ゼロの使い魔保管庫
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せかんど・バージン1話.『愛は暗闇の中で』(1) ぎふと氏
#br
おわり? 不安げに問いかける声に、才人は頷いた。
「うん。……ごめんな、辛かっただろ?」
壊れ物を扱うように、涙のあふれた目元をそっと指でぬぐっ...
「こんなことして、もうぜったい許さないんだからね。一生忘...
こんな時までいかにもルイズらしい台詞だった。でも自分も...
「俺だって、今日のルイズのことずっと覚えてるよ。忘れろっ...
バカ……。照れくさそうにそっぽを向いたルイズは、つけ加え...
「でもこれで私たち、確かな絆ができたのよね?」
才人もその意味を理解した。
それは主人と使い魔の“絆”ではない。
まったく別の、いわば対等な人間としての“絆”。
どちらもが二人にとってはかけがえのない大切な宝石だった...
そっとルイズは目をつむった。
ようやくサイトの気持ちに応えることができた、そんな満足...
脳みそがとろけるように歓喜の歌をかなでる。
いつしか幸せな気持ちで、ルイズは眠りについていた……。
+ + +
柔らかな闇の中、才人は耳をすませた。
たしかに聞こえてくる。
すうすう……。ルイズがたてる寝息の音だ。
確かめるように口もとに顔を寄せてみた。生暖かい息が一定...
手探りでルイズの顔をぺたぺた触りながら、首筋をちゅっと...
んんっ。身じろぎをして顔をそむけると、またルイズはすや...
(……ってウソだろ、おい?)
ふへぇ、と才人は呆けた声を漏らした。
いつもならばとっくに深い眠りについている時間である。
才人ですら朦朧とする意識の中であくびを噛み殺すのに一苦...
ましてや女の子であるルイズの体が睡魔に負けてしまうのも...
が、それにしてたって、
(今のこの体勢で、寝るかぁ普通〜?)
張りつめていた緊張が一気にほどけ、へなへなとルイズの体...
俺がんばったよな? 自分を褒めてもかまわないよな?
切ない気分でルイズの生まれたままの体を抱きすくめた。す...
すると伝わってくるルイズの温もり。
やわらかい。なんて気持ちがいいんだろう。涙が出そうにな...
そして意思とはうらはらに、再びむくむくと欲望が頭をもた...
いやいやいやいやいや。
才人は奥歯を強く噛みしめた。メフィストの誘惑に抗うよう...
いくら居心地がよかろうとも、すでに湿度を失いかけている...
未練がましく駄々をこねる“己”をあやしながら、ゆっくりと...
それでも感じる甘い痺れに脳髄がどうかなってしまいそうだ...
一度ルイズが苦しそうに唸ったのでドキリとしたが、目を覚...
後には大仕事を終えた空しい達成感だけが残った。
まあなんだ。最初は女の子にとっては辛いだけだって言うし...
自嘲気味に無理やり自分を納得させた。
ほんっと相棒もとことんついてねぇよなぁ。デルフが起きて...
俺だってねぇ、何が哀しくて彼女いない暦17年で二次元嫁...
なんにせよ昔の話だし。地球の俺はきっと別の生物なんだ。
(よし、とにかく寝よう)
どこまでも前向きな才人は現実に戻ることにした。
今日のところはさっさと自己処理で済ませて、気持ちよく明...
ルイズを起こさないように静かにベッドから這い出して、カ...
天には二つの月。
一つは白色。一つは赤色。どういうわけかいつも寄り添うよ...
それが地平線の方へ傾いていた。
見回したが、あとは遠くみえる森のシルエットぐらいだ。才...
ベッドの上にうっすらと白い裸身が浮かび上がった。
幻想的な月明かりに照らされたそれは、息をのむほどに美し...
一糸まとわぬ細い肢体。それを彩る淡い桃色がかった金の髪。
両足の合間のひっそりとした部分にも同じ色の柔毛が申しわ...
寝息とともに軽く上下する胸。その頂きは淡く色づいていて...
「ん……ダメよ、バカ犬……」
はっとして引っ込めた。
「……そこダメ……やッ……調子にのるんじゃ……」
どんな夢を見ているんだか。ルイズはさらに口の中でむにゃ...
かわりに可愛らしいお尻がこんにちは、する。
ぷるるっとそれが震えた。
くしゅん、とルイズの口からくしゃみが漏れた。
やれやれ。才人は小さくため息をついて、毛布をとるとルイ...
大事なご主人様に風邪をひかせるわけにはいかない。そうい...
+ + +
「1日お暇を頂きたいんです」
シエスタが休暇を願い出たのが、そもそものはじまりだった。
年に何度か、実家から送られてきた収穫物をトリスタニアの...
「1日でいいの?」
才人は聞いた。
トリスタニアまでは馬を飛ばしても2時間はかかる。たった...
しかしシエスタはけろりとしたもので、
「朝一番の駅馬車に乗れば、なんとか今日中に帰って来られる...
「そんな無理しなくっても。どうせなら2、3日ゆっくりして...
「でもお掃除やお洗濯もありますから……」
ったく生真面目なんだから。
「いいって。こないだまで俺がやってた仕事なんだしさ。数日...
シエスタは救いを求めるようにミス・ヴァリエールへと視線...
生粋の貴族である彼女の方がよりメイドの手が必要なはずだ...
もちろんもし自分がいなくなったら大事なサイトさんをミス...
そんなシエスタの内心を知ってか知らずか、ルイズは素っ気...
「こいつがそう言うんだから、そうすればいいじゃない。あん...
こう言われてしまえば断る理由もない。シエスタはおとなし...
+ + +
そんなわけで、その夜、才人とルイズは久しぶりに二人きり...
妙な期待感をふくらませて、才人はいつもより長い風呂につ...
五右衛門風呂ではない。シュヴァリエとなったサイトは今で...
いつにも増して爽やかな顔で、石鹸の匂いを漂わせながら部...
デジャヴのように蘇るサウスゴータの記憶。
才人は感動に包まれた。
期待していたのは自分だけじゃない。ルイズもだった。
幾度となくお預けを食わされて一生こういう日は来ないので...
でも、と才人は考え直した。
よく考えてもみろ。ルイズの方から拒んできたことが一度と...
ようするにルイズだって自分と同じお預けを食わされている...
新たな発見に才人は胸を躍らせた。
ごめんルイズ。待たせてごめん。女の子から誘うようなマネ...
デモ俺コンヤハ絶対ニキメテミセルカラ、固い決意を抱いて...
「あの……、ルイズ?」
神々しいばかりにまばゆく輝くルイズに気圧されながら、才...
「なによ」
いつもと変わらぬルイズの様子である。
早くも折れそうになる心を奮い立たせて、才人はさりげない...
「その、今日さ。シエスタいないんだよな?」
「だから?」
「だからその……久しぶりだよな? 二人で寝るの」
深く考えもせず言ってから、その言葉の意味する別のところ...
ところがルイズときたら、実に素っ気無い態度だった。
「それで?」
わけがわからないというふうに眉をひそめる。
しゅわしゅわ。炭酸音とともに才人の意気ごみは泡とはじけ...
その気のない相手にいきなり愛を囁けるほど、恋の手管にな...
とりあえず様子見するか。そう考え直した。
それに遅かれ早かれ一つ布団の中。すでに罠にかかった子ウ...
自分に負けず劣らずルイズが雰囲気に流されやすいことも才...
+ + +
さて一方のルイズはといえば、そんな才人の様子にいらいら...
(ああもう。あいかわらず押しが弱いっていうか)
ルイズだって、降ってわいたような好機を意識していないわ...
才人の予想は当たらずとも遠からずだった。
(別にね、したいってわけじゃないのよ?)
ルイズは自分に言い訳した。
そんなふしだらな気持ちあるわけないじゃない?
だけど近頃ときたら、水精霊騎士隊とか巨乳エルフとか頭の...
思い出したくもない不愉快なもろもろをも含んだアレコレな...
たまには使い魔と親密な交流をもつべきだ。それは主人であ...
それに……時々は確認しておかないと……。
でないと自分の気持ちが落ちつかない。ただでさえ少ない自...
(そうよ。ただの確認よ確認! 使い魔がいかにご主人様だけ...
けれど理由がなんであれ、いかにも待ってましたという素振...
なので高鳴る気持ちを押さえつけて、才人の方を見上げるに...
「それで? なんなのよ」
あいかわらず立ちんぼうの才人は困った顔をしていた。しば...
「あー、じゃあそろそろ寝ようか。もう遅いし」
そそくさとベッドにもぐりこんでしまった。
がっくりとルイズは肩を落とした。まさかこのままおとなし...
それともそういう気なのだろうか。不安になった。そこまで...
こっそり焚いておいたお香にも才人は気づいているふうもな...
パチン。指を鳴らして魔法のランプの明かりを消した。
それから立ち上がって、窓のカーテンをぴっちりと閉めた。...
すると部屋は闇に包まれた。
普段とは違うその行動を、才人はきっといぶかしく思ってい...
けれど万が一ということもある。
ガリアでの一件以来、時々タバサが窓の外から見張っている...
ほんっと何考えてんだか、ラブシーンまがいのことをしてい...
そんなことを思いながら、手探りでベッドにたどりついたル...
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せかんど・バージン1話.『愛は暗闇の中で』(1) ぎふと氏
#br
おわり? 不安げに問いかける声に、才人は頷いた。
「うん。……ごめんな、辛かっただろ?」
壊れ物を扱うように、涙のあふれた目元をそっと指でぬぐっ...
「こんなことして、もうぜったい許さないんだからね。一生忘...
こんな時までいかにもルイズらしい台詞だった。でも自分も...
「俺だって、今日のルイズのことずっと覚えてるよ。忘れろっ...
バカ……。照れくさそうにそっぽを向いたルイズは、つけ加え...
「でもこれで私たち、確かな絆ができたのよね?」
才人もその意味を理解した。
それは主人と使い魔の“絆”ではない。
まったく別の、いわば対等な人間としての“絆”。
どちらもが二人にとってはかけがえのない大切な宝石だった...
そっとルイズは目をつむった。
ようやくサイトの気持ちに応えることができた、そんな満足...
脳みそがとろけるように歓喜の歌をかなでる。
いつしか幸せな気持ちで、ルイズは眠りについていた……。
+ + +
柔らかな闇の中、才人は耳をすませた。
たしかに聞こえてくる。
すうすう……。ルイズがたてる寝息の音だ。
確かめるように口もとに顔を寄せてみた。生暖かい息が一定...
手探りでルイズの顔をぺたぺた触りながら、首筋をちゅっと...
んんっ。身じろぎをして顔をそむけると、またルイズはすや...
(……ってウソだろ、おい?)
ふへぇ、と才人は呆けた声を漏らした。
いつもならばとっくに深い眠りについている時間である。
才人ですら朦朧とする意識の中であくびを噛み殺すのに一苦...
ましてや女の子であるルイズの体が睡魔に負けてしまうのも...
が、それにしてたって、
(今のこの体勢で、寝るかぁ普通〜?)
張りつめていた緊張が一気にほどけ、へなへなとルイズの体...
俺がんばったよな? 自分を褒めてもかまわないよな?
切ない気分でルイズの生まれたままの体を抱きすくめた。す...
すると伝わってくるルイズの温もり。
やわらかい。なんて気持ちがいいんだろう。涙が出そうにな...
そして意思とはうらはらに、再びむくむくと欲望が頭をもた...
いやいやいやいやいや。
才人は奥歯を強く噛みしめた。メフィストの誘惑に抗うよう...
いくら居心地がよかろうとも、すでに湿度を失いかけている...
未練がましく駄々をこねる“己”をあやしながら、ゆっくりと...
それでも感じる甘い痺れに脳髄がどうかなってしまいそうだ...
一度ルイズが苦しそうに唸ったのでドキリとしたが、目を覚...
後には大仕事を終えた空しい達成感だけが残った。
まあなんだ。最初は女の子にとっては辛いだけだって言うし...
自嘲気味に無理やり自分を納得させた。
ほんっと相棒もとことんついてねぇよなぁ。デルフが起きて...
俺だってねぇ、何が哀しくて彼女いない暦17年で二次元嫁...
なんにせよ昔の話だし。地球の俺はきっと別の生物なんだ。
(よし、とにかく寝よう)
どこまでも前向きな才人は現実に戻ることにした。
今日のところはさっさと自己処理で済ませて、気持ちよく明...
ルイズを起こさないように静かにベッドから這い出して、カ...
天には二つの月。
一つは白色。一つは赤色。どういうわけかいつも寄り添うよ...
それが地平線の方へ傾いていた。
見回したが、あとは遠くみえる森のシルエットぐらいだ。才...
ベッドの上にうっすらと白い裸身が浮かび上がった。
幻想的な月明かりに照らされたそれは、息をのむほどに美し...
一糸まとわぬ細い肢体。それを彩る淡い桃色がかった金の髪。
両足の合間のひっそりとした部分にも同じ色の柔毛が申しわ...
寝息とともに軽く上下する胸。その頂きは淡く色づいていて...
「ん……ダメよ、バカ犬……」
はっとして引っ込めた。
「……そこダメ……やッ……調子にのるんじゃ……」
どんな夢を見ているんだか。ルイズはさらに口の中でむにゃ...
かわりに可愛らしいお尻がこんにちは、する。
ぷるるっとそれが震えた。
くしゅん、とルイズの口からくしゃみが漏れた。
やれやれ。才人は小さくため息をついて、毛布をとるとルイ...
大事なご主人様に風邪をひかせるわけにはいかない。そうい...
+ + +
「1日お暇を頂きたいんです」
シエスタが休暇を願い出たのが、そもそものはじまりだった。
年に何度か、実家から送られてきた収穫物をトリスタニアの...
「1日でいいの?」
才人は聞いた。
トリスタニアまでは馬を飛ばしても2時間はかかる。たった...
しかしシエスタはけろりとしたもので、
「朝一番の駅馬車に乗れば、なんとか今日中に帰って来られる...
「そんな無理しなくっても。どうせなら2、3日ゆっくりして...
「でもお掃除やお洗濯もありますから……」
ったく生真面目なんだから。
「いいって。こないだまで俺がやってた仕事なんだしさ。数日...
シエスタは救いを求めるようにミス・ヴァリエールへと視線...
生粋の貴族である彼女の方がよりメイドの手が必要なはずだ...
もちろんもし自分がいなくなったら大事なサイトさんをミス...
そんなシエスタの内心を知ってか知らずか、ルイズは素っ気...
「こいつがそう言うんだから、そうすればいいじゃない。あん...
こう言われてしまえば断る理由もない。シエスタはおとなし...
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そんなわけで、その夜、才人とルイズは久しぶりに二人きり...
妙な期待感をふくらませて、才人はいつもより長い風呂につ...
五右衛門風呂ではない。シュヴァリエとなったサイトは今で...
いつにも増して爽やかな顔で、石鹸の匂いを漂わせながら部...
デジャヴのように蘇るサウスゴータの記憶。
才人は感動に包まれた。
期待していたのは自分だけじゃない。ルイズもだった。
幾度となくお預けを食わされて一生こういう日は来ないので...
でも、と才人は考え直した。
よく考えてもみろ。ルイズの方から拒んできたことが一度と...
ようするにルイズだって自分と同じお預けを食わされている...
新たな発見に才人は胸を躍らせた。
ごめんルイズ。待たせてごめん。女の子から誘うようなマネ...
デモ俺コンヤハ絶対ニキメテミセルカラ、固い決意を抱いて...
「あの……、ルイズ?」
神々しいばかりにまばゆく輝くルイズに気圧されながら、才...
「なによ」
いつもと変わらぬルイズの様子である。
早くも折れそうになる心を奮い立たせて、才人はさりげない...
「その、今日さ。シエスタいないんだよな?」
「だから?」
「だからその……久しぶりだよな? 二人で寝るの」
深く考えもせず言ってから、その言葉の意味する別のところ...
ところがルイズときたら、実に素っ気無い態度だった。
「それで?」
わけがわからないというふうに眉をひそめる。
しゅわしゅわ。炭酸音とともに才人の意気ごみは泡とはじけ...
その気のない相手にいきなり愛を囁けるほど、恋の手管にな...
とりあえず様子見するか。そう考え直した。
それに遅かれ早かれ一つ布団の中。すでに罠にかかった子ウ...
自分に負けず劣らずルイズが雰囲気に流されやすいことも才...
+ + +
さて一方のルイズはといえば、そんな才人の様子にいらいら...
(ああもう。あいかわらず押しが弱いっていうか)
ルイズだって、降ってわいたような好機を意識していないわ...
才人の予想は当たらずとも遠からずだった。
(別にね、したいってわけじゃないのよ?)
ルイズは自分に言い訳した。
そんなふしだらな気持ちあるわけないじゃない?
だけど近頃ときたら、水精霊騎士隊とか巨乳エルフとか頭の...
思い出したくもない不愉快なもろもろをも含んだアレコレな...
たまには使い魔と親密な交流をもつべきだ。それは主人であ...
それに……時々は確認しておかないと……。
でないと自分の気持ちが落ちつかない。ただでさえ少ない自...
(そうよ。ただの確認よ確認! 使い魔がいかにご主人様だけ...
けれど理由がなんであれ、いかにも待ってましたという素振...
なので高鳴る気持ちを押さえつけて、才人の方を見上げるに...
「それで? なんなのよ」
あいかわらず立ちんぼうの才人は困った顔をしていた。しば...
「あー、じゃあそろそろ寝ようか。もう遅いし」
そそくさとベッドにもぐりこんでしまった。
がっくりとルイズは肩を落とした。まさかこのままおとなし...
それともそういう気なのだろうか。不安になった。そこまで...
こっそり焚いておいたお香にも才人は気づいているふうもな...
パチン。指を鳴らして魔法のランプの明かりを消した。
それから立ち上がって、窓のカーテンをぴっちりと閉めた。...
すると部屋は闇に包まれた。
普段とは違うその行動を、才人はきっといぶかしく思ってい...
けれど万が一ということもある。
ガリアでの一件以来、時々タバサが窓の外から見張っている...
ほんっと何考えてんだか、ラブシーンまがいのことをしてい...
そんなことを思いながら、手探りでベッドにたどりついたル...
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