ゼロの使い魔保管庫
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285 名前: えむえむあ〜る 1/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
なんてこったい。
意識を取り戻したサイトは途方にくれていた。
着の身着のまま放り出される方がまだマシだったかも知れな...
『野良魔獣に襲われた時の為に』
多分ルイズが気を回したのだろう。
(……ど、どこまでも不器用な奴)
秋葉原にシャヴァリエのマントを装備した少年が、『AK小...
(捕まるって……)
人通りの無い路地裏で、しばらく悩んでいたサイトだったが...
(警察がそんなにうろうろしているもんでも無いし、何とかな...
――サイトは知らない、昨今の秋葉原の状態を。
元警察庁長官であろうと、任意同行を強制される恐ろしい世...
……サイトが異世界に行った頃は、そんなことは無かった。
「君……ちょっと、良いかね?」
「……げ」
サイトが反射的に逃げようとするが、あっという間に数名の...
(な、なんだこのマドハンド)
「どうして逃げようとするんだい?」
目が笑ってない。
「ちょ、ちょっと急いでて……」
「時間は取らせないから、ちょっと持ち物を見せてもらえるか...
警官の視線は、サイトの抱える銃に向けられていた。
「いや……その……えっと……」
しばらく悩んだサイトだが、おとなしく持ち物を見せること...
(本物だとは思わないだろう)
――サイトは知らない。
ここ最近、日本国内でも銃器の絡んだ事件が起こっているの...
「ほ、本物ぉぉぉぉ!!」
(げぇぇぇっ、バレたっ……)
それでもサイトにはあまり危機感が無かった。
(まさか、乱射すると思われる筈も……)
――サイトは知らない。
アメリカで起きた事件のことを。
286 名前: えむえむあ〜る 2/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
やたらと目つきの鋭い男が、トントンを調書をボールペンの...
「それで、彼は何処から銃を手に入れたのかね?」
「ジュリオ……と、言う男から貰ったらしいのですが……」
「外国人か、厄介な」
自分たちの管理していない『凶器』が、今どれほどこの街に...
「その男の職業や、年齢は?」
「……年齢は彼と同じ程度で……『坊さん』だそうです」
『坊さん』の一言を聞いた瞬間、部屋の空気が止まった。
「……宗教関係……カルトかっ!」
「えぇ……」
男は頭を抱える。
信教の自由は良い、この国の特色だし、すばらしい理念だ。
しかし……
「くそっ、今度は何処の馬鹿だ!」
「平賀君……件の少年ですが、細かいことについては一切教えて...
ハルケギニアだの、ルイズだの、鍵になりそうな言葉を断片...
彼の身に何があったのか、一切不明のままだった。
「保護者が……面会を求めております」
「許可できるかっ!」
そうですね。
年若い男の部下は、平賀容疑者に同情的だった。
「真面目な……良い少年なのですが……」
「良い少年が、銃を持って街中をうろうろするかっ!」
とはいえ、未成年。
しかも長期間の行方不明の後と成れば、そう長く保護者と引...
「おい!」
「はっ」
「できるだけ早く、調書取ってやれ」
随分と分かりにくい優しさに、それでも男の部下は気づいた。
「はいっ」
急いで駆け去る部下の背中を見ながら、男は次の案件の書類...
287 名前: えむえむあ〜る 3/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
「……どーゆーことだ?」
「……分かりません」
調書を取る最中に、平賀少年にふと聞いてみた一言が始まり...
『あんな銃持ってても、そうそう使えるものじゃないしね』
使えない。
持っているだけ。
その一言を引き出そうとした、善意の誘導だった。
『いや、多分使えるはずですよ』
最悪の返答だった。
――平賀少年の言葉は、シューティングレンジで証明された。
それどころか、
「なんだこの成績、奴はオリンピック選手か何かか?」
優秀すぎた。
「分かりません」
こうなってしまっては、簡単に釈放するわけにはいかない。
『他の銃でも、出来ますよ』
平賀少年は得意げに言った。
嘘だと証明するために、幾つかの銃で試射して貰った。
――本当だった。
「しばらく……ここで暮らしてもらうことに成るな」
「……はい」
毎日通う保護者に、なんと伝えるべきか。
男は黙って、ロビーへと向かった。
288 名前: えむえむあ〜る 4/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
「これ……を」
部下は日に日にやつれて行く。
調書は既に、実験の結果報告書に近づいていた。
「五ヶ国語……六ヶ国語か?」
「いえ……今回試せたもので、それだけですので……底がまだ見え...
外国人に拉致されていた可能性がある。
その国を特定するために、幾つかの国の言葉を理解するのか...
「どの国の言葉も、最初は分からないようなのですが」
「フリだろうがっ、結果を見れば分かる!」
どの国の言葉も、見事に理解して見せた。
「工作員としての教育を受けているのか? ……拉致したのは『...
「……いえ……にしては、教育水準が高すぎます」
サイトが扱って見せた銃器の中には、流通の限られているも...
それどころかつてを辿って乗せてみた、自衛隊の最新鋭のヘ...
魔法のような技術に、平賀少年を調べている関係者は悪夢を...
「どれだけ聞いても、『空白の一年』については口にしないの...
「……『洗脳』の線も考えられます」
最悪だった。
一年。
たった一年だ。
一年でありえないレベルの言語教育と、銃器、ナイフどころ...
何に使うんだ? そんな技能にまで習熟していた。
格闘については未熟に見えたが、それも何処まで信用してい...
「彼に何が有ったんだ?」
体に残る傷が、彼の一年を想像させる。
その治療だけでも一年以上掛かりそうな物なのに、彼のスキ...
「治療すら禄に受けられずに……訓練を……」
「そうとしか考えられんな……」
痛ましい話だった。
289 名前: えむえむあ〜る 5/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
「彼に何が有ったのでしょうか?」
部下の目が潤んでいた。
――情に流されるのは愚かな事だと、何度も教えたはずだが。
自分の教育もまだまだだという事だな。
男は反省しながら、考えをまとめた。
「国内で発見された点から考えるに、拠点若しくは目標が日本...
平賀少年と同程度のスキルの持ち主が……
「彼の手の刺青は見たか?」
「はい……あれは、何なのでしょうか?」
考えたくない事実だが……
「俺はシリアルだと思っている」
「は? しかしっ、あの桁はっ!」
甘い!
「国内の行方不明者が、例年どれだけの数になると思っている...
彼と同程度のスキルの持ち主が、あの数居るのだとすれば……...
街中を行く一見普通の少年が、一斉に国会議事堂に突進する...
「あの数は十分に可能だ」
「じゅ、十進数だとは限りませんしね」
そうだな……少なくとも気休めには成る。
燻る煙草をもみ消しながら、男の推論はまだ続いた。
「あの種類の銃を用意できる国は限られている」
「アメリカか……ヨーロッパのどの国か……」
「違うな……」
ならば、あんな所で容易く発見されるはずは無い。
「日本だ」
持込が難しいとはいえ物資の流通量は世界屈指で、検閲も……
「外交官が噛んでいるかも知れんな」
二人の背筋を冷たいものが這い上がった。
(自分たちの手に負えない事件なのではないか?)
そう考えては見ても、他に回せば揉み消されるとしか考えら...
「し、しかし、そんな資金や行動力を持つ組織なんて……」
部下の現実逃避に、男は止めを刺した。
290 名前: えむえむあ〜る 6/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
「なっ……EUでカルト指定を受けている、あそこですかっ!」
「あぁ……例の『会』だ」
宗教法人の登記を受けているくせに、政治に干渉する有り得...
「し、しかし……」
「資金、人員、人脈、あそこなら十分に可能だろう」
不透明な資金で、武器を買い。
豊富な人員で隠蔽活動をする。
訓練地などの問題も、政治家を多数抱える『会』ならば……
考えれば考えるほど有り得る事態に、部下が言葉を失ってい...
男もまた……語る事が尽きていた。
(……さて……どうするか……)
先の見えない戦い。
それでも、自身の正義を信じ、残りの人生をかけて巨悪と戦...
硬く目を瞑り、一心に悩む。
が、答えは簡単に出た。
――考えるまでも……無いな。
自分がこの職業を選んだ理由。
「行くぞ」
部下を従え、男は初めて直接平賀少年を尋問する事にした。
何が有っても真実を探る。その決意と共に。
――留置所にて
「うー、暇だなぁ……」
(TVもねー、ネットもねー、漫画もねー
これって、基本的人権とか、いーのか?)
外部の情報に触れるのを制限するため、サイトには新聞すら...
(あーでも、銃持ってて捕まったら、こんなもんなのかなぁ?)
無知ゆえに、サイトはひたすら耐えていた。
ハルケギニアでの日々が無ければ、耐え切るのは不可能だっ...
緩慢な毒の様にサイトを侵すソレに、心が壊れそうになる寸...
――見覚えの有る光が、サイトの前に現れた。
『帰れる』サイトの心に有ったには、その想いだった。
故郷に帰ってすぐの投獄。
――最早サイトにとっての故郷は、日本ではなく。
「待ってろよ! ルイズっ」
291 名前: えむえむあ〜る 7/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
ヨルムンガルド10体に、使い手とエルフが一人づつ。
ロマリアとガリアの戦力差は明白だった。
ヨルムンガルド一体を倒すのに、エルフ一人を倒すのに、
ルイズ――使い手一人と、サイト――ガンダールヴ一人が必要だ...
ガリアの投入した戦力は、『大人げ無い』としか言いようの...
ヴィットーリオの策は、単に質量の差に敗れた。
策で埋められる戦力差など、高が知れていたのだ。
唯一の勝ち目はジョゼフを殺すことだが、使い手がジョゼフ...
じわじわと弄られ消耗しきった使い手と、三分の一にまで数...
―-ティファニアの使い魔。
語ることすら……そう歌われる、彼女の使い魔にすべてを託す。
必死で説得された彼女がやっと唱えた、『サモン・サーバン...
「サイトっ?」
「ただいま……テファ?」
ゲートから飛び出したサイトを迎えたのは、大きなおっぱい...
少し離れた所にルイズを見つけると、自分を無理やり追い返...
すこーしだけ、意地悪をする事にした。
「テファ……俺、ルイズに捨てられちゃったから、これから使い...
「え? ちょっ……あの……サイト?」
「さぁっ、いまこそコントラクト・サーバントだっ!!」
詠唱も無しで、テファの唇を奪おうとするサイトに、勢い良...
<始祖の魔道書>……分厚くてとても痛い。
「あああ、あんたねぇぇっっっ」
「なーんーでーすーか『元』ご主人様! 俺はこれからおっぱ...
――いつもはおとなしく受けていたルイズの暴行を、今日のサ...
ルイズをしつこくからかいながら、この機会に自分の立場を確...
――虚無を使い、サイトが立ち去った後を見ながらヴィットー...
『自白剤を用意しろっ』
『この器具はどうでしょうか? 効果的な尋問が望めるかと』
『……うむ、この道具の使い方は分かるか?』
ジュリオと共に、異界を覗く。
「聖下、追い返したらたのしそーだなー、とか思ってません?」
「……う〜〜ん、どうしようか?」
「「追い返すのも面白そうだよね?」」
ロマリアの使い手と使い魔は余興が大好きな為、
サイトが調子に乗りすぎるのは、非常に危険なのだけれど……
終了行:
285 名前: えむえむあ〜る 1/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
なんてこったい。
意識を取り戻したサイトは途方にくれていた。
着の身着のまま放り出される方がまだマシだったかも知れな...
『野良魔獣に襲われた時の為に』
多分ルイズが気を回したのだろう。
(……ど、どこまでも不器用な奴)
秋葉原にシャヴァリエのマントを装備した少年が、『AK小...
(捕まるって……)
人通りの無い路地裏で、しばらく悩んでいたサイトだったが...
(警察がそんなにうろうろしているもんでも無いし、何とかな...
――サイトは知らない、昨今の秋葉原の状態を。
元警察庁長官であろうと、任意同行を強制される恐ろしい世...
……サイトが異世界に行った頃は、そんなことは無かった。
「君……ちょっと、良いかね?」
「……げ」
サイトが反射的に逃げようとするが、あっという間に数名の...
(な、なんだこのマドハンド)
「どうして逃げようとするんだい?」
目が笑ってない。
「ちょ、ちょっと急いでて……」
「時間は取らせないから、ちょっと持ち物を見せてもらえるか...
警官の視線は、サイトの抱える銃に向けられていた。
「いや……その……えっと……」
しばらく悩んだサイトだが、おとなしく持ち物を見せること...
(本物だとは思わないだろう)
――サイトは知らない。
ここ最近、日本国内でも銃器の絡んだ事件が起こっているの...
「ほ、本物ぉぉぉぉ!!」
(げぇぇぇっ、バレたっ……)
それでもサイトにはあまり危機感が無かった。
(まさか、乱射すると思われる筈も……)
――サイトは知らない。
アメリカで起きた事件のことを。
286 名前: えむえむあ〜る 2/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
やたらと目つきの鋭い男が、トントンを調書をボールペンの...
「それで、彼は何処から銃を手に入れたのかね?」
「ジュリオ……と、言う男から貰ったらしいのですが……」
「外国人か、厄介な」
自分たちの管理していない『凶器』が、今どれほどこの街に...
「その男の職業や、年齢は?」
「……年齢は彼と同じ程度で……『坊さん』だそうです」
『坊さん』の一言を聞いた瞬間、部屋の空気が止まった。
「……宗教関係……カルトかっ!」
「えぇ……」
男は頭を抱える。
信教の自由は良い、この国の特色だし、すばらしい理念だ。
しかし……
「くそっ、今度は何処の馬鹿だ!」
「平賀君……件の少年ですが、細かいことについては一切教えて...
ハルケギニアだの、ルイズだの、鍵になりそうな言葉を断片...
彼の身に何があったのか、一切不明のままだった。
「保護者が……面会を求めております」
「許可できるかっ!」
そうですね。
年若い男の部下は、平賀容疑者に同情的だった。
「真面目な……良い少年なのですが……」
「良い少年が、銃を持って街中をうろうろするかっ!」
とはいえ、未成年。
しかも長期間の行方不明の後と成れば、そう長く保護者と引...
「おい!」
「はっ」
「できるだけ早く、調書取ってやれ」
随分と分かりにくい優しさに、それでも男の部下は気づいた。
「はいっ」
急いで駆け去る部下の背中を見ながら、男は次の案件の書類...
287 名前: えむえむあ〜る 3/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
「……どーゆーことだ?」
「……分かりません」
調書を取る最中に、平賀少年にふと聞いてみた一言が始まり...
『あんな銃持ってても、そうそう使えるものじゃないしね』
使えない。
持っているだけ。
その一言を引き出そうとした、善意の誘導だった。
『いや、多分使えるはずですよ』
最悪の返答だった。
――平賀少年の言葉は、シューティングレンジで証明された。
それどころか、
「なんだこの成績、奴はオリンピック選手か何かか?」
優秀すぎた。
「分かりません」
こうなってしまっては、簡単に釈放するわけにはいかない。
『他の銃でも、出来ますよ』
平賀少年は得意げに言った。
嘘だと証明するために、幾つかの銃で試射して貰った。
――本当だった。
「しばらく……ここで暮らしてもらうことに成るな」
「……はい」
毎日通う保護者に、なんと伝えるべきか。
男は黙って、ロビーへと向かった。
288 名前: えむえむあ〜る 4/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
「これ……を」
部下は日に日にやつれて行く。
調書は既に、実験の結果報告書に近づいていた。
「五ヶ国語……六ヶ国語か?」
「いえ……今回試せたもので、それだけですので……底がまだ見え...
外国人に拉致されていた可能性がある。
その国を特定するために、幾つかの国の言葉を理解するのか...
「どの国の言葉も、最初は分からないようなのですが」
「フリだろうがっ、結果を見れば分かる!」
どの国の言葉も、見事に理解して見せた。
「工作員としての教育を受けているのか? ……拉致したのは『...
「……いえ……にしては、教育水準が高すぎます」
サイトが扱って見せた銃器の中には、流通の限られているも...
それどころかつてを辿って乗せてみた、自衛隊の最新鋭のヘ...
魔法のような技術に、平賀少年を調べている関係者は悪夢を...
「どれだけ聞いても、『空白の一年』については口にしないの...
「……『洗脳』の線も考えられます」
最悪だった。
一年。
たった一年だ。
一年でありえないレベルの言語教育と、銃器、ナイフどころ...
何に使うんだ? そんな技能にまで習熟していた。
格闘については未熟に見えたが、それも何処まで信用してい...
「彼に何が有ったんだ?」
体に残る傷が、彼の一年を想像させる。
その治療だけでも一年以上掛かりそうな物なのに、彼のスキ...
「治療すら禄に受けられずに……訓練を……」
「そうとしか考えられんな……」
痛ましい話だった。
289 名前: えむえむあ〜る 5/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
「彼に何が有ったのでしょうか?」
部下の目が潤んでいた。
――情に流されるのは愚かな事だと、何度も教えたはずだが。
自分の教育もまだまだだという事だな。
男は反省しながら、考えをまとめた。
「国内で発見された点から考えるに、拠点若しくは目標が日本...
平賀少年と同程度のスキルの持ち主が……
「彼の手の刺青は見たか?」
「はい……あれは、何なのでしょうか?」
考えたくない事実だが……
「俺はシリアルだと思っている」
「は? しかしっ、あの桁はっ!」
甘い!
「国内の行方不明者が、例年どれだけの数になると思っている...
彼と同程度のスキルの持ち主が、あの数居るのだとすれば……...
街中を行く一見普通の少年が、一斉に国会議事堂に突進する...
「あの数は十分に可能だ」
「じゅ、十進数だとは限りませんしね」
そうだな……少なくとも気休めには成る。
燻る煙草をもみ消しながら、男の推論はまだ続いた。
「あの種類の銃を用意できる国は限られている」
「アメリカか……ヨーロッパのどの国か……」
「違うな……」
ならば、あんな所で容易く発見されるはずは無い。
「日本だ」
持込が難しいとはいえ物資の流通量は世界屈指で、検閲も……
「外交官が噛んでいるかも知れんな」
二人の背筋を冷たいものが這い上がった。
(自分たちの手に負えない事件なのではないか?)
そう考えては見ても、他に回せば揉み消されるとしか考えら...
「し、しかし、そんな資金や行動力を持つ組織なんて……」
部下の現実逃避に、男は止めを刺した。
290 名前: えむえむあ〜る 6/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
「なっ……EUでカルト指定を受けている、あそこですかっ!」
「あぁ……例の『会』だ」
宗教法人の登記を受けているくせに、政治に干渉する有り得...
「し、しかし……」
「資金、人員、人脈、あそこなら十分に可能だろう」
不透明な資金で、武器を買い。
豊富な人員で隠蔽活動をする。
訓練地などの問題も、政治家を多数抱える『会』ならば……
考えれば考えるほど有り得る事態に、部下が言葉を失ってい...
男もまた……語る事が尽きていた。
(……さて……どうするか……)
先の見えない戦い。
それでも、自身の正義を信じ、残りの人生をかけて巨悪と戦...
硬く目を瞑り、一心に悩む。
が、答えは簡単に出た。
――考えるまでも……無いな。
自分がこの職業を選んだ理由。
「行くぞ」
部下を従え、男は初めて直接平賀少年を尋問する事にした。
何が有っても真実を探る。その決意と共に。
――留置所にて
「うー、暇だなぁ……」
(TVもねー、ネットもねー、漫画もねー
これって、基本的人権とか、いーのか?)
外部の情報に触れるのを制限するため、サイトには新聞すら...
(あーでも、銃持ってて捕まったら、こんなもんなのかなぁ?)
無知ゆえに、サイトはひたすら耐えていた。
ハルケギニアでの日々が無ければ、耐え切るのは不可能だっ...
緩慢な毒の様にサイトを侵すソレに、心が壊れそうになる寸...
――見覚えの有る光が、サイトの前に現れた。
『帰れる』サイトの心に有ったには、その想いだった。
故郷に帰ってすぐの投獄。
――最早サイトにとっての故郷は、日本ではなく。
「待ってろよ! ルイズっ」
291 名前: えむえむあ〜る 7/7 [sage] 投稿日: 2007/12/26...
ヨルムンガルド10体に、使い手とエルフが一人づつ。
ロマリアとガリアの戦力差は明白だった。
ヨルムンガルド一体を倒すのに、エルフ一人を倒すのに、
ルイズ――使い手一人と、サイト――ガンダールヴ一人が必要だ...
ガリアの投入した戦力は、『大人げ無い』としか言いようの...
ヴィットーリオの策は、単に質量の差に敗れた。
策で埋められる戦力差など、高が知れていたのだ。
唯一の勝ち目はジョゼフを殺すことだが、使い手がジョゼフ...
じわじわと弄られ消耗しきった使い手と、三分の一にまで数...
―-ティファニアの使い魔。
語ることすら……そう歌われる、彼女の使い魔にすべてを託す。
必死で説得された彼女がやっと唱えた、『サモン・サーバン...
「サイトっ?」
「ただいま……テファ?」
ゲートから飛び出したサイトを迎えたのは、大きなおっぱい...
少し離れた所にルイズを見つけると、自分を無理やり追い返...
すこーしだけ、意地悪をする事にした。
「テファ……俺、ルイズに捨てられちゃったから、これから使い...
「え? ちょっ……あの……サイト?」
「さぁっ、いまこそコントラクト・サーバントだっ!!」
詠唱も無しで、テファの唇を奪おうとするサイトに、勢い良...
<始祖の魔道書>……分厚くてとても痛い。
「あああ、あんたねぇぇっっっ」
「なーんーでーすーか『元』ご主人様! 俺はこれからおっぱ...
――いつもはおとなしく受けていたルイズの暴行を、今日のサ...
ルイズをしつこくからかいながら、この機会に自分の立場を確...
――虚無を使い、サイトが立ち去った後を見ながらヴィットー...
『自白剤を用意しろっ』
『この器具はどうでしょうか? 効果的な尋問が望めるかと』
『……うむ、この道具の使い方は分かるか?』
ジュリオと共に、異界を覗く。
「聖下、追い返したらたのしそーだなー、とか思ってません?」
「……う〜〜ん、どうしようか?」
「「追い返すのも面白そうだよね?」」
ロマリアの使い手と使い魔は余興が大好きな為、
サイトが調子に乗りすぎるのは、非常に危険なのだけれど……
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