ゼロの使い魔保管庫
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せかんど・バージン1話.『愛は暗闇の中で』(5) ぎふと氏
#br
トリステインの長い夜がふけていく……。
双月が輝くその下に、濃い闇に包まれた場所がある。
魔法学院の寮塔の一室。ルイズ・フランソワーズがその使い...
「あの……あのね、サイト……」
目をそらしながら、おずおずとルイズが尋ねた。
「その……もういい?」
ごめん、才人は慌てて手をひっこめた。
またやってしまった。ルイズに必要以上に恥ずかしい思いを...
浮かれ気味だった自分を反省する。
大仕事をやりとげた安心感から、またしても気遣うのをおろ...
(ダメだな俺。もっと気をつけてやらないと。ルイズは女の子...
そんな才人の前で、ルイズは素早く身を引くと、くるりと後...
その後ろ姿はどこか儚く頼りなげにもみえる。
(やっぱりショックだったんだろうな、少しそっとしといてや...
そう才人は考えた。
+ + +
そのルイズは、……確かにショックで打ち震えていた。
ただし才人が想像しているような意味ではない。
その心の声を聞いたら逆に才人の方がショックのあまり寝込...
ルイズは拳をわななかせて、心の声で叫んでいた。
(ななな、なんなの今のは! あの気持ち悪い物体は何っ!?)
動いてたわ、ぴくぴくって……。
しかもでこぼこしてて、生暖かくて、ねっとりした妙な手触...
まるでどこぞの不気味なモンスターじゃない。
信じられない、あんなものがサイトの体の一部だなんて。
ありえない、ぜったいに認めない、認めるもんですか!
最初こそ茫然自失なルイズだったが、才人の冗談まじりの軽...
そしてそのテンションの針は、一気に180度反対側に振り...
(他にもなんか言ってたわ。入れるとかなんとか……)
入れる? どこに? どうやって?
というかあんな物を私の体に入れるとかいうわけ? 冗談じ...
そこまで考えてから、ふと思い出した。
才人が夢中になって自分を押し倒していた時のことを。
(そういえば、こいつってば、私に蹴られたときずいぶん不満...
いま思えば、どこか傷ついているようでもあった。
押し倒されたことは幾度かあれど、そのたびに抵抗をみせて...
おかげでルイズは、柄にもなくうろたえてしまったのだ。
(そんなにあれを入れたかったのかしら?)
ルイズは思った。でもどうして? 赤ちゃんを欲しがってい...
だとすれば、その行為はきっと、才人にとってとんでもなく...
おそらくキスよりも胸を触るよりも他のどんなことよりも、...
そこでルイズはにやっと笑みを浮かべた。
(そう……そうなのね。つまり胸よりそっちのが上ってことよね...
才人が望むことならできるだけ叶えてあげたい、そんな麗し...
邪悪な蛇のようにいつまでも才人を縛り続ける『胸』という...
それに打ち勝つ魔法の呪文をみつけたような気がした。
恐れとプライドとを天秤にかけた結果、答えはすぐにでた。
ごくりと唾を飲む。
(簡単なことだわ。一言でいいのよ、ルイズ・フランソワーズ)
許すとただ一言だけ。その呪文を囁きさえすれば、才人のす...
それは甘美な誘惑だった。
ゆるゆると口を開きかけたその瞬間、映像が浮かんだ。
才人が自分に対した、恥ずかしい振る舞いが思い出された。
かあっと顔が熱くなった。
ダメよダメ! あんなことやっぱり無理よ許せない!
頭をふったが、映像は消えてくれない。
恥ずかしさのあまり思い余って、ルイズは、
「バカバカバカバカ、バカ犬〜」
叫びながら、ポカポカと才人の胸を殴りつけた。
+ + +
唐突なルイズの行動に、なんだいきなり? と才人は呆気に...
「嫌いきらい大キラいっ! エロ犬なんてやっぱり嫌いなんだ...
ルイズはなおも殴り続ける。
嫌い、いきなりそう言われたので才人は一瞬ひるんだ。
しかしすぐに気づいた。それほど痛くない。本気で殴られて...
思わず笑みが浮かぶ。
なんだ、こいつ照れてるだけじゃん。
その姿はまるで、思い通りにならずに暴れている駄々っ子そ...
見ているうちになんだか可愛いな〜と思ってしまった。そう...
「ル〜イズぅ〜〜〜」
ぎゅうっと抱きしめた。柔らかで甘い香りのするブロンドの...
ああ、お前ってば、なんて可愛いんだ。
そうしてるとほんとただの子供みたいじゃないか。
……子供? 才人はその単語に首を傾げた。あれ、俺ってそう...
そういえば、タバサにも変な気持ちになりかけたもんな。
ルイズのいうとおり変態なのかな、俺……。
うーん、と悩んだものの、もとが楽天家の才人は深く考える...
いいやそれでも。ルイズ可愛いし。
「ルイズルイズル〜イズ〜〜〜」
すりすりすり。
「ちょ、ちょっとサイト」
我に返ったルイズは、殴る手をとめて、両手で才人を押しの...
「私まだ……」
「しないしない。大丈夫。心配すんなって。約束したもんな。...
歌うような調子で言いながら、才人は抱きしめる手を強めて...
ルイズの抵抗にも関わらず、少しずつ体の距離が近づいてい...
ぴょこんと立ち上がっていた物がルイズを掠めた。
(や……やだ……)
ルイズは顔を赤らめた。
どうやらその物体は、ルイズの下腹の辺りを仮の住みかと決...
ルイズはもじもじと体をくねらせた。
(もう……、なんとかならないかしら、これ)
気づくと才人のルイズを見つめる眼差しが変わっていた。
妙な熱っぽさを含んだ声で囁きかけてきた。
「……ルイズ、あのさ。キスしてもいい?」
まずい、ルイズは思った。この声にルイズはどうにも弱いの...
この展開でなんど理性を手放してしまったことか。
これまで何ごともなく済んだのは、単に運がよかったからだ。
それに何も知らなかったから。もし才人が本当は何を望んで...
「だ、だめよ。待つって言ったじゃない」
「入れないよ。ちゃんと我慢する。キスだけだから」
わずかに荒くなった息とともに、せかすように才人が言う。
ためらう気持ちは3秒と持たなかった。
キス、だけだからね?
それ以外はぜったいぜったいゆるさないんだから……。
ルイズは自分から顔を上げて、目をつむった。
+ + +
少しのあいだ、二人の唇が作りだす濡れた音が部屋に響いた。
しばらくして才人が口を開いた。
「……なあ、ルイズ。灯りつけられないかな?」
あいかわらず部屋はまっ暗なままだ。いつもは明るい月の光...
好きな女の子の裸はもちろん魅力的だ。耐え難い誘惑だ。
けれどその月明かりの下で、ルイズの姿がさらに神秘的に美...
「それは、嫌……」
ルイズはちらりと自分の体を見下ろした。
いつもの平原が目に入る。ぎゅっと唇を噛んだ。これだけは...
才人がなんと言おうとも、それだけはできなかった。
今だって胸のことを考えただけで、体が強張ってしまうぐら...
そうか、と才人はあっさり引き下がると、今度はルイズの耳...
「……大好き」
囁きながら、やんわりと耳たぶを噛む。
あ、それ気持ちいい……。体が熱い。とけてしまいそうだ。
ルイズは胸のことを忘れて、その気持ちよさに意識をゆだね...
才人の体に腕を回してしがみついた。
ぬるま湯につかっているように、ぼんやりと頭の奥にもやが...
ふう、という切なげなため息がどこか遠くに聞こえた。誰の...
唇が首筋をとおって、ふたたびルイズのそれへと戻ってきた...
びくっとルイズの体が震えた。何か異質なものが足の合間に...
それが何かをルイズは瞬時に察した。
「……だめ、だめよ」
「ごめん」
謝りながらもやめる気配がない。それどころか、
「入れないからさ……しばらくこうさせて。お願いルイズ」
こんなことを言う。なによ、バカ犬。調子にのって。
腕を振り上げようとしたが、才人はふたたび唇を塞いできた...
たちまちルイズの体からは力が抜けてしまった。
いちいち拒むほどのことではない、そう思わされてしまった。
太ももの間でうごめくそれを、必死にルイズは考えないよう...
体が妙に熱い。
どこか奥の方から甘い痺れが生まれて、じわりと全身を包み...
それとともにどういうわけか、才人に対して深い愛おしさを...
そして……、それを才人に伝えたくなった。
どうしよう。この感じ、覚えがある。
そうだ、まちがって媚薬を飲んでしまった時の。
自分が自分でなくなるような感じ。
才人のことが大好きで仕方なくて。
少しでも離れるとどうしようもなく切なくて。悲しい気持ち...
「ね、サイト……あのね」
ルイズの口から声がこぼれた。
もう言ってしまおう……。告げてしまおう。そう思った。
とても幸せな気持ちだった。
+ + +
ためらいながら才人は手を伸ばした。
ルイズの胸の辺りだ。……緊張のあまり息が苦しくなる。
肝心な場所をわずかに避けるようにして、触れるか触れない...
少しでも嫌がる様子を見せたらすぐにやめよう。そう思って...
そんな素振りはなかった。
繰り返される口づけに酔ったように、ルイズはただ甘いため...
勇気を出してもう少しだけ、手のひらに力をこめた。
その時。ルイズが口を開いた。
「ね、サイト……あのね」
とろかされそうに甘い声だった。
ふと記憶が蘇る……。
ずっと前、ルイズが媚薬を飲んでしまったことがあった。あ...
(あの時のルイズは可愛かったよな。子供みたいに素直で泣き...
何度も自分のことを好きと言ってくれた。
少しのあいだも離れてくれなくて、ずっと自分にしがみつい...
今のルイズの声はあの時にちょっと似ている。そんな気がす...
「あのね、私ね……」
才人の胸がとくんと鳴った。予感に震えた。ルイズは何を言...
「私……サイトのこと……」
勇気付けるように、才人はルイズの頬に口づけた。そしてぎ...
「ルイズ、お前……」
声が震えた。ルイズは自分で気づいているのだろうか?
「……お前、泣いてんの?」
終了行:
せかんど・バージン1話.『愛は暗闇の中で』(5) ぎふと氏
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トリステインの長い夜がふけていく……。
双月が輝くその下に、濃い闇に包まれた場所がある。
魔法学院の寮塔の一室。ルイズ・フランソワーズがその使い...
「あの……あのね、サイト……」
目をそらしながら、おずおずとルイズが尋ねた。
「その……もういい?」
ごめん、才人は慌てて手をひっこめた。
またやってしまった。ルイズに必要以上に恥ずかしい思いを...
浮かれ気味だった自分を反省する。
大仕事をやりとげた安心感から、またしても気遣うのをおろ...
(ダメだな俺。もっと気をつけてやらないと。ルイズは女の子...
そんな才人の前で、ルイズは素早く身を引くと、くるりと後...
その後ろ姿はどこか儚く頼りなげにもみえる。
(やっぱりショックだったんだろうな、少しそっとしといてや...
そう才人は考えた。
+ + +
そのルイズは、……確かにショックで打ち震えていた。
ただし才人が想像しているような意味ではない。
その心の声を聞いたら逆に才人の方がショックのあまり寝込...
ルイズは拳をわななかせて、心の声で叫んでいた。
(ななな、なんなの今のは! あの気持ち悪い物体は何っ!?)
動いてたわ、ぴくぴくって……。
しかもでこぼこしてて、生暖かくて、ねっとりした妙な手触...
まるでどこぞの不気味なモンスターじゃない。
信じられない、あんなものがサイトの体の一部だなんて。
ありえない、ぜったいに認めない、認めるもんですか!
最初こそ茫然自失なルイズだったが、才人の冗談まじりの軽...
そしてそのテンションの針は、一気に180度反対側に振り...
(他にもなんか言ってたわ。入れるとかなんとか……)
入れる? どこに? どうやって?
というかあんな物を私の体に入れるとかいうわけ? 冗談じ...
そこまで考えてから、ふと思い出した。
才人が夢中になって自分を押し倒していた時のことを。
(そういえば、こいつってば、私に蹴られたときずいぶん不満...
いま思えば、どこか傷ついているようでもあった。
押し倒されたことは幾度かあれど、そのたびに抵抗をみせて...
おかげでルイズは、柄にもなくうろたえてしまったのだ。
(そんなにあれを入れたかったのかしら?)
ルイズは思った。でもどうして? 赤ちゃんを欲しがってい...
だとすれば、その行為はきっと、才人にとってとんでもなく...
おそらくキスよりも胸を触るよりも他のどんなことよりも、...
そこでルイズはにやっと笑みを浮かべた。
(そう……そうなのね。つまり胸よりそっちのが上ってことよね...
才人が望むことならできるだけ叶えてあげたい、そんな麗し...
邪悪な蛇のようにいつまでも才人を縛り続ける『胸』という...
それに打ち勝つ魔法の呪文をみつけたような気がした。
恐れとプライドとを天秤にかけた結果、答えはすぐにでた。
ごくりと唾を飲む。
(簡単なことだわ。一言でいいのよ、ルイズ・フランソワーズ)
許すとただ一言だけ。その呪文を囁きさえすれば、才人のす...
それは甘美な誘惑だった。
ゆるゆると口を開きかけたその瞬間、映像が浮かんだ。
才人が自分に対した、恥ずかしい振る舞いが思い出された。
かあっと顔が熱くなった。
ダメよダメ! あんなことやっぱり無理よ許せない!
頭をふったが、映像は消えてくれない。
恥ずかしさのあまり思い余って、ルイズは、
「バカバカバカバカ、バカ犬〜」
叫びながら、ポカポカと才人の胸を殴りつけた。
+ + +
唐突なルイズの行動に、なんだいきなり? と才人は呆気に...
「嫌いきらい大キラいっ! エロ犬なんてやっぱり嫌いなんだ...
ルイズはなおも殴り続ける。
嫌い、いきなりそう言われたので才人は一瞬ひるんだ。
しかしすぐに気づいた。それほど痛くない。本気で殴られて...
思わず笑みが浮かぶ。
なんだ、こいつ照れてるだけじゃん。
その姿はまるで、思い通りにならずに暴れている駄々っ子そ...
見ているうちになんだか可愛いな〜と思ってしまった。そう...
「ル〜イズぅ〜〜〜」
ぎゅうっと抱きしめた。柔らかで甘い香りのするブロンドの...
ああ、お前ってば、なんて可愛いんだ。
そうしてるとほんとただの子供みたいじゃないか。
……子供? 才人はその単語に首を傾げた。あれ、俺ってそう...
そういえば、タバサにも変な気持ちになりかけたもんな。
ルイズのいうとおり変態なのかな、俺……。
うーん、と悩んだものの、もとが楽天家の才人は深く考える...
いいやそれでも。ルイズ可愛いし。
「ルイズルイズル〜イズ〜〜〜」
すりすりすり。
「ちょ、ちょっとサイト」
我に返ったルイズは、殴る手をとめて、両手で才人を押しの...
「私まだ……」
「しないしない。大丈夫。心配すんなって。約束したもんな。...
歌うような調子で言いながら、才人は抱きしめる手を強めて...
ルイズの抵抗にも関わらず、少しずつ体の距離が近づいてい...
ぴょこんと立ち上がっていた物がルイズを掠めた。
(や……やだ……)
ルイズは顔を赤らめた。
どうやらその物体は、ルイズの下腹の辺りを仮の住みかと決...
ルイズはもじもじと体をくねらせた。
(もう……、なんとかならないかしら、これ)
気づくと才人のルイズを見つめる眼差しが変わっていた。
妙な熱っぽさを含んだ声で囁きかけてきた。
「……ルイズ、あのさ。キスしてもいい?」
まずい、ルイズは思った。この声にルイズはどうにも弱いの...
この展開でなんど理性を手放してしまったことか。
これまで何ごともなく済んだのは、単に運がよかったからだ。
それに何も知らなかったから。もし才人が本当は何を望んで...
「だ、だめよ。待つって言ったじゃない」
「入れないよ。ちゃんと我慢する。キスだけだから」
わずかに荒くなった息とともに、せかすように才人が言う。
ためらう気持ちは3秒と持たなかった。
キス、だけだからね?
それ以外はぜったいぜったいゆるさないんだから……。
ルイズは自分から顔を上げて、目をつむった。
+ + +
少しのあいだ、二人の唇が作りだす濡れた音が部屋に響いた。
しばらくして才人が口を開いた。
「……なあ、ルイズ。灯りつけられないかな?」
あいかわらず部屋はまっ暗なままだ。いつもは明るい月の光...
好きな女の子の裸はもちろん魅力的だ。耐え難い誘惑だ。
けれどその月明かりの下で、ルイズの姿がさらに神秘的に美...
「それは、嫌……」
ルイズはちらりと自分の体を見下ろした。
いつもの平原が目に入る。ぎゅっと唇を噛んだ。これだけは...
才人がなんと言おうとも、それだけはできなかった。
今だって胸のことを考えただけで、体が強張ってしまうぐら...
そうか、と才人はあっさり引き下がると、今度はルイズの耳...
「……大好き」
囁きながら、やんわりと耳たぶを噛む。
あ、それ気持ちいい……。体が熱い。とけてしまいそうだ。
ルイズは胸のことを忘れて、その気持ちよさに意識をゆだね...
才人の体に腕を回してしがみついた。
ぬるま湯につかっているように、ぼんやりと頭の奥にもやが...
ふう、という切なげなため息がどこか遠くに聞こえた。誰の...
唇が首筋をとおって、ふたたびルイズのそれへと戻ってきた...
びくっとルイズの体が震えた。何か異質なものが足の合間に...
それが何かをルイズは瞬時に察した。
「……だめ、だめよ」
「ごめん」
謝りながらもやめる気配がない。それどころか、
「入れないからさ……しばらくこうさせて。お願いルイズ」
こんなことを言う。なによ、バカ犬。調子にのって。
腕を振り上げようとしたが、才人はふたたび唇を塞いできた...
たちまちルイズの体からは力が抜けてしまった。
いちいち拒むほどのことではない、そう思わされてしまった。
太ももの間でうごめくそれを、必死にルイズは考えないよう...
体が妙に熱い。
どこか奥の方から甘い痺れが生まれて、じわりと全身を包み...
それとともにどういうわけか、才人に対して深い愛おしさを...
そして……、それを才人に伝えたくなった。
どうしよう。この感じ、覚えがある。
そうだ、まちがって媚薬を飲んでしまった時の。
自分が自分でなくなるような感じ。
才人のことが大好きで仕方なくて。
少しでも離れるとどうしようもなく切なくて。悲しい気持ち...
「ね、サイト……あのね」
ルイズの口から声がこぼれた。
もう言ってしまおう……。告げてしまおう。そう思った。
とても幸せな気持ちだった。
+ + +
ためらいながら才人は手を伸ばした。
ルイズの胸の辺りだ。……緊張のあまり息が苦しくなる。
肝心な場所をわずかに避けるようにして、触れるか触れない...
少しでも嫌がる様子を見せたらすぐにやめよう。そう思って...
そんな素振りはなかった。
繰り返される口づけに酔ったように、ルイズはただ甘いため...
勇気を出してもう少しだけ、手のひらに力をこめた。
その時。ルイズが口を開いた。
「ね、サイト……あのね」
とろかされそうに甘い声だった。
ふと記憶が蘇る……。
ずっと前、ルイズが媚薬を飲んでしまったことがあった。あ...
(あの時のルイズは可愛かったよな。子供みたいに素直で泣き...
何度も自分のことを好きと言ってくれた。
少しのあいだも離れてくれなくて、ずっと自分にしがみつい...
今のルイズの声はあの時にちょっと似ている。そんな気がす...
「あのね、私ね……」
才人の胸がとくんと鳴った。予感に震えた。ルイズは何を言...
「私……サイトのこと……」
勇気付けるように、才人はルイズの頬に口づけた。そしてぎ...
「ルイズ、お前……」
声が震えた。ルイズは自分で気づいているのだろうか?
「……お前、泣いてんの?」
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