ゼロの使い魔保管庫
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開始行:
197 名前: Noe"l de la Charlotte(シャルロットのクリスマ...
降臨祭のイブ。
タバサは自室で熱心に作業していた。
両手に細い棒を持ち、棒の先には紐が絡み合っている。
そう、彼女は編み物をしていたのだ。
傍らには図書館で借りてきた編み物の本が開かれていた。
編み棒の先と本とを交互に見やりながら一生懸命に編んでいる。
あ。
彼女の口から声がもれた。
編み目を一段飛ばしてしまったらしい。
彼女はため息とともに毛糸を引っ張り解いていく。
間に合うかな―――
窓から差し込む陽光の傾きを眺めて、タバサはひとりごちた。
・・・
・・・・・・
太陽がトリスティンの杜に消える頃、なんとかタバサの作業は...
「おねーさまっ、それだれのなのね〜」
彼女の使い魔シルフィードが隣できゅいきゅい叫んでいる。
「ひみつ」
「シルフィにはわかるのねっ、きっときっとあの黒髪の男の子...
「・・・」
「おねーさまが答えないってことはアタリなのねー。サイト、...
ゴスッ。タバサの貫手がシルフィの眉間に突き刺さる。
「いいいいったい。いたいよー。うううう・・・」
シルフィは両手で眉間を押さえてうずくまった。
そんなシルフィに見向きもせず、タバサは部屋から出て行った。
彼女が向かうのはもちろん、サイト(とルイズ)が住んでいる...
彼の部屋の前で立ち止まると、タバサは胸に手を当てて深呼吸...
あがらない。
ちゃんと言う。
ちゃんと渡す。
呪文の様にそう唱えると、意を決して扉を小さな拳でノックし...
「ほーぉい」
暢気なサイトの声がする。
「――わたし」
タバサはそれだけつぶやくと、扉がガチャリと開かれた。
目の前にサイトが立っている。
チラッと上目で彼の顔を確認して、すぐに伏目になってしまっ...
なぜか顔が熱い。まさか、真っ赤になっている?!
わたしの鼓動が早くなる。
「どした?入るだろ?」
彼が優しく声をかけてくれた。ちょっと嬉しい。
わたしは首を縦に小さく振って、部屋の中に入った。
運よくルイズもシエスタも居ないようだ。
今しかない。
198 名前: Noe"l de la Charlotte(シャルロットのクリスマ...
わたしは彼のパーカーの袖を引っ張った。
「これ・・・」
「えっ?おれに??」
彼は目を大きく開いて驚いている。
「そう」
「い、いいの?」
「いい」
もっと話したいのに・・・短い言葉しか出てこないよ。わたしのバ...
「開けていい?」
彼はわくわくしながら聞いてきた。
その表情にわたしの頬が緩んだ。
「開けて」
ガサゴソ。おおおっ。
彼が取り出したのは、わたしが編んだ手袋。
ガリアの城から助け出されたときに握ったあの手にぴったり合...
左手の甲の部分には、護りのルーンを刺繍した。
わたしがそばに居ないときでも護ってあげれるように。
「ありがとう。ぴったりだよ」
彼は早速手袋をつけ、ためつすがめつ眺めている。
「よかった。大事にしてね――っ!?」
すると、彼がいきなりわたしの手を握ってきた。
温かくて、優しいサイトの手。
彼を独り占めしているルイズにちょっとヤキモチを焼いてしま...
「ほんとありがとう。タバサ。でも・・・お返しどうしよ・・・」
少し曇った彼の表情。
いいのに。もう手を握ってくれただけでもお返ししてくれたの...
でも今夜は、ちょっぴりわがままになって、お返しをもらっち...
「お返し。もらうね」
わたしは、サイトの手を強く握り返して、下に引っ張った。
え・・・。サイトは前のめりにバランスを崩す。
その隙にわたしは思い切り爪先立って、彼との距離を縮めた。
彼の唇とわたしのが触れ合った。
んむー!?サイトは思わぬ事態に動揺してる。
わたしはいつまでもそうしたかったけど、誰かがこの部屋に近...
たぶんルイズだろう。
わたしは彼の唇を解放してあげた。
同時に扉が開いた。
そこには桃髪の彼のご主人さまが立っている。
「あんたたち、そこでなにしてるのかしら?」
ルイズの片側の眉がぴくぴく痙攣している。右手に持った杖を...
彼が何やら彼女に言い訳を並べはじめた。
ここはもう退散したほうが良さそうだ。
わたしはルイズと目線が合った。
いっこ勝ち。
すれ違いざまに彼女の耳元に小声でつぶやいた。
「な、なんですって〜」
背後からルイズの罵声とサイトの悲鳴が響いた。
終了行:
197 名前: Noe"l de la Charlotte(シャルロットのクリスマ...
降臨祭のイブ。
タバサは自室で熱心に作業していた。
両手に細い棒を持ち、棒の先には紐が絡み合っている。
そう、彼女は編み物をしていたのだ。
傍らには図書館で借りてきた編み物の本が開かれていた。
編み棒の先と本とを交互に見やりながら一生懸命に編んでいる。
あ。
彼女の口から声がもれた。
編み目を一段飛ばしてしまったらしい。
彼女はため息とともに毛糸を引っ張り解いていく。
間に合うかな―――
窓から差し込む陽光の傾きを眺めて、タバサはひとりごちた。
・・・
・・・・・・
太陽がトリスティンの杜に消える頃、なんとかタバサの作業は...
「おねーさまっ、それだれのなのね〜」
彼女の使い魔シルフィードが隣できゅいきゅい叫んでいる。
「ひみつ」
「シルフィにはわかるのねっ、きっときっとあの黒髪の男の子...
「・・・」
「おねーさまが答えないってことはアタリなのねー。サイト、...
ゴスッ。タバサの貫手がシルフィの眉間に突き刺さる。
「いいいいったい。いたいよー。うううう・・・」
シルフィは両手で眉間を押さえてうずくまった。
そんなシルフィに見向きもせず、タバサは部屋から出て行った。
彼女が向かうのはもちろん、サイト(とルイズ)が住んでいる...
彼の部屋の前で立ち止まると、タバサは胸に手を当てて深呼吸...
あがらない。
ちゃんと言う。
ちゃんと渡す。
呪文の様にそう唱えると、意を決して扉を小さな拳でノックし...
「ほーぉい」
暢気なサイトの声がする。
「――わたし」
タバサはそれだけつぶやくと、扉がガチャリと開かれた。
目の前にサイトが立っている。
チラッと上目で彼の顔を確認して、すぐに伏目になってしまっ...
なぜか顔が熱い。まさか、真っ赤になっている?!
わたしの鼓動が早くなる。
「どした?入るだろ?」
彼が優しく声をかけてくれた。ちょっと嬉しい。
わたしは首を縦に小さく振って、部屋の中に入った。
運よくルイズもシエスタも居ないようだ。
今しかない。
198 名前: Noe"l de la Charlotte(シャルロットのクリスマ...
わたしは彼のパーカーの袖を引っ張った。
「これ・・・」
「えっ?おれに??」
彼は目を大きく開いて驚いている。
「そう」
「い、いいの?」
「いい」
もっと話したいのに・・・短い言葉しか出てこないよ。わたしのバ...
「開けていい?」
彼はわくわくしながら聞いてきた。
その表情にわたしの頬が緩んだ。
「開けて」
ガサゴソ。おおおっ。
彼が取り出したのは、わたしが編んだ手袋。
ガリアの城から助け出されたときに握ったあの手にぴったり合...
左手の甲の部分には、護りのルーンを刺繍した。
わたしがそばに居ないときでも護ってあげれるように。
「ありがとう。ぴったりだよ」
彼は早速手袋をつけ、ためつすがめつ眺めている。
「よかった。大事にしてね――っ!?」
すると、彼がいきなりわたしの手を握ってきた。
温かくて、優しいサイトの手。
彼を独り占めしているルイズにちょっとヤキモチを焼いてしま...
「ほんとありがとう。タバサ。でも・・・お返しどうしよ・・・」
少し曇った彼の表情。
いいのに。もう手を握ってくれただけでもお返ししてくれたの...
でも今夜は、ちょっぴりわがままになって、お返しをもらっち...
「お返し。もらうね」
わたしは、サイトの手を強く握り返して、下に引っ張った。
え・・・。サイトは前のめりにバランスを崩す。
その隙にわたしは思い切り爪先立って、彼との距離を縮めた。
彼の唇とわたしのが触れ合った。
んむー!?サイトは思わぬ事態に動揺してる。
わたしはいつまでもそうしたかったけど、誰かがこの部屋に近...
たぶんルイズだろう。
わたしは彼の唇を解放してあげた。
同時に扉が開いた。
そこには桃髪の彼のご主人さまが立っている。
「あんたたち、そこでなにしてるのかしら?」
ルイズの片側の眉がぴくぴく痙攣している。右手に持った杖を...
彼が何やら彼女に言い訳を並べはじめた。
ここはもう退散したほうが良さそうだ。
わたしはルイズと目線が合った。
いっこ勝ち。
すれ違いざまに彼女の耳元に小声でつぶやいた。
「な、なんですって〜」
背後からルイズの罵声とサイトの悲鳴が響いた。
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