ゼロの使い魔保管庫
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
単語検索
|
最終更新
|
ヘルプ
]
開始行:
507 名前: これからもよろしく(1/2) [sage] 投稿日: 2008/0...
ヤラの月の第一週フレイヤの週の最初の日。虚無の休日。
ハルケギニアでは始祖の降臨祭の初日にあたる。
ルイズとサイトは、ハルケギニアにはらしからぬ出で立ちで町...
町外れの始祖を祀る教会に行くのである。
ルイズの服は、上下のつなぎの服――脇から袖にかけて長く垂れ...
柄はというと黒地に花の文様が散りばめられており、しかも前...
その紐にも金や朱の糸で美しく刺繍が施されているものだ。
一方のサイトは、黒色で袖の部分が大きくたるんでいる上着を...
ズボンはというと、グレーでかなりだぶついていて、ざっくり...
そう、ふたりは日本でいうところの振袖、羽織袴だったのであ...
サイトの専属メイドのシエスタが実家からわざわざ取り寄せた...
もちろん、二人にこの服装を着せたのも彼女であった。
「ねえ、サイト。これフリソデっていうの。随分歩きにくいわ」
やや内股になり、覚束ない足取りであるくルイズが言った。
「しょーがないって。でも、ルイズ。似合ってる」
サイトはたまに転びそうになっている彼女の手を取って答えた。
桃色がかったブロンドの髪をアップに結ったルイズは、少女で...
サイトはルイズをうっとりした目で見つめていた。
「そ、そう?」
ルイズは少し頬を朱に染め上げ、彼の視線から隠れるように俯...
「う、うれしい・・・」
そうつぶやくと、ルイズはサイトの手を握り返すのだった。
「去年は、色々大変だったよな」
サイトが空を見上げて言った。
その一言にルイズは表情をやや曇らせた。
「・・・サイト。わたしを独りぼっちにしたもんね」
「あれは・・・仕方ないだろが」
「サイト、死んじゃったかと思ったんだもん。それに――」
ルイズの少し震え気味な声。
サイトは、握っていた手を今度はお互いの指が絡み合うように...
(もうだいじょうぶ)
ルイズにも伝わったみたいで、それ以上言葉をつなぐことなく...
彼女の手に力が入った。
(ほんとに?)
サイトも絡めた指を動かして、彼女の手をなでる。
(ほんとだよ)
ルイズは顔を上げ、サイトのほうを見つめ、
彼がやったのと同じように指を動かして彼の手をなでた。
(・・・しんじる)
サイトもルイズのほうを見つめた。
ふたりの視線が絡み合った。
そして、自然とふたりとも笑顔になった。
508 名前: これからもよろしく(2/2) [sage] 投稿日: 2008/0...
教会につき、ふたりは祈りを捧げた。
サイトはこっちの宗教は全く知らなかったが、郷に入ればなん...
帰る道すがら、ルイズはサイトに聞いた。
「ねぇ、サイト。なんてお祈りしたの?」
「・・・おしえねー」
サイトの短い返事に彼女は膨れっ面になった。
「あによ。なんでご主人さまには言えないお願いなのねっ」
「ちがうっての」
「じゃなによ。怒んないから言ってみなさいよ」
「誰かさんの平原が豊かに実りますよー(ゴスッ)ってーよ」
「ほほほんとに。そんな大それたことゆったのかしらぁ?」
「殴ってから怒ってんじゃねーよ。ウソに決まってんだろが、...
「じゃ、何よ。今度はウソついてもダメ。ウソ禁止なの」
サイトは彼女から目をそらしてボソッと言った。
「―――おまえと・・・おまえとこれからもずーっと一緒に居られま...
ルイズはサイトの言葉に虚をつかれたように言葉に詰まった。
そんな彼女を尻目にサイトが言い返す。
「そうゆうおまえはどーなんだよ」
「わ、わたしはいいいいーのよ」
「ずるいっ」
「ず、ずるくないもん。使い魔の気持ちをちゃんとご主人さま...
彼女はなぜか頬を染め、口を尖らせて言い返す。
「ずーるーいー」
じーっとサイトに見つめられ続けて、ルイズは根を上げてしま...
「わ、わかったわよ。言うわよ。でも一回しか言わないもん」
「どーぞ。」
サイトは聞き漏らすまいと耳に手を当てた。
ルイズはきょろきょろと視線をあちこちにやったあげくに小さ...
「サイトが地球にかえりませんよーにってお願い・・・しちゃった...
ルイズの顔がふにゃっと崩れ、サイトにしがみついた。
「だって、やなんだもん。もーひとりはやなんだもん。ずーっ...
嗚咽交じりに彼女は言葉を零す。
泣くな、泣くなって。サイトは愛しむように彼女の肩を抱いた。
「大丈夫。俺はここに残るから。絶対おまえのそば離れないか...
ルイズは首を縦にふった。
「信じろよ」
「――うん」
彼女はもう一度頷いて、涙に濡れた顔を上げた。
サイトはそっと指で彼女の濡れた頬をなでてあげた。
「これからも、ずっとよろしく」
「わたしこそ、よろしく」
二人は軽く唇を合わせ、再び手を取り合って歩きだすのだった。
終了行:
507 名前: これからもよろしく(1/2) [sage] 投稿日: 2008/0...
ヤラの月の第一週フレイヤの週の最初の日。虚無の休日。
ハルケギニアでは始祖の降臨祭の初日にあたる。
ルイズとサイトは、ハルケギニアにはらしからぬ出で立ちで町...
町外れの始祖を祀る教会に行くのである。
ルイズの服は、上下のつなぎの服――脇から袖にかけて長く垂れ...
柄はというと黒地に花の文様が散りばめられており、しかも前...
その紐にも金や朱の糸で美しく刺繍が施されているものだ。
一方のサイトは、黒色で袖の部分が大きくたるんでいる上着を...
ズボンはというと、グレーでかなりだぶついていて、ざっくり...
そう、ふたりは日本でいうところの振袖、羽織袴だったのであ...
サイトの専属メイドのシエスタが実家からわざわざ取り寄せた...
もちろん、二人にこの服装を着せたのも彼女であった。
「ねえ、サイト。これフリソデっていうの。随分歩きにくいわ」
やや内股になり、覚束ない足取りであるくルイズが言った。
「しょーがないって。でも、ルイズ。似合ってる」
サイトはたまに転びそうになっている彼女の手を取って答えた。
桃色がかったブロンドの髪をアップに結ったルイズは、少女で...
サイトはルイズをうっとりした目で見つめていた。
「そ、そう?」
ルイズは少し頬を朱に染め上げ、彼の視線から隠れるように俯...
「う、うれしい・・・」
そうつぶやくと、ルイズはサイトの手を握り返すのだった。
「去年は、色々大変だったよな」
サイトが空を見上げて言った。
その一言にルイズは表情をやや曇らせた。
「・・・サイト。わたしを独りぼっちにしたもんね」
「あれは・・・仕方ないだろが」
「サイト、死んじゃったかと思ったんだもん。それに――」
ルイズの少し震え気味な声。
サイトは、握っていた手を今度はお互いの指が絡み合うように...
(もうだいじょうぶ)
ルイズにも伝わったみたいで、それ以上言葉をつなぐことなく...
彼女の手に力が入った。
(ほんとに?)
サイトも絡めた指を動かして、彼女の手をなでる。
(ほんとだよ)
ルイズは顔を上げ、サイトのほうを見つめ、
彼がやったのと同じように指を動かして彼の手をなでた。
(・・・しんじる)
サイトもルイズのほうを見つめた。
ふたりの視線が絡み合った。
そして、自然とふたりとも笑顔になった。
508 名前: これからもよろしく(2/2) [sage] 投稿日: 2008/0...
教会につき、ふたりは祈りを捧げた。
サイトはこっちの宗教は全く知らなかったが、郷に入ればなん...
帰る道すがら、ルイズはサイトに聞いた。
「ねぇ、サイト。なんてお祈りしたの?」
「・・・おしえねー」
サイトの短い返事に彼女は膨れっ面になった。
「あによ。なんでご主人さまには言えないお願いなのねっ」
「ちがうっての」
「じゃなによ。怒んないから言ってみなさいよ」
「誰かさんの平原が豊かに実りますよー(ゴスッ)ってーよ」
「ほほほんとに。そんな大それたことゆったのかしらぁ?」
「殴ってから怒ってんじゃねーよ。ウソに決まってんだろが、...
「じゃ、何よ。今度はウソついてもダメ。ウソ禁止なの」
サイトは彼女から目をそらしてボソッと言った。
「―――おまえと・・・おまえとこれからもずーっと一緒に居られま...
ルイズはサイトの言葉に虚をつかれたように言葉に詰まった。
そんな彼女を尻目にサイトが言い返す。
「そうゆうおまえはどーなんだよ」
「わ、わたしはいいいいーのよ」
「ずるいっ」
「ず、ずるくないもん。使い魔の気持ちをちゃんとご主人さま...
彼女はなぜか頬を染め、口を尖らせて言い返す。
「ずーるーいー」
じーっとサイトに見つめられ続けて、ルイズは根を上げてしま...
「わ、わかったわよ。言うわよ。でも一回しか言わないもん」
「どーぞ。」
サイトは聞き漏らすまいと耳に手を当てた。
ルイズはきょろきょろと視線をあちこちにやったあげくに小さ...
「サイトが地球にかえりませんよーにってお願い・・・しちゃった...
ルイズの顔がふにゃっと崩れ、サイトにしがみついた。
「だって、やなんだもん。もーひとりはやなんだもん。ずーっ...
嗚咽交じりに彼女は言葉を零す。
泣くな、泣くなって。サイトは愛しむように彼女の肩を抱いた。
「大丈夫。俺はここに残るから。絶対おまえのそば離れないか...
ルイズは首を縦にふった。
「信じろよ」
「――うん」
彼女はもう一度頷いて、涙に濡れた顔を上げた。
サイトはそっと指で彼女の濡れた頬をなでてあげた。
「これからも、ずっとよろしく」
「わたしこそ、よろしく」
二人は軽く唇を合わせ、再び手を取り合って歩きだすのだった。
ページ名: