ゼロの使い魔保管庫
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開始行:
青春時代【12】 ツンデレ王子
#br
ノースリーブの黒いシャツにフリルが誂えられた赤いスカー...
これで何度目になるだろうか。自身の姿を見下ろして着崩れ...
(もう、遠慮はしない)
声に出さずに呟くと、彼女は円卓に置いた赤い鞄に手を通し...
トリステインでは取り扱いの無い革製品で、被せで中身が落...
これは彼女が自国で無理を行って作らせたもので、ハルケギ...
少女が鞄を背負い終わり立てかけていた杖に手を伸ばそうと...
「……入って」
彼女の声に応える様に扉が開くと、黒髪の少年は室内に入ろ...
「……」
「……」
この数秒の空白に不安を覚えた少女は、珍しく涙を目尻に湛...
「ぁん」
艶っぽい声をあげ、なすがままに彼の胸に顔を埋めてしまう...
「……サイト、苦しい」
「ご、ごめんタバサ」
彼女の訴えにより理性を取り戻したサイトは抱擁を解き、タ...
そして、部屋に訪れた時から感じていた疑問を口にする。
「どうしたんだ、その格好?それに、呼び出したりなんかして」
彼の抱擁に気を良くした彼女は、しかしながらその問いに答...
「乗って」
短く告げると、タバサは窓から身を躍らせたのだ。
慌てたサイトが駆け寄って見下ろすと、そこには己の使い魔...
「乗って、早く」
「ったく、しょうがねぇなぁ」
未だ理解が追いつかないものの、サイトは一言そう漏らすと...
タバサのレビテーションによって調整されながら背に跨った...
シルフィードが降り立った場所、そこには色とりどりの花が...
「へー、こんな所が在ったんだ」
サイトは目を見張り、震える声で呟いている。
こちらの世界に呼び出されて既に2年が経とうとしていたが...
また地球に居た頃も、コンクリートジャングルで育った彼は...
喜びを隠そうともしないサイトを見て、タバサも表情には出...
(よかった、喜んでくれて)
それまでタバサは、積極的にアプローチする事を避けていた。
自分は彼に仕える騎士だから、と言うのが主な理由ではある...
それは、ルイズの存在である。
サイトが彼女を好きなのは、周知の事実である。そしてルイ...
ところが先日街で目にした彼は、桃髪の少女ではなく栗色の...
自分が躊躇している間に、他の女に取られてしまうかもしれ...
そう危惧した彼女は、この事をルイズに報せようかとも思っ...
もしルイズに報せたなら、また彼が酷い仕打ちを受ける事は...
ちなみに今タバサが着ている服も、その時に買ってきた物。...
ロマリアで教皇の陰謀により自分の気持ちに気付かされてし...
「タバサ、昨日俺を呼び出したのはこれの為?」
振り向いたサイトが、そう聞いてくる。
「……そう」
小さく頷きながら声に出して肯定すると、サイトは駆け寄っ...
「いやーありがとうタバサ、すっげー感動したよ」
と嬉しそうに微笑むのだった。
その彼の笑顔はタバサの乙女心を鷲掴みにする。
「俺、元の世界でもこんな景色見た事無いからさ、もう最高」
繋いだ手に更に力を込めて今にも『ひゃっほ〜』と叫んで飛...
握られた手から彼の温もりがダイレクトに伝わり、もしかし...
「……手、痛い」
かろうじて声に出来たのは、ただそれだけ。
「わ、わりぃ」
しどろもどろになりながら、タバサから手を放すサイト。
彼女のドキドキが伝わったのだろうか。
いや、そうでは無い。
やや俯きがちに声を絞り出す彼女の頬は薄く染まっており、...
「その辺でちょっと休もうか」
タバサの顔を直視出来ずに辺りをきょろきょろと見渡したサ...
勿論タバサに異論があろう筈も無く二人は並んで大木の下ま...
#br
終了行:
青春時代【12】 ツンデレ王子
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ノースリーブの黒いシャツにフリルが誂えられた赤いスカー...
これで何度目になるだろうか。自身の姿を見下ろして着崩れ...
(もう、遠慮はしない)
声に出さずに呟くと、彼女は円卓に置いた赤い鞄に手を通し...
トリステインでは取り扱いの無い革製品で、被せで中身が落...
これは彼女が自国で無理を行って作らせたもので、ハルケギ...
少女が鞄を背負い終わり立てかけていた杖に手を伸ばそうと...
「……入って」
彼女の声に応える様に扉が開くと、黒髪の少年は室内に入ろ...
「……」
「……」
この数秒の空白に不安を覚えた少女は、珍しく涙を目尻に湛...
「ぁん」
艶っぽい声をあげ、なすがままに彼の胸に顔を埋めてしまう...
「……サイト、苦しい」
「ご、ごめんタバサ」
彼女の訴えにより理性を取り戻したサイトは抱擁を解き、タ...
そして、部屋に訪れた時から感じていた疑問を口にする。
「どうしたんだ、その格好?それに、呼び出したりなんかして」
彼の抱擁に気を良くした彼女は、しかしながらその問いに答...
「乗って」
短く告げると、タバサは窓から身を躍らせたのだ。
慌てたサイトが駆け寄って見下ろすと、そこには己の使い魔...
「乗って、早く」
「ったく、しょうがねぇなぁ」
未だ理解が追いつかないものの、サイトは一言そう漏らすと...
タバサのレビテーションによって調整されながら背に跨った...
シルフィードが降り立った場所、そこには色とりどりの花が...
「へー、こんな所が在ったんだ」
サイトは目を見張り、震える声で呟いている。
こちらの世界に呼び出されて既に2年が経とうとしていたが...
また地球に居た頃も、コンクリートジャングルで育った彼は...
喜びを隠そうともしないサイトを見て、タバサも表情には出...
(よかった、喜んでくれて)
それまでタバサは、積極的にアプローチする事を避けていた。
自分は彼に仕える騎士だから、と言うのが主な理由ではある...
それは、ルイズの存在である。
サイトが彼女を好きなのは、周知の事実である。そしてルイ...
ところが先日街で目にした彼は、桃髪の少女ではなく栗色の...
自分が躊躇している間に、他の女に取られてしまうかもしれ...
そう危惧した彼女は、この事をルイズに報せようかとも思っ...
もしルイズに報せたなら、また彼が酷い仕打ちを受ける事は...
ちなみに今タバサが着ている服も、その時に買ってきた物。...
ロマリアで教皇の陰謀により自分の気持ちに気付かされてし...
「タバサ、昨日俺を呼び出したのはこれの為?」
振り向いたサイトが、そう聞いてくる。
「……そう」
小さく頷きながら声に出して肯定すると、サイトは駆け寄っ...
「いやーありがとうタバサ、すっげー感動したよ」
と嬉しそうに微笑むのだった。
その彼の笑顔はタバサの乙女心を鷲掴みにする。
「俺、元の世界でもこんな景色見た事無いからさ、もう最高」
繋いだ手に更に力を込めて今にも『ひゃっほ〜』と叫んで飛...
握られた手から彼の温もりがダイレクトに伝わり、もしかし...
「……手、痛い」
かろうじて声に出来たのは、ただそれだけ。
「わ、わりぃ」
しどろもどろになりながら、タバサから手を放すサイト。
彼女のドキドキが伝わったのだろうか。
いや、そうでは無い。
やや俯きがちに声を絞り出す彼女の頬は薄く染まっており、...
「その辺でちょっと休もうか」
タバサの顔を直視出来ずに辺りをきょろきょろと見渡したサ...
勿論タバサに異論があろう筈も無く二人は並んで大木の下ま...
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