあわされ始めて...
「どうして欲しい? シエスタ」
「っ……いっ、いじわるっ」
質問をした途端に、うっとりと閉じられた瞳に羞恥の色を浮...
可愛いシエスタ。
268 名前:黒い蜘蛛の糸 18/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
シエスタの一番熱い所に、そっと手を添える。
「はぅっ……そこっ……」
シエスタに浮かんだ歓喜の色が、数秒の後に曇る。
「あの……え……と……」
ピクリとも動かない俺を、泣きそうな目で見上げてくる。
「どうして欲しいのか分からないからね」
「っ……ひ、ひどっ……サ、サイトさぁん……」
シエスタの腰が浮かび、俺の指に透明な粘液が擦り付けられ...
勝手に動いた腰を自覚したシエスタは、可哀想な位赤くなっ...
それでも腰は止まらなかった。
「いっ、いやぁぁぁ、ち、違う……そのっ……とにかく違うんです...
歯止めが効かなくなったシエスタの身体に、俺の方も我慢で...
限界近くまで大きくなったモノを、シエスタの手に握らせる。
「あ……こ、こんなに……」
やわやわと握りながら、自分の中心に導こうとするシエスタ...
入り口に触れたままだった指先で、シエスタの形をゆっくり...
「……っっ、サイトさぁん……どしてっ……なんで今日こんなに意地...
『もう一つ目的があるからね』
胸の奥で答えてから、探り当てたシエスタの一番敏感な所を...
高い悲鳴を上げながら、いやいやをする様に頭を振るシエス...
「ほら、シエスタ見てごらん」
カーテンの陰に潜んでいた人物が、俺の指示通りに姿を現し...
269 名前:黒い蜘蛛の糸 19/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
わたしの目に映ったのは、小柄な人影。
……学院の男子生徒の制服だった。
「ひっ……やあぁっ……やだっ、見ないでっ、見ないで下さいっっ...
暗がりに潜んでいる相手の顔までは分からないけれど、サイ...
こんなにも恥ずかしいと思わなかった。
人に見せた事など無い所を、サイトさん以外に晒すのが苦痛...
「サ、サイトさんっ、サイトさん、あの人っ、あのひとぉぉぉ」
って、あれ?
サイトさんが居ない?
「って、何してるんですかっ……やぁっっ」
わたしが人影に気を取られている間に、サイトさんは足の間...
「ひ、人がっ、人が見てます」
サイトさんがうっすらと笑いながら、顔を……
「だ、だめっ、だめですっ、そんな所汚いっ……っっぁっ」
サイトさんの唇が充血していた所に当てられ、勢いよく吸い...
「っく…………だ……め……ひと……が、人が見てま……す」
サイトさんは何も聞こえないみたいに、容赦なくわたしを責...
湿った音の原因は、サイトさんの舌だけじゃなく、恥ずかし...
ミス・ヴァリエールに気付かれないように、それだけに注意...
ほんの数ヶ月前には想像も出来なかった快感が途切れる事無...
わたしの声が漏れるたび、男の子が息を呑むのが聞こえて、...
「み、見られてっ、っっやぁっ、いやっ、止めてください、サ...
270 名前:黒い蜘蛛の糸 20/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
シエスタの胸を持ち上げるようにして見せ付けると、
「ひ、ひどっ、わたしっ、サイトさん以外に……」
可愛いことを言いながら、抵抗を続けるシエスタを、膝の上...
すっかり硬くなったオレをシエスタの入り口に当てると、小...
「期待してる?」
「…………知りません」
頬を染めたシエスタが虚勢を張っているが、シエスタの限界...
人目を気にして萎縮するかもしれないと思っていたが……杞憂...
シエスタはいつもより数段感じている、快感を素直に表現で...
水面下ではとんでもないことになっていた。
本人にそんなつもりは無いのだろうけれど、甘えた瞳が主張...
力づくで奪って欲しいと、
無理矢理なら仕方が無いから、
俺がしたいのなら受け入れると、
言い訳さえ残してくれれば、俺の望みどおりに乱れてみせる。
期待と快感に濡れた瞳は、俺にそう教えてくれている。
でも……それじゃ面白くない。
シエスタの期待にはこたえず、穴の上を素通りした瞬間の泣...
太ももに挟み込むようにして、シエスタの下の唇を味わう。
「……サ……サイト……さぁん……」
「ん? なに? シエスタ……俺は凄く気持ち良いよ」
「っ…………」
『シエスタが』どうして欲しいのか。
それを口に出させるため、挿入しない様に気を付けながら、...
「……っ……はぁ……っ……く……っ」
押し殺した嬌声が色っぽかった。
二人きりならもうとっくに堕ちている、
それが今日は最後の一線で必死に踏みとどまっていた。
(連れてきたのは正解だったな)
見られないように、出来る範囲で捻られていたシエスタの身...
快感を貪るためにその配慮を忘れ始めている。
もう一息だ。
271 名前:黒い蜘蛛の糸 21/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
身体の内でサイトさんを感じたい。
頭の中がその事だけに染まり始める。
サイトさんの先っぽの段差に成っているところが、わたしの...
……いつもなら……もうとっくに……
今日のサイトさんは意地悪だ。
人にあんな声を聞かせたくないのに、サイトさんだけの物で...
「シエスタのココは、気持ち良いね」
サイトさんの息が耳に掛かるだけで、意識が霞むのにサイト...
初めての時を、二回目を、三回目を……数え切れない夜を思い...
「…………て……」
自分が何を口走ったのか悟り、慌てて口を押さえる。
目の前に居る、見知らぬ少年に聞かれなかっただろうか?
視線をたどられない様に注意しているけれど、食い入るよう...
「シエスタ、今、なんて?」
聞こえていたに違いないサイトさんが、強く胸を掴んだ。
快感に身体が震えるけれど、刺激を焦がれているのはソコと...
サイトさんを感じたい、サイトさんを差し込まれて何もかも...
目を閉じて、目の前の男の子の事を忘れてから、とうとう口...
サイトさんがもう一度口を開いた。
「子供を殺すシエスタは、さっきなんて言ったのかな?」
「ひっ…………ぅ……」
「ついさっき、俺のためなら子供も殺そうとしたシエスタは、...
「…………あ……ぁっ……ぁぁあああっっ」
身体は快感に蕩けたまま、頭が芯から冷たくなっていく。
こんなに身体は熱いのに、どうして寒気で震えが止まらない...
ほんの少し前に、自分が何をしようとたのかも忘れて……わた...
「でも、いいんだよ、シエスタ」
272 名前:黒い蜘蛛の糸 22/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
サイトさんの力強い腕が優しくわたしを包み込む。
「シエスタは、俺のことだけ考えてれば良いんだ」
「……サ……イト……さん」
「ほら……気持ち良いだろう? そのまま……」
「で、でもっ、でもっ……」
「良いんだよ、シエスタは俺のために……」
壊れかけていた心が、サイトさんの一言で救われる。
わたしは酷いことをしようとしたのに、サイトさんは許して...
捕まった。
捕まってしまった。
サイトさんの優しさに絡め取られてしまった。
……もう……いいや、わたしは狂おう。
この人の為になら、もう理性なんていらない。
プライドなんか邪魔だし、人の目なんて気にしない。
「ほら……シエスタ、さっきの……もう一度言ってごらん?」
「入れて……入れてくださいっ」
何もかもかなぐり捨てたわたしの懇願は、容易く叶えられた。
「あっ……あぁあああああっ」
男の子の視線が、埋もれていくサイトさんの様子に釘付けに...
さっきまではサイトさん以外に見せることが、あんなに苦痛...
……今は、なんて良い気持ち。
根元まで飲み込むと、サイトさんは今までの埋め合わせのよ...
一番深い所にぶつける様な激しい刺激。
一瞬だけ、子供の事が気に掛かる。
「……っと……もっと……もっと……シテ……シテクダサイ、サイトさん...
でも……ほんの……一瞬だけだった。
273 名前:黒い蜘蛛の糸 23/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「ほら、シエスタ」
トン……と、サイトさんがわたしの背中を押す。
全身に力の入らなくなっているわたしを、目の前に居た蒼い...
「ご、ごめ……さっ……」
サイトさんのなすがままに、男の子の首に手を回して崩れ落...
真っ赤に成った男の子が、目を逸らしながらも、ちらちらと...
うらやましそうな様子に恥ずかしさとよりも、大好きなサイ...
「ほら……シエスタ、どんな感じか教えてあげたら?」
「は……い……サイトさん」
どうしてさっきまで恥ずかしかったのかしら?
サイトさんの事を喋ることができる幸せに、他の事が考えら...
「サイトさんの……おっきいのがぁ、わたしの中でうご……ってぇ…...
「……や……やめ……て……言わないで」
「奥に届くたびに、おかしく……なって……わたし……わたしぃ……」
「やっ……そんな事……、そんな事……」
痺れたような頭では、男の子にしては、声が細いことも高い...
近くで見ると整いすぎるほど整った繊細な顔立ちが、わたし...
サイトさんに触れてもらっているときとは違う、昏い悦びが...
「サイトさんに、愛してもらうのは、とぉっても気持ち良いん...
ほら……サイトさんも気持ちよくなって、こんなに硬くしてく...
「…………な……んでぇ……いや……こんなのいやぁっ」
認めたくないものを見せ付けられているかのような反応。
なんて潔癖な子……
悪い事を教えている……そんなイケナイ悦びに身を震わせてい...
サイトさんの手が男の子の手を取って、わたしの胸に押し当...
男の子は火傷でもしたかのような勢いで、手を引こうとした...
サイトさんは許さなかった。
サイトさんとは違う、白く細い指先に身体が竦む。
わたしが戸惑っている間に、押し付けるサイトさんと、
逃れようとする男の子のせめぎ合いが、
今までに感じたことの無い刺激をくれて……
「も……っと……もっと……触って……きもちいぃのぉ……」
男の子が泣きそうに見えたのはどうしてだろう?
274 名前:黒い蜘蛛の糸 24/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「ほらシエスタ、口が止まってる」
「ご……ごめんなさ……っっだ……サイトさんっ……サイトさぁん……」
声も立てずに瞳で訴えかけてくる蒼い髪を横目に、シエスタ...
楽しい。
事態が全て自分の思い通りになる万能感は、何物にも換えが...
俺の身体から離れられない様に、じっくりゆっくりシエスタ...
恥じらいを捨て、見知らぬ相手に自らの手で胸を触らせ始め...
俺は深い満足を覚えた。
身体を支えるために俺以外に抱きついていても、視線と意識...
途切れ途切れに俺の名前を呟いている。
なんて健気で可愛いんだろう。
「シエスタ、大丈夫?」
「はっ……はい……サイトさん……あのっ……あのねっ」
快感に曇ったまま、真っ直ぐに俺をとえら得た瞳が、少しだ...
必死に言葉を紡ぐシエスタに、少し意地悪をしたくなり、俺...
「っっく……だめ……ちゃんと……いいたいの……にぃ……サイトさんの...
どうやら俺は意地悪らしい、意外な事実を教えてくれたシエ...
「あっ……あああっ、きゅうにっ……いやぁっっ」
行動で示した俺の感謝に、シエスタの身体は素直に答える。
奥へ奥へと、熱い肉体が絡みつく。
「っ……ひぁっ……もぅす……ぐ……ちゃぅ……だ……め……」
「俺も気持ち良いよ、シエスタ」
「……あの……あのね……サイトさん……っく……
わたしっ……貴方に愛してもら……て……」
口付け、絡み合いながらの、シエスタのたどたどしい告白に...
蕩けるような快感に、抑えの効かなくなった俺は、背後から...
それが最後の一押しとなって、堪えに堪えていた二人の限界...
「いっっあぁあああああぁぁぁぁっ…………」
シエスタの嬌声が部屋中に響き渡り、その場にクタリと崩れ...
腕の中で重力に引かれるシエスタの身体を手放すことが出来...
「……し……あわ……せ……です」
小さく耳に届いたシエスタの言葉に頬が緩む。
やっと、『タイセツナモノ』が手に入った実感に、喉の奥か...
おもわず……俺も何か叫んだのかもしれない、
俺たちを見つめる蒼い瞳に悲しみがあふれていたから。
275 名前:黒い蜘蛛の糸 25/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
サイトは意地悪だと思う。
男の子の制服を着ろって言われた時は何事かと思った。
逆らうつもりはないけれど。
『この命は、あなたに捧げる』
そう言った瞬間から、この人が望むことを何でもしてあげた...
誓いの夜にわたしの部屋を訪ねてきたサイトが、身体を求め...
最後だと……そう思っていたから。
すぐに母さまを助けに行くつもりだったから。
死ぬ覚悟は出来ていたけれど、女の子らしい幸せも……一度位...
『始めてだったら痛いから、今日は無理にしねぇよ』
そう言って、わたしだけを感じさせてくれたサイトの優しさ...
一晩中鳴いて、気が付いたらお昼だった。
……気持ちよかった。
母さまが大変な目にあっているかもしれないのに、サイトの...
そうしたいって、一言言ってくれたら、いつでも最後まであ...
息吐く間もくれないサイトに、自分からは何も言えないまま...
(このままじゃ、駄目な子になっちゃう……)
そう思ったわたしは、母さまの所を目指して旅立って……
……母さまの幽閉されている城までの旅で、サイトに会えない...
寂しくて悲しくて、泣きながら学院を目指した……
死ぬつもりだったのに、母さまを助けて、アイツを殺しに行...
……『死』が怖くなった。
……いつ死んでもいいはずだったのに、復讐しか見ちゃだめだ...
あの人の側に居たかった、あの人がわたしを見てくれなくっ...
それだけだった筈なのに……
サイトは変わってしまった。
276 名前:黒い蜘蛛の糸 26/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「お帰り、タバサ」
「……た、ただいま」
サイトの様子がおかしいのには直ぐに気付いた。
この人の目は、こんなに冷たくなかった。
この人の微笑みは、もっとずっと柔らかかった。
側にいるのも恐ろしい、黒い気配の持ち主は、それでも確か...
「どうしたの?」
ごめんなさい、最初の言葉は決めていたのに、あまりの変化...
うつろに笑うサイトが、ゆっくりとわたしに近づいてきて、...
「っ…………」
「どうしたの? タバサが居なくなって、心配してたんだ。
タバサの命は俺に捧げたんじゃなかったのか?
みんな……みんな変わるのか?
俺を好きだって言ってくれる言葉を信じちゃいけないのか?」
――相談もせずに消えたわたしを迎えてくれたのは、
寂しさで『変わった』サイト。
目の前のわたしではなく、サイトはどこか遠くを見ていた。
「シエスタに俺より大事なものが出来た途端にタバサが消えた、
二人とも俺を好きだって言ったのに、
…………怖いんだ、怖いんだよ……
抱き合っている時はあんなに暖かいのに、気持ち良いのに。
ほんの少し離れただけで、タバサは消えた!
シエスタは触れられるのを拒むようになった!!
……なら……きっと、ルイズも……ルイズだって……いつか……」
力強いサイトの腕の中で、全身の骨が悲鳴を上げる。
痛みで視界がチカチカした。
…………それでも、久しぶりのサイトの体温にわたしは目を細め...
たとえこの身が砕けても、サイトの気持ちが落ち着くのなら。
そう思って、じっと耐えた。
ルイズの好きな香水の移り香が甘くて、胸に痛かったけど。
277 名前:黒い蜘蛛の糸 27/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「もう逃がさない」
緩んだ腕と引き換えに与えられたのはそんな言葉。
「もうどこにも行かない」
「……うそだ」
他の人の事なんてどうでも良かったのに、この人に信じても...
「信じて……」
「じゃあ復讐、諦めるか?」
「…………ぅ…………」
父さま……母さま……
ずっとわたしを形作ってきた、昏くても重要な欠片。
……サイトは大切だけど、長年掛けて編み上げた感情はそう簡...
返事が出来ないわたしを、サイトは冷たい目で見つめていた。
「……ほぉら……やっぱり……」
「ちがっ、ちがうっ」
慌てて否定しても、わたしの声はもうサイトに届かない。
「みんな、居なくなるんだ……
いつか、この世界で一人に……なるん……だ……」
サイトの声が小さくなっていく、他の誰とも違うサイト。
ほかの誰も、彼の事を本当に理解できない。
特別な世界を持つただ一人の人。
生まれ育った優しい世界に、二度と戻れない。
その辛さは、わたしだって良く知っているはずなのに。
少し考えれば分かったはずなのに……
少しづつ、少しづつ集めたに違いない、『大切な者』に折角...
わたしは彼を裏切ってしまった、
傷付けてしまった、
この人が変わったのは、わたしの所為。
……この人に……『別れ』を教えてしまった。
「……ごめんなさい」
やっといえた言葉は、この人の届くのだろうか。
「……そんなの、聞きたい訳じゃ無いっ!」
叫んだサイトがわたしを置いて駆け去って、一人その場に残...
どれだけ時間が流れても、この悪夢は覚めなかった。
278 名前:黒い蜘蛛の糸 28/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
それからサイトは毎日わたしを苛んだ。
誓いをを確かめるように、怯えるように、確認するように。
一度失った信頼は、犯してしまった過ちは、容易く取り戻せ...
その指先がわたしを狂わせても、わたしの方からサイトに触...
サイトに触れたいのに、気持ち良くなって欲しいのに……
……わたしのココを……使って欲しいのに。
以前のように優しさではなく、一度裏切ったわたしを最後ま...
そう宣告するように、サイトは頑なにわたしの処女を奪おう...
「……少し、変わったことをしようか?」
何か思いついたんだ、そう……思った。
いつもサイトは変なことをする。
特に好きなのが、メイドやシエスタとの行為を見せ付けるこ...
サイトに触れる腕を、サイトに絡む脚を、サイトを迎え入れ...
何も言えないまま見つめるのは悲しかった。
一人最後までしてもらえないわたしが、取り残されたような...
サイトはいつも嬉しそうに見ていた。
今日も……物陰で一人泣いていると、サイトと目が合った。
『こっちにおいで』
サイトの目がそう言っていた。
い、いいの? 許してくれるの?
理性の痺れたわたしが物陰から姿を現すと、サイトが楽しそ...
「ほら、シエスタ見てごらん」
え?
「ひっ……やあぁっ……やだっ、見ないでっ、見ないで下さいっっ...
あ……
サイトがどうして男の子の格好をさせたのか、ようやく分か...
メイドの子は、わたしが男の子だと思って慌てている。
タバサの事なんて考えてないよ。
サイトの態度が言っている。
わたしとの時は、優しく優しく丁寧に……なのに……どうして?
あんなに激しくされているのに……
「み、見られてっ、っっやぁっ、いやっ、止めてください、サ...
どうして、あの子はあんなに乱れているの?
279 名前:黒い蜘蛛の糸 29/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
わたしだったら痛みを感じそうな刺激を、成熟した身体は快...
……わたしも……わたしも……サイトに……あんな風にされたいのに。
ぎゅって押し付けて、気持ち良さそうなサイトを見ていると...
「……俺は凄く気持ち良いよ」
サイトの言葉が胸をえぐる。
酷いよ……サイト。わたしが聞いているの分かってるくせに。
わたしには触れさせもしてくれない所が、敏感な入り口を擦...
……そんなに気持ち良いんだ。
生えてくるみたいに、太ももの間から顔を出すサイトのモノ...
後ろからサイトが、大きな胸をギュって掴む。
両手でも収まりきらない胸を見ていると、全然成長していな...
……おっぱいが無いから、サイトいろいろしてくれないのかな?
もっと大きくなったら……
でも、それまで待てないよ……サイト。
わたしが悩んでいる間も、サイトとメイドは溶け合っていて。
サイトが耳元で何か囁くたび、大きく暴れたメイドを胸で支...
うらやましい……気が付くと、わたしは二人に引き寄せられる...
一歩、また一歩と近づいていった。
「入れて……入れてくださいっ」
メイドの叫びに、自分の喉が音を立てる。
……あんなに大きいのに、メイドはやすやすとサイトを飲み込...
快感に歪むサイトの表情に、言いようの無い感情が胸の中で...
「……っと……もっと……もっと……シテ……シテクダサイ、サイトさん...
色に狂ったメイドが憎い。
サイトと愛を交わす相手が許せない。
そんなわたしの想いを知らないサイトが、メイドの身体をわ...
280 名前:黒い蜘蛛の糸 30/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「ご、ごめ……さっ……」
わたしを抱きしめるように崩れるメイドを、反射的に抱きと...
触れたところが、熱くて柔らかい。
……成熟した女の身体。
……わたしとは……違う。
泣きそうなわたしの耳元に、熱い吐息が掛かる。
「サイトさんの……おっきいのがぁ、わたしの中でうご……ってぇ…...
……っ、ひど……い……ひどいよぉ……
「……や……やめ……て……言わないで」
必死に絞り出した声にも構わず、メイドはわたしを追い詰め...
「奥に届くたびに、おかしく……なって……わたし……わたしぃ……」
「やっ……そんな事……、そんな事……」
わたしだって……サイトが……サイトがしてくれるならっ!
「サイトさんに、愛してもらうのは、とぉっても気持ち良いん...
ほら……サイトさんも気持ちよくなって、こんなに硬くしてく...
「…………な……んでぇ……いや……こんなのいやぁっ」
嫌がるわたしの手を、そっとサイトが握ってくれて、少しだ...
でも次の瞬間、わたしの手がメイドの胸にめり込む。
……やわらかい…………こんなの……ずるいよ……
こんなの付いてたら、サイトだって触りたくなるに決まって...
わたしなん……て……自分には無い感触に悲しくなった。
そのまま腕を引こうとすると、サイトが嫌がらせの様に胸の...
「も……っと……もっと……触って……きもちいぃのぉ……」
…………い……や……ぁ……
こんなの……こんなの、もう……やだよぉ……サイ……ト……
タバサが思考することを放棄しても、その目は目の前の行為...
281 名前:黒い蜘蛛の糸 31/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
サイトは崩れ落ちたシエスタに、そっとマントを掛けた。
シエスタが凍えない様に、注意深く包むと思い出したように...
「……サ……イ……トぉ……」
堰が切れたように泣き出したタバサを、優しく抱き寄せた。
……逃げなかったな……
ほっと……サイトの身体から力が抜ける。
シエスタはこれで俺から離れる事はもう無い。
理屈ぬきで、サイトはそう確信していた。
「ひどっ……ひどいよぉ……サイト……なんっ……でぇっ」
タバサには感謝していた。
少なくとも今はそのつもりだ。
『人の絆』の儚さを教えてくれたタバサのお陰で……
「これでシエスタは、俺を捨てない」
シエスタが手に入った。
競う者が側に居れば、嫉妬心の強いルイズは決して離れない...
……いや、離れたとしても、彼女の心に残るであろう傷は、サ...
俺の一言を聞いただけで、タバサはどれほどの事を悟ったの...
驚きと……恐怖……か? で、目を見開いていた。
「頭の良い子だね、タバサ」
「…………ち、ちが……う、わたし……は」
のろのろと言葉を紡ごうとするタバサの唇を無言で塞ぎ、
大きく開かれた目が閉じるまで、時間を掛けてたっぷりと味...
気が付くと俺にもたれかかる様に体重を預けたタバサが、も...
そういえば……ずっとオアズケだったっけ?
キスをしたまま、制服のボタンを外す。
最後まで脱がすことはせずに、タバサの細い身体を抱き寄せ...
「俺が怖い?」
一度逃げたタバサは、いつ居なくなるかわからない。
……それこそ、今この場から走り去り、二度と俺の前に現れな...
いっそ居なくなれば、諦めも付くのに……
「怖くない」
ならその身体の震えはなんなんだ?
……タバサを……人を信じたいのに、俺の心は疑うことばかり上...
282 名前:黒い蜘蛛の糸 32/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
怖いはずなんて無かった。
この人は傷ついている。
どれほど深く傷ついているのか、やっと少しだけ理解できた...
何もして上げられない自分が悔しくて、
母さまを助けに行ったことが悔やま……れ……
そこまで考えて、わたしは愕然とする。
……わたしは……なに……を……
母さまを助けに行くのは、娘として当然のことなのに。
今だって……放っておくわけには……いかない……はず……なのに……
身体が小さく震えだす、わたしはこの一週間で、何回母さま...
以前は毎日毎日そのことばかり考えていたのに……
……今は……サイトの事ばかり考えている。
……どうしよう……母さま、シャルロット悪い娘になっちゃった……
ごめん……ごめんなさい……
何年もわたしを形作っていたモノを、知らず知らずのうちに...
足元が崩れ去るような恐怖を感じていた。
「おいで」
そんな時に優しいサイトの声がする。
幻かもしれないけれど……昔のサイトに見えた。
わたしの為に命を掛けてくれた人に。
支えを失ってしまったわたしの心が、音を立てて傾いていく...
……だ……め……こんなの……わたしの為にも、サイトの為にもなら...
今のサイトに依存するのは危険。
分かって……分かってるのにっ……
「わ、わたし……悪い……娘に……なっ……」
何も言わずに抱きしめてくれる手が、優しさだけで出来てい...
わたしの身体は無意識に温もりを求める。
駄目なのに、今のサイトを頼っては。
彼に必要なのは、わたしにとってのサイトやキュルケみたい...
真っ直ぐサイトを見るメイドすら疑うほどの不信を、彼に植...
今の彼の側に……
「タバサはいい子だよ」
サイトの声がわたしを繋ぎとめる。
ここから立ち去ろうと思っていたのに、たった一言で彼はわ...
サイトの腕の中に絡め取られる事を渇望する身体に、弱い心...
離れなきゃ……そんな想いと裏腹に、わたしの足はサイトに近...
283 名前:黒い蜘蛛の糸 33/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
サイトが制服の下で湿った音を立てている。
「だ……め……やめ……て……」
サイズの問題かもしれないけれど、男の子の制服はエッチだ...
舌先が乳首に当たるたび、幸せそうに寝息を立てているメイ...
サイトに触れられるのが、どうしようもなく切なくなる。
「やだ……見ないで……」
服の中からサイトは、わたしの視線を辿って苦笑すると、
背中に回された腕に力を入れて、ぎゅってしてくれた。
そんな行為に、また少し……少しづつ、
逃げようとか、抵抗しようという意識が溶かされていく。
わたしが嫌がった所為だろうか、サイトの唇が胸の上から動...
「……ま……って……やだぁ……」
自分でも硬くなっているのが分かる先端を少し強めに吸った...
胸全体を舌で押すように舐めたり、胸ばかりを苛める。
わたしの胸なんか、あの娘に比べたら、触ってて楽しい筈も...
サイトは一生懸命にわたしを感じさせてくれる。
「っ……ふぁ…………む……ねばっ……りぃ……」
「へぇ……他の所も触って欲しいんだ」
そ、そんなつもりじゃないのに。
恥ずかしさで何も言えない内に、サイトの指が背中に回って、
触れるか触れないかの刺激が、下から上に這い上がってきた。
「ひゃぁぁんっっっ……っ…きゃあっっ」
背中の刺激に反り返った途端、突き出させる形になった胸に...
「そんなに触って欲しかったんだ」
「……ち、ちがぁっっ……やあぁぁぁっっ」
胸を気にしたら、背中から。
背中を庇ったら、胸を。
逃げ場の無いまま、サイトの好きなように操られる。
おもちゃに成った錯覚を覚えそうなほど、たっぷりと時間を...
284 名前:黒い蜘蛛の糸 34/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「ふっ……ぅ…………ぁ……」
息……苦し……ぃ……よぅ……
ぐっとりとしたわたしを、サイトがそっとテーブルに寝かせ...
途中から腰に力が入らなくて、サイトが支えてくれないと、...
力が入らなくなったのをいい事に、サイトはわたしを好きに...
「大丈夫?」
優しい言葉を掛けてくれるのが嬉しくて、何とか頷いてみせ...
まるで前のサイトみたいだ。
快感の余韻に浸っていると、腰の辺りで何か音がしたけど、
頭を上げて確認するのも億劫なわたしは、何もせずに息を整...
サイトがわたしを持ち上げたり降ろしたりしているのも、凄...
頭の回らないわたしは、何も考えずにされるがままに成って...
少しだけ落ち着いた頃、サイトが笑いながらわたしの頭に『...
「返すな」
……返す……って事は、わたしの物?
まだぼんやりした頭で、頭に乗せられた物を理解しようとす...
真っ白い布で、ちょっと……ううん、結構濡れ……て?
嫌な予感に、そーっと視線を下にずらしていく。
「っ! こ、これっ、わたしのっ」
上半身には、ボタンが止まっていないとはいえ、大きめの制...
下は…………
「な、何も穿いて無いっ!」
「いい眺めだな」
慌てて制服の前を合わせて、サイトからあちこち隠す。
こ、こんな格好のままぐったりしてたなんて……
恥ずかしくてどうにか成りそう……
「い、いじわ……る……」
声が泣きそうになってる。
比べられた。
絶対向こうで寝てる娘と、あちこち比べられた。
サイトに物足りないって思われたんだ……こんな子もう触るの...
不安に震えていると、サイトが側まで来てくれた。
285 名前:黒い蜘蛛の糸 35/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「タバサは可愛いね」
……っ……どうせ可愛い胸だもん。
頬に血を上らせたまま、サイトから目を逸らせる。
暫くわたしが怒っているのを不思議そうに見ていたサイトは、
いつまで経っても自分を見ないわたしに、そっと近づいてき...
「タバサ?」
意地でもサイトを見ない。
サイトがもう触ってくれなくなるのかもしれないけれど、今...
「誉めたのに、何で泣いてるんだ?」
……胸とか見ながら可愛いは誉め言葉じゃないと思う。
「知らない」
焦れたサイトは軽々とわたしを持ち上げると、わたしごと手...
否が応でもサイトに密着してしまい、顔を逸らし続けるのが...
何も言わないサイトに、今度は黙っていることが辛くなった。
「小さい……から……可愛いって……」
そこまで言って、サイトはやっと納得した顔をする。
サイトは鈍い。
……ルイズは凄い子かもしれない。
「そんなつもりで言ったんじゃねーよ」
嘘だ。
さっきまで大きな胸を嬉しそうに揉んでたくせに。
意地になったわたしを膝に乗せたまま、サイトが愛撫を再開...
「タバサは可愛いよ」
「っ……またっ……胸触りながらぁっ」
今度はわざとだ……
顔を隠すようにサイトにしがみ付くと、前をあわせていただ...
折角隠していた身体がサイトに直接密着する。
「あ…………」
何か硬いモノが、サイトの指の向こうにあるのが分かった。
「……ちゃんと反応してるし、可愛いは誉め言葉だぞ?」
……うれしい。
わたしで硬くしてくれているのが分かって、凄く嬉しかった。
「……ごめんなさい」
サイトが本当のことを言ってくれていたのなら、さっきまで...
申し訳ない気持ちで、サイトにしがみ付いていた腕に少し力...
サイトは黙ったまま、わたしにキスをくれた。
286 名前:黒い蜘蛛の糸 36/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「あ……あれ?」
自分では動いているつもりなんて無いのに。
サイトが感じてくれている事を知ったわたしの身体の、熱く...
「ご、ごめ……」
背筋が凍る。
以前勝手にサイトの身体を触った時に、火が付いた状態のま...
一度裏切ったわたしは、サイトの大切な所に触る資格なんて...
快感に追い詰められている状態でも即座に気付けるほど、し...
「タバサ?」
「っ……ごめんなさいっ、ごめんなさいっ……」
サイトの声の質が変わる。
怖い……怖いよ……
甘くて幸せだった空気を奪い取られる予感が、全身を震わせ...
死にたくなるような絶望がわたしを包む。
「だめじゃないか、タバサ」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
熱の無い目、止まった指、凍った声。
サイトよりも、快感に酔って歯止めの効かなかった自分が憎...
サイトは何も悪くない。
悪いのはわたし。
あんなに何度も繰り返したのに、わたしはまだサイトの望み...
「俺が気持ちよくなっちゃ、タバサが困るだろう?」
……え?
287 名前:黒い蜘蛛の糸 37/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
なん……で?
どうして、サイトが気持ちよくなった困るの?
「ど……して? サイトが気持ちよくなってくれたら嬉しいのに」
サイトがわたしに触らせてくれない理由。
最後までしてくれない理由。
何度か聞いたけれど、教えてくれなかった。
「子供が出来たら……」
こ、子供が出来たら?
「タバサの、大事な大事な復讐の邪魔だろう?」
え?
「復讐の?」
「あぁ、俺を捨てていくほど大切な復讐の邪魔になるだろう?」
「……ち、ちがっ……復讐なんかっ……復讐なんかっ……」
あぁ……母さま、ごめんなさい。
シャルロットはもう戻れません。
「復讐なんかどうでもいいよぉ、サイト……サイトの方が大切っ...
サイトはわたしの為に、最後までしないでいてくれたの?
嬉しい、サイトの意地悪だとばかり思ってた。
喜ぶわたしの視界の端に、ある物が写っていい事を思いつい...
「あ、あれ、あのお薬も有るっ、出来たらあれ飲むからぁっ……...
メイドとやり取りは聞いていた。
あのお薬を使えば……サイトにそれを伝えると……
サイトは喜んでくれなかった。
「……へー、まだそんな事……復讐の事考える余裕あるんだ」
観察する様にわたしを見ていたサイトの目が、ますます熱を...
……な、何か間違えたの?
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん...
わたしから離れようとするサイトに、力の限りしがみ付いて、
声を限りに叫び続けた。
「ち、違うのっ、復讐なんかどうでも良いからっ、
サイトの側にいるからっ、離れないからっ……だからっ……」
……最後までして下さい。
潤んだ瞳と熱い身体に乗せて、思いの丈をサイトにぶつけた。
288 名前:黒い蜘蛛の糸 38/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
黙りこんだサイトに怯えながら反応を待つ。
「本当に? 本当にどこにも行かない?」
「行かない、離れたくないっ」
一度口に出してしまうと、もう止まらない。
言葉は呪文の様にわたしを縛り、引き返せない所へとわたし...
「子供できても構わないんだ?」
「うん、うんっ、出来てもいいの……だからっ……だからぁ……」
確かめるようなサイトの口調に、熱に浮かされたまま答え続...
答えていれば、思いが伝われば……
サイトが最後までしてくれると、そう……信じて。
「復讐より……俺が大事?」
「うんっ、サイトが大切なの」
喋れば喋るほど、わたしの中でサイトの存在が膨れ上がる。
まるで自分に暗示を掛ける様に、繰り返し繰り返し誓いの言...
「タバサの……シャルロットの……大切なモノを……貰って……
貴方のモノにして、サイト」
精一杯の告白。
伝え終わった時、サイトの腕から力が抜けて一瞬凄く怖くな...
「……った……に……った……タバ……おれの……」
サイトが何か呟いている。
よくは聞こえなかったけれど、サイトの表情に隠し切れない...
わたしの思いが伝わった事を確信できた。
289 名前:黒い蜘蛛の糸 39/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
わたしが上になったままで恥ずかしいけれど、今からベット...
テープルにもう一度横になるのさえ、時間が惜しかった。
「いくよ、タバサ」
……シャルロットって呼んで貰おうか?
少しそんなことを考えもするけれど、父さま、母さまの復讐...
なら、もうこれからは、サイトの為のタバサで居よう。
身も心も捧げることに決めたわたしは、過去を捨てる決意を...
「はい」
全ての想いを込めて、一言だけ返事をすると、
サイトの手がお尻を掴んで、わたしを誘導した。
何度も望んだ瞬間がついに訪れる。
そう思って身体を硬くしていると、サイトの硬いモノが押し...
その大きさに少し不安に成る。本当に入るのだろうか?
でも……もし、わたしが痛くても、サイトが気持ちよくなるの...
「……サイト……わたしで、気持ち良くなって……」
サイトの耳元で囁くと、サイトは嬉しそうに笑う。
「そのまま腰を下ろして」
サイトを想って自分の中に指を挿れた事を思い出して、
どうすれば上手に入るのか考える。
考えているわたしが困っているように見えたのか、サイトが...
どうすれば良いのか教えてくれる。
「……んっ……」
自分の中に異物が侵入してくる。
ゆっくりと身体の中でも屈指の繊細な所が広がり、痛みと共...
「……った……い……よぉ……」
溢れる涙をサイトが唇で拭ってくれた。
「諦める?」
「…………やだ」
折角、折角サイトが貰ってくれるのに、
やっと思いがかなうのに、
「最後まで……貰って……」
サイトの気が変わらないうちに……
わたしは一息に奥までサイトを迎え入れた。
290 名前:黒い蜘蛛の糸 40/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
痛い……痛い……身体が悲鳴を上げている。
痛みには強いつもりだったのに。
「タバサ、大丈夫?」
「平気」
嘘だけど。
痛みで動けないわたしが、サイトにしがみ付いていると、背...
「がんばったな」
サイトの手……暖かくて……うれしい。
「うん」
サイトは動きたいんだと思う。
メイドとの時は、あんなに激しく……
「ごめんなさい」
「何が?」
悔しくて何もいわずにサイトに抱きついていると、サイトの...
「っ……な……に?」
「じっとしてて」
痛みを忘れさせようとしてくれる、サイトの気遣いが嬉しい。
わたしが反応するたびに、おなかの中でサイトがビクビク動...
とても幸せ。
「……動いて……いいよ」
少しだけ痛みになれたわたしは、サイトに身体を任せる。
自分で動く自信は無かったけれど、サイトに気持ちよくなっ...
「でも……」
「サイトの……赤ちゃん頂戴」
出来るだけサイトに密着して、身体を擦りつけながら精一杯...
唇を重ねて、サイトに最後の一押しをする。
「っ……いいんだな?」
「ん」
もうわたしは全部サイトのモノだから。
力を抜いてサイトに全てを任せた。
291 名前:黒い蜘蛛の糸 41/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
タバサの中はきつい。
ルイズやシエスタの初めてのときと比べても、ずいぶん窮屈...
小さな体格と相まって、幼い子に悪戯しているかのような背...
ゾクゾクと俺の快感を高める。
「動い……て……」
俺の耳元に囁くために、タバサが姿勢を少し変えるだけで、...
「あ……あぁっ……動く……ぞ……」
両手でタバサの腰を持ち上げて、軽いタバサを腰の上で踊ら...
みるみるうちに限界が近づいてくる。
「…………き、気持ちい?……わたしの身体で、気持ちよくなってく...
俺の事ばかり気にかけている事に、大切にされている実感に...
時間を掛けたかいが有った。
「……サイト、サイトの子供……タバサに……頂戴」
タバサを持ち上げることがもどかしくなって、繋がったまま...
少し離れた所にあるソファを目掛けて歩き始めた。
「っっっ! サ、サイトッ……っめぇっ……奥……奥がっ……ひっ……ぅ…...
俺の身体しか支えの無くなったタバサが、必死で俺にしがみ...
タバサ自信の体重で、深く深く繋がることは止めようも無か...
「……かっ……はぁっ…………き……つぃ……よぅ……」
息も絶え絶えなタバサを寝かせて、動きやすい体勢をとった...
タバサが一息つくまもなく責め始める。
「あっ……あぅ……え? な……に? う……そ……気持ち……いい?」
タバサの感触を確かめるように動き始めると、タバサの目に...
……初めてなのに……よほど相性が良かったようだ……
お互いに。
「……タバサ……ごめん……いく……」
奥歯を噛み締めながら情けない報告をすると、幸せそうな笑...
「……ん、気持ちよくなって……サイト……わたしの中で……いって……...
これは……反則だ……いつもの超然としたタバサとのギャップが...
思いがけない大量の精を解き放つと、安心したようにタバサ...
二つの寝息が部屋に響く。
二人とも……もう俺ものだ……。
……これで……皆……俺の側に……ずっと……
窓の外を見ながら、俺はひっそりと笑った。
292 名前:黒い蜘蛛の糸 42/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
「くぉぉぉの、駄犬!!!!」
「ぐはっ」
冴え渡るエクスプロージョン!
実は二人目、サイトがそう報告した途端詠唱が始まり、
観念したサイトが一歩も避けないまま、勢い良く壁に叩きつ...
「ご、ごめんなさいっ、ミス・ヴァリエールっ、わ、わたしが...
「そ、そうだぞ、ルイズ、シエスタがわるっ……」
サイトの言葉は最後まで告げられることも無く、口の中にル...
「だまんなさい、だまんなさいっ、だまんなさいっっ!!」
じたばたと暴れながら、ルイズは全身で自己主張した。
「どゆこと? なんで? サイトっ、あんたどーゆーつもりな...
「いやーほら、ヤっちゃた事は仕方ないというか……」
反省の色の無いサイトを、視線で射殺そうとするルイズの耳...
「……やっぱり……わたし、これ……飲みますね」
シエスタの手には、見覚えの有る小瓶。
「……って、駄目――――――!!!」
ルイズの蹴りは、一撃でシエスタの手の中の小瓶を打ち砕い...
「でも、シエスタ、一回それ飲もうとしてるし」
サイトの一言に、ルイズは怒りの矛先をシエスタに向ける。
「なななな、なんでっ?」
「……ミス・ヴァリエールが……お怒りになると……思って……」
「お、怒んないわよっ、二度とそんな事しちゃだめだからねっ...
ルイズの一言にサイトは飛びついた。
「ラッキー……がはっ」
サイトの鳩尾にルイズは飛び蹴りだ。
「は、反省の色がなぁぁぁぁい」
流れるような連続技を繰り出しながら、ルイズの叫びがどこ...
293 名前:黒い蜘蛛の糸 43/43[sage] 投稿日:2007/04/02(月...
なーんで、シエスタはサイトをあそこまでかばうのかしらっ!
サイトをつるし上げようにも、もう片方の当事者のシエスタ...
自分ばかりが怒る訳にもいかないルイズは不完全燃焼だった。
……なんだか嫌な気分ね……
複雑な感情を抱きながらも、ルイズは教室でタバサを探す。
シエスタと二人で、ちょっとした約束をした。
……サイトは留守番よ!
探すまでも無く、相変わらず無表情で、いつも通り自分の席...
「あ、居た居た、タ〜バサ〜」
「なに?」
用事は他に有るのだけれど、
最近少しサイトと仲の良いこの少女を、少しだけ牽制する。
「あのね、わたし……サイトの赤ちゃん出来ちゃった」
「……おめでとう」
「ふえ?」
「? 聞こえなかった? おめでとう」
誰に話しても驚きが先に来ると思っていたのに、まず祝福し...
「あ、ありがと……その……それでね」
そもそもタバサを探していた最初の理由。
「次の虚無の曜日に……街まで連れて行って欲しいの。
……その、ベビー用品のお店とか……」
「出産祝い」
それだけ告げると、用は済んだとばかりに本に目を戻す。
「ま、まだ産んでないもん」
連れて行ってくれるつもり。そう理解したルイズはタバサに...
本の邪魔にならない限り、タバサもそんなルイズを邪魔にし...
「あのねっ、わたしたち……シエスタもだけど……
皆で幸せになるのっ!
本当よ」
今だって幸せそうなルイズの笑みを見ながら、タバサも微笑...
「そうね……皆……幸せになれるね」
机の影でタバサの右手は、そっと自分のお腹に添えられてい...
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