ゼロの使い魔保管庫
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それは蒼から始まった物語 (11):ブロブ 1 バレッ...
#br
貴族の間にも貧富の差というものがある。
エルフを含む『東方』との貿易で膨大な利益を上げているガリ...
ゲルマニアはともかく、ガリアやアルビオンは相互協力によっ...
対して貧乏貴族が多いのはトリステインを中心とした諸国群。
歴史はあるが小国なので貴族の数はガリアとアルビオンと同じ...
そういうのに限って領地の平民から散々搾り取って自分だけ贅...
余りそういう事をしない、比較的(ここ重要)まともな貴族は...
そしてそんな貴族達の子息子女達も同じ事が言える訳で。
親からの仕送りが少ない(といっても平民の年収1年分ぐらい...
まあ、平たく言えばバイトするのである。彼らなりのやり方で。
トリステイン魔法学院の女子寮の一室は、女子生徒の手によっ...
といっても机の上に蒸留用の器具やフラスコにビーカー、匂い...
しかし、その中には学院ではご禁制の物とかも混じっているの...
ついでにここでは香水以外にもちょっとアブなめな薬を密造し...
自宅で大麻を栽培したり阿片を自前で精製したりしてる密売人...
しかし彼女自身はそこまで危険な代物は作っていないと思って...
そう、せいぜい使うと男を部屋に連れ込んで3日間ぶっ通しで...
―――そういえば、この前はあの『微熱』のキュルケが媚薬と精力...
彼女自身ゲルマニアの女らしく性欲が強そうだから、相手の男...
でも彼女が今までそういった薬を買いに来た事は無かったのだ...
・・・・・・ちなみに彼女が薬を買いに来た翌日、とある頭の...
その日の遅くに彼の研究室からフラフラになって、でもなぜか...
ちょっと罪悪感は覚えるが、それでも実家に内緒で食い扶ちを...
それについ最近友人に成れたばかりの同級生のお陰で高価な原...
そんな訳で、今日も少女はせっせせっせとフラスコを振る。
その広いおでこをすぱしこーん!、と思いっきり引っ叩かれた。
「きゃ!?な、何するのよ!?」
びっくりして危うくフラスコを放り投げそうになるのを慌てて...
あっちもあっちで文句を言っているらしいが声は聞こえない。
あ、部屋に『サイレント』かけてたの忘れてた。解除する。
「モンモン、アンタねえ、やっぱりサイレントかけて薬作んの...
「し、仕方ないでしょ、時々失敗してその音が漏れたりしたら...
「良いじゃないか別に。呼びやすいじゃないのさ」
モンモンと呼ばれた少女―――モンモランシー・ド・モンモランシ...
目の前の同級生は小国トリステインの貧乏貴族である己の実家...
本当に、こうして同じ学び舎での同級生でもない限り接点なん...
実際に傍で見てみると、何というか、『普通の女の子』なのだ...
それにイザベラ自身フランクでぞんざいな性格なので地位とか...
きっとその相手が元はガリアでは多分唯一の平民上がりの貴族...
少し前にあった系統別でグループを組む授業の際に同じ水系統...
気取らず飾らず虐げず、立場も魔法の才能とかも知ったこっち...
とにかくそれをきっかけにその後も何度か話してる内に、気が...
ちなみにイザベラも自分の作った香水を気に入ってくれている...
しかしそれを誇りに思えど大々的に宣伝する気には何故かなれ...
―――――自分はそんなつもりで彼女の友人になった覚えはない。彼...
閑話休題。
「はいコレ、今月分の『精霊の涙』だよ」
机の上に置かれたのは小瓶に一杯まで収められた液体だった。
『精霊の涙』。これだけあれば軽く1500エキューは値がつ...
様々な薬の材料にもなり、もちろんモンモランシーの作るご禁...
水の精霊の住むといわれるラグドリアン湖のすぐ傍に別邸を持...
その昔、ご先祖様が神聖なる水の精霊に暴言を吐いて干された...
「自前のが作れたら楽なんだけどねぇ」
「あなたって水系統なのに治療魔法以外だと攻撃的のばかり得...
その原因は主によく怪我したり怒らせたりしてくれる恋人のせ...
机の上に広げられた材料類を横目に見たイザベラは眉をつり上...
「媚薬かい?またキュルケにでも頼まれたのかい?」
「・・・・・・・・・」
モンモランシーの顔が額まで赤くなる。
それを見たイザベラは少し首を捻ってから、急に意地悪げな邪...
「なるほど、自分で使う分なんだね?」
「じ、自分で使ってみないとどれだけの効力があるか分からな...
「なんだ、私はてっきりグラモンの奴との時に使うのかと」
「な、何でギーシュどの事知ってるのよ!?」
「なんでって、グラモンの馬鹿が盛大に言い触らしてたってサ...
「・・・ギーシュ、後でブッ血KILL」
おでこにビキッ!と井桁が浮かぶ。一体どうしてやろうか。ス...
「でも初めてぐらい薬無しでも別に・・・」
「痛いのは怖いのよ」
「まあ確かに私の時も結構痛かったけどねぇ。でも、それはそ...
「そ、それでも痛い物は痛いんでしょう?そ、その、い、挿れ...
理解できないという感じで首をかしげるイザベラ。顔を真っ赤...
しかし貴重な材料を提供してくれる王女様をこれ以上怒鳴りつ...
ゴロゴロピッシャーァァァァン!!!!
一面青空が広がっている筈の外で突然、雷鳴が轟いた。
「「きゃああぁぁぁっ!!!?」」
反射的に少女2人は身をすくませ、その際モンモランシーの手...
「えっ、わっ、わっ、わきゃん!?」
数回お手玉して取ろうとバタバタ動かした手で逆に弾いてしま...
勢いがついた小瓶はご法度な薬品が並んだ棚の方へと砲弾よろ...
「そんな、せっかくの秘薬がー!?せっかく手を尽くして集め...
「あーあー、もったいないねぇ」
モンモランシーの絶叫とは対照的なイザベラの呟きだったが、...
そして不用意にも何種類もの薬液が混ざってしまった現場へと...
指先を見てお上品ではない舌打ちが漏れる。
小さな切り傷から血が滲み出てきていた。
―――――そしてその血が一滴。
指の腹を伝って、音も無く足元に零れ落ちた。
足元まで広がっていた、混合液の僅かな水たまりに。
その瞬間、何種類もの魔力的な効果を持つ薬液と、常識からす...
カーペットに染み込む形で足元まで広がっていた液体が、急に...
「「・・・・・・え?」
立ち上がってうねうねと自在に姿を変える液体が、次の瞬間、...
#br
終了行:
それは蒼から始まった物語 (11):ブロブ 1 バレッ...
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貴族の間にも貧富の差というものがある。
エルフを含む『東方』との貿易で膨大な利益を上げているガリ...
ゲルマニアはともかく、ガリアやアルビオンは相互協力によっ...
対して貧乏貴族が多いのはトリステインを中心とした諸国群。
歴史はあるが小国なので貴族の数はガリアとアルビオンと同じ...
そういうのに限って領地の平民から散々搾り取って自分だけ贅...
余りそういう事をしない、比較的(ここ重要)まともな貴族は...
そしてそんな貴族達の子息子女達も同じ事が言える訳で。
親からの仕送りが少ない(といっても平民の年収1年分ぐらい...
まあ、平たく言えばバイトするのである。彼らなりのやり方で。
トリステイン魔法学院の女子寮の一室は、女子生徒の手によっ...
といっても机の上に蒸留用の器具やフラスコにビーカー、匂い...
しかし、その中には学院ではご禁制の物とかも混じっているの...
ついでにここでは香水以外にもちょっとアブなめな薬を密造し...
自宅で大麻を栽培したり阿片を自前で精製したりしてる密売人...
しかし彼女自身はそこまで危険な代物は作っていないと思って...
そう、せいぜい使うと男を部屋に連れ込んで3日間ぶっ通しで...
―――そういえば、この前はあの『微熱』のキュルケが媚薬と精力...
彼女自身ゲルマニアの女らしく性欲が強そうだから、相手の男...
でも彼女が今までそういった薬を買いに来た事は無かったのだ...
・・・・・・ちなみに彼女が薬を買いに来た翌日、とある頭の...
その日の遅くに彼の研究室からフラフラになって、でもなぜか...
ちょっと罪悪感は覚えるが、それでも実家に内緒で食い扶ちを...
それについ最近友人に成れたばかりの同級生のお陰で高価な原...
そんな訳で、今日も少女はせっせせっせとフラスコを振る。
その広いおでこをすぱしこーん!、と思いっきり引っ叩かれた。
「きゃ!?な、何するのよ!?」
びっくりして危うくフラスコを放り投げそうになるのを慌てて...
あっちもあっちで文句を言っているらしいが声は聞こえない。
あ、部屋に『サイレント』かけてたの忘れてた。解除する。
「モンモン、アンタねえ、やっぱりサイレントかけて薬作んの...
「し、仕方ないでしょ、時々失敗してその音が漏れたりしたら...
「良いじゃないか別に。呼びやすいじゃないのさ」
モンモンと呼ばれた少女―――モンモランシー・ド・モンモランシ...
目の前の同級生は小国トリステインの貧乏貴族である己の実家...
本当に、こうして同じ学び舎での同級生でもない限り接点なん...
実際に傍で見てみると、何というか、『普通の女の子』なのだ...
それにイザベラ自身フランクでぞんざいな性格なので地位とか...
きっとその相手が元はガリアでは多分唯一の平民上がりの貴族...
少し前にあった系統別でグループを組む授業の際に同じ水系統...
気取らず飾らず虐げず、立場も魔法の才能とかも知ったこっち...
とにかくそれをきっかけにその後も何度か話してる内に、気が...
ちなみにイザベラも自分の作った香水を気に入ってくれている...
しかしそれを誇りに思えど大々的に宣伝する気には何故かなれ...
―――――自分はそんなつもりで彼女の友人になった覚えはない。彼...
閑話休題。
「はいコレ、今月分の『精霊の涙』だよ」
机の上に置かれたのは小瓶に一杯まで収められた液体だった。
『精霊の涙』。これだけあれば軽く1500エキューは値がつ...
様々な薬の材料にもなり、もちろんモンモランシーの作るご禁...
水の精霊の住むといわれるラグドリアン湖のすぐ傍に別邸を持...
その昔、ご先祖様が神聖なる水の精霊に暴言を吐いて干された...
「自前のが作れたら楽なんだけどねぇ」
「あなたって水系統なのに治療魔法以外だと攻撃的のばかり得...
その原因は主によく怪我したり怒らせたりしてくれる恋人のせ...
机の上に広げられた材料類を横目に見たイザベラは眉をつり上...
「媚薬かい?またキュルケにでも頼まれたのかい?」
「・・・・・・・・・」
モンモランシーの顔が額まで赤くなる。
それを見たイザベラは少し首を捻ってから、急に意地悪げな邪...
「なるほど、自分で使う分なんだね?」
「じ、自分で使ってみないとどれだけの効力があるか分からな...
「なんだ、私はてっきりグラモンの奴との時に使うのかと」
「な、何でギーシュどの事知ってるのよ!?」
「なんでって、グラモンの馬鹿が盛大に言い触らしてたってサ...
「・・・ギーシュ、後でブッ血KILL」
おでこにビキッ!と井桁が浮かぶ。一体どうしてやろうか。ス...
「でも初めてぐらい薬無しでも別に・・・」
「痛いのは怖いのよ」
「まあ確かに私の時も結構痛かったけどねぇ。でも、それはそ...
「そ、それでも痛い物は痛いんでしょう?そ、その、い、挿れ...
理解できないという感じで首をかしげるイザベラ。顔を真っ赤...
しかし貴重な材料を提供してくれる王女様をこれ以上怒鳴りつ...
ゴロゴロピッシャーァァァァン!!!!
一面青空が広がっている筈の外で突然、雷鳴が轟いた。
「「きゃああぁぁぁっ!!!?」」
反射的に少女2人は身をすくませ、その際モンモランシーの手...
「えっ、わっ、わっ、わきゃん!?」
数回お手玉して取ろうとバタバタ動かした手で逆に弾いてしま...
勢いがついた小瓶はご法度な薬品が並んだ棚の方へと砲弾よろ...
「そんな、せっかくの秘薬がー!?せっかく手を尽くして集め...
「あーあー、もったいないねぇ」
モンモランシーの絶叫とは対照的なイザベラの呟きだったが、...
そして不用意にも何種類もの薬液が混ざってしまった現場へと...
指先を見てお上品ではない舌打ちが漏れる。
小さな切り傷から血が滲み出てきていた。
―――――そしてその血が一滴。
指の腹を伝って、音も無く足元に零れ落ちた。
足元まで広がっていた、混合液の僅かな水たまりに。
その瞬間、何種類もの魔力的な効果を持つ薬液と、常識からす...
カーペットに染み込む形で足元まで広がっていた液体が、急に...
「「・・・・・・え?」
立ち上がってうねうねと自在に姿を変える液体が、次の瞬間、...
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