ゼロの使い魔保管庫
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ここは…………どこ……だ?
見知らぬ天井、見覚えの無い室内、窓の外には見慣れない風...
頭が……痛い?
酷く痛むと言うわけではないが、焦燥すら感じるほどの違和...
「大丈夫?」
静かな声に驚いてそちらを見ると、綺麗な女性が……
「エルフ!」
慌てて部屋の反対端まで距離を取ると、どこか傷ついた表情...
なんだ?
ここはどこなんだ?
どうして、エルフがここに居るんだ?
…………それより……俺は?
「誰……だ?」
言葉も分かる、今まで過ごしたこの国の名前も、一般常識も...
が……自分の事も、ほんの5分前まで自分が何をしていたのか...
「なんだ? なんなんだよ? ……エルフか? さっきのエルフ...
自分と関わった記憶は無いはずなのに、エルフという言葉に...
自分の中に存在するはずの、自分の過去。
失われるはずの無いそれが、どれだけ記憶を探ろうと見つか...
何を信じたら良いのか分からない。
悪い夢を見ているような感覚、しかし俺は今間違いなく目覚...
気が狂ったのか?
どことも知れぬ場所で、これから先どうやって生きていく?
思わず叫びだしそうな自分を必死に押さえているその時、
「大丈夫ですか?」
何処かで聞いた事の有る声が俺を救う。
「あ……あなたは……じょ、女王へ……」
陛下、そう綴ろうとした俺の唇が、柔らかい指先で封じられ...
「アン、そう呼んで下さいまし、以前……そう言いましたよ? ...
……俺の……名……なのか?
「記憶は大丈夫ですか?」
優しい瞳がじっと俺を見つめるだけで、無意識のうちに膝が...
この人は女王陛下だ、間違いない。
穴だらけの俺の記憶、その中でも消えてなかった一般常識が、
この方の素性を俺に知らせる。
「……大丈夫なのですか?」
恐れ多くて声が出ない。
緊張で喋れない俺の頬に、軽く冷たい感触が触れる。
「じょ、女王陛下っ」
俺の頬に触れるのは、緊張に震える陛下の両手。
逃れようとする俺の頭が優しく抱きしめられ、何も考えられ...
「良いのですよ、もう何も考えなくても良いのです。
帰れなくなってしまったのですもの、昔の事など忘れたい。
そう仰ったのは貴方自身です」
頭の奥が痺れるような、甘い衝動に身を任せたまま、
陛下の言葉を繰り返す。
「帰……る?」
「あぁ……忘れてしまったのですね。少し……長くなりますけれど、
わたくしが教えて差し上げますわ」
それは、とても信じられない話。
俺は異世界から無理矢理連れてこられたのだと、苦難の末に...
自らの主の手によって破壊され、最早俺はこの世界で暮らす...
悲嘆にくれる俺は、記憶を消すことの出来るメイジに、全て...
「あの……ど、どうして陛下……が?」
「貴方は、わたくしの英雄ですもの、
覚えていませんか? アルビオンかの地にて、貴方は7万の...
思い出してください、貴方は彼女の為に…………それなのに……」
アルビオンの退却戦……聞いた事が……有る……あれは……俺が?
「ええ、貴方は英雄なのです。この国において、わたくしです...
他に代えようも無い貴人です」
いつの間にか跪いた俺と陛下の視線が同じ位置に有った。
陛下が俺を抱きしめてくれる。
……俺は……英雄なんだ。
空っぽだった俺の中に、ゆっくりと自信が満ちていった。
生きていくことすら困難に思えていたのに、『アン』の助力...
ようやく一息吐き、周りを見回す。
……窓の外の景色を見慣れないのは当然で、ここは……
「王城?」
「ええ、そうですわ」
優雅な身のこなしで、音もなく立ち上がった『アン』がそっ...
恐る恐る立ち上がった俺は、『アン』と微笑を交わした。
「貴方にプレゼントが有るのです」
「プレゼント?」
王族から送られるもの……
想像もつかなかった。
「とーっても素敵なモノですわ」
『アン』が俺の手を引いて、人気の無い廊下を進む。
夕日に照らされた廊下を、二人きりで歩く。
「貴方を裏切ったモノを、用意しましたわ」
「うら……ぎり?」
「貴方の帰り道を奪った女です」
……俺の過去を捨てさせた原因。
「貴方のお好きになさってくださいましね」
『アン』が開いた扉の向こうには一つのベットが有って……
――髪の長い女が、拘束されていた。
「これが『ルイズ』です」
ルイズには聞こえない大きさで囁かれた声に押されるように...
『貴方のお好きになさってくださいましね』
その言葉だけが響いていた。
豪華なベットの上に目隠しの上からでも自分の好みだと分か...
両手両足から一本づつそれぞれベットの四隅に伸びていて、...
『貴方のお好きになさってくださいましね』
コレ……を……好き……に?
後ろを振り返ると、アンはもう居ない。
しかも扉もしっかりと閉じていた。
つまり、人目を気にする事も無い。
ふらふらとルイズに近寄る。
王城に相応しい、高価な絨毯が俺の足音を完璧に消し去って...
目隠しまでされたルイズは、俺がこんな側に居ても気付かな...
「お前が……悪いんだ」
だって、陛下がそう言ったから。
王の言葉に間違い等ある筈も無いのだから。
これからの自分の行動を正当化する言葉に、ベットの上のル...
「んっーーーー、んっんんんんっ」
……往生際の悪い女。
薄い高価そうな寝巻きを……
「ちっ……」
両手が拘束されていたら脱がせることが出来ない。
何か無いか? 周りを見回す俺の目に、サイドテーブルに乗...
流石陛下、周到な事だ。
「これで……、楽しめそうだな」
「んっ……んんんっ! んんんっ」
ジタバタと暴れるルイズをよそに、薄い胸元から鋏を入れる。
ジャキジャキと響く音に、ルイズは身体を硬直させる。
「暴れたらどこが切れるか分からないな」
聞こえる様にそう呟いてから、冷たい鋏を直接身体に押し付...
「ひっ……」
たっぷりと時間かかけて、抵抗する気力を根こそぎ奪う。
楽しい。
記憶は無いと言うのに、どうすれば相手の心を砕けるのかを、
俺は十分に知っているらしい。
乳首を摘むように挟んで動きを殺したまま、空いている手を...
言葉で嬲りながら、温度と感触を楽しむうちに、我慢が……
「あぁ、そうか……我慢なんかしなくて良いんだっけ」
俺は好きにして良いんだ、何しろ俺は王すら敬意を払う英雄。
――夜も更けてから学院に戻ると、ルイズさんとサイトがずっと...
「おかえりなさい」
「おかえり、テファ」
二人のお出迎えがとっても嬉しい。
「ただいま、サイト、ルイズさん」
ルイズさんが目を細めながら、『サイトが先?』って言って...
次は気をつけよう。
「姫さま、何の用事だったんだ? テファ」
「うん、あのねサイト……」
この国の女王は、とても優しい人だと分かって、凄く嬉しか...
わたしの魔法に、こんな使い方があるなんて、思いもしなか...
「あのね、聞いてサイト、凄いの、わたしの魔法が自分の身を...
陛下に引き合わされたのは、重犯罪者だっていう男の人だっ...
『彼の罪を許すことは出来ませんが、やり直す機会を与えてあ...
そういって、その人の過去を全て消して欲しいと頼まれた。
悪い事をした人でも、過去のしがらみを切って、遠くで真面...
どんな人でも、これからはやり直す機会を与えてあげられる...
『貴方のお陰ですね、ティファニア』
そう言ってくれた。
「この国の人たちはみんな幸せね」
そう言ったわたしの言葉に、サイトもルイズさんも、自分の...
「姫様はいい人だよ」
「自慢の幼馴染ですもの」
優しい人ばかりのこの国が、わたしはまた一つ好きになった。
『ルイズ』を十分に味わった俺は、ようやく少し落ち着いて...
質素な部屋だった。
部屋に使われている素材は高価なのに、調度品が少ないのが...
『貴方のお好きになさってくださいましね』
そのあとどうすれば良いのか、陛下に聞くのを忘れていた。
まぁ……いいか。
なにしろ俺は英雄らしい、好きにさせても……
「貴様っ、何をしているっ!」
見慣れない服を着た女が、問答無用で切りかかってくる。
はっ、笑わせてくれる、7万の大軍と互する俺が……
容易く避けて見せたはずなのに、突き抜けるような衝撃に身...
「誰かっ、誰か集まれっ、陛下の部屋に曲者だ!」
ちょっ、待てっ、俺は……俺はっ……
「お、俺は英雄だっ、サイトさまだっ、お前らっ、軽々しく俺...
「嘘を吐けっ、サイトはもっと若い! この国の恩人を語ると...
は?
アニエス隊長と呼ばれる女の言葉に、俺の思考は完全にスト...
次々に集まってくる女達、どうやら彼女達は近衛らしい。
……俺が……サイトじゃ……な……い?
じゃあ、俺は誰なんだ?
不安で世界が壊れそうになる中、最後の希望が部屋に現れた。
――アンだ。
「何が有ったのですか? アニエス」
「申し訳有りません、陛下。陛下の部屋でこの者がメイドを……」
メ……イド?
部屋をゆっくりと見回したアンが、真っ直ぐに……
ベット……へ? あれ? ちょっと? ちょっと待ってくれ、...
「かわいそうに……大丈夫?」
「へ、陛下……わ、わたし……わたし……」
ドレスが汚れるのにも構わず、優しく優しく傷ついた女を慰...
……ちょっとまてよ……まってくれよ、なんだよ? なんだよそ...
「お前はこっちだ」
冷たい声で宣告され、ずるずると部屋から引きずり出される。
「へ、陛下……お洋服が……お洋服が……も、申し訳有りません」
「いいのです、わたくしの服も、わたくしも、貴方達国民の為...
遠くで話し声が聞こえる。
…………それで……俺は、いったい誰だったんだ?
「奴は貴族の政治犯でした」
あの男は、幾つもの条件に適合する者のリストの中から、ア...
「独房の中に居たはずなのですが、何者かの手引きで脱獄して...
誰にも気付かれぬよう、証拠の一つも残さぬよう、慎重に連...
欲望が加速するようにと、記憶を奪う前に一服盛ったのも。
「彼の家の方はどうしましたか?」
「事の次第を説明の上、厳重な注意と……この件の『けじめ』に...
全ては陛下の指示のまま。
「問題はそれだけでは有りませんよ、アニエス」
「はっ、場所が陛下の部屋である事から、今回の凶行の目標は...
既に貴族派の一部が、アニエス達に責任を取らせようと暗躍...
「警備を……見直さねばなりませんね」
「その通りです陛下……例えば……」
「「信頼できる第三者によって、内部から問題点を指摘しても...
貴族や近衛の息が掛かっていない者。
反対派の意見を封殺できるだけの、『名誉』を持つ者。
――女王が絶対的に信用できるもの。
つまり……
「「アルビオンの英雄」」
全ては彼を側に置くための……
無言で下がるアニエスを眺めながら、アンリエッタは強く自...
『早く……早くいらして下さいまし……』
王としての職務に、自らの心が砕き散らされる前の最後の希...
――ひとりは、さみしいの、はやく、あいに、きて。
凍える季節ではないというのに、アンリエッタの身体は自然...
貴方に会いたい。
はらはらと涙を零しながら、何時までもそこに立ち尽くした...
全ての事は計画通りに流れ、哀れな犬が罠に落ちるまで、あ...
王は望みのものを一撃で手に入れるための牙を、ただ砥ぎ続...
その肉を喰らい尽くす日を夢見て。
終了行:
ここは…………どこ……だ?
見知らぬ天井、見覚えの無い室内、窓の外には見慣れない風...
頭が……痛い?
酷く痛むと言うわけではないが、焦燥すら感じるほどの違和...
「大丈夫?」
静かな声に驚いてそちらを見ると、綺麗な女性が……
「エルフ!」
慌てて部屋の反対端まで距離を取ると、どこか傷ついた表情...
なんだ?
ここはどこなんだ?
どうして、エルフがここに居るんだ?
…………それより……俺は?
「誰……だ?」
言葉も分かる、今まで過ごしたこの国の名前も、一般常識も...
が……自分の事も、ほんの5分前まで自分が何をしていたのか...
「なんだ? なんなんだよ? ……エルフか? さっきのエルフ...
自分と関わった記憶は無いはずなのに、エルフという言葉に...
自分の中に存在するはずの、自分の過去。
失われるはずの無いそれが、どれだけ記憶を探ろうと見つか...
何を信じたら良いのか分からない。
悪い夢を見ているような感覚、しかし俺は今間違いなく目覚...
気が狂ったのか?
どことも知れぬ場所で、これから先どうやって生きていく?
思わず叫びだしそうな自分を必死に押さえているその時、
「大丈夫ですか?」
何処かで聞いた事の有る声が俺を救う。
「あ……あなたは……じょ、女王へ……」
陛下、そう綴ろうとした俺の唇が、柔らかい指先で封じられ...
「アン、そう呼んで下さいまし、以前……そう言いましたよ? ...
……俺の……名……なのか?
「記憶は大丈夫ですか?」
優しい瞳がじっと俺を見つめるだけで、無意識のうちに膝が...
この人は女王陛下だ、間違いない。
穴だらけの俺の記憶、その中でも消えてなかった一般常識が、
この方の素性を俺に知らせる。
「……大丈夫なのですか?」
恐れ多くて声が出ない。
緊張で喋れない俺の頬に、軽く冷たい感触が触れる。
「じょ、女王陛下っ」
俺の頬に触れるのは、緊張に震える陛下の両手。
逃れようとする俺の頭が優しく抱きしめられ、何も考えられ...
「良いのですよ、もう何も考えなくても良いのです。
帰れなくなってしまったのですもの、昔の事など忘れたい。
そう仰ったのは貴方自身です」
頭の奥が痺れるような、甘い衝動に身を任せたまま、
陛下の言葉を繰り返す。
「帰……る?」
「あぁ……忘れてしまったのですね。少し……長くなりますけれど、
わたくしが教えて差し上げますわ」
それは、とても信じられない話。
俺は異世界から無理矢理連れてこられたのだと、苦難の末に...
自らの主の手によって破壊され、最早俺はこの世界で暮らす...
悲嘆にくれる俺は、記憶を消すことの出来るメイジに、全て...
「あの……ど、どうして陛下……が?」
「貴方は、わたくしの英雄ですもの、
覚えていませんか? アルビオンかの地にて、貴方は7万の...
思い出してください、貴方は彼女の為に…………それなのに……」
アルビオンの退却戦……聞いた事が……有る……あれは……俺が?
「ええ、貴方は英雄なのです。この国において、わたくしです...
他に代えようも無い貴人です」
いつの間にか跪いた俺と陛下の視線が同じ位置に有った。
陛下が俺を抱きしめてくれる。
……俺は……英雄なんだ。
空っぽだった俺の中に、ゆっくりと自信が満ちていった。
生きていくことすら困難に思えていたのに、『アン』の助力...
ようやく一息吐き、周りを見回す。
……窓の外の景色を見慣れないのは当然で、ここは……
「王城?」
「ええ、そうですわ」
優雅な身のこなしで、音もなく立ち上がった『アン』がそっ...
恐る恐る立ち上がった俺は、『アン』と微笑を交わした。
「貴方にプレゼントが有るのです」
「プレゼント?」
王族から送られるもの……
想像もつかなかった。
「とーっても素敵なモノですわ」
『アン』が俺の手を引いて、人気の無い廊下を進む。
夕日に照らされた廊下を、二人きりで歩く。
「貴方を裏切ったモノを、用意しましたわ」
「うら……ぎり?」
「貴方の帰り道を奪った女です」
……俺の過去を捨てさせた原因。
「貴方のお好きになさってくださいましね」
『アン』が開いた扉の向こうには一つのベットが有って……
――髪の長い女が、拘束されていた。
「これが『ルイズ』です」
ルイズには聞こえない大きさで囁かれた声に押されるように...
『貴方のお好きになさってくださいましね』
その言葉だけが響いていた。
豪華なベットの上に目隠しの上からでも自分の好みだと分か...
両手両足から一本づつそれぞれベットの四隅に伸びていて、...
『貴方のお好きになさってくださいましね』
コレ……を……好き……に?
後ろを振り返ると、アンはもう居ない。
しかも扉もしっかりと閉じていた。
つまり、人目を気にする事も無い。
ふらふらとルイズに近寄る。
王城に相応しい、高価な絨毯が俺の足音を完璧に消し去って...
目隠しまでされたルイズは、俺がこんな側に居ても気付かな...
「お前が……悪いんだ」
だって、陛下がそう言ったから。
王の言葉に間違い等ある筈も無いのだから。
これからの自分の行動を正当化する言葉に、ベットの上のル...
「んっーーーー、んっんんんんっ」
……往生際の悪い女。
薄い高価そうな寝巻きを……
「ちっ……」
両手が拘束されていたら脱がせることが出来ない。
何か無いか? 周りを見回す俺の目に、サイドテーブルに乗...
流石陛下、周到な事だ。
「これで……、楽しめそうだな」
「んっ……んんんっ! んんんっ」
ジタバタと暴れるルイズをよそに、薄い胸元から鋏を入れる。
ジャキジャキと響く音に、ルイズは身体を硬直させる。
「暴れたらどこが切れるか分からないな」
聞こえる様にそう呟いてから、冷たい鋏を直接身体に押し付...
「ひっ……」
たっぷりと時間かかけて、抵抗する気力を根こそぎ奪う。
楽しい。
記憶は無いと言うのに、どうすれば相手の心を砕けるのかを、
俺は十分に知っているらしい。
乳首を摘むように挟んで動きを殺したまま、空いている手を...
言葉で嬲りながら、温度と感触を楽しむうちに、我慢が……
「あぁ、そうか……我慢なんかしなくて良いんだっけ」
俺は好きにして良いんだ、何しろ俺は王すら敬意を払う英雄。
――夜も更けてから学院に戻ると、ルイズさんとサイトがずっと...
「おかえりなさい」
「おかえり、テファ」
二人のお出迎えがとっても嬉しい。
「ただいま、サイト、ルイズさん」
ルイズさんが目を細めながら、『サイトが先?』って言って...
次は気をつけよう。
「姫さま、何の用事だったんだ? テファ」
「うん、あのねサイト……」
この国の女王は、とても優しい人だと分かって、凄く嬉しか...
わたしの魔法に、こんな使い方があるなんて、思いもしなか...
「あのね、聞いてサイト、凄いの、わたしの魔法が自分の身を...
陛下に引き合わされたのは、重犯罪者だっていう男の人だっ...
『彼の罪を許すことは出来ませんが、やり直す機会を与えてあ...
そういって、その人の過去を全て消して欲しいと頼まれた。
悪い事をした人でも、過去のしがらみを切って、遠くで真面...
どんな人でも、これからはやり直す機会を与えてあげられる...
『貴方のお陰ですね、ティファニア』
そう言ってくれた。
「この国の人たちはみんな幸せね」
そう言ったわたしの言葉に、サイトもルイズさんも、自分の...
「姫様はいい人だよ」
「自慢の幼馴染ですもの」
優しい人ばかりのこの国が、わたしはまた一つ好きになった。
『ルイズ』を十分に味わった俺は、ようやく少し落ち着いて...
質素な部屋だった。
部屋に使われている素材は高価なのに、調度品が少ないのが...
『貴方のお好きになさってくださいましね』
そのあとどうすれば良いのか、陛下に聞くのを忘れていた。
まぁ……いいか。
なにしろ俺は英雄らしい、好きにさせても……
「貴様っ、何をしているっ!」
見慣れない服を着た女が、問答無用で切りかかってくる。
はっ、笑わせてくれる、7万の大軍と互する俺が……
容易く避けて見せたはずなのに、突き抜けるような衝撃に身...
「誰かっ、誰か集まれっ、陛下の部屋に曲者だ!」
ちょっ、待てっ、俺は……俺はっ……
「お、俺は英雄だっ、サイトさまだっ、お前らっ、軽々しく俺...
「嘘を吐けっ、サイトはもっと若い! この国の恩人を語ると...
は?
アニエス隊長と呼ばれる女の言葉に、俺の思考は完全にスト...
次々に集まってくる女達、どうやら彼女達は近衛らしい。
……俺が……サイトじゃ……な……い?
じゃあ、俺は誰なんだ?
不安で世界が壊れそうになる中、最後の希望が部屋に現れた。
――アンだ。
「何が有ったのですか? アニエス」
「申し訳有りません、陛下。陛下の部屋でこの者がメイドを……」
メ……イド?
部屋をゆっくりと見回したアンが、真っ直ぐに……
ベット……へ? あれ? ちょっと? ちょっと待ってくれ、...
「かわいそうに……大丈夫?」
「へ、陛下……わ、わたし……わたし……」
ドレスが汚れるのにも構わず、優しく優しく傷ついた女を慰...
……ちょっとまてよ……まってくれよ、なんだよ? なんだよそ...
「お前はこっちだ」
冷たい声で宣告され、ずるずると部屋から引きずり出される。
「へ、陛下……お洋服が……お洋服が……も、申し訳有りません」
「いいのです、わたくしの服も、わたくしも、貴方達国民の為...
遠くで話し声が聞こえる。
…………それで……俺は、いったい誰だったんだ?
「奴は貴族の政治犯でした」
あの男は、幾つもの条件に適合する者のリストの中から、ア...
「独房の中に居たはずなのですが、何者かの手引きで脱獄して...
誰にも気付かれぬよう、証拠の一つも残さぬよう、慎重に連...
欲望が加速するようにと、記憶を奪う前に一服盛ったのも。
「彼の家の方はどうしましたか?」
「事の次第を説明の上、厳重な注意と……この件の『けじめ』に...
全ては陛下の指示のまま。
「問題はそれだけでは有りませんよ、アニエス」
「はっ、場所が陛下の部屋である事から、今回の凶行の目標は...
既に貴族派の一部が、アニエス達に責任を取らせようと暗躍...
「警備を……見直さねばなりませんね」
「その通りです陛下……例えば……」
「「信頼できる第三者によって、内部から問題点を指摘しても...
貴族や近衛の息が掛かっていない者。
反対派の意見を封殺できるだけの、『名誉』を持つ者。
――女王が絶対的に信用できるもの。
つまり……
「「アルビオンの英雄」」
全ては彼を側に置くための……
無言で下がるアニエスを眺めながら、アンリエッタは強く自...
『早く……早くいらして下さいまし……』
王としての職務に、自らの心が砕き散らされる前の最後の希...
――ひとりは、さみしいの、はやく、あいに、きて。
凍える季節ではないというのに、アンリエッタの身体は自然...
貴方に会いたい。
はらはらと涙を零しながら、何時までもそこに立ち尽くした...
全ての事は計画通りに流れ、哀れな犬が罠に落ちるまで、あ...
王は望みのものを一撃で手に入れるための牙を、ただ砥ぎ続...
その肉を喰らい尽くす日を夢見て。
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