ゼロの使い魔保管庫
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125 名前: 桃色Sisters [sage] 投稿日: 2007/10/14(日) 16:...
ハルケギニアからついに元の世界に戻ってきた才人。
しかし、彼には心残りになっていることがあった。
ハルケギニアの地を去る時、その場にルイズの姿がなかったの...
彼の地で苦楽を共にしてきたご主人さま。一緒に過ごしていく...
主人と使い魔という関係からお互い惹かれあった女の子と男の...
トリスティンで近衛騎士という身分を与えられ、数々の戦いの...
彼女の実家。ラ・ヴァリエール家の当主からも一応二人の仲を...
彼女には耐え切れないことだったのかもしれない。永遠の別れ...
彼女は多分大泣きしたに違いない。でもそれが才人の決心を鈍...
ルイズは自分の想いを抑え込んで立ち会わなかった。そう才人...
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
久々の自分の部屋--3年という月日を感じさせないくらい何も変...
彼の母親は毎日掃除をしてくれていたのだろう。綿ボコリひと...
懐かしむかのように才人は自分のベットに触れ、そしてゆっく...
瞳を閉じてみた。いつものベットの匂い。干したてのような太...
帰って来れたんだ----安堵のため息と共に言葉が漏れた。
あいつ、どうしてるかな・・・異世界に置いてきてしまった恋...
ルイズ----愛しいその名を紡ぎ出し・・・・才人は夢の世界へ...
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
ハルケギニアの面々が出てくる夢から才人は引き戻された--母...
「才人!?」
突然の息子の帰還に驚きを隠せずに母はその場に立ち尽くした。
久しぶりの母子の対面に才人も照れを隠せず頭を垂れた。
「・・・た、だたいま。かあさん。」
息子の変わらない声に母は満面の笑みを浮かべて彼のそばに歩...
「良かったわ。元気そうね・・・本当に良かった・・・」
そういいながら、才人の頭を包み込むように抱き寄せた。
「心配かけて、ごめん。」
才人の頬を暖かいものが伝っていった。
母は才人の頭をくしゃくしゃと撫でて言った。
「あの子も首長くして待ってたのよ。早く顔見せてやんなさい...
才人は首をかしげた。両親の他に俺を待っているヤツなんてい...
「あの子?ってダレだっけ??」
才人の問いかけに母は口を開けて驚いていた。
「何言ってんのよ、この子は・・・あなたの可愛い妹でしょう?」
「えええええええ!!?」
想定外の母の言葉に才人は絶叫した。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
「ルイズちゃん、お兄ちゃん戻ってきてるわよー」
「おかーさん。ほんとー!?」
パタパタパタ--元気良く階段を駆け上がってくる音が聞こえた。
「るるるルイズ?!」
才人は目の前に現れた桃色髪を後ろに束ねた少女に愕然とした。
298 名前: 桃色Sisters [sage] 投稿日: 2007/10/19(金) 13:...
桃色かかったブロンド髪に鳶色の目。
とても長い間逢えなかったような。とても逢いたかった。その...
おにーちゃん。お帰りなさいっ!!言葉と同時に才人に飛び込ん...
兄妹の再会を見届けた母はそっと部屋から出て行った。
彼女の柔らかでほのかに桜色ががった両腕が才人の首に絡めら...
ふわっとした髪の束が才人の頬をなでさすった。そして「彼女...
彼女は才人が座っていたベットに折り重なるようにして倒れこ...
おにーちゃんって----この状況を才人はどう受け止めていいの...
見た目はもう完全に彼女そのものなのに…
「な、なぁ。る、ルイズだよな?」
「・・・・・」
彼女は無言のまま肩を震わせるばかりだ。
どうしたもんかな。彼女に馬乗りになられ、抱きつかれる格好...
焦りつつ、おそるおそるではあるが彼女の頭を左の手でやさし...
あれ?まだこれ消えてないや。左手に刻まれたルーンはなぜか...
二人の絆は消えていなかった---心の中に温かい気持ちが広がっ...
「そのままでいいから。聞いててくれ。俺、今まで魔法の世界...
そこでこいつのためなら死んでもいいってくらい護りたいやつ...
同じ名前。ルイズってゆー女の子さ。おまえとおなじ年格好だ...
才人はいまだ抱きついたまま離れようとしない彼女に自分の身...
語った。可愛いことにところどころで彼女は才人の肩に顔を埋...
それが妙に嬉しくて何度も何度も才人は彼女の頭を愛しむよう...
「そんなにわたしに似ていたの?」
黙って聞いていた彼女が埋めていた顔を上げ才人を見下ろして...
その目は赤く、頬は涙で濡れ、その濡れた頬に乱れた髪が何本...
「うん。とても似てる。まるで生き写しみたいだよ」
すると彼女は薄く頬を桃色に染め、才人から目線を逸らす。そ...
「その子のこと。好き?」
「好き。大好きだ。」
「今でも?」
「ああ、いまでも」
「---逢いたい?」
その彼女の問いかけに叶わぬとは知りながら、しかしはっきり...
「当然。今すぐにでも---逢いたいさ」
才人の瞳から想いが溢れ出す----
「ルイズ・・・ルイズ・・・」
「きっと逢えるわ。お兄ちゃん---」
愛おしい人を見るかのように彼女の瞳が才人を捉えていた。そ...
切ない思いのかけらをその指で拭ってくれた。
「もう泣かないで。逢いたい人はここにいるんだから---」
才人は何も言えずに彼女を胸へと抱き寄せた。
543 名前: 桃色Sisters [sage] 投稿日: 2007/10/28(日) 00:...
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
抱き寄せた彼女の桃髪の匂いは紛れもなくルイズのものだった。
離れてしまわないように才人はしっかりと抱きしめた。
「----おにーちゃん。わたしのこと、その人と同じように『ル...
才人に強く抱きしめられながら彼女はつぶやいた。彼女の言葉...
「どきどき。聞こえるよ。すっごくドキドキしてるね----」
彼女は才人を見透かしたように言葉を継いだ。
俺、どうしたらいいんだろ。思い余って抱きしめたまではいい...
コン、コン。部屋のドアがノックされた。
「誰か来ちゃったね。私どいたほうがいいのかな?---それとも...
なんという二択を迫ってくるんだろうか。彼女は。緊張の余り...
”ロック”
彼女はそうつぶやくと、ドアのノブがカチャリと音を立てた。
「ルイズ。魔法・・・・・・使えるのか」
まさか彼女に力があるなんで思ってなかった。そして思わず『...
「うふふっ、不思議な力でしょ。でもおにーちゃん、わたしの...
彼女は才人の胸でもぞもぞと動いて顔を上げた。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
ノックの主の声が聞こえた。サイトはその声には聞き覚えがあ...
「サイト殿。ここを開けていただけませんか」
彼女は悪戯っぽ笑みを零しドアの方を振り返り、その声の主に...
「あ、おねーちゃん。えへへ。今はそのドア開かないよー」
「まぁまぁ。ルイズったらおいたはだめでしょ」
ドアの向こうの声の主はそういうと続けてこう唱えたのだった。
”アンロック”
一瞬の間に彼女のかけた魔法が解かれ、ガチャリとドアが開け...
才人は首を上げてドアの開いたほうを見た。そこにはある部分...
「か、カトレアさん?!」
才人は声を呑んだ。
カトレアは才人をみて天使のような微笑をたたえた。
「しばらくぶりです。サイト殿。」
カトレアは彼女に目を移した。
「まぁルイズったら、なんて格好してるんでしょう」
その言葉とは裏腹にカトレアはころころと笑っているのであっ...
374 名前: 桃色Sisters(1/2) [sage] 投稿日: 2007/11/10(土...
才人は馬乗りになっているルイズにちらりと目をやって再びカ...
「カトレアさん。やっぱりルイズはルイズなんですよね?」
「そうですよ。」
首を小さく傾けてカトレアは微笑んだ。
彼はさらに言葉を続ける。
「でも向こうにいるときと性格が変わってない?」
彼女は人差し指を形のよい唇にそっと添えて答えた。
「そう。でもね『なぜ』って今は聞いちゃダメですよ。それは...
カトレアは才人から妹へ優しい眼差しを向けて言葉をかけた。
「さぁさぁ、ルイズ。お兄さんをお姉さんに貸して頂戴ね。」
ルイズは桃色に染まったほほを少しふくらかしていたが、可愛...
そして彼女は姉の横をすり抜け際、片目を閉じてちょびっと舌...
胸から腹にかけて彼女のぬくもりが残っているのが少しこそば...
カトレアが才人の勉強机の椅子に座って、彼と向い合わせにな...
「サイト殿・・・いえ、才人さん。あの子には向こうの記憶を閉じ...
私たちはいつまでもこの世界に留まっていることもたぶんでき...
もし貴方がこの世界に戻ったままで、あの子の記憶をそのまま...
「そんなの変だ。」
才人は彼女の言葉をさえぎった。
「あいつはーーールイズは、俺のこと思ってくれてここまで来...
「−−−そうね」
伏し目がちにカトレアは言葉を挟む。
「それなのに記憶を奪っちまうなんて、あんまりだろ。そっち...
再び彼女は才人に目線を合わせた。そしてゆっくりと宥めるよ...
「才人さん、貴方はどうしたい?私は貴方にこの世界に戻るべ...
そして貴方は戻ってきた。・・・でもね、その次にどうするのかは...
妹よりも深い鳶色の双眸は才人を真っ直ぐに見つめていた。彼...
「この世界に残るか、私たちの世界にまた行くのか・・・どっちを...
貴方たちには辛い選択になる。でも選ばなくてはならないの。
その答えを私に聴かせて。そうしたら妹の記憶を戻しましょう...
数秒の沈黙の後、才人は口を開いた。
「インターネットもしたい、こっちの仲間とも遊びたい。そし...
そこで言葉を切った。彼は両膝の上に拳を握り締める。
「けどさ・・・あっちの世界でどうしようもなく『大事なもん』を...
正直言うと迷った。まじで迷った。でも、それでも、あいつの...
最後に才人ははっきりと言い切ったのだった。
「俺はハルケギニアに戻る」
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
375 名前: 桃色Sisters(2/3) [sage] 投稿日: 2007/11/10(土...
才人の決心を聞き届けたカトレアは少し目じりを下げ、柔らか...
才人はその笑みに心を洗われるような感覚を覚えた。そして同...
「ところで、カトレアさん。あなたはなぜこの世界に来たんで...
小首をかしげながら彼女は答えた。
「ひとつは、妹のことが心配だったからなの。あとひとつはね...
カトレアさんの身体?そうか、彼女は元から身体が弱くて実家...
「才人さん、貴方、幼少の頃身体が弱かったんですってね」
突然自分に話を振られて驚いたが、肯定の返事を返す。
「貴方の話は、妹からよく聞いていたの。あの子に何でも話せ...
あはは。才人は照れ隠しにぽりぽり頭をかいた。
「貴方の症状と私の今の症状がよく似ていたの。そして今の貴...
だから、もしかしらたわたしもこちらに来れば治るかもしれな...
「てことは、病院に行ったんですか?」
彼が言葉を挟んだ。
「ええ。お医者さんのお話だと、半年くらいここの薬を飲めば...
でもここにはそんなに長くは居れないんですよね。まさか半年...
「そのまさかなの」
ころころと彼女は笑った。
「才人、カトレアさん。晩御飯よ降りてらっしゃい」
「おにーちゃん。おねーちゃん、いつまでふたりでいるのール...
一階から母とルイズの呼び声が響く。
ふたりは視線をあわせるとくすりと笑った。
いきますか。彼の言葉に彼女は首肯で返した。そして家族の待...
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
「おっそーーーい。」
ルイズがふくれっ面でお出迎えである。
食卓には彼の好物カレーライスとサラダ。そして少しアンマッ...
久々の懐かしい料理に彼の目頭が熱くなった。
「いだだきます」
才人は手を合わせて、真っ先に味噌汁へと手を伸ばした。味噌...
「母ちゃんうめー。さいこー」
この晩餐がもしかしたら最後になってしまうかもしれない。そ...
母はにこりと笑う。そしてその笑みが彼に決意の口を開かせた。
「母ちゃん・・・俺さ・・・またしばらくしたらここ出ることにした...
色々心配ばっかかけてるけど、大丈夫だから、俺向こうでもが...
そう。分かったわ。母は笑みをたたえながら一言返すだけだっ...
カトレアは彼を優しく見つめている。一方、ルイズは目を見開...
「わ、わたしはどーなるの?またひとりになっちゃうの?」
ルイズは身を乗り出して彼に詰め寄った。
ルイズ。カトレアは妹に呼びかけると小声で何かを呟いた。彼...
ルイズは再び固まった。そして10秒ちょっとたって我に返った。
「・・・・あ、あれ?わたし・・・ここ・・・え・・・サイト?ちぃねえ...
あたふたする彼女にちいねえさまは彼女のイスをぽんぽんと叩...
「あらあらルイズったら。お座んなさい」
彼女はちょこんと座りなおすと顔を赤くして俯いた。そしてご...
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
376 名前: 桃色Sisters(3/3) [sage] 投稿日: 2007/11/10(土...
「お母さま。申し訳ありませんでした。こっちが本当のルイズ...
姉は母に頭を下げた。
「分かってたわよ。カトレアさん。おなかを痛めた子が誰だっ...
でも二人も娘ができてお母さんは嬉しいばかりよ」
さすがというか母は何も動じる様子はなく、笑っているのであ...
「さあ、冷めないうちに召し上がれ」
母は三人の子どもたちに食事をすすめた。
しばらく黙っていたルイズも才人の国のミススープやカレーラ...
そして母と姉と3人で色々話をして楽しく過ごしたのだった。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
食事の後、才人は自分の部屋へ荷物の整理に戻っていった。
食卓には母とカトレア、そしてルイズが残っていた。
「サイトのお母様。ごめんなさい。」
ルイズは謝った。
「どうしたの。ルイズちゃん」
母は彼女の頭をなでて問いかけた。
「だって、サイト・・・さんを向こうへ連れて行っちゃうから・・・...
彼女は頭をたれもじもじしして言った。
そんな彼女に母は微笑とともに言葉をかけた。
「ルイズちゃん。男の子ってのはね。いつかは家を飛び出して...
そして自分で新しい家を作るのよ。新しい家族と一緒にね。わ...
そして言葉を続けた。
「あの子はあなたの事がとっても大切なのね。聞かなくても分...
−−−そしてあなたも。好きになってくれたのね。あの子のこと。...
ルイズの心の奥底に母の言葉が響き渡った。彼女のほほに熱い...
「あの子のこと、お願いね」
母はそういってルイズをぎゅっと抱きしめたのだった。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
旅立ちの日。
才人の部屋でゲートが開いた。三人は母に向かい合う。
「いってらっしゃい。」
母はただ一言そういって手をふった。
その言葉に背中を押され、三人はゲートをくぐって行くのだっ...
「才人、元気でね。」
息子の消えゆく背中に母は声をかけていた。
〜Fin〜
終了行:
125 名前: 桃色Sisters [sage] 投稿日: 2007/10/14(日) 16:...
ハルケギニアからついに元の世界に戻ってきた才人。
しかし、彼には心残りになっていることがあった。
ハルケギニアの地を去る時、その場にルイズの姿がなかったの...
彼の地で苦楽を共にしてきたご主人さま。一緒に過ごしていく...
主人と使い魔という関係からお互い惹かれあった女の子と男の...
トリスティンで近衛騎士という身分を与えられ、数々の戦いの...
彼女の実家。ラ・ヴァリエール家の当主からも一応二人の仲を...
彼女には耐え切れないことだったのかもしれない。永遠の別れ...
彼女は多分大泣きしたに違いない。でもそれが才人の決心を鈍...
ルイズは自分の想いを抑え込んで立ち会わなかった。そう才人...
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
久々の自分の部屋--3年という月日を感じさせないくらい何も変...
彼の母親は毎日掃除をしてくれていたのだろう。綿ボコリひと...
懐かしむかのように才人は自分のベットに触れ、そしてゆっく...
瞳を閉じてみた。いつものベットの匂い。干したてのような太...
帰って来れたんだ----安堵のため息と共に言葉が漏れた。
あいつ、どうしてるかな・・・異世界に置いてきてしまった恋...
ルイズ----愛しいその名を紡ぎ出し・・・・才人は夢の世界へ...
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
ハルケギニアの面々が出てくる夢から才人は引き戻された--母...
「才人!?」
突然の息子の帰還に驚きを隠せずに母はその場に立ち尽くした。
久しぶりの母子の対面に才人も照れを隠せず頭を垂れた。
「・・・た、だたいま。かあさん。」
息子の変わらない声に母は満面の笑みを浮かべて彼のそばに歩...
「良かったわ。元気そうね・・・本当に良かった・・・」
そういいながら、才人の頭を包み込むように抱き寄せた。
「心配かけて、ごめん。」
才人の頬を暖かいものが伝っていった。
母は才人の頭をくしゃくしゃと撫でて言った。
「あの子も首長くして待ってたのよ。早く顔見せてやんなさい...
才人は首をかしげた。両親の他に俺を待っているヤツなんてい...
「あの子?ってダレだっけ??」
才人の問いかけに母は口を開けて驚いていた。
「何言ってんのよ、この子は・・・あなたの可愛い妹でしょう?」
「えええええええ!!?」
想定外の母の言葉に才人は絶叫した。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
「ルイズちゃん、お兄ちゃん戻ってきてるわよー」
「おかーさん。ほんとー!?」
パタパタパタ--元気良く階段を駆け上がってくる音が聞こえた。
「るるるルイズ?!」
才人は目の前に現れた桃色髪を後ろに束ねた少女に愕然とした。
298 名前: 桃色Sisters [sage] 投稿日: 2007/10/19(金) 13:...
桃色かかったブロンド髪に鳶色の目。
とても長い間逢えなかったような。とても逢いたかった。その...
おにーちゃん。お帰りなさいっ!!言葉と同時に才人に飛び込ん...
兄妹の再会を見届けた母はそっと部屋から出て行った。
彼女の柔らかでほのかに桜色ががった両腕が才人の首に絡めら...
ふわっとした髪の束が才人の頬をなでさすった。そして「彼女...
彼女は才人が座っていたベットに折り重なるようにして倒れこ...
おにーちゃんって----この状況を才人はどう受け止めていいの...
見た目はもう完全に彼女そのものなのに…
「な、なぁ。る、ルイズだよな?」
「・・・・・」
彼女は無言のまま肩を震わせるばかりだ。
どうしたもんかな。彼女に馬乗りになられ、抱きつかれる格好...
焦りつつ、おそるおそるではあるが彼女の頭を左の手でやさし...
あれ?まだこれ消えてないや。左手に刻まれたルーンはなぜか...
二人の絆は消えていなかった---心の中に温かい気持ちが広がっ...
「そのままでいいから。聞いててくれ。俺、今まで魔法の世界...
そこでこいつのためなら死んでもいいってくらい護りたいやつ...
同じ名前。ルイズってゆー女の子さ。おまえとおなじ年格好だ...
才人はいまだ抱きついたまま離れようとしない彼女に自分の身...
語った。可愛いことにところどころで彼女は才人の肩に顔を埋...
それが妙に嬉しくて何度も何度も才人は彼女の頭を愛しむよう...
「そんなにわたしに似ていたの?」
黙って聞いていた彼女が埋めていた顔を上げ才人を見下ろして...
その目は赤く、頬は涙で濡れ、その濡れた頬に乱れた髪が何本...
「うん。とても似てる。まるで生き写しみたいだよ」
すると彼女は薄く頬を桃色に染め、才人から目線を逸らす。そ...
「その子のこと。好き?」
「好き。大好きだ。」
「今でも?」
「ああ、いまでも」
「---逢いたい?」
その彼女の問いかけに叶わぬとは知りながら、しかしはっきり...
「当然。今すぐにでも---逢いたいさ」
才人の瞳から想いが溢れ出す----
「ルイズ・・・ルイズ・・・」
「きっと逢えるわ。お兄ちゃん---」
愛おしい人を見るかのように彼女の瞳が才人を捉えていた。そ...
切ない思いのかけらをその指で拭ってくれた。
「もう泣かないで。逢いたい人はここにいるんだから---」
才人は何も言えずに彼女を胸へと抱き寄せた。
543 名前: 桃色Sisters [sage] 投稿日: 2007/10/28(日) 00:...
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
抱き寄せた彼女の桃髪の匂いは紛れもなくルイズのものだった。
離れてしまわないように才人はしっかりと抱きしめた。
「----おにーちゃん。わたしのこと、その人と同じように『ル...
才人に強く抱きしめられながら彼女はつぶやいた。彼女の言葉...
「どきどき。聞こえるよ。すっごくドキドキしてるね----」
彼女は才人を見透かしたように言葉を継いだ。
俺、どうしたらいいんだろ。思い余って抱きしめたまではいい...
コン、コン。部屋のドアがノックされた。
「誰か来ちゃったね。私どいたほうがいいのかな?---それとも...
なんという二択を迫ってくるんだろうか。彼女は。緊張の余り...
”ロック”
彼女はそうつぶやくと、ドアのノブがカチャリと音を立てた。
「ルイズ。魔法・・・・・・使えるのか」
まさか彼女に力があるなんで思ってなかった。そして思わず『...
「うふふっ、不思議な力でしょ。でもおにーちゃん、わたしの...
彼女は才人の胸でもぞもぞと動いて顔を上げた。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
ノックの主の声が聞こえた。サイトはその声には聞き覚えがあ...
「サイト殿。ここを開けていただけませんか」
彼女は悪戯っぽ笑みを零しドアの方を振り返り、その声の主に...
「あ、おねーちゃん。えへへ。今はそのドア開かないよー」
「まぁまぁ。ルイズったらおいたはだめでしょ」
ドアの向こうの声の主はそういうと続けてこう唱えたのだった。
”アンロック”
一瞬の間に彼女のかけた魔法が解かれ、ガチャリとドアが開け...
才人は首を上げてドアの開いたほうを見た。そこにはある部分...
「か、カトレアさん?!」
才人は声を呑んだ。
カトレアは才人をみて天使のような微笑をたたえた。
「しばらくぶりです。サイト殿。」
カトレアは彼女に目を移した。
「まぁルイズったら、なんて格好してるんでしょう」
その言葉とは裏腹にカトレアはころころと笑っているのであっ...
374 名前: 桃色Sisters(1/2) [sage] 投稿日: 2007/11/10(土...
才人は馬乗りになっているルイズにちらりと目をやって再びカ...
「カトレアさん。やっぱりルイズはルイズなんですよね?」
「そうですよ。」
首を小さく傾けてカトレアは微笑んだ。
彼はさらに言葉を続ける。
「でも向こうにいるときと性格が変わってない?」
彼女は人差し指を形のよい唇にそっと添えて答えた。
「そう。でもね『なぜ』って今は聞いちゃダメですよ。それは...
カトレアは才人から妹へ優しい眼差しを向けて言葉をかけた。
「さぁさぁ、ルイズ。お兄さんをお姉さんに貸して頂戴ね。」
ルイズは桃色に染まったほほを少しふくらかしていたが、可愛...
そして彼女は姉の横をすり抜け際、片目を閉じてちょびっと舌...
胸から腹にかけて彼女のぬくもりが残っているのが少しこそば...
カトレアが才人の勉強机の椅子に座って、彼と向い合わせにな...
「サイト殿・・・いえ、才人さん。あの子には向こうの記憶を閉じ...
私たちはいつまでもこの世界に留まっていることもたぶんでき...
もし貴方がこの世界に戻ったままで、あの子の記憶をそのまま...
「そんなの変だ。」
才人は彼女の言葉をさえぎった。
「あいつはーーールイズは、俺のこと思ってくれてここまで来...
「−−−そうね」
伏し目がちにカトレアは言葉を挟む。
「それなのに記憶を奪っちまうなんて、あんまりだろ。そっち...
再び彼女は才人に目線を合わせた。そしてゆっくりと宥めるよ...
「才人さん、貴方はどうしたい?私は貴方にこの世界に戻るべ...
そして貴方は戻ってきた。・・・でもね、その次にどうするのかは...
妹よりも深い鳶色の双眸は才人を真っ直ぐに見つめていた。彼...
「この世界に残るか、私たちの世界にまた行くのか・・・どっちを...
貴方たちには辛い選択になる。でも選ばなくてはならないの。
その答えを私に聴かせて。そうしたら妹の記憶を戻しましょう...
数秒の沈黙の後、才人は口を開いた。
「インターネットもしたい、こっちの仲間とも遊びたい。そし...
そこで言葉を切った。彼は両膝の上に拳を握り締める。
「けどさ・・・あっちの世界でどうしようもなく『大事なもん』を...
正直言うと迷った。まじで迷った。でも、それでも、あいつの...
最後に才人ははっきりと言い切ったのだった。
「俺はハルケギニアに戻る」
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
375 名前: 桃色Sisters(2/3) [sage] 投稿日: 2007/11/10(土...
才人の決心を聞き届けたカトレアは少し目じりを下げ、柔らか...
才人はその笑みに心を洗われるような感覚を覚えた。そして同...
「ところで、カトレアさん。あなたはなぜこの世界に来たんで...
小首をかしげながら彼女は答えた。
「ひとつは、妹のことが心配だったからなの。あとひとつはね...
カトレアさんの身体?そうか、彼女は元から身体が弱くて実家...
「才人さん、貴方、幼少の頃身体が弱かったんですってね」
突然自分に話を振られて驚いたが、肯定の返事を返す。
「貴方の話は、妹からよく聞いていたの。あの子に何でも話せ...
あはは。才人は照れ隠しにぽりぽり頭をかいた。
「貴方の症状と私の今の症状がよく似ていたの。そして今の貴...
だから、もしかしらたわたしもこちらに来れば治るかもしれな...
「てことは、病院に行ったんですか?」
彼が言葉を挟んだ。
「ええ。お医者さんのお話だと、半年くらいここの薬を飲めば...
でもここにはそんなに長くは居れないんですよね。まさか半年...
「そのまさかなの」
ころころと彼女は笑った。
「才人、カトレアさん。晩御飯よ降りてらっしゃい」
「おにーちゃん。おねーちゃん、いつまでふたりでいるのール...
一階から母とルイズの呼び声が響く。
ふたりは視線をあわせるとくすりと笑った。
いきますか。彼の言葉に彼女は首肯で返した。そして家族の待...
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
「おっそーーーい。」
ルイズがふくれっ面でお出迎えである。
食卓には彼の好物カレーライスとサラダ。そして少しアンマッ...
久々の懐かしい料理に彼の目頭が熱くなった。
「いだだきます」
才人は手を合わせて、真っ先に味噌汁へと手を伸ばした。味噌...
「母ちゃんうめー。さいこー」
この晩餐がもしかしたら最後になってしまうかもしれない。そ...
母はにこりと笑う。そしてその笑みが彼に決意の口を開かせた。
「母ちゃん・・・俺さ・・・またしばらくしたらここ出ることにした...
色々心配ばっかかけてるけど、大丈夫だから、俺向こうでもが...
そう。分かったわ。母は笑みをたたえながら一言返すだけだっ...
カトレアは彼を優しく見つめている。一方、ルイズは目を見開...
「わ、わたしはどーなるの?またひとりになっちゃうの?」
ルイズは身を乗り出して彼に詰め寄った。
ルイズ。カトレアは妹に呼びかけると小声で何かを呟いた。彼...
ルイズは再び固まった。そして10秒ちょっとたって我に返った。
「・・・・あ、あれ?わたし・・・ここ・・・え・・・サイト?ちぃねえ...
あたふたする彼女にちいねえさまは彼女のイスをぽんぽんと叩...
「あらあらルイズったら。お座んなさい」
彼女はちょこんと座りなおすと顔を赤くして俯いた。そしてご...
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
376 名前: 桃色Sisters(3/3) [sage] 投稿日: 2007/11/10(土...
「お母さま。申し訳ありませんでした。こっちが本当のルイズ...
姉は母に頭を下げた。
「分かってたわよ。カトレアさん。おなかを痛めた子が誰だっ...
でも二人も娘ができてお母さんは嬉しいばかりよ」
さすがというか母は何も動じる様子はなく、笑っているのであ...
「さあ、冷めないうちに召し上がれ」
母は三人の子どもたちに食事をすすめた。
しばらく黙っていたルイズも才人の国のミススープやカレーラ...
そして母と姉と3人で色々話をして楽しく過ごしたのだった。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
食事の後、才人は自分の部屋へ荷物の整理に戻っていった。
食卓には母とカトレア、そしてルイズが残っていた。
「サイトのお母様。ごめんなさい。」
ルイズは謝った。
「どうしたの。ルイズちゃん」
母は彼女の頭をなでて問いかけた。
「だって、サイト・・・さんを向こうへ連れて行っちゃうから・・・...
彼女は頭をたれもじもじしして言った。
そんな彼女に母は微笑とともに言葉をかけた。
「ルイズちゃん。男の子ってのはね。いつかは家を飛び出して...
そして自分で新しい家を作るのよ。新しい家族と一緒にね。わ...
そして言葉を続けた。
「あの子はあなたの事がとっても大切なのね。聞かなくても分...
−−−そしてあなたも。好きになってくれたのね。あの子のこと。...
ルイズの心の奥底に母の言葉が響き渡った。彼女のほほに熱い...
「あの子のこと、お願いね」
母はそういってルイズをぎゅっと抱きしめたのだった。
∽ ∽ ∽ ∽ ∽
旅立ちの日。
才人の部屋でゲートが開いた。三人は母に向かい合う。
「いってらっしゃい。」
母はただ一言そういって手をふった。
その言葉に背中を押され、三人はゲートをくぐって行くのだっ...
「才人、元気でね。」
息子の消えゆく背中に母は声をかけていた。
〜Fin〜
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