ゼロの使い魔保管庫
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335 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
「テファ、わたしの可愛いティファニア」
声に振り向くと、母が優しい微笑を浮かべてこちらの顔を覗...
「なあに、お母さん」
ティファニアが首を傾げると、母は人差し指を立てて言った。
「今から、あなたに魔法をかけてあげる」
「まほう?」
「そう」
母は頷いた。
「正確には、あなたの胸に、ね」
「胸?」
言われて、ティファニアは自分の胸を見下ろす。白いワンピ...
かしなものは何もない。
「ここがどうしたの?」
「ええとね。わたしの胸をご覧なさい」
幼いティファニアは母の胸を見上げる。そこには、ずいぶん...
「これもね、魔法をかけた結果なのよ」
「そうなの?」
「そう。エルフと言うか、わたしたちの一族に伝わる魔法と言...
あげるの」
「どうして?」
「そうしないとね」
母はため息を吐いた。
「いろいろと、困ることになるのよ。特に男関係で」
「よく分かんない」
「成長すればきっと分かるわ。とにかく、この魔法をかければ...
「お母さんみたいになれるの? わあ、かけて、かけて」
ティファニアは、はしゃいで飛び跳ねる。母は苦笑気味に娘...
「分かったから、少し大人しくなさい。じっとしてくれないと...
「はーい」
ティファニアがむずがゆいような期待を抱きながらその場で...
を詠唱して、そっとティファニアの胸に触れた。すぐに目を開...
「はい、これでおしまい」
「え、これで?」
ティファニアは自分の体を見下ろす。特に何も変わっていな...
「お母さんみたいになってないよ」
「そりゃそうよ。これはね、テファが大きくならないと効果が...
「なんだ。わたしもお母さんみたいに綺麗になれると思ったの...
「魔法なんか使わなくたって、テファはわたしよりもずっと綺...
「本当?」
「ええ、本当よ。今魔法もちゃんとかけたし、きっと男関係で...
後半はよく聞き取れなかったが、母のようになれるというこ...
しくなった。
そのとき、不意に視界が歪み始めた。母の腕が、体が、笑顔...
「お母さん!」
叫びながら飛び起きると、魔法学院の中だった。夢を見てい...
「お母さん……」
胸を刺す喪失感に耐えられず、ティファニアは寝台の上で膝...
少しの時間泣いたあと、ティファニアはふと、自分の胸を見...
夢の中の幼い自分と違い、そこには少々立派すぎる二つの膨...
(お母さん、ここに魔法をかけたのよね)
夢に見たおかげではっきりと思い出せる。確かに、あれは現...
(ということは、ひょっとして、わたしの胸って……)
考え始めると止まらなくなり、ティファニアは結局、夜明け...
になった。
336 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
「……ってことがあったんだけど。サイトはどう思う?」
「どう思うって聞かれてもなあ」
ティファニアとベンチに並んで座った才人は、事の次第を聞...
(要するに、この革命的胸部がエルフの魔法の産物かもしれね...
ちらりと、その凶悪な物体に目をやる。
おそらく世界中のほとんどの男を魅了して止まないであろう...
(この大きさ、柔らかさ。全てが魔法の産物だって言うのか)
才人はごくりと唾を飲み込む。すると、ふとティファニアが...
捻った。
「あの、あんまり見ないで」
「わ、悪い、ついつい。あー」
才人は罰の悪い思いで目をそらしながら、顎を撫でて唸った。
「まあ、タバサの母ちゃんの例もあるしな。エルフの魔法って...
のは確かなんだろうけど」
「じゃあ、やっぱり」
ティファニアは困ったように俯いた。
「これ、母さんがわたしのことを思って、魔法で膨らましてく...
「そうなるんじゃねえかな」
「どうしてかな」
「どうしてって」
才人はティファニアから聞いた話を下に、母親の意図を推測...
(テファの母ちゃん、妾さんやってたって話だもんな。男に捨...
自分の体弄ってでも、男の気を引かずにはいられなかったっ...
娘もきっと同じ生き方をしなけりゃならないと思ったから、...
しかし、その推測を、ティファニアに直接伝えるのはどうも...
化した。
「さあ。俺にはテファの母ちゃんの考えはよく分かんないな」
「そうよね。サイトはわたしのお母さんのこと、わたしの話で...
「そうそう。ま、ティファニアのためを思ってしてくれたこと...
いいんじゃないか」
それで困る人間がいる訳でもないし。と言うか個人的には眼...
逆にティファニアの方は深刻な顔で何かを考え込んでいる。
「どうした、テファ」
「うん。あのね」
ティファニアは真剣な顔つきで、真っ直ぐに才人を見た。
「この魔法、解除出来ないかしら」
「ダメだよそんなの」
ほとんど反射的にそう答えてしまっていた。ティファニアが...
「サイト?」
「あ、いや、悪い。だ、ダメ、とは言わないけどさ」
「でも、なんだか気が進まないみたい」
(そりゃそうだ。この革命的胸部が消失したら、どれだけの男...
だが、一応下心のない友人として付き合っている(つもりで...
打ち明ける訳にはいかない。
どう上手く言い訳したものかと才人が悩んでいたとき、学舎...
影が近づいてきた。
337 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
「この胸が!」
と叫んだその人影は、才人の主人であるルイズだった。だが...
いに噛み締め髪を逆立て目を爛々と輝かせ、何やら非常に興奮...
「ど、どうした、ルイズ」
「どうしたもこうしたもあるかーっ!」
叫んだルイズは、突如高く跳躍したかと思うと、才人には目...
「おい、何やってんだルイズ」
「うるさい! この胸、この胸が!」
「や、やめて、ルイズさん……!」
か細い悲鳴のようなティファニアの抗議など気にも留めず、...
彼女の胸を弄り始めた。いや、弄るというよりは攻撃するとで...
にもんだりこね回したりはたいたり乳首の部分をつね上げたり...
「痛い、痛い」
「黙れ! この胸が、この胸が!」
「お、落ち着けよルイズ! 一体何がどうしたって」
「うるせーっ! 引っ込んでろやこのおっぱい野郎!」
かなり乱暴な口調でそんなことを叫びながら、ルイズが才人...
ばされた才人は、尻餅を突いたまま呆然とルイズの蛮行を見つ...
「一体、何がどうなってんだ」
ルイズの勢いは留まることを知らない。ベンチの中でもがく...
け、執拗に胸を嬲っている。
「あ、やぁ、やめてぇ」
その内にティファニアの頬が赤らみ、瞳も潤んできた。吐息...
漏れ出る悲鳴はもはや嬌声に近い。だがそれでも才人にはどう...
「とめなさいよ」
突然後ろから頭をはたかれた。振り向くと、呆れ顔のモンモ...
「ったく、これだから男ってのは」
「このパターン……モンモン、さてはテメエがまたなんかやった...
「うん、ごめんね」
「白状すんの早いなオイ」
「だって、今回は目撃者がたくさんいるから嘘吐いてもしょう...
「どうなってんのよこの状況は」
「かいつまんで言うと、いろいろあってルイズが興奮剤みたい...
後にベンチで仲良さげにお喋りするあなたたちを見たものだ...
要するに嫉妬の発露らしい。それでいて胸ばかり嬲っている...
ファニアの胸に敵意を抱いているということだろうか。
「って言うか、ホントにとめなくていいの?」
「いや、個人的にはもうちょい見ていたい」
「でも、人が集まってきてるみたいだけど」
「おいやめろルイズ、テファをいじめるなぁっ!」
お前らにティファニアの痴態は見せられん、と抜群の男らし...
を止めにかかった。
338 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
そうして数分後、大乱闘の末にルイズは縄でぐるぐる巻きに...
ちなみに群集は追い払ってあり、モンモランシーも騒ぎのど...
静かになった広場の隅で簀巻きのルイズを見下ろしながら、...
「これじゃいつもと立場が逆だぜオイ」
「離せーっ! あの胸、あの世の中ナメきった胸を、全女性を...
いのよーっ!」
じたばたもがきながら、ルイズが歯をむき出して叫ぶ。あく...
一方救出されたティファニアは、服の乱れを直すことも忘れ...
「もういや。こんなのがあるせいで、こんな目に遭うのね」
などと言いつつ、恨めしげに自分の胸を見下ろしている。
「だからわたしがもぎ取ってやろうって言ってんのよ! ヘイ...
「いろいろと落ち着け、ルイズ」
「ねえサイト」
ルイズをなんとかなだめようとする才人の背後に、いつの間...
「どうしたテファ」
「さっきの話だけど、やっぱりこの魔法、どうにかならない?」
「どうにかって言うと」
「だから、この魔法を解除して、わたしの胸を普通に」
「ちょっと待った!」
叫んだルイズが、簀巻きにされたままで器用に立ち上がった。
「今の話、詳しく教えなさい」
「いや、ルイズには関係」
あの話をルイズに伝えるのはやばい、と判断した才人は、咄...
ファニアにとってはもちろんそんなことはなく、
「あのね」
と、洗いざらい事情を話しつくしてしまった。
話を聞いたルイズは、しばらくの間黙りこくっていたが、や...
「ルイズ?」
才人がおそるおそる彼女の顔を覗き込んだ瞬間、ルイズはカ...
分を縛る縄を引きちぎった。
「そんなバカな! こりゃもう興奮剤ってレベルじゃねーぞ!...
だがそれについてあれこれ考えている時間はなかった。縄を...
ティファニアに肉薄したのである。
「ねえテファ、その魔法、今すぐ解除したいのよね」
「え、ええ」
「わたしなら出来るわよ」
「ほ、本当?」
「任せときなさい。では早速」
と、ルイズは杖を取り出して詠唱を始める。才人にとっても...
「だ、ダメだ、止めろルイ」
「ディスペル!」
才人が止めるよりも一瞬早く、詠唱を完成させたルイズが魔...
その途端、ティファニアの胸から何か小さな影が飛び出した...
物体は、妙齢の美女の姿をしていた。
「あれ、なに、どうなってんの」
その女が空中に浮かんだまま、困惑したように周囲を見回す。
「捕まえた、諸悪の根源」
叫んだルイズが、青白く光る女を右手で素早く捕まえる。女...
「ちょ、なにすんですかいきなり」
「黙りなさい、テファの胸に取り付く悪い精霊!」
「テファ?」
眉をひそめて呟いた女が、ティファニアの方を振り返る。突...
ファニアはショックを隠せない様子だったが、彼女と目が合う...
「あ、始めまして」
「あーあー、ティファニアさんのことですか」
納得したように、女が何度か頷く。才人は彼女に問いかけた。
339 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
「ってことは、あんたが」
「そう。ティファニアさんの胸に憑依していた精霊でございま...
自称精霊の女は、さらりとそう言う。才人は眉をひそめた。
「精霊って、なんだ」
「エルフが使う先住魔法というのは、精霊との契約を下に行使...
そんなことも知らないの、と言わんばかりに、女が呆れ顔で...
「じゃあ、あんたがくっついてたせいで、テファはあんな胸だ...
「あんな胸?」
再度、精霊がティファニアの方を見やる。そして、ぎょっと...
「うわ、なんですかあれ。改めて見ると、ふざけた大きさです...
「ってお前、自分でこんなにしといて何言ってんだよ」
才人がほとんど反射的に突っ込みをいれると、精霊は呆然と...
「いやいや、この胸に憑依してるわたしだからこそ言うんです...
心の底から感心した様子で、精霊はしきりに頷いている。そ...
顔を近づけた。
「ねえ、あんた、状況分かってんの?」
「状況? ああそうそう、なんでわたしあの胸から引っぺがさ...
ないはずなんですが」
「わたしの虚無魔法の効果よ」
「虚無ですって?」
精霊が悲鳴を上げる。
「な、なんですか、ひょっとしてわたし、消される寸前とか!...
「多分ね。一発じゃ引っぺがすだけで済んだけど、もう一発撃...
「や、止めてください、お願いします!」
精霊が懇願するように目を潤ませる。
「何でもしますから、消すのだけは」
ヤバイ、と才人は思った。今のルイズのテンションなら、高...
な暴力的な胸を作る奴は、皆まとめてこの貧乳女王ルイズが塵...
などと言い出しかねない。
(そんなことになったら、テファの胸が、革命が!)
何とかして止めなければ、と才人は焦る。だが予想に反して...
精霊に顔を近づけた。
「じゃ、一つ聞くけど」
「な、なんでございましょ」
精霊は媚びるような笑みを浮かべて両手をこすり合わせる。...
アの胸を指差した。
「あのふざけた胸は、あんたの仕事だって言ったわよね」
「ええまあ。いや、あれを見て、ちょっと自信を失いかけてる...
「んなことはどうでもいいの。わたしが聞きたいのは」
と、今度は自分の胸を指差す。
「あんた、あっちの胸から離れて、こっちの胸にとりつける?」
「え?」
精霊は、困惑したようにルイズの胸を見た。
「そりゃ、出来ますけど」
どことなく、渋るような様子である。ルイズの頬がぴくりと...
「なに。あんた、まさか『お前みたいなぺったんこにわたしが...
すんじゃないでしょうね」
「いやいや、そんなことはありませんですけど」
精霊は慌てて首を振り、躊躇うようにルイズの顔色を伺い始...
「そりゃ、無意味ってことはありませんけど。本当にいいんで...
「もちろんよ。こんな胸じゃいろいろと不都合だもの」
「はあ。よく分からないけど、変わってますね、あなた」
そう呟きつつ、精霊は「では」と一言呟いた。同時に、その...
ティファニアの胸からルイズの胸へ移ろうとしているらしい。
(ああ、これでテファの革命的胸部ともおさらばか! そして...
あまりの眩しさに腕で目を庇いながら、才人は自分の心が激...
(俺は一体何を恐れているんだ。貧乳になったテファを見たく...
ズが想像できないのか……!)
彼の葛藤には全く関係なく、光は次第に小さくなり、やがて...
340 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
目を開くと、予想に反して先程と全く変わりない光景が広が...
いや、光も精霊も消えているのだが、肝心のティファニアの...
うに見える。
「どうなったんだ……?」
怪訝そうに才人が呟いたとき、それまで呆然としていたルイ...
分の胸をまさぐり出した。
そして、高い高い悲鳴を上げる。
「何よこれぇぇぇぇっ!」
見ると、ルイズがまさぐっている部分、すなわち胸の辺りが...
「……は?」
才人は目を瞬く。確かにルイズは貧乳だったが、さすがに抉...
はなかったはずだ。
だが、今はどうか。ルイズの胸はどう見ても、極めて物理的...
(……どうなってんだ?)
悲鳴を上げ続けるルイズをよそに才人が呆然としていたとき...
ティファニアの悲鳴が聞こえてきた。
「いや、なに、なんなの、どうなってるの!?」
振り返ると、ティファニアが悲鳴を上げてしゃがみ込んでい...
その胸を見て、才人は眼球が飛び出さんばかりに目を見開く。
( 超 で け え ! ! )
ティファニアの胸が、いつもよりも一回りか二回りも大きく...
今までのがメロンだったとすると、今はもうスイカと表現し...
そのせいで服が破れてしまったようで、ティファニアはむき...
としているが、あまりにもそのサイズが大きすぎるせいで、せ...
役に立っていない。
(……エイケン)
何故かそんな単語が目に浮かぶ光景である。一方、逆にゼロ...
ルイズが金切り声を上げている。
「ちょっと、精霊、精霊!」
呼ぶと、ルイズの胸からこわごわとした様子で精霊が抜け出...
「なんでございましょう」
「あんた、ふざけてんの!? そんなに消したいなら望みどお...
「どうしてですかぁ!?」
精霊は泣きべそをかき始める。
「わたし、ちゃんとあなたのお望みどおりにしたじゃないです...
「白を切るつもり!?」
「そんな、だって、ちゃんと憑依して、ほら、この通り効果も...
と、精霊はルイズの抉れた胸を必死に両手で示してみせる。...
「だから、それがどういうことかって聞いてんのよ! あんた...
「はぁ!?」
こちらもすっかり余裕を失くしたらしい。精霊が涙と鼻水を...
いというように両手を広げた。
「何仰ってるんですか、わたしはそんなものじゃありませんよ...
「見りゃ分かる、って……」
そのとき、ルイズはようやく少し冷静さを取り戻した様子で...
「あんた、まさか」
「はい、そうです」
精霊は、決まり悪そうに身を竦めて、自信なさげに言った。
「わたし、胸を小さくする精霊なんです」
「……なるほど。つまり、こういうことだな」
と、才人は、ルイズの机に座っている精霊を前に、何度か頷...
「ティファニアの一族ってのは、エルフの中でもかなり凶悪な...
どもに狙われて、いろいろ危ない目に遭っていたと」
「そうでございます。そりゃもう、生まれてくる女の子はそろ...
かりでして」
「だから、せめて人並みの胸にしてやろうと、お前らの種族と...
341 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
「そうだったの」
今はもういつも通りの(と言っても平均よりはかなり大き目...
ズの椅子に座ったままため息を吐く。
「じゃあ、お母さんも元々はあれよりずっと大きな胸だったの...
「そうでしょうね。多分、元は今のあなたと同じぐらいのサイ...
「それが、お前と同じ種類の精霊のおかげで、せいぜい人より...
たって訳だ」
「そういう次第で」
つまり、「男関係で困るだろうから」というのは、「胸が小...
る」という意味ではなく、「胸が大きすぎて変な男に狙われな...
た訳だ。
ティファニアの母の誤算は、娘が精霊の力で小さくなっても...
いサイズの胸の持ち主だったことだろう。
「お母さん、ちゃんとわたしの安全のことを考えていてくれた...
少ししんみりした様子で、ティファニアが呟く。才人は微笑...
「いい母ちゃんだな」
「うん。わたしの大好きな、お母さん」
ティファニアの顔にも、ようやく笑顔が戻ってくる。精霊も...
「いやあ、よかったよかった。これで何もかも元の鞘に収まっ...
「いや全く」
三人は声をそろえて笑いあう。これで明日からまた平和な日...
心もまた軽い。
「ううううううう」
が、その心の平穏は、部屋の隅から聞こえてきた唸り声によ...
三人が決まり悪げに顔を見合わせて唸り声の方を見ると、そ...
ふて腐れて寝ているのであった。
変な薬の副作用と、「胸が大きくなるかもしれない」という...
神的にかなりボロボロになっているらしい。
「あー、その、なんだ」
嫌な沈黙を打ち破ろうとして、才人は乾いた笑い声を上げた。
「あんまり気に病むなよ、ルイズ。お前はそのままでも十分魅...
「え、ええ。それに、こんなの、ついてたって邪魔になるだけ...
「そうですね。だからこそわたしみたいな精霊がいる訳ですし」
「あんたらね」
不意に、ルイズが寝台の上でゆらりと立ち上がる。
「そもそも、あんたらが変な勘違いさえしなければ、わたしが...
さすがに理屈が無茶な気がするが、ルイズ相手にそんなこと...
才人である。
「おい、精霊。そろそろ戻った方がいいぜ」
「そのようですね。それではごきげんよう」
まず精霊が、ティファニアの胸に溶け込んで見えなくなる。
「テファも、とりあえずここからは逃げな」
「え、でも」
「大丈夫、大丈夫」
才人は達観したような心境で笑顔を浮かべた。
「何ていうかさ。テファの胸がどうしようもないように、俺の...
なんだと思うんだよね。運命ってやつ?」
「ええと」
「運命とは上手く付き合っていかなくちゃなあ。ってな訳で、...
半ば無理にティファニアを追い出したあと、才人は「さてと...
「待たせたな、ルイズ」
「バカ犬ぅ……! 覚悟は出来てるんでしょうねぇ……!」
ルイズが髪を振り乱しながら杖を取り出す。才人もまた、部...
を手に取った。
「さあ行くぜ、デルフ!」
「あれ、ひょっとして俺の出番これだけ」
「どっからでもかかってこいやぁ!」
部屋の修理代と怪我の治療費は、当然の如く才人の年金から...
おしまい。
終了行:
335 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
「テファ、わたしの可愛いティファニア」
声に振り向くと、母が優しい微笑を浮かべてこちらの顔を覗...
「なあに、お母さん」
ティファニアが首を傾げると、母は人差し指を立てて言った。
「今から、あなたに魔法をかけてあげる」
「まほう?」
「そう」
母は頷いた。
「正確には、あなたの胸に、ね」
「胸?」
言われて、ティファニアは自分の胸を見下ろす。白いワンピ...
かしなものは何もない。
「ここがどうしたの?」
「ええとね。わたしの胸をご覧なさい」
幼いティファニアは母の胸を見上げる。そこには、ずいぶん...
「これもね、魔法をかけた結果なのよ」
「そうなの?」
「そう。エルフと言うか、わたしたちの一族に伝わる魔法と言...
あげるの」
「どうして?」
「そうしないとね」
母はため息を吐いた。
「いろいろと、困ることになるのよ。特に男関係で」
「よく分かんない」
「成長すればきっと分かるわ。とにかく、この魔法をかければ...
「お母さんみたいになれるの? わあ、かけて、かけて」
ティファニアは、はしゃいで飛び跳ねる。母は苦笑気味に娘...
「分かったから、少し大人しくなさい。じっとしてくれないと...
「はーい」
ティファニアがむずがゆいような期待を抱きながらその場で...
を詠唱して、そっとティファニアの胸に触れた。すぐに目を開...
「はい、これでおしまい」
「え、これで?」
ティファニアは自分の体を見下ろす。特に何も変わっていな...
「お母さんみたいになってないよ」
「そりゃそうよ。これはね、テファが大きくならないと効果が...
「なんだ。わたしもお母さんみたいに綺麗になれると思ったの...
「魔法なんか使わなくたって、テファはわたしよりもずっと綺...
「本当?」
「ええ、本当よ。今魔法もちゃんとかけたし、きっと男関係で...
後半はよく聞き取れなかったが、母のようになれるというこ...
しくなった。
そのとき、不意に視界が歪み始めた。母の腕が、体が、笑顔...
「お母さん!」
叫びながら飛び起きると、魔法学院の中だった。夢を見てい...
「お母さん……」
胸を刺す喪失感に耐えられず、ティファニアは寝台の上で膝...
少しの時間泣いたあと、ティファニアはふと、自分の胸を見...
夢の中の幼い自分と違い、そこには少々立派すぎる二つの膨...
(お母さん、ここに魔法をかけたのよね)
夢に見たおかげではっきりと思い出せる。確かに、あれは現...
(ということは、ひょっとして、わたしの胸って……)
考え始めると止まらなくなり、ティファニアは結局、夜明け...
になった。
336 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
「……ってことがあったんだけど。サイトはどう思う?」
「どう思うって聞かれてもなあ」
ティファニアとベンチに並んで座った才人は、事の次第を聞...
(要するに、この革命的胸部がエルフの魔法の産物かもしれね...
ちらりと、その凶悪な物体に目をやる。
おそらく世界中のほとんどの男を魅了して止まないであろう...
(この大きさ、柔らかさ。全てが魔法の産物だって言うのか)
才人はごくりと唾を飲み込む。すると、ふとティファニアが...
捻った。
「あの、あんまり見ないで」
「わ、悪い、ついつい。あー」
才人は罰の悪い思いで目をそらしながら、顎を撫でて唸った。
「まあ、タバサの母ちゃんの例もあるしな。エルフの魔法って...
のは確かなんだろうけど」
「じゃあ、やっぱり」
ティファニアは困ったように俯いた。
「これ、母さんがわたしのことを思って、魔法で膨らましてく...
「そうなるんじゃねえかな」
「どうしてかな」
「どうしてって」
才人はティファニアから聞いた話を下に、母親の意図を推測...
(テファの母ちゃん、妾さんやってたって話だもんな。男に捨...
自分の体弄ってでも、男の気を引かずにはいられなかったっ...
娘もきっと同じ生き方をしなけりゃならないと思ったから、...
しかし、その推測を、ティファニアに直接伝えるのはどうも...
化した。
「さあ。俺にはテファの母ちゃんの考えはよく分かんないな」
「そうよね。サイトはわたしのお母さんのこと、わたしの話で...
「そうそう。ま、ティファニアのためを思ってしてくれたこと...
いいんじゃないか」
それで困る人間がいる訳でもないし。と言うか個人的には眼...
逆にティファニアの方は深刻な顔で何かを考え込んでいる。
「どうした、テファ」
「うん。あのね」
ティファニアは真剣な顔つきで、真っ直ぐに才人を見た。
「この魔法、解除出来ないかしら」
「ダメだよそんなの」
ほとんど反射的にそう答えてしまっていた。ティファニアが...
「サイト?」
「あ、いや、悪い。だ、ダメ、とは言わないけどさ」
「でも、なんだか気が進まないみたい」
(そりゃそうだ。この革命的胸部が消失したら、どれだけの男...
だが、一応下心のない友人として付き合っている(つもりで...
打ち明ける訳にはいかない。
どう上手く言い訳したものかと才人が悩んでいたとき、学舎...
影が近づいてきた。
337 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
「この胸が!」
と叫んだその人影は、才人の主人であるルイズだった。だが...
いに噛み締め髪を逆立て目を爛々と輝かせ、何やら非常に興奮...
「ど、どうした、ルイズ」
「どうしたもこうしたもあるかーっ!」
叫んだルイズは、突如高く跳躍したかと思うと、才人には目...
「おい、何やってんだルイズ」
「うるさい! この胸、この胸が!」
「や、やめて、ルイズさん……!」
か細い悲鳴のようなティファニアの抗議など気にも留めず、...
彼女の胸を弄り始めた。いや、弄るというよりは攻撃するとで...
にもんだりこね回したりはたいたり乳首の部分をつね上げたり...
「痛い、痛い」
「黙れ! この胸が、この胸が!」
「お、落ち着けよルイズ! 一体何がどうしたって」
「うるせーっ! 引っ込んでろやこのおっぱい野郎!」
かなり乱暴な口調でそんなことを叫びながら、ルイズが才人...
ばされた才人は、尻餅を突いたまま呆然とルイズの蛮行を見つ...
「一体、何がどうなってんだ」
ルイズの勢いは留まることを知らない。ベンチの中でもがく...
け、執拗に胸を嬲っている。
「あ、やぁ、やめてぇ」
その内にティファニアの頬が赤らみ、瞳も潤んできた。吐息...
漏れ出る悲鳴はもはや嬌声に近い。だがそれでも才人にはどう...
「とめなさいよ」
突然後ろから頭をはたかれた。振り向くと、呆れ顔のモンモ...
「ったく、これだから男ってのは」
「このパターン……モンモン、さてはテメエがまたなんかやった...
「うん、ごめんね」
「白状すんの早いなオイ」
「だって、今回は目撃者がたくさんいるから嘘吐いてもしょう...
「どうなってんのよこの状況は」
「かいつまんで言うと、いろいろあってルイズが興奮剤みたい...
後にベンチで仲良さげにお喋りするあなたたちを見たものだ...
要するに嫉妬の発露らしい。それでいて胸ばかり嬲っている...
ファニアの胸に敵意を抱いているということだろうか。
「って言うか、ホントにとめなくていいの?」
「いや、個人的にはもうちょい見ていたい」
「でも、人が集まってきてるみたいだけど」
「おいやめろルイズ、テファをいじめるなぁっ!」
お前らにティファニアの痴態は見せられん、と抜群の男らし...
を止めにかかった。
338 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
そうして数分後、大乱闘の末にルイズは縄でぐるぐる巻きに...
ちなみに群集は追い払ってあり、モンモランシーも騒ぎのど...
静かになった広場の隅で簀巻きのルイズを見下ろしながら、...
「これじゃいつもと立場が逆だぜオイ」
「離せーっ! あの胸、あの世の中ナメきった胸を、全女性を...
いのよーっ!」
じたばたもがきながら、ルイズが歯をむき出して叫ぶ。あく...
一方救出されたティファニアは、服の乱れを直すことも忘れ...
「もういや。こんなのがあるせいで、こんな目に遭うのね」
などと言いつつ、恨めしげに自分の胸を見下ろしている。
「だからわたしがもぎ取ってやろうって言ってんのよ! ヘイ...
「いろいろと落ち着け、ルイズ」
「ねえサイト」
ルイズをなんとかなだめようとする才人の背後に、いつの間...
「どうしたテファ」
「さっきの話だけど、やっぱりこの魔法、どうにかならない?」
「どうにかって言うと」
「だから、この魔法を解除して、わたしの胸を普通に」
「ちょっと待った!」
叫んだルイズが、簀巻きにされたままで器用に立ち上がった。
「今の話、詳しく教えなさい」
「いや、ルイズには関係」
あの話をルイズに伝えるのはやばい、と判断した才人は、咄...
ファニアにとってはもちろんそんなことはなく、
「あのね」
と、洗いざらい事情を話しつくしてしまった。
話を聞いたルイズは、しばらくの間黙りこくっていたが、や...
「ルイズ?」
才人がおそるおそる彼女の顔を覗き込んだ瞬間、ルイズはカ...
分を縛る縄を引きちぎった。
「そんなバカな! こりゃもう興奮剤ってレベルじゃねーぞ!...
だがそれについてあれこれ考えている時間はなかった。縄を...
ティファニアに肉薄したのである。
「ねえテファ、その魔法、今すぐ解除したいのよね」
「え、ええ」
「わたしなら出来るわよ」
「ほ、本当?」
「任せときなさい。では早速」
と、ルイズは杖を取り出して詠唱を始める。才人にとっても...
「だ、ダメだ、止めろルイ」
「ディスペル!」
才人が止めるよりも一瞬早く、詠唱を完成させたルイズが魔...
その途端、ティファニアの胸から何か小さな影が飛び出した...
物体は、妙齢の美女の姿をしていた。
「あれ、なに、どうなってんの」
その女が空中に浮かんだまま、困惑したように周囲を見回す。
「捕まえた、諸悪の根源」
叫んだルイズが、青白く光る女を右手で素早く捕まえる。女...
「ちょ、なにすんですかいきなり」
「黙りなさい、テファの胸に取り付く悪い精霊!」
「テファ?」
眉をひそめて呟いた女が、ティファニアの方を振り返る。突...
ファニアはショックを隠せない様子だったが、彼女と目が合う...
「あ、始めまして」
「あーあー、ティファニアさんのことですか」
納得したように、女が何度か頷く。才人は彼女に問いかけた。
339 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
「ってことは、あんたが」
「そう。ティファニアさんの胸に憑依していた精霊でございま...
自称精霊の女は、さらりとそう言う。才人は眉をひそめた。
「精霊って、なんだ」
「エルフが使う先住魔法というのは、精霊との契約を下に行使...
そんなことも知らないの、と言わんばかりに、女が呆れ顔で...
「じゃあ、あんたがくっついてたせいで、テファはあんな胸だ...
「あんな胸?」
再度、精霊がティファニアの方を見やる。そして、ぎょっと...
「うわ、なんですかあれ。改めて見ると、ふざけた大きさです...
「ってお前、自分でこんなにしといて何言ってんだよ」
才人がほとんど反射的に突っ込みをいれると、精霊は呆然と...
「いやいや、この胸に憑依してるわたしだからこそ言うんです...
心の底から感心した様子で、精霊はしきりに頷いている。そ...
顔を近づけた。
「ねえ、あんた、状況分かってんの?」
「状況? ああそうそう、なんでわたしあの胸から引っぺがさ...
ないはずなんですが」
「わたしの虚無魔法の効果よ」
「虚無ですって?」
精霊が悲鳴を上げる。
「な、なんですか、ひょっとしてわたし、消される寸前とか!...
「多分ね。一発じゃ引っぺがすだけで済んだけど、もう一発撃...
「や、止めてください、お願いします!」
精霊が懇願するように目を潤ませる。
「何でもしますから、消すのだけは」
ヤバイ、と才人は思った。今のルイズのテンションなら、高...
な暴力的な胸を作る奴は、皆まとめてこの貧乳女王ルイズが塵...
などと言い出しかねない。
(そんなことになったら、テファの胸が、革命が!)
何とかして止めなければ、と才人は焦る。だが予想に反して...
精霊に顔を近づけた。
「じゃ、一つ聞くけど」
「な、なんでございましょ」
精霊は媚びるような笑みを浮かべて両手をこすり合わせる。...
アの胸を指差した。
「あのふざけた胸は、あんたの仕事だって言ったわよね」
「ええまあ。いや、あれを見て、ちょっと自信を失いかけてる...
「んなことはどうでもいいの。わたしが聞きたいのは」
と、今度は自分の胸を指差す。
「あんた、あっちの胸から離れて、こっちの胸にとりつける?」
「え?」
精霊は、困惑したようにルイズの胸を見た。
「そりゃ、出来ますけど」
どことなく、渋るような様子である。ルイズの頬がぴくりと...
「なに。あんた、まさか『お前みたいなぺったんこにわたしが...
すんじゃないでしょうね」
「いやいや、そんなことはありませんですけど」
精霊は慌てて首を振り、躊躇うようにルイズの顔色を伺い始...
「そりゃ、無意味ってことはありませんけど。本当にいいんで...
「もちろんよ。こんな胸じゃいろいろと不都合だもの」
「はあ。よく分からないけど、変わってますね、あなた」
そう呟きつつ、精霊は「では」と一言呟いた。同時に、その...
ティファニアの胸からルイズの胸へ移ろうとしているらしい。
(ああ、これでテファの革命的胸部ともおさらばか! そして...
あまりの眩しさに腕で目を庇いながら、才人は自分の心が激...
(俺は一体何を恐れているんだ。貧乳になったテファを見たく...
ズが想像できないのか……!)
彼の葛藤には全く関係なく、光は次第に小さくなり、やがて...
340 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
目を開くと、予想に反して先程と全く変わりない光景が広が...
いや、光も精霊も消えているのだが、肝心のティファニアの...
うに見える。
「どうなったんだ……?」
怪訝そうに才人が呟いたとき、それまで呆然としていたルイ...
分の胸をまさぐり出した。
そして、高い高い悲鳴を上げる。
「何よこれぇぇぇぇっ!」
見ると、ルイズがまさぐっている部分、すなわち胸の辺りが...
「……は?」
才人は目を瞬く。確かにルイズは貧乳だったが、さすがに抉...
はなかったはずだ。
だが、今はどうか。ルイズの胸はどう見ても、極めて物理的...
(……どうなってんだ?)
悲鳴を上げ続けるルイズをよそに才人が呆然としていたとき...
ティファニアの悲鳴が聞こえてきた。
「いや、なに、なんなの、どうなってるの!?」
振り返ると、ティファニアが悲鳴を上げてしゃがみ込んでい...
その胸を見て、才人は眼球が飛び出さんばかりに目を見開く。
( 超 で け え ! ! )
ティファニアの胸が、いつもよりも一回りか二回りも大きく...
今までのがメロンだったとすると、今はもうスイカと表現し...
そのせいで服が破れてしまったようで、ティファニアはむき...
としているが、あまりにもそのサイズが大きすぎるせいで、せ...
役に立っていない。
(……エイケン)
何故かそんな単語が目に浮かぶ光景である。一方、逆にゼロ...
ルイズが金切り声を上げている。
「ちょっと、精霊、精霊!」
呼ぶと、ルイズの胸からこわごわとした様子で精霊が抜け出...
「なんでございましょう」
「あんた、ふざけてんの!? そんなに消したいなら望みどお...
「どうしてですかぁ!?」
精霊は泣きべそをかき始める。
「わたし、ちゃんとあなたのお望みどおりにしたじゃないです...
「白を切るつもり!?」
「そんな、だって、ちゃんと憑依して、ほら、この通り効果も...
と、精霊はルイズの抉れた胸を必死に両手で示してみせる。...
「だから、それがどういうことかって聞いてんのよ! あんた...
「はぁ!?」
こちらもすっかり余裕を失くしたらしい。精霊が涙と鼻水を...
いというように両手を広げた。
「何仰ってるんですか、わたしはそんなものじゃありませんよ...
「見りゃ分かる、って……」
そのとき、ルイズはようやく少し冷静さを取り戻した様子で...
「あんた、まさか」
「はい、そうです」
精霊は、決まり悪そうに身を竦めて、自信なさげに言った。
「わたし、胸を小さくする精霊なんです」
「……なるほど。つまり、こういうことだな」
と、才人は、ルイズの机に座っている精霊を前に、何度か頷...
「ティファニアの一族ってのは、エルフの中でもかなり凶悪な...
どもに狙われて、いろいろ危ない目に遭っていたと」
「そうでございます。そりゃもう、生まれてくる女の子はそろ...
かりでして」
「だから、せめて人並みの胸にしてやろうと、お前らの種族と...
341 名前: テファの胸の大きさの原因 [sage] 投稿日: 2007/...
「そうだったの」
今はもういつも通りの(と言っても平均よりはかなり大き目...
ズの椅子に座ったままため息を吐く。
「じゃあ、お母さんも元々はあれよりずっと大きな胸だったの...
「そうでしょうね。多分、元は今のあなたと同じぐらいのサイ...
「それが、お前と同じ種類の精霊のおかげで、せいぜい人より...
たって訳だ」
「そういう次第で」
つまり、「男関係で困るだろうから」というのは、「胸が小...
る」という意味ではなく、「胸が大きすぎて変な男に狙われな...
た訳だ。
ティファニアの母の誤算は、娘が精霊の力で小さくなっても...
いサイズの胸の持ち主だったことだろう。
「お母さん、ちゃんとわたしの安全のことを考えていてくれた...
少ししんみりした様子で、ティファニアが呟く。才人は微笑...
「いい母ちゃんだな」
「うん。わたしの大好きな、お母さん」
ティファニアの顔にも、ようやく笑顔が戻ってくる。精霊も...
「いやあ、よかったよかった。これで何もかも元の鞘に収まっ...
「いや全く」
三人は声をそろえて笑いあう。これで明日からまた平和な日...
心もまた軽い。
「ううううううう」
が、その心の平穏は、部屋の隅から聞こえてきた唸り声によ...
三人が決まり悪げに顔を見合わせて唸り声の方を見ると、そ...
ふて腐れて寝ているのであった。
変な薬の副作用と、「胸が大きくなるかもしれない」という...
神的にかなりボロボロになっているらしい。
「あー、その、なんだ」
嫌な沈黙を打ち破ろうとして、才人は乾いた笑い声を上げた。
「あんまり気に病むなよ、ルイズ。お前はそのままでも十分魅...
「え、ええ。それに、こんなの、ついてたって邪魔になるだけ...
「そうですね。だからこそわたしみたいな精霊がいる訳ですし」
「あんたらね」
不意に、ルイズが寝台の上でゆらりと立ち上がる。
「そもそも、あんたらが変な勘違いさえしなければ、わたしが...
さすがに理屈が無茶な気がするが、ルイズ相手にそんなこと...
才人である。
「おい、精霊。そろそろ戻った方がいいぜ」
「そのようですね。それではごきげんよう」
まず精霊が、ティファニアの胸に溶け込んで見えなくなる。
「テファも、とりあえずここからは逃げな」
「え、でも」
「大丈夫、大丈夫」
才人は達観したような心境で笑顔を浮かべた。
「何ていうかさ。テファの胸がどうしようもないように、俺の...
なんだと思うんだよね。運命ってやつ?」
「ええと」
「運命とは上手く付き合っていかなくちゃなあ。ってな訳で、...
半ば無理にティファニアを追い出したあと、才人は「さてと...
「待たせたな、ルイズ」
「バカ犬ぅ……! 覚悟は出来てるんでしょうねぇ……!」
ルイズが髪を振り乱しながら杖を取り出す。才人もまた、部...
を手に取った。
「さあ行くぜ、デルフ!」
「あれ、ひょっとして俺の出番これだけ」
「どっからでもかかってこいやぁ!」
部屋の修理代と怪我の治療費は、当然の如く才人の年金から...
おしまい。
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