ゼロの使い魔保管庫
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「艤装主任。新しい艦砲の進行具合はどうかね?」
此処はアルビオンロサイスの軍港
現在、旧名ロイヤルソブリン、今はレキシントンと改名された...
「予定通り進行してますな。サークロムウェル」
「うむ、素晴らしいだろう。今度の艦砲はな、このシェフィー...
「成程。ではこのロイヤルソブリンは、ハルケギニア最強の艦...
「レキシントンだよ、艤装主任」
「そう言われれば、そうでしたな」
艤装主任ボーウッドはさらりと皮肉を言いつつ、漂々としている
「中々骨が有るようだな、艤装主任。では、かつての主ならど...
クロムウェルの背後に立つ人物を見ると驚愕し、直ぐに膝をつく
「ウェールズ殿下」
「やぁ、ボーウッド。僕もレコンキスタに加わる事にしたよ」
ウェールズが手を出した為、臣下の口付けをするが驚愕する
生きてる感じがしないが、水の流れはウェールズ王子のそれで...
ボーウッドは水メイジの為、全て感じ、それ故に驚愕する
「此は、尋常な状態じゃない」
噂が有った事を思い出す
クロムウェルは虚無の使い手だと
「まさか、虚無?」
クロムウェルは満足そうに頷いた
* * *
才人が眼を覚ますと、ルイズはまだ寝ている
しっかりと才人を掴み、脚は絡め、頭は才人の腕枕
ルイズにとっての、添い寝完全スタイル
才人は完全に諦め、ルイズが起きる迄待つ
今日は目覚め迄、きちんと付き合うと決めている
暫く待っていると、もぞもぞ動き出し、ルイズは目を開ける
「ルイズ、おはよう」
「サイト?おはよう」
ルイズの目の下の隈が取れ、髪にも艶が少し戻る。肌も少し艶...
「良く眠れたか?」
コクリと頷く
「サイト居ないと、眠れない」
「前は平気だったろ?」
ルイズは首を振る
「もう、無理だもん」
「…そうか。さて、着替えて今日は朝から掃除だ。良いな?ルイ...
二人で荒れきった部屋を見回し、くすりと笑う
「さぁ、片付けるわよ?犬」
「わん」
二人は顔を洗い、箒と雑巾を片手に片付け始めた
* * *
授業を休んだコルベールとシュヴルーズ。シュヴルーズは、学...
土のトライアングルメイジなら、製作に向くだろうと言う理由だ
後は興味津々な学生とルイズ、其に冒険時のメンバー
アニエスと竜騎士
学院長も見物に来ている
一番広い広場の端で才人はジャケットとゴーグルをし、デルフ...
操縦席に座ると、ルーンが離陸距離が少々足りない事を教えて...
「滑走距離が足りないな。空母みたいに、風上なら大丈夫なん...
「相棒、ならちっこい嬢ちゃんに、風送って貰えば良いんじゃ...
「そうだな。タバサ、此方来てくれ」
タバサがとことこ駆けて来る
「俺が合図したらさ、機首に向かって、強めにウィンドを頼む...
こくりと頷き、タバサが駆けていき、配置につく
「良し、コルベール先生。お願いします」
「解った。行くぞ、才人君」
ゴロゴロ、プス、ブロロロロ!!
「お〜、こりゃ、おもろぇ」
「良し、プロペラピッチ良し、タバサに合図、ウィンド良し。...
零戦が滑走を始め離陸速度に少し足りないが、向かい風でカバ...
「今だ、相棒」
操縦捍を操作し、フラップを離陸位置にし、ふわりと浮かび離...
「お〜浮いた浮いた。こりゃ、おもれぇ」
「良くデルフが解るな」
「此だって、武器だろ?大体解らぁな」
「お前は最高のナビゲーターだな」
「凄い、本当に、飛んだ?」
見物した全員からどよめきが起きる
竜騎士が離陸し、零戦を追いかける
上空で竜騎士と零戦がランデブーし、才人が親指を立て、竜騎...
その後、同じ広場に着陸体制を取るが、大事な事を忘れてる事...
「しまった、着陸の合図決めてねぇ!!」
「何とかきばれ、相棒」
着陸体制を取る零戦に、竜騎士が追随し、様子を見守る
33kt(約61km/h)で着陸ギアが地面を擦り、ランディング
「やべ、やっぱり滑走距離足りねぇ!!ぶつかる!!」
ブレーキをかけるが間に合わず、前方から強風が叩き付けられ...
壁ギリギリで停止する
「危ねぇ、せっかくの零戦壊す所だった」
「ガンダールヴの癖に失敗か?相棒。停止距離、余裕有ったろ...
「ガンダールヴでも、着陸操作は難しいんだよ。お〜い、助か...
竜騎士に声をかけ、竜騎士が親指を立てる
「せっかくの玩具、壊れなくて良かったな」
「全くだ」
才人が苦笑を浮かべ、お互いに降りて竜騎士と握手を交わす
「タバサも有難うな。助かった」
コクリと頷くタバサ
「ほう、此が竜の羽衣かね」
「そうですよ。オスマンの爺さん。ちょっと改修に、人材貸し...
「良いとも良いとも。此なら魔法学院の力を示す、良い機会だ...
「はい」
「才人君に手を貸したまえ。君の、土メイジとしての技量が必...
「了解ですわ。オールドオスマン。才人さん宜しくお願いしま...
「はい、早速ですが、機体全体に硬化を永続で掛けて頂けませ...
「中身を見せて頂けませんか?」
「えぇ、此処に足掛けて登って下さい。フラップ踏んじゃ駄目...
シュヴルーズは中を覗き込み
「へ〜成程。先程言ったワイヤーは此ですね?解りました。で...
シュヴルーズが機体全体に硬化をかけ、機体の装甲が上がる
「良し。懸案の防御問題が改善だな。タバサ、ちょっと来てく...
タバサが才人にエンジンと排気管を指し示す
「この排気管の出口とエンジンに、ちょっとサイレンスかけて...
タバサがこくりと頷き、サイレンスをかけると、才人が操縦席...
「コルベール先生、点火」
「解った」
一度かかったエンジンは、すんなりかかる
ブロロロロ
「やっぱり元の音がでかいせいで、サイレンスが丁度良いミュ...
「了解だ」
才人がエンジンの回転を上げる
ブオオオォォ!!
「良し、良い感じのミュートだな」
才人がエンジンを切る
「タバサ、サイレンスを永続でかけてくれないか?」
「条件変わると切れる」
「例えば?」
「破壊」
「成程ね。って事は、分解整備とかすると、かけ直しか。了解...
コクリと頷き、サイレンスを一度解き、永続効果のサイレンス...
「此で、機体そのものはオッケーだな。じゃ、次はオプション...
「はい」
「僕もかい?」
「あぁ、ちょっと二人に、鉄の剣を錬金で出して欲しい」
「何をする気だい?才人」
「破壊試験だよ」
「はぁ?」
「私達が考えても、才人さんの考えは解りませんね。ミスタグ...
二人が錬金で鉄の剣を出す
「良し。アニエスさん、ギーシュの剣を横に持って」
「解った。こうか?」
アニエスが近寄り、ギーシュの剣を横手に出すと、才人は無造...
ギィン!!
一際高い音が鳴り、周りの連中が思わず耳を塞ぐ
すると、才人が持っている剣が折れている
「ふむ、成程ね。ギーシュ、鉄の材料を指示するから錬金して...
「何で、トライアングルが作った剣が、ドットが作った剣に負...
全員が、不可解な出来事に、首を傾げる
「コルベール先生。魔法はイメージでしたよね?」
「その通りだ」
「つまりギーシュのが、シュヴルーズ先生より、鉄に馴染んだ...
「あ、成程」
ギーシュ自身が一番驚いているが、才人の説明に納得する
「凄いですわね、ミスタグラモン。そんな所を見出す才人さん...
「シュヴルーズ先生は、ガソリンの錬金をお願いします。揮発...
「解りました。量は?」
「取りあえず5樽。樽保管だと危ないので、成功したら、零戦...
「はい」
「キュルケ、コルベール先生」
「なぁに?ダーリン」
「何かな?」
「二人共、魔法制御試験。フレイムボールを詠唱して、杖の先...
「また、無茶な注文を」
「ダーリンの注文は、無謀って言うのよ?」
二人共勉強会以上の注文に、こめかみをひくつかせる
「何だ。炎蛇も微熱も大した事ないな。日本なら、魔法使わな...
「才人君。二つ名の侮辱は、メイジに取ってタブーに近いのを...
「幾らダーリンでも、許せない事も有るのよ?フォン=ツェル...
「そうだね。ルイズをゼロって言ったら、俺がそいつを半殺し...
「…ほぅ」
「…上等ね」
ルイズは才人の発言を聞き赤面するが、コルベールとキュルケ...
一触即発
「私は闘うのは嫌いだが、出来ないって訳では無いのだよ?」
「ダーリン。お仕置き位は構わないわよね?きちんとお尻に敷...
「二人共、勿論出来るよね?」
才人はニヤリと笑う
「当然だ」
「馬鹿にしないで頂戴」
二人共フレイムボールを詠唱し、可能な限り炎を圧縮させ、効...
「何だ?炎の色が変わっていく?」
「ちょっと、何これ?どういう事?」
コルベールの炎は青を通り越し青紫
キュルケの炎は青くなる
「炎の色が変わったのは、炎の温度が変わったからだよ。通常...
「キュルケの炎で3000〜3500℃位。コルベール先生ので4000〜50...
「才人君、凄く疲れるんだが?」
「私も。もう止めて良い?」
「良いよ」
二人共、スペルを解除し、ため息をつく
「で、才人君、さっき言った、エネルギーとか温度の単位とか...
「エネルギーってのは、簡単に言うと力です」
「力?」
「そう、例えば剣で何かを斬る。此は運動エネルギーが発生し...
「ふむふむ」
「エネルギーは大別すると5つ、光,運動,雷,熱,化学。メイジ...
「メイジが理不尽と?考えた事無かったな」
「其に先住といった、違った系統でもやっぱりエネルギーを無...
「才人君に解らないモノは、私達にも解らないだろうな。さっ...
「通常大気圧下で、水が氷になる温度を0℃沸騰する温度を100℃...
「ふむふむ」
「鉄の融点は1500℃位、熱を加え加工するには、炎は3000℃は必...
「成程、だからさっきの試験は合格と。何かやらせる積もりだ...
「ダーリンの講義は、さっぱり解らないわ」
コルベールは才人の講義になるとメモを取り、熱心に聞きいる...
「ギーシュ、鉄の錬金で、どれ位薄く出来る?」
「才人の希望は?」
「0.8/1000メイルから、1.2/1000メイル位」
「サントで言ってよ」
「0.08サントから、0.12サント」
「無茶だよ、才人」
「0.15サント越えると、堅くなりすぎて、面倒いんだよ」
「難しいなぁ」
「試しに、15サント四方で頼むよ。コルベール先生、ノギス出...
「実はまだだ。ストレート出すのが難しくてね」
「ヤスリは有るかな?」
「一応、持ってるが。全て魔法でやれる訳では無いからね」
「それじゃ、コルベール先生の研究室に。オスマン爺さん有難...
「あたしは?」
「ルイズは祝詞出来たか?」
「う、まだよ」
「じゃあ、そっちだ。出来たり、相談したかったら、顔出して」
「…うん」
才人に呼ばれた人達が、コルベールと共に研究室に向かう
「帰って来たんだから、相手してくれても構わないじゃない。...
「さてと、まさか土石を売る事なく、使う事になるとはなぁ」
「土石使えば、集中出来るかも」
「試してみてくれ」
「解ったよ」
「あの、才人さん。ガソリンって、こんな感じですか?」
コルベールに説明を受けたシュヴルーズが、錬金した物を持っ...
「ちょっとテストしましょうか。揮発…しない。先生着火」
「はい。ウル・カーノ」
中々点火せず、暫くすると燃焼を始め、煤が出る
「此は、軽油だ。しっかり、硫黄が不純物で混じってやがる」
「違うのですか?」
「えぇ、コルベール先生。試しに錬金して下さい」
「解った」
コルベールが錬金した物を持って来て、シュヴルーズに渡す
「こんな感じですよ。ミセスシュヴルーズ」
「あら、凄い蒸発しますわね。点火しても宜しいですか?」
「えぇ」
「ウル・カーノ」
ボン!!
シュヴルーズの前髪が、炎に巻き込まれて縮れ、呆然としている
「び、びっくりした」
「あちゃー、火を付ける量が多すぎた」
才人が言い、周りから笑い声が起きる
「イメージとして、理解出来ました?」
「はい、凄い爆発でしたね。良いイメージになりました」
シュヴルーズはまた錬金する為、石炭の山に挑む
「コルベール先生、ノギスの試作品は?」
「此だよ」
コルベールがノギスを渡す
「ふむ」
才人が各部を点検し、歪みを確認する
「成程、ボディが刀みたいに反った上に捻れがあるな。万力有...
「万力?」
「こうやって挟んで、物を固定する奴」
「此だな」
「ヤスリ、平面の奴。それとギーシュ、鉄でこんな感じの棒を3...
「解った」
ギーシュが錬金した先端がコの字型をした、棒を万力に挟んだ...
「良し、次はっと、ギーシュ、2サント四方位の鉄の駒、3個」
「解った」
錬金した物を受け取り、万力からノギスを外し、駒を三点に置...
「キュルケ、青い炎。出力範囲は杖一本」
「解ったわ」
キュルケが青い炎を出すと、才人はキュルケの杖を持った手を...
「やだ、ダーリンったら、こんな所で」
「俺の手の動きに合わせて。炎の維持に集中してくれ」
「もう。解ったわよ」
才人が炎でノギスを焙り、ノギスが熱を帯びた頃を見計らい、...
「良しオッケー」
「ふぅ。これ、疲れるわよ」
「ほう、そんな風に加工するのか」
才人の手つきをみて、コルベールは感心する
「急冷すると歪むから、自然冷却ね。ギーシュ、試験用の鉄板...
「一応錬金した。どうかな?」
才人に鉄板を渡す
「ふうむ、ちと厚いな」
「見て解るのかい?」
「あぁ、これで大体1.6mmって所かな?」
「これ以上は無理だよ」
「そうか、じゃあしょうがない。なるべく薄くなる様に努力し...
「解ったよ」
「次、タバサ、コルベール先生。今のキュルケがやった青い炎...
「才人君、幾らなんでも無理だ。僕達が青い炎を出す事すら重...
「タバサもそう思うか?」
「…試してみる」
「だとさ、先生」
「まあ、試すのは構わないか」
コルベールが青い炎を出し、汗を垂らしながら維持する
「良しタバサ、吹かせて」
シュー、ポン
「駄目か、消えてしまった。諦めよう」
「随分あっさり諦めるんだな」
「他の方法を取る」
「代案有るのかい?」
「まぁね」
ギーシュが用意した鉄板を万力に挟み、其にペンでケガキ、才...
「全員太刀筋の範囲から退避」
皆が退避すると
「食らえ、人間シャーリング!!」
才人は一気に村雨を振る
ジャギィン!!
火花が跳ね、印通りに切断された事を確認し、切断面を見る
「ん〜さっきの火花と破断状態から察するに、加工にはちょい...
「才人君。さっきのは切断用かい?」
「そうですよ。でも此方のが加工速いですわ。使い魔って、便...
才人は、ガンダールヴで有る事を感謝した
「才人さん、此でどうでしょう?」
持って来た油を確認すると、さっきより粘度が落ち、サラサラ...
「お、良い感じになってきたかな?では揮発……しない。先生着...
「はい、ウル・カーノ」
今度は先程より早く火が付くが、爆発は起きないし、まだ煤が...
「一段階上昇しました。此は灯油ですね。ガソリンは、もう一...
「えっと、改善してますか?」
「勿論です。流石シュヴルーズ先生ですね。赤土は伊達じゃな...
「まぁ。おだてても何も出ませんよ?」
笑いながら石炭の山に戻り、また集中し始めるシュヴルーズ
「そろそろ、ノギスが冷えたかな?」
才人がノギスを触ると少々熱い
グローブをはめ、そのまま点検する
「ふむ、ストレートは大体オッケー。じゃ、バリを削るか」
才人がヤスリを手に、万力にノギスを固定して、出っ張った所...
ジャッジャッ
「良しこんなもんか、此で部品はまらないかな?コルベール先...
「部品の加工精度も良く無いんだが。才人君」
「じゃあ、削りますよ。物は?」
「此だね」
グリップを渡されると才人はヤスリを使って削り始め、擦り合...
「はい、完了。後は目盛りをきちんと付けて下さい」
「うむ、了解した」
渡されたノギスを確認し、ご満悦なコルベール。後はきちんと...
「才人君。随分加工が上手いんだな」
「此が本職です。武器持つより、ハンマー握ってた方が良いで...
「ダーリンって、職人なの?」
「日本なら、何処にでも居る職人さ」
特に感慨に耽るでもなく、あっさり言う才人
「ツェルプストーで働かない?給料たっぷり払うわよ?」
「食いぶちに困ったら、お願いするよ」
「楽しみにしているわ」
「才人さん、此でどうでしょう?」
シュヴルーズが錬金した物を持って来る
「はい、今度は揮発。ばっちりしてますね。では着火」
「はい。ウル・カーノ」
ボン!!
炎が才人の顔を舐め、才人の髪が縮れる
「あらま。凄い爆発力。此で大丈夫ですね」
顔を真っ黒にしつつ才人が答える
そんな才人を指して、皆で爆笑した
* * *
「随分と彼方に時間取られたな。騎乗しろ」
「あいさ」
二人共馬に騎乗し、手には稽古剣を延長し、槍形状にしている
「此が騎兵のチャージだ、良く見ておけ」
アニエスが馬の腹に蹴りを入れ、才人に向かって突進
ダカラッダカラッ
槍を腰溜めに構えて才人の左脇を通過しつつ、才人を槍で突き...
「へぇ、一撃離脱か」
「そうだ、突破力を利用して、一撃離脱がチャージの特徴だ。...
「味方が喰らってる間に、蹴散らすって訳か」
「そういう事だ」
「銃士隊は?」
「基本は銃兵だ。剣はサブウェポン。騎乗突撃はしない。馬は...
「一番重装な竜騎士隊と魔法衛士隊でも、ランスと自前の杖と...
「メイジって、安上がりだね」
「何を言ってる?竜や、幻獣の維持費のが馬鹿にならん。騎兵...
「幻獣騎兵は?」
「幻獣騎兵は、竜騎士と同様にメイジ専門の兵科だ。竜騎士に...
「竜騎士に比べて、メイジの平均クラスが高いのも特徴だ。先...
「おっそろしいな」
「ま、最早伝説の域だな」
「竜騎士は?」
「騎兵における最強の兵科だ。所属は他の騎兵が陸軍に対し、...
「他に速度に徹する場合、風竜で編制する場合もある。風竜は...
「ハルケギニアで此より速い乗り物は、存在しない。風竜だと...
「何で?」
「爪や牙でも充分強力だし、逃げ足使って離脱した方が楽だか...
「確かに」
「それじゃあ、やってみろ」
「俺、乗馬下手くそなんだよなぁ」
「なら、良い訓練になるだろう」
才人は覚悟を決め、アニエスの馬と距離を取り、思い切って馬...
「……貴様、騎兵は諦めろ」
「…俺もそう思う」
その後、チャージの度にバランスを崩し、落馬も二桁を越え、...
「最初は、きちんと乗馬からだな」
「最初から、そうしてくれよ」
「貴様なら、大丈夫かと思ったんだが」
「俺は万能じゃねぇ」
「ふむ、意外な発見だな」
アニエスはクックと笑った
* * *
「ううう、思いつかない」
ルイズは祝詞を考えて記しては、上手く行かないと丸めて放り...
「本当に思いつかないもん。もうすぐ結婚式なのに。どうしよ...
「サイトが部屋に居れば何か閃くのに。ううぅ、帰って来ても...
ガチャ
「ふぅ、疲れた。こりゃ凄い状態だな」
ルイズは才人をキッと睨み、立ち上がる
「馬鹿犬〜!!何時までご主人様を放っておくのよ!?」
「あぁ、済まん済まん。零戦改修と騎兵訓練が長引いてね」
「あたしの事は、どうでも良いの?」
「そんな訳無いだろ?今日は初日だから、色々手間取ったんだ...
「明日から、もっと早く帰って来なさい!!」
眼を吊り上げ、ビシッと指を突き付け、片手を腰にふんぞり返...
身長と容姿のせいで、そんな仕草も可愛いらしい
「ん、可愛い可愛い」
才人はついルイズを撫でる
「子供扱いするなぁ〜〜!!」
才人は胸に視線に移し、はぁっとため息を付く
「その胸じゃなぁ」
ドゲシッ!!
「グハッ」
「ああああんたは帰って来て早々、ごごごご主人様を怒らせる...
蹴りを入れ、倒れた才人に馬乗りになり、ルイズはにっこり微...
「ご随意に、マイロード」
「宜しい」
ルイズの久し振りのお仕置きを、才人は黙って受け入れた
「ふぅ、すっとした」
ボロ屑になった才人の上で、満足のため息を洩らすルイズ
「ん、何か閃きそうだわ」
そのまま机に向かい、ルイズは祝詞の草稿を、考えながら書き...
「……此で日常だな」
ぼろぼろになりながら、才人は床の上で呟いた
* * *
ロサイスの軍港。ボーウッドは艤装主任から艦隊司令へと、ア...
「今、なんと言いました?もう一度言って下さい」
「接触したら、艦を自沈させ、其を理由に戦端を開けと言った...
「本気で言っておるのですか?」
「勿論だ」
「冗談では有りません。このアルビオンの歴史上、条約破りな...
「勝てば良い。会議での決定事項だ。君は、何時から政治家に...
「……謹んで拝命致します。サークロムウェル」
敬礼を返すボーウッド
「参謀に会議の者を連れよう。ワルド子爵」
「此処に」
「竜は操れるかね?」
「私は、ハルケギニアに住まう幻獣は、全て操れると自負して...
「宜しい、貴君には竜騎士隊の隊長として、指揮して頂こう。...
「拝命、謹んでお受け致します」
ワルドも敬礼する
「君達なら、トリスタニア迄あっさり落とすだろうな」
「そんな事は有りません。長引く戦乱のせいで、熟達した者達...
「その為の新型砲だ。其に竜騎士に於いては、まだまだ精強だ...
「イエス・サー」
ボーウッドは表情を消し、敬礼する
クロムウェルが去ると、溜め息を付く
「こんな命令、陛下なら絶対にしなかったのだが」
王党派でありながら、上官がレコンキスタに与した為、そのま...
自身の顛末に皮肉を感じ、今夜は酒を浴びるしかなさそうだと...
「あのボーウッドと言う男、信用出来ますかな?クロムウェル...
「あぁ、大丈夫だよ、ワルド子爵。あれは根っからの軍人だ。...
「成程」
「其よりも君の方だ。せっかく付けたミスサウスゴータに、手...
「残念ながら、私は嫌われてましてね。必要な時意外は、全く...
「ふむ、中々上手く行かない様ですな」
「陛下の様にはべらす事等、とてもとても」
「あれは、虚無の血統を後世に残す為ですからな。聖なる行為...
「聖職ですから、勿論そうでしょうな」
「君は私から見ると無欲に感じるのだが?もう少し、欲を見せ...
「そんな事は有りませんよ。私は、誰よりも強欲です」
「グリードですか。7つの大罪の一つですな」
「陛下はラストですな」
お互いにニヤリとする
「では陛下、お互いの欲の為に」
「うむ、期待してますよ。閃光殿」
クロムウェルが執務室に戻ると、黒装束のエルフの女のみ。シ...
執務室は机と椅子。其に接客用のソファーが二つ、間にテーブ...
クロムウェルが椅子に腰掛けると、女はヴェールを上げ、その...
ピチャ、ピチャ、ヌル
「うぉ、おっおっおっ。出る!!」
ドクン
クロムウェルの、勢いある射精をエルフの女は、苦もなく飲み...
射精が終わると、服の胸を開き、クロムウェルの顔を柔らかく...
スカートの下には、何も穿いてない
「うおぉぉぉ。本当に堪らん。もう出すぞ」
「はい、クロムウェル様」
「オリヴァーと呼べ。うく」
「はい、クロムウェル様」
ドクンドクン
クロムウェルは、女の中に射精する
「く、やはり呼ばぬか。名は何という?」
「始祖ブリミルに敵対する、私如き卑しきエルフの女なぞ、端...
そのまま膣を締め上げ、クロムウェルに次弾を発射させるべく...
「くっ。やはり名乗らぬか。しかし、滑稽だな。2年前の異端...
クロムウェルはまた射精する
「あの時は、私が愚かだったのです。もっと早くクロムウェル...
「今はどうだ?」
「クロムウェル様の子を宿す事が出来ぬのが。口惜しく思いま...
「随分と嫉妬深いんだな。以前の女達を、知らぬ間にオークと...
「えぇ、引き渡しましたとも。妾で有り続ける苦しみなぞ、同...
「クックックックッ。モードへの愚痴か。此は面白い。其に子...
「宜しいのですか?」
「そなたの子に、代わりに果たして貰おう。娘の場所は知らぬ...
「残念ながら。其に、2年も経ってしまえば、どちらに行った...
会話をしながら、腰と膣は休めず、ずっとクロムウェルを攻め...
「其もそうだな。やっとアルビオン全土を征服したからな。此...
ドクンドクン
「勿論ですわ。クロムウェル様」
「そしたらお前の娘に私の子を産んで貰おう。そうすれば、名...
「娘もきっと喜ぶでしょう」
「そうだとも、そして次は、トリステインのアンリエッタだ」
「素敵ですわ」
「トリステインとアルビオンを征服すれば、次はガリアのイザ...
「この身果てる迄、愛し、お仕え致しますわ」
「そうだ、先住の力で余を守れ」
「勿論ですわ。愛しいクロムウェル様。愛の証を、沢山注いで...
「勿論だ。行くぞ」
「はい」
クロムウェルが射精する度にエルフの女の胸に顔を埋め、表情...
女の顔は笑顔も快楽も浮かべず、自身を犯す生物を、汚物を見...
* * *
才人はハンマーを握ると、突然笑い出す
「クックックックッ。アッハッハッハッハッハ。そっか、そう...
「…才人君?」
「人間プレスになれと、ルーンが語ってるんですよ」
才人の明らかにおかしい様子に、コルベールが汗を垂らす
「才人君?」
「さてと、ケガキだな。円錐台展開はh=al÷(a−b)で板厚センタ...
「才人君?」
「五月蝿ぇ。今話かけんな」
「はい?」
「職人の仕事中に話かけんなってんだ。計算とか、関数電卓ね...
「才人君?」
「返事はどうしたぁ!!コッパゲェ!!」
「サ、サー!!イエス・サー!!」
思わず、アルビオン式で答礼するコルベール
「ミスタコルベール?才人さん、どうしちゃったんですか?」
「わ、私にも解らないよ、ミセスシュヴルーズ。只、今の才人...
「今迄見た中で、一番素敵な顔ですわね」
ギーシュが錬金した鉄板の上で、紙に計算を記しながら、ぶつ...
「あ〜いぼ〜」
「60kg爆弾を搭載するとして、比重1と仮定して計算すると、...
「あ〜いぼ〜」
「大体胴体部と円錐2本として…」
「あ〜いぼ〜よ〜」
「黙れデルフ」
「何でおめぇ、戦ってる時より、心が震えてんだよ?」
「知るか、んなもん。計算の邪魔すんな!!」
「相棒、俺っちは悲しいねぇ」
「だからこうなって、おっと、前方と後方で円錐の高さ変えな...
ぶつぶつ計算しながら紙に書き、寸法が決まると、ペンで鉄板...
「クックックックッ。俺がガンダールヴなのは、こういう理由...
村雨をスラリと抜き鉄板を刻み始める
ギィン!!ギィン!!ギィン!!
「クックックックッ。シャーリング使うより速ぇ。コルベール...
「何だね、それは?」
「ち、無いのか、なら」
ハンマーを構え、鉄板を叩き出す。その振りは、人間の目に追...
ガガガガガ
テーブルの縁を利用して、鉄板が曲がっていき、ドンドン形成...
その様を見て、騒音に顔をしかめながらも二人は感心する
「へぇ、ああやって形成するんですねぇ」
「私も、初めて見た時は驚いた。あれで、非常に正確に加工す...
「どれ位出来るんですか?」
「才人君が言うには、自分は並だから、0.01サントがせいぜい...
「細工職人でも、其処まで出来るかしら?」
「私は職人じゃないから、解らないね」
* * *
キュルケ達は放課後に研究室に向かう。メンバーはキュルケ,タ...
モンモランシーは、溜った調合を片付けると言って、さっさと...
「研究室に行くのは良いけど、この人数じゃ狭いのよね〜。其...
「才人が何を作ろうとしてるかは解らないけど、やってる事は...
「ギーシュは、彫金とかもするんだっけ?」
「うん、するよ。僕からすると、あの手つき見たら、僕のは完...
「サイトって、鉄を加工する職人だったんだ。そういえば、以...
「で、呼ばれてないのに、何でルイズ迄来てるのよ?彼処狭い...
「使い魔の仕事振り見るのも、主人の務めだもん」
「ま、一応正論ね。でも、頼まれた人達の邪魔はしないでよ?...
「違うの?」
「昨日で気付かなかったの?眼付きからして、違ってたじゃな...
「…ややややっぱり、監視が必要ね」
「今のダーリンは、女なんか見てないわよ。色恋ばっかで見な...
「うぐ」
「さてと、着いた。コルベール先生に才人、入るよ」
扉を開けると、製作途中の代物が形成された状態でごろりとし...
才人は残りの鉄板の上に座り頬杖を付き、退屈そうにしている
「何?この惨状?」
キュルケ達がポカンとして見渡し、ルイズがシュヴルーズに近...
「ミセスシュヴルーズ?」
「もう駄目です許して下さいそんなキツイ錬金なんて無茶です...
「…サイト、何やったの?」
「……皆、逃げろ。今の才人君は……鬼だ」
コルベールは、精神力の許容を越えた魔力の行使により、気絶...
「……やっと来たな。溶接機とバーナー共」
才人がキュルケ達の背後に周り込み、ガシリとキュルケとギー...
「ちょっと、ダーリン?」
「才人、何か変だよ?」
「良いから良いから。さぁ、楽しい物作りだ」
その顔は凄絶な形相を呈しており、皆が息を飲む
「…また今度と言う事で」
「まぁまぁ、乗り掛かった船なんだ。最後迄付き合え。な?」
「…タバサ、一人で逃げようなんて、許さないわよ」
キュルケが逃げようとしたタバサを、がしりと掴む
タバサは怯えた顔で、ぷるぷる首を振る
「それじゃ、ちゃっちゃか、魔力を全部出せ。メイジの使用率...
「い、いやあああああ!?」
全員の絶叫が木霊し、才人に使い倒された皆が、魔力切れで気...
「ねぇ、ボロ剣」
「なんでぇ?」
「今日のサイト、ずっとこんな感じ?」
「…物作り中のハンマー持った相棒には、絶対に逆らうな。俺っ...
「…ワルドの時より?」
「あんなん、今の相棒からすりゃ、雑魚だっての。心の震え方...
「何なのよ?それ?」
「知らん」
死々累々となった研究室に一人頬杖を付いた才人を見て、ルイ...
「ちっ、メイジの仕事じゃ、ちっとも進まねぇ」
* * *
「才人君、提案なんだが」
「なんでしょう、コルベール先生」
「うむ、こう爆弾に火薬を使った推進機関を搭載するのはどう...
「構いませんけど、出来るんですか?」
「うむ、火の使い方は色々研究してたモノでね。大体の部分は...
「へ〜流石ですね。それじゃ、爆弾じゃなくて、ロケット弾に...
「だが火薬は衝撃に弱くてね、弾頭に詰めると欲しい所に到達...
「黒色火薬の特性ですか?俺は、火薬は良く解らないんですよ...
「其処ら辺は任せて頂こう、つまりだね…」
「…ふむふむ、成程。それでいきましょう。重量オーバーは、50...
「大丈夫かね?」
「多分大丈夫でしょう。いざとなったら、レビテーションで重...
「ふむ、流石才人君。魔法を応用させたら、ピカイチだな」
「問題は」
「…我々の魔力切れだな」
「こればっかりは、どうにもなりませんね」
「才人君のやり方は合理的なんだが、とにかく制御が大変でね...
「えぇ、余りにも大変なんで、初めての時は取り乱してしまい...
「では、もう一段の改造と言う事で」
「解りました。でも此って、鉄が薄すぎませんか?」
「最初は対艦爆弾だったんで、わざと破壊され易くして、雷管...
「じゃあ、不味そうな部分に、硬化処理を施すのは如何でしょ...
「流石、赤土。其で行きましょう」
「ドンドン、大変になっていきますわね」
シュヴルーズはクスっと笑う
「職人の仕事の大半は、どうしてこうなった?が、基本ですよ」
「まぁ」
「それはそれは」
コルベールとシュヴルーズは、笑いあった
* * *
終了行:
「艤装主任。新しい艦砲の進行具合はどうかね?」
此処はアルビオンロサイスの軍港
現在、旧名ロイヤルソブリン、今はレキシントンと改名された...
「予定通り進行してますな。サークロムウェル」
「うむ、素晴らしいだろう。今度の艦砲はな、このシェフィー...
「成程。ではこのロイヤルソブリンは、ハルケギニア最強の艦...
「レキシントンだよ、艤装主任」
「そう言われれば、そうでしたな」
艤装主任ボーウッドはさらりと皮肉を言いつつ、漂々としている
「中々骨が有るようだな、艤装主任。では、かつての主ならど...
クロムウェルの背後に立つ人物を見ると驚愕し、直ぐに膝をつく
「ウェールズ殿下」
「やぁ、ボーウッド。僕もレコンキスタに加わる事にしたよ」
ウェールズが手を出した為、臣下の口付けをするが驚愕する
生きてる感じがしないが、水の流れはウェールズ王子のそれで...
ボーウッドは水メイジの為、全て感じ、それ故に驚愕する
「此は、尋常な状態じゃない」
噂が有った事を思い出す
クロムウェルは虚無の使い手だと
「まさか、虚無?」
クロムウェルは満足そうに頷いた
* * *
才人が眼を覚ますと、ルイズはまだ寝ている
しっかりと才人を掴み、脚は絡め、頭は才人の腕枕
ルイズにとっての、添い寝完全スタイル
才人は完全に諦め、ルイズが起きる迄待つ
今日は目覚め迄、きちんと付き合うと決めている
暫く待っていると、もぞもぞ動き出し、ルイズは目を開ける
「ルイズ、おはよう」
「サイト?おはよう」
ルイズの目の下の隈が取れ、髪にも艶が少し戻る。肌も少し艶...
「良く眠れたか?」
コクリと頷く
「サイト居ないと、眠れない」
「前は平気だったろ?」
ルイズは首を振る
「もう、無理だもん」
「…そうか。さて、着替えて今日は朝から掃除だ。良いな?ルイ...
二人で荒れきった部屋を見回し、くすりと笑う
「さぁ、片付けるわよ?犬」
「わん」
二人は顔を洗い、箒と雑巾を片手に片付け始めた
* * *
授業を休んだコルベールとシュヴルーズ。シュヴルーズは、学...
土のトライアングルメイジなら、製作に向くだろうと言う理由だ
後は興味津々な学生とルイズ、其に冒険時のメンバー
アニエスと竜騎士
学院長も見物に来ている
一番広い広場の端で才人はジャケットとゴーグルをし、デルフ...
操縦席に座ると、ルーンが離陸距離が少々足りない事を教えて...
「滑走距離が足りないな。空母みたいに、風上なら大丈夫なん...
「相棒、ならちっこい嬢ちゃんに、風送って貰えば良いんじゃ...
「そうだな。タバサ、此方来てくれ」
タバサがとことこ駆けて来る
「俺が合図したらさ、機首に向かって、強めにウィンドを頼む...
こくりと頷き、タバサが駆けていき、配置につく
「良し、コルベール先生。お願いします」
「解った。行くぞ、才人君」
ゴロゴロ、プス、ブロロロロ!!
「お〜、こりゃ、おもろぇ」
「良し、プロペラピッチ良し、タバサに合図、ウィンド良し。...
零戦が滑走を始め離陸速度に少し足りないが、向かい風でカバ...
「今だ、相棒」
操縦捍を操作し、フラップを離陸位置にし、ふわりと浮かび離...
「お〜浮いた浮いた。こりゃ、おもれぇ」
「良くデルフが解るな」
「此だって、武器だろ?大体解らぁな」
「お前は最高のナビゲーターだな」
「凄い、本当に、飛んだ?」
見物した全員からどよめきが起きる
竜騎士が離陸し、零戦を追いかける
上空で竜騎士と零戦がランデブーし、才人が親指を立て、竜騎...
その後、同じ広場に着陸体制を取るが、大事な事を忘れてる事...
「しまった、着陸の合図決めてねぇ!!」
「何とかきばれ、相棒」
着陸体制を取る零戦に、竜騎士が追随し、様子を見守る
33kt(約61km/h)で着陸ギアが地面を擦り、ランディング
「やべ、やっぱり滑走距離足りねぇ!!ぶつかる!!」
ブレーキをかけるが間に合わず、前方から強風が叩き付けられ...
壁ギリギリで停止する
「危ねぇ、せっかくの零戦壊す所だった」
「ガンダールヴの癖に失敗か?相棒。停止距離、余裕有ったろ...
「ガンダールヴでも、着陸操作は難しいんだよ。お〜い、助か...
竜騎士に声をかけ、竜騎士が親指を立てる
「せっかくの玩具、壊れなくて良かったな」
「全くだ」
才人が苦笑を浮かべ、お互いに降りて竜騎士と握手を交わす
「タバサも有難うな。助かった」
コクリと頷くタバサ
「ほう、此が竜の羽衣かね」
「そうですよ。オスマンの爺さん。ちょっと改修に、人材貸し...
「良いとも良いとも。此なら魔法学院の力を示す、良い機会だ...
「はい」
「才人君に手を貸したまえ。君の、土メイジとしての技量が必...
「了解ですわ。オールドオスマン。才人さん宜しくお願いしま...
「はい、早速ですが、機体全体に硬化を永続で掛けて頂けませ...
「中身を見せて頂けませんか?」
「えぇ、此処に足掛けて登って下さい。フラップ踏んじゃ駄目...
シュヴルーズは中を覗き込み
「へ〜成程。先程言ったワイヤーは此ですね?解りました。で...
シュヴルーズが機体全体に硬化をかけ、機体の装甲が上がる
「良し。懸案の防御問題が改善だな。タバサ、ちょっと来てく...
タバサが才人にエンジンと排気管を指し示す
「この排気管の出口とエンジンに、ちょっとサイレンスかけて...
タバサがこくりと頷き、サイレンスをかけると、才人が操縦席...
「コルベール先生、点火」
「解った」
一度かかったエンジンは、すんなりかかる
ブロロロロ
「やっぱり元の音がでかいせいで、サイレンスが丁度良いミュ...
「了解だ」
才人がエンジンの回転を上げる
ブオオオォォ!!
「良し、良い感じのミュートだな」
才人がエンジンを切る
「タバサ、サイレンスを永続でかけてくれないか?」
「条件変わると切れる」
「例えば?」
「破壊」
「成程ね。って事は、分解整備とかすると、かけ直しか。了解...
コクリと頷き、サイレンスを一度解き、永続効果のサイレンス...
「此で、機体そのものはオッケーだな。じゃ、次はオプション...
「はい」
「僕もかい?」
「あぁ、ちょっと二人に、鉄の剣を錬金で出して欲しい」
「何をする気だい?才人」
「破壊試験だよ」
「はぁ?」
「私達が考えても、才人さんの考えは解りませんね。ミスタグ...
二人が錬金で鉄の剣を出す
「良し。アニエスさん、ギーシュの剣を横に持って」
「解った。こうか?」
アニエスが近寄り、ギーシュの剣を横手に出すと、才人は無造...
ギィン!!
一際高い音が鳴り、周りの連中が思わず耳を塞ぐ
すると、才人が持っている剣が折れている
「ふむ、成程ね。ギーシュ、鉄の材料を指示するから錬金して...
「何で、トライアングルが作った剣が、ドットが作った剣に負...
全員が、不可解な出来事に、首を傾げる
「コルベール先生。魔法はイメージでしたよね?」
「その通りだ」
「つまりギーシュのが、シュヴルーズ先生より、鉄に馴染んだ...
「あ、成程」
ギーシュ自身が一番驚いているが、才人の説明に納得する
「凄いですわね、ミスタグラモン。そんな所を見出す才人さん...
「シュヴルーズ先生は、ガソリンの錬金をお願いします。揮発...
「解りました。量は?」
「取りあえず5樽。樽保管だと危ないので、成功したら、零戦...
「はい」
「キュルケ、コルベール先生」
「なぁに?ダーリン」
「何かな?」
「二人共、魔法制御試験。フレイムボールを詠唱して、杖の先...
「また、無茶な注文を」
「ダーリンの注文は、無謀って言うのよ?」
二人共勉強会以上の注文に、こめかみをひくつかせる
「何だ。炎蛇も微熱も大した事ないな。日本なら、魔法使わな...
「才人君。二つ名の侮辱は、メイジに取ってタブーに近いのを...
「幾らダーリンでも、許せない事も有るのよ?フォン=ツェル...
「そうだね。ルイズをゼロって言ったら、俺がそいつを半殺し...
「…ほぅ」
「…上等ね」
ルイズは才人の発言を聞き赤面するが、コルベールとキュルケ...
一触即発
「私は闘うのは嫌いだが、出来ないって訳では無いのだよ?」
「ダーリン。お仕置き位は構わないわよね?きちんとお尻に敷...
「二人共、勿論出来るよね?」
才人はニヤリと笑う
「当然だ」
「馬鹿にしないで頂戴」
二人共フレイムボールを詠唱し、可能な限り炎を圧縮させ、効...
「何だ?炎の色が変わっていく?」
「ちょっと、何これ?どういう事?」
コルベールの炎は青を通り越し青紫
キュルケの炎は青くなる
「炎の色が変わったのは、炎の温度が変わったからだよ。通常...
「キュルケの炎で3000〜3500℃位。コルベール先生ので4000〜50...
「才人君、凄く疲れるんだが?」
「私も。もう止めて良い?」
「良いよ」
二人共、スペルを解除し、ため息をつく
「で、才人君、さっき言った、エネルギーとか温度の単位とか...
「エネルギーってのは、簡単に言うと力です」
「力?」
「そう、例えば剣で何かを斬る。此は運動エネルギーが発生し...
「ふむふむ」
「エネルギーは大別すると5つ、光,運動,雷,熱,化学。メイジ...
「メイジが理不尽と?考えた事無かったな」
「其に先住といった、違った系統でもやっぱりエネルギーを無...
「才人君に解らないモノは、私達にも解らないだろうな。さっ...
「通常大気圧下で、水が氷になる温度を0℃沸騰する温度を100℃...
「ふむふむ」
「鉄の融点は1500℃位、熱を加え加工するには、炎は3000℃は必...
「成程、だからさっきの試験は合格と。何かやらせる積もりだ...
「ダーリンの講義は、さっぱり解らないわ」
コルベールは才人の講義になるとメモを取り、熱心に聞きいる...
「ギーシュ、鉄の錬金で、どれ位薄く出来る?」
「才人の希望は?」
「0.8/1000メイルから、1.2/1000メイル位」
「サントで言ってよ」
「0.08サントから、0.12サント」
「無茶だよ、才人」
「0.15サント越えると、堅くなりすぎて、面倒いんだよ」
「難しいなぁ」
「試しに、15サント四方で頼むよ。コルベール先生、ノギス出...
「実はまだだ。ストレート出すのが難しくてね」
「ヤスリは有るかな?」
「一応、持ってるが。全て魔法でやれる訳では無いからね」
「それじゃ、コルベール先生の研究室に。オスマン爺さん有難...
「あたしは?」
「ルイズは祝詞出来たか?」
「う、まだよ」
「じゃあ、そっちだ。出来たり、相談したかったら、顔出して」
「…うん」
才人に呼ばれた人達が、コルベールと共に研究室に向かう
「帰って来たんだから、相手してくれても構わないじゃない。...
「さてと、まさか土石を売る事なく、使う事になるとはなぁ」
「土石使えば、集中出来るかも」
「試してみてくれ」
「解ったよ」
「あの、才人さん。ガソリンって、こんな感じですか?」
コルベールに説明を受けたシュヴルーズが、錬金した物を持っ...
「ちょっとテストしましょうか。揮発…しない。先生着火」
「はい。ウル・カーノ」
中々点火せず、暫くすると燃焼を始め、煤が出る
「此は、軽油だ。しっかり、硫黄が不純物で混じってやがる」
「違うのですか?」
「えぇ、コルベール先生。試しに錬金して下さい」
「解った」
コルベールが錬金した物を持って来て、シュヴルーズに渡す
「こんな感じですよ。ミセスシュヴルーズ」
「あら、凄い蒸発しますわね。点火しても宜しいですか?」
「えぇ」
「ウル・カーノ」
ボン!!
シュヴルーズの前髪が、炎に巻き込まれて縮れ、呆然としている
「び、びっくりした」
「あちゃー、火を付ける量が多すぎた」
才人が言い、周りから笑い声が起きる
「イメージとして、理解出来ました?」
「はい、凄い爆発でしたね。良いイメージになりました」
シュヴルーズはまた錬金する為、石炭の山に挑む
「コルベール先生、ノギスの試作品は?」
「此だよ」
コルベールがノギスを渡す
「ふむ」
才人が各部を点検し、歪みを確認する
「成程、ボディが刀みたいに反った上に捻れがあるな。万力有...
「万力?」
「こうやって挟んで、物を固定する奴」
「此だな」
「ヤスリ、平面の奴。それとギーシュ、鉄でこんな感じの棒を3...
「解った」
ギーシュが錬金した先端がコの字型をした、棒を万力に挟んだ...
「良し、次はっと、ギーシュ、2サント四方位の鉄の駒、3個」
「解った」
錬金した物を受け取り、万力からノギスを外し、駒を三点に置...
「キュルケ、青い炎。出力範囲は杖一本」
「解ったわ」
キュルケが青い炎を出すと、才人はキュルケの杖を持った手を...
「やだ、ダーリンったら、こんな所で」
「俺の手の動きに合わせて。炎の維持に集中してくれ」
「もう。解ったわよ」
才人が炎でノギスを焙り、ノギスが熱を帯びた頃を見計らい、...
「良しオッケー」
「ふぅ。これ、疲れるわよ」
「ほう、そんな風に加工するのか」
才人の手つきをみて、コルベールは感心する
「急冷すると歪むから、自然冷却ね。ギーシュ、試験用の鉄板...
「一応錬金した。どうかな?」
才人に鉄板を渡す
「ふうむ、ちと厚いな」
「見て解るのかい?」
「あぁ、これで大体1.6mmって所かな?」
「これ以上は無理だよ」
「そうか、じゃあしょうがない。なるべく薄くなる様に努力し...
「解ったよ」
「次、タバサ、コルベール先生。今のキュルケがやった青い炎...
「才人君、幾らなんでも無理だ。僕達が青い炎を出す事すら重...
「タバサもそう思うか?」
「…試してみる」
「だとさ、先生」
「まあ、試すのは構わないか」
コルベールが青い炎を出し、汗を垂らしながら維持する
「良しタバサ、吹かせて」
シュー、ポン
「駄目か、消えてしまった。諦めよう」
「随分あっさり諦めるんだな」
「他の方法を取る」
「代案有るのかい?」
「まぁね」
ギーシュが用意した鉄板を万力に挟み、其にペンでケガキ、才...
「全員太刀筋の範囲から退避」
皆が退避すると
「食らえ、人間シャーリング!!」
才人は一気に村雨を振る
ジャギィン!!
火花が跳ね、印通りに切断された事を確認し、切断面を見る
「ん〜さっきの火花と破断状態から察するに、加工にはちょい...
「才人君。さっきのは切断用かい?」
「そうですよ。でも此方のが加工速いですわ。使い魔って、便...
才人は、ガンダールヴで有る事を感謝した
「才人さん、此でどうでしょう?」
持って来た油を確認すると、さっきより粘度が落ち、サラサラ...
「お、良い感じになってきたかな?では揮発……しない。先生着...
「はい、ウル・カーノ」
今度は先程より早く火が付くが、爆発は起きないし、まだ煤が...
「一段階上昇しました。此は灯油ですね。ガソリンは、もう一...
「えっと、改善してますか?」
「勿論です。流石シュヴルーズ先生ですね。赤土は伊達じゃな...
「まぁ。おだてても何も出ませんよ?」
笑いながら石炭の山に戻り、また集中し始めるシュヴルーズ
「そろそろ、ノギスが冷えたかな?」
才人がノギスを触ると少々熱い
グローブをはめ、そのまま点検する
「ふむ、ストレートは大体オッケー。じゃ、バリを削るか」
才人がヤスリを手に、万力にノギスを固定して、出っ張った所...
ジャッジャッ
「良しこんなもんか、此で部品はまらないかな?コルベール先...
「部品の加工精度も良く無いんだが。才人君」
「じゃあ、削りますよ。物は?」
「此だね」
グリップを渡されると才人はヤスリを使って削り始め、擦り合...
「はい、完了。後は目盛りをきちんと付けて下さい」
「うむ、了解した」
渡されたノギスを確認し、ご満悦なコルベール。後はきちんと...
「才人君。随分加工が上手いんだな」
「此が本職です。武器持つより、ハンマー握ってた方が良いで...
「ダーリンって、職人なの?」
「日本なら、何処にでも居る職人さ」
特に感慨に耽るでもなく、あっさり言う才人
「ツェルプストーで働かない?給料たっぷり払うわよ?」
「食いぶちに困ったら、お願いするよ」
「楽しみにしているわ」
「才人さん、此でどうでしょう?」
シュヴルーズが錬金した物を持って来る
「はい、今度は揮発。ばっちりしてますね。では着火」
「はい。ウル・カーノ」
ボン!!
炎が才人の顔を舐め、才人の髪が縮れる
「あらま。凄い爆発力。此で大丈夫ですね」
顔を真っ黒にしつつ才人が答える
そんな才人を指して、皆で爆笑した
* * *
「随分と彼方に時間取られたな。騎乗しろ」
「あいさ」
二人共馬に騎乗し、手には稽古剣を延長し、槍形状にしている
「此が騎兵のチャージだ、良く見ておけ」
アニエスが馬の腹に蹴りを入れ、才人に向かって突進
ダカラッダカラッ
槍を腰溜めに構えて才人の左脇を通過しつつ、才人を槍で突き...
「へぇ、一撃離脱か」
「そうだ、突破力を利用して、一撃離脱がチャージの特徴だ。...
「味方が喰らってる間に、蹴散らすって訳か」
「そういう事だ」
「銃士隊は?」
「基本は銃兵だ。剣はサブウェポン。騎乗突撃はしない。馬は...
「一番重装な竜騎士隊と魔法衛士隊でも、ランスと自前の杖と...
「メイジって、安上がりだね」
「何を言ってる?竜や、幻獣の維持費のが馬鹿にならん。騎兵...
「幻獣騎兵は?」
「幻獣騎兵は、竜騎士と同様にメイジ専門の兵科だ。竜騎士に...
「竜騎士に比べて、メイジの平均クラスが高いのも特徴だ。先...
「おっそろしいな」
「ま、最早伝説の域だな」
「竜騎士は?」
「騎兵における最強の兵科だ。所属は他の騎兵が陸軍に対し、...
「他に速度に徹する場合、風竜で編制する場合もある。風竜は...
「ハルケギニアで此より速い乗り物は、存在しない。風竜だと...
「何で?」
「爪や牙でも充分強力だし、逃げ足使って離脱した方が楽だか...
「確かに」
「それじゃあ、やってみろ」
「俺、乗馬下手くそなんだよなぁ」
「なら、良い訓練になるだろう」
才人は覚悟を決め、アニエスの馬と距離を取り、思い切って馬...
「……貴様、騎兵は諦めろ」
「…俺もそう思う」
その後、チャージの度にバランスを崩し、落馬も二桁を越え、...
「最初は、きちんと乗馬からだな」
「最初から、そうしてくれよ」
「貴様なら、大丈夫かと思ったんだが」
「俺は万能じゃねぇ」
「ふむ、意外な発見だな」
アニエスはクックと笑った
* * *
「ううう、思いつかない」
ルイズは祝詞を考えて記しては、上手く行かないと丸めて放り...
「本当に思いつかないもん。もうすぐ結婚式なのに。どうしよ...
「サイトが部屋に居れば何か閃くのに。ううぅ、帰って来ても...
ガチャ
「ふぅ、疲れた。こりゃ凄い状態だな」
ルイズは才人をキッと睨み、立ち上がる
「馬鹿犬〜!!何時までご主人様を放っておくのよ!?」
「あぁ、済まん済まん。零戦改修と騎兵訓練が長引いてね」
「あたしの事は、どうでも良いの?」
「そんな訳無いだろ?今日は初日だから、色々手間取ったんだ...
「明日から、もっと早く帰って来なさい!!」
眼を吊り上げ、ビシッと指を突き付け、片手を腰にふんぞり返...
身長と容姿のせいで、そんな仕草も可愛いらしい
「ん、可愛い可愛い」
才人はついルイズを撫でる
「子供扱いするなぁ〜〜!!」
才人は胸に視線に移し、はぁっとため息を付く
「その胸じゃなぁ」
ドゲシッ!!
「グハッ」
「ああああんたは帰って来て早々、ごごごご主人様を怒らせる...
蹴りを入れ、倒れた才人に馬乗りになり、ルイズはにっこり微...
「ご随意に、マイロード」
「宜しい」
ルイズの久し振りのお仕置きを、才人は黙って受け入れた
「ふぅ、すっとした」
ボロ屑になった才人の上で、満足のため息を洩らすルイズ
「ん、何か閃きそうだわ」
そのまま机に向かい、ルイズは祝詞の草稿を、考えながら書き...
「……此で日常だな」
ぼろぼろになりながら、才人は床の上で呟いた
* * *
ロサイスの軍港。ボーウッドは艤装主任から艦隊司令へと、ア...
「今、なんと言いました?もう一度言って下さい」
「接触したら、艦を自沈させ、其を理由に戦端を開けと言った...
「本気で言っておるのですか?」
「勿論だ」
「冗談では有りません。このアルビオンの歴史上、条約破りな...
「勝てば良い。会議での決定事項だ。君は、何時から政治家に...
「……謹んで拝命致します。サークロムウェル」
敬礼を返すボーウッド
「参謀に会議の者を連れよう。ワルド子爵」
「此処に」
「竜は操れるかね?」
「私は、ハルケギニアに住まう幻獣は、全て操れると自負して...
「宜しい、貴君には竜騎士隊の隊長として、指揮して頂こう。...
「拝命、謹んでお受け致します」
ワルドも敬礼する
「君達なら、トリスタニア迄あっさり落とすだろうな」
「そんな事は有りません。長引く戦乱のせいで、熟達した者達...
「その為の新型砲だ。其に竜騎士に於いては、まだまだ精強だ...
「イエス・サー」
ボーウッドは表情を消し、敬礼する
クロムウェルが去ると、溜め息を付く
「こんな命令、陛下なら絶対にしなかったのだが」
王党派でありながら、上官がレコンキスタに与した為、そのま...
自身の顛末に皮肉を感じ、今夜は酒を浴びるしかなさそうだと...
「あのボーウッドと言う男、信用出来ますかな?クロムウェル...
「あぁ、大丈夫だよ、ワルド子爵。あれは根っからの軍人だ。...
「成程」
「其よりも君の方だ。せっかく付けたミスサウスゴータに、手...
「残念ながら、私は嫌われてましてね。必要な時意外は、全く...
「ふむ、中々上手く行かない様ですな」
「陛下の様にはべらす事等、とてもとても」
「あれは、虚無の血統を後世に残す為ですからな。聖なる行為...
「聖職ですから、勿論そうでしょうな」
「君は私から見ると無欲に感じるのだが?もう少し、欲を見せ...
「そんな事は有りませんよ。私は、誰よりも強欲です」
「グリードですか。7つの大罪の一つですな」
「陛下はラストですな」
お互いにニヤリとする
「では陛下、お互いの欲の為に」
「うむ、期待してますよ。閃光殿」
クロムウェルが執務室に戻ると、黒装束のエルフの女のみ。シ...
執務室は机と椅子。其に接客用のソファーが二つ、間にテーブ...
クロムウェルが椅子に腰掛けると、女はヴェールを上げ、その...
ピチャ、ピチャ、ヌル
「うぉ、おっおっおっ。出る!!」
ドクン
クロムウェルの、勢いある射精をエルフの女は、苦もなく飲み...
射精が終わると、服の胸を開き、クロムウェルの顔を柔らかく...
スカートの下には、何も穿いてない
「うおぉぉぉ。本当に堪らん。もう出すぞ」
「はい、クロムウェル様」
「オリヴァーと呼べ。うく」
「はい、クロムウェル様」
ドクンドクン
クロムウェルは、女の中に射精する
「く、やはり呼ばぬか。名は何という?」
「始祖ブリミルに敵対する、私如き卑しきエルフの女なぞ、端...
そのまま膣を締め上げ、クロムウェルに次弾を発射させるべく...
「くっ。やはり名乗らぬか。しかし、滑稽だな。2年前の異端...
クロムウェルはまた射精する
「あの時は、私が愚かだったのです。もっと早くクロムウェル...
「今はどうだ?」
「クロムウェル様の子を宿す事が出来ぬのが。口惜しく思いま...
「随分と嫉妬深いんだな。以前の女達を、知らぬ間にオークと...
「えぇ、引き渡しましたとも。妾で有り続ける苦しみなぞ、同...
「クックックックッ。モードへの愚痴か。此は面白い。其に子...
「宜しいのですか?」
「そなたの子に、代わりに果たして貰おう。娘の場所は知らぬ...
「残念ながら。其に、2年も経ってしまえば、どちらに行った...
会話をしながら、腰と膣は休めず、ずっとクロムウェルを攻め...
「其もそうだな。やっとアルビオン全土を征服したからな。此...
ドクンドクン
「勿論ですわ。クロムウェル様」
「そしたらお前の娘に私の子を産んで貰おう。そうすれば、名...
「娘もきっと喜ぶでしょう」
「そうだとも、そして次は、トリステインのアンリエッタだ」
「素敵ですわ」
「トリステインとアルビオンを征服すれば、次はガリアのイザ...
「この身果てる迄、愛し、お仕え致しますわ」
「そうだ、先住の力で余を守れ」
「勿論ですわ。愛しいクロムウェル様。愛の証を、沢山注いで...
「勿論だ。行くぞ」
「はい」
クロムウェルが射精する度にエルフの女の胸に顔を埋め、表情...
女の顔は笑顔も快楽も浮かべず、自身を犯す生物を、汚物を見...
* * *
才人はハンマーを握ると、突然笑い出す
「クックックックッ。アッハッハッハッハッハ。そっか、そう...
「…才人君?」
「人間プレスになれと、ルーンが語ってるんですよ」
才人の明らかにおかしい様子に、コルベールが汗を垂らす
「才人君?」
「さてと、ケガキだな。円錐台展開はh=al÷(a−b)で板厚センタ...
「才人君?」
「五月蝿ぇ。今話かけんな」
「はい?」
「職人の仕事中に話かけんなってんだ。計算とか、関数電卓ね...
「才人君?」
「返事はどうしたぁ!!コッパゲェ!!」
「サ、サー!!イエス・サー!!」
思わず、アルビオン式で答礼するコルベール
「ミスタコルベール?才人さん、どうしちゃったんですか?」
「わ、私にも解らないよ、ミセスシュヴルーズ。只、今の才人...
「今迄見た中で、一番素敵な顔ですわね」
ギーシュが錬金した鉄板の上で、紙に計算を記しながら、ぶつ...
「あ〜いぼ〜」
「60kg爆弾を搭載するとして、比重1と仮定して計算すると、...
「あ〜いぼ〜」
「大体胴体部と円錐2本として…」
「あ〜いぼ〜よ〜」
「黙れデルフ」
「何でおめぇ、戦ってる時より、心が震えてんだよ?」
「知るか、んなもん。計算の邪魔すんな!!」
「相棒、俺っちは悲しいねぇ」
「だからこうなって、おっと、前方と後方で円錐の高さ変えな...
ぶつぶつ計算しながら紙に書き、寸法が決まると、ペンで鉄板...
「クックックックッ。俺がガンダールヴなのは、こういう理由...
村雨をスラリと抜き鉄板を刻み始める
ギィン!!ギィン!!ギィン!!
「クックックックッ。シャーリング使うより速ぇ。コルベール...
「何だね、それは?」
「ち、無いのか、なら」
ハンマーを構え、鉄板を叩き出す。その振りは、人間の目に追...
ガガガガガ
テーブルの縁を利用して、鉄板が曲がっていき、ドンドン形成...
その様を見て、騒音に顔をしかめながらも二人は感心する
「へぇ、ああやって形成するんですねぇ」
「私も、初めて見た時は驚いた。あれで、非常に正確に加工す...
「どれ位出来るんですか?」
「才人君が言うには、自分は並だから、0.01サントがせいぜい...
「細工職人でも、其処まで出来るかしら?」
「私は職人じゃないから、解らないね」
* * *
キュルケ達は放課後に研究室に向かう。メンバーはキュルケ,タ...
モンモランシーは、溜った調合を片付けると言って、さっさと...
「研究室に行くのは良いけど、この人数じゃ狭いのよね〜。其...
「才人が何を作ろうとしてるかは解らないけど、やってる事は...
「ギーシュは、彫金とかもするんだっけ?」
「うん、するよ。僕からすると、あの手つき見たら、僕のは完...
「サイトって、鉄を加工する職人だったんだ。そういえば、以...
「で、呼ばれてないのに、何でルイズ迄来てるのよ?彼処狭い...
「使い魔の仕事振り見るのも、主人の務めだもん」
「ま、一応正論ね。でも、頼まれた人達の邪魔はしないでよ?...
「違うの?」
「昨日で気付かなかったの?眼付きからして、違ってたじゃな...
「…ややややっぱり、監視が必要ね」
「今のダーリンは、女なんか見てないわよ。色恋ばっかで見な...
「うぐ」
「さてと、着いた。コルベール先生に才人、入るよ」
扉を開けると、製作途中の代物が形成された状態でごろりとし...
才人は残りの鉄板の上に座り頬杖を付き、退屈そうにしている
「何?この惨状?」
キュルケ達がポカンとして見渡し、ルイズがシュヴルーズに近...
「ミセスシュヴルーズ?」
「もう駄目です許して下さいそんなキツイ錬金なんて無茶です...
「…サイト、何やったの?」
「……皆、逃げろ。今の才人君は……鬼だ」
コルベールは、精神力の許容を越えた魔力の行使により、気絶...
「……やっと来たな。溶接機とバーナー共」
才人がキュルケ達の背後に周り込み、ガシリとキュルケとギー...
「ちょっと、ダーリン?」
「才人、何か変だよ?」
「良いから良いから。さぁ、楽しい物作りだ」
その顔は凄絶な形相を呈しており、皆が息を飲む
「…また今度と言う事で」
「まぁまぁ、乗り掛かった船なんだ。最後迄付き合え。な?」
「…タバサ、一人で逃げようなんて、許さないわよ」
キュルケが逃げようとしたタバサを、がしりと掴む
タバサは怯えた顔で、ぷるぷる首を振る
「それじゃ、ちゃっちゃか、魔力を全部出せ。メイジの使用率...
「い、いやあああああ!?」
全員の絶叫が木霊し、才人に使い倒された皆が、魔力切れで気...
「ねぇ、ボロ剣」
「なんでぇ?」
「今日のサイト、ずっとこんな感じ?」
「…物作り中のハンマー持った相棒には、絶対に逆らうな。俺っ...
「…ワルドの時より?」
「あんなん、今の相棒からすりゃ、雑魚だっての。心の震え方...
「何なのよ?それ?」
「知らん」
死々累々となった研究室に一人頬杖を付いた才人を見て、ルイ...
「ちっ、メイジの仕事じゃ、ちっとも進まねぇ」
* * *
「才人君、提案なんだが」
「なんでしょう、コルベール先生」
「うむ、こう爆弾に火薬を使った推進機関を搭載するのはどう...
「構いませんけど、出来るんですか?」
「うむ、火の使い方は色々研究してたモノでね。大体の部分は...
「へ〜流石ですね。それじゃ、爆弾じゃなくて、ロケット弾に...
「だが火薬は衝撃に弱くてね、弾頭に詰めると欲しい所に到達...
「黒色火薬の特性ですか?俺は、火薬は良く解らないんですよ...
「其処ら辺は任せて頂こう、つまりだね…」
「…ふむふむ、成程。それでいきましょう。重量オーバーは、50...
「大丈夫かね?」
「多分大丈夫でしょう。いざとなったら、レビテーションで重...
「ふむ、流石才人君。魔法を応用させたら、ピカイチだな」
「問題は」
「…我々の魔力切れだな」
「こればっかりは、どうにもなりませんね」
「才人君のやり方は合理的なんだが、とにかく制御が大変でね...
「えぇ、余りにも大変なんで、初めての時は取り乱してしまい...
「では、もう一段の改造と言う事で」
「解りました。でも此って、鉄が薄すぎませんか?」
「最初は対艦爆弾だったんで、わざと破壊され易くして、雷管...
「じゃあ、不味そうな部分に、硬化処理を施すのは如何でしょ...
「流石、赤土。其で行きましょう」
「ドンドン、大変になっていきますわね」
シュヴルーズはクスっと笑う
「職人の仕事の大半は、どうしてこうなった?が、基本ですよ」
「まぁ」
「それはそれは」
コルベールとシュヴルーズは、笑いあった
* * *
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