ゼロの使い魔保管庫
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85 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/21(...
見合いの紹介状を灰に還すと、アニエスは馬を飛ばし、王都へ...
しかし王宮へは戻らない。
もし王宮に戻れば、女王に紹介状を燃やした事がばれてしまう。
虚偽の報告をしたところで、数日でその嘘はばれ、アニエスは...
アニエスが向かったのは、馴染みの薬屋。
ここで、才人をあーしたりこーしたりする薬を買うのが常なの...
今回は、標的が違う。
相手はにっくきあの男。
ジャン・コルベール。あの男を追い落とすために、必要な薬を...
奥まった所にあるガラスのケースの中身を眺める。
しかし、どれもこれも、作戦を遂行するには足りない。
そう、足りない。どれもこれも、決定打には至らない。
…どうしたものか。
「あれ?アニエス?」
信じられない声がした。
「ちょ、なんでっ!」
そこにいたのは。
後ろで小さく纏められた短めの黒髪に、トリステインでは珍し...
女王アンリエッタが平民に扮した姿…『アン』がいた。
「ていうか、へい…あなた、公む…じゃなくて、仕事はっ!?」
さすがにこの場で公務がどうのとか、陛下とか呼んでしまうの...
「…ちょっと、抜け出してきちゃった」
アンはてへ、と舌を出して笑う。
「なぁにやってんですかぁぁぁぁっ!」
大声で突っ込みを入れ、そして。
王としての自覚とかあるのかコイツわー!
とか心の中で盛大に突っ込みを入れるアニエス。
「大丈夫ですよ、今スキルニルが一生懸命書類にサインしてま...
そう言う問題じゃなーーーーい!
一体、どれだけの重要書類が、本人ではなくスキルニルのサイ...
しかしアンはそんなアニエスには一切取り合わず。
胸元に抱いた小さな紙袋から、小さな木箱を出して見せた。
「そんなことより、いいものを手に入れたんですよ♪」
その木箱は綺麗な青と赤に塗り分けられていた。
「…なんですか?それ」
五分の四呆れながら、とりあえずアニエスは尋ねる。
86 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/21(...
アンはうふふ、と意味ありげな笑みを浮かべ、そしてアニエス...
「これはね。確実に世継ぎを授かるく・す・り♪」
「え」
一瞬動きを止めたアニエスに、アンは自慢げに続ける。
「コレを呑むとね、即座に身体が『オンナ』になるんです。
で、そこで殿方としちゃえば…やだ、私ったら何考えてるのか...
真っ赤になって頭をぶんぶん振りながら、イケナイ妄想に浸る...
そのアンから、アニエスは木箱を即座に奪い取る。
「ちょっと、返してアニエス!」
「…これは没収です。これ使ってアナタ、何するつもりなんです...
「決まっています。あの方のやや子を…やだもうっ、これ以上言...
照れながらアニエスの肩をばしん!と叩くアン。
止まれ。いいから止まれ色ボケ女王。
そう心の中だけで突っ込みながら、アニエスは木箱を懐へしま...
「ダメです。今そんなことをしたら、どれだけ混乱が起きると...
これは、時機が来るまで私が預かります」
「えー。それ高かったのにぃー」
「関係ありません。さ、早く仕事に戻ってください」
アニエスはアンを薬屋の外へ連れ出し、王宮を指差して指示す...
早くこの女王を王宮に戻さないと。
そして。
この千載一遇のチャンスを、モノにしないと。
アニエスの思いが天に通じたのか、アンは渋々といった体でア...
「わかりました…。今回は引く事にします。でも、ちゃんと機会...
王宮への道を歩き始めたと思ったら、急に振り返ってそんなこ...
いやいーから。さっさとカエレ。
「はいはい。分かりましたから仕事に戻ってください」
アニエスが呆れたようにそう言うと、アンはもう振り返らなか...
…やった。まさか、こんないいものが手に入るとは…!
アニエスは手の中の木箱を見つめて心の中でほくそ笑む。
彼女の中では、着々と炎蛇を篭絡する作戦が組みあがりつつあ...
そして王宮の執務室。
『アン』に化けたスキルニルが、元の人形に戻った事を、アン...
「さて。薬は無事彼女の手に渡ったみたいね。
ここからは、彼女次第。お手並み拝見といきましょうか」
謀を終えた女王は、書類の山の中でそんな事をひとりごちるの...
120 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
コルベールは状況が把握できないでいた。
学院で来訪者にいきなり呼び出されたと思ったら、手持ち式の...
「いいから黙って来い」
半眼で恫喝するアニエスに、コルベールは手を上げて抵抗の意...
何の用なんなんだろう、と疑問に思ったが、アニエスのただな...
そして、正門前に用意されていた軍用のごつい馬車に乗せられ...
がたごとと馬車に揺られて、二時間も経っただろうか。
停まった場所は、街道沿いの大きな街。その、かなり豪華な食...
アニエスはコルベールを伴い、予約した者だが、と自分の名を...
しかし門衛は、槍を交差させたまま微動だにしない。そして、...
「当店は盛装のお客様のみのご利用となっております。盛装に...
アニエスははっとして、しまった、と呟く。この店のルールを...
アニエスは呆気に取られるコルベールを引っ張り、近所にある...
そして、店のドアを開けると、対応に出てきた店員にコルベー...
「このハゲ頭に似合う一張羅を今すぐ仕立ててくれ。代金は私...
言って自分も、鎧を外し、軽装になる。
「ついでに私のドレスも頼む。急ぎでな」
そして、息をつく間もなく。
あれよあれよと言う間にコルベールは、上等な絹糸で織られた...
…今度顔を合わせたら、次こそこの騒動の意味を問うてみよう。
流されて流されてここまで来てしまったが、そもそもの原因は...
そして、コルベールが決意を新たにしていると、女性用の仕立...
「ちょっと、いきなりどうしてこんな…ことを…」
言おうとした言葉が喉の奥で絡みつき、留まる。
目の前に、信じられないほど美しい貴婦人がいた。
薄い蒼の生地に、銀の薔薇の刺繍が美しく彩られたドレス。
その薔薇に寄り添う蝶をイメージして、大きめの白いリボンが...
少し恥ずかしそうに桃色に染まった頬の、短い金髪を後ろでシ...
「…何を呆れた顔をしている」
アニエスには見とれるコルベールの顔がそう映ったのだろう。...
その不機嫌そうな表情すら、可憐に取れてしまう。
「いや…あのですね…」
口ごもるコルベールの腕を、さっきと変わらない力強さで、ア...
「早く来い。女に恥をかかせるな」
言ってアニエスは、照れるコルベールを引きずって、先ほどの...
121 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
「いいか。これは単なる礼だからな。
二度も命を助けられて、何の礼もしなくては、まるで私が希...
それに、いい機会だから言っておく。私は故郷の復讐を忘れ...
言いながら、赤い頬で目の前の料理を切り分けるアニエス。
まるで照れ隠しにまくしたてているようだ。
コルベールはとりあえず、これはそういうことなんだと納得し...
とりあえず言っておく事にする。
「でも、いきなりこんな事しなくても、事前に言ってくれれば」
「それでは遅いのだっ!」
コルベールの反論に、アニエスがだん!とテーブルを叩く。
個室になっているおかげで他の客に迷惑はかからない。だが、...
「い、いや、なんでもない!」
アニエスはそう言って店員を下がらせる。
コルベールは先ほどのアニエスの言葉に疑問を抱いた。
「…どうしてそんなに急がなくてはいけないのです?」
それは、言うわけにはいかなかった。
まさか、王家からコルベールに紹介された見合いを破談にする...
それに、目的はそれだけではない。
「…お前が役立たずになる前にどうにかしようと思ってな」
「はい?どういう意味…」
言いながら、コルベールの視点が定まらなくなってくる。
…こ、これは…何かの…。
それがワインに解かされた薬がもたらした効果だと気付いた時...
「…連れが酔って寝てしまった。部屋を用意してくれ…」
遠のく意識の中、コルベールは店員にそう告げるアニエスの声...
122 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
コルベールが目を醒ますと、とんでもない事になっていた。
全裸で、頑丈な椅子に縛り付けられていたのだ。
それだけではない。
目の前でとんでもない光景が展開していた。
足元で、短い金髪が上下に揺れている。
具体的に言うと。
アニエスがおフェラの真っ最中だった。
ちゅぱちゅぱと濡れた音を立てながら、アニエスは一心不乱に...
コルベールが目を醒ましたのも、この音と刺激が原因だった。
「ちょ、ちょっと何してるんですかっ!」
コルベールが声を上げたので、アニエスは口に咥えていたモノ...
粘ついた唾液とコルベールの先走りの混合物がアニエスの唇か...
そう、アニエスも全裸だった。
「見てのとおりだ。女性に奉仕されたことはないのか?」
見上げながら、さも当然の行為ようにアニエスは呟く。
「そういう意味じゃなくてですねぇっ、何でこんなことしてる...
慌てるコルベールに、アニエスはあくまで冷静に言い放つ。
「もちろん、刺激して勃起させるためだ。フニャフニャでは役...
「いやだから!なんで私を勃起させる必要が」
そこまで言ったコルベールの唇を、アニエスは乱暴に奪った。
驚いて固まるコルベールの唇を、アニエスは愛おしそうに舌で...
しばらくそうすると、満足したのか、唇を離す。
そして言った。
「言っただろう…女に恥をかかせるな、と」
言ってコルベールの太股の上に自分の太股を乗せ、ペタン、と...
綺麗な桃色に充血し、その先端を尖らせて興奮を示す乳首と、...
金色の草原が縁取るその性器は、淫らな蜜によって、ぬらぬら...
コルベールの喉がごくり、と鳴る。
「命を二度も救われた。
…これは、私なりのその礼のつもりだ」
言って、そのまま真っ直ぐに勃ったコルベールをまたぐ。
123 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
反論の余地もなく、アニエスは一瞬でコルベールを飲み込む。
そして淫靡に腰をくねらせ、コルベールに至上の快感を与える。
アニエスの中は弾力に満ちて、そして幾重にも折りたたまれた...
「くぁっ…こ、これはぁっ…!」
コルベールはただ送り込まれてくるその快感に堪えるしかない。
アニエスは遠慮なく腰を進め、膣の最奥でコルベールの先端を...
「はぁ…あたってる…」
そこでさらに捻りを加え、相手だけでなく自分にも快楽を刷り...
ぎゅうぎゅうと締め付け、吸い上げ、絡みつくアニエスの名器...
「くぅ…!なんてっ…すごっ…」
背筋を襲う心地よい悪寒に、ただ堪えるしかない。
そんなコルベールを抱き締め、アニエスは囁く。
「そして…忘れるな。
私は、お前を恨んでいる…。一生かけて、償わせてやる…!」
そして、コルベールがその言葉の意味を問う前に、一気に腰を...
ぐちゃ!ぐちゅ!ぶちゅぅっ!
融けた肉の摩擦音が部屋に響き、お互いの中で快楽が弾ける。
「あぁ!くる!おくまで来るッ!出せっ、全部中にだせっ!」
「くぅ、ダメだ、こんなっ、いかんっ!」
女が男を嬲るという異常な情景が、二人の快楽から歯止めを奪...
牝の肢体が跳ね、牡を貪り、そして貪欲なまでに精を求めて締...
しかし。
先に限界を迎えたのはアニエスだった。
「あ、らめ、いきたくな、まだだめぇッ!」
自分の身体の限界を叫び、コルベールの首に抱きつき、腰に脚...
きゅうぅぅぅぅぅぅぅぅーっ!
凶悪なまでにアニエスの膣が蠕動し、コルベールを締め付け、...
124 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
「く、だめだ、もうっ!」
しかし、牡も限界だった。
どくどくどくどくどくどく…!
ギリギリまで高められた熱い衝動が溢れ出し、アニエスの膣襞...
いよいよ、アニエスの企みが、成る時が来た。
「あ、きた、いっぱいきたぁ…!」
蕩けたような笑顔で、コルベールの精を受け入れるアニエス。
その子宮口は、精液の到達を知るや、大きく開門する。
そして、まるでそこが捕食を行う器官であるかのように、吐き...
その奥、卵巣から続く卵管からは、薬の影響によって排出され...
奔流となった熱い白濁は、卵管から吐き出されたその卵を一瞬...
まるで砂糖に群がる蟻のように、無数のコルベールの種がアニ...
卵の周囲に張り巡らされた薄い薄い皮膜は瞬く間に一つの種に...
そして、種は卵の最奥まで貫き、融け合う。
そしてすぐに。
命を吹き込まれた卵は二つに割れ、四つに割れ、新しい命の刻...
アニエスの胎内に、にっくき仇の子が宿された瞬間だった。
125 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
精液の排出が終わるまで、アニエスはコルベールを束縛し続け...
全ての精液を搾り取ると、アニエスは満足し、コルベールを解...
「…どうして、こんな事をしたんですか」
開放されたコルベールは、まずそう言い放った。
軽く顔が怒っているように見えるのは、気のせいではないだろ...
しかし、この男に対していまや圧倒的なアドバンテージを獲て...
アニエスはにやりと嗤って言った。
「そんな事を言う前に、精液と愛液でベトベトの一物をなんと...
言われて気づいたコルベールは、慌てて手近に会った布で己を...
刺激に起ちそうになる息子をなだめながら、改めてアニエスの...
そしてすぐそっぽを向く。
アニエスは、その肢体を隠す事もせず、精液と愛液の垂れる女...
「さて、どうして、と尋ねたな?
これは復讐だよ」
成った復讐に、満足そうに嗤うアニエス。
しかし、そっぽを向いたままのコルベールにその表情は見えな...
むしろ見たらまずい事になる。自分の息子が。
コルベールは顔を逸らしたまま尋ねた。
「ど、どうしてこんなことが復讐になるんですかっ」
「言ったろう?一生かけて償わせてやる、と。
実はな、私はここに来る前に、ある薬を飲んできた」
そう、それはアンリエッタから奪ったあの薬。
呑めば確実に『オンナ』になる薬。それは、強制的に排卵を促...
アニエスは続ける。
「その薬を飲んで性交すれば、確実に妊娠できる。
お前がたっぷり出してくれたおかげで、今私は確実に妊娠で...
…ああ、わかる、わかるぞ。私の胎内で命が芽吹いているのが...
言ってアニエスは満足そうに下腹部を愛でる。
そしてコルベールを見る。
面白いように蒼白になっていた。あの炎蛇が。
「さて、この場合、トリステインの男はどうやって責任を取る...
言ってにっこり笑う。とてもとても幸せそうに。
「…い、いや、あの」
しかしコルベールも踏ん切りがつかない。
いくらなんでも、好いていない相手と結婚するのは。
「あ、あなたはいいんですか!?好きでもない相手と結婚など...
126 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
しかし、その台詞は即座に否定される。
「何を言っている。私はお前を愛している」
コルベールが固まった。
アニエスはベッドから立ち上がり、そっとコルベールを抱き締...
その抱擁はあくまで優しく、その微笑は慈愛に満ちており、と...
「本当だぞ。二回も命を救われた、命の恩人だしな。いい男だ...
言ってつつつ、とコルベールの背中に指を這わせる。
「じゃ、じゃあなぜ復讐ができると」
そこまで言ったコルベールの耳元で。
今度は悪魔のように囁いた。
「…ふふ。カンタンな理屈だよ。
私はお前と結婚して、幸せな家庭を築くんだ。子供もすぐに...
私は一生涯かけてお前を愛し続けると、誓ってもいい。
だから」
言ってコルベールから離れて。
下腹部に手を当て、恐ろしい計画を未来の夫に話し始めた。
「復讐は、この子に託すことにする。
この子に教えてやる。
お前の父親は、お母さんの故郷を焼き払い、さらに復讐を誓...
お前は自分の子供に一生蔑まれて生きるんだ」
「ちょ、ま、なんてことを!」
しかし、絶望するコルベールにアニエスはにっこり笑って言っ...
「大丈夫だ、お前がいくら子供に蔑まれても…。
私が代わりに、全身全霊を以って愛してやる」
そして、愛を込めて愛する男を抱き締めたのだった。
127 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
〜十三年後、とある貴族の家にて〜
「でさあ、ホントの所、キミお父さんのこと恨んでる?」
「ううん全然。まあたしかに外道だとは思うけどさあ」
「そりゃあねえ。復讐しにきたお母さんを押し倒して乱暴して...
「でもさ、最近それってヘンじゃね?とか思うようになってき...
「なんで?それ全部お母さんが言ってたんじゃないの?」
「そうだけどさ。だってさ、それ話すお母さんがさあ…なんてい...
「何?」
「うん、嬉しそうなんだよ、すっごく。普通そういうのって、...
「まあそうだけど」
「それにさ、別に外道でもいいんじゃなかな?」
「なんで?」
「お母さんがお父さんを好きだから。お父さんもなんのかんの...
結局愛し合ってんだよ、あの二人は」
「…歪んでんなー、キミんち」
「…お前んとこに言われたくないぞ…」〜fin
終了行:
85 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/21(...
見合いの紹介状を灰に還すと、アニエスは馬を飛ばし、王都へ...
しかし王宮へは戻らない。
もし王宮に戻れば、女王に紹介状を燃やした事がばれてしまう。
虚偽の報告をしたところで、数日でその嘘はばれ、アニエスは...
アニエスが向かったのは、馴染みの薬屋。
ここで、才人をあーしたりこーしたりする薬を買うのが常なの...
今回は、標的が違う。
相手はにっくきあの男。
ジャン・コルベール。あの男を追い落とすために、必要な薬を...
奥まった所にあるガラスのケースの中身を眺める。
しかし、どれもこれも、作戦を遂行するには足りない。
そう、足りない。どれもこれも、決定打には至らない。
…どうしたものか。
「あれ?アニエス?」
信じられない声がした。
「ちょ、なんでっ!」
そこにいたのは。
後ろで小さく纏められた短めの黒髪に、トリステインでは珍し...
女王アンリエッタが平民に扮した姿…『アン』がいた。
「ていうか、へい…あなた、公む…じゃなくて、仕事はっ!?」
さすがにこの場で公務がどうのとか、陛下とか呼んでしまうの...
「…ちょっと、抜け出してきちゃった」
アンはてへ、と舌を出して笑う。
「なぁにやってんですかぁぁぁぁっ!」
大声で突っ込みを入れ、そして。
王としての自覚とかあるのかコイツわー!
とか心の中で盛大に突っ込みを入れるアニエス。
「大丈夫ですよ、今スキルニルが一生懸命書類にサインしてま...
そう言う問題じゃなーーーーい!
一体、どれだけの重要書類が、本人ではなくスキルニルのサイ...
しかしアンはそんなアニエスには一切取り合わず。
胸元に抱いた小さな紙袋から、小さな木箱を出して見せた。
「そんなことより、いいものを手に入れたんですよ♪」
その木箱は綺麗な青と赤に塗り分けられていた。
「…なんですか?それ」
五分の四呆れながら、とりあえずアニエスは尋ねる。
86 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/21(...
アンはうふふ、と意味ありげな笑みを浮かべ、そしてアニエス...
「これはね。確実に世継ぎを授かるく・す・り♪」
「え」
一瞬動きを止めたアニエスに、アンは自慢げに続ける。
「コレを呑むとね、即座に身体が『オンナ』になるんです。
で、そこで殿方としちゃえば…やだ、私ったら何考えてるのか...
真っ赤になって頭をぶんぶん振りながら、イケナイ妄想に浸る...
そのアンから、アニエスは木箱を即座に奪い取る。
「ちょっと、返してアニエス!」
「…これは没収です。これ使ってアナタ、何するつもりなんです...
「決まっています。あの方のやや子を…やだもうっ、これ以上言...
照れながらアニエスの肩をばしん!と叩くアン。
止まれ。いいから止まれ色ボケ女王。
そう心の中だけで突っ込みながら、アニエスは木箱を懐へしま...
「ダメです。今そんなことをしたら、どれだけ混乱が起きると...
これは、時機が来るまで私が預かります」
「えー。それ高かったのにぃー」
「関係ありません。さ、早く仕事に戻ってください」
アニエスはアンを薬屋の外へ連れ出し、王宮を指差して指示す...
早くこの女王を王宮に戻さないと。
そして。
この千載一遇のチャンスを、モノにしないと。
アニエスの思いが天に通じたのか、アンは渋々といった体でア...
「わかりました…。今回は引く事にします。でも、ちゃんと機会...
王宮への道を歩き始めたと思ったら、急に振り返ってそんなこ...
いやいーから。さっさとカエレ。
「はいはい。分かりましたから仕事に戻ってください」
アニエスが呆れたようにそう言うと、アンはもう振り返らなか...
…やった。まさか、こんないいものが手に入るとは…!
アニエスは手の中の木箱を見つめて心の中でほくそ笑む。
彼女の中では、着々と炎蛇を篭絡する作戦が組みあがりつつあ...
そして王宮の執務室。
『アン』に化けたスキルニルが、元の人形に戻った事を、アン...
「さて。薬は無事彼女の手に渡ったみたいね。
ここからは、彼女次第。お手並み拝見といきましょうか」
謀を終えた女王は、書類の山の中でそんな事をひとりごちるの...
120 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
コルベールは状況が把握できないでいた。
学院で来訪者にいきなり呼び出されたと思ったら、手持ち式の...
「いいから黙って来い」
半眼で恫喝するアニエスに、コルベールは手を上げて抵抗の意...
何の用なんなんだろう、と疑問に思ったが、アニエスのただな...
そして、正門前に用意されていた軍用のごつい馬車に乗せられ...
がたごとと馬車に揺られて、二時間も経っただろうか。
停まった場所は、街道沿いの大きな街。その、かなり豪華な食...
アニエスはコルベールを伴い、予約した者だが、と自分の名を...
しかし門衛は、槍を交差させたまま微動だにしない。そして、...
「当店は盛装のお客様のみのご利用となっております。盛装に...
アニエスははっとして、しまった、と呟く。この店のルールを...
アニエスは呆気に取られるコルベールを引っ張り、近所にある...
そして、店のドアを開けると、対応に出てきた店員にコルベー...
「このハゲ頭に似合う一張羅を今すぐ仕立ててくれ。代金は私...
言って自分も、鎧を外し、軽装になる。
「ついでに私のドレスも頼む。急ぎでな」
そして、息をつく間もなく。
あれよあれよと言う間にコルベールは、上等な絹糸で織られた...
…今度顔を合わせたら、次こそこの騒動の意味を問うてみよう。
流されて流されてここまで来てしまったが、そもそもの原因は...
そして、コルベールが決意を新たにしていると、女性用の仕立...
「ちょっと、いきなりどうしてこんな…ことを…」
言おうとした言葉が喉の奥で絡みつき、留まる。
目の前に、信じられないほど美しい貴婦人がいた。
薄い蒼の生地に、銀の薔薇の刺繍が美しく彩られたドレス。
その薔薇に寄り添う蝶をイメージして、大きめの白いリボンが...
少し恥ずかしそうに桃色に染まった頬の、短い金髪を後ろでシ...
「…何を呆れた顔をしている」
アニエスには見とれるコルベールの顔がそう映ったのだろう。...
その不機嫌そうな表情すら、可憐に取れてしまう。
「いや…あのですね…」
口ごもるコルベールの腕を、さっきと変わらない力強さで、ア...
「早く来い。女に恥をかかせるな」
言ってアニエスは、照れるコルベールを引きずって、先ほどの...
121 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
「いいか。これは単なる礼だからな。
二度も命を助けられて、何の礼もしなくては、まるで私が希...
それに、いい機会だから言っておく。私は故郷の復讐を忘れ...
言いながら、赤い頬で目の前の料理を切り分けるアニエス。
まるで照れ隠しにまくしたてているようだ。
コルベールはとりあえず、これはそういうことなんだと納得し...
とりあえず言っておく事にする。
「でも、いきなりこんな事しなくても、事前に言ってくれれば」
「それでは遅いのだっ!」
コルベールの反論に、アニエスがだん!とテーブルを叩く。
個室になっているおかげで他の客に迷惑はかからない。だが、...
「い、いや、なんでもない!」
アニエスはそう言って店員を下がらせる。
コルベールは先ほどのアニエスの言葉に疑問を抱いた。
「…どうしてそんなに急がなくてはいけないのです?」
それは、言うわけにはいかなかった。
まさか、王家からコルベールに紹介された見合いを破談にする...
それに、目的はそれだけではない。
「…お前が役立たずになる前にどうにかしようと思ってな」
「はい?どういう意味…」
言いながら、コルベールの視点が定まらなくなってくる。
…こ、これは…何かの…。
それがワインに解かされた薬がもたらした効果だと気付いた時...
「…連れが酔って寝てしまった。部屋を用意してくれ…」
遠のく意識の中、コルベールは店員にそう告げるアニエスの声...
122 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
コルベールが目を醒ますと、とんでもない事になっていた。
全裸で、頑丈な椅子に縛り付けられていたのだ。
それだけではない。
目の前でとんでもない光景が展開していた。
足元で、短い金髪が上下に揺れている。
具体的に言うと。
アニエスがおフェラの真っ最中だった。
ちゅぱちゅぱと濡れた音を立てながら、アニエスは一心不乱に...
コルベールが目を醒ましたのも、この音と刺激が原因だった。
「ちょ、ちょっと何してるんですかっ!」
コルベールが声を上げたので、アニエスは口に咥えていたモノ...
粘ついた唾液とコルベールの先走りの混合物がアニエスの唇か...
そう、アニエスも全裸だった。
「見てのとおりだ。女性に奉仕されたことはないのか?」
見上げながら、さも当然の行為ようにアニエスは呟く。
「そういう意味じゃなくてですねぇっ、何でこんなことしてる...
慌てるコルベールに、アニエスはあくまで冷静に言い放つ。
「もちろん、刺激して勃起させるためだ。フニャフニャでは役...
「いやだから!なんで私を勃起させる必要が」
そこまで言ったコルベールの唇を、アニエスは乱暴に奪った。
驚いて固まるコルベールの唇を、アニエスは愛おしそうに舌で...
しばらくそうすると、満足したのか、唇を離す。
そして言った。
「言っただろう…女に恥をかかせるな、と」
言ってコルベールの太股の上に自分の太股を乗せ、ペタン、と...
綺麗な桃色に充血し、その先端を尖らせて興奮を示す乳首と、...
金色の草原が縁取るその性器は、淫らな蜜によって、ぬらぬら...
コルベールの喉がごくり、と鳴る。
「命を二度も救われた。
…これは、私なりのその礼のつもりだ」
言って、そのまま真っ直ぐに勃ったコルベールをまたぐ。
123 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
反論の余地もなく、アニエスは一瞬でコルベールを飲み込む。
そして淫靡に腰をくねらせ、コルベールに至上の快感を与える。
アニエスの中は弾力に満ちて、そして幾重にも折りたたまれた...
「くぁっ…こ、これはぁっ…!」
コルベールはただ送り込まれてくるその快感に堪えるしかない。
アニエスは遠慮なく腰を進め、膣の最奥でコルベールの先端を...
「はぁ…あたってる…」
そこでさらに捻りを加え、相手だけでなく自分にも快楽を刷り...
ぎゅうぎゅうと締め付け、吸い上げ、絡みつくアニエスの名器...
「くぅ…!なんてっ…すごっ…」
背筋を襲う心地よい悪寒に、ただ堪えるしかない。
そんなコルベールを抱き締め、アニエスは囁く。
「そして…忘れるな。
私は、お前を恨んでいる…。一生かけて、償わせてやる…!」
そして、コルベールがその言葉の意味を問う前に、一気に腰を...
ぐちゃ!ぐちゅ!ぶちゅぅっ!
融けた肉の摩擦音が部屋に響き、お互いの中で快楽が弾ける。
「あぁ!くる!おくまで来るッ!出せっ、全部中にだせっ!」
「くぅ、ダメだ、こんなっ、いかんっ!」
女が男を嬲るという異常な情景が、二人の快楽から歯止めを奪...
牝の肢体が跳ね、牡を貪り、そして貪欲なまでに精を求めて締...
しかし。
先に限界を迎えたのはアニエスだった。
「あ、らめ、いきたくな、まだだめぇッ!」
自分の身体の限界を叫び、コルベールの首に抱きつき、腰に脚...
きゅうぅぅぅぅぅぅぅぅーっ!
凶悪なまでにアニエスの膣が蠕動し、コルベールを締め付け、...
124 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
「く、だめだ、もうっ!」
しかし、牡も限界だった。
どくどくどくどくどくどく…!
ギリギリまで高められた熱い衝動が溢れ出し、アニエスの膣襞...
いよいよ、アニエスの企みが、成る時が来た。
「あ、きた、いっぱいきたぁ…!」
蕩けたような笑顔で、コルベールの精を受け入れるアニエス。
その子宮口は、精液の到達を知るや、大きく開門する。
そして、まるでそこが捕食を行う器官であるかのように、吐き...
その奥、卵巣から続く卵管からは、薬の影響によって排出され...
奔流となった熱い白濁は、卵管から吐き出されたその卵を一瞬...
まるで砂糖に群がる蟻のように、無数のコルベールの種がアニ...
卵の周囲に張り巡らされた薄い薄い皮膜は瞬く間に一つの種に...
そして、種は卵の最奥まで貫き、融け合う。
そしてすぐに。
命を吹き込まれた卵は二つに割れ、四つに割れ、新しい命の刻...
アニエスの胎内に、にっくき仇の子が宿された瞬間だった。
125 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
精液の排出が終わるまで、アニエスはコルベールを束縛し続け...
全ての精液を搾り取ると、アニエスは満足し、コルベールを解...
「…どうして、こんな事をしたんですか」
開放されたコルベールは、まずそう言い放った。
軽く顔が怒っているように見えるのは、気のせいではないだろ...
しかし、この男に対していまや圧倒的なアドバンテージを獲て...
アニエスはにやりと嗤って言った。
「そんな事を言う前に、精液と愛液でベトベトの一物をなんと...
言われて気づいたコルベールは、慌てて手近に会った布で己を...
刺激に起ちそうになる息子をなだめながら、改めてアニエスの...
そしてすぐそっぽを向く。
アニエスは、その肢体を隠す事もせず、精液と愛液の垂れる女...
「さて、どうして、と尋ねたな?
これは復讐だよ」
成った復讐に、満足そうに嗤うアニエス。
しかし、そっぽを向いたままのコルベールにその表情は見えな...
むしろ見たらまずい事になる。自分の息子が。
コルベールは顔を逸らしたまま尋ねた。
「ど、どうしてこんなことが復讐になるんですかっ」
「言ったろう?一生かけて償わせてやる、と。
実はな、私はここに来る前に、ある薬を飲んできた」
そう、それはアンリエッタから奪ったあの薬。
呑めば確実に『オンナ』になる薬。それは、強制的に排卵を促...
アニエスは続ける。
「その薬を飲んで性交すれば、確実に妊娠できる。
お前がたっぷり出してくれたおかげで、今私は確実に妊娠で...
…ああ、わかる、わかるぞ。私の胎内で命が芽吹いているのが...
言ってアニエスは満足そうに下腹部を愛でる。
そしてコルベールを見る。
面白いように蒼白になっていた。あの炎蛇が。
「さて、この場合、トリステインの男はどうやって責任を取る...
言ってにっこり笑う。とてもとても幸せそうに。
「…い、いや、あの」
しかしコルベールも踏ん切りがつかない。
いくらなんでも、好いていない相手と結婚するのは。
「あ、あなたはいいんですか!?好きでもない相手と結婚など...
126 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
しかし、その台詞は即座に否定される。
「何を言っている。私はお前を愛している」
コルベールが固まった。
アニエスはベッドから立ち上がり、そっとコルベールを抱き締...
その抱擁はあくまで優しく、その微笑は慈愛に満ちており、と...
「本当だぞ。二回も命を救われた、命の恩人だしな。いい男だ...
言ってつつつ、とコルベールの背中に指を這わせる。
「じゃ、じゃあなぜ復讐ができると」
そこまで言ったコルベールの耳元で。
今度は悪魔のように囁いた。
「…ふふ。カンタンな理屈だよ。
私はお前と結婚して、幸せな家庭を築くんだ。子供もすぐに...
私は一生涯かけてお前を愛し続けると、誓ってもいい。
だから」
言ってコルベールから離れて。
下腹部に手を当て、恐ろしい計画を未来の夫に話し始めた。
「復讐は、この子に託すことにする。
この子に教えてやる。
お前の父親は、お母さんの故郷を焼き払い、さらに復讐を誓...
お前は自分の子供に一生蔑まれて生きるんだ」
「ちょ、ま、なんてことを!」
しかし、絶望するコルベールにアニエスはにっこり笑って言っ...
「大丈夫だ、お前がいくら子供に蔑まれても…。
私が代わりに、全身全霊を以って愛してやる」
そして、愛を込めて愛する男を抱き締めたのだった。
127 :孔明の罠〜アニエスのばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/12/22...
〜十三年後、とある貴族の家にて〜
「でさあ、ホントの所、キミお父さんのこと恨んでる?」
「ううん全然。まあたしかに外道だとは思うけどさあ」
「そりゃあねえ。復讐しにきたお母さんを押し倒して乱暴して...
「でもさ、最近それってヘンじゃね?とか思うようになってき...
「なんで?それ全部お母さんが言ってたんじゃないの?」
「そうだけどさ。だってさ、それ話すお母さんがさあ…なんてい...
「何?」
「うん、嬉しそうなんだよ、すっごく。普通そういうのって、...
「まあそうだけど」
「それにさ、別に外道でもいいんじゃなかな?」
「なんで?」
「お母さんがお父さんを好きだから。お父さんもなんのかんの...
結局愛し合ってんだよ、あの二人は」
「…歪んでんなー、キミんち」
「…お前んとこに言われたくないぞ…」〜fin
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