ゼロの使い魔保管庫
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667 :人生の終焉 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/18(火) 11:58:48 ID...
さて、どこから話したもんかな。
しかしなんでまた、先生の話なんか聞きたがるかね。
…へえ?『ハルケギニアを変えた男』の過去に興味があるって?
まあねえ。当代随一の使い手だしな、一応。
夫婦揃ってクソ強いし。
ウチが喧嘩売りたくない貴族の一つだな間違いなく。
…悪ぃ、何度もした話かこれ。
さてと。じゃあ、どこから聞きたい?
…マテ。夫婦のなれ初めってお前。
よーするに、あのおっさんの色恋の話が聞きたいだけか!
なになに?本音は課題がめんどいから?弱点握ってなんとかし...
…まあなあ。あの人のその辺の話は確かに弱点になるし、もの凄...
しかしお前もズル賢いな、そんな手で課題なんとかしようって...
…ってーか、母さんに聞こうって思わんかったのか。色恋の話だ...
…いやまあたしかに、母さんそのへんの話に関しちゃ口堅いけど...
わかった。じゃあ、出会いの所から生還した所までの話はこな...
今日は、あのおっさんが、人生の墓場に到着した時の話をして...
いやもうこれが、笑える話でねえ…。
668 :人生の終焉 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/18(火) 12:00:03 ID...
その日。
トリステイン魔法学院のある研究室で、その事件は起こった。
まず、その日の朝、王都からその研究室の主に、書簡が届いた。
王家の封蝋の施されたそれは、なんと近衛騎士団である銃士隊...
金髪の隊長は『なんで私が、あの男の所に書簡を届けなければ...
『ちゃんと本人に手渡してきてね。人に預けてはいけません。...
実はそれはその勅命を下した女王の陰謀で、普段からまるで姉...
隊長は不機嫌な顔で真っ直ぐ研究室に向かった。ぶっきらぼう...
すると、そこにいたのはその部屋の住人ではなかった。
ゲルマニアからの留学生。真紅の髪に褐色の肌の、扇情的な体...
その女生徒は『ああら、女王の腰巾着様。ウチのジャンに何か...
その女生徒と隊長は以前、ここの部屋の主を殺すの殺さないの...
しかし隊長はそんな挑発に乗るほど子供ではなかった。冷静に...
王からの勅命で王家からの書簡を直接ここの主に届けに来た、...
自分の挑発に一切乗らない隊長に、女生徒は軽く苛立ちを覚え...
女生徒は隊長ほど齢を重ねていない。それゆえの若さが、隊長...
女生徒は隊長をねめつけ、『書簡なら私がジャンに渡しておき...
当然部屋の主と女生徒は婚姻関係などにはない。女生徒の一方...
しかし、何故かその発言に、隊長はカチンときた。きてしまっ...
そして思わず応えてしまう。無視しておけばいいのに。
『あの男が結婚したなどとは初耳だな。お前まさかゲルマニア...
微熱の二つ名を戴く女生徒の心に、その言葉はあっさりと火を...
女生徒はひきつりながら『間諜とは失敬な。いずれは妻になる...
隊長はその台詞がまた耳に障った。何故かは分からないが、無...
思わず立ち上がり、『本人の意思がなければ婚姻には至らぬと...
書簡をひらひらさせながら。それが失敗だった。
女生徒はその隙を見逃さず、その書簡を奪い取ろうと手を伸ば...
戦闘訓練を積んだ隊長は一瞬でその事に気付き、書簡を手元へ...
それを察した女生徒も、慌てて書簡を引く。
そして悲劇は起こった。
書簡の大して頑丈でない封はあっさりと破れ、中身が床にぶち...
その中身は革でできた表紙の中に、二つ折りの紙を挟んだもの。
片方に女性の全身の肖像、片方にその女性の詳細なプロフィー...
俗に言う、『お見合い』の紹介状であった。
そしてその上に、女王直筆の、少し大きめの字で書かれた便箋...
669 :人生の終焉 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/18(火) 12:00:30 ID...
そこにはこう書かれていた。『ミスタ・コルベールへ。そろそ...
二人はその場で固まる。
女王のセッティングしたお見合い。王家の紹介した結婚相手。...
もし断れば王家のメンツを潰す事になる。貴族ならば痛いほど...
女生徒と隊長は固まったまま、その女性のデータを無意識に脳...
まずは肖像。
座っている椅子のサイズから考えて、身長はさほどでもない。...
真っ直ぐに伸びたアッシュブロンドは手入れが行き届いており...
体つきは華奢だったが、女性としての丸みはしっかり有してお...
そしてプロフィール。
けっこうな大貴族の次女で、見た目の割りにけっこうとうが立...
今はアカデミーで研究顧問をしているらしい。属性は『土』。...
趣味は他の研究のレポートを聞くことと、料理にガーデニング。
性格はおっとりとしたのんびりやで、少々抜けたところがある...
二人は焦った。
部屋の主の好みはわからないが、世の男性に問うたら、二人と...
その時。悲劇が更に加速する事態が起こった。
部屋の主が帰ってきたのだ。
主は二人を確認すると教師らしく二人にきちんと挨拶し、そし...
二人は慌てて、女生徒は便箋と書簡の残骸を、隊長は肖像を後...
なんですそれは、と尋ねる部屋の主に、二人は『な、なんでも...
二人は揃ってそれじゃあ!また後で!と部屋の主に挨拶すると...
部屋の主はなんだったんだろう、としばらく首を捻っていたが...
670 :人生の終焉 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/18(火) 12:00:51 ID...
二人はしばらく走った後、塔の陰に隠れて顔を見合わせた。そ...
な、なんでアンタが慌ててんのよ!き、貴公こそさきほどの余...
そして、大変な事に気づく。
二人がした行為は立派な叛逆罪である。王家の書簡を隠匿し、...
しかし、この行為をなかったことにする方法が、一つだけあっ...
そう。この見合いを、ハナから破談にしてしまえばよい。
つまり、ジャン・コルベールに、結婚を同意した意中の相手が...
それに相応しいのは、この私、キュルケ・アウグスタ・フレデ...
…ヤツに償いをさせるのは、この私、アニエス・シュヴァリエ・...
二人はもう一度お互いに視線を交わすと、書簡の残骸と見合い...
小さな焚き火を挟んで、二人はコルベールの縁談を破談にする...
[[「人生の終焉」投票所]]
[[24-85]]孔明の罠〜アニエスのばあい
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667 :人生の終焉 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/18(火) 11:58:48 ID...
さて、どこから話したもんかな。
しかしなんでまた、先生の話なんか聞きたがるかね。
…へえ?『ハルケギニアを変えた男』の過去に興味があるって?
まあねえ。当代随一の使い手だしな、一応。
夫婦揃ってクソ強いし。
ウチが喧嘩売りたくない貴族の一つだな間違いなく。
…悪ぃ、何度もした話かこれ。
さてと。じゃあ、どこから聞きたい?
…マテ。夫婦のなれ初めってお前。
よーするに、あのおっさんの色恋の話が聞きたいだけか!
なになに?本音は課題がめんどいから?弱点握ってなんとかし...
…まあなあ。あの人のその辺の話は確かに弱点になるし、もの凄...
しかしお前もズル賢いな、そんな手で課題なんとかしようって...
…ってーか、母さんに聞こうって思わんかったのか。色恋の話だ...
…いやまあたしかに、母さんそのへんの話に関しちゃ口堅いけど...
わかった。じゃあ、出会いの所から生還した所までの話はこな...
今日は、あのおっさんが、人生の墓場に到着した時の話をして...
いやもうこれが、笑える話でねえ…。
668 :人生の終焉 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/18(火) 12:00:03 ID...
その日。
トリステイン魔法学院のある研究室で、その事件は起こった。
まず、その日の朝、王都からその研究室の主に、書簡が届いた。
王家の封蝋の施されたそれは、なんと近衛騎士団である銃士隊...
金髪の隊長は『なんで私が、あの男の所に書簡を届けなければ...
『ちゃんと本人に手渡してきてね。人に預けてはいけません。...
実はそれはその勅命を下した女王の陰謀で、普段からまるで姉...
隊長は不機嫌な顔で真っ直ぐ研究室に向かった。ぶっきらぼう...
すると、そこにいたのはその部屋の住人ではなかった。
ゲルマニアからの留学生。真紅の髪に褐色の肌の、扇情的な体...
その女生徒は『ああら、女王の腰巾着様。ウチのジャンに何か...
その女生徒と隊長は以前、ここの部屋の主を殺すの殺さないの...
しかし隊長はそんな挑発に乗るほど子供ではなかった。冷静に...
王からの勅命で王家からの書簡を直接ここの主に届けに来た、...
自分の挑発に一切乗らない隊長に、女生徒は軽く苛立ちを覚え...
女生徒は隊長ほど齢を重ねていない。それゆえの若さが、隊長...
女生徒は隊長をねめつけ、『書簡なら私がジャンに渡しておき...
当然部屋の主と女生徒は婚姻関係などにはない。女生徒の一方...
しかし、何故かその発言に、隊長はカチンときた。きてしまっ...
そして思わず応えてしまう。無視しておけばいいのに。
『あの男が結婚したなどとは初耳だな。お前まさかゲルマニア...
微熱の二つ名を戴く女生徒の心に、その言葉はあっさりと火を...
女生徒はひきつりながら『間諜とは失敬な。いずれは妻になる...
隊長はその台詞がまた耳に障った。何故かは分からないが、無...
思わず立ち上がり、『本人の意思がなければ婚姻には至らぬと...
書簡をひらひらさせながら。それが失敗だった。
女生徒はその隙を見逃さず、その書簡を奪い取ろうと手を伸ば...
戦闘訓練を積んだ隊長は一瞬でその事に気付き、書簡を手元へ...
それを察した女生徒も、慌てて書簡を引く。
そして悲劇は起こった。
書簡の大して頑丈でない封はあっさりと破れ、中身が床にぶち...
その中身は革でできた表紙の中に、二つ折りの紙を挟んだもの。
片方に女性の全身の肖像、片方にその女性の詳細なプロフィー...
俗に言う、『お見合い』の紹介状であった。
そしてその上に、女王直筆の、少し大きめの字で書かれた便箋...
669 :人生の終焉 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/18(火) 12:00:30 ID...
そこにはこう書かれていた。『ミスタ・コルベールへ。そろそ...
二人はその場で固まる。
女王のセッティングしたお見合い。王家の紹介した結婚相手。...
もし断れば王家のメンツを潰す事になる。貴族ならば痛いほど...
女生徒と隊長は固まったまま、その女性のデータを無意識に脳...
まずは肖像。
座っている椅子のサイズから考えて、身長はさほどでもない。...
真っ直ぐに伸びたアッシュブロンドは手入れが行き届いており...
体つきは華奢だったが、女性としての丸みはしっかり有してお...
そしてプロフィール。
けっこうな大貴族の次女で、見た目の割りにけっこうとうが立...
今はアカデミーで研究顧問をしているらしい。属性は『土』。...
趣味は他の研究のレポートを聞くことと、料理にガーデニング。
性格はおっとりとしたのんびりやで、少々抜けたところがある...
二人は焦った。
部屋の主の好みはわからないが、世の男性に問うたら、二人と...
その時。悲劇が更に加速する事態が起こった。
部屋の主が帰ってきたのだ。
主は二人を確認すると教師らしく二人にきちんと挨拶し、そし...
二人は慌てて、女生徒は便箋と書簡の残骸を、隊長は肖像を後...
なんですそれは、と尋ねる部屋の主に、二人は『な、なんでも...
二人は揃ってそれじゃあ!また後で!と部屋の主に挨拶すると...
部屋の主はなんだったんだろう、としばらく首を捻っていたが...
670 :人生の終焉 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/18(火) 12:00:51 ID...
二人はしばらく走った後、塔の陰に隠れて顔を見合わせた。そ...
な、なんでアンタが慌ててんのよ!き、貴公こそさきほどの余...
そして、大変な事に気づく。
二人がした行為は立派な叛逆罪である。王家の書簡を隠匿し、...
しかし、この行為をなかったことにする方法が、一つだけあっ...
そう。この見合いを、ハナから破談にしてしまえばよい。
つまり、ジャン・コルベールに、結婚を同意した意中の相手が...
それに相応しいのは、この私、キュルケ・アウグスタ・フレデ...
…ヤツに償いをさせるのは、この私、アニエス・シュヴァリエ・...
二人はもう一度お互いに視線を交わすと、書簡の残骸と見合い...
小さな焚き火を挟んで、二人はコルベールの縁談を破談にする...
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