ゼロの使い魔保管庫
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478 名前:1/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:23:46 ID:gm...
深々と溜息をつきながら、シエスタは冷たい目でルイズを見...
「本当にもう……信用できないです」
「そ、そんな事言っても仕方ないじゃない」
シエスタの手に握られているのは、薄い桃色の封筒。
ルイズの机を整理していたシエスタが見つけて、どうすれば...
真っ青になったルイズを問い詰めて、その内容を聞いたシエ...
「だ、だってずっとそれどころじゃ……」
「ずっとって、学院に戻られてからなら直ぐにでも……
絶対に心配されてますよ?」
「う……で、でも……」
シエスタが見つけたのはカトレアからの手紙。
手紙の出される間隔が徐々に短くなっていることで、どれだ...
それが……
「未開封……信じられません」
「だ、だって……その……大体分かるから、かえって読むのが怖く...
「聞くまで忘れてらしたのはどなたです?」
「ご……ごめんなさい」
戦争から帰ってきたルイズがずっと手紙の返事どころではな...
だが……学院に戻ってからも返事をしていないとなると……
「ミス・ヴァリエールのお家の方にとっては、今どういう事態...
「……な、なによぅ……別に大した事は……」
シエスタの視線が更に冷たくなった。
分かってない……ほんとーにこの人は分かってない。
説明するのも馬鹿馬鹿しいけれど……仕方なくシエスタは語り...
「ミス・ヴァリエールのお家の方にとって、
末の妹が戦争に行ったっきり音信不通!!
そうなっているんですよ?
分かってますか?」
手の中に有る未開封の封筒の束を、見せ付けるようにテーブ...
シエスタにはこの手紙の中身が良く分かった。
ジュリアンが自分や家族にあてた手紙が着いた時の事が思い...
サイトの事が有ったので、手放しに喜べなかったけれど、そ...
「……あ……」
やっと事態を理解したらしいルイズが、わたわたと暴れ始め...
「じゃ、じゃあ……ちいねえさま、わたしが死んでると……思って...
「……思われてるかも知れませんねぇ」
……実際には貴族のルイズが死んでいたら連絡が入るため、死...
少し位懲りた方が良い。
そう思ったシエスタがあえて意地悪を言っていた。
479 名前:2/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:24:27 ID:gm...
「どどど、どうしよぉ」
お、お葬式とかしてたら、実家に帰ったわたしを見て、皆ど...
それより何より、誰かが死んだと思う事がどれだけ辛いこと...
身をもって知っているルイズは泣きそうだった。
「だ、誰か飛び降りてたらどうしよう?」
ちいねえさま辺りは、飛び降りなくても衰弱してそうだし。
「とりあえず読まないと」
ルイズの手に消印の日付順に並べられた封筒の束と、ペーパ...
「ま、まって……一緒に居て」
「……いいですけど……」
自分が何を放置してきたのか理解したルイズが、怖気づきシ...
「居るだけですよ?」
「うん、お願い」
小さく溜息をつくと、シエスタは少し離れてルイズの観察を...
案外面白い。
「ち、ちいねえさまったら……そ、そんなのじゃ……」
「……あ……ごめんなさい」
ヴァリエールの領地を出た辺りは、サイトとの事をからかわ...
日付が進み、戦争の最中の頃の手紙に成ると、今更どうしよ...
「どどど、どうしよぉ……」
「放っておいたのはミス・ヴァリエールでしょう?
きちんと最後まで読んで、早くお返事なさるしかないです」
実際他に出来ることもない。
手紙の向こうでは、それどころか今この瞬間でさえも、ルイ...
手紙を読んでいるルイズの目が、そわそわと落ち着かず一刻...
「きちんと全部読んでからです」
「で、でもシエスタぁ……」
「でもじゃありません!!
お家の方はもっと心配なさったのですよ?」
シエスタに容赦は無かった。
ルイズがサイトに会えて浮かれていた頃の手紙等は、その頃...
戦争が終わって一月、何の便りも無いルイズをひたすらに心...
「ごめんなさい、ちいねえさま。ごめんなさい」
ようやく全て読み終わった頃には、すっかり落ち込んだルイ...
「反省しましたか?」
「ん……」
480 名前:3/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:24:59 ID:gm...
それだけ答えると、ルイズは無言で机に向かい、一心に手紙...
伝える事はたくさん有った。
伝えられない事もたくさん。
今読んだ手紙ほど、想いが伝えられるとは思えないけれど。
それでもルイズは一生懸命に書いた。
遅くまでかかって、ようやく書き上げた近況は、数枚の便箋...
「お、怒られるかな?」
「それくらいは当然です」
書き上げた手紙を封筒に入れながらシエスタに意見を求める...
シエスタが注意してくれなかったら、さらに返事が遅くなっ...
「でも……」
ふわりと笑ったシエスタが、優しくルイズを抱き寄せた。
「遅くても、ちゃんとお返事書けて偉いですね」
「こ、子ども扱いしないでよ」
落ち込んでいるルイズを慰めるため、わざと怒るようなこと...
「お家の方からの手紙を読まないのも、お返事しないのも、子...
「う…………意地悪」
落ち込んでいたところに優しくされて、ルイズは更にシエス...
「ほら、封をして……出来るだけ早く着くように、今日中に出し...
「うん……あの……あのね、シエスタ」
封蝋を出しに行こうとするシエスタの袖を、ルイズがつんと...
「あの……ね……ありがとう」
俯きながら、ぼそぼそと。
それでも心のこもったお礼に、シエスタは微笑んで……
もう一度ルイズを抱きしめると、照れたように二人で笑いあ...
481 名前:4/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:25:46 ID:gm...
「母さま」
身体の弱いカトレアが、息を切らせながら母親の部屋に飛び...
「なんですか、騒々しい」
いつも大人しいカトレアの滅多に無い様子を、怪訝に思いな...
「ルイズから手紙が着きました」
「なんですって」
ほんの少し前に騒々しいと怒った口が金切り声を上げた。
「そ、それでっ? ルイズは無事なの?」
「ええ、今は学院で……怪我の一つも無いようですわ」
それだけ聞くと力の抜けた身体をカトレアに預けながら、こ...
「よ、良かった……始祖よ……感謝します……」
その場で泣き始めた。
「戦争が終わっても、色々立て込んでいたようです……お返事が...
ですって」
「いいの……いいのよ……生きていてくれれば……怪我も無くて……良...
カトレアは知っていた。
自分より遥かに母がルイズのことを心配していたのを。
サイトを認め、何が有ってもルイズを守ることを信じていた...
母は始祖に祈るしか心を保つ術を知らなかった。
「手紙は……わたし宛だけなの」
何度か勧めたけれど、母はルイズに手紙を書こうとしなかっ...
「ええ、良いのよ、手紙を書いたのは貴方だけですもの、それ...
「母さまも……出せばよろしかったのに」
母の文箱に、出されることの無かったルイズ宛の手紙の束が...
毎日毎日一通づつそれが増えていることを、使用人から聞い...
どうしてそんな事をするのか、理解できないカトレアはずっ...
「だって……親からの手紙なんて……その……ねぇ……」
ルイズに迷惑だと思われる、そう思っていたらしい。
そう言いながら俯いて、もじもじとテーブルで指先を遊ばせ...
「母さま……可愛い」
「……まぁ、カトレア、お世辞なんて言っても……」
素直に成れない母親は、やはり……
「ルイズと親子ですわね」
「……ほ、誉めているの? それ」
仲のよい親子は、それから時間を忘れてルイズのことを語り...
482 名前:5/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:26:31 ID:gm...
「お、怒られたっ!」
待ちに待った返事を見て、ルイズは苦悩していた。
「どうしました?」
「あのねあのねシエスタ」
カトレアからの返事は優しかったけれど、母に一言も無かっ...
「それで、近いうちに何か手紙に添えてプレゼントでも贈りな...
「……まぁ……順当ですね、心配かけたのですし」
ルイズの許しを得て読んだシエスタには、怒っている文面に...
長年姉妹をしているルイズには、
「こ、これはむちゃくちゃ怒ってる、笑っていると思うけど、...
らしかった。
「では、何か良いプレゼントを考えないといけませんね」
「何がいいかしら?」
母親の世代が喜ぶもの……ルイズもシエスタも、あーでもない...
「どうしたんだ?」
サイトが部屋に帰ってきた。
「母さまに何贈ればいいと思う?」
「……さぁ……?」
投げやりな様子のサイトに、ルイズの眉が跳ね上がった。
「……へー、サイトあんた、わたしの母親にどう思われてもいい...
「……え? いや……その」
「ちょっ、ミス・ヴァリエール、それは飛躍しすぎっ」
騎士隊の訓練で、最近構ってくれないサイトに、ルイズのス...
そこに母親についての相談まで流されたルイズの機嫌は、
「……犬……」
最悪に近かった。
「わ、分かった、俺に出来る限りの協力するから……な?」
目の据わったルイズに、サイトは壁際まで追い詰められた。
「あ、ほらっ、ミス・ヴァリエール、お姉さん、お姉さんに聞...
困ったサイトにシエスタが助け舟を出した。
「……ちいねえさまに?」
「そ、そうだ、あの人だったらいい事思いついてくれるって」
サイトがほっと一息吐く。が、
「……って、良く考えると聞き捨てならないこと言いませんでし...
今度はシエスタの迫力が増していった。
483 名前:6/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:27:04 ID:gm...
また自分宛しかないことを知ったカトレアは、少し困りなが...
「あら……あらあらあら」
可愛い妹の可愛い質問に、カトレアは顔を綻ばせた。
「……んーと、でも……これは……」
直接聞かずに、遠まわしに聞いたほうが……
「母さまを驚かせる事が出来るわね」
案外稚気に富んだカトレアは、ルイズの事を秘密にしたまま...
――――――
「こまったわねー」
困っていた。
上位の貴族の正妻。
ヴァリエール夫人の欲しい物……
「どれも、ルイズに買える物じゃ……ないわねぇ……」
ルイズが贈ろうとしている。
それを知れば、また別の物を望んだのだろうけれど……
「今更聞きなおすのも……」
間が抜けている。
「折角良い事をしようとしているのですもの……何とかして……」
ルイズでも何とか出来て、母が喜ぶもの。
手紙を出す前の妹の悩みを、カトレアは追体験していた。
「……母さま……欲しい物……母さま……う〜〜〜」
悩みぬいたカトレアは、ふ……と、
「あっ、あぁぁぁぁ、そうよっ!」
いつも母が欲しがっていて、
お姉さまにねだっているものを思い出した。
「ルイズならっ……うん、これなら……」
自分の妙案をルイズに伝えるため、カトレアは嬉々として筆...
484 名前:7/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:27:37 ID:gm...
シエスタが部屋に戻ると、ルイズが固まっていた。
「あら、どうしました? ミス・ヴァリエール」
ルイズの手には一枚の便箋。
「あ、お返事来たんですね、何が書いてありました?」
「……う……あの……その……」
歯切れの悪いルイズを、シエスタは不思議そうに見つめなが...
「お姉さんも思いつかなかったのですか?」
「……ううん、いちおー書いてあるわ」
「用意できないものなのですか?」
「……で、出来るもん!」
……何を悩んでいるのかしら?
たシエスタが手紙を覗き込もうとすると、素晴らしい勢いで...
「……何が書いてあるんですか?」
「ひ、秘密」
だらだらと冷や汗を流すルイズを問い詰めようとしていると、
サイトが部屋に戻ってきた。
「サ、サイト」
「あ、サイトさん、ミス・ヴァリエールのお姉さまからお返事...
「お、何か決まった? 俺プレゼントの為に最近バイト始めた...
楽しそうに話すサイトとシエスタを見ながら……
ルイズは机の下で、
『孫』
と書かれた手紙をただひたすら握りしめて……
「ち、ちいねえさまの……ばかぁぁぁぁぁぁぁ」
二人が驚くほどの叫びを上げた。
終了行:
478 名前:1/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:23:46 ID:gm...
深々と溜息をつきながら、シエスタは冷たい目でルイズを見...
「本当にもう……信用できないです」
「そ、そんな事言っても仕方ないじゃない」
シエスタの手に握られているのは、薄い桃色の封筒。
ルイズの机を整理していたシエスタが見つけて、どうすれば...
真っ青になったルイズを問い詰めて、その内容を聞いたシエ...
「だ、だってずっとそれどころじゃ……」
「ずっとって、学院に戻られてからなら直ぐにでも……
絶対に心配されてますよ?」
「う……で、でも……」
シエスタが見つけたのはカトレアからの手紙。
手紙の出される間隔が徐々に短くなっていることで、どれだ...
それが……
「未開封……信じられません」
「だ、だって……その……大体分かるから、かえって読むのが怖く...
「聞くまで忘れてらしたのはどなたです?」
「ご……ごめんなさい」
戦争から帰ってきたルイズがずっと手紙の返事どころではな...
だが……学院に戻ってからも返事をしていないとなると……
「ミス・ヴァリエールのお家の方にとっては、今どういう事態...
「……な、なによぅ……別に大した事は……」
シエスタの視線が更に冷たくなった。
分かってない……ほんとーにこの人は分かってない。
説明するのも馬鹿馬鹿しいけれど……仕方なくシエスタは語り...
「ミス・ヴァリエールのお家の方にとって、
末の妹が戦争に行ったっきり音信不通!!
そうなっているんですよ?
分かってますか?」
手の中に有る未開封の封筒の束を、見せ付けるようにテーブ...
シエスタにはこの手紙の中身が良く分かった。
ジュリアンが自分や家族にあてた手紙が着いた時の事が思い...
サイトの事が有ったので、手放しに喜べなかったけれど、そ...
「……あ……」
やっと事態を理解したらしいルイズが、わたわたと暴れ始め...
「じゃ、じゃあ……ちいねえさま、わたしが死んでると……思って...
「……思われてるかも知れませんねぇ」
……実際には貴族のルイズが死んでいたら連絡が入るため、死...
少し位懲りた方が良い。
そう思ったシエスタがあえて意地悪を言っていた。
479 名前:2/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:24:27 ID:gm...
「どどど、どうしよぉ」
お、お葬式とかしてたら、実家に帰ったわたしを見て、皆ど...
それより何より、誰かが死んだと思う事がどれだけ辛いこと...
身をもって知っているルイズは泣きそうだった。
「だ、誰か飛び降りてたらどうしよう?」
ちいねえさま辺りは、飛び降りなくても衰弱してそうだし。
「とりあえず読まないと」
ルイズの手に消印の日付順に並べられた封筒の束と、ペーパ...
「ま、まって……一緒に居て」
「……いいですけど……」
自分が何を放置してきたのか理解したルイズが、怖気づきシ...
「居るだけですよ?」
「うん、お願い」
小さく溜息をつくと、シエスタは少し離れてルイズの観察を...
案外面白い。
「ち、ちいねえさまったら……そ、そんなのじゃ……」
「……あ……ごめんなさい」
ヴァリエールの領地を出た辺りは、サイトとの事をからかわ...
日付が進み、戦争の最中の頃の手紙に成ると、今更どうしよ...
「どどど、どうしよぉ……」
「放っておいたのはミス・ヴァリエールでしょう?
きちんと最後まで読んで、早くお返事なさるしかないです」
実際他に出来ることもない。
手紙の向こうでは、それどころか今この瞬間でさえも、ルイ...
手紙を読んでいるルイズの目が、そわそわと落ち着かず一刻...
「きちんと全部読んでからです」
「で、でもシエスタぁ……」
「でもじゃありません!!
お家の方はもっと心配なさったのですよ?」
シエスタに容赦は無かった。
ルイズがサイトに会えて浮かれていた頃の手紙等は、その頃...
戦争が終わって一月、何の便りも無いルイズをひたすらに心...
「ごめんなさい、ちいねえさま。ごめんなさい」
ようやく全て読み終わった頃には、すっかり落ち込んだルイ...
「反省しましたか?」
「ん……」
480 名前:3/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:24:59 ID:gm...
それだけ答えると、ルイズは無言で机に向かい、一心に手紙...
伝える事はたくさん有った。
伝えられない事もたくさん。
今読んだ手紙ほど、想いが伝えられるとは思えないけれど。
それでもルイズは一生懸命に書いた。
遅くまでかかって、ようやく書き上げた近況は、数枚の便箋...
「お、怒られるかな?」
「それくらいは当然です」
書き上げた手紙を封筒に入れながらシエスタに意見を求める...
シエスタが注意してくれなかったら、さらに返事が遅くなっ...
「でも……」
ふわりと笑ったシエスタが、優しくルイズを抱き寄せた。
「遅くても、ちゃんとお返事書けて偉いですね」
「こ、子ども扱いしないでよ」
落ち込んでいるルイズを慰めるため、わざと怒るようなこと...
「お家の方からの手紙を読まないのも、お返事しないのも、子...
「う…………意地悪」
落ち込んでいたところに優しくされて、ルイズは更にシエス...
「ほら、封をして……出来るだけ早く着くように、今日中に出し...
「うん……あの……あのね、シエスタ」
封蝋を出しに行こうとするシエスタの袖を、ルイズがつんと...
「あの……ね……ありがとう」
俯きながら、ぼそぼそと。
それでも心のこもったお礼に、シエスタは微笑んで……
もう一度ルイズを抱きしめると、照れたように二人で笑いあ...
481 名前:4/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:25:46 ID:gm...
「母さま」
身体の弱いカトレアが、息を切らせながら母親の部屋に飛び...
「なんですか、騒々しい」
いつも大人しいカトレアの滅多に無い様子を、怪訝に思いな...
「ルイズから手紙が着きました」
「なんですって」
ほんの少し前に騒々しいと怒った口が金切り声を上げた。
「そ、それでっ? ルイズは無事なの?」
「ええ、今は学院で……怪我の一つも無いようですわ」
それだけ聞くと力の抜けた身体をカトレアに預けながら、こ...
「よ、良かった……始祖よ……感謝します……」
その場で泣き始めた。
「戦争が終わっても、色々立て込んでいたようです……お返事が...
ですって」
「いいの……いいのよ……生きていてくれれば……怪我も無くて……良...
カトレアは知っていた。
自分より遥かに母がルイズのことを心配していたのを。
サイトを認め、何が有ってもルイズを守ることを信じていた...
母は始祖に祈るしか心を保つ術を知らなかった。
「手紙は……わたし宛だけなの」
何度か勧めたけれど、母はルイズに手紙を書こうとしなかっ...
「ええ、良いのよ、手紙を書いたのは貴方だけですもの、それ...
「母さまも……出せばよろしかったのに」
母の文箱に、出されることの無かったルイズ宛の手紙の束が...
毎日毎日一通づつそれが増えていることを、使用人から聞い...
どうしてそんな事をするのか、理解できないカトレアはずっ...
「だって……親からの手紙なんて……その……ねぇ……」
ルイズに迷惑だと思われる、そう思っていたらしい。
そう言いながら俯いて、もじもじとテーブルで指先を遊ばせ...
「母さま……可愛い」
「……まぁ、カトレア、お世辞なんて言っても……」
素直に成れない母親は、やはり……
「ルイズと親子ですわね」
「……ほ、誉めているの? それ」
仲のよい親子は、それから時間を忘れてルイズのことを語り...
482 名前:5/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:26:31 ID:gm...
「お、怒られたっ!」
待ちに待った返事を見て、ルイズは苦悩していた。
「どうしました?」
「あのねあのねシエスタ」
カトレアからの返事は優しかったけれど、母に一言も無かっ...
「それで、近いうちに何か手紙に添えてプレゼントでも贈りな...
「……まぁ……順当ですね、心配かけたのですし」
ルイズの許しを得て読んだシエスタには、怒っている文面に...
長年姉妹をしているルイズには、
「こ、これはむちゃくちゃ怒ってる、笑っていると思うけど、...
らしかった。
「では、何か良いプレゼントを考えないといけませんね」
「何がいいかしら?」
母親の世代が喜ぶもの……ルイズもシエスタも、あーでもない...
「どうしたんだ?」
サイトが部屋に帰ってきた。
「母さまに何贈ればいいと思う?」
「……さぁ……?」
投げやりな様子のサイトに、ルイズの眉が跳ね上がった。
「……へー、サイトあんた、わたしの母親にどう思われてもいい...
「……え? いや……その」
「ちょっ、ミス・ヴァリエール、それは飛躍しすぎっ」
騎士隊の訓練で、最近構ってくれないサイトに、ルイズのス...
そこに母親についての相談まで流されたルイズの機嫌は、
「……犬……」
最悪に近かった。
「わ、分かった、俺に出来る限りの協力するから……な?」
目の据わったルイズに、サイトは壁際まで追い詰められた。
「あ、ほらっ、ミス・ヴァリエール、お姉さん、お姉さんに聞...
困ったサイトにシエスタが助け舟を出した。
「……ちいねえさまに?」
「そ、そうだ、あの人だったらいい事思いついてくれるって」
サイトがほっと一息吐く。が、
「……って、良く考えると聞き捨てならないこと言いませんでし...
今度はシエスタの迫力が増していった。
483 名前:6/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:27:04 ID:gm...
また自分宛しかないことを知ったカトレアは、少し困りなが...
「あら……あらあらあら」
可愛い妹の可愛い質問に、カトレアは顔を綻ばせた。
「……んーと、でも……これは……」
直接聞かずに、遠まわしに聞いたほうが……
「母さまを驚かせる事が出来るわね」
案外稚気に富んだカトレアは、ルイズの事を秘密にしたまま...
――――――
「こまったわねー」
困っていた。
上位の貴族の正妻。
ヴァリエール夫人の欲しい物……
「どれも、ルイズに買える物じゃ……ないわねぇ……」
ルイズが贈ろうとしている。
それを知れば、また別の物を望んだのだろうけれど……
「今更聞きなおすのも……」
間が抜けている。
「折角良い事をしようとしているのですもの……何とかして……」
ルイズでも何とか出来て、母が喜ぶもの。
手紙を出す前の妹の悩みを、カトレアは追体験していた。
「……母さま……欲しい物……母さま……う〜〜〜」
悩みぬいたカトレアは、ふ……と、
「あっ、あぁぁぁぁ、そうよっ!」
いつも母が欲しがっていて、
お姉さまにねだっているものを思い出した。
「ルイズならっ……うん、これなら……」
自分の妙案をルイズに伝えるため、カトレアは嬉々として筆...
484 名前:7/7[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 00:27:37 ID:gm...
シエスタが部屋に戻ると、ルイズが固まっていた。
「あら、どうしました? ミス・ヴァリエール」
ルイズの手には一枚の便箋。
「あ、お返事来たんですね、何が書いてありました?」
「……う……あの……その……」
歯切れの悪いルイズを、シエスタは不思議そうに見つめなが...
「お姉さんも思いつかなかったのですか?」
「……ううん、いちおー書いてあるわ」
「用意できないものなのですか?」
「……で、出来るもん!」
……何を悩んでいるのかしら?
たシエスタが手紙を覗き込もうとすると、素晴らしい勢いで...
「……何が書いてあるんですか?」
「ひ、秘密」
だらだらと冷や汗を流すルイズを問い詰めようとしていると、
サイトが部屋に戻ってきた。
「サ、サイト」
「あ、サイトさん、ミス・ヴァリエールのお姉さまからお返事...
「お、何か決まった? 俺プレゼントの為に最近バイト始めた...
楽しそうに話すサイトとシエスタを見ながら……
ルイズは机の下で、
『孫』
と書かれた手紙をただひたすら握りしめて……
「ち、ちいねえさまの……ばかぁぁぁぁぁぁぁ」
二人が驚くほどの叫びを上げた。
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