ゼロの使い魔保管庫
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
単語検索
|
最終更新
|
ヘルプ
]
開始行:
猫と七夕 〜猫のシエスタ
シエスタは道に迷っていた。
慌てて窓から飛び出たのはいいが、シエスタは王宮の構造を良...
執務室のすぐ下は渡り廊下の屋根で、そこから飛び降りるには...
…ち、違う所から降りられるわよね…?
とりあえず渡り廊下の屋根から飛び降りて中庭に着地するとい...
軽くなった身体のお陰で、人の歩く幅ほどの間のあるその庇の...
庇は等間隔に並んでいて、少し進んだ先に、大きな木が生えて...
その木の枝の根元は馬の脚ほどに太く、飛び乗るにはちょうど...
シエスタはその木の所まで駆けていき、そして適当な場所に狙...
ばき。
え。
しかし目測を誤ったのか、シエスタの乗った枝は途中からぽっ...
「ふに!?」
空中で慌ててバランスを取る猫のシエスタ。
四本の脚を地面に向け、軽く上半身を前方へ。
空気の抵抗で斜めに傾いたシエスタは、前足から地面に落ちて...
そして全身のバネを使い、衝撃を吸収する。
たす、と殆ど音も立てず、シエスタは中庭の芝生に着地した。
その横に、折れた枝ががさがさ、と落ちてくる。
「何者だ!」
それを聞きつけたらしい一人の衛視が、王宮の窓から顔を出す。
「なーーーーっ!?」
思わず驚き、声を上げて逃げ出すシエスタ。
「…なんだ猫か」
衛視は三毛猫と折れた枝を確認し、窓の内側に顔を引っ込める。
その引っ込んだ衛視の目の前を、アニエスがすたすたと歩いて...
「…いい加減ちゃんと文字くらい読めるようにならんものかな。
もう一介の騎士なんだから、全く」
だらしない弟を持った姉のような口調で、ぶつぶつ独り言を言...
大回りをしたせいで、シエスタが王宮の外に出られたのは、昼...
遅めのお茶の時間になってようやく、シエスタは西門から王宮...
…サイトさん、どこかしら…?
彼が王宮にいないのは確認済みだ。
門衛の兵士が、字を読み違えて明日の予定を今日と勘違いした...
シエスタはトリスタニアで才人の行きそうな場所を考えてみる。
おそらく彼は今夜、王都で一泊するだろう。
空は曇天で今にも降り出しそうだったし、一度学院に戻るより...
そうなると、彼の今夜の宿が問題。
きっと彼は、今小銭くらいしか持ち合わせがないはず。
そうなると、彼が向かうのは、タダ、もしくはタダ同然で泊ま...
シエスタはすぐにピンときた。
王都の繁華街、チクトンネ街にある、自分の親戚の経営する酒...
以前、ルイズと才人が女王の密名により平民として働いていた...
『魅惑の妖精亭』。
そこにいけば、きっとサイトさんに会える。
そう確信した三毛猫のシエスタは、チクトンネ街への道を走り...
そのシエスタを追う様に、雨粒が石畳を叩き始める。
そして、雨が本格的になり始めた頃。
シエスタは濡れ鼠になる前に、『魅惑の妖精亭』に着くことが...
まずは、酒場の脇にある厩舎を確認。
才人の乗ってきていた馬がいないか、確認するためだ。
いた。
シュヴァリエの紋章の入った鞍を外され、飼い葉を食む、才人...
シエスタは才人がもう酒場の中に入っていると確信した。
そのまま屋根で雨を避けながら、押し戸の下を潜り抜け、開店...
「…間抜けだねえ、相変わらず」
「相変わらずは余計だっつーの。それよりさ、屋根裏貸してく...
「…いいけど、交換条件つきだよ?」
聞きなれた、従姉妹と主人の声。
開店準備中の酒場の隅で、ジェシカと才人が仲よさそうに話し...
どうやら、才人の宿の無心に、ジェシカが何か条件を突きつけ...
シエスタはその傍に寄っていく。
「…なんだよ。俺明日用事があるからあんまムチャはできないぞ」
「うん分かってるよ。だからさ。ディナータイムが終わるまで...
「待て待て!一番忙しい時間に働けってか!」
「…何言ってんの。一番忙しい時間だから人手が欲しいんでしょ...
どうやら、繁忙期の皿洗いがその交換条件のようだ。
シエスタはそんなやり取りを聞きながら、才人の少し後ろに控...
「分かった、分かりました。手伝えばいいんだろ」
「さっすがサイト君いい男っ!惚れ惚れするねぃっ!」
気安くばしんばしんとシュヴァリエの肩を叩きながら、酒場娘...
そして、気安く肩を組むと、これから始まる労働にうなだれる...
「あ、そういや今日は一緒じゃないんだね」
「へ?あ、ルイズ?」
「…もだけどさ。シエスタ。連れて来てないの?」
その声と同時に。
ぽふん。
才人のすぐ右斜め後ろで、そんな軽い音とともに、薄青い煙が...
二人がその音に反応して後ろを向くと。
そこには、シエスタがいた。
ただし、いつものメイド服に、頭に三毛の猫耳、いつの間にか...
シエスタが、きょとん、と驚いた顔で立っていた。
それ以上に、ジェシカとサイトは目を点にしていたが。
「…シエスタ…?なんでここに?
っていうかその格好は…?」
驚く従姉妹に、シエスタは状況を飲み込むと。
叫んだ。
「ジェシカが呼んだら意味ないじゃないのーっ!」
いよいよ二人は目を点にする。
いきなり猫耳で現れて、いきなりそんなことを言われても。
何のことやらさっぱりであった。
猫耳のシエスタを見て半ば呆然となったジェシカだったが。
シエスタの発した台詞で現実に戻り、すぐに思考を回転させる。
そして、酒場の女給頭としてのジェシカは、すぐに答えを導き...
「シエスタ。今晩あんたウチで女給なさい」
「え?いきなり何?」
ジェシカから見てもシエスタはそんじょそこらの街娘なんぞ比...
しかも、トリステイン魔法学院でメイドをしはじめてからは、...
さらに、才人にメイドとして仕えはじめてからは、その魅力は...
『女』として目覚めた彼女の魅力は、同じ女であるジェシカが...
そのシエスタが、事もあろうに猫耳と尻尾を生やしている。
これに、『魅惑の妖精亭』ご自慢のビスチェもどきの女給服を...
その価格──────────プライスレス。
「主人のサイト君が皿洗い。だからメイドのあんたはホールで...
とんとん拍子に進む話に、シエスタ自身が待ったをかける。
「ちょ、ちょっと待ってよ!事情とか聞かないでいきなりそん...
「事情なんかどうでもいい。可愛い女の子が猫耳生やして目の...
雇わない道理がどこにあるっ!」
シエスタの反論にしかし、ジェシカは全く耳を貸さない。
血走った目でシエスタに詰め寄り、力説する。
今、逃すわけには行かない。こんな、巨大な金のなる木を…!
「あ、あの〜。サイトさん〜?」
半分涙目で、隣に控える才人に助けを求めるシエスタ。
しかし。
主人の好色を半ば忘れていたことを、その直後シエスタは実感...
「い、いいんじゃないかなあ」
助けを求める視線から目を逸らし、明後日の方に向かってそう...
援軍の望めないシエスタは、もう諦めの境地だった。
はぁ、と溜息をついて、ジェシカに言う。
「分かった、手伝うわ。でも今夜だけだからね?」
ジェシカはその言葉を聞いてにんまりと笑う。
今宵の客の財布は、シエスタのお陰でずいぶん紐が緩くなる事...
ジェシカはそうと決まれば、と早速シエスタを衣装部屋へと拉...
ジェシカは己の先見の明とコーディネイトの才能に戦慄さえ覚...
「か、完璧だわ…!」
着替えさせている最中に、シエスタが女王様がどうの、猫の指...
ジェシカは震える指で、最後の紐を綺麗な蝶の形に結ぶ。
少しきつめに締められたトップスで、シエスタの脱いだら凄い...
しかし、そんなものは問題ではない。
この程度の破壊力なら、ジェシカでも、むしろ他の女給でも達...
その頭に載った三毛の猫耳。それと、ぎりぎりのローライズの...
あまりにも非現実的なコントラストが、シエスタの魅力を数倍...
来た!猫耳キタ!これで勝つる!
心の中で喝采し、ガッツポーズを取るジェシカ。
そして、専用のビスチェに着替えさせられたシエスタといえば。
「ちょ、ちょっとジェシカ!何この格好!」
姿見で自分の姿を確認して真っ赤になっていた。
無理もないだろう。シエスタは、いつもの『魅惑の妖精亭』の...
しかし、今回猫耳のシエスタのためにジェシカがコーディネイ...
まず、少しきつめに締められた上着。
普通のそれは女の子が着易いように、胸の下で紐を締めるよう...
しかしシエスタに用意されたそれは違っていた。
胸の下半分だけを綺麗に覆う小さめの布地。あと僅か下に布地...
だがその先端は少しサイズを抑える事と、ジェシカによってき...
そう、この特別製のビスチェは背中で紐を締める。女の子が自...
つまり、着せてもらい、脱がせてもらう服なのである。
そして何よりも。
見せるために履く、と言われる女性の柔肌に例えられる絹製の...
普通のそれは、形こそ様々あれど、ふくよかな女性の尻の頬を...
しかしジェシカの用意したそれは、大幅に違っていた。
下の毛がぎりぎり隠れるほどの、低い低い位置に布の張られた...
確かに尻の肉はその柔らかい絹からはこぼれていなかったが、...
その尻の谷間の根元からは三毛の尻尾が生えている。もちろん...
だがその本当の目的は明らかに別の所にあった。
それは上着から伸びるスカートが証明していた。
そのスカートはふわりと前に丸く広がっていたが、後ろはその...
つまり。
シエスタの着替えたその特別製のビスチェは、三毛の猫耳と相...
ただし、その破壊力は着用者の羞恥心をも著しく刺激したが。
「こ、こんな恥ずかしい格好!サイトさんの前以外できるわけ...
…サイト君の前ならできるんかい。普段どういうことやってんだ...
ジェシカは心の中だけで突っ込んだが、すぐに前もって準備し...
「仕事終わったら、サイト君と『VIPルーム』使っていいか...
「え」
話だけは聞いたことがある。
『魅惑の妖精亭』の地下にある、音を一切漏らさない秘密の部...
一般の顧客には開放されないその場所は。
一晩泊まるだけで最下位の騎士が一月分かかって稼ぐ貴族年金...
地下水脈と温泉を同時に引き、潤沢に使える湯と水。
魔法ですぐに乾いた状態に戻る、ふわふわのキングサイズのベ...
そして何よりも、部屋に備え付けられた、ハルケギニア各地か...
男女の秘め事に使うのなら、月のないラグドリアン湖かそこが...
当然、シエスタも関係者としてその部屋の事は知っていた。
「え?本当?いいの?」
「しばらく不景気でさ。たまには使って埃を取らないとだしね...
ノってきたシエスタに、『譲歩しているのはこっち』といわん...
「よ、よし、それじゃあ頑張っちゃおうかなあ。今夜だけだし」
「そうそう今夜だけ。今夜だけだから♪」
その今夜のうちにがっつり稼いでもらうわよおおおおおおおお...
ジェシカは心の中だけでそう叫んだ。
時に、何故『魅惑の妖精亭』経営者スカロンは、女給たちにチ...
もちろん、そのチップが酒と食事以外の『魅惑の妖精亭』の収...
そのチップは、主に貨幣で支払われる。
もちろんどんな貨幣でもいいのだが、男の見栄からか、銀貨よ...
さて。
ビスチェを着込んだ女給たちは、どこにその支払われるチップ...
「いやぁ、今日もリノちゃんは可愛いねえ」
「やだもう旦那様ってばぁ♪妻も娘もいるくせに♪いけないオ・...
言いながら女給は胸元を晒す。そこにあるのは、深く黒い深淵...
そこへ、酔客は銀貨を放り込む。
この放り込まれる銀貨の量に応じて、女給はその酔客の席に居...
そして、女給は厨房に入るたび、自分の名前の書かれた布袋に...
才人は厨房で皿洗いをしながら、その様子をずっと見ていた。
もちろん、女の子たちが貨幣を取り出すたびに、ぽろんと零れ...
そして、ジェシカが無理を言って働かせているシエスタはとい...
「はい、お待たせいたしました、旦那様」
「な、ななななんだねキミは!け、けしからん、けしからんぞ...
シエスタがそのハゲ頭の酔客のテーブルにエールを運び、目の...
ぴこぴこ揺れる三毛の猫耳、ゆらゆら揺れる猫の尻尾が、非現...
「あら。けしからんと言われては猫は立ち去るしかありません...
「ま、待て、待ちたまえ!そ、そうだマタタビをやろう!」
去りかけたシエスタに慌てて酔客が取り出したのは、なんと金...
どうやらこのハゲ親父、着ている服からしても、相当がめつく...
シエスタはその手を包み込んで金貨だけを受け取り、にっこり...
「あら嬉しい。でも、他のお客様もお呼びですから…。私はこれ...
そう言って立ち去る。
これはジェシカに指示されたコツで、、特定の席には着かない...
席から席へと渡り歩き、軽い会話と色気でチップを吐き出させ...
ジェシカ直伝、『花畑を舞う蝶の如し』である。
しかし。
シエスタが背中を向けた瞬間。
「名残惜しいが仕方ない…。では、お土産にこれをやろう♪」
そう言って、その酔客は立ち去るシエスタのお尻に手を伸ばす。
「ひゃぁ!」
そして、半分見えている尻の谷間に、銀貨を追加で挟み込む。
その際、ぺろん、とシエスタの尻を撫でるのも忘れない。
しかし。
「いてっ!」
その酔客が手を引っ込める。
その手の甲には、赤い線が引かれていた。
猫となったシエスタが、反射的に爪で手の甲を引っかいたので...
思わず怒鳴ろうとする酔客だったが、その間にジェシカが割り...
酔客の機嫌をとろうとするように満面の笑顔で、胸元を強調し...
「あらぁドミニコの旦那様?ウチの妖精さんたちにおさわりは...
店のNo1の笑顔に、思わず相好を崩すハゲ親父。
ジェシカに言われた事に対し、すまない、と素直に謝り、そし...
ジェシカは器用にウインクして、シエスタに立ち去るようにア...
そんなジェシカを後ろ目に見ながら、シエスタはその場を立ち...
そして、その一晩で、シエスタは何度かお触りをされながらも...
才人を一足先にVIPルームに案内した、とジェシカが言うので、...
シエスタはもちろんあのビスチェのまま。さんざんおっさんど...
厨房の一番奥、オーブンのある壁の少し手前の床板を、ジェシ...
そこには、地下に続く、大理石でできた、綺麗に磨かれた緩や...
話には聞いていたが、シエスタがVIPルームへ続くこの階段を見...
その事を呟くと、耳ざとくそれを聞いたジェシカが応えた。
「まあねえ。貴族か、よっぽど儲かってる商人さんくらいしか...
ジェシカもあまりこの扉を開く事はない。
実は、ジェシカ自身がこのVIPルームへの扉を開くのは、彼女が...
最初の一回は父に教えられて。二回目は、先輩の女給が、大貴...
そして三度目は自分。どうしても、とある国の王族に請われ、...
その夜の代金は、『魅惑の妖精亭』全フロアを新築同様に改装...
…まあ、その王子様エラく可愛かったし、私も気持ちよかったし。
などと扉を開けながら考えつつ、シエスタにこの部屋を使う際...
「薬はどんだけ使ってもいいけど、ほどほどにね。効果や注意...
棚の奥の方、取り難い場所にあるやつほど基本的にヤバい薬...
お湯も水も使い放題。部屋の中の水場とバスタブに溜めて使...
あとベッドだけど、魔法でいくら汚しても元通りになるから...
床は石畳になってるから床の上じゃちょっとアレだと思うけ...
あと食事が欲しい時はドアの脇のベルを鳴らしてね。一応分...
うん、うん、と注意事項の一つ一つにに頷くシエスタ。
そのたびに三毛の猫耳がぴょこぴょこ揺れる。
正直、ジェシカから見ても猫耳のシエスタは可愛かった。
その場で押し倒して無理やり百合したくなるくらい。
ていうかおっさんどもがお触りしたくなるキモチもわかるなあ。
などと思いつつ、おっさん根性丸出しでシエスタの半分丸出し...
「ひゃっ!?ちょ、ジェシカ?」
驚いて身体を縮こまらせるシエスタだったが、それ以上にジェ...
部屋に入ると。
普段着の才人が部屋に備え付けの円卓の椅子にかけていた。
待たされた事に腹を立てているのか、少し不満げな顔だ。
「すいませんサイトさん、遅くなって」
そんな才人を気遣って、シエスタは彼の対面の椅子を彼の隣へ...
才人は笑顔を向けるシエスタに、なんとか笑顔になると、言っ...
「お疲れ様、シエスタ」
しかしその笑顔はなんだかぎこちない。
無理もないだろう。今、才人の中では原因不明のムカムカが渦...
だいたい理由は分かっていたが、しかし。
シエスタのご主人様として、そんな言葉は口にはできないので...
そして、猫の鼻を得て匂いに敏感になったシエスタは、そんな...
「あの…サイトさん?何を怒ってらっしゃるんですか?」
「…へ?」
才人の目が点になる。
そして少し焦る。自分の心の内側を見透かされたようで。
「え?な、なんでそう思うの?」
「い、いえ…。なんとなく、そんな気がして」
シエスタも上手く説明できないのか、不思議そうな顔をする。
匂いで才人の感情が分かったのだが、それを上手く説明できな...
だが、シエスタは考える。
才人のその感情の出所を。どうして、こんな風にムカムカして...
そして思い当たる。
ひょっとして。
「あ、あの、サイトさん…つかぬことを伺いますが」
「何?シエスタ?」
「ひょっとして…妬いてました?」
シエスタの指摘を聞いて、『い』の口の形で、才人が固まる。
見事に図星だった。
酔客にシエスタがお触りされるたび、というより、営業スマイ...
才人は確かに嫉妬を感じていた。
しかし、男の意地から、そんなことを言うわけにもいかず。
むしろ仕事中だったので致し方なく、才人は黙々と皿洗いを続...
「え、いやだなあシエスタ、俺がそんな妬いたりとか…ねえ?あ...
慌てて笑って誤魔化す才人。
しかし反射的にその体表に僅かながら溢れる、軽い汗。
そこから臭う牡の信号が、シエスタに才人の感情を伝えた。
図星を突かれて焦っている。
シエスタの心臓がくきゅん、と切なく鳴る。
嬉しい。すごく…嬉しい。
シエスタは自分の椅子を才人の椅子に寄せ、才人の肩に頭を預...
その接触した部分から、ぴくん、と震える才人の動揺が伝わる。
シエスタは潤んだ瞳で、下から才人を見上げる。
その光景を才人は拒む事ができない。
深淵を思わせる黒髪から生えた、嬉しそうにぴん、ぴん、と時...
歓喜に潤み、じっと自分を見上げる情熱的な黒い瞳はまるで、...
軽く興奮し、桃色に染まった、弾力に満ちた染み一つない頬。
桜色に潤んで、小さく呼吸を繰り返す唇は、まるで桜の花びら...
白い肌が流れる悦びの血潮に内側から朱に染まり、ランプの妖...
そして。
きつく締められたビスチェに拘束された、弾けそうな白い双丘...
シエスタの吐く息が熱く潤み、牝の匂いをさせている。まるで...
その吐き出される桃色に染まった吐息が、意味を持った言葉を...
「…嬉しいです」
「え」
「隠さなくていいです。サイトさんが妬いてくれて…すごく嬉し...
そう言ったシエスタの目尻から、つぅっ、と涙が一粒の真珠と...
嬉しさに涙腺だけでなく、身体中の腺が緩んでいるのが分かっ...
何も言えず固まる才人に、シエスタは続ける。
「でも、心配しなくていいですよ」
「い」
シエスタはそのまま、才人の右肘を抱え込む。
そして、涙も拭かず、極上の笑顔で才人を見上げる。
才人の胸の奥で、心の臓がずくん、と鳴った。
シエスタは笑顔のまま、才人の腕に体重を乗せる。
ビスチェに閉じ込められた極上の柔らかさが、才人の全神経を...
「わたしが何されてもいいのは、サイトさんだけです。
神様でも王様でも、私をどうこうはできません。
この世界でシエスタを好きに出来るのは、サイトさんだけな...
シエスタのその言葉に、才人の中で燻っていた嫉妬の炎が消え...
その代わりに満たされていく、不思議なキモチ。
満たされていくのは、牡の征服欲。
神にすら膝を折らない女を手にしたという、充足感。
才人は居ても立っても堪らず、シエスタをきつく抱きしめる。
「シエスタ…」
しかし、抱きしめて名前を呼ぶだけで精一杯だった。
このまま彼女を滅茶苦茶にしたいという欲望と、誰よりも大切...
シエスタはそんな才人の顎にひとさし指を当て、言った。
「あの、ですね。
明日に障るといけませんから…。お薬、使っておきましょ?」
これから行う行為で、才人が疲れるといけないから。そう思っ...
そんな心遣いも嬉しく、才人はもう一度シエスタをきつく抱き...
才人は一足先に全裸になってベッドに入る。
その隙に、シエスタはベッドの脇に備え付けてある棚から、小...
シエスタはビスチェを着たまま、二本の瓶を持ってベッドに上...
そして、愛しい主人の前で、薬の説明を始めた。
「えっと。こっちの青いのが、『深淵の誘い』だそうです。体...
で、こっちの赤いのは『流れる赤炎』。長時間、行為を持続...
シエスタはとりあえず手前側にある、才人の体力を削らなさそ...
他にもイロイロとあったのだが、そのほとんどが『アッチの世...
才人はシエスタの説明を聞いて、青いほうがよさそうだ、と判...
「じゃあ、青いのにするよ」
「はい、どうぞ」
才人の言うままに、シエスタは青い瓶を才人に手渡す。
才人はその瓶の蓋を開けると、一気に飲み干した。
シエスタは飲み終わった瓶を受け取ると、赤い瓶ともども、ベ...
薬を飲み終わった才人ははて、と思った。
「シエスタはいいの?飲まなくて」
「私はいいんです。だって…」
そこまで言って、ほ、と頬を染めて言葉を濁す。
なんだ一体、と思った才人は先を促した。
「だって、何?」
「お薬なんか抜きで、サイトさんを、感じたいから…」
上目遣いにそんな事を言ってのけた。
才人の心のヤバい場所に、何かまずいものが、とんでもない大...
「だ、だめ、シエスタさんそれだめ」
「え?なんかまずかったですか?」
「可愛すぎ。反則過ぎ。ええいもう、このダメイドめっ!イタ...
薬が効いてきたのか、才人は内側から溢れくる欲望と衝動のま...
「やんっ、サイトさんてば乱暴♪」
されるがままにシエスタはベッドの上に身体を広げる。
覆いかぶさってきた才人がまずしたことは。
きつく締められたビスチェを下に無理やりずらし、シエスタの...
強引に下げられたクリーム色の布の下から、締められて紅い線...
「可愛そうに…こんなになるまで」
心にもない台詞を言いながら、才人はまるで母猫が仔猫を労わ...
「あっ…あっあっ…」
シエスタの喉が、その刺激に艶かしく踊る。
しかし、暴走する才人の欲望はこんなものでは済まない。
一通りシエスタの胸を嘗め回すと、今度はシエスタの下半身を...
その欲望の赴くままに、ビスチェのスカートに申し訳程度に隠...
そして、才人の掌が触れた瞬間。
「…シエスタさん、またですか」
「えへへ。だってサイトさんこういうの好きでしょ?」
シエスタははいていなかった。
「この部屋に入る前から脱いでたんですけど。サイトさん気付...
シエスタの言うとおり、才人は猫耳シエスタの上半身にばかり...
「おっぱい好きにも程があるゾ…この変態♪」
シエスタはにっこり笑って、まだ胸の谷間に顔を埋めてシエス...
「…しょうがないだろ。そんなエロい格好してくるシエスタが悪...
言って才人はまたシエスタの谷間に顔を埋める。
その間も手は休まず、シエスタのむき出しの臀部を、ざわりざ...
「んっ…!そ、そのさわりかたっ…!ふっ…!え、えっちぃですよ...
「ひもひーれひょ」
胸の肉を嬲りながら応えているため、才人の回答はまともな声...
シエスタの柔肉に阻まれて、その声がくぐもっていた。
「キモチイイですっ…!やぁ、あっ…!あっあっあっ…!」
胸と臀部を同時にマッサージされ、シエスタの体が解れていく。
下の唇からとろとろと愛液が零れ始める。
それは柔らかい恥丘をとろりとろりと流れ、シエスタの奥尻を...
尻しか撫で回していないのに、くちゅくちゅと水音を立て始め...
「お尻、垂れて来てるよ。感じてるねシエスタ」
「は、はいぃ…で、できるなら、もう、入れて欲しいんですけど...
もう既に完全に火のついた子宮を、さらに熱い精液で鎮めて欲...
シエスタの身体は、既に準備を完了していた。
そして、才人も。
薬の影響か、才人の肉棒は限界まで屹立し、いつもの数倍の先...
溢れる愛液と先走りが混じれば、とんでもない滑りを生み出す...
それに、今の才人はできるだけシエスタの言うとおりにしてや...
全てを捧げてくれるといってくれたこのメイドに、自分も何か...
才人はシエスタを仰向きにさせ、膝裏に手を当てて脚をM字に開...
当然、そこからはベトベトに濡れた女陰はスカートの陰になっ...
シエスタは当然の疑問を口にする。
「あ、あの。サイトさん、これじゃ見えないんじゃあ…?」
「せっかくそんなエロい衣装に猫耳生やしてるんだ、できるだ...
まさにへんたいの理屈であった。
シエスタはくす、と笑って、また才人おでこをひとさし指でこ...
「こぉの、変態騎士」
「その変態にぞっこんなのはどこのエロメイドかなあ?」
お互いに罵りあって笑い合う。
そして。
「もう、御託はいいから…きてください…♪」
「ごめん。待たせた」
両手を広げたシエスタの股間を、熱く煮えたぎった才人の牡が...
普段からはありえない、ぐちゃりぐちゃりというまるで水飴を...
本来なら潤滑油の役目を果たすはずの愛液と先走りが、想定外...
その粘り気のある感覚に、才人は、一合ごとに、シエスタの身...
シエスタは、身体が引きずられるようなその感覚に、才人の肉...
「う、ぐあ、重っ、な、なんだこれっ」
しかし才人の腰は止まらない。零れる快楽を残さず貪るように...
「ふぁ、ふぐ、えぐ、えぐって…ふあぁぁぁっ!」
ずるりずるりと下がっていく子宮が、まるで才人の肉棒に抉り...
そのせいでピストンのたびに、シエスタを覆うビスチェと、頭...
「にゃぁっ、にゃぁんっ、ふにゃぁんっ」
シエスタの瞳は完全に獣欲に蕩け、声は完全に牝猫のそれにな...
「くぁ、し、シエスタ、も、だめだぁっ」
子宮に密着した牡がどくり、どくりと脈打ち、その体積を一気...
膨らみながら精液を子宮に送り出すため、脈打つ。
そして最初の堰が、壊れる。
どぐん!
「ひ、にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
先走りなどよりも数倍粘っこい白い精液は、容赦なくシエスタ...
シエスタの牝が吼え、子宮口をぱくりと開き、流れ込む熱い白...
そして、牡の体温が牝猫の最奥を焼いていく。
「ふに、ふにぃぃぃぃぃぃぃ!」
ぎゅ、と脚と腕で才人を抱きしめ、全身で絶頂を表すシエスタ。
ビクンビクンとシエスタの膣が震え、最初の絶頂を伝えた。
しかし。
「う、が、な、なんでだっ!」
才人の焦った声。
そして感じる、陰唇の拡張感。
才人の肉棒が、また膨らんでいる。射精の前触れだ。
「ご、ごめんシエスタっ!」
謝罪の言葉と同時に。
ごぷりごぷりと、再度、シエスタの子宮を焼いた精液が、さら...
「ふにゃ、ぁあぁっ!?」
先ほどに倍する量に、シエスタの小さな子宮は満たされ、腰の...
だが。
「う、わ、なんだこれ、と、止まらない…っ!」
まるで放尿のように、才人は精液をシエスタの中に垂れ流し続...
おそらく薬の影響だろう。
「や、らめ、も、はいんな、あぁぁぁぁぁぁっ!」
流れ込む大量の精液に、シエスタの子宮が肉の弾力で膨らみ、...
しかしそれでも才人の射精は納まらず、ぶぴ、ぶぴ、と肉の隙...
このままだと、シエスタの中が壊れる。
そう思った才人は。
「ごめん、シエスタっ!」
栓の壊れたバルブのように精液を放出する自らをシエスタから...
そして、放心して身体をベッドに預ける三毛の猫耳のシエスタ...
白い白濁が、三毛の耳を、黒い髪を、白い肌を、クリーム色の...
「あ、ふぁ、出てるぅ、かかってるぅ、サイトさんのいっぱい...
愛しい人の熱い白濁の雨を浴びながら、シエスタは異常な幸福...
「…で、どう使ったらこうなるわけ」
次の日。
才人の出した白濁で縮んでしまったビスチェを眺め、ジェシカ...
シエスタの猫耳は『猫』が抜けたせいで元の人間の耳に戻って...
「…ちょ、ちょっとお薬間違えちゃって。
…その、サイトさん、射精とまんなくなっちゃって…」
結局あの後、一時間ほど才人の射精と性欲は納まらず、ベッド...
しかしそこは魔法のベッド、すぐにもとの乾いたベッドになっ...
無事で済まなかったのはビスチェである。
才人の精液で汚され、上等な絹でできたビスチェは、ガッビガ...
「あーあ。だから言ったのにさ。薬には気をつけなって」
肩をすくめて言ったジェシカは、懐から紙切れと木炭を取り出...
「ほいこれ」
「え…ナニコレ!」
シエスタは驚いた。
そこには、才人の貴族年金半月分程度の金額が、書き込まれて...
「…決まってるでしょ。そのビスチェの代金。
いくらすると思ってんのよ」
「え、だって、これってジェシカが」
「…誰がこの服も込みだって言ったのよ」
確かに言ってない。
言ってないが。
「ま、待ってよ、こんなお金払えないわよ私!」
「…じゃあアンタのご主人に払ってもらえばいいじゃん」
シエスタはその言葉に、ちらり、とVIPルームの扉を見る。
その向こうでは、文字通り精根尽き果てた才人が、泥のように...
その才人に、シエスタは心中で謝りながら。
「…じゃあ、サイトさんにつけておいて…」
「まっいっどあり〜♪」
ジェシカはそう言ったシエスタの手からその紙切れを奪うと、...
『スペシャルなビスチェ、シュヴァリエ・サイトより代金支払...
そして、一ヵ月後。半分に目減りした貴族年金を前に、才人は...
いい女を独占するのは、とかく金がかかるものなのだと。〜fin
終了行:
猫と七夕 〜猫のシエスタ
シエスタは道に迷っていた。
慌てて窓から飛び出たのはいいが、シエスタは王宮の構造を良...
執務室のすぐ下は渡り廊下の屋根で、そこから飛び降りるには...
…ち、違う所から降りられるわよね…?
とりあえず渡り廊下の屋根から飛び降りて中庭に着地するとい...
軽くなった身体のお陰で、人の歩く幅ほどの間のあるその庇の...
庇は等間隔に並んでいて、少し進んだ先に、大きな木が生えて...
その木の枝の根元は馬の脚ほどに太く、飛び乗るにはちょうど...
シエスタはその木の所まで駆けていき、そして適当な場所に狙...
ばき。
え。
しかし目測を誤ったのか、シエスタの乗った枝は途中からぽっ...
「ふに!?」
空中で慌ててバランスを取る猫のシエスタ。
四本の脚を地面に向け、軽く上半身を前方へ。
空気の抵抗で斜めに傾いたシエスタは、前足から地面に落ちて...
そして全身のバネを使い、衝撃を吸収する。
たす、と殆ど音も立てず、シエスタは中庭の芝生に着地した。
その横に、折れた枝ががさがさ、と落ちてくる。
「何者だ!」
それを聞きつけたらしい一人の衛視が、王宮の窓から顔を出す。
「なーーーーっ!?」
思わず驚き、声を上げて逃げ出すシエスタ。
「…なんだ猫か」
衛視は三毛猫と折れた枝を確認し、窓の内側に顔を引っ込める。
その引っ込んだ衛視の目の前を、アニエスがすたすたと歩いて...
「…いい加減ちゃんと文字くらい読めるようにならんものかな。
もう一介の騎士なんだから、全く」
だらしない弟を持った姉のような口調で、ぶつぶつ独り言を言...
大回りをしたせいで、シエスタが王宮の外に出られたのは、昼...
遅めのお茶の時間になってようやく、シエスタは西門から王宮...
…サイトさん、どこかしら…?
彼が王宮にいないのは確認済みだ。
門衛の兵士が、字を読み違えて明日の予定を今日と勘違いした...
シエスタはトリスタニアで才人の行きそうな場所を考えてみる。
おそらく彼は今夜、王都で一泊するだろう。
空は曇天で今にも降り出しそうだったし、一度学院に戻るより...
そうなると、彼の今夜の宿が問題。
きっと彼は、今小銭くらいしか持ち合わせがないはず。
そうなると、彼が向かうのは、タダ、もしくはタダ同然で泊ま...
シエスタはすぐにピンときた。
王都の繁華街、チクトンネ街にある、自分の親戚の経営する酒...
以前、ルイズと才人が女王の密名により平民として働いていた...
『魅惑の妖精亭』。
そこにいけば、きっとサイトさんに会える。
そう確信した三毛猫のシエスタは、チクトンネ街への道を走り...
そのシエスタを追う様に、雨粒が石畳を叩き始める。
そして、雨が本格的になり始めた頃。
シエスタは濡れ鼠になる前に、『魅惑の妖精亭』に着くことが...
まずは、酒場の脇にある厩舎を確認。
才人の乗ってきていた馬がいないか、確認するためだ。
いた。
シュヴァリエの紋章の入った鞍を外され、飼い葉を食む、才人...
シエスタは才人がもう酒場の中に入っていると確信した。
そのまま屋根で雨を避けながら、押し戸の下を潜り抜け、開店...
「…間抜けだねえ、相変わらず」
「相変わらずは余計だっつーの。それよりさ、屋根裏貸してく...
「…いいけど、交換条件つきだよ?」
聞きなれた、従姉妹と主人の声。
開店準備中の酒場の隅で、ジェシカと才人が仲よさそうに話し...
どうやら、才人の宿の無心に、ジェシカが何か条件を突きつけ...
シエスタはその傍に寄っていく。
「…なんだよ。俺明日用事があるからあんまムチャはできないぞ」
「うん分かってるよ。だからさ。ディナータイムが終わるまで...
「待て待て!一番忙しい時間に働けってか!」
「…何言ってんの。一番忙しい時間だから人手が欲しいんでしょ...
どうやら、繁忙期の皿洗いがその交換条件のようだ。
シエスタはそんなやり取りを聞きながら、才人の少し後ろに控...
「分かった、分かりました。手伝えばいいんだろ」
「さっすがサイト君いい男っ!惚れ惚れするねぃっ!」
気安くばしんばしんとシュヴァリエの肩を叩きながら、酒場娘...
そして、気安く肩を組むと、これから始まる労働にうなだれる...
「あ、そういや今日は一緒じゃないんだね」
「へ?あ、ルイズ?」
「…もだけどさ。シエスタ。連れて来てないの?」
その声と同時に。
ぽふん。
才人のすぐ右斜め後ろで、そんな軽い音とともに、薄青い煙が...
二人がその音に反応して後ろを向くと。
そこには、シエスタがいた。
ただし、いつものメイド服に、頭に三毛の猫耳、いつの間にか...
シエスタが、きょとん、と驚いた顔で立っていた。
それ以上に、ジェシカとサイトは目を点にしていたが。
「…シエスタ…?なんでここに?
っていうかその格好は…?」
驚く従姉妹に、シエスタは状況を飲み込むと。
叫んだ。
「ジェシカが呼んだら意味ないじゃないのーっ!」
いよいよ二人は目を点にする。
いきなり猫耳で現れて、いきなりそんなことを言われても。
何のことやらさっぱりであった。
猫耳のシエスタを見て半ば呆然となったジェシカだったが。
シエスタの発した台詞で現実に戻り、すぐに思考を回転させる。
そして、酒場の女給頭としてのジェシカは、すぐに答えを導き...
「シエスタ。今晩あんたウチで女給なさい」
「え?いきなり何?」
ジェシカから見てもシエスタはそんじょそこらの街娘なんぞ比...
しかも、トリステイン魔法学院でメイドをしはじめてからは、...
さらに、才人にメイドとして仕えはじめてからは、その魅力は...
『女』として目覚めた彼女の魅力は、同じ女であるジェシカが...
そのシエスタが、事もあろうに猫耳と尻尾を生やしている。
これに、『魅惑の妖精亭』ご自慢のビスチェもどきの女給服を...
その価格──────────プライスレス。
「主人のサイト君が皿洗い。だからメイドのあんたはホールで...
とんとん拍子に進む話に、シエスタ自身が待ったをかける。
「ちょ、ちょっと待ってよ!事情とか聞かないでいきなりそん...
「事情なんかどうでもいい。可愛い女の子が猫耳生やして目の...
雇わない道理がどこにあるっ!」
シエスタの反論にしかし、ジェシカは全く耳を貸さない。
血走った目でシエスタに詰め寄り、力説する。
今、逃すわけには行かない。こんな、巨大な金のなる木を…!
「あ、あの〜。サイトさん〜?」
半分涙目で、隣に控える才人に助けを求めるシエスタ。
しかし。
主人の好色を半ば忘れていたことを、その直後シエスタは実感...
「い、いいんじゃないかなあ」
助けを求める視線から目を逸らし、明後日の方に向かってそう...
援軍の望めないシエスタは、もう諦めの境地だった。
はぁ、と溜息をついて、ジェシカに言う。
「分かった、手伝うわ。でも今夜だけだからね?」
ジェシカはその言葉を聞いてにんまりと笑う。
今宵の客の財布は、シエスタのお陰でずいぶん紐が緩くなる事...
ジェシカはそうと決まれば、と早速シエスタを衣装部屋へと拉...
ジェシカは己の先見の明とコーディネイトの才能に戦慄さえ覚...
「か、完璧だわ…!」
着替えさせている最中に、シエスタが女王様がどうの、猫の指...
ジェシカは震える指で、最後の紐を綺麗な蝶の形に結ぶ。
少しきつめに締められたトップスで、シエスタの脱いだら凄い...
しかし、そんなものは問題ではない。
この程度の破壊力なら、ジェシカでも、むしろ他の女給でも達...
その頭に載った三毛の猫耳。それと、ぎりぎりのローライズの...
あまりにも非現実的なコントラストが、シエスタの魅力を数倍...
来た!猫耳キタ!これで勝つる!
心の中で喝采し、ガッツポーズを取るジェシカ。
そして、専用のビスチェに着替えさせられたシエスタといえば。
「ちょ、ちょっとジェシカ!何この格好!」
姿見で自分の姿を確認して真っ赤になっていた。
無理もないだろう。シエスタは、いつもの『魅惑の妖精亭』の...
しかし、今回猫耳のシエスタのためにジェシカがコーディネイ...
まず、少しきつめに締められた上着。
普通のそれは女の子が着易いように、胸の下で紐を締めるよう...
しかしシエスタに用意されたそれは違っていた。
胸の下半分だけを綺麗に覆う小さめの布地。あと僅か下に布地...
だがその先端は少しサイズを抑える事と、ジェシカによってき...
そう、この特別製のビスチェは背中で紐を締める。女の子が自...
つまり、着せてもらい、脱がせてもらう服なのである。
そして何よりも。
見せるために履く、と言われる女性の柔肌に例えられる絹製の...
普通のそれは、形こそ様々あれど、ふくよかな女性の尻の頬を...
しかしジェシカの用意したそれは、大幅に違っていた。
下の毛がぎりぎり隠れるほどの、低い低い位置に布の張られた...
確かに尻の肉はその柔らかい絹からはこぼれていなかったが、...
その尻の谷間の根元からは三毛の尻尾が生えている。もちろん...
だがその本当の目的は明らかに別の所にあった。
それは上着から伸びるスカートが証明していた。
そのスカートはふわりと前に丸く広がっていたが、後ろはその...
つまり。
シエスタの着替えたその特別製のビスチェは、三毛の猫耳と相...
ただし、その破壊力は着用者の羞恥心をも著しく刺激したが。
「こ、こんな恥ずかしい格好!サイトさんの前以外できるわけ...
…サイト君の前ならできるんかい。普段どういうことやってんだ...
ジェシカは心の中だけで突っ込んだが、すぐに前もって準備し...
「仕事終わったら、サイト君と『VIPルーム』使っていいか...
「え」
話だけは聞いたことがある。
『魅惑の妖精亭』の地下にある、音を一切漏らさない秘密の部...
一般の顧客には開放されないその場所は。
一晩泊まるだけで最下位の騎士が一月分かかって稼ぐ貴族年金...
地下水脈と温泉を同時に引き、潤沢に使える湯と水。
魔法ですぐに乾いた状態に戻る、ふわふわのキングサイズのベ...
そして何よりも、部屋に備え付けられた、ハルケギニア各地か...
男女の秘め事に使うのなら、月のないラグドリアン湖かそこが...
当然、シエスタも関係者としてその部屋の事は知っていた。
「え?本当?いいの?」
「しばらく不景気でさ。たまには使って埃を取らないとだしね...
ノってきたシエスタに、『譲歩しているのはこっち』といわん...
「よ、よし、それじゃあ頑張っちゃおうかなあ。今夜だけだし」
「そうそう今夜だけ。今夜だけだから♪」
その今夜のうちにがっつり稼いでもらうわよおおおおおおおお...
ジェシカは心の中だけでそう叫んだ。
時に、何故『魅惑の妖精亭』経営者スカロンは、女給たちにチ...
もちろん、そのチップが酒と食事以外の『魅惑の妖精亭』の収...
そのチップは、主に貨幣で支払われる。
もちろんどんな貨幣でもいいのだが、男の見栄からか、銀貨よ...
さて。
ビスチェを着込んだ女給たちは、どこにその支払われるチップ...
「いやぁ、今日もリノちゃんは可愛いねえ」
「やだもう旦那様ってばぁ♪妻も娘もいるくせに♪いけないオ・...
言いながら女給は胸元を晒す。そこにあるのは、深く黒い深淵...
そこへ、酔客は銀貨を放り込む。
この放り込まれる銀貨の量に応じて、女給はその酔客の席に居...
そして、女給は厨房に入るたび、自分の名前の書かれた布袋に...
才人は厨房で皿洗いをしながら、その様子をずっと見ていた。
もちろん、女の子たちが貨幣を取り出すたびに、ぽろんと零れ...
そして、ジェシカが無理を言って働かせているシエスタはとい...
「はい、お待たせいたしました、旦那様」
「な、ななななんだねキミは!け、けしからん、けしからんぞ...
シエスタがそのハゲ頭の酔客のテーブルにエールを運び、目の...
ぴこぴこ揺れる三毛の猫耳、ゆらゆら揺れる猫の尻尾が、非現...
「あら。けしからんと言われては猫は立ち去るしかありません...
「ま、待て、待ちたまえ!そ、そうだマタタビをやろう!」
去りかけたシエスタに慌てて酔客が取り出したのは、なんと金...
どうやらこのハゲ親父、着ている服からしても、相当がめつく...
シエスタはその手を包み込んで金貨だけを受け取り、にっこり...
「あら嬉しい。でも、他のお客様もお呼びですから…。私はこれ...
そう言って立ち去る。
これはジェシカに指示されたコツで、、特定の席には着かない...
席から席へと渡り歩き、軽い会話と色気でチップを吐き出させ...
ジェシカ直伝、『花畑を舞う蝶の如し』である。
しかし。
シエスタが背中を向けた瞬間。
「名残惜しいが仕方ない…。では、お土産にこれをやろう♪」
そう言って、その酔客は立ち去るシエスタのお尻に手を伸ばす。
「ひゃぁ!」
そして、半分見えている尻の谷間に、銀貨を追加で挟み込む。
その際、ぺろん、とシエスタの尻を撫でるのも忘れない。
しかし。
「いてっ!」
その酔客が手を引っ込める。
その手の甲には、赤い線が引かれていた。
猫となったシエスタが、反射的に爪で手の甲を引っかいたので...
思わず怒鳴ろうとする酔客だったが、その間にジェシカが割り...
酔客の機嫌をとろうとするように満面の笑顔で、胸元を強調し...
「あらぁドミニコの旦那様?ウチの妖精さんたちにおさわりは...
店のNo1の笑顔に、思わず相好を崩すハゲ親父。
ジェシカに言われた事に対し、すまない、と素直に謝り、そし...
ジェシカは器用にウインクして、シエスタに立ち去るようにア...
そんなジェシカを後ろ目に見ながら、シエスタはその場を立ち...
そして、その一晩で、シエスタは何度かお触りをされながらも...
才人を一足先にVIPルームに案内した、とジェシカが言うので、...
シエスタはもちろんあのビスチェのまま。さんざんおっさんど...
厨房の一番奥、オーブンのある壁の少し手前の床板を、ジェシ...
そこには、地下に続く、大理石でできた、綺麗に磨かれた緩や...
話には聞いていたが、シエスタがVIPルームへ続くこの階段を見...
その事を呟くと、耳ざとくそれを聞いたジェシカが応えた。
「まあねえ。貴族か、よっぽど儲かってる商人さんくらいしか...
ジェシカもあまりこの扉を開く事はない。
実は、ジェシカ自身がこのVIPルームへの扉を開くのは、彼女が...
最初の一回は父に教えられて。二回目は、先輩の女給が、大貴...
そして三度目は自分。どうしても、とある国の王族に請われ、...
その夜の代金は、『魅惑の妖精亭』全フロアを新築同様に改装...
…まあ、その王子様エラく可愛かったし、私も気持ちよかったし。
などと扉を開けながら考えつつ、シエスタにこの部屋を使う際...
「薬はどんだけ使ってもいいけど、ほどほどにね。効果や注意...
棚の奥の方、取り難い場所にあるやつほど基本的にヤバい薬...
お湯も水も使い放題。部屋の中の水場とバスタブに溜めて使...
あとベッドだけど、魔法でいくら汚しても元通りになるから...
床は石畳になってるから床の上じゃちょっとアレだと思うけ...
あと食事が欲しい時はドアの脇のベルを鳴らしてね。一応分...
うん、うん、と注意事項の一つ一つにに頷くシエスタ。
そのたびに三毛の猫耳がぴょこぴょこ揺れる。
正直、ジェシカから見ても猫耳のシエスタは可愛かった。
その場で押し倒して無理やり百合したくなるくらい。
ていうかおっさんどもがお触りしたくなるキモチもわかるなあ。
などと思いつつ、おっさん根性丸出しでシエスタの半分丸出し...
「ひゃっ!?ちょ、ジェシカ?」
驚いて身体を縮こまらせるシエスタだったが、それ以上にジェ...
部屋に入ると。
普段着の才人が部屋に備え付けの円卓の椅子にかけていた。
待たされた事に腹を立てているのか、少し不満げな顔だ。
「すいませんサイトさん、遅くなって」
そんな才人を気遣って、シエスタは彼の対面の椅子を彼の隣へ...
才人は笑顔を向けるシエスタに、なんとか笑顔になると、言っ...
「お疲れ様、シエスタ」
しかしその笑顔はなんだかぎこちない。
無理もないだろう。今、才人の中では原因不明のムカムカが渦...
だいたい理由は分かっていたが、しかし。
シエスタのご主人様として、そんな言葉は口にはできないので...
そして、猫の鼻を得て匂いに敏感になったシエスタは、そんな...
「あの…サイトさん?何を怒ってらっしゃるんですか?」
「…へ?」
才人の目が点になる。
そして少し焦る。自分の心の内側を見透かされたようで。
「え?な、なんでそう思うの?」
「い、いえ…。なんとなく、そんな気がして」
シエスタも上手く説明できないのか、不思議そうな顔をする。
匂いで才人の感情が分かったのだが、それを上手く説明できな...
だが、シエスタは考える。
才人のその感情の出所を。どうして、こんな風にムカムカして...
そして思い当たる。
ひょっとして。
「あ、あの、サイトさん…つかぬことを伺いますが」
「何?シエスタ?」
「ひょっとして…妬いてました?」
シエスタの指摘を聞いて、『い』の口の形で、才人が固まる。
見事に図星だった。
酔客にシエスタがお触りされるたび、というより、営業スマイ...
才人は確かに嫉妬を感じていた。
しかし、男の意地から、そんなことを言うわけにもいかず。
むしろ仕事中だったので致し方なく、才人は黙々と皿洗いを続...
「え、いやだなあシエスタ、俺がそんな妬いたりとか…ねえ?あ...
慌てて笑って誤魔化す才人。
しかし反射的にその体表に僅かながら溢れる、軽い汗。
そこから臭う牡の信号が、シエスタに才人の感情を伝えた。
図星を突かれて焦っている。
シエスタの心臓がくきゅん、と切なく鳴る。
嬉しい。すごく…嬉しい。
シエスタは自分の椅子を才人の椅子に寄せ、才人の肩に頭を預...
その接触した部分から、ぴくん、と震える才人の動揺が伝わる。
シエスタは潤んだ瞳で、下から才人を見上げる。
その光景を才人は拒む事ができない。
深淵を思わせる黒髪から生えた、嬉しそうにぴん、ぴん、と時...
歓喜に潤み、じっと自分を見上げる情熱的な黒い瞳はまるで、...
軽く興奮し、桃色に染まった、弾力に満ちた染み一つない頬。
桜色に潤んで、小さく呼吸を繰り返す唇は、まるで桜の花びら...
白い肌が流れる悦びの血潮に内側から朱に染まり、ランプの妖...
そして。
きつく締められたビスチェに拘束された、弾けそうな白い双丘...
シエスタの吐く息が熱く潤み、牝の匂いをさせている。まるで...
その吐き出される桃色に染まった吐息が、意味を持った言葉を...
「…嬉しいです」
「え」
「隠さなくていいです。サイトさんが妬いてくれて…すごく嬉し...
そう言ったシエスタの目尻から、つぅっ、と涙が一粒の真珠と...
嬉しさに涙腺だけでなく、身体中の腺が緩んでいるのが分かっ...
何も言えず固まる才人に、シエスタは続ける。
「でも、心配しなくていいですよ」
「い」
シエスタはそのまま、才人の右肘を抱え込む。
そして、涙も拭かず、極上の笑顔で才人を見上げる。
才人の胸の奥で、心の臓がずくん、と鳴った。
シエスタは笑顔のまま、才人の腕に体重を乗せる。
ビスチェに閉じ込められた極上の柔らかさが、才人の全神経を...
「わたしが何されてもいいのは、サイトさんだけです。
神様でも王様でも、私をどうこうはできません。
この世界でシエスタを好きに出来るのは、サイトさんだけな...
シエスタのその言葉に、才人の中で燻っていた嫉妬の炎が消え...
その代わりに満たされていく、不思議なキモチ。
満たされていくのは、牡の征服欲。
神にすら膝を折らない女を手にしたという、充足感。
才人は居ても立っても堪らず、シエスタをきつく抱きしめる。
「シエスタ…」
しかし、抱きしめて名前を呼ぶだけで精一杯だった。
このまま彼女を滅茶苦茶にしたいという欲望と、誰よりも大切...
シエスタはそんな才人の顎にひとさし指を当て、言った。
「あの、ですね。
明日に障るといけませんから…。お薬、使っておきましょ?」
これから行う行為で、才人が疲れるといけないから。そう思っ...
そんな心遣いも嬉しく、才人はもう一度シエスタをきつく抱き...
才人は一足先に全裸になってベッドに入る。
その隙に、シエスタはベッドの脇に備え付けてある棚から、小...
シエスタはビスチェを着たまま、二本の瓶を持ってベッドに上...
そして、愛しい主人の前で、薬の説明を始めた。
「えっと。こっちの青いのが、『深淵の誘い』だそうです。体...
で、こっちの赤いのは『流れる赤炎』。長時間、行為を持続...
シエスタはとりあえず手前側にある、才人の体力を削らなさそ...
他にもイロイロとあったのだが、そのほとんどが『アッチの世...
才人はシエスタの説明を聞いて、青いほうがよさそうだ、と判...
「じゃあ、青いのにするよ」
「はい、どうぞ」
才人の言うままに、シエスタは青い瓶を才人に手渡す。
才人はその瓶の蓋を開けると、一気に飲み干した。
シエスタは飲み終わった瓶を受け取ると、赤い瓶ともども、ベ...
薬を飲み終わった才人ははて、と思った。
「シエスタはいいの?飲まなくて」
「私はいいんです。だって…」
そこまで言って、ほ、と頬を染めて言葉を濁す。
なんだ一体、と思った才人は先を促した。
「だって、何?」
「お薬なんか抜きで、サイトさんを、感じたいから…」
上目遣いにそんな事を言ってのけた。
才人の心のヤバい場所に、何かまずいものが、とんでもない大...
「だ、だめ、シエスタさんそれだめ」
「え?なんかまずかったですか?」
「可愛すぎ。反則過ぎ。ええいもう、このダメイドめっ!イタ...
薬が効いてきたのか、才人は内側から溢れくる欲望と衝動のま...
「やんっ、サイトさんてば乱暴♪」
されるがままにシエスタはベッドの上に身体を広げる。
覆いかぶさってきた才人がまずしたことは。
きつく締められたビスチェを下に無理やりずらし、シエスタの...
強引に下げられたクリーム色の布の下から、締められて紅い線...
「可愛そうに…こんなになるまで」
心にもない台詞を言いながら、才人はまるで母猫が仔猫を労わ...
「あっ…あっあっ…」
シエスタの喉が、その刺激に艶かしく踊る。
しかし、暴走する才人の欲望はこんなものでは済まない。
一通りシエスタの胸を嘗め回すと、今度はシエスタの下半身を...
その欲望の赴くままに、ビスチェのスカートに申し訳程度に隠...
そして、才人の掌が触れた瞬間。
「…シエスタさん、またですか」
「えへへ。だってサイトさんこういうの好きでしょ?」
シエスタははいていなかった。
「この部屋に入る前から脱いでたんですけど。サイトさん気付...
シエスタの言うとおり、才人は猫耳シエスタの上半身にばかり...
「おっぱい好きにも程があるゾ…この変態♪」
シエスタはにっこり笑って、まだ胸の谷間に顔を埋めてシエス...
「…しょうがないだろ。そんなエロい格好してくるシエスタが悪...
言って才人はまたシエスタの谷間に顔を埋める。
その間も手は休まず、シエスタのむき出しの臀部を、ざわりざ...
「んっ…!そ、そのさわりかたっ…!ふっ…!え、えっちぃですよ...
「ひもひーれひょ」
胸の肉を嬲りながら応えているため、才人の回答はまともな声...
シエスタの柔肉に阻まれて、その声がくぐもっていた。
「キモチイイですっ…!やぁ、あっ…!あっあっあっ…!」
胸と臀部を同時にマッサージされ、シエスタの体が解れていく。
下の唇からとろとろと愛液が零れ始める。
それは柔らかい恥丘をとろりとろりと流れ、シエスタの奥尻を...
尻しか撫で回していないのに、くちゅくちゅと水音を立て始め...
「お尻、垂れて来てるよ。感じてるねシエスタ」
「は、はいぃ…で、できるなら、もう、入れて欲しいんですけど...
もう既に完全に火のついた子宮を、さらに熱い精液で鎮めて欲...
シエスタの身体は、既に準備を完了していた。
そして、才人も。
薬の影響か、才人の肉棒は限界まで屹立し、いつもの数倍の先...
溢れる愛液と先走りが混じれば、とんでもない滑りを生み出す...
それに、今の才人はできるだけシエスタの言うとおりにしてや...
全てを捧げてくれるといってくれたこのメイドに、自分も何か...
才人はシエスタを仰向きにさせ、膝裏に手を当てて脚をM字に開...
当然、そこからはベトベトに濡れた女陰はスカートの陰になっ...
シエスタは当然の疑問を口にする。
「あ、あの。サイトさん、これじゃ見えないんじゃあ…?」
「せっかくそんなエロい衣装に猫耳生やしてるんだ、できるだ...
まさにへんたいの理屈であった。
シエスタはくす、と笑って、また才人おでこをひとさし指でこ...
「こぉの、変態騎士」
「その変態にぞっこんなのはどこのエロメイドかなあ?」
お互いに罵りあって笑い合う。
そして。
「もう、御託はいいから…きてください…♪」
「ごめん。待たせた」
両手を広げたシエスタの股間を、熱く煮えたぎった才人の牡が...
普段からはありえない、ぐちゃりぐちゃりというまるで水飴を...
本来なら潤滑油の役目を果たすはずの愛液と先走りが、想定外...
その粘り気のある感覚に、才人は、一合ごとに、シエスタの身...
シエスタは、身体が引きずられるようなその感覚に、才人の肉...
「う、ぐあ、重っ、な、なんだこれっ」
しかし才人の腰は止まらない。零れる快楽を残さず貪るように...
「ふぁ、ふぐ、えぐ、えぐって…ふあぁぁぁっ!」
ずるりずるりと下がっていく子宮が、まるで才人の肉棒に抉り...
そのせいでピストンのたびに、シエスタを覆うビスチェと、頭...
「にゃぁっ、にゃぁんっ、ふにゃぁんっ」
シエスタの瞳は完全に獣欲に蕩け、声は完全に牝猫のそれにな...
「くぁ、し、シエスタ、も、だめだぁっ」
子宮に密着した牡がどくり、どくりと脈打ち、その体積を一気...
膨らみながら精液を子宮に送り出すため、脈打つ。
そして最初の堰が、壊れる。
どぐん!
「ひ、にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
先走りなどよりも数倍粘っこい白い精液は、容赦なくシエスタ...
シエスタの牝が吼え、子宮口をぱくりと開き、流れ込む熱い白...
そして、牡の体温が牝猫の最奥を焼いていく。
「ふに、ふにぃぃぃぃぃぃぃ!」
ぎゅ、と脚と腕で才人を抱きしめ、全身で絶頂を表すシエスタ。
ビクンビクンとシエスタの膣が震え、最初の絶頂を伝えた。
しかし。
「う、が、な、なんでだっ!」
才人の焦った声。
そして感じる、陰唇の拡張感。
才人の肉棒が、また膨らんでいる。射精の前触れだ。
「ご、ごめんシエスタっ!」
謝罪の言葉と同時に。
ごぷりごぷりと、再度、シエスタの子宮を焼いた精液が、さら...
「ふにゃ、ぁあぁっ!?」
先ほどに倍する量に、シエスタの小さな子宮は満たされ、腰の...
だが。
「う、わ、なんだこれ、と、止まらない…っ!」
まるで放尿のように、才人は精液をシエスタの中に垂れ流し続...
おそらく薬の影響だろう。
「や、らめ、も、はいんな、あぁぁぁぁぁぁっ!」
流れ込む大量の精液に、シエスタの子宮が肉の弾力で膨らみ、...
しかしそれでも才人の射精は納まらず、ぶぴ、ぶぴ、と肉の隙...
このままだと、シエスタの中が壊れる。
そう思った才人は。
「ごめん、シエスタっ!」
栓の壊れたバルブのように精液を放出する自らをシエスタから...
そして、放心して身体をベッドに預ける三毛の猫耳のシエスタ...
白い白濁が、三毛の耳を、黒い髪を、白い肌を、クリーム色の...
「あ、ふぁ、出てるぅ、かかってるぅ、サイトさんのいっぱい...
愛しい人の熱い白濁の雨を浴びながら、シエスタは異常な幸福...
「…で、どう使ったらこうなるわけ」
次の日。
才人の出した白濁で縮んでしまったビスチェを眺め、ジェシカ...
シエスタの猫耳は『猫』が抜けたせいで元の人間の耳に戻って...
「…ちょ、ちょっとお薬間違えちゃって。
…その、サイトさん、射精とまんなくなっちゃって…」
結局あの後、一時間ほど才人の射精と性欲は納まらず、ベッド...
しかしそこは魔法のベッド、すぐにもとの乾いたベッドになっ...
無事で済まなかったのはビスチェである。
才人の精液で汚され、上等な絹でできたビスチェは、ガッビガ...
「あーあ。だから言ったのにさ。薬には気をつけなって」
肩をすくめて言ったジェシカは、懐から紙切れと木炭を取り出...
「ほいこれ」
「え…ナニコレ!」
シエスタは驚いた。
そこには、才人の貴族年金半月分程度の金額が、書き込まれて...
「…決まってるでしょ。そのビスチェの代金。
いくらすると思ってんのよ」
「え、だって、これってジェシカが」
「…誰がこの服も込みだって言ったのよ」
確かに言ってない。
言ってないが。
「ま、待ってよ、こんなお金払えないわよ私!」
「…じゃあアンタのご主人に払ってもらえばいいじゃん」
シエスタはその言葉に、ちらり、とVIPルームの扉を見る。
その向こうでは、文字通り精根尽き果てた才人が、泥のように...
その才人に、シエスタは心中で謝りながら。
「…じゃあ、サイトさんにつけておいて…」
「まっいっどあり〜♪」
ジェシカはそう言ったシエスタの手からその紙切れを奪うと、...
『スペシャルなビスチェ、シュヴァリエ・サイトより代金支払...
そして、一ヵ月後。半分に目減りした貴族年金を前に、才人は...
いい女を独占するのは、とかく金がかかるものなのだと。〜fin
ページ名: