ゼロの使い魔保管庫
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マリコルヌの冒険(その1) 痴女109号氏
#br
――お、あいつ、今日のショーツは黒かよ。
マリコルヌ・ド・グランドプレは、ほくそ笑んだ。
(なら、そろそろ今晩、あの恋人と最後まで行く肚を決めたっ...
彼の使い魔クヴァーシルから送信されてくる視覚情報。
夜更けの女子寮を飛び回り、窓にカーテンも引かずに油断し...
トリステイン魔法学院は全寮制だ。
だから基本的に授業は男女共学ではあるが、その一般生活に...
(食事は男女共同だが、おのおの席が指定されているため、狙...
携帯電話のような個人間の連絡用ツールも存在せず、さらに...
だから、この学園生活で女っ気を充実させようと思えば、一...
放課後や昼休みに、意中の女子に詩や花束を送ったり、楽曲...
マリコルヌとて、それは知っている。
そして彼とて、一般貴族としての恋愛を諦めたわけではない。
だから、この覗き行為がどれだけ罪深い、非常識な行為であ...
(……マズイな……これ、病み付きになりつつあるぞ……)
無警戒な他人の生活を垣間見る。
そこにあるのは、一切の虚飾を剥ぎ取った素顔の生活だ。
男色趣味の無いマリコルヌは、さすがに男子寮を覗こうとは...
#br
普段はしかめっ面をしている仕切り屋の少女が、自室で見せ...
寡黙な少女が、恋人を部屋に連れ込んだ途端、堰を切ったよ...
そして、そんな少女たちが勇を鼓して、部屋に連れ込んだ恋...
(おもしれえ)
娯楽の少ない寮生活で、他人の仮面の下を覗き見る行為にマ...
もともと、マリコルヌは自分の性欲の強さを意識はしていた...
彼とて貴族の端くれ、実家――お世辞にも名門であるとはいい...
たとえ、爵位持ちの大諸侯ならぬ貧乏貴族であっても、それ...
ましてや、いま現在自分が所属する水精霊騎士隊は、自分た...
(その前に、士官学校への入学を強制され、全隊員、一から軍...
まあ、だからこそ、気ままに自由恋愛をしようと思えば、そ...
そして今宵、長らく“観察”を続けていた、とある女子生徒が...
無論マリコルヌとて、その少女が想いを寄せる男子生徒に嫉...
だが、少女の日常生活を覗き見し、彼女がその男子に、どれ...
ならば彼としては、必然的に少女の恋の成就を応援せざるを...
#br
(らしくねえな)
心中、彼は苦笑する。
モテない自分への満腔の不満と、モテ男たちへの身を焦がす...
それが自分――マリコルヌ・ド・グランドプレの構成成分だっ...
ぼくも変わっちまったもんだ、と思う。
無論、以前の性欲が跡形も無く消えたわけではない。
だが、いま続けている人間観察によって、自分は確実に以前...
多分、他人の私生活を覗き見ることによって、以前よりも他...
(まあ、それでもやってることは、ただの犯罪なんだがな……)
そのときだった。
自室のベッドで寝そべりながら使い魔の“眼”を使っていたマ...
(いまのは……!?)
クヴァーシルが視覚の端に捉えた一人の男。
なぜ、目端に見えた男の影に、自分の肉体がそんな反応を示...
マリコルヌは、その男を追跡することをフクロウに命じる。
(ぼくは、あの男を知っている……?)
その予感は、なぜか悪寒すら伴っていた。
薄茶色のローブと、つばの広い異国の帽子を目深にかぶった...
そして、双月の月明かりから身を隠すように、校舎や塔の影...
無論、彼とて、学院にいる全ての者の顔を記憶しているわけ...
つまり、少年のようにも思えるし、熟年のようにさえ見える。
マリコルヌは、そういう貌を持つ者たちを知っていた。
#br
(まさか……嘘だろ……?)
男は、とある塔に辿り着くと指輪を光らせ、その身をふわり...
フライか? だが、男は杖を振るったようには見えなかった...
そして、その姿は学院長……オールド・オスマンの私室の窓を...
「……っっ!!」
一筋の冷や汗がマリコルヌの背筋を伝う。
ここで外に飛び出し、学院長室に不審者が侵入した事を騒ぎ...
何故なら、男が部屋に入った途端、窓から明かりが洩れたか...
つまり、この謎の男は、少なくともオールド・オスマンに害...
クヴァーシルをその窓際に飛ばせる。
嫌な予感が背筋から消えない。
カーテンの隙間から室内の様子をうかがう。
「我をまとう風よ、我が姿を変えよ」
フクロウが部屋の中から聞こえた、その声を聞いた時、もは...
腰まで伸びた、流れるような美しい金髪。
ガラス細工のように光る、切れ長の碧眼。
貴婦人のような、線の細い顎のライン。
そして、それらの美貌を完璧に裏切るように突き出た、人外...
(……エル……フ……!?)
#br
しかも、そのエルフは、マリコルヌも知っていた。
かつて敵としてまみえた、ビダーシャルという名のエルフ。
嫌な予感は的中した。
その姿を視覚の端に捉えた瞬間の動揺もむべなるかな。アー...
そして、不可解なのはそれだけではない。
当の学院長・オールド・オスマンその人は、普通にベッドか...
ハルケギニアのメイジ養成機関の中でも屈指の名門・トリス...
その事実は、マリコルヌの理解を激しく超越していた。
確かに、世界有数の賢者であるオールド・オスマンであるな...
(いや、ないない!! それはない!!)
マリコルヌの心中の叫びに根拠は無い。だが、何が起こって...
だが、そのときだった。
切れ長のエルフの碧眼が、クヴァーシルを――正確には、使い...
「誰の使い魔かは知らぬが、覗きは悪趣味だな」
クヴァーシルは窓から一目散に飛び立った。
翼も折れよとばかりに力を込めて羽ばたき、僅かでも、その...
何故なら、マリコルヌ本人はといえば、そのときにはすでに...
無論、偶然ではない。
ビダーシャルの視線に込められた魔力のせいだ。
#br
「殺したのか?」
それを知ってか、オスマンも不安そうにエルフに訊く。
「殺生はならんぞ。我が校の生徒が興味本位で覗いておっただ...
その言葉に、ビダーシャルはつまらなそうに、だが心配そう...
「我々エルフは無意味な争いを好みません。しかし、あなたは...
見る者が見れば、その会話に驚倒したに違いない。
ガリア王ジョゼフにさえ、対等の態度と言動を崩さなかった...
ビダーシャルの台詞が表す意味はただ一つ。
今宵の一幕を覗き見ていたのが、単なる生徒の好奇心ではな...
だが、老人は動じない。
むしろ笑ってビダーシャルに応える。
「わしを誰じゃと思うておる? 俗世の権力ごときに、このオ...
そう大見得を切ったオスマンだったが、それでも視線を外さ...
「それに、――どのみち“虚無の担い手”は見つかったのじゃ。わ...
「おおい、マリコルヌ!! 何やってんだよ、いないのかっ!...
個室の扉をガンガンと殴る音がする。
いや、その殴打音よりも、ドア越しに少年がわめく声のほう...
「あ?」
マリコルヌは眼を覚ました。
体を起こすが、その途端、頭蓋が割れそうに響く。まるで瓶...
(あれから……いったい……?)
自分の情況を確認しようとした瞬間、骨さえも凍らせるよう...
#br
「〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!」
逆流してくる胃液を、両手で口を抑えて、懸命に嘔吐をこら...
「……はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
昨夜見た、学院長室での光景が現実だったのか否か、それは...
マリコルヌは、本来なら今頃は森で眠っているはずの使い魔...
いま自分を叩き起こした、ドアから発する呼び声と殴打音。
何をするにも、まずは、あの乱暴極まりない訪問者の相手を...
頭痛を誘発する、この怒号の主も誰であるかは知っている。―...
杖を振るって錠を外そうとしたが、頭痛がひどくて魔法に集...
「何だよギムリ、こんな朝っぱらから」
そんなマリコルヌの様子と台詞に、ギムリは一瞬きょとんと...
「朝? 何言ってるんだよマリコルヌ、もう放課後だぜ?」
次に呆然となるのは、マリコルヌの方だった。
(放課後!? そんな時間まで、だらしなく正体を無くして、...
だが、マリコルヌのそんな反応も、ギムリは歯牙にもかけな...
もともと大雑把で、細かい事に神経の行き届く男ではない。...
そして、何よりそんな豪快なギムリが、泡を食ってマリコル...
「ンな事より大変だぜマリコルヌ!! おれたち全員、トリス...
「は?」
「手柄だ手柄! 手柄上げて名を上げる絶好の機会だって言っ...
#br
「……いきなりだな。一体何があったんだよ?」
そう訊かれてギムリは、むしろ嬉しそうに周囲を見回すと、...
「……いいか、これからする話は隊の幹部の中だけの極秘事項だ...
と、いかにもな武者震いをしながら、声を潜める。
その様子は「これは秘密ですわよ」と言いながらゴシップを...
普段ならともかく、こんな割れんばかりの頭痛の中で、低俗...
ギムリは、そんなマリコルヌの心中も知らず、口を開く。
「今朝、ギーシュとサイトが、王宮に呼び出されて、アニエス...
アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン。
言わずと知れた、女王陛下直属の王宮衛士隊“銃士隊”の隊長...
彼女から何度か軍事講習を受けた、彼ら水精霊騎士隊の学生...
「どうやらな、いま王宮でとんでもない計画が進められている...
「……まどろっこしいな。とんでもない計画って、一体何なんだ...
半ば、興味なさげに訊き返すマリコルヌだが、ギムリは、そ...
「アンリエッタ女王陛下の暗殺計画、だってよ」
#br
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マリコルヌの冒険(その1) 痴女109号氏
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――お、あいつ、今日のショーツは黒かよ。
マリコルヌ・ド・グランドプレは、ほくそ笑んだ。
(なら、そろそろ今晩、あの恋人と最後まで行く肚を決めたっ...
彼の使い魔クヴァーシルから送信されてくる視覚情報。
夜更けの女子寮を飛び回り、窓にカーテンも引かずに油断し...
トリステイン魔法学院は全寮制だ。
だから基本的に授業は男女共学ではあるが、その一般生活に...
(食事は男女共同だが、おのおの席が指定されているため、狙...
携帯電話のような個人間の連絡用ツールも存在せず、さらに...
だから、この学園生活で女っ気を充実させようと思えば、一...
放課後や昼休みに、意中の女子に詩や花束を送ったり、楽曲...
マリコルヌとて、それは知っている。
そして彼とて、一般貴族としての恋愛を諦めたわけではない。
だから、この覗き行為がどれだけ罪深い、非常識な行為であ...
(……マズイな……これ、病み付きになりつつあるぞ……)
無警戒な他人の生活を垣間見る。
そこにあるのは、一切の虚飾を剥ぎ取った素顔の生活だ。
男色趣味の無いマリコルヌは、さすがに男子寮を覗こうとは...
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普段はしかめっ面をしている仕切り屋の少女が、自室で見せ...
寡黙な少女が、恋人を部屋に連れ込んだ途端、堰を切ったよ...
そして、そんな少女たちが勇を鼓して、部屋に連れ込んだ恋...
(おもしれえ)
娯楽の少ない寮生活で、他人の仮面の下を覗き見る行為にマ...
もともと、マリコルヌは自分の性欲の強さを意識はしていた...
彼とて貴族の端くれ、実家――お世辞にも名門であるとはいい...
たとえ、爵位持ちの大諸侯ならぬ貧乏貴族であっても、それ...
ましてや、いま現在自分が所属する水精霊騎士隊は、自分た...
(その前に、士官学校への入学を強制され、全隊員、一から軍...
まあ、だからこそ、気ままに自由恋愛をしようと思えば、そ...
そして今宵、長らく“観察”を続けていた、とある女子生徒が...
無論マリコルヌとて、その少女が想いを寄せる男子生徒に嫉...
だが、少女の日常生活を覗き見し、彼女がその男子に、どれ...
ならば彼としては、必然的に少女の恋の成就を応援せざるを...
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(らしくねえな)
心中、彼は苦笑する。
モテない自分への満腔の不満と、モテ男たちへの身を焦がす...
それが自分――マリコルヌ・ド・グランドプレの構成成分だっ...
ぼくも変わっちまったもんだ、と思う。
無論、以前の性欲が跡形も無く消えたわけではない。
だが、いま続けている人間観察によって、自分は確実に以前...
多分、他人の私生活を覗き見ることによって、以前よりも他...
(まあ、それでもやってることは、ただの犯罪なんだがな……)
そのときだった。
自室のベッドで寝そべりながら使い魔の“眼”を使っていたマ...
(いまのは……!?)
クヴァーシルが視覚の端に捉えた一人の男。
なぜ、目端に見えた男の影に、自分の肉体がそんな反応を示...
マリコルヌは、その男を追跡することをフクロウに命じる。
(ぼくは、あの男を知っている……?)
その予感は、なぜか悪寒すら伴っていた。
薄茶色のローブと、つばの広い異国の帽子を目深にかぶった...
そして、双月の月明かりから身を隠すように、校舎や塔の影...
無論、彼とて、学院にいる全ての者の顔を記憶しているわけ...
つまり、少年のようにも思えるし、熟年のようにさえ見える。
マリコルヌは、そういう貌を持つ者たちを知っていた。
#br
(まさか……嘘だろ……?)
男は、とある塔に辿り着くと指輪を光らせ、その身をふわり...
フライか? だが、男は杖を振るったようには見えなかった...
そして、その姿は学院長……オールド・オスマンの私室の窓を...
「……っっ!!」
一筋の冷や汗がマリコルヌの背筋を伝う。
ここで外に飛び出し、学院長室に不審者が侵入した事を騒ぎ...
何故なら、男が部屋に入った途端、窓から明かりが洩れたか...
つまり、この謎の男は、少なくともオールド・オスマンに害...
クヴァーシルをその窓際に飛ばせる。
嫌な予感が背筋から消えない。
カーテンの隙間から室内の様子をうかがう。
「我をまとう風よ、我が姿を変えよ」
フクロウが部屋の中から聞こえた、その声を聞いた時、もは...
腰まで伸びた、流れるような美しい金髪。
ガラス細工のように光る、切れ長の碧眼。
貴婦人のような、線の細い顎のライン。
そして、それらの美貌を完璧に裏切るように突き出た、人外...
(……エル……フ……!?)
#br
しかも、そのエルフは、マリコルヌも知っていた。
かつて敵としてまみえた、ビダーシャルという名のエルフ。
嫌な予感は的中した。
その姿を視覚の端に捉えた瞬間の動揺もむべなるかな。アー...
そして、不可解なのはそれだけではない。
当の学院長・オールド・オスマンその人は、普通にベッドか...
ハルケギニアのメイジ養成機関の中でも屈指の名門・トリス...
その事実は、マリコルヌの理解を激しく超越していた。
確かに、世界有数の賢者であるオールド・オスマンであるな...
(いや、ないない!! それはない!!)
マリコルヌの心中の叫びに根拠は無い。だが、何が起こって...
だが、そのときだった。
切れ長のエルフの碧眼が、クヴァーシルを――正確には、使い...
「誰の使い魔かは知らぬが、覗きは悪趣味だな」
クヴァーシルは窓から一目散に飛び立った。
翼も折れよとばかりに力を込めて羽ばたき、僅かでも、その...
何故なら、マリコルヌ本人はといえば、そのときにはすでに...
無論、偶然ではない。
ビダーシャルの視線に込められた魔力のせいだ。
#br
「殺したのか?」
それを知ってか、オスマンも不安そうにエルフに訊く。
「殺生はならんぞ。我が校の生徒が興味本位で覗いておっただ...
その言葉に、ビダーシャルはつまらなそうに、だが心配そう...
「我々エルフは無意味な争いを好みません。しかし、あなたは...
見る者が見れば、その会話に驚倒したに違いない。
ガリア王ジョゼフにさえ、対等の態度と言動を崩さなかった...
ビダーシャルの台詞が表す意味はただ一つ。
今宵の一幕を覗き見ていたのが、単なる生徒の好奇心ではな...
だが、老人は動じない。
むしろ笑ってビダーシャルに応える。
「わしを誰じゃと思うておる? 俗世の権力ごときに、このオ...
そう大見得を切ったオスマンだったが、それでも視線を外さ...
「それに、――どのみち“虚無の担い手”は見つかったのじゃ。わ...
「おおい、マリコルヌ!! 何やってんだよ、いないのかっ!...
個室の扉をガンガンと殴る音がする。
いや、その殴打音よりも、ドア越しに少年がわめく声のほう...
「あ?」
マリコルヌは眼を覚ました。
体を起こすが、その途端、頭蓋が割れそうに響く。まるで瓶...
(あれから……いったい……?)
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逆流してくる胃液を、両手で口を抑えて、懸命に嘔吐をこら...
「……はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
昨夜見た、学院長室での光景が現実だったのか否か、それは...
マリコルヌは、本来なら今頃は森で眠っているはずの使い魔...
いま自分を叩き起こした、ドアから発する呼び声と殴打音。
何をするにも、まずは、あの乱暴極まりない訪問者の相手を...
頭痛を誘発する、この怒号の主も誰であるかは知っている。―...
杖を振るって錠を外そうとしたが、頭痛がひどくて魔法に集...
「何だよギムリ、こんな朝っぱらから」
そんなマリコルヌの様子と台詞に、ギムリは一瞬きょとんと...
「朝? 何言ってるんだよマリコルヌ、もう放課後だぜ?」
次に呆然となるのは、マリコルヌの方だった。
(放課後!? そんな時間まで、だらしなく正体を無くして、...
だが、マリコルヌのそんな反応も、ギムリは歯牙にもかけな...
もともと大雑把で、細かい事に神経の行き届く男ではない。...
そして、何よりそんな豪快なギムリが、泡を食ってマリコル...
「ンな事より大変だぜマリコルヌ!! おれたち全員、トリス...
「は?」
「手柄だ手柄! 手柄上げて名を上げる絶好の機会だって言っ...
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そう訊かれてギムリは、むしろ嬉しそうに周囲を見回すと、...
「……いいか、これからする話は隊の幹部の中だけの極秘事項だ...
と、いかにもな武者震いをしながら、声を潜める。
その様子は「これは秘密ですわよ」と言いながらゴシップを...
普段ならともかく、こんな割れんばかりの頭痛の中で、低俗...
ギムリは、そんなマリコルヌの心中も知らず、口を開く。
「今朝、ギーシュとサイトが、王宮に呼び出されて、アニエス...
アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン。
言わずと知れた、女王陛下直属の王宮衛士隊“銃士隊”の隊長...
彼女から何度か軍事講習を受けた、彼ら水精霊騎士隊の学生...
「どうやらな、いま王宮でとんでもない計画が進められている...
「……まどろっこしいな。とんでもない計画って、一体何なんだ...
半ば、興味なさげに訊き返すマリコルヌだが、ギムリは、そ...
「アンリエッタ女王陛下の暗殺計画、だってよ」
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