ゼロの使い魔保管庫
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アンリエッタと才人の婚約発表は、内密のうちに行われた。
近しい家臣のみの集まった席で、女王自らが、告げたのである。
『くれぐれも内密に』と宣言し、国民への発表はもう少し情勢...
もちろんその情報は、漏れることになる。
女王アンリエッタは、それを承知の上で、婚約を発表したのだ。
この内密の婚約を外部に漏らすことによって、益を得るもの。
いよいよ現実となった『平民出の王』誕生を阻止する事を企む...
その人物こそが、獅子身中の虫であった。
そして、情報漏洩のルートは瞬く間に暴かれ、芋づる式に『反...
こうして、トリステイン王国の内憂は取り除かれたのである。
そしてその情報は、ルイズの耳にも届くこととなる。
「…これは、直接当人たちに問いただす必要がありそうね…!」
その当人たちの片割れ、ルイズの使い魔は今、王都で公務の真...
英雄を擁する水精霊騎士団は、最近あっちこっちで引っ張りだ...
今日は、王立の孤児院にて、イーヴァルディの物語を演じるこ...
ちなみに題目は『超変身!仮面の騎士イーヴァルディ』という...
そういう経緯もあって、今学院に才人はいなかった。
なのでルイズは馬車を仕立て、即座に学院を発つ。
シエスタも、せっかくですから〜、と何やら黒い笑みを浮かべ...
なんのかんの言ってもシエスタだって女の子である。チャンス...
そして、二人を乗せた小さな馬車は、一路王都を目指す。
その馬車と入れ違いに、学院の上空から青い風韻竜が降りてく...
タバサに言われ、王都に才人を迎えにいっていたシルフィード...
どうして、公務の最中の才人がシルフィードに着いてきたのか...
女子寮の前に着地したシルフィードから、慌てた表情の才人が...
即座にシルフィードも人の姿に形を変え、才人に併走する。
「急ぐのね!お姉さまいつ発つか分からないって言ってたし!」
「わかってるよ!」
孤児院で悪の蜘蛛怪人をやっていた才人は、慌てた様子のシル...
『お姉さまがガリアに帰っちゃうって!』
理由を尋ねたがシルフィードは知らないのね、の一点張り、い...
才人は代役をレイナールにまかせ、シルフィードに跨り慌てて...
もちろん、あの小さな姫君に帰国の理由を尋ね、できれば別れ...
上りなれた階段を上り、いつもはノックして入る部屋のドアを...
「シャルロット!」
慌てて飛び込んだそこには。
いつかどこかで見た魔法陣の中央に、ちょこんと立つ、大きな...
雪風のタバサこと、シャルロット・エレーヌ・オルレアン。
彼女が、待っていた。
タバサは驚いた風もなく、こくん、と頷いた。
それは、才人の言葉に対してではなく。
扉の前で、ニヤニヤ笑顔を浮かべる、自分の使い魔に対して。
そして、主人のサインを汲んだ使い魔は、遠慮なくそのドアを...
「それじゃ〜お二人さん、ごゆっくり〜、なのね」
捨て台詞を残し、シルフィードはドアを閉じた上に、先住魔法...
これで、彼女の意思抜きではこのドアは外からも内からも開か...
「…シャルロット…?」
さすがにいぶかしんで、才人は疑問を露にする。
しかしタバサはいつも通りのポーカーフェイスで、才人に杖を...
「迂闊」
「い、いきなりそれはねーだろ!心配して帰ってきたってのに...
いきなりの言いがかりに軽く憤る才人。
そんな才人の反応は予測済みなタバサであった。
杖を軽く抱え込み、右手の指を立てながら、才人の迂闊な部分...
「ひとつ。ガリアに今すぐ発つつもりならシルフィードを使う。
ひとつ。サイトを呼びにいかせるのに詳細を告げないわけが...
ひとつ。あの子の演技に騙されるのもどうかしている」
全部で三つ。指を立ててタバサは才人に突きつける。
そして当然ながら、才人は思う。
「…じゃあ、ガリアに帰るってのは俺を呼び出すための嘘ってわ...
そう思うのも無理からぬことであろう。
しかし、それに対する返答は、才人の予想とは違っていた。
「…違う。それは本当」
「え」
才人は目を丸くする。
そんな話はついぞ聞いていなかった。
タバサ本人からも、当然噂や、ガリアとの政治情勢からも予想...
タバサは淡々と続けた。
「私はガリアに帰る。今度いつトリステインに戻ってこれるか...
そして、休学届けも学院長に提出した、とタバサは言った。
「ど、どうして?」
才人の疑問に、タバサは応える。
「ガリアを取り戻す。無能王から、取り返す」
タバサの真剣な言葉に、才人はそういえばこの娘ガリアのお姫...
そして当然、才人はこう言い出すわけで。
「な、なら俺も手伝うよ!」
しかし、タバサはふるふると首を振る。
「必要ない。力で取り戻すわけじゃないから」
そして、自分はできるだけ穏便に、正式な形で王冠を叔父から...
もちろん、狂気の無能王に正攻法が通じるとは欠片も思っては...
だが、タバサには秘策があった。
才人と過ごした日々が、彼女にその秘策を授けていたのである。
そして才人は、タバサの言い分から、王族に戻って正式に王権...
「…だったら、いいや。頑張れよシャルロット」
「…ありがとう」
才人の激励の言葉に、満面の笑みで答えるタバサ。
才人と出会う前には、けして見せなかった柔らかい表情。
しかしまてよ、と才人はもう一つの、根本的な疑問を思い出す。
「…だったら、どうしてこーいう状況にする必要があるわけだ?」
当然の疑問である。
わざわざ才人を閉じ込めてまで、するような話ではない。
そして才人は自分の放った疑問に、自分で答えを見つけてしま...
だが、その言葉を口にする前に、タバサがつ、と才人に寄って...
「…あのー。シャルロットさん?」
タバサは眼鏡の下から上目遣いに、才人を見上げている。
その頬は軽く朱に染まり、目が潤んでいる。
見慣れた表情。俗に言う『タバサおねだりモード』である。
「…帰る前に、思い出がほしい」
まあ思い出っつったらアレでソレでコレなナニなわけで。
しゃーないかあ、だったら一丁気張りますかね、と半分臨戦体...
「…大きくなった私と、今の私。どっちが好き?」
才人は思い出した。
この足元の魔方陣。いつぞや、タバサが大人の、といっても数...
逡巡する才人に、タバサは期待いっぱいの熱い視線で、才人に...
「ねえ、どっちがすき?」
眼鏡越しの潤んだ瞳に、才人が答えたのは。
ルート分岐投票所 :http://zerokan.g.ribbon.to/vote/index.p...
終了行:
アンリエッタと才人の婚約発表は、内密のうちに行われた。
近しい家臣のみの集まった席で、女王自らが、告げたのである。
『くれぐれも内密に』と宣言し、国民への発表はもう少し情勢...
もちろんその情報は、漏れることになる。
女王アンリエッタは、それを承知の上で、婚約を発表したのだ。
この内密の婚約を外部に漏らすことによって、益を得るもの。
いよいよ現実となった『平民出の王』誕生を阻止する事を企む...
その人物こそが、獅子身中の虫であった。
そして、情報漏洩のルートは瞬く間に暴かれ、芋づる式に『反...
こうして、トリステイン王国の内憂は取り除かれたのである。
そしてその情報は、ルイズの耳にも届くこととなる。
「…これは、直接当人たちに問いただす必要がありそうね…!」
その当人たちの片割れ、ルイズの使い魔は今、王都で公務の真...
英雄を擁する水精霊騎士団は、最近あっちこっちで引っ張りだ...
今日は、王立の孤児院にて、イーヴァルディの物語を演じるこ...
ちなみに題目は『超変身!仮面の騎士イーヴァルディ』という...
そういう経緯もあって、今学院に才人はいなかった。
なのでルイズは馬車を仕立て、即座に学院を発つ。
シエスタも、せっかくですから〜、と何やら黒い笑みを浮かべ...
なんのかんの言ってもシエスタだって女の子である。チャンス...
そして、二人を乗せた小さな馬車は、一路王都を目指す。
その馬車と入れ違いに、学院の上空から青い風韻竜が降りてく...
タバサに言われ、王都に才人を迎えにいっていたシルフィード...
どうして、公務の最中の才人がシルフィードに着いてきたのか...
女子寮の前に着地したシルフィードから、慌てた表情の才人が...
即座にシルフィードも人の姿に形を変え、才人に併走する。
「急ぐのね!お姉さまいつ発つか分からないって言ってたし!」
「わかってるよ!」
孤児院で悪の蜘蛛怪人をやっていた才人は、慌てた様子のシル...
『お姉さまがガリアに帰っちゃうって!』
理由を尋ねたがシルフィードは知らないのね、の一点張り、い...
才人は代役をレイナールにまかせ、シルフィードに跨り慌てて...
もちろん、あの小さな姫君に帰国の理由を尋ね、できれば別れ...
上りなれた階段を上り、いつもはノックして入る部屋のドアを...
「シャルロット!」
慌てて飛び込んだそこには。
いつかどこかで見た魔法陣の中央に、ちょこんと立つ、大きな...
雪風のタバサこと、シャルロット・エレーヌ・オルレアン。
彼女が、待っていた。
タバサは驚いた風もなく、こくん、と頷いた。
それは、才人の言葉に対してではなく。
扉の前で、ニヤニヤ笑顔を浮かべる、自分の使い魔に対して。
そして、主人のサインを汲んだ使い魔は、遠慮なくそのドアを...
「それじゃ〜お二人さん、ごゆっくり〜、なのね」
捨て台詞を残し、シルフィードはドアを閉じた上に、先住魔法...
これで、彼女の意思抜きではこのドアは外からも内からも開か...
「…シャルロット…?」
さすがにいぶかしんで、才人は疑問を露にする。
しかしタバサはいつも通りのポーカーフェイスで、才人に杖を...
「迂闊」
「い、いきなりそれはねーだろ!心配して帰ってきたってのに...
いきなりの言いがかりに軽く憤る才人。
そんな才人の反応は予測済みなタバサであった。
杖を軽く抱え込み、右手の指を立てながら、才人の迂闊な部分...
「ひとつ。ガリアに今すぐ発つつもりならシルフィードを使う。
ひとつ。サイトを呼びにいかせるのに詳細を告げないわけが...
ひとつ。あの子の演技に騙されるのもどうかしている」
全部で三つ。指を立ててタバサは才人に突きつける。
そして当然ながら、才人は思う。
「…じゃあ、ガリアに帰るってのは俺を呼び出すための嘘ってわ...
そう思うのも無理からぬことであろう。
しかし、それに対する返答は、才人の予想とは違っていた。
「…違う。それは本当」
「え」
才人は目を丸くする。
そんな話はついぞ聞いていなかった。
タバサ本人からも、当然噂や、ガリアとの政治情勢からも予想...
タバサは淡々と続けた。
「私はガリアに帰る。今度いつトリステインに戻ってこれるか...
そして、休学届けも学院長に提出した、とタバサは言った。
「ど、どうして?」
才人の疑問に、タバサは応える。
「ガリアを取り戻す。無能王から、取り返す」
タバサの真剣な言葉に、才人はそういえばこの娘ガリアのお姫...
そして当然、才人はこう言い出すわけで。
「な、なら俺も手伝うよ!」
しかし、タバサはふるふると首を振る。
「必要ない。力で取り戻すわけじゃないから」
そして、自分はできるだけ穏便に、正式な形で王冠を叔父から...
もちろん、狂気の無能王に正攻法が通じるとは欠片も思っては...
だが、タバサには秘策があった。
才人と過ごした日々が、彼女にその秘策を授けていたのである。
そして才人は、タバサの言い分から、王族に戻って正式に王権...
「…だったら、いいや。頑張れよシャルロット」
「…ありがとう」
才人の激励の言葉に、満面の笑みで答えるタバサ。
才人と出会う前には、けして見せなかった柔らかい表情。
しかしまてよ、と才人はもう一つの、根本的な疑問を思い出す。
「…だったら、どうしてこーいう状況にする必要があるわけだ?」
当然の疑問である。
わざわざ才人を閉じ込めてまで、するような話ではない。
そして才人は自分の放った疑問に、自分で答えを見つけてしま...
だが、その言葉を口にする前に、タバサがつ、と才人に寄って...
「…あのー。シャルロットさん?」
タバサは眼鏡の下から上目遣いに、才人を見上げている。
その頬は軽く朱に染まり、目が潤んでいる。
見慣れた表情。俗に言う『タバサおねだりモード』である。
「…帰る前に、思い出がほしい」
まあ思い出っつったらアレでソレでコレなナニなわけで。
しゃーないかあ、だったら一丁気張りますかね、と半分臨戦体...
「…大きくなった私と、今の私。どっちが好き?」
才人は思い出した。
この足元の魔方陣。いつぞや、タバサが大人の、といっても数...
逡巡する才人に、タバサは期待いっぱいの熱い視線で、才人に...
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眼鏡越しの潤んだ瞳に、才人が答えたのは。
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