ゼロの使い魔保管庫
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853 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/02(木) 00:45:1...
中庭の方から声が聞こえる。
あの人の声が。
窓から中庭を見下ろすと、あの人が主人から逃げているのが見...
きっと、また何か彼女の気に障ることをして追いかけられてい...
いつもの光景。
しばらく見ていると、彼は主人に捕まって叩かれて踏み潰され...
やっぱり乳か!乳がいいのか!という彼の主人のよく響く甲高...
…また、あのメイドと何かやらかしたみたい。それともトリステ...
私は中庭で伸されたパン生地みたいになっているサイトを見な...
…とーぜんの報い。
そこまで考えて、私ははっとなる。
…守るって、言ったのに。
かつて、私は誓った。命を賭けて私を守ってくれた彼に、命を...
なのに。
今の私は…嫉妬に駆られて、彼の不幸を望んでいる。
それは。
私が彼を、知ってしまったから。
彼の優しさを、温もりを、彼の味を。
でもそれは言い訳。
私の中のもう一人の私が冷酷にそう言い放つ。
彼の優しさに甘えているだけ。
そう…なのかもしれない…。
所詮、私が捧げたのは身体だけ。それも・・・今では、彼のため、...
自分の満足のためだけに、彼の傍にいて、彼に抱かれて。
私は本当に、彼の為に全てを捧げているのだろうか…?
もし、彼にそう尋ねたら、きっと。
彼は。きっと肯定するだろう。サイトは、誰よりも優しいから。
彼は優しすぎるのだ。
だから私は、その優しさについ甘えてしまう。彼の優しさは、...
私はもう一度、窓の外を見る。
あれだけさんざんルイズに痛めつけられても、彼はまた、彼女...
使い魔だから?多分違う。
彼はルイズに、主人に対する以上の感情を抱いている。
私はそれを知っていて、彼に抱かれる。
その時だけは、彼は私だけのものだから。
醜い独占欲。彼は私のモノなんかじゃない。彼の選ぶ選択肢に...
私は彼のモノで、彼のためだけにあるべき者だから。
…でも。
この心のモヤモヤは、なくならない。
どれだけ論理的に考えても。どれだけ心を静めても。
カレハワタシノモノ。
そう叫ぶ心の魔物は、けしていなくならない。もう、理性じゃ...
私は彼が好きだから。世界で一番大事な人だから。
他の何もいらない。彼だけいれば、それでいい。
ぐるぐる回る想いが、私の思考をぐちゃぐちゃにする。
そんな時、不意に。
「おねえさまー!おなかすいたのねー!」
ドアを開けて、人間の格好をしたシルフィードが部屋に入って...
…全く、この脳天気な使い魔は、人の悩みも知らないで…。
「だれがのーてんきなのね!日がな一日サイトのことばっか考...
…どーしてこんなのが使い魔なんだろう…。
使い魔。そう、使い魔だ。
私は、ある事を思いついた。
それは、彼に全てを捧げる方法。肉体だけでなく、心も、全て。
私はシルフィードに私の分のお昼を食べていいから、と告げ、...
880 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:42:0...
死、死ぬかと思ったぜ…。
俺はルイズに殴られ、踏み潰され、半死半生だった。
いやまあ、シエスタといちゃいちゃしてた俺も悪いんだけどさ。
…正直俺よく身体もってるよな実際。
俺は身体を休める事も兼ねて、中庭の芝生に大の字になって寝...
あー、今日はこのまま寝てようかなあ。
と、俺がのびをしていると。
不意に、視界が陰った。
「…サイト」
そこには、俺の顔を覗き込んでいるシャルロットがいた。
…ん?なんか思いつめたみたいな顔してんな。
いや、影になっているせいでそう見えるだけなんだろう。きっ...
「何か用?」
俺は起き上がりながらシャルロットにそう尋ねた。
シャルロットは、いきなり俺の手をきゅっと握って、
「来て」
それだけ言った。
…また何か企んでんのか?このチビっこ。
用件を話そうとしないシャルロットに、俺はもう一度聞いた。
「いきなり来てってだけ言われてもなあ。用件をちゃんと言っ...
そう言うと、シャルロットは俯いてしまう。
…なんか俺まずい事言ったか?
しかし、そう思ったのもつかの間。
シャルロットは顔を上げた。
その目には、はっきりと見て分かるほど、力がこもっていた。
「私を、サイトの物にして欲しい」
…へ?
…あのーう?またソレっすか?
ていうことはアレっすか、ベッドの上の格闘戦の相手をしろと?
「…違う、そういう意味じゃない」
俺の表情から考えを読んだのか、シャルロットは首を振る。
そして、説明は無駄だと言わんばかりに俺の手を引く。
「あ、あのさ、そう言う意味じゃないんだったらどういう意味...
俺はひっぱられながらそう質問するけど。
「部屋に着いたら説明する」
シャルロットはそれだけ言って。
結局、シャルロットの部屋の中に入るまで、説明はお預けだっ...
881 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:43:1...
タバサは部屋に着くと、とりあえず才人を椅子に座らせた。
そして、約束どおり、彼に説明を始める。
「あなたがこの世界に来たときの事、覚えてる?」
タバサの言葉に、才人は頷く。
今でも鮮明に覚えている。
抜けるような青空を背に、自分を覗き込むルイズの不審げな顔。
自分を見て笑う、ルイズのクラスメート達。
そして、いきなりのキス。
忘れようにも、忘れられようはずもない。
あれから、才人のハルケギニアでの第二の人生が始まったのだ。
「あの儀式を、もう一度やる」
へ?と才人は疑問を露にする。
つまり、どういうことだ?
才人の思考は、一つの結論をはじき出す。
「まさか、俺をシャルロットの使い魔にしようっての?」
才人を独り占めするために、タバサが使い魔の儀式をやり直そ...
タバサはその才人の台詞を、首を振って否定する。
「違う。その逆」
「はい?」
「私を、サイトの使い魔にして」
真剣な瞳で、タバサは才人を見つめる。
そして、まだ信じられないといった顔をしている才人に、説明...
「メイジでないあなたが、コントラクト・サーヴァントの儀式...
でも、これは私の気持ちの問題。
あなたに全て捧げると誓った、証が欲しい。カタチだけでも...
そして、じっと才人を見つめる。
なるほど、そういうことか。
才人は取りあえず納得する。
シャルロットがそれで満足するなら、付き合ってやるか。
「わかったよシャルロット。
んじゃ、俺はどうすればいいんだ?」
才人の言葉に、タバサの頬が自然に緩む。
こんなふうに、普通に笑えるようになったのも…この人のお陰。
タバサはそんなことを考えながら、応える。
「今から言う呪文を覚えて。
大丈夫、コモン・マジックだから、ルーンは使わない」
そしてタバサは、才人がいつか聞いた、聞き覚えのある呪文を...
882 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:44:1...
「手順は…覚えてる…?」
「もちろん」
少し照れたようにそう言ったタバサに、才人は頷く。
才人の肯定を受け、タバサは才人の前に跪き、頭を垂れた。
それは、いつか才人が受けた、騎士の叙勲の動作に似ていた。
「…始めて」
俯いたまま、タバサはそう言った。
才人は跪くタバサの前に立つと、朗々と呪を唱えた。
「我が名は平賀才人。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝...
その呪文を聞いたタバサが、顔を上げる。
才人はタバサと同じように跪き、そして、タバサの細い顎に手...
タバサの身体がぴくん、と小さく震えた。
才人の唇が、タバサに近寄る。
吐息が絡み合い、それぞれの視界がお互いの顔で一杯になる。
そして唇は重なった。
その瞬間、才人は己の身体の中に何か熱い物が点るのを感じた。
それは、体中を駆け巡り、才人の身体を火照らせる。
…なんだ、これ…?
例えていうなら、酒に酔った時に近い感覚だったが、酒に酔っ...
しばらくそうして唇を重ねたあと、二人はどちらからともなく...
「えっと…これで終わり、なんだよな」
才人の言葉に、タバサは頬を染めたまま、嬉しそうに頷く。
やっぱり、何も起きない。
でも、これで。
これで、私は、彼の物。カタチだけとはいえ・・・。
タバサの思考がそこまで考えた瞬間。
ずきん!
「うあっ!うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!」
体中に走った痛みに、タバサは思わず床に倒れこみ、叫び声を...
「!大丈夫かシャルロット!」
突然苦しみだしたタバサを、才人は慌てて抱きかかえ、介抱す...
しかし、タバサの身体の痛みは治まらない。
…ひょっとして、ルーンが刻まれてんのか!
才人の脳裏を、あの時の痛みがかすめる。
才人は思わず、タバサを抱き締める。
「大丈夫だシャルロット、すぐ、すぐ終わるからな…!」
タバサは痛みのあまり才人にきつくきつく抱きつく。
才人の服の上から、爪をきつく立てるほど。
「く、うぁ、あぁぁ…!」
びくびくとタバサの身体が痛みに震える。
初めての時の痛みより、ずっと激しい痛みだった。
例えるなら、体の内側から、肉を突き破られるような痛み。
そしてその痛みは、才人の言うとおり、すぐに納まった。
才人は、腕の中のタバサの震えが納まった事で、タバサの痛み...
883 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:45:5...
「大丈夫か?シャルロット」
才人は己の肩にもたれかかるタバサに、そう語りかける。
タバサは一度深く息を吸うと、無事を才人に伝えるため、身体...
「平気」
それだけ言って、軽く微笑む。
才人はその笑顔を見て安心するが。
「…成功、しちゃったみたいだな。コントラクト・サーヴァント...
言って頬をぽりぽりと掻く。
タバサも、まさかメイジでない才人が儀式を行っても、儀式が...
そして、儀式が成功したという事は、タバサのどこかに使い魔...
「…あ」
才人は、それをすぐに見つけた。
手を伸ばし、タバサの柔らかい前髪を、すき上げる。
それは、タバサの右の眉の少し上にあった。
何重も折り重なった六角形の中心から、放射状に伸びる直線、...
青みがかった銀色で構成されたその図形は、まさに。
雪の結晶、そのものだった。
「こんなところに…」
髪を下ろしていれば目立たない位置だったが、仮にも女の子の...
才人は、ちょっとした罪悪感とともに、その印をなぞった。
タバサは、才人のなぞったそこを才人に習い、指でなぞる。印...
そしてその後のタバサの反応は、才人の予想していた物と違っ...
「…嬉しい」
泣きそうなほど潤んだ瞳でそう微笑んで、タバサはもう一度才...
今度は優しく、最大級の愛を込めて。
「これで、私はあなたのモノ。身体も、心も」
言って、才人の肩に頭を預ける。
いやあ、んなこと言われると・・・。
「…サイト」
タバサが呆れたような声を出す。
「あはは…ゴメン」
呆れたタバサが身体を離したそこでは。
才人のズボンの股間の布が、テントを張っていた。
「もう」
最初は呆れていたタバサだったが。
「しょうがないひと」
言って、そのまま才人のズボンのジッパーを降ろしたのだった。
884 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:46:4...
シャルロットは小さな舌で、まるで棒つきのキャンディーを舐...
いつもならそのままぱっくり咥えるところなんだけど。
今日は、俺の息子を取り出してから、ずっと舌でぺろぺろして...
いやまあ、キモチいいんだけど。
このいけそでいけないギリギリのカンジ、なんとかなりません...
「あ、あのシャルロット?」
俺は何度目かの呼びかけをシャルロットにする。
しかし、何度目か忘れたその呼びかけは結局ガン無視されるわ...
くう。どうしたもんか。いい加減咥えてくれとか言った方がい...
とか思ってると。
「…ごめんなさい」
口を離して、シャルロットは謝った。
え?何?なんで謝るの?
「サイト、咥えるほうが好きなんだ」
いきなり図星を突かれた。
待て、俺は何にも言ってないぞ?
「…考えてる事、伝わってくる」
え。まさか。
そう思った俺の思考に、またシャルロットは応えた。
「…私がサイトの使い魔になったから…」
考えてる事を、言葉じゃなくても伝えられる?
「そう…だから」
言って、シャルロットは嬉しそうに微笑んで、俺のモノを咥え...
伝えたいと思ったことは、言葉にしなくても伝わるの。
シャルロットの声が直接心に響いた。シャルロットの口は俺の...
そうか、さっきのは俺が『言おうとしてたこと』だから、シャ...
なんかヘンなカンジだな。使い魔ってのは。
…ルイズとこういうのは、したことないの?
そういやないんだよな。アイツの目を通して物を見たりとかは...
…そうなんだ。
今の声には、なんとなく優越感みたいなものが感じられた。
まあルイズと比べるのもなんだけど、コイツも結構負けず嫌い...
とか考えてると。
ヤバ、限界くせえ!
どくどくどくっ!
シャルロットの口の中で俺の一物が弾け、シャルロットの小さ...
ちょっと勢いがよすぎたのか、シャルロットは軽く咽こむ。
885 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:47:2...
…出すなら言ってよ…。
咽こみながら、今度は心の声で文句を言ってくるシャルロット。
しょーがないだろ、シャルロットの口が気持ちよすぎるのがイ...
…………………ばか。
うを、なんだ今の!なんかすっごいきゅんきゅんしたカンジの...
ひょ、ひょっとしてあれか!嬉し恥ずか死にそうってカンジの...
言葉じゃ伝わらないようなこういうビミョーな感情も伝えられ...
よしじゃあ俺もありったけの感情を込めて見る事にする。
…………………………………………っと。
伝え終わると。
シャルロットの顔が、ぽん!と音を立てそうな勢いで真っ赤に...
…………も、もう、ホントに種馬なんだから……。
種馬ってのは酷いなシャルロット。
……そうでしょ。いきなり、あんな……。
シャルロットが可愛いのがいけないんだぞー?
……………………………………………ばかぁ…………………………。
うわぁ!なんかまたキタ!すっごいぎゅんぎゅんキタ!
ひょっとして、女の子の『したい』ってこーいう感じなのか!...
くぁー。なんかもうたまんないや。
俺は自分の理性の限界を感じ、シャルロットをそのまま床の上...
じゃあ、いくよ、シャルロット?
………うん。
キスと一緒に届いたその言葉には、とても暖かい気持ちが載っ...
目を醒ますと。
私はベッドの上で、シーツに包まったハダカの彼の腕に抱かれ...
私のほうは、ニーソックスだけ履いただけの格好。
…サイトがこういうのがいい、って言うから。
ううん。言ったんじゃないけど。
ちょっとアレかな、とは思うけど。彼の望む事だから。
そう、私はこの先、彼の望むことには全て従う。
私は彼の使い魔だから。
私はそっと右の額に手を伸ばす。
そこには確かに、使い魔の印が刻まれている。
この印こそが、私が彼の物である印。
私と彼を結ぶ、幸せの鎖。
私は彼を起こさないように、言葉だけでなく心も伝えないよう...
そして心の中だけで、こう囁いた。
ずっと一緒だよ、ご主人様…。 〜fin
終了行:
853 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/02(木) 00:45:1...
中庭の方から声が聞こえる。
あの人の声が。
窓から中庭を見下ろすと、あの人が主人から逃げているのが見...
きっと、また何か彼女の気に障ることをして追いかけられてい...
いつもの光景。
しばらく見ていると、彼は主人に捕まって叩かれて踏み潰され...
やっぱり乳か!乳がいいのか!という彼の主人のよく響く甲高...
…また、あのメイドと何かやらかしたみたい。それともトリステ...
私は中庭で伸されたパン生地みたいになっているサイトを見な...
…とーぜんの報い。
そこまで考えて、私ははっとなる。
…守るって、言ったのに。
かつて、私は誓った。命を賭けて私を守ってくれた彼に、命を...
なのに。
今の私は…嫉妬に駆られて、彼の不幸を望んでいる。
それは。
私が彼を、知ってしまったから。
彼の優しさを、温もりを、彼の味を。
でもそれは言い訳。
私の中のもう一人の私が冷酷にそう言い放つ。
彼の優しさに甘えているだけ。
そう…なのかもしれない…。
所詮、私が捧げたのは身体だけ。それも・・・今では、彼のため、...
自分の満足のためだけに、彼の傍にいて、彼に抱かれて。
私は本当に、彼の為に全てを捧げているのだろうか…?
もし、彼にそう尋ねたら、きっと。
彼は。きっと肯定するだろう。サイトは、誰よりも優しいから。
彼は優しすぎるのだ。
だから私は、その優しさについ甘えてしまう。彼の優しさは、...
私はもう一度、窓の外を見る。
あれだけさんざんルイズに痛めつけられても、彼はまた、彼女...
使い魔だから?多分違う。
彼はルイズに、主人に対する以上の感情を抱いている。
私はそれを知っていて、彼に抱かれる。
その時だけは、彼は私だけのものだから。
醜い独占欲。彼は私のモノなんかじゃない。彼の選ぶ選択肢に...
私は彼のモノで、彼のためだけにあるべき者だから。
…でも。
この心のモヤモヤは、なくならない。
どれだけ論理的に考えても。どれだけ心を静めても。
カレハワタシノモノ。
そう叫ぶ心の魔物は、けしていなくならない。もう、理性じゃ...
私は彼が好きだから。世界で一番大事な人だから。
他の何もいらない。彼だけいれば、それでいい。
ぐるぐる回る想いが、私の思考をぐちゃぐちゃにする。
そんな時、不意に。
「おねえさまー!おなかすいたのねー!」
ドアを開けて、人間の格好をしたシルフィードが部屋に入って...
…全く、この脳天気な使い魔は、人の悩みも知らないで…。
「だれがのーてんきなのね!日がな一日サイトのことばっか考...
…どーしてこんなのが使い魔なんだろう…。
使い魔。そう、使い魔だ。
私は、ある事を思いついた。
それは、彼に全てを捧げる方法。肉体だけでなく、心も、全て。
私はシルフィードに私の分のお昼を食べていいから、と告げ、...
880 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:42:0...
死、死ぬかと思ったぜ…。
俺はルイズに殴られ、踏み潰され、半死半生だった。
いやまあ、シエスタといちゃいちゃしてた俺も悪いんだけどさ。
…正直俺よく身体もってるよな実際。
俺は身体を休める事も兼ねて、中庭の芝生に大の字になって寝...
あー、今日はこのまま寝てようかなあ。
と、俺がのびをしていると。
不意に、視界が陰った。
「…サイト」
そこには、俺の顔を覗き込んでいるシャルロットがいた。
…ん?なんか思いつめたみたいな顔してんな。
いや、影になっているせいでそう見えるだけなんだろう。きっ...
「何か用?」
俺は起き上がりながらシャルロットにそう尋ねた。
シャルロットは、いきなり俺の手をきゅっと握って、
「来て」
それだけ言った。
…また何か企んでんのか?このチビっこ。
用件を話そうとしないシャルロットに、俺はもう一度聞いた。
「いきなり来てってだけ言われてもなあ。用件をちゃんと言っ...
そう言うと、シャルロットは俯いてしまう。
…なんか俺まずい事言ったか?
しかし、そう思ったのもつかの間。
シャルロットは顔を上げた。
その目には、はっきりと見て分かるほど、力がこもっていた。
「私を、サイトの物にして欲しい」
…へ?
…あのーう?またソレっすか?
ていうことはアレっすか、ベッドの上の格闘戦の相手をしろと?
「…違う、そういう意味じゃない」
俺の表情から考えを読んだのか、シャルロットは首を振る。
そして、説明は無駄だと言わんばかりに俺の手を引く。
「あ、あのさ、そう言う意味じゃないんだったらどういう意味...
俺はひっぱられながらそう質問するけど。
「部屋に着いたら説明する」
シャルロットはそれだけ言って。
結局、シャルロットの部屋の中に入るまで、説明はお預けだっ...
881 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:43:1...
タバサは部屋に着くと、とりあえず才人を椅子に座らせた。
そして、約束どおり、彼に説明を始める。
「あなたがこの世界に来たときの事、覚えてる?」
タバサの言葉に、才人は頷く。
今でも鮮明に覚えている。
抜けるような青空を背に、自分を覗き込むルイズの不審げな顔。
自分を見て笑う、ルイズのクラスメート達。
そして、いきなりのキス。
忘れようにも、忘れられようはずもない。
あれから、才人のハルケギニアでの第二の人生が始まったのだ。
「あの儀式を、もう一度やる」
へ?と才人は疑問を露にする。
つまり、どういうことだ?
才人の思考は、一つの結論をはじき出す。
「まさか、俺をシャルロットの使い魔にしようっての?」
才人を独り占めするために、タバサが使い魔の儀式をやり直そ...
タバサはその才人の台詞を、首を振って否定する。
「違う。その逆」
「はい?」
「私を、サイトの使い魔にして」
真剣な瞳で、タバサは才人を見つめる。
そして、まだ信じられないといった顔をしている才人に、説明...
「メイジでないあなたが、コントラクト・サーヴァントの儀式...
でも、これは私の気持ちの問題。
あなたに全て捧げると誓った、証が欲しい。カタチだけでも...
そして、じっと才人を見つめる。
なるほど、そういうことか。
才人は取りあえず納得する。
シャルロットがそれで満足するなら、付き合ってやるか。
「わかったよシャルロット。
んじゃ、俺はどうすればいいんだ?」
才人の言葉に、タバサの頬が自然に緩む。
こんなふうに、普通に笑えるようになったのも…この人のお陰。
タバサはそんなことを考えながら、応える。
「今から言う呪文を覚えて。
大丈夫、コモン・マジックだから、ルーンは使わない」
そしてタバサは、才人がいつか聞いた、聞き覚えのある呪文を...
882 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:44:1...
「手順は…覚えてる…?」
「もちろん」
少し照れたようにそう言ったタバサに、才人は頷く。
才人の肯定を受け、タバサは才人の前に跪き、頭を垂れた。
それは、いつか才人が受けた、騎士の叙勲の動作に似ていた。
「…始めて」
俯いたまま、タバサはそう言った。
才人は跪くタバサの前に立つと、朗々と呪を唱えた。
「我が名は平賀才人。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝...
その呪文を聞いたタバサが、顔を上げる。
才人はタバサと同じように跪き、そして、タバサの細い顎に手...
タバサの身体がぴくん、と小さく震えた。
才人の唇が、タバサに近寄る。
吐息が絡み合い、それぞれの視界がお互いの顔で一杯になる。
そして唇は重なった。
その瞬間、才人は己の身体の中に何か熱い物が点るのを感じた。
それは、体中を駆け巡り、才人の身体を火照らせる。
…なんだ、これ…?
例えていうなら、酒に酔った時に近い感覚だったが、酒に酔っ...
しばらくそうして唇を重ねたあと、二人はどちらからともなく...
「えっと…これで終わり、なんだよな」
才人の言葉に、タバサは頬を染めたまま、嬉しそうに頷く。
やっぱり、何も起きない。
でも、これで。
これで、私は、彼の物。カタチだけとはいえ・・・。
タバサの思考がそこまで考えた瞬間。
ずきん!
「うあっ!うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!」
体中に走った痛みに、タバサは思わず床に倒れこみ、叫び声を...
「!大丈夫かシャルロット!」
突然苦しみだしたタバサを、才人は慌てて抱きかかえ、介抱す...
しかし、タバサの身体の痛みは治まらない。
…ひょっとして、ルーンが刻まれてんのか!
才人の脳裏を、あの時の痛みがかすめる。
才人は思わず、タバサを抱き締める。
「大丈夫だシャルロット、すぐ、すぐ終わるからな…!」
タバサは痛みのあまり才人にきつくきつく抱きつく。
才人の服の上から、爪をきつく立てるほど。
「く、うぁ、あぁぁ…!」
びくびくとタバサの身体が痛みに震える。
初めての時の痛みより、ずっと激しい痛みだった。
例えるなら、体の内側から、肉を突き破られるような痛み。
そしてその痛みは、才人の言うとおり、すぐに納まった。
才人は、腕の中のタバサの震えが納まった事で、タバサの痛み...
883 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:45:5...
「大丈夫か?シャルロット」
才人は己の肩にもたれかかるタバサに、そう語りかける。
タバサは一度深く息を吸うと、無事を才人に伝えるため、身体...
「平気」
それだけ言って、軽く微笑む。
才人はその笑顔を見て安心するが。
「…成功、しちゃったみたいだな。コントラクト・サーヴァント...
言って頬をぽりぽりと掻く。
タバサも、まさかメイジでない才人が儀式を行っても、儀式が...
そして、儀式が成功したという事は、タバサのどこかに使い魔...
「…あ」
才人は、それをすぐに見つけた。
手を伸ばし、タバサの柔らかい前髪を、すき上げる。
それは、タバサの右の眉の少し上にあった。
何重も折り重なった六角形の中心から、放射状に伸びる直線、...
青みがかった銀色で構成されたその図形は、まさに。
雪の結晶、そのものだった。
「こんなところに…」
髪を下ろしていれば目立たない位置だったが、仮にも女の子の...
才人は、ちょっとした罪悪感とともに、その印をなぞった。
タバサは、才人のなぞったそこを才人に習い、指でなぞる。印...
そしてその後のタバサの反応は、才人の予想していた物と違っ...
「…嬉しい」
泣きそうなほど潤んだ瞳でそう微笑んで、タバサはもう一度才...
今度は優しく、最大級の愛を込めて。
「これで、私はあなたのモノ。身体も、心も」
言って、才人の肩に頭を預ける。
いやあ、んなこと言われると・・・。
「…サイト」
タバサが呆れたような声を出す。
「あはは…ゴメン」
呆れたタバサが身体を離したそこでは。
才人のズボンの股間の布が、テントを張っていた。
「もう」
最初は呆れていたタバサだったが。
「しょうがないひと」
言って、そのまま才人のズボンのジッパーを降ろしたのだった。
884 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:46:4...
シャルロットは小さな舌で、まるで棒つきのキャンディーを舐...
いつもならそのままぱっくり咥えるところなんだけど。
今日は、俺の息子を取り出してから、ずっと舌でぺろぺろして...
いやまあ、キモチいいんだけど。
このいけそでいけないギリギリのカンジ、なんとかなりません...
「あ、あのシャルロット?」
俺は何度目かの呼びかけをシャルロットにする。
しかし、何度目か忘れたその呼びかけは結局ガン無視されるわ...
くう。どうしたもんか。いい加減咥えてくれとか言った方がい...
とか思ってると。
「…ごめんなさい」
口を離して、シャルロットは謝った。
え?何?なんで謝るの?
「サイト、咥えるほうが好きなんだ」
いきなり図星を突かれた。
待て、俺は何にも言ってないぞ?
「…考えてる事、伝わってくる」
え。まさか。
そう思った俺の思考に、またシャルロットは応えた。
「…私がサイトの使い魔になったから…」
考えてる事を、言葉じゃなくても伝えられる?
「そう…だから」
言って、シャルロットは嬉しそうに微笑んで、俺のモノを咥え...
伝えたいと思ったことは、言葉にしなくても伝わるの。
シャルロットの声が直接心に響いた。シャルロットの口は俺の...
そうか、さっきのは俺が『言おうとしてたこと』だから、シャ...
なんかヘンなカンジだな。使い魔ってのは。
…ルイズとこういうのは、したことないの?
そういやないんだよな。アイツの目を通して物を見たりとかは...
…そうなんだ。
今の声には、なんとなく優越感みたいなものが感じられた。
まあルイズと比べるのもなんだけど、コイツも結構負けず嫌い...
とか考えてると。
ヤバ、限界くせえ!
どくどくどくっ!
シャルロットの口の中で俺の一物が弾け、シャルロットの小さ...
ちょっと勢いがよすぎたのか、シャルロットは軽く咽こむ。
885 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:47:2...
…出すなら言ってよ…。
咽こみながら、今度は心の声で文句を言ってくるシャルロット。
しょーがないだろ、シャルロットの口が気持ちよすぎるのがイ...
…………………ばか。
うを、なんだ今の!なんかすっごいきゅんきゅんしたカンジの...
ひょ、ひょっとしてあれか!嬉し恥ずか死にそうってカンジの...
言葉じゃ伝わらないようなこういうビミョーな感情も伝えられ...
よしじゃあ俺もありったけの感情を込めて見る事にする。
…………………………………………っと。
伝え終わると。
シャルロットの顔が、ぽん!と音を立てそうな勢いで真っ赤に...
…………も、もう、ホントに種馬なんだから……。
種馬ってのは酷いなシャルロット。
……そうでしょ。いきなり、あんな……。
シャルロットが可愛いのがいけないんだぞー?
……………………………………………ばかぁ…………………………。
うわぁ!なんかまたキタ!すっごいぎゅんぎゅんキタ!
ひょっとして、女の子の『したい』ってこーいう感じなのか!...
くぁー。なんかもうたまんないや。
俺は自分の理性の限界を感じ、シャルロットをそのまま床の上...
じゃあ、いくよ、シャルロット?
………うん。
キスと一緒に届いたその言葉には、とても暖かい気持ちが載っ...
目を醒ますと。
私はベッドの上で、シーツに包まったハダカの彼の腕に抱かれ...
私のほうは、ニーソックスだけ履いただけの格好。
…サイトがこういうのがいい、って言うから。
ううん。言ったんじゃないけど。
ちょっとアレかな、とは思うけど。彼の望む事だから。
そう、私はこの先、彼の望むことには全て従う。
私は彼の使い魔だから。
私はそっと右の額に手を伸ばす。
そこには確かに、使い魔の印が刻まれている。
この印こそが、私が彼の物である印。
私と彼を結ぶ、幸せの鎖。
私は彼を起こさないように、言葉だけでなく心も伝えないよう...
そして心の中だけで、こう囁いた。
ずっと一緒だよ、ご主人様…。 〜fin
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