ゼロの使い魔保管庫
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いかにトリステインが対外的に和平を保っている国だとは言え...
もちろんその地図は事あるごとに勢力図が塗り変えられ、その...
今は、ガリア、ロマリア、ゲルマニア、そしてトリステインの...
もちろん、各国の王はこの地図を全て自分の国の色に染め上げ...
そして、このトリステイン王室の主もまた、この地図を一色に...
白百合の女王、アンリエッタ。
いかに戦を好まないとは言え彼女とて王のはしくれ。
己が国の版図を広げることを考えない日などない。
そして、その想いはある日を境に、より強いものとなる。
『王となっていただきます』
彼女の吐いたその言葉は、嘘ではない。
女王の番としての王。
それに相応しい地位、名声、実績を、彼には与えたつもりだ。
そして、王となるならば。
彼には、この世界そのものを統べてもらう。
自分の夫なのだから、という意味ではない。
彼女の理想、争いのない世界を築くためにも、平民から出た王...
そして、その過程で生じるであろう軋轢も、彼ならば埋めてく...
もし女王の思惑通りにことが運べば、ガリアはトリステインと...
そして最大の懸念である宗教国家ロマリアも、聖地を奪還すれ...
その聖地を守るエルフとの衝突ですら、彼女は回避する自信が...
いや、彼女が回避するのではない。彼の持っているものが、す...
「本当…どこまで王の器なのかしら」
月明かりの下、アンリエッタは羊皮紙に認めた計画書を眺める。
その冒頭には、彼女の想い人の名が。
「まずは、トリステインがあなたのものになります。
覚悟してくださいまし、サイト様…」
そう言って、冒頭に書かれた『ヒラガ・サイト』の名に、女王...
それはある晴れた日の事だった。
春を告げる花たちが咲き乱れ、小鳥がさえずるトリステイン王...
そこに、女王アンリエッタからの直接の償還を受けた二人の少...
一人はガリア皇女にしてガリア北花壇騎士七号、『雪風のタバ...
もう一人は、エルフの母とトリステイン貴族の間に生まれた半...
彼女らは今朝方、学院に乗り付けられた馬車で、王宮まで連れ...
その馬車は王室御用達の真っ白な馬車で、本来国賓クラスの重...
通るだけで平民は平伏し、貴族は身を正す。そんな馬車に、彼...
当然学院ではちょっとした騒ぎになったが、タバサが機転をき...
道中も、シルフィードに魔法を展開させたおかげで、余計な騒...
もちろん、タバサはどうして自分が王宮に呼ばれたか分かって...
ガリアとトリステインの両方の王ならば、二つの国の女王を娶...
かつて、女王アンリエッタは自分にそう言った。
そして、今日のこの呼び出し。
アンリエッタがついに動き出したのだと、彼女は確信していた。
しかし、一つ疑問がある。
「でも、すっごいふかふかでしたねあの馬車の座席。
学院のベッドより柔らかいんじゃないかしら?」
隣で無邪気にはしゃぐ、この半エルフの娘。
なぜ、彼女まで王宮に?タバサの疑問はそこだった。
彼女は半エルフというだけで、特にどこの貴族と関わりがある...
そして、その疑問符が、タバサにある可能性を閃かせる。
…まさか、あの女王…。
タバサが逡巡していると、そこへ、彼女たちを呼びに、近衛の...
そして、二人は執務室へ通される。
「人払いをお願いします。アニエス。マザリーニ卿」
二人の側近に人払いの命を下し、執務室はアンリエッタとタバ...
念のため、アンリエッタは執務室の壁に沿って「サイレンス」...
これで、部屋の周囲に音が漏れることもない。
それが終わると、女王は、二人の掛けるソファの対面に腰掛け...
「さてと。お二人をお呼びしたのは他でもありません」
そして、手にした巻いた世界地図を、二人の掛けるソファの前...
それを見た瞬間、タバサの疑念が確信に変わる。
タバサの視線の変化に気づいたアンリエッタは、視線を送るタ...
そう、あなたの思っている通りですわ。
そして、続ける。
「あなたたち二人に、たってのお願いがあるのです」
さらに続けようとしたアンリエッタを、タバサの言葉が止めた。
「…世界を手に入れるための手助けなら、するつもりはない」
タバサは、アンリエッタが自分とティファニアを使い、ガリア...
しかし。
アンリエッタはそれを聞くと、軽く首を振った。
「違いますわ。私は世界を手に入れる気など毛頭ありませぬ」
そして、二人の前に広げられた地図の中央に、ある青年の肖像...
その肖像に映された黒髪の青年の名は。
平賀才人。
この部屋にいる三人の姫が、想いを寄せるただ一人の男性。
そしてアンリエッタは、続けた。
「まあ、半分は当たっていますけども。
サイト様を、この世界の王にする手助けを、お願いしたいの...
その計画はきわめて単純だった。
まずタバサがガリアに戻り、王座を奪還する。そして、トリス...
そしてもう一つ。ティファニアの虚無と血筋でエルフに取り入...
しかしこの計画には大きな問題点がある。
タバサのガリア王座奪還はともかく、ティファニアのエルフの...
タバサはもちろんそれを指摘する。
「もちろん、かなり無理のある計画なのは承知の上。
しかし、ティファニア。あなたには『虚無』の力がある。エ...
それを種に、エルフの国の頭領となれ、というのだ。
ティファニアももちろん、逡巡する。
「で、でも、私そんな政治とか詳しくないし…」
「大丈夫!あなたサイト様のペットでしょ?ご主人様の喜ぶ事だ...
出たアンリエッタの雌奴隷理論。
そもそもアンリエッタのこの計画にしたって、『女王じゃなく...
そして。
考え込むティファニアを、タバサの言葉が後押しした。
「…大丈夫。いざとなったら私も協力する」
「はいガリアの協力も取り付けましたー。さ、これであなたも」
二人の姫の言葉に、しかし、ティファニアは、最大の疑問を持...
「…でも、そんなのサイト喜ぶかなあ…?」
ティファニアの疑問も当然といえた。
才人がこの世界の覇権など望むのだろうか?それは本当に彼の...
ティファニアのあまりに素朴な疑問に、しかし二人の姫は。
「世界の王となるのが目的ではありません。世界を統一するこ...
「…ガリア、ゲルマニアも協力できる。あとはエルフが聖地を解...
なんというトンデモ理論。
しかし二人ともそれで世界から戦争がなくなるなどとは思って...
世界の統一されたその状態でも、各地の紛争や対立は避けられ...
しかし、国家どうしが戦うよりはずっと被害が小さいはずだ。
「あなたが頑張ってくれれば、サイト様のためにもなるのです」
「…王とならなくとも、外交官としてトリステインと国交を持つ...
ずずい、と迫り来る妙な迫力の二人に、ついにティファニアは。
「…やってみようかな…」
承諾をしてしまう。
その言葉に、うれしそうに微笑むアンリエッタ。
そして、アンリエッタはす、と才人の肖像の上に手を差し出す。
「では、今日この日より、私アンリエッタはサイト様に世界を...
アンリエッタの宣誓に、タバサもその手の上に掌を重ね、誓う。
「シャルロット・エレーヌ・オルレアンは、我が主サイト・シ...
ティファニアも慌ててそれに倣い、掌を重ねる。
「え、えっと、なんとかエルフの王様になって、またサイトの...
こうして、三人の姫による、『サイト世界の王様化計画』が動...
「ちょっと待ってなんですかそのうらやまし…じゃなくて常識は...
「何考えてるの」
「え?え?え?何ってナニ?ペットだめ?」
すっかり常識というものの欠落していたティファニアであった...
終了行:
いかにトリステインが対外的に和平を保っている国だとは言え...
もちろんその地図は事あるごとに勢力図が塗り変えられ、その...
今は、ガリア、ロマリア、ゲルマニア、そしてトリステインの...
もちろん、各国の王はこの地図を全て自分の国の色に染め上げ...
そして、このトリステイン王室の主もまた、この地図を一色に...
白百合の女王、アンリエッタ。
いかに戦を好まないとは言え彼女とて王のはしくれ。
己が国の版図を広げることを考えない日などない。
そして、その想いはある日を境に、より強いものとなる。
『王となっていただきます』
彼女の吐いたその言葉は、嘘ではない。
女王の番としての王。
それに相応しい地位、名声、実績を、彼には与えたつもりだ。
そして、王となるならば。
彼には、この世界そのものを統べてもらう。
自分の夫なのだから、という意味ではない。
彼女の理想、争いのない世界を築くためにも、平民から出た王...
そして、その過程で生じるであろう軋轢も、彼ならば埋めてく...
もし女王の思惑通りにことが運べば、ガリアはトリステインと...
そして最大の懸念である宗教国家ロマリアも、聖地を奪還すれ...
その聖地を守るエルフとの衝突ですら、彼女は回避する自信が...
いや、彼女が回避するのではない。彼の持っているものが、す...
「本当…どこまで王の器なのかしら」
月明かりの下、アンリエッタは羊皮紙に認めた計画書を眺める。
その冒頭には、彼女の想い人の名が。
「まずは、トリステインがあなたのものになります。
覚悟してくださいまし、サイト様…」
そう言って、冒頭に書かれた『ヒラガ・サイト』の名に、女王...
それはある晴れた日の事だった。
春を告げる花たちが咲き乱れ、小鳥がさえずるトリステイン王...
そこに、女王アンリエッタからの直接の償還を受けた二人の少...
一人はガリア皇女にしてガリア北花壇騎士七号、『雪風のタバ...
もう一人は、エルフの母とトリステイン貴族の間に生まれた半...
彼女らは今朝方、学院に乗り付けられた馬車で、王宮まで連れ...
その馬車は王室御用達の真っ白な馬車で、本来国賓クラスの重...
通るだけで平民は平伏し、貴族は身を正す。そんな馬車に、彼...
当然学院ではちょっとした騒ぎになったが、タバサが機転をき...
道中も、シルフィードに魔法を展開させたおかげで、余計な騒...
もちろん、タバサはどうして自分が王宮に呼ばれたか分かって...
ガリアとトリステインの両方の王ならば、二つの国の女王を娶...
かつて、女王アンリエッタは自分にそう言った。
そして、今日のこの呼び出し。
アンリエッタがついに動き出したのだと、彼女は確信していた。
しかし、一つ疑問がある。
「でも、すっごいふかふかでしたねあの馬車の座席。
学院のベッドより柔らかいんじゃないかしら?」
隣で無邪気にはしゃぐ、この半エルフの娘。
なぜ、彼女まで王宮に?タバサの疑問はそこだった。
彼女は半エルフというだけで、特にどこの貴族と関わりがある...
そして、その疑問符が、タバサにある可能性を閃かせる。
…まさか、あの女王…。
タバサが逡巡していると、そこへ、彼女たちを呼びに、近衛の...
そして、二人は執務室へ通される。
「人払いをお願いします。アニエス。マザリーニ卿」
二人の側近に人払いの命を下し、執務室はアンリエッタとタバ...
念のため、アンリエッタは執務室の壁に沿って「サイレンス」...
これで、部屋の周囲に音が漏れることもない。
それが終わると、女王は、二人の掛けるソファの対面に腰掛け...
「さてと。お二人をお呼びしたのは他でもありません」
そして、手にした巻いた世界地図を、二人の掛けるソファの前...
それを見た瞬間、タバサの疑念が確信に変わる。
タバサの視線の変化に気づいたアンリエッタは、視線を送るタ...
そう、あなたの思っている通りですわ。
そして、続ける。
「あなたたち二人に、たってのお願いがあるのです」
さらに続けようとしたアンリエッタを、タバサの言葉が止めた。
「…世界を手に入れるための手助けなら、するつもりはない」
タバサは、アンリエッタが自分とティファニアを使い、ガリア...
しかし。
アンリエッタはそれを聞くと、軽く首を振った。
「違いますわ。私は世界を手に入れる気など毛頭ありませぬ」
そして、二人の前に広げられた地図の中央に、ある青年の肖像...
その肖像に映された黒髪の青年の名は。
平賀才人。
この部屋にいる三人の姫が、想いを寄せるただ一人の男性。
そしてアンリエッタは、続けた。
「まあ、半分は当たっていますけども。
サイト様を、この世界の王にする手助けを、お願いしたいの...
その計画はきわめて単純だった。
まずタバサがガリアに戻り、王座を奪還する。そして、トリス...
そしてもう一つ。ティファニアの虚無と血筋でエルフに取り入...
しかしこの計画には大きな問題点がある。
タバサのガリア王座奪還はともかく、ティファニアのエルフの...
タバサはもちろんそれを指摘する。
「もちろん、かなり無理のある計画なのは承知の上。
しかし、ティファニア。あなたには『虚無』の力がある。エ...
それを種に、エルフの国の頭領となれ、というのだ。
ティファニアももちろん、逡巡する。
「で、でも、私そんな政治とか詳しくないし…」
「大丈夫!あなたサイト様のペットでしょ?ご主人様の喜ぶ事だ...
出たアンリエッタの雌奴隷理論。
そもそもアンリエッタのこの計画にしたって、『女王じゃなく...
そして。
考え込むティファニアを、タバサの言葉が後押しした。
「…大丈夫。いざとなったら私も協力する」
「はいガリアの協力も取り付けましたー。さ、これであなたも」
二人の姫の言葉に、しかし、ティファニアは、最大の疑問を持...
「…でも、そんなのサイト喜ぶかなあ…?」
ティファニアの疑問も当然といえた。
才人がこの世界の覇権など望むのだろうか?それは本当に彼の...
ティファニアのあまりに素朴な疑問に、しかし二人の姫は。
「世界の王となるのが目的ではありません。世界を統一するこ...
「…ガリア、ゲルマニアも協力できる。あとはエルフが聖地を解...
なんというトンデモ理論。
しかし二人ともそれで世界から戦争がなくなるなどとは思って...
世界の統一されたその状態でも、各地の紛争や対立は避けられ...
しかし、国家どうしが戦うよりはずっと被害が小さいはずだ。
「あなたが頑張ってくれれば、サイト様のためにもなるのです」
「…王とならなくとも、外交官としてトリステインと国交を持つ...
ずずい、と迫り来る妙な迫力の二人に、ついにティファニアは。
「…やってみようかな…」
承諾をしてしまう。
その言葉に、うれしそうに微笑むアンリエッタ。
そして、アンリエッタはす、と才人の肖像の上に手を差し出す。
「では、今日この日より、私アンリエッタはサイト様に世界を...
アンリエッタの宣誓に、タバサもその手の上に掌を重ね、誓う。
「シャルロット・エレーヌ・オルレアンは、我が主サイト・シ...
ティファニアも慌ててそれに倣い、掌を重ねる。
「え、えっと、なんとかエルフの王様になって、またサイトの...
こうして、三人の姫による、『サイト世界の王様化計画』が動...
「ちょっと待ってなんですかそのうらやまし…じゃなくて常識は...
「何考えてるの」
「え?え?え?何ってナニ?ペットだめ?」
すっかり常識というものの欠落していたティファニアであった...
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