ゼロの使い魔保管庫
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魔道武闘伝ヨルムンファイト せんたいさん
#br
溶鉱炉の赤い光が、レンガ造りの工廠内を紅く照らし出す。
地響きのような音を立てながら、黒い大きな機械が鉄を砕き、...
ここは、ガリア王直轄の、ヨルムンガントの工廠。
今、その試作一号が完成し、そのお披露目にガリア王ジョゼフ...
「ここにございます」
恭しく頭を垂れ、見目麗しい女性がそう告げる。
ジョゼフの使い魔、ミョズニトニルン…シェフィールドであった...
頭を垂れた彼女の額の『使い魔の刻印』が光り輝く。
それに合わせ、彼女の後ろのとてつもなく大きな、ガリア王城...
複数のマジック・アイテムを組み合わせて作った、自動扉である...
そして、その大きな扉の向こうには。
ハルケギニア始まって以来の巨大な、そして強力なマジック・ア...
「おお…これが、ヨルムンガントか…」
溜息をつき、ジョゼフはヨルムンガントを見上げる。
その瞳は新しい玩具を与えられた幼子のように光り輝き、目の...
再び、その喉から熱い溜息が漏れる。
この巨大な騎士が動き、戦うさまを想像し、ジョゼフは興奮を...
そんなジョゼフを見て、シェフィールドは、ただのマジック・...
しかし、すぐにその考えを打ち払う。
…馬鹿馬鹿しい。
ジョゼフはしばらくその巨大な騎士人形に見入っていたが。
すぐに、ある事に気付く。
「…ん?奥にも、まだあるのか…?」
試作一号、と聞いていたので、てっきり一体だけだと思ってい...
「…差し出がましいとは思いましたが、試作一号の動作が良好だ...
申し訳ありません、我が王」
深々と頭を垂れ、自らの身勝手を詫びるシェフィールド。
そんな己が使い魔に、しかしジョゼフは。
「かまわん!かまわん!いい判断だ!お前は素晴らしい使い魔...
「お褒めに預かり恐悦至極にございます、ジョゼフ様」
上機嫌で己が使い魔を褒める。
そんなジョゼフの中で、膨らみ始めるある妄想。
それは、大きな機械を目の前にした男なら、誰しも思うこと。
…乗って、動かしたい。
ジョゼフは、ミョズニトニルンに命を下した。
「…すぐ、これを人が乗って動かせるように改造いたせ」
「…はい?」
シェフィールドはジョゼフの意図がつかめず、そう聞き返して...
「人が乗れるようにと言ったぞ、ミューズよ。そうだな、手足...
「…し、しかしジョゼフ様。
人が乗ってどうしようというのです?所詮ヨルムンガントは...
シェフィールドの言葉に、ジョゼフはしかし。
「これは命令だミューズ。乗って動かせるようにしろ」
その瞳に宿る光りは尋常ではなかった。
シェフィールドは故人の言ったある言葉を思い出していた。
『大人の男と子供の男の違いは、オモチャの値段だけだ』
全く持ってそのとおり。
この我侭な王は、この巨大な玩具に、虜になってしまったのだ。
はぁ、と溜息をつき、シェフィールドは王に言った。
「委細承知いたしました、我が王。
では、私は早速操作方法を考えてまいります」
…また、専門書と設計技師と格闘する日々が始まるのね…。
ヨルムンガントを作った濃い技術者たちの事を思い出しながら...
…後に、シェフィールドはその事をひどく後悔することになる…。
「そうだな!折角だからこいつらを闘わせてみよう!面白いぞ...
しかしガリアだけでやっていたらまるで一人遊びでいかんせ...
…そうだ!素体になるヨルムンガントを各国に送りつけてやろ...
うむうむうむ、燃えてきた!よーし、開催者としてやはりル...
そうだな、出場できるのは操作する者と、補佐をする者のペ...
一人、ヨルムンガントの部屋で盛り上がるガリア王。
その姿は、まるで面白い遊びを思いついた小さな男の子のよう...
それから一ヶ月ほどして。
ハルケギニアの各国、エルフの国にも、一通の手紙と、巨大な...
手紙にはこうあった。
『世界の覇権が欲しければ、ヨルムンガントを駆り、王都リュ...
世界の全てを、そこに置いてきた! ガリア王 ジョゼフ』
なんのこっちゃい、と思った各国首脳だったが、その手紙の裏...
一つ、ヨルムンガントに乗れるのは各国代表2名。操縦者と、...
一つ、ヨルムンガント同士以外の戦闘を禁ずる。ヨルムンガン...
一つ、ヨルムンガントへの改造の制限はない。ただしその大き...
一つ、唯一残ったヨルムンガントが世界の王となる。以降、十...
なお、従わない場合には他のヨルムンガントが貴君の国を滅ぼ...
手紙を運んできたヨルムンガントに一切歯が立たなかった各国...
そして、王都リュティスでは、既に準備万端整ったジョゼフが...
「遠からん者は音に聞け!近くば寄って目にも見よ!
未だ敗けを知らぬはこのガリア王ジョゼフよ!
負けたいヤツから…かかって来いっ!」
びし、ばし、とポーズを決め、ジョゼフの乗るヨルムンガント...
「ふはははは!どうだミューズよ!かっこよかろう!しびれる...
これが男の浪漫というものよ!」
シェフィールドはそんな王を見上げながら思った。
──────────どこで、間違えたんだろう──────────────。
と。
しかし時の輪は容赦なく回り。
ハルケギニア中を巻き込んだ、『ヨルムンガント・ファイト』...
※続く※
…ワケガナイ。
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終了行:
魔道武闘伝ヨルムンファイト せんたいさん
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溶鉱炉の赤い光が、レンガ造りの工廠内を紅く照らし出す。
地響きのような音を立てながら、黒い大きな機械が鉄を砕き、...
ここは、ガリア王直轄の、ヨルムンガントの工廠。
今、その試作一号が完成し、そのお披露目にガリア王ジョゼフ...
「ここにございます」
恭しく頭を垂れ、見目麗しい女性がそう告げる。
ジョゼフの使い魔、ミョズニトニルン…シェフィールドであった...
頭を垂れた彼女の額の『使い魔の刻印』が光り輝く。
それに合わせ、彼女の後ろのとてつもなく大きな、ガリア王城...
複数のマジック・アイテムを組み合わせて作った、自動扉である...
そして、その大きな扉の向こうには。
ハルケギニア始まって以来の巨大な、そして強力なマジック・ア...
「おお…これが、ヨルムンガントか…」
溜息をつき、ジョゼフはヨルムンガントを見上げる。
その瞳は新しい玩具を与えられた幼子のように光り輝き、目の...
再び、その喉から熱い溜息が漏れる。
この巨大な騎士が動き、戦うさまを想像し、ジョゼフは興奮を...
そんなジョゼフを見て、シェフィールドは、ただのマジック・...
しかし、すぐにその考えを打ち払う。
…馬鹿馬鹿しい。
ジョゼフはしばらくその巨大な騎士人形に見入っていたが。
すぐに、ある事に気付く。
「…ん?奥にも、まだあるのか…?」
試作一号、と聞いていたので、てっきり一体だけだと思ってい...
「…差し出がましいとは思いましたが、試作一号の動作が良好だ...
申し訳ありません、我が王」
深々と頭を垂れ、自らの身勝手を詫びるシェフィールド。
そんな己が使い魔に、しかしジョゼフは。
「かまわん!かまわん!いい判断だ!お前は素晴らしい使い魔...
「お褒めに預かり恐悦至極にございます、ジョゼフ様」
上機嫌で己が使い魔を褒める。
そんなジョゼフの中で、膨らみ始めるある妄想。
それは、大きな機械を目の前にした男なら、誰しも思うこと。
…乗って、動かしたい。
ジョゼフは、ミョズニトニルンに命を下した。
「…すぐ、これを人が乗って動かせるように改造いたせ」
「…はい?」
シェフィールドはジョゼフの意図がつかめず、そう聞き返して...
「人が乗れるようにと言ったぞ、ミューズよ。そうだな、手足...
「…し、しかしジョゼフ様。
人が乗ってどうしようというのです?所詮ヨルムンガントは...
シェフィールドの言葉に、ジョゼフはしかし。
「これは命令だミューズ。乗って動かせるようにしろ」
その瞳に宿る光りは尋常ではなかった。
シェフィールドは故人の言ったある言葉を思い出していた。
『大人の男と子供の男の違いは、オモチャの値段だけだ』
全く持ってそのとおり。
この我侭な王は、この巨大な玩具に、虜になってしまったのだ。
はぁ、と溜息をつき、シェフィールドは王に言った。
「委細承知いたしました、我が王。
では、私は早速操作方法を考えてまいります」
…また、専門書と設計技師と格闘する日々が始まるのね…。
ヨルムンガントを作った濃い技術者たちの事を思い出しながら...
…後に、シェフィールドはその事をひどく後悔することになる…。
「そうだな!折角だからこいつらを闘わせてみよう!面白いぞ...
しかしガリアだけでやっていたらまるで一人遊びでいかんせ...
…そうだ!素体になるヨルムンガントを各国に送りつけてやろ...
うむうむうむ、燃えてきた!よーし、開催者としてやはりル...
そうだな、出場できるのは操作する者と、補佐をする者のペ...
一人、ヨルムンガントの部屋で盛り上がるガリア王。
その姿は、まるで面白い遊びを思いついた小さな男の子のよう...
それから一ヶ月ほどして。
ハルケギニアの各国、エルフの国にも、一通の手紙と、巨大な...
手紙にはこうあった。
『世界の覇権が欲しければ、ヨルムンガントを駆り、王都リュ...
世界の全てを、そこに置いてきた! ガリア王 ジョゼフ』
なんのこっちゃい、と思った各国首脳だったが、その手紙の裏...
一つ、ヨルムンガントに乗れるのは各国代表2名。操縦者と、...
一つ、ヨルムンガント同士以外の戦闘を禁ずる。ヨルムンガン...
一つ、ヨルムンガントへの改造の制限はない。ただしその大き...
一つ、唯一残ったヨルムンガントが世界の王となる。以降、十...
なお、従わない場合には他のヨルムンガントが貴君の国を滅ぼ...
手紙を運んできたヨルムンガントに一切歯が立たなかった各国...
そして、王都リュティスでは、既に準備万端整ったジョゼフが...
「遠からん者は音に聞け!近くば寄って目にも見よ!
未だ敗けを知らぬはこのガリア王ジョゼフよ!
負けたいヤツから…かかって来いっ!」
びし、ばし、とポーズを決め、ジョゼフの乗るヨルムンガント...
「ふはははは!どうだミューズよ!かっこよかろう!しびれる...
これが男の浪漫というものよ!」
シェフィールドはそんな王を見上げながら思った。
──────────どこで、間違えたんだろう──────────────。
と。
しかし時の輪は容赦なく回り。
ハルケギニア中を巻き込んだ、『ヨルムンガント・ファイト』...
※続く※
…ワケガナイ。
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