ゼロの使い魔保管庫
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ルイズとシエスタに最後に逢ったのはもう一ヶ月も前のこと。
水精霊騎士団の孤児院慰問に駆り出された日。
『行ってらっしゃい。言っとくけど姫さまにだけは近寄らない...
私も用事済んだら王都行くから!』
『あとでちゃんと下着からチェックしますから。下着洗ってあ...
きっつい釘を刺され、才人は王都へ向かう。
その後紆余曲折あって、才人は主人と逢わないまま半月ほどの...
そして。
その主人のいない女子寮の部屋で、いきなりやってきたトリス...
『サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ。あなたを、私の夫とし...
目が点になる才人に、これまでの功績、そして今現在の才人の...
アンリエッタは、混乱の極みの才人の耳元に、決定的な一言を...
『それと…私のお腹には、あなたのやや子がおります』
どうやらその事は王家周囲の人間には周知の事実らしく、その...
『まさかとは思うが、トリステイン女王に父なし子を産めとは...
いやあよかったなサイト!これでお前、一国一城の主だぞ!』
はっはっは、と笑いながらアニエスは才人の肩を叩いた。
その言葉の裏には『もう女王と才人の密会の手助けをせずに済...
周囲の人間も、うら若き英雄と女王の成婚に、喜びこそすれ反...
むろん、反対派はとうの昔に粛清済みである。
そして。
才人の目は点になったまま、ほぼ拉致同然に馬車に詰込まれ、...
こうして才人はアンリエッタとの成婚の儀までの間、王城の一...
それが、一ヶ月前の出来事。
それ以来、才人は王城の一室に軟禁され、王族としての心得や...
マザリーニやアンリエッタの指導は丁寧で、ルイズの鬼のよう...
その間、懸念されていたルイズによる王城襲撃は一度たりとて...
アンリエッタ曰く、『きっとルイズも草葉の陰で祝福してくれ...
ルイズがそんなタマではないことを、才人は百も承知している。
いつ王都が虚無の光に包み込まれるのかガクブルしながら、安...
結局、成婚の儀のその日まで、虚無とメイドのコンビは現れる...
そして今日。
王宮にて、英雄・サイトと女王アンリエッタの、成婚の儀が始...
式典は、あえて国民や外部に公表せず、内々に執り行われるこ...
式を終え、才人が『トリステイン』を背負ってから、大々的に...
従って、成婚の儀は、王宮内の小さな礼拝所で行われることに...
才人はそんな儀式なんてあんまり意味ないんじゃないかなあ、...
元平民とはいえ、王になるのである。それなりの儀式は必要不...
儀式は朝から始まり、夕方に終わる予定だった。
才人は指示された時間に、盛装に着替えて礼拝所へ向かう。
真っ白なタキシードに、背には愛剣デルフリンガーと、服に同...
これを背負うことを許されているのは、ハルケギニア広しとい...
そう、もう才人はシュヴァリエではない。
彼の姓、『平賀』は、アンリエッタによって王家に並ぶ貴族、...
いかなる貴族とも平民とも違う、ただ一人の『英雄』。トリス...
「なあなあ相棒。思い直すなら今だぜ?
こんな風に担ぎ上げられて、王家の種馬にされるなんて相棒...
その背中で、伝説を見守ってきた剣はカチャカチャと才人に何...
そして才人は、決まった同じ台詞を返す。
「種馬になるわけじゃないよ。
それに、これは俺の責任なんだ。俺が責任とんなきゃ、姫さ...
ぽりぽりと頭を掻いて、いいわけじみた台詞を返す。
「…虚無の嬢ちゃんが泣くのはいいのかよ」
「…ルイズの話はすんな。来なかったアイツが悪い」
才人は、実はルイズを待っていたのだ。
ほとんど策謀同然に結婚話を進められ、今や逃げ場のなくなっ...
それが、彼の主人たるルイズであった。その傍若無人さで、全...
しかし彼女は結局最後まで現れなかった。
そして才人は、諦めてしまう。
いや、正しくは諦めたのではない。
「それに、王様になったあと探して、側室として王家に来ても...
「…すっかり考え方が貴族サマになっちまったな相棒」
才人が考えた方法がそれだった。
デルフリンガーの指摘ももっともだったが、今この状況で、ア...
「ま、考えたってしょうがねえ。あとでルイズには謝るさ」
「へえへえ。蹴りの一発で済めば御の字さね」
そして一人の英雄と伝説の剣は、礼拝所の門を潜る。
「お待ちしておりましたわ」
礼拝所の最奥の祭壇には、銀髪の司教と女王が立っていた。
入り口から続く真っ赤なラシャの絨毯の脇には、マザリーニ、...
ただしその人数は極めて少なく、賓客だけで全部で13人しか...
その中にラ・ヴァリエール卿はいなかった。あえてアンリエッ...
才人はそんな中を堂々と歩き、アンリエッタの前に立つ。入り...
そして恭しく傅いて、言った。
「お待たせいたしました女王陛下。サイト・ヒラガ、お約束ど...
アンリエッタは深く下げられた頭に向けて、言った。
「お立ちなさい、英雄、サイト。我が伴侶、これからの王の顔...
立ち上がり、才人は正面に立つ始祖ブリミルの像に正対する。
ブリミルと才人が正対したのを確認すると、司教が口語による...
「ご覧ください、我が始祖よ。この者こそが始祖の血統に加わ...
あなたにとってこの者は血筋に相応しいでしょうか?
始祖の名を継ぐに値する者でしょうか?
お聞かせください、始祖よ」
そして、司教は始祖の像の前で恭しく跪き、今度はルーンによ...
美しい旋律にも似た、ブリミルに才人の真贋を問う言葉が、礼...
この詠唱が終わると、ブリミルの像が白く輝き、才人は晴れて...
そしてブリミルの像は白くまばゆく輝き。
シュガッ!
その顔の部分が一瞬で光球に包まれると、まるで木を鋭い刃物...
「…な…!」
いきなりの異常事態に司教は呆気に取られる。
しかし、すぐに異常に気づいたアニエスは剣を抜き、大音声を...
「曲者だ!すぐに騎士たちをここへ!」
戦闘態勢を整えたアニエスに倣い、才人もデルフリンガーを抜...
その柄がカチャカチャとまるで笑うように鳴る。
「デルフ!全く気配を感じなかった!相手は相当の手練れだぞ...
「はははは!その通り!相手はとんでもねえ手練れだぁな!
はははは!覚悟しとけ相棒、お前さん、年貢の納め時だぜ!
おもしれえ、本気でおもしれえ!ありゃあブリミルの初歩の...
他の人間には意味不明なデルフリンガーの言葉。
しかし、才人にはすぐにその意味が理解できた。
そして、相棒に聞き返す。
「…あ、あのーう…?デルフリンガーさん、まさかそれって…」
認めたくない。このタイミングでまさか。
しかし、現実は非情に過ぎた。
才人の言葉が終わる前。
礼拝所の入り口に、使い魔召喚の時の『ゲート』によく似た銀...
そこから、一人の少女が姿を現す。
「待たせたわね、犬」
雄雄しく、あまりにも雄雄しく、その細い腰に両拳を当て、ま...
後世に、『ブリミルの伝説をなかったことにした悪魔』と呼ば...
彼女の名は。
「ご主人様が迎えに来たわよ!ハウス!」
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
伝説の虚無の担い手。究極の絶壁。ツンデレ女王。
そして、才人のご主人様。
桃色のウェーブのかかった髪をばさぁっ、とかきあげ、あまり...
事の起こりは一ヶ月前。
アンリエッタと才人の婚約話の情報が耳に入ったルイズは、猛...
その傍らにはルイズの強敵と書いて「とも」、シエスタも随伴...
半分は怒り狂ったルイズを止めるためであったが、もう半分は...
しかし。
二人は王城に入ることすらできなかった。
トリステイン王城は、アンリエッタ女王の婚約発表以降、反ア...
そして、王城警備隊の警戒人物リストに、ルイズとシエスタの...
もちろんそれはアンリエッタの策謀。警備隊には『私の友人で...
実際のところは、この二人が才人を奪還に来る最右翼だと踏ん...
実力行使のルイズと、絡め手のシエスタ。この二人が組んで王...
しかし王城に入れさえしなければ。
才人との成婚の儀が終わるまでこの二人を王城がら遠ざけさえ...
アンリエッタと才人の結婚は見事に成立し、国民総意のもとア...
だが、その計画を頓挫させる方法を、二人の悪魔は思いついて...
それは、そう。
かつてアンリエッタがルイズに与えた二冊の書物───一冊は『始...
ルイズの手によって暖炉の薪の火口にされかかっていたその二...
そして、シエスタの提案でルイズは『解体・始祖の祈祷書』を...
それからはあっという間だった。
始祖の秘宝の使い方を理解したルイズは、『水のルビー』から...
その名は『世界扉』。
水のルビーを介して魔力供給を受けられるようになったルイズ...
タバサの手によって奪還された『土のルビー』。ガリアの宝物...
ティファニアが才人を助けるために使ってしまった『風のルビ...
そして、ロマリアに保管されている『炎のルビー』。三つの指...
こうして四つのルビーは一人の虚無の下へ集う。
『ただ一つ』となったルイズは、無限の魔力と完成した虚無を...
いつでも才人を取り戻すことはできる。しかしルイズはそれを...
なぜならば。
「ルイズ。どうしてすぐにサイトさんを取り戻しに行かないの...
「わかっちゃないわねシエスタ。これは喧嘩なのよ。私とあの...
喧嘩の初手は、どうするのが一番効果的だか、貴女が一番よ...
「そうね。確かにその通り」
「そう、最高のタイミングを見計らって」
「横合いから全力で殴りつける」
そう、二人はずっと待っていたのだ。
アンリエッタを敗北させる、最高のタイミングを。
「さあ、帰るわよ犬!こんな辛気臭い場所とはおさらばするん...
言いながら、ルイズは紅のラシャの上を才人に向かってずかず...
その身にまとうのは、アンリエッタの純白のウエディングドレ...
肌の露出のほとんどない、手と頭部のみが露出した、まるで喪...
しかし、その表面はまるで陽炎のようにゆらゆらと揺らめいて...
そして、彼女の周囲には、青、赤、茶色、無色の四色の宝石が...
「下がれ、狼藉者!」
最初に動いたのはトリステイン王国軍の指揮を執る大貴族、グ...
杖を振りかざし、警告代わりの魔力の矢を飛ばす。あくまで相...
しかし足を狙ったその魔力の矢は、ルイズの足程度なら一撃で...
だが。
じゅっ。
まるで熱した鉄板に水を落としたような音を立て、グラモン元...
ルイズはまるで腐った果実に群がる羽虫を見るような目で元帥...
自分の息子ほどの年齢の娘に見据えられた瞬間、グラモン元帥...
それは、あからさまな畏怖だった。彼がメイジであるがゆえの...
だがそれに彼が気づくのはもう少し後。
元帥の攻撃が通じず、うろたえる賓客たちに向かって、ルイズ...
「言っとくけど、スクウェア以下のメイジは私に攻撃するだけ...
この『虚無の衣』はあらゆる魔法を吸収し、私の糧とするわ」
彼女の纏う黒いドレスが、その『虚無の衣』なのだろう。
つまり、ルイズに魔法で攻撃を仕掛ければ、即ちそれは彼女に...
しかし、その程度の脅しに屈していては、メイジの、貴族の名...
「ならばっ!」
その言葉を聴いて、露出した頭部に『ジャベリン』の一撃を加...
現れた巨大な氷の槍が、ルイズの頭部めがけて突き進む。
だがしかし。
「で、頭が空いてるからって狙うのは愚の骨頂。
母さまの跡を継ぐにはまだ早いみたいね?」
「なん…だと…?」
『ジャベリン』はなにもない空中で四散してしまったのである。
正しくは、『水のルビー』がルイズとジャベリンの間に入り込...
「頭狙いの四系統は全部ルビーで無効化できるから。私を止め...
四つのルビーを支配下に置くルイズは、四系統の魔術すら支配...
つまり、彼女を傷つけるには、虚無を持ってするしかない。
そして、ルイズはさらに歩を進める。
「まだだっ!」
礼拝所に響く、若い声。
それは、銃士隊隊長、アニエスの声。
その声と同時、いや少し早いタイミングで響いたのは、銃声。
魔法がダメなら、物理的な力を持って排除するしかない。
そして、音より早い銃弾ならば、ルイズに届く、そう踏んで、...
頭部を、狙って。
だが。
きゅっ。
ルイズの頭のかなり手前。そこで銃弾はまるでそこで見えない...
「…普通の攻撃も届かないからね、言うの忘れてたけど」
「なに…?」
目に見えない結界など、アニエスは知らない。
どの四系統の魔術にも、見えない結界などはない。
火や水や土の結界はもちろん、風の結界でも張り巡らせていれ...
しかし、ルイズの周りの空間には何もない。驚くほど何もない...
その正体は虚無の力による重力制御。ルイズは自分の周囲を重...
つまり、銃はおろか、物理的にルイズに触れることは不可能な...
そしてルイズは。
祭壇の前で固まる、アンリエッタの目の前に立つ。
互いに鼻先を突きつけあい、今すぐにでも胸倉をつかんで取っ...
だが、ルイズは満面の笑顔になった。
「お久しぶりです。女王陛下」
その笑顔はしかし、かつて幼馴染のお姫様に向けられていた親...
恋人を奪われた、嫉妬に狂うおんなの笑顔。
アンリエッタの背筋を、ぞくりと寒気が襲う。
しかし、この程度の恫喝に怯えていては、王族なぞ勤まらない...
「久しぶりですね。健勝でしたか?ルイズ」
そして、笑顔で返す。
二人の視線が死線となって火花を散らし、見えない嵐が吹き荒...
息が詰まるほどの闘争の空気に、賓客たちは完全に怯え、才人...
そして、先に口を開いたのは女王。
「今日は私とサイト様の成婚の儀でしてよ。何か御用かしらル...
にっこりと笑顔で、しかしその瞳の内側には消えない炎を湛え...
…さっさとカエレこの貧乳大魔神!
もちろん、その程度で引くルイズではない。
「私の使い魔を返してもらいに来ました」
その顔から笑顔が消えて失せる。
もちろん、そんな言葉を聞き入れるほどアンリエッタは弱くは...
「あら、なら賓客として私たちの結婚を祝って頂戴。招待した...
言った瞬間。
ぱぁん!
女王の右の平手が、ルイズの左頬を叩いて、乾いた音が礼拝所...
「下がりなさいラ・ヴァリエール!貴女のしていることはトリ...
女王の凛とした声が、礼拝所に響き渡る。
王としての矜持に満ちた、暴力には屈しない、まさにトリステ...
普通の貴族なら、その声に打たれたならば膝を折り、即座に王...
しかし。
ぱぁん!
乾いた音が響いた後。
アンリエッタ女王の顔が、右を向いていた。
その左頬が赤くなり、驚きに目を見開いている。
ルイズが、アンリエッタの頬を平手で張り返したのである。
冷たい目で、視線をそらされたアンリエッタを見つめ、ルイズ...
「その名前は棄てたわ。
サイトを取り戻すと決めた、その時にね」
そう。
ルイズは、才人を取り戻すと決めた一月前、貴族の証であるマ...
貴族を棄て、家族を棄て、それでも、彼女は才人を手に入れる...
そんなことも露知らず、二人の後ろで才人は情けなくガクブル...
英雄も女同士の修羅場では形無しであった。
「…な、ならあなたは、貴女は一体何なのです!?」
平手の衝撃でほつれた髪を直そうともせず、アンリエッタは叫...
ルイズは、左頬を赤く腫らしたまま、まるでそれがないかのよ...
「私はルイズ。
『ゼロのルイズ』よ!」
雄雄しく、あまりにも雄雄しく、彼女は伝説を担う者の威風を...
そして、後ろで震えている哀れな子犬の首筋をがっしと鷲づか...
おののくアンリエッタに顔を寄せ、笑顔で言った。
「アンリエッタ。これでお別れになると思うけど。一つ言って...
私の『元家族』にアンタが手を出したら、トリステインごと...
つまり、トリステインがラ・ヴァリエールに対し、ルイズ叛逆...
その声には、微塵も迷いは感じられなかった。
「…と、トリステインにはあなたの学友もいるのですよ!」
アンリエッタの声には、怯えが混じっていた。
それは、メイジの遺伝子が彼女に感じさせた、原初の恐怖。
『虚無』に対する、全てのメイジが抱く恐怖であった。
今なら、彼女はエルフ達がなぜ虚無を『悪魔』と呼ぶのか理解...
ルイズはふ、と鼻で笑った。
「脅しのつもり?もちろん選別して滅ぼしてあげるわ」
それが嘘ではないことは、容易に理解できた。彼女にはそれが...
無限の魔力と最強の力を手に入れたルイズは、まさに最強最悪...
震える女王を尻目に、ルイズは呪文を詠唱し、『世界扉』を開...
そして、才人を引きずりつつ『世界扉』を潜りながら、最後の...
「狙うなら、私一人にしなさい。
もしも私以外に累が及んだら、その時は────ハルケギニアを...
まさに悪魔の台詞を残し、ルイズは『世界扉』の向こうへ消え...
しばらくして。
凍っていた時間が動き出し───アンリエッタは伏せていた顔を上...
集まっていた賓客から表情が消えた。
慈愛の女神と呼ばれたアンリエッタは、やはり笑顔だった。
屈辱と嫉妬に、かみ締めた唇から、一筋の血を流しながら。
そして、独り言のように呟いたのだった。
「見せてあげますわ、ルイズ…!
私の、王としての『それなりの覚悟』ってやつを…!」
その数日後、トリステイン全土に、王家より直々に賞金首の触...
それには、二人の人相書きと、条件が書いてあった。
『ゼロのルイズ。生死問わず』
『サイト・ヒラガ。生け捕り』
後に三国によって最も高い賞金が賭けられ、しかしその賞金が...
『世界扉』を抜けると、そこは見知らぬ部屋だった。
結構高い天井に、大きな窓から差し込む日の光。壁はくすんだ...
部屋の周囲にはいくつかの大きな木箱が積み上げられており、...
「あ、おかえりなさーい」
出迎えたのは黒髪のメイド。
笑顔でいそいそとタオルと水差しの入った籠を持ってくる。
それを主人に手渡すと、部屋のドアを指差して、言った。
「はい、お疲れ様でした。お湯沸いてますよー」
「気が利くわねシエスタ。じゃあちょっと湯浴みしてくるわね」
礼を言って籠を受け取った瞬間、しゅん、と小さな音がしてル...
漆黒のドレス、『虚無の衣』の魔法を解いたのである。
そしてそのまま、ルイズは籠を手に部屋を出て行く。
才人の硬直が解けたのはそれからだった。
「な、な、な、なにやってんだよお前らー!」
こともあろうに一国の王の成婚の儀から新郎を簒奪し。
あまつさえその国王に挑戦状を叩きつけ。
全人類の脅威ともいえる能力を見せ付けて逃げてきたのである。
あからさまなトリステインへの叛逆行為であった。
才人が思わず突っ込むのも当然といえた。
「何って、あるべきものをあるべき場所に返しただけですよ?」
しれっとした顔でシエスタは言う。
しかし才人はこの程度で納得がいくはずもなく。
「だからって!ありゃちょっとやりすぎだろ!」
「…やりすぎじゃないですよ」
反論した才人に、シエスタはさらに反論で返す。
その表情からは笑顔が消え、真剣な眼差しになっていた。
それは、彼女がルイズの覚悟を知り、この一ヶ月寝食を共にし...
だからシエスタは、こう言った。
「この世界で一番サイトさんを必要としているのは、ルイズで...
「…い」
さらに反論で返そうとしていた才人は固まった。
シエスタから、まさかそんな言葉が出るとは。
そして、さらに意外な言葉が出る。
「どうしてそう思うのか分かりますか?」
いきなりそんな事聞かれても。
「答えは簡単ですよ。
サイトさんがいないと自殺かますようなアホの子はルイズだ...
何気に酷いことをさらりと言ってのけるシエスタ。
さらに彼女は続ける。
「まあ、それだけじゃないですけども。
もっと現実的な話として、
女王陛下は妊娠してますけど、ルイズはまだ妊娠してないか...
「へ」
才人はさらに固まった。
確かに姫さま妊娠してっけども。なんでシエスタがその事知っ...
さらにシエスタは続ける。
「どうして分かるのかって顔してますね。
そりゃ当然の推論ですよ。女王陛下がいきなり求婚してもサ...
そうなると、女王陛下のおなかにサイトさんの赤ちゃんでも...
だってサイトさんヘタレですから、『王様』になるなんてエ...
図星だけども。
さすがにヘタレ呼ばわりされて悔しい才人は、突っ込みを入れ...
「ヘタレって…シエスタ俺のことそー思ってたのか」
「違いますか?」
シエスタのジト目。才人が思わずちょっと回想してみると、結...
「あう」
「違うんですか?違うっていうんなら証明してみせてください...
言ってシエスタは上目遣いににじり寄ってくる。
…証明?証明ってこの場合どーすりゃいーんだ?
「え、えーとですねえ…。
すいませんヘタレです犬ごめん」
「…わかればよろしい」
ちょっとは否定して欲しかったシエスタだったが、まあサイト...
「まあそういうわけですから、ルイズもちゃんと妊娠させてあ...
じゃないと私怒られちゃう」
「…どういうい」
どういう意味だよ、と突っ込もうと思ったが。
さすがに才人もそこまで鈍くない。
言葉の意味にがっつり気がついた才人は、脂汗をかきながら、...
「ま、まさかシエスタさん、妊娠してはる…?」
「ご名答♪」
言ってシエスタはぺろん、とメイド服のスカートをおなかの上...
以前才人が買い与えた、小さなクリーム色の、シルクのショー...
妊娠線こそ出ていないものの、軽く膨らみ、前まであったくび...
「五ヶ月で安定期に入ったんですよ。まだ服の上からじゃ分か...
するってえと姫さまと同じくらいの…。
思わず仕込んだ時期を計算しかける才人。
そしてそんな才人に、黒い笑顔で詰め寄るシエスタ。
「誰の子かは言わなくても分かりますよね?」
「は、はひ」
詰め寄られ、引き下がりながら答える才人。
デルフリンガーの言ったとおり、まさに年貢の納め時であった。
溜まりに溜まったツケが、一気に噴出した瞬間である。
もうこれ以上の議論は、何の意味もなさない。
まさに才人は俎上の鯉。追い詰められた鼠であった。
後ろによろめいたとたん、ベッドに足を引っ掛けてしまい、そ...
「それじゃ、デルフさんとマントはお預かりしておきますねー」
シエスタは笑顔のまま、慣れた手つきで、才人からデルフリン...
「あ、ちょ」
才人が何か言おうとした瞬間。
部屋の入り口から、声がした。
「おまたせー」
湯浴みを済ませたルイズだった。
薄桃色のバスローブに身を包み、ウェーブのかかった長い髪は...
わざとだろう、身にまとうバスローブの前ははだけられており...
一ヶ月ぶりの惚れた相手のあられもない格好に、思わず反応し...
ルイズはそんな才人の視線に気づいて、わざと才人の存在を無...
「いいお湯だったわ。ありがとシエスタ」
「いえいえー。ルイズも汗かいたまんまじゃイヤでしょ」
「まあね。あの状態けっこう疲れるのよね。体力的にはともか...
マントとデルフリンガーを抱えてベッドから遠ざかるシエスタ...
そして、すぐに才人の前に立つ。
前が見えるのも構わず、仁王立ちである。
「久しぶりね、犬」
「ひ、ひさしぶり」
とりあえず何か文句を言うつもりの才人だったが、ルイズ本人...
以前のルイズなら、今の才人でも反撃できたであろう。
しかし、今のルイズは違っていた。
全てを退ける究極の力を手に入れたルイズには、完璧な自信を...
まあ虚無の魔力などなくとも、ご主人様モードのルイズに才人...
ルイズは前かがみになって、ベッドに腰掛ける形の才人に、少...
そして、何も言わずに半眼でじーっと才人を見つめる。
「な、なにかな」
何も言わずにまるで嘗め回すように自分を見るルイズに、背中...
ルイズはふん、と鼻を鳴らすと、大きく股を開いてどすん、と...
そして、才人の顎をつまんで自分の方を向かせると。
「貧相な顔。こんなのが王様なんて笑っちゃうわね」
言って、心底呆れた顔をする。
この顔を才人は覚えている。
『あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて...
ああ、思い出した。俺がこの世界に呼び出されて、最初にルイ...
そんな表情を見せるルイズに、才人は思わず焦ってしまう。
ひょっとしてあの時の状態まで逆戻りしているのではないか、...
もちろんそれは、ルイズの作戦である。
才人は基本ヘタレである。どれだけ修行して強くなっても、業...
これはルイズとシエスタがさんざん才人を研究し尽くして出し...
だから、女の子たちに迫られるとなし崩しに落とされる。まる...
だが、根無し草、というのとはちょっと違う、とシエスタは言...
才人の気持ちには基本となる部分がある、というのだ。それは...
『サイトさんは、ルイズが大好きなんです』
それこそが、才人の根本たる部分。シエスタが、そう指摘した。
思えば初めての夜のときも、才人はルイズのことを気にかけて...
何度肌を重ねても、シエスタは才人の中にルイズへの想いを感...
だから、シエスタはルイズも含めて、才人を愛することに決め...
一番に愛されなくてもいい。傍にいられればそれでいい。一番...
そう考えることにした。
そして、シエスタは指摘する。
『そんなサイトさんを一撃でダウンさせる方法、思いつきまし...
それこそが、これ。
『ひょっとしてルイズに嫌われてないか、俺?』
そう思わせることで、才人を精神的に不安定にさせ、そこに漬...
少し卑怯な気もしたが、とりあえずしばらくの間、才人を縛り...
そして今、ルイズは、最初に才人と逢った時のことを思い出し...
ちょっと前なら久しぶりに会った瞬間に、甘い声で鳴きながら...
しかし、この一ヶ月の空白と才人を手に入れるための覚悟が、...
ルイズは表情を変えず、才人の顎をつかんだまま、続けた。
「こんなのが王様になったらトリステインは終わりだわね。
ひょっとして私ってば救国の英雄かしら」
さすがにそこまで言われて黙っていられる才人ではない。
「ちょ、ちょっと待てよ、いくらなんでもそりゃ理屈が飛びす...
顎を引きながら反論したせいでルイズの指が顎から外れる。
ルイズは一瞬ムっとして、そして、才人の頭を両側からがし!...
そしてぎりぎりぎりと指に力を篭めるルイズ。
才人はこの感触を覚えていた。ルイズの四十八のお仕置き技の...
ぱっと見たいしたことなさそうだが、結構痛い。
「ま、待てルイズ!落ち着け!」
慌ててルイズの腕を振り払おうとする才人。
しかし。
「いいからじっとしてなさい」
静かなルイズの声に、覚悟を決めて動きを止め、目をつぶる才...
これ以上、ルイズに嫌われたら犬死んじゃいます。
そしてルイズはいよいよ指に力を篭め、
ちゅ。
何か柔らかいものが唇に当たる感触に、思わず才人は目を開け...
才人の頭を両手で掴んで、ルイズは柔らかい唇を才人の唇に押...
何が起こっているのか分からない才人に、ルイズは唇を離し、...
「これは、契約のキスよ。アンタが一生、私の傍から逃げ出さ...
「え」
「誓いなさい。私のものになるって。
そうしたら、一生愛してあげる。サイトだけを、命を賭けて...
潤んだ瞳。朱に染まる頬。
それは、ルイズが才人だけに見せる顔。
愛している人にだけ見せる、これ以上ない、優しい、不安な表...
ぐらついていた才人の基部に、最高のタイミングで最も重い一...
一度マイナスの極地まで堕とされた心が、一気に舞い上がる。
まさに究極の作戦であった。
「返事は?」
そして極上の笑顔。
最後の核弾頭が、才人の総司令部を融解させた。
「は、はい」
「よくできました」
今度はぎゅっと抱きついて、才人の唇を奪う。身体を前に進め...
才人もルイズを抱きしめ返し、その華奢な身体を抱きしめる。
二人の唇が自然と開き、お互いの舌が絡み合う。
口腔内を舌で犯しあい、二人は濃密なキスの空間で見つめ合う。
お互いの呼気すら飲み込むキスはそれほど長くは続かない。
ほどなくして二人は唇を離し、二人の間に粘液の糸が走る。
先に口を開いたのはルイズ。
「コラ犬」
相変わらずの犬呼ばわりだが、その声はあくまで優しく、才人...
ルイズは甘いキスで既に濡れ始めている股間を、すぐ後ろで大...
「発情してんじゃないわよ。ほんとにもう、どうしようもない...
「む、無茶いうなよ。この状況で立たなきゃ俺不能じゃねえか」
才人の言うことは確かにもっともである。
好いた相手が、肌も露な格好で抱きついてきていて、しかも濃...
そんな才人の反論に、ルイズは才人の顎の先に右の人差し指を...
「ふふ。言い訳しないの。アンタはサカリのついたエロ犬なの。
こんなどうしようもない変態犬にはお仕置きが必要だわ」
そして、身体をずらして、軽く開いた才人の足の間にもぐりこ...
ズボンの前を開き、才人を自由にする。
完全に勃起した才人は前を開けられると勢いよく起き上がる。
そして。
「いいって言うまで出しちゃダメよ」
勃起した才人の先端に、ルイズは優しく口付ける。
そしてそのまま舌で、才人の竿をぺろぺろと嘗め回し始める。
「うあっ」
吸い付くような口全体とは違う、舌だけの優しい愛撫に声が漏...
「ガマンなさい。英雄なんでしょ」
「いや英雄関係な」
才人の反論に、今度は亀頭の返しの裏側を甘噛みする。
「くぁ!」
「お仕置きだからね。ちゃんとガマンしなさいよ」
言って顔の横にかかった髪をかき上げ、今度は亀頭だけを口に...
丹念に、亀頭の形をなぞるように。
ちゅるちゅると唾液の音を響かせながら。
卑猥に、ただ卑猥に、ルイズは才人の性器の先端を愛おしく責...
「ま、待ってルイズ、俺もうムリっ」
才人の断末魔に近い声に、ルイズはちゅぽんっ、と唾液と先走...
「ほんとにもう、堪え性のないダメ犬なんだから」
言って、唇の端から零れる唾液をぬぐおうともせず、ルイズは...
限界直前まで登りつめていた快感を無理やり押し鎮める才人。...
あまりにも完璧な忠犬っぷりであった。
ルイズはそんな才人を満足そうに見下ろすと、バスローブをぱ...
凹凸の少ない、未成熟な肉体が露になる。しかし、その足りな...
ルイズはそのまま四つんばいでベッドに上がる。
そして、才人に向かって形のいいヒップを突き出し、そして、...
にちゃぁ、と粘液質な音をたてて、粘液の糸をひきながら、ル...
ルイズは肩越しに才人を振り返って、あくまで強気に、言った。
「アンタが出していいのはここだけよ」
ごく、と才人は喉を鳴らす。
さらにルイズはそんな才人に追い討ちをかける。
「ほら、早くなさい。いつまでご主人様を待たせるつもりなの...
あまりにも淫らな命令を受け取り、才人はあっという間にズボ...
入り口に押し当てられた雄の感触に、ルイズは一瞬、あ、と喘...
「入れる前に、言うことがあるでしょ?…サイト、ほら、言って...
名を呼ばれ、甘い声で懇願され、才人は答える。
「愛してる。世界で一番。大好きだ、ルイズ」
その真剣な言葉に、ルイズの一番奥がぎゅうっ、と締め付けら...
そして、その一瞬だけ、素直な言葉を漏らす。
「私も愛してる。だいすき。サイト」
その言葉に、才人は一気に腰をルイズの突き当たりまで進める。
ずるずると膣道を削られ、ぐいぐいと膣奥を圧迫され、ルイズ...
その乱暴に打ち込まれる快楽の電流に、ルイズは必死に耐え、...
「ば、ばかいぬぅ、さ、サカりすぎ…っ!も、もっとゆっくりし...
喘ぎを必死で押し殺し、命令を下す。
しかし、才人は止まらない。
小刻みにルイズの奥を小突きながら、ぎゅうぎゅうと硬く絞ら...
「ご、ごめんっ、で、でもとまらなっ…!」
先ほどの口淫で高められた才人の性感はすぐに崩落する。
その声とほぼ同時に、ルイズの中で才人が弾けた。
どくんどくんと撃ち込まれる一月ぶりの才人の迸りに、それま...
「あ、だめ、今ダメ、ば、ばかいぬぅーーーーーーっ!あああ...
背筋を限界まで反らし、ぎゅっと才人を絞り上げ、熱く焼かれ...
くたん、と互いに力が抜け、折り重なるようにベッドに突っ伏...
そして、先に意識を取り戻したのはルイズ。
自分の髪の中でぐったりする才人に、ルイズは声をかけた。
「…ばか犬、早すぎ」
「ご、ごめん。でも、あんまりルイズの中が気持ちよくて」
不意打ち気味のその言葉に思わずきゅんとしてしまうルイズ。
しかし、こんなので終わっていては、計画は台無しである。
ルイズは、自分の中で身体と同じくぐったりしている才人自身...
「で、なんで一回でこんなぐったりしてんのよ。
サカってんならすぐ元気になりなさいよ」
「む、無茶言うなって…」
確かにもう少しルイズの中にいれば、才人の息子は復活するだ...
しかし、一度に大量の精液を出したせいで、気だるさが才人に...
流石に即座の復活は無理だった。
が。
「しょうがないわね。シエスタっ!」
「はぁい♪」
才人を背中に乗せたまま、ルイズは顔だけ上げて、シエスタの...
すると、今まで部屋の外に控えていたシエスタがいそいそと部...
「い?シエスタいたのっ?」
「ええまあ。いい声でしたよ〜。お二人とも」
「御託はいいから、シエスタ、サイトを立たせなさい」
「はぁ〜い」
驚く才人を他所に、ルイズはシエスタに命令を下し。
シエスタはあっという間にメイド服を脱ぎ去ると、妊娠してぽ...
「ちょ、シエスタなにす」
臀部に当たるシエスタの吐息に、才人は上半身を起こすが。
「妊娠してても、こういうことはできますから〜」
シエスタは悪戯っぽく言って、あっという間に才人の肛門に舌...
そして、右手で陰嚢をもみしだく。
「くぁ!ちょ、シエスタ汚いって!」
しかしそんな言葉に惑わされるシエスタではない。
舌をくにくにと動かしながら、あくまで優しく陰嚢を刺激する。
その強烈な刺激に、才人の一物は一瞬で復帰する。
自分の中で膨らむ雄を感じ取ったルイズは、肉食獣の笑みで言...
「よくやったわ、シエスタ!」
そして今度は、自分で腰を振り始める。
自らの意思でぎゅうぎゅうと才人を締め上げ、膣道の最も隆起...
「ちょっと、ま、まてお前ら、いくらなんでもこれっ」
無理やり高められていく焦燥感に、才人は喘ぎに近い声を漏ら...
ルイズは、そんな才人の声と、自分の中で再び膨らんでいく才...
「ほら、出していいわよっ、ばか犬の、精液、思いっきり、出...
は、孕んであげる、孕んであげるからっ!
か、感謝しなさいよ、ね…っ!わ、私に種付けできる、お、男...
言って、全身全霊の力を篭めて才人を絞り上げ、子宮口でぎっ...
シエスタは今度は才人の尻の溝を嘗め回しながら、両手で才人...
そして才人は。
「うぁぁぁぁぁぁああああーーっ!」
意識が真っ白になるほどの絶頂に襲われ、食らい付くルイズの...
月明かりに満たされる粗末な調度の部屋。
その中央のキングサイズのベッドでは、二人の少女が一人の黒...
黒髪の男、才人は眠っていたが、顔色が悪く、うなされている。
出なくなるまで搾り取られて気絶しているのである。当然とい...
限界まで才人を貪りつくしたピンク色の悪魔は、才人の左で頬...
「ねえ、ちゃんと孕めたと思う?」
「大丈夫ですよ。私の計算だと今日ルイズバッチリ危険日だし。
危険日にあれだけ中出ししまくって、できないほうがどうか...
心配そうにシエスタに語りかけるルイズの顔は、先ほどまでの...
先ほどのあれはもちろん演技で、才人をルイズに縛り付けるた...
弱ったところを徹底的に叩き、反撃の機会を与えない。兵法の...
ルイズはシエスタの言葉に、嬉しそうに微笑んだ。
「ふふ。ありがと。これもシエスタのお陰かな。
シエスタがいなかったら、『始祖の祈祷書』も『解体・始祖...
「ありがとうございます。そう言ってくれるなら、手助けした...
「ご褒美に、週に一回サイトを貸してあげるわ」
「え?ちょっと待って約束と違うじゃないですか!週に三回っ...
「何言ってんの、アンタ安定期じゃないの!できないじゃない...
「何言ってんですか、お口でもお尻でも、胸でだってできます...
「こ、この淫乱メイド…!」
「サカリのついた雌ネコに言われたくないですねえ。にゃん?」
最初の友情を確かめ合う雰囲気もどこへやら。
いつのまにやら恋敵の表情に戻った二人はんぎぎぎぎぎ、とに...
そして。
「う、うう〜ん…もうムリだってば、姫さまもシャルロットもテ...
どんな夢を見ているのか、とんでもない寝言をかましてしまっ...
どかばきぼこすか!
ルイズとシエスタはさんざんぶったたいて踏みつけて殴りつけ...
そこはアルビオンの片田舎。
岩山に囲まれた小さな屋敷があるという。
とある貴族が秘密の逢引のために立てたといわれる、豪奢な作...
しかし数ヶ月前から、そこに人が住み着いた。
貴族ではないと自ら言ったその三人は、やがてその近隣の町で...
ある時は巨額の賞金首を捕まえ、そしてある時は近隣に住み着...
やがて数年たち、それは人の知るところとなり、その人物の正...
そして、町の人々は彼らの正体を隠匿し、その屋敷に近寄る者...
なぜなら。
虚無の魔王相手に、喧嘩を売る気など毛頭なかったから。
昔も今も、『触らぬ神に祟りなし』である。
「そして、トリステインの盾はいなくなりましたとさ。おしま...
「ねえかあさま。えいゆうさんはどうしてまおうをやっつけな...
「あのね、世の中には思い通りにいかない事っていうのがいっ...
「でも、おはなしでしょ?めでたしめでたしっておわらないの...
「めでたしめでたしで終わらない話もあるのですよ。これから...
「でもかあさま」
「あなたが聞きたいって言ったから話したの。もうこの話はお...
「…なんでかあさま怒ったのかな。
それに、なんであんなおはなしなんだろう。
…とうさまのおはなしきかせてっていっただけなのにな」
『虚無の使い魔』〜fin
終了行:
ルイズとシエスタに最後に逢ったのはもう一ヶ月も前のこと。
水精霊騎士団の孤児院慰問に駆り出された日。
『行ってらっしゃい。言っとくけど姫さまにだけは近寄らない...
私も用事済んだら王都行くから!』
『あとでちゃんと下着からチェックしますから。下着洗ってあ...
きっつい釘を刺され、才人は王都へ向かう。
その後紆余曲折あって、才人は主人と逢わないまま半月ほどの...
そして。
その主人のいない女子寮の部屋で、いきなりやってきたトリス...
『サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ。あなたを、私の夫とし...
目が点になる才人に、これまでの功績、そして今現在の才人の...
アンリエッタは、混乱の極みの才人の耳元に、決定的な一言を...
『それと…私のお腹には、あなたのやや子がおります』
どうやらその事は王家周囲の人間には周知の事実らしく、その...
『まさかとは思うが、トリステイン女王に父なし子を産めとは...
いやあよかったなサイト!これでお前、一国一城の主だぞ!』
はっはっは、と笑いながらアニエスは才人の肩を叩いた。
その言葉の裏には『もう女王と才人の密会の手助けをせずに済...
周囲の人間も、うら若き英雄と女王の成婚に、喜びこそすれ反...
むろん、反対派はとうの昔に粛清済みである。
そして。
才人の目は点になったまま、ほぼ拉致同然に馬車に詰込まれ、...
こうして才人はアンリエッタとの成婚の儀までの間、王城の一...
それが、一ヶ月前の出来事。
それ以来、才人は王城の一室に軟禁され、王族としての心得や...
マザリーニやアンリエッタの指導は丁寧で、ルイズの鬼のよう...
その間、懸念されていたルイズによる王城襲撃は一度たりとて...
アンリエッタ曰く、『きっとルイズも草葉の陰で祝福してくれ...
ルイズがそんなタマではないことを、才人は百も承知している。
いつ王都が虚無の光に包み込まれるのかガクブルしながら、安...
結局、成婚の儀のその日まで、虚無とメイドのコンビは現れる...
そして今日。
王宮にて、英雄・サイトと女王アンリエッタの、成婚の儀が始...
式典は、あえて国民や外部に公表せず、内々に執り行われるこ...
式を終え、才人が『トリステイン』を背負ってから、大々的に...
従って、成婚の儀は、王宮内の小さな礼拝所で行われることに...
才人はそんな儀式なんてあんまり意味ないんじゃないかなあ、...
元平民とはいえ、王になるのである。それなりの儀式は必要不...
儀式は朝から始まり、夕方に終わる予定だった。
才人は指示された時間に、盛装に着替えて礼拝所へ向かう。
真っ白なタキシードに、背には愛剣デルフリンガーと、服に同...
これを背負うことを許されているのは、ハルケギニア広しとい...
そう、もう才人はシュヴァリエではない。
彼の姓、『平賀』は、アンリエッタによって王家に並ぶ貴族、...
いかなる貴族とも平民とも違う、ただ一人の『英雄』。トリス...
「なあなあ相棒。思い直すなら今だぜ?
こんな風に担ぎ上げられて、王家の種馬にされるなんて相棒...
その背中で、伝説を見守ってきた剣はカチャカチャと才人に何...
そして才人は、決まった同じ台詞を返す。
「種馬になるわけじゃないよ。
それに、これは俺の責任なんだ。俺が責任とんなきゃ、姫さ...
ぽりぽりと頭を掻いて、いいわけじみた台詞を返す。
「…虚無の嬢ちゃんが泣くのはいいのかよ」
「…ルイズの話はすんな。来なかったアイツが悪い」
才人は、実はルイズを待っていたのだ。
ほとんど策謀同然に結婚話を進められ、今や逃げ場のなくなっ...
それが、彼の主人たるルイズであった。その傍若無人さで、全...
しかし彼女は結局最後まで現れなかった。
そして才人は、諦めてしまう。
いや、正しくは諦めたのではない。
「それに、王様になったあと探して、側室として王家に来ても...
「…すっかり考え方が貴族サマになっちまったな相棒」
才人が考えた方法がそれだった。
デルフリンガーの指摘ももっともだったが、今この状況で、ア...
「ま、考えたってしょうがねえ。あとでルイズには謝るさ」
「へえへえ。蹴りの一発で済めば御の字さね」
そして一人の英雄と伝説の剣は、礼拝所の門を潜る。
「お待ちしておりましたわ」
礼拝所の最奥の祭壇には、銀髪の司教と女王が立っていた。
入り口から続く真っ赤なラシャの絨毯の脇には、マザリーニ、...
ただしその人数は極めて少なく、賓客だけで全部で13人しか...
その中にラ・ヴァリエール卿はいなかった。あえてアンリエッ...
才人はそんな中を堂々と歩き、アンリエッタの前に立つ。入り...
そして恭しく傅いて、言った。
「お待たせいたしました女王陛下。サイト・ヒラガ、お約束ど...
アンリエッタは深く下げられた頭に向けて、言った。
「お立ちなさい、英雄、サイト。我が伴侶、これからの王の顔...
立ち上がり、才人は正面に立つ始祖ブリミルの像に正対する。
ブリミルと才人が正対したのを確認すると、司教が口語による...
「ご覧ください、我が始祖よ。この者こそが始祖の血統に加わ...
あなたにとってこの者は血筋に相応しいでしょうか?
始祖の名を継ぐに値する者でしょうか?
お聞かせください、始祖よ」
そして、司教は始祖の像の前で恭しく跪き、今度はルーンによ...
美しい旋律にも似た、ブリミルに才人の真贋を問う言葉が、礼...
この詠唱が終わると、ブリミルの像が白く輝き、才人は晴れて...
そしてブリミルの像は白くまばゆく輝き。
シュガッ!
その顔の部分が一瞬で光球に包まれると、まるで木を鋭い刃物...
「…な…!」
いきなりの異常事態に司教は呆気に取られる。
しかし、すぐに異常に気づいたアニエスは剣を抜き、大音声を...
「曲者だ!すぐに騎士たちをここへ!」
戦闘態勢を整えたアニエスに倣い、才人もデルフリンガーを抜...
その柄がカチャカチャとまるで笑うように鳴る。
「デルフ!全く気配を感じなかった!相手は相当の手練れだぞ...
「はははは!その通り!相手はとんでもねえ手練れだぁな!
はははは!覚悟しとけ相棒、お前さん、年貢の納め時だぜ!
おもしれえ、本気でおもしれえ!ありゃあブリミルの初歩の...
他の人間には意味不明なデルフリンガーの言葉。
しかし、才人にはすぐにその意味が理解できた。
そして、相棒に聞き返す。
「…あ、あのーう…?デルフリンガーさん、まさかそれって…」
認めたくない。このタイミングでまさか。
しかし、現実は非情に過ぎた。
才人の言葉が終わる前。
礼拝所の入り口に、使い魔召喚の時の『ゲート』によく似た銀...
そこから、一人の少女が姿を現す。
「待たせたわね、犬」
雄雄しく、あまりにも雄雄しく、その細い腰に両拳を当て、ま...
後世に、『ブリミルの伝説をなかったことにした悪魔』と呼ば...
彼女の名は。
「ご主人様が迎えに来たわよ!ハウス!」
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
伝説の虚無の担い手。究極の絶壁。ツンデレ女王。
そして、才人のご主人様。
桃色のウェーブのかかった髪をばさぁっ、とかきあげ、あまり...
事の起こりは一ヶ月前。
アンリエッタと才人の婚約話の情報が耳に入ったルイズは、猛...
その傍らにはルイズの強敵と書いて「とも」、シエスタも随伴...
半分は怒り狂ったルイズを止めるためであったが、もう半分は...
しかし。
二人は王城に入ることすらできなかった。
トリステイン王城は、アンリエッタ女王の婚約発表以降、反ア...
そして、王城警備隊の警戒人物リストに、ルイズとシエスタの...
もちろんそれはアンリエッタの策謀。警備隊には『私の友人で...
実際のところは、この二人が才人を奪還に来る最右翼だと踏ん...
実力行使のルイズと、絡め手のシエスタ。この二人が組んで王...
しかし王城に入れさえしなければ。
才人との成婚の儀が終わるまでこの二人を王城がら遠ざけさえ...
アンリエッタと才人の結婚は見事に成立し、国民総意のもとア...
だが、その計画を頓挫させる方法を、二人の悪魔は思いついて...
それは、そう。
かつてアンリエッタがルイズに与えた二冊の書物───一冊は『始...
ルイズの手によって暖炉の薪の火口にされかかっていたその二...
そして、シエスタの提案でルイズは『解体・始祖の祈祷書』を...
それからはあっという間だった。
始祖の秘宝の使い方を理解したルイズは、『水のルビー』から...
その名は『世界扉』。
水のルビーを介して魔力供給を受けられるようになったルイズ...
タバサの手によって奪還された『土のルビー』。ガリアの宝物...
ティファニアが才人を助けるために使ってしまった『風のルビ...
そして、ロマリアに保管されている『炎のルビー』。三つの指...
こうして四つのルビーは一人の虚無の下へ集う。
『ただ一つ』となったルイズは、無限の魔力と完成した虚無を...
いつでも才人を取り戻すことはできる。しかしルイズはそれを...
なぜならば。
「ルイズ。どうしてすぐにサイトさんを取り戻しに行かないの...
「わかっちゃないわねシエスタ。これは喧嘩なのよ。私とあの...
喧嘩の初手は、どうするのが一番効果的だか、貴女が一番よ...
「そうね。確かにその通り」
「そう、最高のタイミングを見計らって」
「横合いから全力で殴りつける」
そう、二人はずっと待っていたのだ。
アンリエッタを敗北させる、最高のタイミングを。
「さあ、帰るわよ犬!こんな辛気臭い場所とはおさらばするん...
言いながら、ルイズは紅のラシャの上を才人に向かってずかず...
その身にまとうのは、アンリエッタの純白のウエディングドレ...
肌の露出のほとんどない、手と頭部のみが露出した、まるで喪...
しかし、その表面はまるで陽炎のようにゆらゆらと揺らめいて...
そして、彼女の周囲には、青、赤、茶色、無色の四色の宝石が...
「下がれ、狼藉者!」
最初に動いたのはトリステイン王国軍の指揮を執る大貴族、グ...
杖を振りかざし、警告代わりの魔力の矢を飛ばす。あくまで相...
しかし足を狙ったその魔力の矢は、ルイズの足程度なら一撃で...
だが。
じゅっ。
まるで熱した鉄板に水を落としたような音を立て、グラモン元...
ルイズはまるで腐った果実に群がる羽虫を見るような目で元帥...
自分の息子ほどの年齢の娘に見据えられた瞬間、グラモン元帥...
それは、あからさまな畏怖だった。彼がメイジであるがゆえの...
だがそれに彼が気づくのはもう少し後。
元帥の攻撃が通じず、うろたえる賓客たちに向かって、ルイズ...
「言っとくけど、スクウェア以下のメイジは私に攻撃するだけ...
この『虚無の衣』はあらゆる魔法を吸収し、私の糧とするわ」
彼女の纏う黒いドレスが、その『虚無の衣』なのだろう。
つまり、ルイズに魔法で攻撃を仕掛ければ、即ちそれは彼女に...
しかし、その程度の脅しに屈していては、メイジの、貴族の名...
「ならばっ!」
その言葉を聴いて、露出した頭部に『ジャベリン』の一撃を加...
現れた巨大な氷の槍が、ルイズの頭部めがけて突き進む。
だがしかし。
「で、頭が空いてるからって狙うのは愚の骨頂。
母さまの跡を継ぐにはまだ早いみたいね?」
「なん…だと…?」
『ジャベリン』はなにもない空中で四散してしまったのである。
正しくは、『水のルビー』がルイズとジャベリンの間に入り込...
「頭狙いの四系統は全部ルビーで無効化できるから。私を止め...
四つのルビーを支配下に置くルイズは、四系統の魔術すら支配...
つまり、彼女を傷つけるには、虚無を持ってするしかない。
そして、ルイズはさらに歩を進める。
「まだだっ!」
礼拝所に響く、若い声。
それは、銃士隊隊長、アニエスの声。
その声と同時、いや少し早いタイミングで響いたのは、銃声。
魔法がダメなら、物理的な力を持って排除するしかない。
そして、音より早い銃弾ならば、ルイズに届く、そう踏んで、...
頭部を、狙って。
だが。
きゅっ。
ルイズの頭のかなり手前。そこで銃弾はまるでそこで見えない...
「…普通の攻撃も届かないからね、言うの忘れてたけど」
「なに…?」
目に見えない結界など、アニエスは知らない。
どの四系統の魔術にも、見えない結界などはない。
火や水や土の結界はもちろん、風の結界でも張り巡らせていれ...
しかし、ルイズの周りの空間には何もない。驚くほど何もない...
その正体は虚無の力による重力制御。ルイズは自分の周囲を重...
つまり、銃はおろか、物理的にルイズに触れることは不可能な...
そしてルイズは。
祭壇の前で固まる、アンリエッタの目の前に立つ。
互いに鼻先を突きつけあい、今すぐにでも胸倉をつかんで取っ...
だが、ルイズは満面の笑顔になった。
「お久しぶりです。女王陛下」
その笑顔はしかし、かつて幼馴染のお姫様に向けられていた親...
恋人を奪われた、嫉妬に狂うおんなの笑顔。
アンリエッタの背筋を、ぞくりと寒気が襲う。
しかし、この程度の恫喝に怯えていては、王族なぞ勤まらない...
「久しぶりですね。健勝でしたか?ルイズ」
そして、笑顔で返す。
二人の視線が死線となって火花を散らし、見えない嵐が吹き荒...
息が詰まるほどの闘争の空気に、賓客たちは完全に怯え、才人...
そして、先に口を開いたのは女王。
「今日は私とサイト様の成婚の儀でしてよ。何か御用かしらル...
にっこりと笑顔で、しかしその瞳の内側には消えない炎を湛え...
…さっさとカエレこの貧乳大魔神!
もちろん、その程度で引くルイズではない。
「私の使い魔を返してもらいに来ました」
その顔から笑顔が消えて失せる。
もちろん、そんな言葉を聞き入れるほどアンリエッタは弱くは...
「あら、なら賓客として私たちの結婚を祝って頂戴。招待した...
言った瞬間。
ぱぁん!
女王の右の平手が、ルイズの左頬を叩いて、乾いた音が礼拝所...
「下がりなさいラ・ヴァリエール!貴女のしていることはトリ...
女王の凛とした声が、礼拝所に響き渡る。
王としての矜持に満ちた、暴力には屈しない、まさにトリステ...
普通の貴族なら、その声に打たれたならば膝を折り、即座に王...
しかし。
ぱぁん!
乾いた音が響いた後。
アンリエッタ女王の顔が、右を向いていた。
その左頬が赤くなり、驚きに目を見開いている。
ルイズが、アンリエッタの頬を平手で張り返したのである。
冷たい目で、視線をそらされたアンリエッタを見つめ、ルイズ...
「その名前は棄てたわ。
サイトを取り戻すと決めた、その時にね」
そう。
ルイズは、才人を取り戻すと決めた一月前、貴族の証であるマ...
貴族を棄て、家族を棄て、それでも、彼女は才人を手に入れる...
そんなことも露知らず、二人の後ろで才人は情けなくガクブル...
英雄も女同士の修羅場では形無しであった。
「…な、ならあなたは、貴女は一体何なのです!?」
平手の衝撃でほつれた髪を直そうともせず、アンリエッタは叫...
ルイズは、左頬を赤く腫らしたまま、まるでそれがないかのよ...
「私はルイズ。
『ゼロのルイズ』よ!」
雄雄しく、あまりにも雄雄しく、彼女は伝説を担う者の威風を...
そして、後ろで震えている哀れな子犬の首筋をがっしと鷲づか...
おののくアンリエッタに顔を寄せ、笑顔で言った。
「アンリエッタ。これでお別れになると思うけど。一つ言って...
私の『元家族』にアンタが手を出したら、トリステインごと...
つまり、トリステインがラ・ヴァリエールに対し、ルイズ叛逆...
その声には、微塵も迷いは感じられなかった。
「…と、トリステインにはあなたの学友もいるのですよ!」
アンリエッタの声には、怯えが混じっていた。
それは、メイジの遺伝子が彼女に感じさせた、原初の恐怖。
『虚無』に対する、全てのメイジが抱く恐怖であった。
今なら、彼女はエルフ達がなぜ虚無を『悪魔』と呼ぶのか理解...
ルイズはふ、と鼻で笑った。
「脅しのつもり?もちろん選別して滅ぼしてあげるわ」
それが嘘ではないことは、容易に理解できた。彼女にはそれが...
無限の魔力と最強の力を手に入れたルイズは、まさに最強最悪...
震える女王を尻目に、ルイズは呪文を詠唱し、『世界扉』を開...
そして、才人を引きずりつつ『世界扉』を潜りながら、最後の...
「狙うなら、私一人にしなさい。
もしも私以外に累が及んだら、その時は────ハルケギニアを...
まさに悪魔の台詞を残し、ルイズは『世界扉』の向こうへ消え...
しばらくして。
凍っていた時間が動き出し───アンリエッタは伏せていた顔を上...
集まっていた賓客から表情が消えた。
慈愛の女神と呼ばれたアンリエッタは、やはり笑顔だった。
屈辱と嫉妬に、かみ締めた唇から、一筋の血を流しながら。
そして、独り言のように呟いたのだった。
「見せてあげますわ、ルイズ…!
私の、王としての『それなりの覚悟』ってやつを…!」
その数日後、トリステイン全土に、王家より直々に賞金首の触...
それには、二人の人相書きと、条件が書いてあった。
『ゼロのルイズ。生死問わず』
『サイト・ヒラガ。生け捕り』
後に三国によって最も高い賞金が賭けられ、しかしその賞金が...
『世界扉』を抜けると、そこは見知らぬ部屋だった。
結構高い天井に、大きな窓から差し込む日の光。壁はくすんだ...
部屋の周囲にはいくつかの大きな木箱が積み上げられており、...
「あ、おかえりなさーい」
出迎えたのは黒髪のメイド。
笑顔でいそいそとタオルと水差しの入った籠を持ってくる。
それを主人に手渡すと、部屋のドアを指差して、言った。
「はい、お疲れ様でした。お湯沸いてますよー」
「気が利くわねシエスタ。じゃあちょっと湯浴みしてくるわね」
礼を言って籠を受け取った瞬間、しゅん、と小さな音がしてル...
漆黒のドレス、『虚無の衣』の魔法を解いたのである。
そしてそのまま、ルイズは籠を手に部屋を出て行く。
才人の硬直が解けたのはそれからだった。
「な、な、な、なにやってんだよお前らー!」
こともあろうに一国の王の成婚の儀から新郎を簒奪し。
あまつさえその国王に挑戦状を叩きつけ。
全人類の脅威ともいえる能力を見せ付けて逃げてきたのである。
あからさまなトリステインへの叛逆行為であった。
才人が思わず突っ込むのも当然といえた。
「何って、あるべきものをあるべき場所に返しただけですよ?」
しれっとした顔でシエスタは言う。
しかし才人はこの程度で納得がいくはずもなく。
「だからって!ありゃちょっとやりすぎだろ!」
「…やりすぎじゃないですよ」
反論した才人に、シエスタはさらに反論で返す。
その表情からは笑顔が消え、真剣な眼差しになっていた。
それは、彼女がルイズの覚悟を知り、この一ヶ月寝食を共にし...
だからシエスタは、こう言った。
「この世界で一番サイトさんを必要としているのは、ルイズで...
「…い」
さらに反論で返そうとしていた才人は固まった。
シエスタから、まさかそんな言葉が出るとは。
そして、さらに意外な言葉が出る。
「どうしてそう思うのか分かりますか?」
いきなりそんな事聞かれても。
「答えは簡単ですよ。
サイトさんがいないと自殺かますようなアホの子はルイズだ...
何気に酷いことをさらりと言ってのけるシエスタ。
さらに彼女は続ける。
「まあ、それだけじゃないですけども。
もっと現実的な話として、
女王陛下は妊娠してますけど、ルイズはまだ妊娠してないか...
「へ」
才人はさらに固まった。
確かに姫さま妊娠してっけども。なんでシエスタがその事知っ...
さらにシエスタは続ける。
「どうして分かるのかって顔してますね。
そりゃ当然の推論ですよ。女王陛下がいきなり求婚してもサ...
そうなると、女王陛下のおなかにサイトさんの赤ちゃんでも...
だってサイトさんヘタレですから、『王様』になるなんてエ...
図星だけども。
さすがにヘタレ呼ばわりされて悔しい才人は、突っ込みを入れ...
「ヘタレって…シエスタ俺のことそー思ってたのか」
「違いますか?」
シエスタのジト目。才人が思わずちょっと回想してみると、結...
「あう」
「違うんですか?違うっていうんなら証明してみせてください...
言ってシエスタは上目遣いににじり寄ってくる。
…証明?証明ってこの場合どーすりゃいーんだ?
「え、えーとですねえ…。
すいませんヘタレです犬ごめん」
「…わかればよろしい」
ちょっとは否定して欲しかったシエスタだったが、まあサイト...
「まあそういうわけですから、ルイズもちゃんと妊娠させてあ...
じゃないと私怒られちゃう」
「…どういうい」
どういう意味だよ、と突っ込もうと思ったが。
さすがに才人もそこまで鈍くない。
言葉の意味にがっつり気がついた才人は、脂汗をかきながら、...
「ま、まさかシエスタさん、妊娠してはる…?」
「ご名答♪」
言ってシエスタはぺろん、とメイド服のスカートをおなかの上...
以前才人が買い与えた、小さなクリーム色の、シルクのショー...
妊娠線こそ出ていないものの、軽く膨らみ、前まであったくび...
「五ヶ月で安定期に入ったんですよ。まだ服の上からじゃ分か...
するってえと姫さまと同じくらいの…。
思わず仕込んだ時期を計算しかける才人。
そしてそんな才人に、黒い笑顔で詰め寄るシエスタ。
「誰の子かは言わなくても分かりますよね?」
「は、はひ」
詰め寄られ、引き下がりながら答える才人。
デルフリンガーの言ったとおり、まさに年貢の納め時であった。
溜まりに溜まったツケが、一気に噴出した瞬間である。
もうこれ以上の議論は、何の意味もなさない。
まさに才人は俎上の鯉。追い詰められた鼠であった。
後ろによろめいたとたん、ベッドに足を引っ掛けてしまい、そ...
「それじゃ、デルフさんとマントはお預かりしておきますねー」
シエスタは笑顔のまま、慣れた手つきで、才人からデルフリン...
「あ、ちょ」
才人が何か言おうとした瞬間。
部屋の入り口から、声がした。
「おまたせー」
湯浴みを済ませたルイズだった。
薄桃色のバスローブに身を包み、ウェーブのかかった長い髪は...
わざとだろう、身にまとうバスローブの前ははだけられており...
一ヶ月ぶりの惚れた相手のあられもない格好に、思わず反応し...
ルイズはそんな才人の視線に気づいて、わざと才人の存在を無...
「いいお湯だったわ。ありがとシエスタ」
「いえいえー。ルイズも汗かいたまんまじゃイヤでしょ」
「まあね。あの状態けっこう疲れるのよね。体力的にはともか...
マントとデルフリンガーを抱えてベッドから遠ざかるシエスタ...
そして、すぐに才人の前に立つ。
前が見えるのも構わず、仁王立ちである。
「久しぶりね、犬」
「ひ、ひさしぶり」
とりあえず何か文句を言うつもりの才人だったが、ルイズ本人...
以前のルイズなら、今の才人でも反撃できたであろう。
しかし、今のルイズは違っていた。
全てを退ける究極の力を手に入れたルイズには、完璧な自信を...
まあ虚無の魔力などなくとも、ご主人様モードのルイズに才人...
ルイズは前かがみになって、ベッドに腰掛ける形の才人に、少...
そして、何も言わずに半眼でじーっと才人を見つめる。
「な、なにかな」
何も言わずにまるで嘗め回すように自分を見るルイズに、背中...
ルイズはふん、と鼻を鳴らすと、大きく股を開いてどすん、と...
そして、才人の顎をつまんで自分の方を向かせると。
「貧相な顔。こんなのが王様なんて笑っちゃうわね」
言って、心底呆れた顔をする。
この顔を才人は覚えている。
『あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて...
ああ、思い出した。俺がこの世界に呼び出されて、最初にルイ...
そんな表情を見せるルイズに、才人は思わず焦ってしまう。
ひょっとしてあの時の状態まで逆戻りしているのではないか、...
もちろんそれは、ルイズの作戦である。
才人は基本ヘタレである。どれだけ修行して強くなっても、業...
これはルイズとシエスタがさんざん才人を研究し尽くして出し...
だから、女の子たちに迫られるとなし崩しに落とされる。まる...
だが、根無し草、というのとはちょっと違う、とシエスタは言...
才人の気持ちには基本となる部分がある、というのだ。それは...
『サイトさんは、ルイズが大好きなんです』
それこそが、才人の根本たる部分。シエスタが、そう指摘した。
思えば初めての夜のときも、才人はルイズのことを気にかけて...
何度肌を重ねても、シエスタは才人の中にルイズへの想いを感...
だから、シエスタはルイズも含めて、才人を愛することに決め...
一番に愛されなくてもいい。傍にいられればそれでいい。一番...
そう考えることにした。
そして、シエスタは指摘する。
『そんなサイトさんを一撃でダウンさせる方法、思いつきまし...
それこそが、これ。
『ひょっとしてルイズに嫌われてないか、俺?』
そう思わせることで、才人を精神的に不安定にさせ、そこに漬...
少し卑怯な気もしたが、とりあえずしばらくの間、才人を縛り...
そして今、ルイズは、最初に才人と逢った時のことを思い出し...
ちょっと前なら久しぶりに会った瞬間に、甘い声で鳴きながら...
しかし、この一ヶ月の空白と才人を手に入れるための覚悟が、...
ルイズは表情を変えず、才人の顎をつかんだまま、続けた。
「こんなのが王様になったらトリステインは終わりだわね。
ひょっとして私ってば救国の英雄かしら」
さすがにそこまで言われて黙っていられる才人ではない。
「ちょ、ちょっと待てよ、いくらなんでもそりゃ理屈が飛びす...
顎を引きながら反論したせいでルイズの指が顎から外れる。
ルイズは一瞬ムっとして、そして、才人の頭を両側からがし!...
そしてぎりぎりぎりと指に力を篭めるルイズ。
才人はこの感触を覚えていた。ルイズの四十八のお仕置き技の...
ぱっと見たいしたことなさそうだが、結構痛い。
「ま、待てルイズ!落ち着け!」
慌ててルイズの腕を振り払おうとする才人。
しかし。
「いいからじっとしてなさい」
静かなルイズの声に、覚悟を決めて動きを止め、目をつぶる才...
これ以上、ルイズに嫌われたら犬死んじゃいます。
そしてルイズはいよいよ指に力を篭め、
ちゅ。
何か柔らかいものが唇に当たる感触に、思わず才人は目を開け...
才人の頭を両手で掴んで、ルイズは柔らかい唇を才人の唇に押...
何が起こっているのか分からない才人に、ルイズは唇を離し、...
「これは、契約のキスよ。アンタが一生、私の傍から逃げ出さ...
「え」
「誓いなさい。私のものになるって。
そうしたら、一生愛してあげる。サイトだけを、命を賭けて...
潤んだ瞳。朱に染まる頬。
それは、ルイズが才人だけに見せる顔。
愛している人にだけ見せる、これ以上ない、優しい、不安な表...
ぐらついていた才人の基部に、最高のタイミングで最も重い一...
一度マイナスの極地まで堕とされた心が、一気に舞い上がる。
まさに究極の作戦であった。
「返事は?」
そして極上の笑顔。
最後の核弾頭が、才人の総司令部を融解させた。
「は、はい」
「よくできました」
今度はぎゅっと抱きついて、才人の唇を奪う。身体を前に進め...
才人もルイズを抱きしめ返し、その華奢な身体を抱きしめる。
二人の唇が自然と開き、お互いの舌が絡み合う。
口腔内を舌で犯しあい、二人は濃密なキスの空間で見つめ合う。
お互いの呼気すら飲み込むキスはそれほど長くは続かない。
ほどなくして二人は唇を離し、二人の間に粘液の糸が走る。
先に口を開いたのはルイズ。
「コラ犬」
相変わらずの犬呼ばわりだが、その声はあくまで優しく、才人...
ルイズは甘いキスで既に濡れ始めている股間を、すぐ後ろで大...
「発情してんじゃないわよ。ほんとにもう、どうしようもない...
「む、無茶いうなよ。この状況で立たなきゃ俺不能じゃねえか」
才人の言うことは確かにもっともである。
好いた相手が、肌も露な格好で抱きついてきていて、しかも濃...
そんな才人の反論に、ルイズは才人の顎の先に右の人差し指を...
「ふふ。言い訳しないの。アンタはサカリのついたエロ犬なの。
こんなどうしようもない変態犬にはお仕置きが必要だわ」
そして、身体をずらして、軽く開いた才人の足の間にもぐりこ...
ズボンの前を開き、才人を自由にする。
完全に勃起した才人は前を開けられると勢いよく起き上がる。
そして。
「いいって言うまで出しちゃダメよ」
勃起した才人の先端に、ルイズは優しく口付ける。
そしてそのまま舌で、才人の竿をぺろぺろと嘗め回し始める。
「うあっ」
吸い付くような口全体とは違う、舌だけの優しい愛撫に声が漏...
「ガマンなさい。英雄なんでしょ」
「いや英雄関係な」
才人の反論に、今度は亀頭の返しの裏側を甘噛みする。
「くぁ!」
「お仕置きだからね。ちゃんとガマンしなさいよ」
言って顔の横にかかった髪をかき上げ、今度は亀頭だけを口に...
丹念に、亀頭の形をなぞるように。
ちゅるちゅると唾液の音を響かせながら。
卑猥に、ただ卑猥に、ルイズは才人の性器の先端を愛おしく責...
「ま、待ってルイズ、俺もうムリっ」
才人の断末魔に近い声に、ルイズはちゅぽんっ、と唾液と先走...
「ほんとにもう、堪え性のないダメ犬なんだから」
言って、唇の端から零れる唾液をぬぐおうともせず、ルイズは...
限界直前まで登りつめていた快感を無理やり押し鎮める才人。...
あまりにも完璧な忠犬っぷりであった。
ルイズはそんな才人を満足そうに見下ろすと、バスローブをぱ...
凹凸の少ない、未成熟な肉体が露になる。しかし、その足りな...
ルイズはそのまま四つんばいでベッドに上がる。
そして、才人に向かって形のいいヒップを突き出し、そして、...
にちゃぁ、と粘液質な音をたてて、粘液の糸をひきながら、ル...
ルイズは肩越しに才人を振り返って、あくまで強気に、言った。
「アンタが出していいのはここだけよ」
ごく、と才人は喉を鳴らす。
さらにルイズはそんな才人に追い討ちをかける。
「ほら、早くなさい。いつまでご主人様を待たせるつもりなの...
あまりにも淫らな命令を受け取り、才人はあっという間にズボ...
入り口に押し当てられた雄の感触に、ルイズは一瞬、あ、と喘...
「入れる前に、言うことがあるでしょ?…サイト、ほら、言って...
名を呼ばれ、甘い声で懇願され、才人は答える。
「愛してる。世界で一番。大好きだ、ルイズ」
その真剣な言葉に、ルイズの一番奥がぎゅうっ、と締め付けら...
そして、その一瞬だけ、素直な言葉を漏らす。
「私も愛してる。だいすき。サイト」
その言葉に、才人は一気に腰をルイズの突き当たりまで進める。
ずるずると膣道を削られ、ぐいぐいと膣奥を圧迫され、ルイズ...
その乱暴に打ち込まれる快楽の電流に、ルイズは必死に耐え、...
「ば、ばかいぬぅ、さ、サカりすぎ…っ!も、もっとゆっくりし...
喘ぎを必死で押し殺し、命令を下す。
しかし、才人は止まらない。
小刻みにルイズの奥を小突きながら、ぎゅうぎゅうと硬く絞ら...
「ご、ごめんっ、で、でもとまらなっ…!」
先ほどの口淫で高められた才人の性感はすぐに崩落する。
その声とほぼ同時に、ルイズの中で才人が弾けた。
どくんどくんと撃ち込まれる一月ぶりの才人の迸りに、それま...
「あ、だめ、今ダメ、ば、ばかいぬぅーーーーーーっ!あああ...
背筋を限界まで反らし、ぎゅっと才人を絞り上げ、熱く焼かれ...
くたん、と互いに力が抜け、折り重なるようにベッドに突っ伏...
そして、先に意識を取り戻したのはルイズ。
自分の髪の中でぐったりする才人に、ルイズは声をかけた。
「…ばか犬、早すぎ」
「ご、ごめん。でも、あんまりルイズの中が気持ちよくて」
不意打ち気味のその言葉に思わずきゅんとしてしまうルイズ。
しかし、こんなので終わっていては、計画は台無しである。
ルイズは、自分の中で身体と同じくぐったりしている才人自身...
「で、なんで一回でこんなぐったりしてんのよ。
サカってんならすぐ元気になりなさいよ」
「む、無茶言うなって…」
確かにもう少しルイズの中にいれば、才人の息子は復活するだ...
しかし、一度に大量の精液を出したせいで、気だるさが才人に...
流石に即座の復活は無理だった。
が。
「しょうがないわね。シエスタっ!」
「はぁい♪」
才人を背中に乗せたまま、ルイズは顔だけ上げて、シエスタの...
すると、今まで部屋の外に控えていたシエスタがいそいそと部...
「い?シエスタいたのっ?」
「ええまあ。いい声でしたよ〜。お二人とも」
「御託はいいから、シエスタ、サイトを立たせなさい」
「はぁ〜い」
驚く才人を他所に、ルイズはシエスタに命令を下し。
シエスタはあっという間にメイド服を脱ぎ去ると、妊娠してぽ...
「ちょ、シエスタなにす」
臀部に当たるシエスタの吐息に、才人は上半身を起こすが。
「妊娠してても、こういうことはできますから〜」
シエスタは悪戯っぽく言って、あっという間に才人の肛門に舌...
そして、右手で陰嚢をもみしだく。
「くぁ!ちょ、シエスタ汚いって!」
しかしそんな言葉に惑わされるシエスタではない。
舌をくにくにと動かしながら、あくまで優しく陰嚢を刺激する。
その強烈な刺激に、才人の一物は一瞬で復帰する。
自分の中で膨らむ雄を感じ取ったルイズは、肉食獣の笑みで言...
「よくやったわ、シエスタ!」
そして今度は、自分で腰を振り始める。
自らの意思でぎゅうぎゅうと才人を締め上げ、膣道の最も隆起...
「ちょっと、ま、まてお前ら、いくらなんでもこれっ」
無理やり高められていく焦燥感に、才人は喘ぎに近い声を漏ら...
ルイズは、そんな才人の声と、自分の中で再び膨らんでいく才...
「ほら、出していいわよっ、ばか犬の、精液、思いっきり、出...
は、孕んであげる、孕んであげるからっ!
か、感謝しなさいよ、ね…っ!わ、私に種付けできる、お、男...
言って、全身全霊の力を篭めて才人を絞り上げ、子宮口でぎっ...
シエスタは今度は才人の尻の溝を嘗め回しながら、両手で才人...
そして才人は。
「うぁぁぁぁぁぁああああーーっ!」
意識が真っ白になるほどの絶頂に襲われ、食らい付くルイズの...
月明かりに満たされる粗末な調度の部屋。
その中央のキングサイズのベッドでは、二人の少女が一人の黒...
黒髪の男、才人は眠っていたが、顔色が悪く、うなされている。
出なくなるまで搾り取られて気絶しているのである。当然とい...
限界まで才人を貪りつくしたピンク色の悪魔は、才人の左で頬...
「ねえ、ちゃんと孕めたと思う?」
「大丈夫ですよ。私の計算だと今日ルイズバッチリ危険日だし。
危険日にあれだけ中出ししまくって、できないほうがどうか...
心配そうにシエスタに語りかけるルイズの顔は、先ほどまでの...
先ほどのあれはもちろん演技で、才人をルイズに縛り付けるた...
弱ったところを徹底的に叩き、反撃の機会を与えない。兵法の...
ルイズはシエスタの言葉に、嬉しそうに微笑んだ。
「ふふ。ありがと。これもシエスタのお陰かな。
シエスタがいなかったら、『始祖の祈祷書』も『解体・始祖...
「ありがとうございます。そう言ってくれるなら、手助けした...
「ご褒美に、週に一回サイトを貸してあげるわ」
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「何言ってんの、アンタ安定期じゃないの!できないじゃない...
「何言ってんですか、お口でもお尻でも、胸でだってできます...
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いつのまにやら恋敵の表情に戻った二人はんぎぎぎぎぎ、とに...
そして。
「う、うう〜ん…もうムリだってば、姫さまもシャルロットもテ...
どんな夢を見ているのか、とんでもない寝言をかましてしまっ...
どかばきぼこすか!
ルイズとシエスタはさんざんぶったたいて踏みつけて殴りつけ...
そこはアルビオンの片田舎。
岩山に囲まれた小さな屋敷があるという。
とある貴族が秘密の逢引のために立てたといわれる、豪奢な作...
しかし数ヶ月前から、そこに人が住み着いた。
貴族ではないと自ら言ったその三人は、やがてその近隣の町で...
ある時は巨額の賞金首を捕まえ、そしてある時は近隣に住み着...
やがて数年たち、それは人の知るところとなり、その人物の正...
そして、町の人々は彼らの正体を隠匿し、その屋敷に近寄る者...
なぜなら。
虚無の魔王相手に、喧嘩を売る気など毛頭なかったから。
昔も今も、『触らぬ神に祟りなし』である。
「そして、トリステインの盾はいなくなりましたとさ。おしま...
「ねえかあさま。えいゆうさんはどうしてまおうをやっつけな...
「あのね、世の中には思い通りにいかない事っていうのがいっ...
「でも、おはなしでしょ?めでたしめでたしっておわらないの...
「めでたしめでたしで終わらない話もあるのですよ。これから...
「でもかあさま」
「あなたが聞きたいって言ったから話したの。もうこの話はお...
「…なんでかあさま怒ったのかな。
それに、なんであんなおはなしなんだろう。
…とうさまのおはなしきかせてっていっただけなのにな」
『虚無の使い魔』〜fin
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