ゼロの使い魔保管庫
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開始行:
最近タバサの様子がおかしい。
キュルケはそう感じていた。
本を読んでいるときに話しかけても上の空なのはいつものこと...
以前なら、誰が話しかけようが読書を中断することなんてなか...
それに最近、タバサの表情が緩くなった。
前は面白い冗談を飛ばしても頬の一つも緩まなかったのに、最...
それがまた可愛かったりするわけで。
まあ、いいことなのだろうが、親友の自分がその変化の原因を...
「調べちゃおうかしら」
キュルケの中の『微熱』が騒ぎ始めていた。
虚無の曜日。
本来なら、タバサは自室に篭りきり、読書に没頭している日で...
ところがその日は、タバサは朝から自室の扉を開けて外に出て...
「ドコ行くのかしら」
廊下の角から顔だけ出し、タバサの動向を見守る。
タバサの手には何冊かの本が抱えられている。図書室に返却に...
タバサはそのまますたすたと階段の方へ歩き出す。
キュルケはタバサに気づかれないように、できるだけ距離を開...
タバサが向かったのは、ヴェストリの広場。
図書室とはぜんぜん方向が違う。
タバサは広場の適当な場所に借りてきた椅子と机を置くと、机...
「何?野外で読書するだけ??」
これではいつもと変わらない。
まあ確かに、今までのタバサならわざわざ屋外に出て本を読む...
しかし、しばらくするとキュルケにもその理由が分かった。
『おー、早いなタバサー』
なんと、ルイズの使い魔が現れ、タバサに声をかけたのだ。
しかも、タバサは声をかけられると、本を閉じて、なんと才人...
『おはよう』
なるほど!そういうことね!
キュルケの中のセンサーがビンビン反応する。
タバサはサイトに恋してる。
だから、あんな風に変わったのだ。才人に気に入られるために。
んもー、かんわいいじゃないのっ。
今は自分にはジャンという恋愛対象がいるため、ぶっちゃけル...
「お姉さん、全力で協力してあげるわっ」
とりあえず、現状を把握することが大事だ。
キュルケは観察を続行することにした。
少しすると、才人は上着を脱いで剣を手に取り、いきなり素振...
どうやら才人の日課らしい。
その傍らでは、タバサは黙々と読書を続けている。
「…なんなのこの煮え切らない雰囲気」
もっとこー、視線を絡ませるとか、会話するとかー、しないと...
とか植え込みの陰で思っていると、不意にタバサが立てかけて...
すると、風が才人の足元をすくい、すってんころりん、と転ば...
『こらタバサ、やったなあ!』
才人はすぐにタバサの悪戯だと気づき、タバサに食って掛かる。
…子供かよ!
思わず心の中で突っ込むキュルケ。
『…シャルロット』
不機嫌な声で、タバサがそう言うのがキュルケにははっきり聞...
…なんですと?
タバサは食って掛かってきた才人に、あからさまなむくれ顔で...
『いやでも』
『今二人きり』
『いちおーオレもいるけどなー』
…待てぃ。
ってことは、サイトとタバサは、『二人きりの時はシャルロッ...
いつの間に!やるじゃないあの子ってば!
ワクワクしながらキュルケが覗き見していると。
「なにやってんのキュルケ」
背後から聞きなれた声が聞こえた。
「げ。ラ・ヴァリエール」
そこにいたのはルイズ・フランソワーズその人だった。
まずい。親友と使い魔の逢引なんか見たら、この嫉妬魔人は問...
「なに?なんか面白いものでも」
こういうときに限ってこのオタンチンはー!
言って、ルイズは、キュルケの覗いていた植え込みの向こうを...
自分の使い魔のこととなると妙に鋭いルイズであった。
「なななな何もないわよ!ちょっとギーシュが地面に埋まって...
ひゅ〜〜〜〜〜、どか。
どこからともなく降ってきたギーシュが、ルイズの背後の地面...
『地面とキスして頭冷やしなさいっ!』
塔の高みから、モンモランシーの怒声が降ってきた。
「…埋まってるわね」
「…見事に」
「見てないで助けてくれよレディたち〜〜〜〜」
くぐもった声でそう訴えるギーシュだが、それに応える酔狂は...
「なに?ギーシュの浮気現場でも覗き見してたってわけ?相変...
「そそそそーよ!終わったみたいだし帰ろうかしら〜。ふんふ...
言ってその場でわざとらしく足踏みなどしてみせる。
ルイズが三白眼でそれを見つめる。
「…怪しいわね」
言って、神速の動作で植え込みの向こうを覗き込んだ。
まーーーずーーーいーーー!!
普段トロくっさいのになんでこういう時だけこの子ってば!!
「?何もないじゃない」
「へ?」
ルイズの言葉に、キュルケが二人のいた場所を見てみると。
見事に誰もいなかった。
ヴェストリの広場を出た二人は、女子寮に向かっていた。
もちろん才人がタバサを『抱っこ』して。
『シャルロット』で呼ばなかった罰だそうだ。
「…誰かに見つかったらどうすんだよ」
才人の言葉に、才人の肩の上で今にも雪崩を起こしそうなくら...
「へいき」
「…いやオレが平気じゃないんだけど…」
こんなとこ見つかったら間違いなく、『ロリコンサイト』だの...
「じゃあこうする」
言ってタバサは杖を軽く振る。
すると二人の身体が浮き、女子寮の屋根に到達する。
そしてもう一度ルーンを唱えると、周囲の景色が青く歪んだ。
「これで、外からは見えない」
どうやら幻術で、周囲から見えなくしたらしい。
そしてタバサは、んー、と才人の身体に全力で密着する。
「お、おいタバサ」
「シャルロット」
怒ったようなタバサの声が、才人の耳を直撃する。
「…2回も間違えた」
完全に拗ねている。
「わ、悪かったよシャルロット」
「…もう許さない」
…声が笑ってるんですけど…。
「いいって言うまでこうしてて」
言ってタバサは、才人の胸に顔を埋める。
「はいはい、しょうがないなあ…」
才人は小さな子供にそうするように、抱きついてきたタバサの...
タバサは、これ以上ないくらい嬉しそうな顔で、その手に頭を...
今回の虚無の曜日は、長くなりそうである。 〜fin
終了行:
最近タバサの様子がおかしい。
キュルケはそう感じていた。
本を読んでいるときに話しかけても上の空なのはいつものこと...
以前なら、誰が話しかけようが読書を中断することなんてなか...
それに最近、タバサの表情が緩くなった。
前は面白い冗談を飛ばしても頬の一つも緩まなかったのに、最...
それがまた可愛かったりするわけで。
まあ、いいことなのだろうが、親友の自分がその変化の原因を...
「調べちゃおうかしら」
キュルケの中の『微熱』が騒ぎ始めていた。
虚無の曜日。
本来なら、タバサは自室に篭りきり、読書に没頭している日で...
ところがその日は、タバサは朝から自室の扉を開けて外に出て...
「ドコ行くのかしら」
廊下の角から顔だけ出し、タバサの動向を見守る。
タバサの手には何冊かの本が抱えられている。図書室に返却に...
タバサはそのまますたすたと階段の方へ歩き出す。
キュルケはタバサに気づかれないように、できるだけ距離を開...
タバサが向かったのは、ヴェストリの広場。
図書室とはぜんぜん方向が違う。
タバサは広場の適当な場所に借りてきた椅子と机を置くと、机...
「何?野外で読書するだけ??」
これではいつもと変わらない。
まあ確かに、今までのタバサならわざわざ屋外に出て本を読む...
しかし、しばらくするとキュルケにもその理由が分かった。
『おー、早いなタバサー』
なんと、ルイズの使い魔が現れ、タバサに声をかけたのだ。
しかも、タバサは声をかけられると、本を閉じて、なんと才人...
『おはよう』
なるほど!そういうことね!
キュルケの中のセンサーがビンビン反応する。
タバサはサイトに恋してる。
だから、あんな風に変わったのだ。才人に気に入られるために。
んもー、かんわいいじゃないのっ。
今は自分にはジャンという恋愛対象がいるため、ぶっちゃけル...
「お姉さん、全力で協力してあげるわっ」
とりあえず、現状を把握することが大事だ。
キュルケは観察を続行することにした。
少しすると、才人は上着を脱いで剣を手に取り、いきなり素振...
どうやら才人の日課らしい。
その傍らでは、タバサは黙々と読書を続けている。
「…なんなのこの煮え切らない雰囲気」
もっとこー、視線を絡ませるとか、会話するとかー、しないと...
とか植え込みの陰で思っていると、不意にタバサが立てかけて...
すると、風が才人の足元をすくい、すってんころりん、と転ば...
『こらタバサ、やったなあ!』
才人はすぐにタバサの悪戯だと気づき、タバサに食って掛かる。
…子供かよ!
思わず心の中で突っ込むキュルケ。
『…シャルロット』
不機嫌な声で、タバサがそう言うのがキュルケにははっきり聞...
…なんですと?
タバサは食って掛かってきた才人に、あからさまなむくれ顔で...
『いやでも』
『今二人きり』
『いちおーオレもいるけどなー』
…待てぃ。
ってことは、サイトとタバサは、『二人きりの時はシャルロッ...
いつの間に!やるじゃないあの子ってば!
ワクワクしながらキュルケが覗き見していると。
「なにやってんのキュルケ」
背後から聞きなれた声が聞こえた。
「げ。ラ・ヴァリエール」
そこにいたのはルイズ・フランソワーズその人だった。
まずい。親友と使い魔の逢引なんか見たら、この嫉妬魔人は問...
「なに?なんか面白いものでも」
こういうときに限ってこのオタンチンはー!
言って、ルイズは、キュルケの覗いていた植え込みの向こうを...
自分の使い魔のこととなると妙に鋭いルイズであった。
「なななな何もないわよ!ちょっとギーシュが地面に埋まって...
ひゅ〜〜〜〜〜、どか。
どこからともなく降ってきたギーシュが、ルイズの背後の地面...
『地面とキスして頭冷やしなさいっ!』
塔の高みから、モンモランシーの怒声が降ってきた。
「…埋まってるわね」
「…見事に」
「見てないで助けてくれよレディたち〜〜〜〜」
くぐもった声でそう訴えるギーシュだが、それに応える酔狂は...
「なに?ギーシュの浮気現場でも覗き見してたってわけ?相変...
「そそそそーよ!終わったみたいだし帰ろうかしら〜。ふんふ...
言ってその場でわざとらしく足踏みなどしてみせる。
ルイズが三白眼でそれを見つめる。
「…怪しいわね」
言って、神速の動作で植え込みの向こうを覗き込んだ。
まーーーずーーーいーーー!!
普段トロくっさいのになんでこういう時だけこの子ってば!!
「?何もないじゃない」
「へ?」
ルイズの言葉に、キュルケが二人のいた場所を見てみると。
見事に誰もいなかった。
ヴェストリの広場を出た二人は、女子寮に向かっていた。
もちろん才人がタバサを『抱っこ』して。
『シャルロット』で呼ばなかった罰だそうだ。
「…誰かに見つかったらどうすんだよ」
才人の言葉に、才人の肩の上で今にも雪崩を起こしそうなくら...
「へいき」
「…いやオレが平気じゃないんだけど…」
こんなとこ見つかったら間違いなく、『ロリコンサイト』だの...
「じゃあこうする」
言ってタバサは杖を軽く振る。
すると二人の身体が浮き、女子寮の屋根に到達する。
そしてもう一度ルーンを唱えると、周囲の景色が青く歪んだ。
「これで、外からは見えない」
どうやら幻術で、周囲から見えなくしたらしい。
そしてタバサは、んー、と才人の身体に全力で密着する。
「お、おいタバサ」
「シャルロット」
怒ったようなタバサの声が、才人の耳を直撃する。
「…2回も間違えた」
完全に拗ねている。
「わ、悪かったよシャルロット」
「…もう許さない」
…声が笑ってるんですけど…。
「いいって言うまでこうしてて」
言ってタバサは、才人の胸に顔を埋める。
「はいはい、しょうがないなあ…」
才人は小さな子供にそうするように、抱きついてきたタバサの...
タバサは、これ以上ないくらい嬉しそうな顔で、その手に頭を...
今回の虚無の曜日は、長くなりそうである。 〜fin
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