ゼロの使い魔保管庫
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くじびきアンバランス! せんたいさん
#br
トリスタニアの王城に、この秋獲れたばかりの作物を満載した...
各地から王に献上する作物を運んできたのである。
そして王都の通りは、浮かれた人々や、それを当てにした屋台...
ただし、その屋台には一件も食べ物を扱う店はない。安っぽい...
これから、王城に納められた作物を調理して、城下に集まった...
もちろん、城下の人全てに行き渡るほどの作物が、平民からの...
足りない分は、貴族たちからの献上品で賄われる。
もちろん、トリステインの全ての貴族に、その上納の義務はあ...
収入の大小でその量は決まってくるのだが。
「いやまって何この額!」
その日、初めてその事を知った才人は仰け反った。
アニエスから受け取った上納金の額を見て、ひっくり返りそう...
才人の貴族年金ちょうど一か月分がその書簡に書いてあった。
「…王命であるぞ。っていうかお前今月の貴族年金はどうした」
アニエスは目の前で天を仰ぐ才人に、そう突っ込んだ。
ちなみに才人の現在の全財産は銀貨三枚。少し豪華なランチを...
今月分の貴族年金を受け取ってから、まだ一週間しか経ってい...
それは何故か。
「…い、いや今月ちょっと出費がかさんで」
まず、貴族年金を受け取りに王都に来た際、アンと一緒に流行...
そしてその後、王都で一泊。王宮でだと色々アレなので、二人...
その二日後、水精霊騎士団の任務で王立美術館の美術品搬入の...
その任務が終わった後、少し豪華なディナーを食べた。アンリ...
お陰で個室を借りなければならなかったし、給仕に払った口止...
もちろんその後王都で一泊。王宮近くの御用宿を使ったため、...
…アルェ?なんか無駄遣いの原因全部ヒメサマのような?
しかし、才人とて仮にもトリステインの騎士である。
民に奉仕するため、この上納は外せない。
「仕方ない。一応陛下にお伺いを立ててみるが。
それなりの対価を要求されるのを覚悟しておけ」
言ってアニエスは王宮へ入っていく。
そして暫く待たされた後、才人は執務室へ通されたのだった。
祭りは滞りなく進む。
街の喧騒を他所に、王城は各地からやってきた諸侯貴族たちで...
もちろん、その中には貴族の子女であるトリステイン魔法学院...
そして、当然の事ながら、才人に着いてきた例の四人も王宮に...
才人の馬に乗せてもらって、上機嫌で王都に着いたはいいが、...
ジェシカに祭りの準備の手伝いを要請され、先日から王都に居...
一応王族待遇で招待状が来たので、とりあえず顔だけは出して...
アンリエッタの従姉妹なのでもちろん招待状が届き、折角だか...
四人は別々の場所から、王宮の中央中庭に向かっていた。
そこは、大きな張り出したテラスがあり、そこから王が眼下の...
四人がそこへ向かっていたのは、そこで行事が執り行われるか...
…ひょっとすると、サイト(さん)がそこにいるかも。
全員が全く同じを事を考え、中央中庭に向かう。
そして。
「あ!」
「あら」
「…!?」
「え?」
全員が、広場で鉢合わせする。
…何こいつら?なんかすごく気合い入った格好じゃないの…!
シエスタは、いつものメイド服ではなく、胸元の大きく開いた...
胸元には紅い薔薇をあしらった刺繍が施されていて、彼女の見...
タバサは薄いブルーの、飾り気の少ないイブニングドレス。
ただし背中が大きく開いていて、後ろから見ると金刺繍で縁取...
ティファニアは明るいオレンジ色の、トリスタニアでは珍しい...
しかしシンプルなデザインながらも、スーツが丸くたわむほど...
もちろんルイズも、白を基調とした、桜色のレースを各所にあ...
しかしこのドレスは大して金をかけていない。彼女はあえて外...
…偶然にしちゃできすぎですねえ…。
才人を呼び出したのは勿論王室。
そしてその才人は祭りの会場にいない。
四人はほぼ同時に、ある可能性にぶち当たる。
…あの淫乱女王が、サイトを拉致した…。
ルイズとタバサが同時に、女王が姿を現すであろう中庭のバル...
シエスタはうーん、と唸りながら思案をしだす。どうやって他...
一方ティファニアはといえば。
…『私も一緒に』ってお願いしたらサイト、まぜてくれるかなあ...
既に3P前提であった。
そんな四人の思案を他所に、中庭にファンファーレが響く。
主賓の、女王の入場を告げる音である。
『女王陛下の、おなりー!』
会場のほぼ全員が、拍手で女王を出迎える。
ただ、虚無の担い手と雪風の魔法使いだけが、女王を射殺しそ...
そして。
その視線と、女王の視線がぶつかり合う。
壇上の女王は、四人の姿を確認すると、ふ、と頬を歪めて見せ...
何か企んでいる顔だ。
タバサは、すぐにピンときた。
あらかじめドレスに仕込んでおいた予備の杖を外から見えない...
女王の身体は、魔力の反応で光り輝いていた。
つまり今壇上にいる女王は、魔法のかかった何者かである可能...
「…どうしたのチビっこ」
タバサの眉が吊りあがった事に気付いたルイズが、タバサに尋...
タバサは怒りを押し殺し、言った。
「…あの女王はニセモノ。本物は…サイトと、どこかにいる…」
言って、ぎり、と奥歯を噛み締める。
ルイズははっとして、会場に集まった賓客に言葉を投げかける...
「…やってくれんじゃないの、わたあめのクセしてっ…!」
そして、こちらも同じくドレスの隙間に隠しておいた、いつで...
「狙い撃つわよ…!」
まるで銃のように杖を構え、充填された虚無を女王の眉間に合...
「やめたほうがいいですわよ、ルイズ」
しかしその腕を細い白い手が掴む。
そう言ってルイズの腕を掴んで下ろさせたのは。
「わたあめっ!?」
「…淫乱女王…?」
「あら腹黒女王様」
「女王陛下…?」
四人それぞれの呼び名に、軽く頬をひくつかせる、黒髪の女性...
アンリエッタの変装した街娘、『アン』だった。
しかしいつものパンツルックではなく、飾り気のない、質素な...
だがその質素さがかえって、肌理の細かい肌や流れる艶のある...
「…あれはスキルニルです。ここにいる私こそが本物ですよ」
笑顔でそう言ってのける『アン』。
その頬はかなりひくついていたが。
「…また何を企んでるのよ」
ルイズは何の遠慮会釈もなく、変装した女王にガンを飛ばす。
アンはそんなルイズの視線を軽く流すと、バルコニーの自分の...
「…まあ、少しお待ちなさい。すぐに分かります」
四人は、とりあえずそんな女王の言葉に従い、バルコニーのア...
四人それぞれの思惑を胸に。
…ことと次第によっちゃ遠慮なく吹っ飛ばすぞこのロイヤルビッ...
…私のサイトに何かしてたら細切れにする。
…三人でやりあってるうちにサイトさんと逃げようっと。
…サイト、五人まとめてとかできるかなあ?頑張ればできるんじ...
五人の醸し出す異様な空気に、周囲の賓客はもちろん一定の距...
そして、バルコニーの女王は賓客たちに宣言した。
『本日はお忙しい中、わざわざ収穫祭にご参加ありがとうござ...
貴族の皆様に納めていただいたお陰で、今年の収穫祭も無事...
そのお礼と言ってはなんですが、王室よりご来場の皆様に、...
トリステイン王家に上納された金額は、王都中の人々に行き渡...
しかしアンリエッタ女王は、その余りを国庫に入れることをよ...
余った分は、せめて上納の義務を果たした貴族たちに還元した...
だが、貴族の手土産になるほどのものを、この会場にいる者全...
『ですが、ここにお集まりいただいた方全員にお土産をお渡し...
そこで、ここにクジを用意しました』
言って壇上の女王は、大きな箱を取り出した。
その天上には、大きな丸い穴が。
『この中に、ここにいる皆様の分の、クジが入っています。
そこには、等級が書いてあり、中にははずれもありますが…』
そこまで言って、女王はぱちん、と指を鳴らす。
すると、中庭の一角に置いてあった、布を被せられ、山を象っ...
その下には、大小さまざまの箱が置かれていた。その側面には...
もちろん、等級の高いものほど、価値のあるものが入っている。
『このように、等級をつけてお土産を用意しました。
三等以上のものの中には、トリステイン王家由来の品もあり...
ちなみにもう使用は出来ませんが、四等はあの『破壊の杖』...
ちなみに廃棄処分にされそうになっていたものを、マザリーニ...
会場の賓客が騒ぎ出す。
モノによっては、ひと財産できそうなものも入っているようだ。
しかし、気になることが一つだけあった。
ティファニアが、首をかしげて素朴に言った。
「あのー?一等はなんなんでしょう…?」
その言葉に、にやり、と笑う『アン』。
そのアンを、バルコニーの女王が見つめて、そして。
『では、一等のお土産はこちらです』
がらがら、とバルコニーの上に、アニエスに牽かれて大きな台...
その上に乗っていたのは。
「あ!」
「え」
「…そういう、こと…?」
「え?あれ?お土産?」
「そう…。『お土産』はサイト様ですわ」
『一等は『トリステインの盾』を一週間貸し出します。
アルビオンの七万を止めた英雄です。庭の草むしりからドラ...
いやむしろそれはずれだろう、という賓客たちの心の突っ込み...
『本当は私もこのようなこと、したくはないのです。
でも、サイト様は上納金を納められなかった…ならば、この扱...
白い礼服に身を包んだ才人は、デルフリンガーを背負い、左手...
逃げださないよう首輪を嵌められ、つながれた鎖の先をアニエ...
「…いやまあいいけどさ。しょうがないけどさ。だからってこの...
「あきらめろサイト。女王陛下のご命令だ」
才人の呟きに、アニエスが冷静に突っ込みを入れる。
そして、女王の手から『レビテーション』の魔法によって、中...
『では、一人ひとつずつクジを引いていってくださいな。当っ...
女王の言葉に箱の前に並ぶ貴族たちを見て、ルイズは言った。
「ちょっと!他の誰かに当ったらどうすんのよ!」
「そうなったら、私とサイト様のご縁がそこまでだった、とい...
そいて、『アン』はシエスタに、一枚の書簡を手渡す。
「この書簡は王家の招待状です。これを持っていれば平民でも...
そして、『アン』は同じような書簡を手に、貴族たちの後に続...
もちろん、クジを引くために。
「対等な勝負です。
サイト様を、手に入れるための」
その言葉に、四人はアンリエッタに続く。
五人それぞれの思惑を胸に、才人を手に入れるため。
…一週間程度で私とサイトの絆に割り込んでこれるとは思えない...
…一週間程度で私とサイトの繋がりを越えられるとでも?片腹痛...
…一週間あったら、全力でサイトさんをメロメロにできますよね♪
…一週間…サイトが私のモノ…一週間も甘えられたら、わ、私死ん...
…一週間で…サイト様を、王の器にしてみせます。できなかった...
そして、当人の意思は完全に無視され。
運命の神の手に、才人の身体は委ねられたのである。
#br
【続き】
→[[35-198]]「ぼくらの7日間戦争〜一日目」
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終了行:
くじびきアンバランス! せんたいさん
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トリスタニアの王城に、この秋獲れたばかりの作物を満載した...
各地から王に献上する作物を運んできたのである。
そして王都の通りは、浮かれた人々や、それを当てにした屋台...
ただし、その屋台には一件も食べ物を扱う店はない。安っぽい...
これから、王城に納められた作物を調理して、城下に集まった...
もちろん、城下の人全てに行き渡るほどの作物が、平民からの...
足りない分は、貴族たちからの献上品で賄われる。
もちろん、トリステインの全ての貴族に、その上納の義務はあ...
収入の大小でその量は決まってくるのだが。
「いやまって何この額!」
その日、初めてその事を知った才人は仰け反った。
アニエスから受け取った上納金の額を見て、ひっくり返りそう...
才人の貴族年金ちょうど一か月分がその書簡に書いてあった。
「…王命であるぞ。っていうかお前今月の貴族年金はどうした」
アニエスは目の前で天を仰ぐ才人に、そう突っ込んだ。
ちなみに才人の現在の全財産は銀貨三枚。少し豪華なランチを...
今月分の貴族年金を受け取ってから、まだ一週間しか経ってい...
それは何故か。
「…い、いや今月ちょっと出費がかさんで」
まず、貴族年金を受け取りに王都に来た際、アンと一緒に流行...
そしてその後、王都で一泊。王宮でだと色々アレなので、二人...
その二日後、水精霊騎士団の任務で王立美術館の美術品搬入の...
その任務が終わった後、少し豪華なディナーを食べた。アンリ...
お陰で個室を借りなければならなかったし、給仕に払った口止...
もちろんその後王都で一泊。王宮近くの御用宿を使ったため、...
…アルェ?なんか無駄遣いの原因全部ヒメサマのような?
しかし、才人とて仮にもトリステインの騎士である。
民に奉仕するため、この上納は外せない。
「仕方ない。一応陛下にお伺いを立ててみるが。
それなりの対価を要求されるのを覚悟しておけ」
言ってアニエスは王宮へ入っていく。
そして暫く待たされた後、才人は執務室へ通されたのだった。
祭りは滞りなく進む。
街の喧騒を他所に、王城は各地からやってきた諸侯貴族たちで...
もちろん、その中には貴族の子女であるトリステイン魔法学院...
そして、当然の事ながら、才人に着いてきた例の四人も王宮に...
才人の馬に乗せてもらって、上機嫌で王都に着いたはいいが、...
ジェシカに祭りの準備の手伝いを要請され、先日から王都に居...
一応王族待遇で招待状が来たので、とりあえず顔だけは出して...
アンリエッタの従姉妹なのでもちろん招待状が届き、折角だか...
四人は別々の場所から、王宮の中央中庭に向かっていた。
そこは、大きな張り出したテラスがあり、そこから王が眼下の...
四人がそこへ向かっていたのは、そこで行事が執り行われるか...
…ひょっとすると、サイト(さん)がそこにいるかも。
全員が全く同じを事を考え、中央中庭に向かう。
そして。
「あ!」
「あら」
「…!?」
「え?」
全員が、広場で鉢合わせする。
…何こいつら?なんかすごく気合い入った格好じゃないの…!
シエスタは、いつものメイド服ではなく、胸元の大きく開いた...
胸元には紅い薔薇をあしらった刺繍が施されていて、彼女の見...
タバサは薄いブルーの、飾り気の少ないイブニングドレス。
ただし背中が大きく開いていて、後ろから見ると金刺繍で縁取...
ティファニアは明るいオレンジ色の、トリスタニアでは珍しい...
しかしシンプルなデザインながらも、スーツが丸くたわむほど...
もちろんルイズも、白を基調とした、桜色のレースを各所にあ...
しかしこのドレスは大して金をかけていない。彼女はあえて外...
…偶然にしちゃできすぎですねえ…。
才人を呼び出したのは勿論王室。
そしてその才人は祭りの会場にいない。
四人はほぼ同時に、ある可能性にぶち当たる。
…あの淫乱女王が、サイトを拉致した…。
ルイズとタバサが同時に、女王が姿を現すであろう中庭のバル...
シエスタはうーん、と唸りながら思案をしだす。どうやって他...
一方ティファニアはといえば。
…『私も一緒に』ってお願いしたらサイト、まぜてくれるかなあ...
既に3P前提であった。
そんな四人の思案を他所に、中庭にファンファーレが響く。
主賓の、女王の入場を告げる音である。
『女王陛下の、おなりー!』
会場のほぼ全員が、拍手で女王を出迎える。
ただ、虚無の担い手と雪風の魔法使いだけが、女王を射殺しそ...
そして。
その視線と、女王の視線がぶつかり合う。
壇上の女王は、四人の姿を確認すると、ふ、と頬を歪めて見せ...
何か企んでいる顔だ。
タバサは、すぐにピンときた。
あらかじめドレスに仕込んでおいた予備の杖を外から見えない...
女王の身体は、魔力の反応で光り輝いていた。
つまり今壇上にいる女王は、魔法のかかった何者かである可能...
「…どうしたのチビっこ」
タバサの眉が吊りあがった事に気付いたルイズが、タバサに尋...
タバサは怒りを押し殺し、言った。
「…あの女王はニセモノ。本物は…サイトと、どこかにいる…」
言って、ぎり、と奥歯を噛み締める。
ルイズははっとして、会場に集まった賓客に言葉を投げかける...
「…やってくれんじゃないの、わたあめのクセしてっ…!」
そして、こちらも同じくドレスの隙間に隠しておいた、いつで...
「狙い撃つわよ…!」
まるで銃のように杖を構え、充填された虚無を女王の眉間に合...
「やめたほうがいいですわよ、ルイズ」
しかしその腕を細い白い手が掴む。
そう言ってルイズの腕を掴んで下ろさせたのは。
「わたあめっ!?」
「…淫乱女王…?」
「あら腹黒女王様」
「女王陛下…?」
四人それぞれの呼び名に、軽く頬をひくつかせる、黒髪の女性...
アンリエッタの変装した街娘、『アン』だった。
しかしいつものパンツルックではなく、飾り気のない、質素な...
だがその質素さがかえって、肌理の細かい肌や流れる艶のある...
「…あれはスキルニルです。ここにいる私こそが本物ですよ」
笑顔でそう言ってのける『アン』。
その頬はかなりひくついていたが。
「…また何を企んでるのよ」
ルイズは何の遠慮会釈もなく、変装した女王にガンを飛ばす。
アンはそんなルイズの視線を軽く流すと、バルコニーの自分の...
「…まあ、少しお待ちなさい。すぐに分かります」
四人は、とりあえずそんな女王の言葉に従い、バルコニーのア...
四人それぞれの思惑を胸に。
…ことと次第によっちゃ遠慮なく吹っ飛ばすぞこのロイヤルビッ...
…私のサイトに何かしてたら細切れにする。
…三人でやりあってるうちにサイトさんと逃げようっと。
…サイト、五人まとめてとかできるかなあ?頑張ればできるんじ...
五人の醸し出す異様な空気に、周囲の賓客はもちろん一定の距...
そして、バルコニーの女王は賓客たちに宣言した。
『本日はお忙しい中、わざわざ収穫祭にご参加ありがとうござ...
貴族の皆様に納めていただいたお陰で、今年の収穫祭も無事...
そのお礼と言ってはなんですが、王室よりご来場の皆様に、...
トリステイン王家に上納された金額は、王都中の人々に行き渡...
しかしアンリエッタ女王は、その余りを国庫に入れることをよ...
余った分は、せめて上納の義務を果たした貴族たちに還元した...
だが、貴族の手土産になるほどのものを、この会場にいる者全...
『ですが、ここにお集まりいただいた方全員にお土産をお渡し...
そこで、ここにクジを用意しました』
言って壇上の女王は、大きな箱を取り出した。
その天上には、大きな丸い穴が。
『この中に、ここにいる皆様の分の、クジが入っています。
そこには、等級が書いてあり、中にははずれもありますが…』
そこまで言って、女王はぱちん、と指を鳴らす。
すると、中庭の一角に置いてあった、布を被せられ、山を象っ...
その下には、大小さまざまの箱が置かれていた。その側面には...
もちろん、等級の高いものほど、価値のあるものが入っている。
『このように、等級をつけてお土産を用意しました。
三等以上のものの中には、トリステイン王家由来の品もあり...
ちなみにもう使用は出来ませんが、四等はあの『破壊の杖』...
ちなみに廃棄処分にされそうになっていたものを、マザリーニ...
会場の賓客が騒ぎ出す。
モノによっては、ひと財産できそうなものも入っているようだ。
しかし、気になることが一つだけあった。
ティファニアが、首をかしげて素朴に言った。
「あのー?一等はなんなんでしょう…?」
その言葉に、にやり、と笑う『アン』。
そのアンを、バルコニーの女王が見つめて、そして。
『では、一等のお土産はこちらです』
がらがら、とバルコニーの上に、アニエスに牽かれて大きな台...
その上に乗っていたのは。
「あ!」
「え」
「…そういう、こと…?」
「え?あれ?お土産?」
「そう…。『お土産』はサイト様ですわ」
『一等は『トリステインの盾』を一週間貸し出します。
アルビオンの七万を止めた英雄です。庭の草むしりからドラ...
いやむしろそれはずれだろう、という賓客たちの心の突っ込み...
『本当は私もこのようなこと、したくはないのです。
でも、サイト様は上納金を納められなかった…ならば、この扱...
白い礼服に身を包んだ才人は、デルフリンガーを背負い、左手...
逃げださないよう首輪を嵌められ、つながれた鎖の先をアニエ...
「…いやまあいいけどさ。しょうがないけどさ。だからってこの...
「あきらめろサイト。女王陛下のご命令だ」
才人の呟きに、アニエスが冷静に突っ込みを入れる。
そして、女王の手から『レビテーション』の魔法によって、中...
『では、一人ひとつずつクジを引いていってくださいな。当っ...
女王の言葉に箱の前に並ぶ貴族たちを見て、ルイズは言った。
「ちょっと!他の誰かに当ったらどうすんのよ!」
「そうなったら、私とサイト様のご縁がそこまでだった、とい...
そいて、『アン』はシエスタに、一枚の書簡を手渡す。
「この書簡は王家の招待状です。これを持っていれば平民でも...
そして、『アン』は同じような書簡を手に、貴族たちの後に続...
もちろん、クジを引くために。
「対等な勝負です。
サイト様を、手に入れるための」
その言葉に、四人はアンリエッタに続く。
五人それぞれの思惑を胸に、才人を手に入れるため。
…一週間程度で私とサイトの絆に割り込んでこれるとは思えない...
…一週間程度で私とサイトの繋がりを越えられるとでも?片腹痛...
…一週間あったら、全力でサイトさんをメロメロにできますよね♪
…一週間…サイトが私のモノ…一週間も甘えられたら、わ、私死ん...
…一週間で…サイト様を、王の器にしてみせます。できなかった...
そして、当人の意思は完全に無視され。
運命の神の手に、才人の身体は委ねられたのである。
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→[[35-198]]「ぼくらの7日間戦争〜一日目」
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