ゼロの使い魔保管庫
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青春時代【10】 ツンデレ王子
#br
「三日も留守にして、ルイズ心配してるだろうなぁ」
サイトは馬を繋ぐと、寮へと向かって足を踏み出した。
既にこの日の授業も終わったのか、学生達の多くが広場に設...
チに座り、優雅な一時を過ごしている。
そんな中、こちらを目指して歩いてくる一人の少女の姿が目...
黒いオーラを纏い、オーク鬼でさえ射抜いてしまいそうな程の...
けている。桃色の髪が重力に逆らい宙を舞っているのは目の錯...
「サーイ−トー」
ルイズが1歩また一歩と近付いてくるにつれ彼の背中に冷た...
ちる。辺りに漂う空気は段々と重たくなり、彼女との間の周辺...
皆揃って逃げ出してしまった。
「や、やぁルイズ、ただいま」
「……」
「そ、そんな怒るなって。せ、折角の可愛い顔が台無しだぞ」
何とか主人の怒りを軽減しようと口を開くも、彼女の迫力に...
えてしまっている。
「犬、いったい今まで何処に行ってたのかしら?」
ルイズが口を開いたのは、サイトの目の前に立ってからだっ...
離はお互いに手を伸ばせば届く範囲となっており、彼女は今ま...
も無いような笑みを浮かべているのが見て取れる。
「ご、ご主人さま。今日はまた一段とお綺麗ですね。特にその...
妖精たちも真っ青になる位ですよ、ホント」
サイトはここで、いつもの様に『可愛い』では無く『綺麗』...
確かに彼の言う通り、この時の彼女の笑顔は綺麗とでしか表現...
う。ただしそれは、嬉しさや喜びからではなく怒りからくるも...
「もう一度聞くわね。何、処、に、行ってたのかしら?」
「えっと、いや、その」
言えない。言える訳が無かった。
一昨日、マザリーニから口止めされていた事もある。今日の...
つ前にアンリエッタから口止めされたのも原因の一つでもある...
理由は彼女との間で起こった事件だ。
彼等の精神が入れ替わってしまった事を話したとしても、ル...
ないだろう。しかしながら、よしんば信じたとしよう。そうす...
までもを説明しないと辻褄が合わなくなる(とサイトは思って...
キスだけでもあれだけ憤怒したルイズの事だ。もしアンリエッ...
バレてしまえば、どれほどの怒りを買うか分かったものでは無...
(ま、その前に黙って出掛けた事で怒ってるんだろうけどな)
「まぁいいわ」
サイトは自分の耳を疑った。あれだけ怒りのオーラを湛えた...
あっさりと引いたのである。助かったのか?と胸を撫で下ろし...
「質問を変えるわ。あんた三日前、街で女の子と歩いていたそ...
一気に地獄へと突き落とされた。
「な、なな、なんでお前がそれを…」
「別にいいじゃない、そんな事。それより犬、あんたご主人さ...
なくなって、その上街で女の子を引っ掛けていたのね」
やばいと思った。
ルイズのいつものどもりが無い。過去に彼女を怒らせた経験...
ど、その全ては怒りから言葉に詰まる箇所があったのだ。それ...
て見当たらない。しかも、今までなら彼女は身体全体で怒りを...
対し、今回はオーラこそあるもののそれ以外は全くの普通なの...
(これはマジで死ぬかも)
シエスタにセーラー服を着せた時みたいに逃げ出そうか、で...
させた俺にも原因は有るしな、でも姫さまとやっちゃったんだ...
ないと、等と悩んでいると彼を呼ぶ声が聞こえてきた。
「サイトー」
「テ、テファ!?」
大きく腕を振りながら、そしてその大きな胸をボヨンボヨン...
ファニアがこちらに向かって駆けてくるではないか。
「来ちゃだめだ、テファ!」
しかしサイトの叫びが聞こえなかったのか、彼女は止まる気...
その間もルイズの詠唱は続いており、このままでは巻き込んで...
てて踵を返すとティファニアの下まで駆け寄り、彼女を抱えて...
した。これが更にルイズを刺激し、益々彼女の纏うオーラが色...
「こんの、バカ犬〜〜〜〜!!」
吐き捨てる様に呟きながら杖を振り下ろす。
辺りを巻き込んだ大規模な爆発が起こる――かと思いきや、爆...
草の一本も焦げず、彼女の虚無は不発に終わった。
(え?な、なんで?)
これまたいつぞやの様に虚無が打てなくなったのか、ルイズ...
考えが過ぎったが、それにしてはおかしい。ここしばらく魔法...
は起きてはいなかったので、精神力は溜まっているはずなのだ。
そこで漸く、小さくなっていく自分の使い魔が抱きかかえて...
思い出した。彼女はエルフの血を引いているとは言え、自分と...
い手であるのだと言う事を。
果たして彼女の読みは当たっていた。
ハーフエルフの少女の詠唱が早かったのか、それとも彼女の...
のスペルがルイズのエクスプロージョンよりも短かったのかは...
が、ティファニアのディスペル・マジックが奇跡とも呼べるく...
たのである。
(あんのっオバケ胸〜〜〜!!)
サイトの消えていった先を恨みがましく睨みつけながら、地...
暫くして彼等の行先に思い至ったルイズは、今ので精神力を...
てしまったのだろう、手にした杖を鞭に持ち替えると来た道を...
だった。寮塔内のティファニアの部屋を目指して。
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青春時代【10】 ツンデレ王子
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「三日も留守にして、ルイズ心配してるだろうなぁ」
サイトは馬を繋ぐと、寮へと向かって足を踏み出した。
既にこの日の授業も終わったのか、学生達の多くが広場に設...
チに座り、優雅な一時を過ごしている。
そんな中、こちらを目指して歩いてくる一人の少女の姿が目...
黒いオーラを纏い、オーク鬼でさえ射抜いてしまいそうな程の...
けている。桃色の髪が重力に逆らい宙を舞っているのは目の錯...
「サーイ−トー」
ルイズが1歩また一歩と近付いてくるにつれ彼の背中に冷た...
ちる。辺りに漂う空気は段々と重たくなり、彼女との間の周辺...
皆揃って逃げ出してしまった。
「や、やぁルイズ、ただいま」
「……」
「そ、そんな怒るなって。せ、折角の可愛い顔が台無しだぞ」
何とか主人の怒りを軽減しようと口を開くも、彼女の迫力に...
えてしまっている。
「犬、いったい今まで何処に行ってたのかしら?」
ルイズが口を開いたのは、サイトの目の前に立ってからだっ...
離はお互いに手を伸ばせば届く範囲となっており、彼女は今ま...
も無いような笑みを浮かべているのが見て取れる。
「ご、ご主人さま。今日はまた一段とお綺麗ですね。特にその...
妖精たちも真っ青になる位ですよ、ホント」
サイトはここで、いつもの様に『可愛い』では無く『綺麗』...
確かに彼の言う通り、この時の彼女の笑顔は綺麗とでしか表現...
う。ただしそれは、嬉しさや喜びからではなく怒りからくるも...
「もう一度聞くわね。何、処、に、行ってたのかしら?」
「えっと、いや、その」
言えない。言える訳が無かった。
一昨日、マザリーニから口止めされていた事もある。今日の...
つ前にアンリエッタから口止めされたのも原因の一つでもある...
理由は彼女との間で起こった事件だ。
彼等の精神が入れ替わってしまった事を話したとしても、ル...
ないだろう。しかしながら、よしんば信じたとしよう。そうす...
までもを説明しないと辻褄が合わなくなる(とサイトは思って...
キスだけでもあれだけ憤怒したルイズの事だ。もしアンリエッ...
バレてしまえば、どれほどの怒りを買うか分かったものでは無...
(ま、その前に黙って出掛けた事で怒ってるんだろうけどな)
「まぁいいわ」
サイトは自分の耳を疑った。あれだけ怒りのオーラを湛えた...
あっさりと引いたのである。助かったのか?と胸を撫で下ろし...
「質問を変えるわ。あんた三日前、街で女の子と歩いていたそ...
一気に地獄へと突き落とされた。
「な、なな、なんでお前がそれを…」
「別にいいじゃない、そんな事。それより犬、あんたご主人さ...
なくなって、その上街で女の子を引っ掛けていたのね」
やばいと思った。
ルイズのいつものどもりが無い。過去に彼女を怒らせた経験...
ど、その全ては怒りから言葉に詰まる箇所があったのだ。それ...
て見当たらない。しかも、今までなら彼女は身体全体で怒りを...
対し、今回はオーラこそあるもののそれ以外は全くの普通なの...
(これはマジで死ぬかも)
シエスタにセーラー服を着せた時みたいに逃げ出そうか、で...
させた俺にも原因は有るしな、でも姫さまとやっちゃったんだ...
ないと、等と悩んでいると彼を呼ぶ声が聞こえてきた。
「サイトー」
「テ、テファ!?」
大きく腕を振りながら、そしてその大きな胸をボヨンボヨン...
ファニアがこちらに向かって駆けてくるではないか。
「来ちゃだめだ、テファ!」
しかしサイトの叫びが聞こえなかったのか、彼女は止まる気...
その間もルイズの詠唱は続いており、このままでは巻き込んで...
てて踵を返すとティファニアの下まで駆け寄り、彼女を抱えて...
した。これが更にルイズを刺激し、益々彼女の纏うオーラが色...
「こんの、バカ犬〜〜〜〜!!」
吐き捨てる様に呟きながら杖を振り下ろす。
辺りを巻き込んだ大規模な爆発が起こる――かと思いきや、爆...
草の一本も焦げず、彼女の虚無は不発に終わった。
(え?な、なんで?)
これまたいつぞやの様に虚無が打てなくなったのか、ルイズ...
考えが過ぎったが、それにしてはおかしい。ここしばらく魔法...
は起きてはいなかったので、精神力は溜まっているはずなのだ。
そこで漸く、小さくなっていく自分の使い魔が抱きかかえて...
思い出した。彼女はエルフの血を引いているとは言え、自分と...
い手であるのだと言う事を。
果たして彼女の読みは当たっていた。
ハーフエルフの少女の詠唱が早かったのか、それとも彼女の...
のスペルがルイズのエクスプロージョンよりも短かったのかは...
が、ティファニアのディスペル・マジックが奇跡とも呼べるく...
たのである。
(あんのっオバケ胸〜〜〜!!)
サイトの消えていった先を恨みがましく睨みつけながら、地...
暫くして彼等の行先に思い至ったルイズは、今ので精神力を...
てしまったのだろう、手にした杖を鞭に持ち替えると来た道を...
だった。寮塔内のティファニアの部屋を目指して。
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