ゼロの使い魔保管庫
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645 名前: シルフィのサイトメロメロ計画 [sage] 投稿日: 2...
きゅいきゅい。これで完璧なのね。
タバサの部屋でシルフィードは、鏡に映る自分の身体を見な...
鏡に映るのは、いつもの竜の姿ではなく、人に変化した姿。
ただし、いつものスタイル抜群な彼女ではなく、シルフィー...
シルフィードから見て、サイトは素敵な男性である。そして...
ならば、彼女の恋を叶えるのも使い魔の役目じゃあなかろう...
おねーさま! シルフィ、頑張ります!
「サイト。ちょっといい? きゅい」
「ん?」
いつものように素振りをしているサイトを呼び止める。う〜...
「ああ、いいけど。どうした?」
「えっと……」
応援するとは決めた。行動を起こすとも決めた。しかし、具...
どどど、どうしようなのね。きゅい。シルフィ、何も決めて...
軽く混乱し始めるシルフィード。思わずぐるぐると回り始め...
「おい、大丈夫か?」
「だ、大丈夫なのね!」
このタバサ、元気いっぱいである。そのことが、ますますサ...
「大丈夫ならいいけどさ」
訝しむサイト。いつの間にか先ほどまでの穏やかな雰囲気は...
う、疑われてるのね。
内心冷や汗だらだら、背中にも嫌な汗がたっぷりのシルフィ...
おねーさま。助けてなのね! こんなときはおねーさまなら...
必死に今まで見てきたタバサの記憶を手繰り寄せるシルフィ...
落ち着いて。今までおねーさまを見てきたシルフィなら、ち...
「ちょっと来て」
言って、サイトの裾をくいくいと引っ張る。タバサがサイト...
「ああ、いいけど。どこに?」
これは予想外の質問である。もう一度、シルフィードは記憶...
646 名前: シルフィのサイトメロメロ計画 [sage] 投稿日: 2...
ああ、あるではないか。一箇所、色々と都合のいい場所が。
「図書館」
「ああ、わかったよ」
いつもの様子のサイトに、安堵するシルフィード。これで疑...
時間稼ぎは出来そうである。後は、図書館に到着するまでに...
頭の中に、考え浮かんでは消えていく。街までのデートだっ...
今のシルフィードはタバサである。どれかを実行しようとな...
ならば、どうするか。必然的に、あまり遠くに行かずに出来...
図書館で一緒に本を読む。
没だ。シルフィードが寝てしまいそうだし、おそらくサイト...
学院内を一緒に散歩。
没だ。気まぐれに部屋から出てきたタバサに見られる危険が...
食事を取る。
これも危険がある。が、場所が場所ならどうだろうか。
場所を厨房にする。タバサは厨房にほとんど訪れないので、...
どうせ厨房に行くのなら、一緒に何かを作りたくなってきた...
そうなのね! お菓子を作るのね!
先導するシルフィードの顔が、ぱぁっと輝く。サイトと一緒...
だったら、図書館で作るものを決めるのね!
善は急げ。そして、膳は急げ。シルフィードは、図書館に向...
「おいおい、そんなに急ぐのかよ?」
「急ぐ」
サイトの右手を掴んで、シルフィードは走り出した。その速...
シルフィードの速度がさらに速くなっていく。その速度、限...
「は、速すぎるううぅぅぅぅぅ!!」
サイトの悲鳴はドップラー効果を残して去っていく。いまや...
「私に追いつけるものは無いのねえぇぇぇぇ!!!」
新たなる領域へとたどり着いたシルフィードはそのまま図書...
「サイト?」
上がったテンションを急激にクールダウン。そして、いつも...
し、しまったのね! 迂闊だったのね!
647 名前: シルフィのサイトメロメロ計画 [sage] 投稿日: 2...
うろ覚えの知識をフル活用して介抱すると、何とかサイトが...
その様子にシルフィードは少し罪悪感を覚え、しょんぼりと...
「大丈夫?」
「何とか……で、何がしたいんだ?」
極度の体力の消費のために、怒る気力すらないようだ。しか...
「お菓子作り」
「お菓子?」
「そう」
シルフィードが手に持っているのは、気軽に作れるお菓子作...
「タバサはどれを作りたいんだ?」
「……」
ページを捲って逡巡するシルフィード。たっぷり三十秒悩ん...
「これが作りたいのか?」
自然に、コクリと頷くシルフィード。だんだんとタバサの演...
「そっか。じゃあ厨房に、だな」
ニッコリと笑うサイトの顔に、不覚にもクラリときてしまう...
ず、ずるいのね、サイトは。
サイトの笑顔のそれは、可愛い妹に見せるような笑顔だった...
そして、シルフィードの中に、本来の目的とは違う気持ちが...
シルフィにもこんな笑顔を向けて欲しいのね、きゅい。
モヤモヤとする感情が何なのか、今は理解できていない。し...
ともあれ、作るべきお菓子は決まった。美味く出来たらタバ...
二人だけでお菓子作り。楽しみなのね。
無表情ながら、内心では踊りかねない勢いで喜んでいるシル...
「どうせだったらみんなで作ろうぜ。ルイズとかテファとか……」
そこまで言って、サイトは口を噤んだ。シルフィードの冷た...
「ナンデモナイデス」
きゅい、と一つ呟いて、シルフィードは歩き出した。まっす...
648 名前: シルフィのサイトメロメロ計画 [sage] 投稿日: 2...
厨房に入ると、料理人たちの視線が二人に集中する。サイト...
しかし、その視線は不快なものが含まれているものではない...
原因は言わずもがな。普段の食べっぷりである。しかも、ハ...
さて、料理人に好感を持たれている二人である。そんな二人...
だから、お菓子作りと言ったとき、すぐに機材を用意してく...
今回のお菓子作りは、二人――一人と一匹だが――で共同作業を...
二人で共同作業。その末に生まれる愛。そして育まれる愛。...
無表情で妄想が展開していくシルフィード。その表情から彼...
二人で愛を語り合う夜。身も心も、全てが重なり合う夜を、...
そこにサイトが質問をする。
「なあ、タバサ。もう少しかき混ぜるか?」
「かき混ぜる。もっと強く、かき回して」
「掬うようにって、こんな感じか?」
「そう。出来ればもっと早く、奥まで」
「やべ、出る」
「溢れるくらいがちょうどいい」
無表情で妄想を展開しながらそれでもサイトに的確な指示を...
「手際いいなぁ」
「当然」
黙々と作業を進めるシルフィードに、サイトは感嘆する。そ...
微笑んでいる。
主人と使い魔は一心同体。韻竜であるシルフィードが、誰よ...
既にシルフィードはタバサそのものといっても過言ではなく...
感情もまたタバサに近くなっており、シルフィードの今の表...
滅多に見せないタバサの微笑み。すなわち、これ以上ないほ...
その微笑に無意識に顔を赤くしてしまうサイト。雑念を頭か...
「違う。ここはこう」
横からシルフィードの手が伸びてきて、サイトの手に重ね、...
「聞いてる?」
「は、はいっ!」
649 名前: シルフィのサイトメロメロ計画 [sage] 投稿日: 2...
そんなハプニングもありながら、どうにかお菓子を完成させ...
いびつな形の二人のお菓子。その味も少しアレだったけれど...
「それでねそれでねおねーさま! サイトったらね!」
その日の夜、シルフィードはタバサに今日の出来事を話して...
サイトと共に過ごした今日の全てを、である。もちろん、サ...
「ほんとにサイトったら素敵な男性なのね! おねーさまは見...
ため息をつきながら、タバサは想像する。もし、サイトの隣...
羨ましくなって、嫉妬して、思わずシルフィードに言ってし...
「うるさい」
「ひどいのね!」
シルフィードは気づいていないが、タバサは気づいていた。
シルフィードの瞳。それは、恋をしているものの瞳である。
いかに自分の使い魔とはいえ、もしもサイトを狙うのならば...
ぎゃあぎゃあと喚くシルフィードの言葉を流しつつ、タバサ...
絶対に負けない。
終了行:
645 名前: シルフィのサイトメロメロ計画 [sage] 投稿日: 2...
きゅいきゅい。これで完璧なのね。
タバサの部屋でシルフィードは、鏡に映る自分の身体を見な...
鏡に映るのは、いつもの竜の姿ではなく、人に変化した姿。
ただし、いつものスタイル抜群な彼女ではなく、シルフィー...
シルフィードから見て、サイトは素敵な男性である。そして...
ならば、彼女の恋を叶えるのも使い魔の役目じゃあなかろう...
おねーさま! シルフィ、頑張ります!
「サイト。ちょっといい? きゅい」
「ん?」
いつものように素振りをしているサイトを呼び止める。う〜...
「ああ、いいけど。どうした?」
「えっと……」
応援するとは決めた。行動を起こすとも決めた。しかし、具...
どどど、どうしようなのね。きゅい。シルフィ、何も決めて...
軽く混乱し始めるシルフィード。思わずぐるぐると回り始め...
「おい、大丈夫か?」
「だ、大丈夫なのね!」
このタバサ、元気いっぱいである。そのことが、ますますサ...
「大丈夫ならいいけどさ」
訝しむサイト。いつの間にか先ほどまでの穏やかな雰囲気は...
う、疑われてるのね。
内心冷や汗だらだら、背中にも嫌な汗がたっぷりのシルフィ...
おねーさま。助けてなのね! こんなときはおねーさまなら...
必死に今まで見てきたタバサの記憶を手繰り寄せるシルフィ...
落ち着いて。今までおねーさまを見てきたシルフィなら、ち...
「ちょっと来て」
言って、サイトの裾をくいくいと引っ張る。タバサがサイト...
「ああ、いいけど。どこに?」
これは予想外の質問である。もう一度、シルフィードは記憶...
646 名前: シルフィのサイトメロメロ計画 [sage] 投稿日: 2...
ああ、あるではないか。一箇所、色々と都合のいい場所が。
「図書館」
「ああ、わかったよ」
いつもの様子のサイトに、安堵するシルフィード。これで疑...
時間稼ぎは出来そうである。後は、図書館に到着するまでに...
頭の中に、考え浮かんでは消えていく。街までのデートだっ...
今のシルフィードはタバサである。どれかを実行しようとな...
ならば、どうするか。必然的に、あまり遠くに行かずに出来...
図書館で一緒に本を読む。
没だ。シルフィードが寝てしまいそうだし、おそらくサイト...
学院内を一緒に散歩。
没だ。気まぐれに部屋から出てきたタバサに見られる危険が...
食事を取る。
これも危険がある。が、場所が場所ならどうだろうか。
場所を厨房にする。タバサは厨房にほとんど訪れないので、...
どうせ厨房に行くのなら、一緒に何かを作りたくなってきた...
そうなのね! お菓子を作るのね!
先導するシルフィードの顔が、ぱぁっと輝く。サイトと一緒...
だったら、図書館で作るものを決めるのね!
善は急げ。そして、膳は急げ。シルフィードは、図書館に向...
「おいおい、そんなに急ぐのかよ?」
「急ぐ」
サイトの右手を掴んで、シルフィードは走り出した。その速...
シルフィードの速度がさらに速くなっていく。その速度、限...
「は、速すぎるううぅぅぅぅぅ!!」
サイトの悲鳴はドップラー効果を残して去っていく。いまや...
「私に追いつけるものは無いのねえぇぇぇぇ!!!」
新たなる領域へとたどり着いたシルフィードはそのまま図書...
「サイト?」
上がったテンションを急激にクールダウン。そして、いつも...
し、しまったのね! 迂闊だったのね!
647 名前: シルフィのサイトメロメロ計画 [sage] 投稿日: 2...
うろ覚えの知識をフル活用して介抱すると、何とかサイトが...
その様子にシルフィードは少し罪悪感を覚え、しょんぼりと...
「大丈夫?」
「何とか……で、何がしたいんだ?」
極度の体力の消費のために、怒る気力すらないようだ。しか...
「お菓子作り」
「お菓子?」
「そう」
シルフィードが手に持っているのは、気軽に作れるお菓子作...
「タバサはどれを作りたいんだ?」
「……」
ページを捲って逡巡するシルフィード。たっぷり三十秒悩ん...
「これが作りたいのか?」
自然に、コクリと頷くシルフィード。だんだんとタバサの演...
「そっか。じゃあ厨房に、だな」
ニッコリと笑うサイトの顔に、不覚にもクラリときてしまう...
ず、ずるいのね、サイトは。
サイトの笑顔のそれは、可愛い妹に見せるような笑顔だった...
そして、シルフィードの中に、本来の目的とは違う気持ちが...
シルフィにもこんな笑顔を向けて欲しいのね、きゅい。
モヤモヤとする感情が何なのか、今は理解できていない。し...
ともあれ、作るべきお菓子は決まった。美味く出来たらタバ...
二人だけでお菓子作り。楽しみなのね。
無表情ながら、内心では踊りかねない勢いで喜んでいるシル...
「どうせだったらみんなで作ろうぜ。ルイズとかテファとか……」
そこまで言って、サイトは口を噤んだ。シルフィードの冷た...
「ナンデモナイデス」
きゅい、と一つ呟いて、シルフィードは歩き出した。まっす...
648 名前: シルフィのサイトメロメロ計画 [sage] 投稿日: 2...
厨房に入ると、料理人たちの視線が二人に集中する。サイト...
しかし、その視線は不快なものが含まれているものではない...
原因は言わずもがな。普段の食べっぷりである。しかも、ハ...
さて、料理人に好感を持たれている二人である。そんな二人...
だから、お菓子作りと言ったとき、すぐに機材を用意してく...
今回のお菓子作りは、二人――一人と一匹だが――で共同作業を...
二人で共同作業。その末に生まれる愛。そして育まれる愛。...
無表情で妄想が展開していくシルフィード。その表情から彼...
二人で愛を語り合う夜。身も心も、全てが重なり合う夜を、...
そこにサイトが質問をする。
「なあ、タバサ。もう少しかき混ぜるか?」
「かき混ぜる。もっと強く、かき回して」
「掬うようにって、こんな感じか?」
「そう。出来ればもっと早く、奥まで」
「やべ、出る」
「溢れるくらいがちょうどいい」
無表情で妄想を展開しながらそれでもサイトに的確な指示を...
「手際いいなぁ」
「当然」
黙々と作業を進めるシルフィードに、サイトは感嘆する。そ...
微笑んでいる。
主人と使い魔は一心同体。韻竜であるシルフィードが、誰よ...
既にシルフィードはタバサそのものといっても過言ではなく...
感情もまたタバサに近くなっており、シルフィードの今の表...
滅多に見せないタバサの微笑み。すなわち、これ以上ないほ...
その微笑に無意識に顔を赤くしてしまうサイト。雑念を頭か...
「違う。ここはこう」
横からシルフィードの手が伸びてきて、サイトの手に重ね、...
「聞いてる?」
「は、はいっ!」
649 名前: シルフィのサイトメロメロ計画 [sage] 投稿日: 2...
そんなハプニングもありながら、どうにかお菓子を完成させ...
いびつな形の二人のお菓子。その味も少しアレだったけれど...
「それでねそれでねおねーさま! サイトったらね!」
その日の夜、シルフィードはタバサに今日の出来事を話して...
サイトと共に過ごした今日の全てを、である。もちろん、サ...
「ほんとにサイトったら素敵な男性なのね! おねーさまは見...
ため息をつきながら、タバサは想像する。もし、サイトの隣...
羨ましくなって、嫉妬して、思わずシルフィードに言ってし...
「うるさい」
「ひどいのね!」
シルフィードは気づいていないが、タバサは気づいていた。
シルフィードの瞳。それは、恋をしているものの瞳である。
いかに自分の使い魔とはいえ、もしもサイトを狙うのならば...
ぎゃあぎゃあと喚くシルフィードの言葉を流しつつ、タバサ...
絶対に負けない。
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