ゼロの使い魔保管庫
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素直ルイズ 1 205氏
誰かの吐息がかすかに鼻の頭をくすぐった。才人は小さく呻...
(……夢か)
ぼんやりとそう判断し、また目をつむる。数秒ほどして跳ね...
「おはよう、サイト」
言いながら、ベッドの上でのんびりと身を起こす。毛布が細...
「どうしたの、そんなに驚いて」
「いや、どうしたのってお前」
才人はまじまじとルイズを見た。こういうことをすると「な...
(……ありえねえ)
才人は首を振った。だが夢ではない。間違いなく、目の前に...
そういうルイズの笑顔を見るのはほとんど初めてのことだ。...
(落ち着け、落ち着け俺、平常心だ……!)
必死に言い聞かせる才人とは裏腹に、ルイズはいつもとは比...
「いいお天気。こんな日は一緒に遠乗りにでも出かけたいわね...
窓枠に両手をかけたまま、ルイズが声を弾ませる。「ああ、...
(シエスタはもう厨房の方に行ってるみたいだから、相談は出...
少しの間頭を整理して、才人は提案した。
「なあ、ルイズ。今から、ちょっと出かけないか?」
「うん、いいわよ。それで、どこに?」
「モンモンの部屋だ」
着替えたルイズを連れてモンモランシーの部屋の前に立った...
「おいコラ、出てきやがれモンモン! ネタは上がってんだよ...
扉はすぐに開き、目をしょぼつかせたモンモランシーが顔を...
「なによ、朝っぱらからうるさいわね」
才人とルイズを見て、納得したように頷く。
「ああ、やっぱり来たの」
「やっぱりって、俺らが来るのが予想できてたのかよ」
「そりゃそうよ」
モンモランシーは大きく欠伸をすると、「で」と、セットす...
「ルイズ、どんな感じ?」
「どんな感じもなにも……ルイズ、ちょっとモンモンと話してく...
普通、ルイズにこんな口調で何かを頼もうものなら、「なに...
「うん、わかった」
素直に頷くと、才人の前に出て柔らかい微笑を浮かべる。
「おはようモンモランシー。あなたの金髪、今日もとってもき...
モンモランシーが髪を指に絡めたまま硬直した。頬が引きつ...
「どうしたの、モンモランシー」
「ああいえ、別になんでもないわ。ルイズ、わたしちょっとサ...
「うん、わかった」
ルイズは素直に頷くとぱたぱた小股に駆けていって、廊下の...
モンモランシーが髪を巻くのも忘れて才人を手招きし、声を...
「ねえ、朝からあんな感じなの、あの子?」
「そうだよ。なんだよモンモン、お前の仕業だったんじゃない...
「いや、そうなんだけど」
モンモランシーはちらりと廊下の壁際に目をやる。才人も肩...
「実物を見るとね。まさか、あそこまでとは……あの子、薬の効...
「どうでもいいよそんなことは。一体何の薬飲ませたんだよ?」
「んー……素直になる薬、ってところかしら」
「素直に……」
もう一度ちらりと見やると、ルイズもこちらを見返して嬉し...
「……どっちかって言うと、純真っていうか、なんか幼い感じが...
「ええ、そういう薬だったんだけど……これは予想外だわ」
「お前の予想じゃ、どういう感じになるはずだったんだ?」
「そうね……もっとこう」
モンモランシーが気難しげに親指の爪を噛んだとき、寮の外...
「あ、いけない。そろそろ身支度しなくちゃ」
言いつつ、モンモランシーはそそくさと部屋の中に引っ込も...
「おい、説明しろよ」
「悪いけど、あとにしてちょうだい」
「あとに……って、ルイズはどうすんだよ!?」
叫ぶと、モンモランシーは扉を閉め切る寸前で止め、顔だけ...
「心配しなくても、前の惚れ薬みたいなことにはならないわよ...
「でも、こんな風になんでもかんでも人の言うこと聞いてるじ...
「なんでもってわけじゃないはずよ。今のルイズは……そうね、...
「わけ分からん」
「だからあとで説明してあげるって言ってるでしょ。そんなに...
モンモランシーは有無を言わさず扉を閉める。おそらくそれ...
「サイト、大丈夫?」
心配そうな声に振り向くと、ルイズが眉尻を下げてこちらを...
「ごめんね、わたしのせいで」
肩を小さくして、心底申し訳なさそうだ。才人は慌ててなだ...
「いや、そんな落ち込むなよ。別に大したことじゃねえって」
「でも、わたしのせいでいろいろ面倒なことになって……サイト...
ルイズがますます落ち込んでいくので、才人も焦ってしまう...
「お前のせいじゃないよ。モンモンが悪いんだって、変な薬作...
「でもあれ、わたしが勝手に飲んだの」
「なに?」
才人は目を見張った。ルイズがもう一度繰り返す。
「あのね、昨日モンモランシーが、『素直になる薬』を作った...
「なんでまた」
「素直になりたかったの」
「……そりゃそうだよな、『素直になる薬』だもんな」
つい納得してしまってから、才人は頭を掻き毟った。
(つまりルイズは、そういう薬だって分かった上で飲んだって...
そう思ってみれば、多少思い当たることはある。昨日の夜、...
(あれは、薬が効いて自分が素直になってるのかどうか、気に...
だが、細かく考えている暇はない。もうすぐ朝食の時間だ。...
「とにかくさ、なにも気にすることないって! 俺なんか、今...
言ってしまってから、本人を目の前にしてこんなことを言う...
「ありがとう、優しいのね。だからサイト、大好き!」
逃げる暇もなくぎゅっと抱きつかれて、才人は硬直する。近...
起き出してきた生徒達に混じって食堂に向かう途中、廊下の...
「あら、おはようございます。お二人とも今日は早いんですね...
シエスタは基本的に二人よりも早起きだ。朝早くから厨房に...
備を手伝うことが多い。その理由について、彼女はこんな風に...
「今はサイトさんのお付きですから、そんなことしなくてもい...
そうやって朝食の準備を手伝ったあと、頃合を見て厨房を抜...
才人は周囲の生徒たちの邪魔にならないように廊下の端に避...
「一体どうしたんですか? たまたま早く目が覚めちゃった、...
「あー、とりあえず、ルイズを見てもらえば大体のことは分か...
「ミス・ヴァリエールを?」
シエスタが怪訝そうに視線を移す。ルイズは彼女ににっこり...
「おはようシエスタ、気持ちのいい朝ね」
「は」
ぽかんと口を開けて固まったあと、シエスタは油の切れた人...
「……一体どうしちゃったんですか、ミス・ヴァリエール」
「どうしたもこうしたも」
才人は先程モンモランシーと会話したときのことを、手短に...
シエスタが感嘆したように息をつく。
「素直になる薬、ですかあ。そんなものがあるなんて、魔法っ...
「まあ、惚れ薬なんてもんがマジで存在するぐらいだから、も...
「そうですねえ。驚きはしません、けど」
才人はシエスタと顔を見合わせたあと、ルイズに目を転じる...
「いつもだったら、『ちょっと、二人でなにコソコソ話してん...
「下手すりゃ金的蹴りが炸裂してるところだぜ。それが何もな...
「そうですねえ」
シエスタが悩ましげに頬に手を添えたとき、彼女の袖を小さ...
「ねえ、シエスタ」
「は、はい? なんですか、ミス・ヴァリエール」
シエスタが笑顔を取り繕いながら振り向くと、ルイズが無邪...
「あのね、わたし、シエスタに編み物教えてほしいの」
「あ、編み物……教えてほしいって、わたしにですか!?」
シエスタが目を見開いて自分の顔を指差す。ルイズは「うん...
「シエスタ、とっても上手だから。わたしね、今度はサイトに...
「は、はあ、そうですか」
「あとねえ、お料理と、お掃除と……他にもいっぱい、シエスタ...
「ええと、いえ、だめってことはないですけど」
シエスタがためらいがちに答えると、ルイズの顔が明るく輝...
「ありがとう。シエスタ、ちいねえさまみたいに優しいから大...
ルイズがシエスタの胸に顔を埋めるように抱きつく。「はう...
「さ、サイトさん!」
「どうしたシエスタ!?」
「どうしましょう、このミス・ヴァリエールものすっごく可愛...
「安心しろ、俺も同じ気持ちだ!」
「ですよね! なんかこう、守ってあげたくなっちゃいますよ...
顔を真っ赤にして相好を崩したシエスタが、ルイズをぎゅっ...
(しかしまあ、確かに今日のルイズはなんつーか、保護欲をそ...
普段は高慢に振舞っているルイズだが、外見は非常に可愛ら...
(……要するに、普段のこいつは自分の持つポテンシャルを全く...
やたらと刺々しい態度で人に噛み付きたがる普段の主をしみ...
「あ、やべえ。おいルイズ、早く行かないと飯食いそびれちま...
「そうね。それじゃシエスタ、今夜、編み物教えてね」
「はい、分かりましたミス・ヴァリエール。お気をつけて……あ...
心配そうにはらはらしてこちらを、というよりルイズを見守...
特に問題なく食事を終えて(食事の間、ルイズがたまにじー...
「あーらお二人さん、おはよう。サイトが一緒に来るなんて、...
キュルケは早速からかい気味に話しかけてきたが、おそらく...
キュルケが眉をひそめた。
「なんか張り合いがないわね。どうしたのこの子、今日は調子...
「いや、あのな」
「ねえねえキュルケ」
才人が説明しようとしたら、ルイズがなにか興味津々な表情...
「なによルイズ、人の胸を無遠慮に……」
言いかけてから、意地悪げな笑みを浮かべる。
「さては、自分の胸があまりに哀れなものだから、とうとう羨...
「うん、そうなの」
「……はい?」
あっけらかんと頷いたルイズに、キュルケがぽかんと間抜け...
「あのね、わたし、前からキュルケに聞きたかったの」
言いつつ、キュルケの胸をぷにぷに突きながら首を傾げる。
「どうやったらこんなにおっぱいが大きくなるの?」
才人はぶはっと息を吐き出した。
(そりゃいくらなんでも直球すぎんだろお前!)
キュルケはぷにぷにと胸を突かれたまま硬直していたが、や...
「さささささ、サイト。この子どうしちゃったの。頭ぶつけた...
「俺がなんかしてこんなになるかよ。実はな」
才人が手短に説明すると、キュルケは大袈裟にため息をつい...
「モンモランシーも毎度毎度面倒なことばっかりしてくれるわ...
「だよな。まあ、今回は惚れ薬のときほど問題じゃねえけど」
「だからって……っていうかルイズ、いつまでわたしの胸突いて...
「あ、ごめんなさい」
ルイズはあっさり手を引っ込めて、照れたように笑った。
「羨ましくって、つい」
「……ホントに素直ねこの子」
「だって、本当に羨ましいんだもん。キュルケは背が高いし胸...
「あなたにだってあなたなりの魅力があるでしょうに」
あまりに無邪気な発言に毒気を抜かれたのか、キュルケの方...
「でも」
ルイズは唇を尖らせた。
「サイトは大人っぽい女の子の方が好きだもん」
「へーえ?」
キュルケがにやけた笑みを浮かべてこちらを見る。才人は後...
「じゃあ、サイト好みの女になりたいのね、あなたは」
「うん。あのね、ちいねえさまみたいになって、サイトに喜ん...
「そうねえ。好きな人に揉んでもらうのがいいんじゃないかし...
「そうなんだ」
軽い足音がこちらに近寄ってくる。肘を引かれた。
「ねえねえサイト」
「なんだ」
半ばこの後の展開を予想しながら振り向くと、ルイズは笑顔...
「揉んで」
「揉むか!」
思わず怒鳴り返すと、ルイズはしょんぼりと肩を落とした。
「やっぱり小さいのは嫌なのね」
「そういう問題じゃないって……大体、好きな人に揉んでもらう...
…っつーかキュルケ、今のルイズに変なこと吹き込むな、なんで...
顔を背けて笑いを堪えているキュルケに一言警告したあと、...
「あー、ルイズ。そういうのはな、もっと年を取れば自然に大...
「そうなの?」
「そうなの。そういうことにしとけ。あとな」
才人は言いかけて、口を噤んだ。ルイズがあどけない表情で...
「……俺は、お前のなら小さくても好きだ」
「え、なに、サイト。よく聞こえなかった」
「そうか、それは幸いだ。ほら、もう授業始まるから教室入る...
才人が歩き出すと、ルイズも黙ってついてきた。同じく追い...
「顔が真っ赤よ、幸せ者」
「うるせえや」
才人は歩調を速めて顔面を冷やしながら、始業間近で人通り...
終了行:
素直ルイズ 1 205氏
誰かの吐息がかすかに鼻の頭をくすぐった。才人は小さく呻...
(……夢か)
ぼんやりとそう判断し、また目をつむる。数秒ほどして跳ね...
「おはよう、サイト」
言いながら、ベッドの上でのんびりと身を起こす。毛布が細...
「どうしたの、そんなに驚いて」
「いや、どうしたのってお前」
才人はまじまじとルイズを見た。こういうことをすると「な...
(……ありえねえ)
才人は首を振った。だが夢ではない。間違いなく、目の前に...
そういうルイズの笑顔を見るのはほとんど初めてのことだ。...
(落ち着け、落ち着け俺、平常心だ……!)
必死に言い聞かせる才人とは裏腹に、ルイズはいつもとは比...
「いいお天気。こんな日は一緒に遠乗りにでも出かけたいわね...
窓枠に両手をかけたまま、ルイズが声を弾ませる。「ああ、...
(シエスタはもう厨房の方に行ってるみたいだから、相談は出...
少しの間頭を整理して、才人は提案した。
「なあ、ルイズ。今から、ちょっと出かけないか?」
「うん、いいわよ。それで、どこに?」
「モンモンの部屋だ」
着替えたルイズを連れてモンモランシーの部屋の前に立った...
「おいコラ、出てきやがれモンモン! ネタは上がってんだよ...
扉はすぐに開き、目をしょぼつかせたモンモランシーが顔を...
「なによ、朝っぱらからうるさいわね」
才人とルイズを見て、納得したように頷く。
「ああ、やっぱり来たの」
「やっぱりって、俺らが来るのが予想できてたのかよ」
「そりゃそうよ」
モンモランシーは大きく欠伸をすると、「で」と、セットす...
「ルイズ、どんな感じ?」
「どんな感じもなにも……ルイズ、ちょっとモンモンと話してく...
普通、ルイズにこんな口調で何かを頼もうものなら、「なに...
「うん、わかった」
素直に頷くと、才人の前に出て柔らかい微笑を浮かべる。
「おはようモンモランシー。あなたの金髪、今日もとってもき...
モンモランシーが髪を指に絡めたまま硬直した。頬が引きつ...
「どうしたの、モンモランシー」
「ああいえ、別になんでもないわ。ルイズ、わたしちょっとサ...
「うん、わかった」
ルイズは素直に頷くとぱたぱた小股に駆けていって、廊下の...
モンモランシーが髪を巻くのも忘れて才人を手招きし、声を...
「ねえ、朝からあんな感じなの、あの子?」
「そうだよ。なんだよモンモン、お前の仕業だったんじゃない...
「いや、そうなんだけど」
モンモランシーはちらりと廊下の壁際に目をやる。才人も肩...
「実物を見るとね。まさか、あそこまでとは……あの子、薬の効...
「どうでもいいよそんなことは。一体何の薬飲ませたんだよ?」
「んー……素直になる薬、ってところかしら」
「素直に……」
もう一度ちらりと見やると、ルイズもこちらを見返して嬉し...
「……どっちかって言うと、純真っていうか、なんか幼い感じが...
「ええ、そういう薬だったんだけど……これは予想外だわ」
「お前の予想じゃ、どういう感じになるはずだったんだ?」
「そうね……もっとこう」
モンモランシーが気難しげに親指の爪を噛んだとき、寮の外...
「あ、いけない。そろそろ身支度しなくちゃ」
言いつつ、モンモランシーはそそくさと部屋の中に引っ込も...
「おい、説明しろよ」
「悪いけど、あとにしてちょうだい」
「あとに……って、ルイズはどうすんだよ!?」
叫ぶと、モンモランシーは扉を閉め切る寸前で止め、顔だけ...
「心配しなくても、前の惚れ薬みたいなことにはならないわよ...
「でも、こんな風になんでもかんでも人の言うこと聞いてるじ...
「なんでもってわけじゃないはずよ。今のルイズは……そうね、...
「わけ分からん」
「だからあとで説明してあげるって言ってるでしょ。そんなに...
モンモランシーは有無を言わさず扉を閉める。おそらくそれ...
「サイト、大丈夫?」
心配そうな声に振り向くと、ルイズが眉尻を下げてこちらを...
「ごめんね、わたしのせいで」
肩を小さくして、心底申し訳なさそうだ。才人は慌ててなだ...
「いや、そんな落ち込むなよ。別に大したことじゃねえって」
「でも、わたしのせいでいろいろ面倒なことになって……サイト...
ルイズがますます落ち込んでいくので、才人も焦ってしまう...
「お前のせいじゃないよ。モンモンが悪いんだって、変な薬作...
「でもあれ、わたしが勝手に飲んだの」
「なに?」
才人は目を見張った。ルイズがもう一度繰り返す。
「あのね、昨日モンモランシーが、『素直になる薬』を作った...
「なんでまた」
「素直になりたかったの」
「……そりゃそうだよな、『素直になる薬』だもんな」
つい納得してしまってから、才人は頭を掻き毟った。
(つまりルイズは、そういう薬だって分かった上で飲んだって...
そう思ってみれば、多少思い当たることはある。昨日の夜、...
(あれは、薬が効いて自分が素直になってるのかどうか、気に...
だが、細かく考えている暇はない。もうすぐ朝食の時間だ。...
「とにかくさ、なにも気にすることないって! 俺なんか、今...
言ってしまってから、本人を目の前にしてこんなことを言う...
「ありがとう、優しいのね。だからサイト、大好き!」
逃げる暇もなくぎゅっと抱きつかれて、才人は硬直する。近...
起き出してきた生徒達に混じって食堂に向かう途中、廊下の...
「あら、おはようございます。お二人とも今日は早いんですね...
シエスタは基本的に二人よりも早起きだ。朝早くから厨房に...
備を手伝うことが多い。その理由について、彼女はこんな風に...
「今はサイトさんのお付きですから、そんなことしなくてもい...
そうやって朝食の準備を手伝ったあと、頃合を見て厨房を抜...
才人は周囲の生徒たちの邪魔にならないように廊下の端に避...
「一体どうしたんですか? たまたま早く目が覚めちゃった、...
「あー、とりあえず、ルイズを見てもらえば大体のことは分か...
「ミス・ヴァリエールを?」
シエスタが怪訝そうに視線を移す。ルイズは彼女ににっこり...
「おはようシエスタ、気持ちのいい朝ね」
「は」
ぽかんと口を開けて固まったあと、シエスタは油の切れた人...
「……一体どうしちゃったんですか、ミス・ヴァリエール」
「どうしたもこうしたも」
才人は先程モンモランシーと会話したときのことを、手短に...
シエスタが感嘆したように息をつく。
「素直になる薬、ですかあ。そんなものがあるなんて、魔法っ...
「まあ、惚れ薬なんてもんがマジで存在するぐらいだから、も...
「そうですねえ。驚きはしません、けど」
才人はシエスタと顔を見合わせたあと、ルイズに目を転じる...
「いつもだったら、『ちょっと、二人でなにコソコソ話してん...
「下手すりゃ金的蹴りが炸裂してるところだぜ。それが何もな...
「そうですねえ」
シエスタが悩ましげに頬に手を添えたとき、彼女の袖を小さ...
「ねえ、シエスタ」
「は、はい? なんですか、ミス・ヴァリエール」
シエスタが笑顔を取り繕いながら振り向くと、ルイズが無邪...
「あのね、わたし、シエスタに編み物教えてほしいの」
「あ、編み物……教えてほしいって、わたしにですか!?」
シエスタが目を見開いて自分の顔を指差す。ルイズは「うん...
「シエスタ、とっても上手だから。わたしね、今度はサイトに...
「は、はあ、そうですか」
「あとねえ、お料理と、お掃除と……他にもいっぱい、シエスタ...
「ええと、いえ、だめってことはないですけど」
シエスタがためらいがちに答えると、ルイズの顔が明るく輝...
「ありがとう。シエスタ、ちいねえさまみたいに優しいから大...
ルイズがシエスタの胸に顔を埋めるように抱きつく。「はう...
「さ、サイトさん!」
「どうしたシエスタ!?」
「どうしましょう、このミス・ヴァリエールものすっごく可愛...
「安心しろ、俺も同じ気持ちだ!」
「ですよね! なんかこう、守ってあげたくなっちゃいますよ...
顔を真っ赤にして相好を崩したシエスタが、ルイズをぎゅっ...
(しかしまあ、確かに今日のルイズはなんつーか、保護欲をそ...
普段は高慢に振舞っているルイズだが、外見は非常に可愛ら...
(……要するに、普段のこいつは自分の持つポテンシャルを全く...
やたらと刺々しい態度で人に噛み付きたがる普段の主をしみ...
「あ、やべえ。おいルイズ、早く行かないと飯食いそびれちま...
「そうね。それじゃシエスタ、今夜、編み物教えてね」
「はい、分かりましたミス・ヴァリエール。お気をつけて……あ...
心配そうにはらはらしてこちらを、というよりルイズを見守...
特に問題なく食事を終えて(食事の間、ルイズがたまにじー...
「あーらお二人さん、おはよう。サイトが一緒に来るなんて、...
キュルケは早速からかい気味に話しかけてきたが、おそらく...
キュルケが眉をひそめた。
「なんか張り合いがないわね。どうしたのこの子、今日は調子...
「いや、あのな」
「ねえねえキュルケ」
才人が説明しようとしたら、ルイズがなにか興味津々な表情...
「なによルイズ、人の胸を無遠慮に……」
言いかけてから、意地悪げな笑みを浮かべる。
「さては、自分の胸があまりに哀れなものだから、とうとう羨...
「うん、そうなの」
「……はい?」
あっけらかんと頷いたルイズに、キュルケがぽかんと間抜け...
「あのね、わたし、前からキュルケに聞きたかったの」
言いつつ、キュルケの胸をぷにぷに突きながら首を傾げる。
「どうやったらこんなにおっぱいが大きくなるの?」
才人はぶはっと息を吐き出した。
(そりゃいくらなんでも直球すぎんだろお前!)
キュルケはぷにぷにと胸を突かれたまま硬直していたが、や...
「さささささ、サイト。この子どうしちゃったの。頭ぶつけた...
「俺がなんかしてこんなになるかよ。実はな」
才人が手短に説明すると、キュルケは大袈裟にため息をつい...
「モンモランシーも毎度毎度面倒なことばっかりしてくれるわ...
「だよな。まあ、今回は惚れ薬のときほど問題じゃねえけど」
「だからって……っていうかルイズ、いつまでわたしの胸突いて...
「あ、ごめんなさい」
ルイズはあっさり手を引っ込めて、照れたように笑った。
「羨ましくって、つい」
「……ホントに素直ねこの子」
「だって、本当に羨ましいんだもん。キュルケは背が高いし胸...
「あなたにだってあなたなりの魅力があるでしょうに」
あまりに無邪気な発言に毒気を抜かれたのか、キュルケの方...
「でも」
ルイズは唇を尖らせた。
「サイトは大人っぽい女の子の方が好きだもん」
「へーえ?」
キュルケがにやけた笑みを浮かべてこちらを見る。才人は後...
「じゃあ、サイト好みの女になりたいのね、あなたは」
「うん。あのね、ちいねえさまみたいになって、サイトに喜ん...
「そうねえ。好きな人に揉んでもらうのがいいんじゃないかし...
「そうなんだ」
軽い足音がこちらに近寄ってくる。肘を引かれた。
「ねえねえサイト」
「なんだ」
半ばこの後の展開を予想しながら振り向くと、ルイズは笑顔...
「揉んで」
「揉むか!」
思わず怒鳴り返すと、ルイズはしょんぼりと肩を落とした。
「やっぱり小さいのは嫌なのね」
「そういう問題じゃないって……大体、好きな人に揉んでもらう...
…っつーかキュルケ、今のルイズに変なこと吹き込むな、なんで...
顔を背けて笑いを堪えているキュルケに一言警告したあと、...
「あー、ルイズ。そういうのはな、もっと年を取れば自然に大...
「そうなの?」
「そうなの。そういうことにしとけ。あとな」
才人は言いかけて、口を噤んだ。ルイズがあどけない表情で...
「……俺は、お前のなら小さくても好きだ」
「え、なに、サイト。よく聞こえなかった」
「そうか、それは幸いだ。ほら、もう授業始まるから教室入る...
才人が歩き出すと、ルイズも黙ってついてきた。同じく追い...
「顔が真っ赤よ、幸せ者」
「うるせえや」
才人は歩調を速めて顔面を冷やしながら、始業間近で人通り...
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